特許第5959499号(P5959499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959499
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   H02K13/00 T
   H02K13/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-272807(P2013-272807)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-128343(P2015-128343A)
(43)【公開日】2015年7月9日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113791
【氏名又は名称】マブチモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】吉田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】眞塩 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石平 全
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−139079(JP,A)
【文献】 実開平02−110974(JP,U)
【文献】 米国特許第5280210(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0214626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータが収納される筒型のハウジングの開口部に装着されるブラシホルダと、
前記ブラシホルダへ固定される第1のターミナルおよび第2のターミナルと、を備え、
前記ブラシホルダは、
前記ハウジングの開口部に挿入されるホルダ部と、
前記ホルダ部の外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部端子が接続されるコネクタ部と、
前記ホルダ部と前記コネクタ部とを連結する連結部と、を有し、
前記連結部は、第1のスリットおよび第2のスリットが形成された貫通部を有し、記第1のターミナルの一部が前記第1のスリットを貫通しており、前記第2のターミナルの一部が前記第2のスリットを貫通しており
前記第1のターミナルは、前記連結部に固定されており、前記貫通部から突出した部分を含む第1の係止部を有し、
前記第2のターミナルは、前記連結部に固定されており、前記貫通部から突出した部分を含む第2の係止部を有し、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は、それぞれ先端に凹部を有し、該凹部が押し開いた状態で前記連結部に係止されているとともに前記貫通部を通過できない形状であり、
前記連結部は、前記第1の係止部と前記第2の係止部とを隔てる仕切り部を有し、
前記仕切り部は、絶縁材料で構成され、V字状の切欠き部を有し、
前記切欠き部の中央と、前記第1の係止部の凹部の中央および前記第2の係止部の凹部の中央とが一列に並んでいることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記凹部の開口側形状は、前記切欠き部の形状と略一致することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1の係止部および前記第2の係止部のそれぞれの前記凹部は、同じ向きで少なくとも4つ以上一列に並んでいることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記仕切り部および隣接する他の前記仕切り部との間隔は、前記第1のターミナルの厚みおよび前記第2のターミナルの厚みと略同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
ロータが収納される筒型のハウジングの開口部に装着されるブラシホルダと、
前記ブラシホルダへ固定される第1のターミナルおよび第2のターミナルと、を備え、
前記ブラシホルダは、
前記ハウジングの開口部に挿入されるホルダ部と、
前記ホルダ部の外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部端子が接続されるコネクタ部と、を有し、
前記第1のターミナルおよび前記第2のターミナルは、前記ホルダ部または前記コネクタ部に固定されており、
前記ホルダ部または前記コネクタ部は、前記第1のターミナルの一部が挿入される第1の貫通部と、前記第2のターミナルの一部が挿入される第2の貫通部とを有し、
前記第1のターミナルは、前記第1の貫通部から突出した部分を含む第1の係止部を有し、
前記第2のターミナルは、前記第2の貫通部から突出した部分を含む第2の係止部を有し、
前記第1の係止部は、前記第1の貫通部を通過できない形状に加工されており、
前記第2の係止部は、前記第2の貫通部を通過できない形状に加工されており、
前記ホルダ部または前記コネクタ部は、前記第1のターミナルの一部が前記第1の貫通部から突出した前記第1の係止部と前記第2のターミナルの一部が前記第2の貫通部から突出した前記第2の係止部とを隔てる仕切り部を有し、
前記仕切り部は、絶縁材料で構成され、V字状の切欠き部を有し、
前記切欠き部の中央と、前記第1の係止部の凹部の中央および前記第2の係止部の凹部の中央とが一列に並んでいることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータのブラシを収容するブラシホルダに、ブラシに給電するための給電用端子が組み込まれたコネクタ部を一体的に設けたものが考案されている。このようなブラシホルダに給電用端子を組み込む方法の一つに、樹脂製のブラシホルダの成形時に給電用端子をインサート成形する方法がある。しかしながら、インサート成形は、成形に先立ち給電用端子を金型に載置する手間があり、また、一度の成形で製造できるブラシホルダの数にも限りがある。
【0003】
一方、組立てによって給電用端子をブラシホルダに固定する方法もある。例えば、給電用端子が組み込まれている給電用カプラが一体成形されたブラシホルダが考案されている(特許文献1参照)。このブラシホルダは、ブラシホルダのフランジ部からカプラケースに至る部位に、ヨークフランジ部に対向する側が開口した凹状溝が、カプラケースの筒内部とブラシホルダ内周部とを連結するようにして形成されている。そして、ブラシ、ブラシスプリング、リードステー、および給電用端子からなるブラシユニットを、ブラシホルダおよびカプラケースに組み込んでいる。その際、リテーナで給電用端子をカプラケースに位置決め支持するとともに、リードステーの一端側をブラシホルダにねじ止めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−51993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のブラシホルダは、給電用端子を組み込む際、リテーナによる固定やねじ止めが必要であり、部品点数や作業工程の増加を招くことになる。また、リテーナによる固定やねじ止めのためのスペースが必要となる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、省スペースなブラシホルダを実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のモータは、ロータが収納される筒型のハウジングの開口部に装着されるブラシホルダと、ブラシホルダへ固定されるターミナルと、を備える。ブラシホルダは、ハウジングの開口部に挿入されるホルダ部と、ホルダ部の外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部端子が接続されるコネクタ部と、ホルダ部とコネクタ部とを連結する連結部と、を有する。ターミナルは、連結部に固定されている。
【0008】
この態様によると、連結部でターミナルを固定できるため、ホルダ部やコネクタ部に特段の加工やスペースが必要なく、省スペースなブラシホルダを実現できる。
【0009】
連結部は、ターミナルの一部が挿入される貫通部を有してもよい。ターミナルは、貫通部に挿入された際に該貫通部より突出した部分が加工された係止部を有してもよい。係止部は、貫通部を通過できない形状に加工されていてもよい。これにより、連結部の貫通部に挿入されたターミナルの一部が抜けなくなり、ターミナルが連結部にしっかり固定される。
【0010】
コネクタ部は、外部端子が接続される側にターミナルの一部が露出している開口部を有してもよい。開口部は、ターミナルの係止部と同じ側に設けられていてもよい。これにより、例えば、外部端子をターミナルに挿入する場合、ターミナルに力が加わっても、係止部が連結部の貫通部で引っ掛かるため、ターミナルがブラシホルダから抜けるおそれがない。
【0011】
係止部は、ブラシホルダのハウジング側に設けられていてもよい。これにより、スイッチング等でターミナルに高い電圧が生じた場合でも、係止部を介してハウジングに放出し、解消することができる。その結果、高電圧に弱いモータ制御装置等の破損を防止できる。
【0012】
ターミナルは、第1のターミナルと第2のターミナルとを有してもよい。第1のターミナルの係止部および第2のターミナルの係止部は、先端に凹部を有し、該凹部が押し開いた状態で連結部に係止されており、第1のターミナルの係止部および第2のターミナルの係止部の各凹部が同じ向きで一列に並んでいてもよい。これにより、複数のターミナルの凹部を一度で押し開くことができ、複数のターミナルを一度で固定できる。
【0013】
ターミナルは、第1のターミナルと第2のターミナルとを有してもよい。貫通部は、第1のターミナルの一部が圧入される第1のスリットと、第2のターミナルの一部が圧入される第2のスリットと、を有してもよい。連結部は、第1のターミナルの一部が第1のスリットから突出した部分が加工された係止部と第2のターミナルの一部が第2のスリットから突出した部分が加工された係止部とを隔てる仕切り部を有してもよい。仕切り部は、絶縁材料で構成されていてもよい。これにより、第1のターミナルの係止部と第2のターミナルの係止部とを確実に離間させることができ、第1のターミナルと第2のターミナルとの短絡が防止される。
【0014】
本発明の別の態様もまた、モータである。このモータは、ロータが収納される筒型のハウジングの開口部に装着されるブラシホルダと、ブラシホルダへ固定される第1のターミナルおよび第2のターミナルと、を備える。ブラシホルダは、ハウジングの開口部に挿入されるホルダ部と、ホルダ部の外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部端子が接続されるコネクタ部と、を有する。第1のターミナルおよび第2のターミナルは、ホルダ部またはコネクタ部に固定されており、ホルダ部またはコネクタ部は、第1のターミナルの一部が挿入される第1の貫通部と、第2のターミナルの一部が挿入される第2の貫通部とを有する。第1のターミナルは、第1の貫通部に挿入された際に突出した部分が加工された第1の係止部を有する。第2のターミナルは、第2の貫通部に挿入された際に突出した部分が加工された第2の係止部を有する。第1の係止部は、第1の貫通部を通過できない形状に加工されており、第2の係止部は、第2の貫通部を通過できない形状に加工されており、ホルダ部またはコネクタ部は、第1のターミナルの一部が第1の貫通部から突出した第1の係止部と第2のターミナルの一部が第2の貫通部から突出した第2の係止部とを隔てる仕切り部を有する。仕切り部は、絶縁材料で構成されている。
【0015】
この態様によると、第1のターミナルの係止部と第2のターミナルの係止部とを確実に離間させることができ、第1のターミナルと第2のターミナルとの短絡が防止される。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、省スペースなブラシホルダを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に係るモータの正面図である。
図2】本実施の形態に係るモータの断面図である。
図3】ブラシホルダと各部品との分解斜視図である。
図4図3に示すブラシホルダに各部品を搭載した状態をハウジング側から見た正面図である。
図5図3に示すブラシホルダに各部品を搭載した状態を回路基板側から見た正面図である。
図6図6(a)は、電流入力用のターミナルを一方から見た斜視図、図6(b)は、電流入力用のターミナルを一方から見た斜視図、図6(c)は、電流入力用のターミナルの側面図である。
図7図7(a)は、信号出力用のターミナルを一方から見た斜視図、図7(b)は、信号出力用のターミナルを一方から見た斜視図、図7(c)は、信号出力用のターミナルの側面図である。
図8図8(a)は、コネクタ部および連結部近傍の断面状態を示す概略図、図8(b)は、連結部を正面方向から見た斜視図、図8(c)は、図8(a)の領域Rの拡大図である。
図9図9(a)は、ターミナル固定後のコネクタ部16bおよび連結部16c近傍の断面状態を示す概略図、図9(b)は、ターミナル固定後の連結部16cを正面方向から見た斜視図、図9(c)は、図9(a)の領域Rの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るモータの正面図である。図2は、本実施の形態に係るモータの断面図である。
【0021】
本実施の形態に係るDCブラシモータ(以下、「モータ」と称する。)10は、主として、ヨークハウジングとしてのハウジング12と、ロータ14と、コネクタ付きのブラシホルダ16と、金属製のカバー部材であるエンドプレート18と、を備える。ハウジング12は、一端に開口部12aが形成され、他端に閉塞された底部12bが設けられている。底部12bは、凹部が形成されており、その凹部に軸受17が収容されている。また、ハウジング12の内壁には、円弧状のマグネット19が配置されている。
【0022】
ロータ14は、シャフト20と、コア22と、巻線24と、コミテータ(整流子)26と、を備える。シャフト20は、軸受17および軸受28を介して、ハウジング12およびエンドプレート18に回転可能に支持される回転軸である。また、シャフト20は、出力軸としても機能する。軸受28は、エンドプレート18の中央部に形成されている凹部に収容されている。コア22は、複数の鋼板が積層されたものであり、その中心にはシャフト20が貫通した状態で固定されている。巻線24は、コア22の溝22aに巻き回されており、電流が流れることで磁力を生じさせる。
【0023】
コミテータ26は、コア22と同様にシャフト20に固定されている。コミテータ26は、接触するブラシ(後述する図3参照)を通して通電される電流を巻線24に適切なタイミングで流す接点である。ブラシは、例えば、黒鉛等を主成分とするカーボンブラシである。なお、ブラシは、貴金属等を主成分とするフォーク状の金属ブラシの場合もありうる。
【0024】
ブラシホルダ16は、ロータ14が収納される筒型のハウジング12の開口部12aに装着され、ブラシを介したロータ14への給電経路が設けられている。給電経路の途中には、チョークコイル32やコンデンサ、バリスタ等のノイズ抑制素子が搭載され、各素子を結ぶ配線が表面に形成された回路基板34が設けられている。
【0025】
ブラシホルダ16は、ハウジング12の開口部12aの形状に応じた円形のホルダ部16aと、ホルダ部16aの外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部電源から電流が供給される給電端子が接続されるコネクタ部16bと、を有する。コネクタ部16bの内部には、ターミナル(入力端子)35a,35bが設けられている。
【0026】
図3は、ブラシホルダと各部品との分解斜視図である。ブラシホルダ16は、一対のチョークコイル32と、回路基板34と、一対のフェライトコア42と、中継端子44と、サーキットブレーカ45と、一対のブラシ46と、各ブラシ46が載置される一対のL字プレート47と、L字プレート47と組み付けられ、ブラシ46を摺動可能に収容する一対の収容部49と、収容部49に収容されたブラシ46を径方向に付勢するバネ51と、電流入力用の一対のターミナル35aと、回路基板34に搭載されたホールIC等の信号を出力する一対のターミナル35bと、が組み付けられる。
【0027】
図4は、図3に示すブラシホルダ16に各部品を搭載した状態をハウジング側から見た正面図である。図5は、図3に示すブラシホルダ16に各部品を搭載した状態を回路基板34側から見た正面図である。
【0028】
一対のターミナル35aは、ロータ14への給電経路としてブラシホルダ16へ固定されている。また、一対のターミナル35bは、回路基板34に搭載された素子からの出力信号の経路としてブラシホルダ16へ固定されている。ブラシホルダ16は、ハウジング12の開口部12aに挿入されるホルダ部16aと、ホルダ部16aの外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部端子が接続されるコネクタ部16bと、ホルダ部16aとコネクタ部16bとを連結する連結部16cと、を有する。ターミナルは、連結部16cに固定されている。
【0029】
これにより、連結部16cでターミナル35aやターミナル35bを固定できるため、ホルダ部16aやコネクタ部16bに特段の加工やスペースが必要なく、省スペースなブラシホルダ16を実現できる。
【0030】
連結部16cは、ターミナル35a,35bの一部が挿入される貫通部として、スリット穴16dを有している(図4参照)。ターミナル35a,35bは、スリット穴16dに挿入された際にスリット穴16dより突出した部分が加工された係止部35a1,35b1を有してもよい。係止部35a1,35b1は、スリット穴16dを通過できない形状に加工されている。具体的には、係止部35a1,35b1は、その先端がスリット穴16dの長さよりも広がったU字状あるいはY字状の幅広部を有している。これにより、連結部16cのスリット穴16dに挿入されたターミナル35a,35bの一部が抜けなくなり、ターミナル35a,35bが連結部16cにしっかり固定される。
【0031】
コネクタ部16bは、外部端子が接続される側にターミナルの外部端子接続部35a2,35b2が露出している開口部16eを有している。開口部16eは、ターミナル35a,35bの係止部35a1,35b1と同じ側に設けられている。これにより、外部端子をブラシホルダ16のコネクタ部16bに挿入する場合、ターミナル35a,35bに力が加わっても、係止部35a1,35b1が連結部16cのスリット穴16dで引っ掛かるため、ターミナル35a,35bがブラシホルダ16から抜けるおそれがない。
【0032】
また、係止部35a1,35b1は、ブラシホルダ16のハウジング側に設けられている。これにより、スイッチング等でターミナル35a,35bに高い電圧が生じた場合でも、係止部35a1,35b1を介してハウジング12に放出し、解消することができる。その結果、高電圧に弱いモータ制御装置等の破損を防止できる。
【0033】
図6(a)は、電流入力用のターミナル35aを一方から見た斜視図、図6(b)は、電流入力用のターミナル35aを一方から見た斜視図、図6(c)は、電流入力用のターミナル35aの側面図である。図7(a)は、信号出力用のターミナル35bを一方から見た斜視図、図7(b)は、信号出力用のターミナル35bを一方から見た斜視図、図7(c)は、信号出力用のターミナル35bの側面図である。ターミナル35a,35bは、板状の部材を所定の形状に打ち抜き、曲げ加工することで作製される。
【0034】
次に、各ターミナルの連結部16cへの固定方法について説明する。図8(a)は、コネクタ部16bおよび連結部16c近傍の断面状態を示す概略図、図8(b)は、連結部16cを正面方向から見た斜視図、図8(c)は、図8(a)の領域Rの拡大図である。図9(a)は、ターミナル固定後のコネクタ部16bおよび連結部16c近傍の断面状態を示す概略図、図9(b)は、ターミナル固定後の連結部16cを正面方向から見た斜視図、図9(c)は、図9(a)の領域Rの拡大図である。
【0035】
はじめに、図8(a)に示すように、ターミナル35aおよびターミナル35bをコネクタ部16bおよび連結部16cの背面側から各貫通部に向けて矢印A方向に挿入(圧入)する。その場合、連結部16cに形成されている各スリット穴16dから、係止部35a1,35b1が突出した状態で位置決めされる。
【0036】
本実施の形態に係るターミナルは、電流入力用の一対のターミナル35aと、信号出力用の一対のターミナル35bとを有している。そして、ターミナル35aの係止部35a1は、先端に凹部35a3を有している。また、ターミナル35bの係止部35b1は、先端に凹部35b3を有している。そして、ターミナル35aの係止部35a1およびターミナル35bの係止部35b1の各凹部35a3,35b3が同じ向きで一列に並んでいる。
【0037】
この状態で、連結部16cから突出した各係止部35a1,35b1の正面から、所定形状の治具を押し付け、各凹部35a3,35b3を押し開くことで、各係止部35a1,35b1が連結部16cに係止され、連結部16cにターミナル35a,35bが固定される。また、複数のターミナル35a,35bの凹部35a3,35b3を一度で押し開くことができ、複数のターミナル35a,35bを一度で固定できる(図9(a)〜図9(c)参照)。
【0038】
また、本実施の形態に係る貫通部は、ターミナル35aの一部が圧入されるスリット穴16d1と、ターミナル35bのターミナルの一部が圧入されるスリット穴16d2と、を有している。連結部16cは、ターミナル35aの一部がスリット穴16d1から突出した部分が加工された係止部35a1とターミナル35bの一部がスリット穴16d2から突出した部分が加工された係止部35b1とを隔てる仕切り部16fを有している。仕切り部16fは、樹脂等の絶縁材料で構成されいる。これにより、ターミナル35aの係止部35a1とターミナル35bの係止部35b1とを確実に離間させることができ、ターミナル35aとターミナル35bとの短絡が防止される。
【0039】
また、本実施の形態に係るモータ10は、コネクタ部16bが連結部16cを兼ねている場合、以下のような構成ということもできる。モータ10は、ロータ14が収納される筒型のハウジング12の開口部12aに装着されるブラシホルダ16と、ブラシホルダ16へ固定されるターミナル35a,35bと、を備える。ブラシホルダ16は、ハウジング12の開口部12aに挿入されるホルダ部16aと、ホルダ部16aの外縁部から径方向へ突出した位置に設けられており、外部端子が接続されるコネクタ部16bと、を有する。ターミナル35aおよびターミナル35bは、ホルダ部16aおよびコネクタ部16bに固定されている。
【0040】
ホルダ部16aまたはコネクタ部16bは、ターミナル35aの一部が挿入されるスリット穴16d1と、ターミナル35bの一部が挿入されるスリット穴16d2とを有する。ターミナル35aは、スリット穴16d1に挿入された際に突出した部分が加工された係止部35a1を有する。ターミナル35bは、スリット穴16d2に挿入された際に突出した部分が加工された係止部35b1を有する。係止部35a1は、スリット穴16d1を通過できない形状に加工されており、係止部35b1は、スリット穴16d2を通過できない形状(大きさ)に加工されている。ホルダ部16aまたはコネクタ部16bは、ターミナル35aの一部がスリット穴16d1から突出した係止部35a1とターミナル35bの一部がスリット穴16d2から突出した係止部35b1とを隔てる仕切り部16fを有する。これにより、ターミナル35aの係止部35a1とターミナル35bの係止部35b1とを確実に離間させることができ、ターミナル35aとターミナル35bとの短絡が防止される。
【0041】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0042】
10 モータ、 12 ハウジング、 12a 開口部、 14 ロータ、 16 ブラシホルダ、 16a ホルダ部、 16b コネクタ部、 16c 連結部、 16d スリット穴、 16e 開口部、 16f 仕切り部、 19 マグネット、 20 シャフト、 22 コア、 24 巻線、 26 コミテータ、 32 チョークコイル、 34 回路基板、 35a ターミナル、 35a1 係止部、 35a2 外部端子接続部、 35a3 凹部、 35b ターミナル、 35b1 係止部、 35b2 外部端子接続部、 35b3 凹部、 42 フェライトコア、 46 ブラシ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9