特許第5959514号(P5959514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959514
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】低表面エネルギー基材の被覆方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20060101AFI20160719BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20160719BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20160719BHJP
   C07C 233/05 20060101ALI20160719BHJP
   C07C 311/03 20060101ALI20160719BHJP
   C07C 237/06 20060101ALI20160719BHJP
   C07C 233/65 20060101ALI20160719BHJP
   C07C 233/56 20060101ALI20160719BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   C08J7/04 E
   C09D4/00
   C09D5/00 Z
   C09D5/00 D
   C07C233/05CSP
   C07C311/03
   C07C237/06
   C07C233/65
   C07C233/56
   C08F2/00 C
【請求項の数】17
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-522304(P2013-522304)
(86)(22)【出願日】2011年8月2日
(65)【公表番号】特表2013-535551(P2013-535551A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】GB2011051459
(87)【国際公開番号】WO2012017233
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】1016664.3
(32)【優先日】2010年10月4日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1012954.2
(32)【優先日】2010年8月2日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514044226
【氏名又は名称】シンター ファイン ケミカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ワリック ジェームス デヴィッド アレン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス レオナルド ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ダフィー
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−542832(JP,A)
【文献】 特表2002−521531(JP,A)
【文献】 特表2002−521551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 4/00
C07C 233/05
C07C 233/56
C07C 233/65
C07C 237/06
C07C 311/03
C08F 2/00
C08J 7/04
C09D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低表面エネルギープラスチック基材を被覆する方法であって;
下記式(I)
【化1】

(式中、Rは、C(O)N、S(O)N、C(O)ON、又はCHONであり;
12は、水素、ハロ、ニトロであり;
は、(CR又はCR10、CRCR10若しくはCR10CRの基から選択され、ここで、nは、0、1又は2であり、R及びRは、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、水素又はアルキルから選択され、R又はR10のいずれか一方は、水素であり、且つもう一方は電子吸引基であるか、又はR及びR10は、共に電子吸引基を形成し;
は、CH、又はCR11から選択され、ここで、CR11は電子吸引基であり、
は、CX基であり、ここでX及びXは、それぞれ独立して、水素、フッ素、又は任意選択的に置換されたヒドロカルビル基から選択される)、
の基を含むポリマー前駆体を提供する、
ステップa);及び、
(i)前記ポリマー前駆体で前記低表面エネルギープラスチック基材を被覆し、前記ポリマー前駆体を重合して、ポリマー被覆を形成すること、又は、
(ii)前記ポリマー前駆体を重合し、重合したポリマー前駆体を前記低表面エネルギープラスチック基材と接触させて、前記低表面エネルギープラスチック基材上にポリマー被覆を形成すること、
のいずれかである、
ステップb)
を含み、
前記低表面エネルギープラスチック基材が、42mJ/m以下の表面エネルギーを有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ポリマー前駆体は、構造(II)
【化2】
(式中、rは、1又はそれ以上の整数であり、Rは、1つ又は複数の架橋基、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基、パーハロアルキル基、シロキサン基、アミド又は繰り返し単位を含む部分重合鎖である)
の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー前駆体は、構造(III)
【化3】
(式中、R15は、C(O)又はS(O)である)
の化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
は、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル基であり、任意選択的に官能基で置換若しくは介在される、を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記直鎖又は分岐鎖の基は、アミン部分、C(O)若しくはCOOHの1つ又は複数で介在又は置換されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー前駆体は、Rは、アミン部分で介在された、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー前駆体は、Rは、COOH末端基で置換された、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー前駆体は、Rは、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくは部分的に又は過剰にハロゲン化された直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー前駆体は、R15は、COであり、且つ、Rは、1つ又は複数のアミン部分で終端して、尿素構造を形成するか、又は、前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記低表面エネルギープラスチック基材は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリビニルクロライド、又はポリオレフィンとエラストマーとの混合物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記低表面エネルギープラスチック基材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記低表面エネルギープラスチック基材が、シリコーンゴム、フルオロ−シリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、又はスチレン−ブタジエンブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
求項1〜12のいずれか一項に記載の方法であり、
ステップb)は、更なる基材を、前記ポリマー前駆体又は前記重合したポリマー前駆体と接触させること、ここで、ステップb)は、前記ポリマー被覆が、前記低表面エネルギープラスチック基材を更なる基材と接合するように行われる、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記ポリマー被覆に、更なる被覆物を塗布する
ステップc)
を更に含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー被覆に塗布される前記被覆物は、ペイント、インク、ポリウレタン層等の保護被覆又は接着剤であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
被覆された低表面エネルギープラスチック基材であって、前記被覆が請求項1に記載の式(I)の基を含むポリマー前駆体を重合させることによって形成されるポリマー被覆であり、
前記低表面エネルギープラスチック基材が、42mJ/m以下の表面エネルギーを有する表面エネルギープラスチック基材。
【請求項17】
低表面エネルギープラスチック基材、更なる基材、及び前記低表面エネルギープラスチック基材及び前記更なる基材の両基材を結合させ、請求項1に記載の式(I)の基を含むポリマー前駆体を重合させることによって形成される、前記低表面エネルギープラスチック基材及び前記更なる基材の中間層、を含み、
前記低表面エネルギープラスチック基材が、42mJ/m以下の表面エネルギーを有する、複合構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低表面エネルギー基材を被覆する方法に関する。本発明は、そこで得られる新規なポリマーにも関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、ポリオレフィン及び他のポリマー基材を含む、様々な低表面エネルギー基材を被覆する便利な方法を提供することが望ましい。本発明は、低表面エネルギー基材に接着することができ、更なる被覆の受け手、若しくは仕上げに適した基材として、又は、十分な接着を可能にする層として、それ自体作用することができる、被覆物を提供することが望ましい。しかしながら、今日までかかる被覆物は存在していなかった。
【0003】
本発明は、少なくとも幾つかの実施形態において、上記の問題を解決し、上記需要を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様によれば、低表面エネルギー基質を被覆する方法が提供され、該方法は、
下記式(I)
【化1】
(式中、Rは、i)CR、ここで、Rは、水素又はアルキルであり、ii)S(O)13、又はSiR14、ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又はヒドロカルビル、から選択され、pは、0、1又は2であり、qは、1又は2であり、iii)C(O)N、S(O)N、C(O)ON、CHON又はCH=CHRN、ここで、Rは電子吸引基であり、又は、iv)OC(O)CH、C(O)OCH又はS(O)CHであり;式中、R12は、水素、ハロ、ニトロ、ヒドロカルビル、任意選択的に官能基で置換若しくは介在されたもの、又は、下式
【化2】
であり;
及びRは、それぞれ独立して、(CR又はCR10、CRCR10若しくはCR10CRの基から選択され、ここで、nは、0、1又は2であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はアルキルから選択され、R又はR10のいずれか一方は、水素であり、且つもう一方は電子吸引基であるか、又はR及びR10は、共に電子吸引基を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、CH、又はCR11から選択され、ここで、CR11は電子吸引基であり、
点線は、結合の存在又は非存在を示し、Xは、CX基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在せず、また、CX基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在する、Yは、CY基であり、この場合、前記点線が結合する先は存在せず、また、CY基であり、この場合、前記点線の結合が結合する先は存在する、X、X、Y及びYは、それぞれ独立して、水素、フッ素又は他の置換基から選択される)、
の基を含むポリマー前駆体を提供する、
ステップa);及び、
(i)前記ポリマー前駆体で前記低表面エネルギー基材を被覆し、前記ポリマー前駆体を重合して、ポリマー被覆を形成すること、又は、
(ii)前記ポリマー前駆体を重合し、重合したポリマー前駆体を前記低表面エネルギー基材と接触させて、前記低表面エネルギー基材上にポリマー被覆を形成すること、
のいずれかである、
ステップb)
を含む。
【0005】
このように、ポリプロピレン等の低表面エネルギー基材を被覆することができる。いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、低表面エネルギー基材に対する結合に関する問題の少なくとも一部は、第一に堆積層が基材の表面エネルギーの表面張よりも低い表面張力を有する必要があることである。性質上十分に疎水的であるか、さもなければ低表面エネルギー基材に対して接着するのに適しているが、にもかかわらず、二重結合又は諸結合を、生じ得る重合に関して十分に活性化することが可能な、式(I)の化合物を提供することができる。
【0006】
疑念を避けるために、「ポリマー前駆体」という用語は、モノマー、及び1種又は複数種のモノマーの部分又は半重合により得られるプレポリマーを指すことを含む。
【0007】
好適には、R16は、C〜C12のアルキル基、最も好適にはC〜Cのアルキル基、である。
【0008】
好適には、ポリマー前駆体は、紫外線照射への露出により重合させる。代わりの重合方法は、必要に応じて、化学開始剤等の他の種の開始剤の適用による、又は電子ビームを用いた開始による、開始剤の存在下、加熱すること(IR照射の形式とすることもできる)を含む。本願明細書で用いられる「化学開始剤」という表現は、当該技術分野でよく知られた、フリーラジカル開始剤、及びカチオン性又はアニオン性開始剤等のイオン性開始剤等の、重合を開始することができる化合物を指す。照射又は電子ビームにより誘引された重合は、実質的な溶媒非存在下でも十分に有効である。本願明細書で用いられる「実質的な溶媒非存在下」という表現は、試薬を流せるようにするための少量の希釈剤は存在してよいものの、溶媒が存在しないこと、又は試薬を完全に溶解するために十分な溶媒がないことのいずれかを意味する。
【0009】
好適な実施形態では、ポリマー前駆体は、紫外線照射への露出により、重合され、重合は、自発的に、又は適切な開始剤の存在下のいずれかで生じる。適切な開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);ベンゾフェノン、特にアセトフェノン等の芳香族ケトン;ジ−又はトリ−クロロアセトフェノン等の塩素化アセトフェノン;ジメトキシアセトフェノン(品名「イルガキュア(Irgacure)651」の市販品)等のジアルコキシアセトフェノン;ジメチルヒドロキシアセトフェノン(品名「ダロキュア(Darocure)1173」の市販品)等のジアルキルヒドロキシアセトフェノン;下式
【化3】
(式中、Rは、アルキル、特に2、2−ジメチルエチルであり、Rは、ヒドロキシル又はクロロ等のハロゲンであり、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル又はクロロ等のハロゲンから選択される(この例は、品名「ダロキュア(Darocure)1116」及び「トリゴナル(Trigonal)P1」の市販品))
の化合物等の置換ジアルキルヒドロキシアセトフェノンアルキルエーテル;1−ベンゾイルシクロヘキサノール−2(品名「イルガキュア(Irgacure)184」の市販品);ベンゾイン又はベンゾインアセテート、特にベンゾインブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル等の誘導体;ジメトキシベンゾイン又デオキシベンゾイン等のジアルコキシベンゾイン;ジベンジルケトン;アシルオキシムのメチル又はエチルエステル(品名「クオンタキュア(Quantaqure)PDO」の市販品)等のアシルオキシムエステル;アシルホスフィンオキシド;ジアルキルアシルホスフォネート、例えば、下式
【化4】
(式中、Rzは、アルキルであり、Arは、アリール基である)
のケトスルフィドア等のシルホスフォネート;4、4’−ジアルキルベンゾイルジスルフィド等のジベンゾイルジスルフィド;ジフェニルジチオカーボネート;ベンゾフェノン;4、4’−ビス(N、N−ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン;フルオレノン;チオキサントン;ベンジル;又は下式
【化5】
(式中、Arは、フェニル等のアリール基であり、Rzは、メチル(品名「スピードキュア(Speedcure)BMDS」の市販品)等のアルキルである)
が挙げられる。
【0010】
本願明細書で用いられる、「アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を指し、好適には20個以下、更に好適には6個以下の炭素原子を含む。「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、不飽和の直鎖又は分岐鎖を指し、例えば、2〜20個の炭素原子、例えば、2〜6個の炭素原子を含む。鎖は、それぞれ1つ又は複数の二〜三重結合を含んでいてよい。更に、「アリール」という用語は、フェニル又はナフチル等の芳香族基を指す。
【0011】
本願明細書で用いられる、「ヒドロカルビル」という用語は、炭素原子及び水素原子を含むあらゆる構造を指す。例えば、これらは、アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル又はナフチルのようなアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルとしてもよい。好適には、これらは、20個以下、好適には10個以下の炭素原子を含む。「ヘテロシクリル」という用語は、例えば、4〜20個、好適には5〜10個の環原子を有し、そのうち少なくとも1個が、酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子である、芳香族又は非芳香族の環を含む。このような基の例には、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンズチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル又はベンゾフリルが含まれる。
【0012】
「官能基」という用語は、例えば、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、C(O)、OR、S(O)、NR、OC(O)NR、C(O)NR、OC(O)NR、−NRC(O)、−NRCONR、−C=NOR、−N=CR、S(O)NR、C(S)、C(S)OR、C(S)NR又は−NRS(O)、式中、R、R及びRは、水素若しくは任意に置換されたヒドロカルビル基からそれぞれ独立に選択するか、又はR及びRは共に、S(O)、酸素、窒素等の更なるヘテロ原子を任意選択的に含む任意選択的に置換された環を形成し、nは、1又は2の整数、tは、0又は1〜3の整数である、等の反応性の基を指す。特に、官能基は、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、C(O)、OR、S(O)、NR、OC(O)NR、C(O)NR、OC(O)NR、−NRC(O)、−NRCONR、−NRCSNR、−C=NOR、−N=CR、S(O)NR又は−NRS(O)の反応基とする。R、R及びR、式中、n及びtは、上記定義の通りである、等の基である。
【0013】
本願明細書で用いられる、「ヘテロ原子」という用語は、酸素、窒素又は硫黄原子等の非炭素原子を意味する。窒素原子が存在する場合は、それらは、一般的にアミノ残基の一部として存在しており、例えば、水素又はアルキルにより置換されているであろう。
【0014】
「アミド」という用語は、一般的に、式:C(O)NR(式中、R及びRは、水素又は任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である)の基を指すと理解される。同様に、「スルホンアミド」という用語は、式:S(O)NRの基を指す。好適なR基としては、水素又はメチル、特に水素が含まれる。
【0015】
特定の場合に用いられる、電子求引基又はアミン部分に付加される基の性質は、その化合物内の他の官能基の性質だけでなく、活性化される必要のある二重結合に対する位置にも依存する。「電子求引基」という用語は、その範囲に、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ等のハロ等の原子の置換基、更にニトリル、トリフルオロメチル、アセチル等のアシル、ニトロ又はカルボニル等の分子の置換基も含まれる。
【0016】
式(I)の基について、X及び、もしあればYは、好適には、それぞれCX基及びCY基であり、且つ点線の結合は存在しない。
【0017】
好適には、もしあれば、R13及びR14は、アルキル基、更に好適には、C〜Cのアルキル基である。
【0018】
有利には、もしあれば、Rは、カルボニル基、又はニトロ等の電子吸引基によりオルト及び/又はパラ位で置換されたフェニル基である。
【0019】
が、CH=CHRNR16−の場合、Rは、カルボニル基、又はニトロ等の電子吸引基によりオルト及び/又はパラ位で置換されたフェニル基である。
【0020】
好適には、R及びRは、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ又はアルキル若しくはHから選択される。アルキルの場合には、メチルが最も好適である。
【0021】
好適には、X、X、Y及びYは、全てハロゲンである。
【0022】
少なくとも1つの、可能ならば全ての、X、X、Y及びYは、水素又はフッ素以外の置換基とすることができる。好適には、少なくとも1つの、可能ならば全ての、X、X、Y及びYは、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である。このような実施形態では、少なくとも1つの、可能ならば全ての、X、X、Y及びYは、任意選択的に置換されたアルキル基である。特に好適な例は、C〜Cのアルキル基、特に、メチル又はエチルである。X、X、Y及びYがアルキル基である実施形態では、開始剤の存在なく、照射に露出されると、重合し得る。代わりに、少なくとも1つの、好適には全ての、X、X、Y及びYは、アリール及び/又は、ピリジル、ピリミジニル又はピリジン若しくはピリミジンを含む基等のヘテロ環基である。
【0023】
好適な実施形態では、R12は、
【化6】
であり、X及びYは、それぞれCX基及びCY基であり、点線は、結合の非存在を示す。これらの実施形態では、重合は、環化重合により行ってよい。
【0024】
本発明の方法に用いられるポリマー前駆体の好適な基は、下記式(II)
【化7】
の化合物及び、特に下記式(IIA)
【化8】
(式中、rは、1又はそれ以上の整数であり、Rは、1つ又は複数の架橋基、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基、パーハロアルキル基、シロキサン基、アミド又は繰り返し単位を含む部分重合鎖である)
の化合物である。
【0025】
好適には、rは、1、2、3又は4である。
【0026】
式(II)の好適な実施形態では、Rは、S(O)N又はC(O)Nである。そのため、ポリマー前駆体は、構造(III)
【化9】
(式中、R15は、C(O)又はS(O)である)
の化合物である。
【0027】
有利には、ポリマー前駆体は、構造(IV)
【化10】
の化合物である。
【0028】
式(II)〜(IV)の化合物において、rが1の場合、化合物は、容易に重合し、R基の性質に依存して、様々なポリマーのタイプを形成することができる。
【0029】
式(II)〜(IV)の化合物において、rが1よりも大きい場合、重合によりポリマーネットワークが生じ得る。これらの化合物の重合の際には、ネットワークが形成され、その特性は、R基の細かな性質、存在する連鎖反応停止剤の量及び用いた重合条件に依存して、選択することができる。架橋基のいくつかの例は、WO00/06610に見出すことができる。
【0030】
好適には、Rは、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビルであり、任意選択的に環状基で介在される、を含む。有利には、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビルは、アミン部分、C(O)若しくはCOOHの1つ又は複数で介在又は置換される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポリマー前駆体は、Rは、アミン部分で介在された、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。好適には、モノマーは、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、任意選択的に環状基で介在される。特に、好適な実施形態では、モノマーは、下記式(V)
【化11】
(式中、R16は、H又はC2s+1であり、pは、1〜10であり、qは、0〜10であり、sは、1〜10である)
の化合物である。
【0032】
他の好適な実施形態では、モノマーは、下記式(VI)
【化12】
(式中、t及びuは、それぞれ独立して、1〜10であり、R16は、H又はC2s+1であり、ここで、sは、1〜10である)
の化合物である。
【0033】
他の好適な実施形態では、ポリマー前駆体は、Rは、COOH末端基で置換された、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル、又はモノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。モノマーは、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、任意選択的に環状基で介在される。有利には、モノマーは、下記式(VII)
【化13】
(式中、vは、1〜20である)
の化合物である。
【0034】
代わりの実施形態では、ポリマー前駆体は、Rは、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又はモノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。
【0035】
更に他の実施形態では、ポリマー前駆体は、Rは、部分的に又は過剰にハロゲン化された、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。好適には、アルキル基はパーハロゲン化物である。好適には、アルキル基は、フルオロ化されており、更に好適には、パーフルオロ化されている。
【0036】
更に他の実施形態では、ポリマー前駆体は、R15は、COであり、且つ、Rは、1つ又は複数のアミン部分で終端して、尿素構造を形成するか、又は、前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである、モノマーである。
【0037】
更なる他の実施形態では、前記ポリマー前駆体は、構造(VIII)
【化14】
(式中、Rは、直鎖又は分岐鎖のヒドロカルビル基であり、任意選択的に基で介在され、ここで、rは、2又はそれ以上の整数であるか、又は、前記モノマーの半重合により得られるプレポリマーである)
のモノマーである。好適には、rは、2又は3である。
【0038】
他の実施形態では、R15は、水素又はヒドロカルビルであり、そのため、式(I)の化合物は、下式
【化15】
の基を含まない。これらの実施形態では、好適なクラスの式(I)の化合物は、構造(X)
【化16】
(式中、R16は、水素、ハロ、ニトロ又はヒドロカルビルのみであり、任意選択的には、基で置換又は介在されている)
で表される。特に好適な式(X)の化合物は、式(XI)
【化17】
の化合物である。
【0039】
その全ての内容は参照により本願明細書に組み入れられる、国際公開WO00/06610、WO00/06533、WO00/06658、WO01/36510、WO01/40874及びWO01/74919は、1つ又は複数のジエニル基を有する多数の化合物の重合により得られるポリマーのクラスを開示する。
【0040】
ポリマー前駆体の重合により、ホモポリマーを得ることができる。代わりに、ポリマー前駆体を、1つ又は複数の他のポリマー前駆体と混合して、ポリマー前駆体を重合するステップにより、コポリマーを得ることができる。他のポリマー前駆体は、本願明細書に記載される式のいずれかによるものとすることができる。代わりに、コモノマーは、異なるクラスの化合物とすることができる。ポリマー前駆体は、クロスリンカーと共重合することができる。これらの実施形態では、ポリマー前駆体は、下記式(XII)
【化18】
(式中、R、R、R、R12及びXは、式(I)に関して定義した通りであり、rは、2又はそれ以上の整数であり、Rは、価数rの架橋基又は結合である)
の化合物と反応させることができる。
【0041】
好適には、rは2である。ポリマー前駆体が、下式
【化19】
の基を含まない場合、式(XII)の化合物を用いることが、特に好適である。しかしながら、下式
【化20】
の基を含むポリマー前駆体の実施形態は、式(XII)の化合物と反応させることもできる。
【0042】
式(XII)の化合物は、下記式(XIII)
【化21】
の化合物とすることができる。
【0043】
モノマー又はコモノマーは、半重合して、プレポリマーを得ることができる。一般的に、熱開始剤が用いられ、半重合は、常温以上の昇温条件で行われる。
【0044】
好適な実施形態の一つのクラスでは、低表面エネルギー基材は、低表面エネルギープラスチック基材である。好適には、低表面エネルギープラスチック材料は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリビニルクロライド又はポリオレフィンとエラストマーとの混合物である。低表面エネルギープラスチック基材の非制限例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンである。
【0045】
低表面エネルギープラスチック基材は、エラストマーである。疑念を避けるため、「エラストマー」という用語は、天然及び合成ゴムを指すことを含む。被覆は、シリコーンゴム、フルオロ−シリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、EPDMゴムを含むエチレンプロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム又はスチレン−ブタジエンブロックコポリマー等の熱可塑性ゴム等の、従来接着させることが困難であったエラストマー上に行うことができる。
【0046】
別の好適なクラスの実施形態では、低表面エネルギー基材は、アルミニウム、スズ、又はクロム等の低表面エネルギー金属である。
【0047】
一般的に、低表面エネルギー基材は、42mJ/m以下の表面エネルギーを有する。
【0048】
特に有利には、本発明のポリマー被覆は、広範な有用な塗布物中に接着性増強剤として用いることができる。一つの態様では、ステップb)は、更なる基材を、前記ポリマー前駆体又は前記重合したポリマー前駆体と接触させること、ここで、ステップb)は、前記ポリマー被覆が、前記低表面エネルギー基材を更なる基材と接合するように行われる、を含む、本発明の方法において、複合構造が形成される。更なる基材は、織布とすることができる。代わりに、更なる基材は、本願明細書に記載されるあらゆるタイプの別の低表面エネルギー基材とすることができる。
【0049】
ステップb)は、(ii)ポリマー前駆体を重合し、且つ、重合したポリマー前駆体を、低表面エネルギー基材と接触させて、低表面エネルギー基材上にポリマー被覆を形成すること、により行われ;ここで、第一の基材、前記低表面エネルギー基材、及び前記重合したポリマー前駆体を含む複合構造が形成され、前記重合したポリマー前駆体は、前記更なる基材と前記低表面エネルギー基材との間に介在して両基材を結合させるように、前記ポリマー前駆体は、前記更なる基材上で重合され、その後、前記重合したポリマー前駆体は、前記更なる基材を接着させながら、前記低表面エネルギー基材と接触する、ことにより行うことができる。これを達成することができる多数の方法が存在する。一つの実施形態では、固体の低表面エネルギー基材を、前記重合したポリマー前駆体と接触させ、任意選択的に熱及び/又は圧をかける、ことによって、前記重合したポリマー前駆体を、前記低表面エネルギー基材と接触させる。代わりに、溶融の低表面エネルギー基材を、前記重合したポリマー前駆体と接触させることによって、前記重合したポリマー前駆体を、前記低表面エネルギー基材と接触させることもできる。
【0050】
更なる基材を、ポリマー前駆体又は重合したポリマー前駆体に接触させることによって、複合構造を形成する実施形態では、重合したポリマー前駆体は、エラストマーである。更なる基材は、金属又はエラストマーとすることができる。
【0051】
有利には、この方法は、ポリマー被覆に、更なる被覆物を塗布する、ステップ(c)を更に含む。有利には、本発明に従って得られるポリマーは、低表面エネルギー基材の被覆、及び更なる被覆の指示の両方を可能にする。いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、有利には、少なくともいくつかの、本発明で用いられるポリマー前駆体及びポリマーは、低表面エネルギー基材に対する結合が生ずることを可能にするのに十分な疎水性、及び必要ならば、ポリマー被覆がより高い表面エネルギーを有する物質により良好に被覆されることを可能にするのに十分な親水性を有すると考えられる。
【0052】
低表面エネルギー基材に対する結合に関する問題の少なくとも一部は、第一に堆積層が基材の表面エネルギーの表面張よりも低い表面張力を有する必要があることである。性質上十分に疎水的であるか、さもなければ低表面エネルギー基材に対して接着するのに適しているが、にもかかわらず、二重結合又は諸結合を、生じ得る重合に関して十分に活性化することが可能な、式(I)の化合物を提供することができる。
【0053】
有利には、ポリマー被覆に塗布される被覆物は、接着剤である。このように、接着剤及びポリマー被覆により、構造を、低表面エネルギー基材に接着させることができる。低表面エネルギー基材に接着される構造は、いかなる適した形状又は材料ともすることができる。当業者は、接着される構造の性質に従って、接着剤を選択することができる。好適な実施形態では、接着剤は、水性接着剤又は熱溶融性接着剤である。熱溶融性接着剤は、ポリマー材料から形成することができる。ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートの熱溶融性接着剤を用いることができる。
【0054】
本発明の第二の実施形態では、下式(IX)
【化22】
(式中、R、R、R、R、X及びYは、以前に定義の通りであり、R17は、C〜C12のアルキル基、好適にはC〜Cのアルキル基、更に好適にはオクチルである)
のモノマー化合物が提供される。
【0055】
本発明の第三の実施形態では、第二の実施形態において定義される式(IX)のモノマー化合物、又はモノマーの半重合により得られるプレポリマー、の重合により得られるポリマーが提供される。被覆された基材は、前に定義したステップ(i)又はステップ(ii)のいずれかを用いて調製することができる。
【0056】
本発明の第四の実施形態では、被覆物が、第一実施形態において定義される式(I)の基を含むポリマー前駆体を重合させることによって形成されるポリマー被覆である、被覆した被覆された低表面エネルギー基材である。
【0057】
被覆された低表面エネルギー基材は、ポリマー被覆に対して塗布された更なる被覆を含むことができる。更なる被覆は、ペイント、インク、保護被覆又は接着剤とすることができる。この外側の被覆が接着剤である実施形態では、被覆された低表面エネルギー基材は、低表面エネルギー基材に、前記接着剤及び前記ポリマー被覆により接着された構造を更に含むことができる。
【0058】
本発明の第五の実施形態では、低表面エネルギー基材、更なる基材、及び両基材を結合させ、第一の実施形態において定義される式(I)の基を含むポリマー前駆体を重合させることによって形成される、低表面エネルギー基材及び更なる基材の中間層、を含む、複合構造を提供する。複合構造は、前に定義したステップ(i)又はステップ(ii)のいずれかを用いて調製することができる。
【0059】
但し、上記本発明のあらゆる態様は、低表面エネルギー基材及び更なる基材の中間層を有する、ポリマー被覆により被覆された低表面エネルギー基材は、シーリングシステムのへりの部分を含まないという条件を含む。
【0060】
本発明は、上記したが、上記又は明細書、図面若しくは請求項に説明される特徴の部分組み合わせの組み合わせによるいかなる発明にも及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0061】
モノマー、ポリマー、及びポリオレフィン基材を被覆する方法の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
図1】第一の反応スキームを示す図である。
図2】第二の反応スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0062】
(実施例1)
目的分子1(ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテニル)アミド)を以下に示す。
【化23】
また、合成スキームを図1に示す。
【0063】
モノマー1の合成を以下に記載する。反応1.1、1.2、1.3、及び1.4を、乾燥溶媒;t−ブチルメチルエーテルは、CaSOにより一晩乾燥させ、アルミナを通過させ、その後蒸留し、ピリジンは、リンデ(Linde)社の4A型のモレキュラーシーブスにより乾燥させ、その後蒸留し、テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム−ベンゾフェノン混合物により還流し、その後回収した;を用いて、アルゴン雰囲気下で行った。
【0064】
カラムクロマトグラフィーをフラッシュグレードのシリカを用いて行った。
【0065】
1.1 1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン(2)の合成
t−ブチルメチルエーテル(1000mL)、及び3−メチルブテン−3−オール(230g、280mL、2.67mol)を、撹拌子、凝縮器、温度計、及び滴下漏斗を備えた複数口フラスコ(3L)に加えた。ピリジン(21g、22mL、0.267mol)を加え、フラスコの内容物を、室温で30分間撹拌し、その後、PBr(361g、125mL、1.33mol)を、滴下漏斗を介して、内部の温度を40℃以下、好適には約30℃(この反応は発熱性であることに留意されたい)に維持できる速度で、撹拌しながら、加えた。添加が完了した後、反応混合物を4時間撹拌させた。その後、TLC及びHPLCは、反応が完了したことを示した。室温に戻した後、この混合物を、飽和NaCl水溶液(1L)を、撹拌子ながら加えることにより、クエンチした。
【0066】
有機層を分離し、水層をt−ブチルメチルエーテル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液で2回(2×500mL)、その後、飽和食塩水(2×200mL)で洗浄した。エーテル層を無水MgSOにより乾燥させ、溶媒を常圧下で除去した。蒸留装置を吸引ポンプ(水厚ポンプ)に結合させ、このブロモ化物を約25mmHgの圧力下、40〜60℃で蒸留して、淡黄色の油を得た(318g、収率:80%)。
【0067】
1.2 第3級アミン(3)の調製
撹拌子、凝縮器、温度計、及び滴下漏斗を備えた複数口フラスコ(2L)を、冷却槽(氷−水)に置き、アセトン(500mL)、濃縮したアンモニア水溶液(30mL)、及び無水炭酸カリウム(159g、1.15mol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。臭化アリル(52.5g、0.35mol)を、滴下漏斗を介して、内部の反応を25℃以下に維持できるような速度で、20分かけて加えた。反応溶液を室温で3時間撹拌し、その後、TLC(シリカ、5%メタノールを含むDCM)は、反応の完了したことを示した。固体の懸濁液を濾過し、アセトン(2×50mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去して、第3級アミン3が、淡黄色の物として得られた。それは、その後固化した(28g、粗収率:107%)。
【0068】
1.3 第2級アミン(4)の調製
粗生成物の第3級アミン(9g、41mmol)を、凝縮器を備えた25mLの丸底(RB)フラスコに加えた。フラスコの内容物を、撹拌ホットプレート上に置いたDrySyn(RTM)(アルミニウムのブロック)中で、30分かけて(外部温度で)200℃まで加熱した。固体材料は、約140〜150℃で溶解し始めた。この材料を2.5時間200℃で加熱した。反応の進行をTLCによりモニターした(シリカ、10%のメタノール、アンモニアのメタノール溶液5滴を含むDCM)。その後、反応混合物を室温まで冷却した。
【0069】
1.4 ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテン)アミド
前の工程で冷却した反応混合物を、炭酸カリウム(6g、43mmol)及び30mLのアセトンを含む100mLのRBフラスコに移した。これを室温で撹拌し、ヘキサノイルクロライド(3.8g、3mL、28mmol)を、滴下漏斗を介して、撹拌しながら、10分かけて滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌して、翌日、TLC(シリカプレート、2.5%メタノールを含むDCM)は目的モノマー1の形成を示した。溶媒を減圧下で除去し、固体を30mLの石油エーテル(40−60)で洗浄して、濾過した。脱色用炭(1g)を路駅に加え、沸騰するまで加熱して、その後、熱いまま濾過した。溶媒を減圧したで除去して、淡茶色の油(5.0g、収率:49%)を得た。HPLCは、94%の純度を示した。
【0070】
(実施例2)
ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテニル)アミド(1)の重合
ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテニル)アミド(1)を、ポリプロピレン基材に塗布し、約1.5重量%のイルガキュア184光開始剤を用いて、UV照射下(水銀放電UVエミッタ)、簡便に重合させた。たった1秒の露光時間で、重合を生じさせるには十分であった。
【0071】
(実施例3)
光開始剤を用いない、ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテニル)アミド(1)の重合
ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテニル)アミド(1)を、光開始剤を用いずに、ポリプロピレン上で、UV照射下(水銀放電UVエミッタ)、重合させた。たった1秒で硬化が生じた。重合は、390nmで操作したLEDのUV光源を用いた更なる実験においても同様に簡便であり、光開始剤の非存在下でモノマーが硬化した。
【0072】
(実施例4)
目的分子5(ヘキサン酸(ビス(3−メチル−2−ブテニル)アミド)を下記に示す。
【化24】
また、合成スキームを図2に示す。
【0073】
4.1 1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン(6)の合成
3−メチル−ブテン−3−オール(97%、500mL)を臭化水素酸(48%、1L)に、室温で、定速で撹拌しながら、2時間かけて加えた。混合物をその後、更に2時間そのまま置き、その後、透明な黄色の上層を、水/HBrの下層を入れないように、デカントした。上層をCaSOにより完全に乾燥させ、その後63℃で蒸留して、1.26g/mLの密度を有する無色の液体を得た。
【0074】
4.2 第1級アミン(7)の調製
ブロモメチルブタン6をアセトン(50mL)中に溶解させ、この溶液を、撹拌しながら、炭酸カリウム(22g)の存在下、−5℃まで予め冷却した、濃水酸化アンモニウム水溶液(25mL)に、加えた。この混合物をこの温度で30分間撹拌し、その後、室温まで戻した。この溶液及び第1級アミン7を減圧下で除去した。
【0075】
4.3 ヘキサン酸(3−メチル−2−ブテニル)アミド(5)の調製
ヘキサノイルクロライド(3.8g)を第2級アミン及びアセトンに、撹拌しながら、室温で、30分に亘って、滴下して加えた。この反応物を4時間撹拌し、その後、溶媒を減圧したで除去し、黄色い油を得た。油を、ジクロロメタンを溶媒として用いたシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。目的モノマー5を淡黄色の油であった。
【0076】
(実施例6)クロスリンカーを用いた、ヘキサン酸(3−メチル−2−ブテニル)アミド(5)の重合
モノマー5を実施例4に従って調製し、これをクロスリンカー化合物と共重合した。
【化25】
クロスリンカー化合物を、ステップ4.3において用いたヘキサノイルクロライドを、2:1のモル比(第1級アミン7:オキサロイルクロライド)のオキサロイルクロライド(ClOOCCOOCl)に置き換えた点以外は、実施例4に記載の方法を用いて調製した。クロスリンカー(5%)をモノマー5(95%)中に室温で溶解させ、得られた溶液を、実施例2に記載の重合条件を用いて簡便に共重合させた。
【0077】
(実施例7)
目的分子8(ヘキサン酸ジアリルアミド)を下記に示す。
【化26】
新鮮な乾燥したヘキサノイルクロライド(200mmol)を、200mLの乾燥ジクロロメタンを加えた3口丸底(RB)フラスコに、入れた。乾燥させたばかりのジアリルアミン(220mmol)を、トリエチルアミン(220nmol)に加え、更に乾燥ジクロロメタン中で希釈し(1:1 v/v)、その後、滴下漏斗に加えて、反応フラスコ上に取り付けた。窒素ガスを、他の2つの口を通して、容器を通過させた。生じたHClを中和するため、排出ガスを、CaCO溶液を通してバブリングした。反応容器をその後、塩水/氷槽に置き、内容物を冷却してから、ジアリルアミン/トリエチルアミン/DCMを、混合物を連続的に磁気撹拌しながら、この酸塩化物溶液に、滴下して加えた。温度をモニターし、5〜10℃に維持した。ジアリルアミン及びトリエチルアミンの滴下を3時間後に停止し、反応物を更に1時間撹拌させた。
【0078】
酢酸エチル及びアルミナを用いた薄層クロマトグラフィーを用いて、開始物質と生成物とを比較しながら、反応をモニターした。ヨウ素を用いて、プレートを展開し、反応生成物を、開始物質よりもよく溶解したスポットとして可視化した。
【0079】
塩化アンモニウム、及び余剰のジアリルアミンを除去するため、反応液を3M HClで洗浄した。DCM画分中に残ったモノマーを、分液漏斗を用いて取り除いた。200mLのDCM中の20gのモノマーについて、100mLのHClの洗浄を2回行った。溶媒をその後、ロータリーエバポレーターで除去した。
【0080】
生成物をジクロロメタン(1:1 v/v)に加え、ジクロロメタンを溶離液として用いたシリカゲル(メルク(Merck)、クロマトグラリー用グレード60)カラムを通過させた。いくらか黄色の着色がカラムに残り、溶離液を除去した後に、非常に淡い黄色の油が得られた。生成物であるヘキサン酸(8)が〜70%の収率で生成した。
【0081】
(実施例8)
ヘキサン酸ジアリルアミド(8)の重合
ヘキサン酸ジアリルアミド(8)をポリプロピレン基材に塗布し、約1.5重量%のイルガキュア250光開始剤を用いて、UV照射下、簡便に重合した。
【0082】
(実施例9)
光開始剤を用いない、ヘキサン酸ジアリルアミド(8)の重合
ヘキサン酸ジアリルアミド(8)をポリプロピレン基材に塗布し、光開始剤を用いずに、高強度のFusionUVランプによる比較的強いUV照射下で、重合した。
【0083】
(実施例10)
ヘキサン酸ジアリルアミド(8)とクロスリンカーとの重合
モノマー8を、実施例7に従って生成し、クロスリンカー化合物である、N、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド(下式)
【化27】
と共重合させた。
【0084】
クロスリンカー化合物は、ヘキサノイルクロライドを、2:1のモル比(ジアリルアミン:オキサロイルクロライド)のオキサロイルクロライド(ClOOCCOOCl)で置き換えた点以外は実施例7に記載の方法を用いて調製した。クロスリンカー(5%)をモノマー8(95%)中に室温で溶解させ、得られた溶液を実施例8に記載の重合条件を用いて簡便に共重合させた。
【0085】
(実施例11)
目的化合物9(オクチル(ジアリルスルホンアミド))を下記に示す。
【化28】
【0086】
新鮮な乾燥したオクチルスルホニルクロライド(200mmol)を、200mLの乾燥ジクロロメタンを加えた3口丸底(RB)フラスコに、入れた。乾燥させたばかりのジアリルアミン(220mmol)を、トリエチルアミン(220nmol)に加え、更に(1:1 v/v)乾燥ジクロロメタン中で希釈し、その後、滴下漏斗に加えて、反応フラスコ上に取り付けた。窒素ガスを、他の2つの口を通して、容器を通過させた。生じたHClを中和するため、排出ガスを、CaCO溶液を通してバブリングした。反応容器をその後、塩水/氷槽に置き、内容物を冷却してから、ジアリルアミン/トリエチルアミン/DCMを、混合物を連続的に磁気撹拌しながら、この酸塩化物溶液に、滴下して加えた。温度をモニターし、5〜10℃に維持した。ジアリルアミン及びトリエチルアミンの滴下を3時間後に停止し、反応物を更に1時間撹拌させた。
【0087】
酢酸エチル及びアンモニアを用いた薄層クロマトグラフィーを用いて、開始物質と生成物とを比較しながら、反応をモニターした。ヨウ素を用いて、プレートを展開し、反応生成物を、開始物質よりもよく溶解したスポットとして可視化した。
【0088】
塩化アンモニウム、及び余剰のジアリルアミンを除去するため、反応液を3M HClで洗浄した。DCM画分中でモニターを行い、分液漏斗を用いて取り除いた。200mLのDCM中の20gのモノマーについて、100mLのHClの洗浄を2回行った。溶媒をその後、ロータリーエバポレーターで除去した。
【0089】
生成物をジクロロメタン(1:1 v/v)に加え、ジクロロメタンを溶離液として用いたシリカゲル(メルク(Merck)、クロマトグラリー用グレード60)カラムを通過させた。成分をその後除去して、生成物(9)が得られた。
【0090】
(実施例12)
オクチル(ジアリルスルホンアミド)(9)の重合
オクチル(ジアリルスルホンアミド)(9)をポリプロピレン上で、実施例2に記載の条件下で重合させた。
【0091】
(実施例13)
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドの共重合体を用いた、水性接着剤に対する、SBRゴムの接着性の向上
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド(1060.5g)、及びN、N、N’、N’−テトラアリールエタンジアミド(79.5g)の混合物を80℃まで加熱し、定速で撹拌しながら、この温度で維持した。この混合物に、N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド(264.75g)、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド(20.25g)に溶解させた、高濃度のVazo67(デュポン(Dupont)社)熱開始剤(75.0g)を、撹拌しながら、6時間に亘って滴下して加え、その反応温度を80℃に維持した。高濃度物を加えた後、反応物を、連続的に撹拌しながら室温で更に12時間そのままにし、その後、放置して室温まで冷却して、粘性の茶色い油を得た。ITX光開始剤(45.0g)、及びエチル 4−ジメチルアミノベンゾエート共力剤(30.0g)を、その後加え、反応生成物に完全に溶解させた。
【0092】
この処方の層をSBRゴムフローリングのシートに、約2gsmの被覆重量で被覆し、鉄をドープした水銀バルブを備えた200W/cmの集束UV源を用いて、4メートル/分のベルト速度で硬化させた。
【0093】
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミドの合成
【化29】
ジクロロメタン中の3−ブロモプロピニルクロリド(1:1 v/v)を、僅かにモル比過剰のジクロロメタン(DCM)中のジアリルアミンに、〜10℃で、連続撹拌しながら、2時間に亘って、滴下して加えた。これをその後、希釈HCl及びDCM中で洗浄し、有機画分を回収した。生成物のDCM溶液を、その後、シリカ(60A)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタンを除去して、3−ブロモ−N、N−ジアリルプロピルアミド中間体を得た;黄色液体(密度:〜1.27g/cm)。収率70%+。
【0094】
1由来の中間体(30g、129mmol)を、THF(1:1 v/v)に加えた。これを、その後、撹拌し、還流させた1−プロピルアミン(43.1g、0.730mmol)、炭酸カリウム(90g、0.652mmol)、及びTHF(133.6g、1.850mmol)の混合物に、2時間に亘って滴下して加えた。還流物をその後、連続撹拌しながら、1時間に亘って、放冷した。
【0095】
冷却した反応混合物を水(400mL)で洗浄し、炭酸カリウムを溶解させて、透明な黄色い有機上層を得、デカントした。この層を、その後水で再び洗浄し、分離し乾燥して、黄色い液体を得た。収率:〜65%。
【0096】
(実施例14)
2、2、3、3、4、4、4−ヘプタフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)ブタンアミドでできたポリマーからなる接着増強層を用いた、シアノアクリレート接着剤に対する、ポリ(プロピレン)/EPDM基板の接着性の向上
光開始剤のイルガキュア184(Ciba SC)(0.075g)を、2、2、3、3、4、4、4−ヘプタフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)ブタンアミド(2.50g)に溶解させ、発泡体ローラーを用いて、ポリ(プロピレン)/EPDMパネル上に薄いフィルムとして堆積させた。軟鋼の丸い欠片を、ガラス紙で研磨し、その後、シアノアクリレート接着剤で被覆したポリ(プロピレン)/EPDMの表面に結合させた。
【0097】
2、2、3、3、4、4、4−ヘプタフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)ブタンアミドの合成
蒸留したばかりのN、N−ジアリルアミン(9.50g、96.8mmol)、及び乾燥ジクロロメタン(50.0g)の混合物を、窒素で1時間バブリングし、その後、滴下漏斗に移し封止した。この混合物を、その後、こちらも前もって1時間、連続撹拌しながら窒素でパージしておいた乾燥ジクロロメタン(100g)中のヘプタフルオロブタノイルクロライド(10.0g、43mmol)の冷却した(5℃)混合物を含む反応容器に、2時間に亘って滴下して加えた。温度を、ジアリルアミン溶液を加える間、及びその後1時間、<10℃に維持した。この後、溶液を室温まで温めて、この反応混合物を水(300mL)で洗浄した。有機層を水(300mL)で更に2回洗浄し、分離し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。その後、溶媒及び揮発物を、減圧下で有機層から除去して、黄色液体を得、シリカ及び溶離液としてのジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーを用いて更に精製した。溶離液をその後減圧下で除去して、淡黄色の液体を得た。収率=62%。
【0098】
(実施例15)
N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミドできたポリマーからなる接着増強層を用いた、ニトリルーブタジエンゴム(NBR)に対する、ポリ(ウレタン)熱融解接着剤及びPURフォームラミネートの接着性の向上
N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミド(890.0g)を80℃まで予熱し、その後、N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミド(100.0g)中の熱開始剤Vazo67(デュポン(DuPont)社)(10.0g)の混合物を、温度を80℃に維持しながら、連続撹拌しながら窒素雰囲気下で2時間に亘って加えた。この反応物を、同じ条件下で、更に14時間反応させて、その後室温まで冷却させた。
【0099】
光開始剤である2−イソプロピルチオキサントン(ITX)(31.8g)、及び共力剤であるエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(EDB)(21.2g)を、その後加えて、使用前に混合物中に完全に溶解させた。
【0100】
この処方を、その後、リバースローラー法を用いて、1平方メートル当たり2グラムの被覆重量で、NBRゴムフローリングの床面上に被覆し、鉄をドープした水銀バルブを用いた200W/cmのUVランプで硬化させた。
【0101】
湿気硬化型のMDIベースのポリウレタン熱溶融物(100%固体)を、その後、被覆重量70〜80g/mで、接着性が向上したNBR上に、160℃で堆積させた。直後にPURフォームシートを、圧力下で熱溶融被覆上にラミネートし、室温まで冷却した。
【0102】
N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミドの合成
【化30】
クロロアセチルクロライド(98%、212g、1.883mmol)、及びジクロロメタン(397.5g、4.680mmol)を反応容器に加え、5℃まで冷却した。N、N−ジアリルアミン(蒸留したばかりのもの、402.57g、4.143mmol)をジクロロメタン(397.5g、4.680mmol)に加え、この混合物を、その後連続撹拌し、温度を10℃以下に維持しながら、数時間に亘ってクロロアセチルクロライド混合物に滴下して加えた。この反応混合物を、その後室温に達するまでそのままにし、その後水(1.5L)で洗浄した。有機層を水で再び洗浄し、その後、有機層を分離した。溶媒及び揮発物を、その後減圧下で有機層から除去して、黄色の油を得た。これを、酢酸エチル溶離液及びシリカを用いたカラムクロマトグラフィーにより更に精製した。溶離液を減圧下で除去して、黄色い油を得た。収率は〜78%であった。
【0103】
N、N−ジアリル−2−クロロアセトアミド(中間体)(86.75g、0.500mmol)、トリエチルアミン(154.38g、1.500mmol)及びテトラヒドロフラン(222.25g、3.082mol)を、1−ブチルアミン(99%、18.29g、0.250mol)を加えた反応フラスコに、連続撹拌しながら15分に亘って滴下して加えた。反応温度を、還流温度にして4時間維持した。反応物を、その後室温まで冷却し、その後反応液からトリエチルアミン塩酸塩を濾過した。減圧下で溶媒を除去した後、生成物をジクロロメタン(200mL)に加え、その後水(300mL)で二回洗浄した。結城さ王を分離して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。これを減圧下で除去して、淡黄色の油が得られた。収率は〜88%であった。
【0104】
(実施例16)
N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミドできたポリマーからなる接着増強層を用いた、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)に対する、無溶媒アクリレート分散フローリング接着剤の接着性の向上
N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミド(890.0g)を80℃まで予熱し、その後、N、N−ジアリル−2−(ブチル−ジアリルカルバモイルメチルアミノ)アセトアミド(100.0g)中の熱開始剤Vazo67(デュポン(DuPont)社)(10.0g)の混合物を、温度を80℃に維持しながら、連続撹拌しながら窒素雰囲気下で2時間に亘って加えた。この反応物を、同じ条件下で、更に14時間反応させて、その後室温まで冷却させた。光開始剤である2−イソプロピルチオキサントン(ITX)(31.8g)、及び共力剤であるエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(EDB)(21.2g)を、その後加えて、使用前に混合物中に完全に溶解させた。
【0105】
この処方を、その後、リバースローラー法を用いて、1平方メートル当たり2グラムの被覆重量で、SBRゴムフローリングの床面上に被覆し、鉄をドープした水銀バルブを用いた200W/cmのUVランプで硬化させた。
【0106】
このように処理されたSBRゴムをその後、拡散コテを用いて、無溶媒アクリレート分散接着剤を、350g/mの被覆重量で被覆した木製のフローリングに、結合させた。接着剤の拡散と、SBRを木製フローリングに置いた後の、SBR表面に均等な力を加えながらのゴムとの結合との間、約15分置いた。
【0107】
(実施例17)
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、及び1、1−ジアリル−3−(6−{3、5−ビス−[6−(3、3−ジアリル−ウレイド)−ヘキシル]−2、4、6−トリオキソ−[1、3、5]−トリアジナン}−1−イル−ヘキシル)ウレアできたポリマーからなる接着増強層を用いた、NBRゴムとFKMフルオロエラストマーとの接着性の向上
熱開始剤Vazo67(デュポン(DuPont)社)を5重量%で、N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、及び1、1−ジアリル−3−(6−{3、5−ビス−[6−(3、3−ジアリル−ウレイド)−ヘキシル]−2、4、6−トリオキソ−[1、3、5]−トリアジナン}−1−イル−ヘキシル)ウレアの、それぞれ4:1の重量比の混合物中に加えた。この混合物を80℃まで加熱し、連続撹拌しながら、窒素雰囲気下で16時間維持した。この反応物を冷却した後、光開始剤の2−イソプロピルチオキサントン(ITX)、及びエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(EDB)を、それぞれ3重量%及び2重量%で加え、混合物中に完全に溶解させた。
【0108】
この処方の薄い、均一の層を、加硫済みのFKMフルオロエラストマーのかけら上に、約3g/m被覆重量で被覆し、その後、鉄をドープした水銀バルブを備えた200W/cmの集束UV源を用いて、4メートル/分のベルト速度で硬化させた。加硫済みのNBRゴムのストリップを、その後、被覆したFKMフルオロエラストマーの上面に置き、180℃、約4barの圧力で、10分間加熱した。
【0109】
【化31】
1、1−ジアリル−3−(6−{3、5−ビス−[6−(3、3−ジアリル−ウレイド)−ヘキシル]−2、4、6−トリオキソ−[1、3、5]−トリアジナン}−1−イル−ヘキシル)ウレア
【0110】
1、1−ジアリル−3−(6−{3、5−ビス−[6−(3、3−ジアリル−ウレイド)−ヘキシル]−2、4、6−トリオキソ−[1、3、5]−トリアジナン}−1−イル−ヘキシル)ウレアの合成
N、N−ジアリルアミン(乾燥したばかりのもの、30.60g)を、ジクロロメタン(>99.5%、132.50g)中のイソシアネート 「Tolonate HDT−LV2)」(ロディア(Rhodia)社)(50.4g)の混合物を、温度を30℃以下に維持し、連続撹拌しながら、2時間に亘って滴下して加えた。ジアリルアミンを加えた後、混合物を室温で更に30分そのままにした。溶媒及び余剰のジアリルアミンを減圧下で除去して、高粘度、琥珀色の液体が、80.1%の収率で、得られた。
【0111】
(実施例18)
N、N−ジ(2−プロピレン−1−イル)オクタン−1−スルホンアミドを用いた、ポリ(プロピレン)に対する、シアノアクリレート接着剤の接着性の向上
N、N−ジ(2−プロピレン−1−イル)オクタン−1−スルホンアミド中に溶解させた、チバ(Ciba)社 イルガキュア(Irgacure) 184、(1.5重量%)、及びデュポン(Dupont)社 Vazo67(2重量%)を含む処方を調整した。
【0112】
この処方の薄いフィルム、約5ミクロンの厚さ、をポリ(プロピレン)プラーク上に塗布して、ドープしていない水銀バルブを備えた160W/cmの集束UV源を用いて、硬化させた。この工程を繰り返し、ポリ(プロピレン)上に二重層を形成した。
【0113】
このようにして接着性を向上させた2片のポリ(プロピレン)を、その後シアノアクリレート接着剤を用いて共に接着させた。
【0114】
【化32】
N、N−ジ(2−プロピレン−1−イル)オクタン−1−スルホンアミド
【0115】
N、N−ジ(2−プロピレン−1−イル)オクタン−1−スルホンアミドの合成
ジアリルアミン(99%、10.69g)、トリエチルアミン(99%、11.1g)、及びジクロロメタン(99+%、50mL)を混合して、ジクロロメタン(99+%、200mL)中の1−オクタン−1−スルホニルクロライド(99+%、21.3g)の、冷却した(0℃)混合物に滴下して加えた。連続撹拌しながら、数時間温度を0〜10℃に維持して、全てのジアリルアミン混合物を加えた。この反応混合物を、その後室温になるまで放置した。
【0116】
反応混合物を、その後、希釈HCl(3M、500mL)で洗浄し、有機層を分離した。有機層の洗浄を水又はブラインで繰り返し、無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させた。ジクロロメタン及び他の濾液を、その後減圧下で除去し、淡黄色の液体を生成した。これを、その後、シリカゲル(60Å)、及び溶離液としてジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーにより、更に精製して、淡黄色の油を得た。
【0117】
(実施例19)
金属に対するN、N−ジアリルヘキサンアミドでできたポリマーの接着、及び金属に対するPETの接着性の向上
スズプレート、及びスズを含まない鋼鉄サンプルを、酢酸エチルで洗浄後に被覆した。被覆物は、95%のN、N−ジアリルヘキサンアミド、及び5%のイルガキュア(Irgacure) 184開始剤の混合物とした。金属基材に対する被覆物の塗布に先立って、被覆物を、酢酸エチル:N、N−ジアリルヘキサンアミドを3:1として、酢酸エチルと共に減圧した。被覆物を、1.5μmの厚さのほぼ乾燥したフィルムで、各金属試料に塗布した。このように被覆した試料を、その後、オーブン中、100℃で、20分間乾燥させて、溶媒を除去し、且つ場合により、モノマーと金属表面との間の反応を熱で開始させた。乾燥後、被覆物をUVランプで硬化させた。PETを、その後、オーブン中、260℃の温度で、溶解させることによって塗布し、2分間乾燥させた。被覆した金属試料を、その後、BS EN ISO 2409に対するクロスバッチ接着、及び180℃で曲げた後の柔軟性及び接着性について試験した。スズプレート及びスズを含まない鋼鉄資料の、優れたぬれ性及び接着性が観察された。金属試料に対する完全な接着が観察された、すなわち、接着性試験で用いられたプレートで被覆の剥がれがなかった。加えて、PETに対する完全な接着が観察され、PETのクラッキング又は割れが生じなかった。
【0118】
N、N−ジアリルヘキサンアミドの合成
【化33】
ジアリルアミン(99%、37g、381mmol)、トリエチルアミン(99%、40g、396mmol)、及びジクロロメタン(99+%、50mL)を混合して、ジクロロメタン(99+%、200mL)中のヘキサノイルクロライド(99+%、50g、371mmol)の、冷却した(0℃)混合物に滴下して加えた。連続撹拌しながら、数時間温度を0〜10℃に維持して、全てのジアリルアミン混合物を加えた。この反応混合物を、その後室温になるまで放置した。
【0119】
反応混合物を、その後、希釈HCl(3M、500mL)で洗浄し、有機層を分離した。有機層の洗浄を水又はブラインで繰り返し、無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させた。ジクロロメタン及び他の濾液を、その後減圧下で除去し、淡黄色の液体を生成した。これを、その後、シリカゲル(60Å)、及び溶離液としてジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーにより、更に精製して、ほぼ無色の油を得た。収率=70%。
【0120】
(実施例20)
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミドでできたポリマーの接着
モノマーであるN、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミドに関して、上記実施例19に記載の方法を用いた。乾燥中に、被覆にいくつかの網目が見られたものの、金属試料のほぼ完全なぬれ性が観察された。金属試料に対する接着は優れており、PETに対する接着も非常に良好であった。
【0121】
(実施例21)
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドでできたポリマーからなる接着増強層を用いた、アルミニウムに対する、ポリエチレン被覆物の接着性の向上
アルミニウム基材を、N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド(70%)、N、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド(25%)、及びイルガキュア 127(5%)の混合物で被覆した。被覆物を、2〜2.5m/分のベルト速度で、UVランプ(Fusion UV F300、120W/cm)下で硬化させ、4回の通過で2回の「乾燥」硬化を施した。押し出されたPE(処理及び未処理)を、この硬化したアルミニウム試料上に被覆した。ポリマー被覆物のアルミニウムに対する接着性を、ISO 4264、EN24624、及びASTM D 4541の標準試験方法により試験し、7.8MPaという良好な接着性の値を記録した。PE被覆物に対する良好な接着性も観察され、2.0N/15mmという「T型」接着性の値が記録された。
【0122】
(実施例22)
N、N−ジアリルヘキサンアミドでできたポリマーからなる接着増強層を用いた、ポリプロピレン及び高密度ポリエチレンに対する、水性ペイントの接着性の向上
ポリプロピレン(PP)及び高密度ポリエチレン(HDPE)パネルを2−プロパノールで拭くことによって洗浄した。このパネルを、その後90.2重量%のN、N−ジアリルヘキサンアミド、2.3重量%の1、3、5−トリメソイルアミドクロスリンカー(ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド)、4.5重量%のSpeedcure ITX光開始剤、3.0重量%のSpeedcure EDB共力剤からなる処方で被覆した。被覆したパネルを、その後、鉄をドープした水銀バルブを備えた120W/cm UVランプ下を通過させ、約3μmの厚さの硬化フィルムを得た。被覆したパネルを冷却した後、ペイント(Senosol Hydrometallic(RTM)、Weilburger Coatings GmbH、D−35781、Weilburger−Lahn、ドイツ)を、製造業者の仕様書に従って、塗布し、乾燥させた。ポリマー被覆の、PP及びHDPEパネル、並びにペイントに対する接着性を、ASTM D3359B/BS EN ISO 2409に従って、決定した。どちらの場合にも、優れたASTM D3359Bの接着性レーティングである5Bが得られた。
【0123】
【化34】
ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド
【0124】
ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミドの合成
N、N−ジアリルアミン(128.26g、1.32mmol)、及びジクロロメタン(106.0g、1.248mmol)の混合物を、漏斗に加え、ジクロロメタン(530.0g、6.24mmol)中のベンゼン−1、3、5−トリメソイルクロライド(53.1g、0.200mmol)の冷却した(10℃)混合物を含む反応容器に、連続撹拌しながら、75分間に亘って滴下して加えた。温度を、ジアリルアミン溶液を加える間、<10℃に維持し、その後、連続撹拌しながら、更に60分間かけて室温まで戻した。有機層を、過剰の水(1×600mL、及び2×300mL)で洗浄して、ジアリルアミンの塩酸塩を除去し、その後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。固体をその後、濾過して、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、その後、シリカ及び溶離液としてのジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。ジクロロメタンをその後再び減圧下で除去して、淡黄色の粘性の生成物を得た。収率=60.2%。
【0125】
(実施例23)
N、N−ジアリルヘキサンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドを用いた、シリコン及びフルオロエラストマーに対する、m−アラミドの接着性の向上
N、N−ジアリルヘキサンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドの混合物(9:1重量比)、熱開始剤(Vazo67、デュポン(Dupont)、モノマー混合物の5重量%)を加え、完全に溶解するまで撹拌した。この混合物を、その後、連続撹拌しながら、70℃で8時間維持して、粘性の黄色い油を得た。ここに光開始剤(Ciba社、イルガキュア(Irgacure)819、2重量%)を加え、よく混合した。
【0126】
この処方を、その後m−アラミド布(デュポン(Dupont)社、Nomex)のストリップの各側上に、1平方メートル当たり約5グラムの被覆重量で、塗布した。この被覆物を、各層が堆積された後、連続的に、鉄をドープした水銀バルブを備えた200W/cmのUV源を用いて、硬化した。
【0127】
開始剤、又は他の硬化剤を含む、フルオロ−エラストマーのストリップ及びシリコン化合物を、接着性を高めた織布の各側に塗り、その後、190℃、65〜80psiで、約15分間処理して、フルオロエラストマー及びシリコーンゴムを硬化して、これらを織布に結合させた。
【0128】
【化35】
N、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミド
【0129】
(実施例24)
N、N−ジアリル−3−(プロピルアミノ)プロパンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドを用いた、EPDMゴムに対する、m−アラミドの接着性の向上
m−アラミド織物を2枚のEPDMゴム化合物の間に配置した以外は、実施例23で用いたものと同じ処方の被覆方法を、m−アラミド織物について用いた。高い圧力(45〜75psi)、及び温度(190℃)下で、15分間、m−アラミド織物をEPDMに結合させた。
【0130】
(実施例25)
ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド、及び2、2、2’、2’’、2’’’−(エタン−1、2−ジイルビス(アザネトリイル)テトラキス(N、N−ジアリルアセトアミド)を用いた、シリコン及びフルオロエラストマーに対する、m−アラミドの接着性の向上
ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド、及び2、2、2’、2’’、2’’’−(エタン−1、2−ジイルビス(アザネトリイル)テトラキス(N、N−ジアリルアセトアミド)の混合物を、それぞれ9:1の重量比で調製した。光開始剤(Ciba社、イルガキュア(Irgacure)127)を、モノマー混合物の総重量の3%加え、混合物の緩やかな加熱を維持することによって、溶解させた。この処方を、その後、m−アラミド布(デュポン(Dupont)社、Nomex)のストリップの各側上に、1平方メートル当たり約10グラムの被覆重量で、塗布し、この被覆物を、各層が堆積された後、連続的に、鉄をドープした水銀バルブを備えた200W/cmのUV源を用いて、硬化した。
【0131】
開始剤、又は他の硬化剤を含む、フルオロ−エラストマーのストリップ及びシリコン化合物を、接着性を高めた織布の各側に塗り、その後、175℃、40トン圧力プレスで、約25分間処理して、フルオロエラストマー及びシリコーンゴムを硬化して、これらを織布に結合させた。
【0132】
【化36】
ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド
【0133】
ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミドの合成
N、N−ジアリルアミン(128.26g、1.32mmol)、及びジクロロメタン(106.0g、1.248mmol)の混合物を、漏斗に加え、ジクロロメタン(530.0g、6.24mmol)中のベンゼン−1、3、5−トリメソイルクロライド(53.1g、0.200mmol)の冷却した(10℃)混合物を含む反応容器に、連続撹拌しながら、75分間に亘って、滴下して加えた。温度を、ジアリルアミン溶液を加える間、<10℃に維持し、その後、連続撹拌しながら、更に60分間かけて室温まで戻した。有機層を、過剰の水(1×600mL、及び2×300mL)で洗浄して、ジアリルアミンの塩酸塩を除去し、その後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。固体をその後、濾過して、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、その後、シリカ及び溶離液としてのジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。ジクロロメタンをその後再び減圧下で除去して、淡黄色の粘性の生成物を得た。収率=60.2%。
【0134】
【化37】
2、2’、2’’、2’’’−(エタン−1、2−ジイルビス(アザネトリイル)テトラキス(N、N−ジアリルアセトアミド)
【0135】
4−ジメチルアミノピリジン(0.5g)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(103.0g)、エチレンジアミンテトラ酢酸(36.0g)、ジアリルアミン(53.0g)、及びジクロロメタン(250g)の混合物を、反応容器に加え、連続撹拌しながら、約20℃で120時間維持した。反応物中に形成される尿素を含む固体を、その後、濾過により除去し、その後、アミン及び溶媒を減圧下で除去した。不純物の除去後、透明な粘性の油が得られた(〜65%)。
【0136】
(実施例26)
N、N−ジアリルヘキサンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドを用いた、シリコーンゴム及びフルオロエラストマーに対する、ポリ(エステル)織布の接着性の向上
9:1の重量比の、N、N−ジアリルヘキサンアミド、及びN、N、N’、N’−テトラアリルエタンジアミドの混合物に対して、熱開始剤(Vazo 67、デュポン(DuPont)社)を、初めに総混合物の1重量%、反応各時間後に1%ずつ増加させ、5%になるまで加え、反応時間を8時間とし;全反応時間に亘って反応温度を70℃に維持した。粘性の黄色い油が得られた。これに、光開始剤(Ciba社、イルガキュア(Irgacure)819)を、全溶液の2重量%加え、よく混合した。この処方を、その後、編んだポリ(エステル)織布のストリップの各側上に、1平方メートル当たり約5グラムの被覆重量で、塗布し、各層が堆積された後、連続的に、UV硬化を行った。
【0137】
フルオロ−エラストマーのストリップ及びシリコン化合物を、接着性を高めた層で被覆した、編んだポリ(エステル)織布の各側に塗り、その後、190℃、45〜75psiで、約25分間処理して、フルオロエラストマー及びシリコーンゴムを硬化して、これらを織布に結合させた。
【0138】
(実施例27)
N、N−ジアリルヘキサンアミド、ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド、及びフッ素化モノマーである2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミドを用いた、シリコーンゴム及びフルオロエラストマーに対する、ポリ(アラミド)織布の接着性の向上
N、N−ジアリルヘキサンアミド(85.5重量%)、ベンゼン−1、3、5−トリカルボン酸−トリス−N、N−ジアリルアミド(9.5重量%)、2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミド(2重量%)、及び光開始剤イルガキュア127(3重量%、Ciba SC社)の混合物を、m−アラミド布(デュポン(Dupont)社、Nomex)のストリップの各側上に、1平方メートル当たり約10グラムの被覆重量で、塗布した。この被覆物を、各層が堆積された後、連続的に、鉄をドープした水銀バルブを備えた200W/cmのUV源を用いて、硬化した。
【0139】
開始剤、又は他の硬化剤を含む、フルオロ−エラストマーのストリップ及びシリコン化合物を、接着性を高めた織布の各側に塗り、その後、175℃、40トン圧力プレスで、約25分間処理して、フルオロエラストマー及びシリコーンゴムを硬化して、これらを織布に結合させた。
【0140】
【化38】
2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミド
【0141】
2、2、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ペンタデカフルオロ−N、N−ジ(2−プロペン−1−イル)オクタンアミドの合成
パーフルオロオクタノイルクロライド(20.0g)、及びジクロロメタン(1.6g)の混合物を、ジアリルアミン(9.88g、>99%)、及びジクロロメタン(1.72g)の撹拌中の混合物に、1時間に亘って滴下して加え、0℃まで冷却した。反応液を、更に1時間連続撹拌しながら、室温まで温めた。
【0142】
生成物を、水(500mL)で2回洗浄し、その後、減圧下ジクロロメタンを除去して、非常に低い粘度を有する橙黄色の液体が得られた(収率79%)。
図1
図2