(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Rが、メチル、メチレン、フェニル、ベンジル、アニリノ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルデヒド、アルコキシ、ハロ、メルカプト、カルボキシ、アシル、ビニル、アリル、スチリル、エポキシ、イソシアナト、グリシドキシ、またはアクリルオキシである、請求項1に記載の方法。
前記CMOS装置が、フローティングゲートターミナルを有する電荷敏感トランジスタを備え、且つ前記マイクロウェルの底表面が、該フローティングゲートターミナルの上にパッシベーション層を含む、請求項1に記載の方法。
Rが、メチル、メチレン、フェニル、ベンジル、アニリノ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルデヒド、アルコキシ、ハロ、メルカプト、カルボキシ、アシル、ビニル、アリル、スチリル、エポキシ、イソシアナト、グリシドキシ、またはアクリルオキシである、請求項6に記載の化学的検出装置。
CMOS装置の上方にマイクロウェルを形成する工程であって、該マイクロウェルが、底表面及び側壁を含み、且つ該マイクロウェルが、複数の検体が付着している固相支持体を受容するように構成される、工程と;
該マイクロウェルの底表面に選択的に付着させるための第1の化学物質を塗布する工程であって、該第1の化学物質が、ホスフェート、ホスホネート、カテコール、ニトロカテコール、ボロネート、フェニルボロネート、イミダゾール、またはシラノールを含む、工程と;
該マイクロウェルの側壁に選択的に付着させるための第2の化学物質を塗布する工程であって、該第2の化学物質が、該第1の化学物質に対する親和性を欠いており、該CMOS装置が、該マイクロウェルの底表面における電荷を検知するように構成され、該電荷が、該複数の検体との少なくとも1つの化学反応によって生成される1つ以上の副産物に起因し、該1つ以上の副産物が、該第2の化学物質に起因して該マイクロウェルの側壁に対する親和性を欠いており、かつ、該第2の化学物質が、式:R−[(CH2)n]−Si−[X1X2X3](式中、Rは、有機官能基であり、[(CH2)n]は、炭化水素リンカー(n=1〜20)であり、Siは、ケイ素原子であり、[X1X2X3]は、1つ以上の独立した加水分解性基を含む)を有するか、または式:R−[(C2H4O)n]−Si−[XlX2X3](式中、Rは、有機官能基であり、[(C2H4O)n](n=1〜100)は、ポリエーテルリンカーであり、Siは、ケイ素原子であり、[X1X2X3]は、1つ以上の加水分解性基を含む)を有するシランを含む、工程と
を含む、方法。
Rが、メチル、メチレン、フェニル、ベンジル、アニリノ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルデヒド、アルコキシ、ハロ、メルカプト、カルボキシ、アシル、ビニル、アリル、スチリル、エポキシ、イソシアナト、グリシドキシ、またはアクリルオキシである、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、フローセル100の拡大断面図であり、マイクロウェルの開口端部の上方を、試薬流108がマイクロウェルアレイ102の表面を横断しているフローチャンバ106の一部を示す。マイクロウェルアレイ102及びセンサアレイ105は、フローセル100の底壁部又は床部を形成する一体化ユニットを共に形成し得る。1つの実施形態では、基準電極104は、フローチャンバ106と流体連通し得る。マイクロウェル101及びセンサ114を拡大図で示す。マイクロウェル101は、任意の従来の微細加工技術によってバルク材料110に形成され得る。マイクロウェルの容積、形状、アスペクト比(基部の幅対ウェルの深さの比等)、及び他の寸法的特徴は、生じる反応の性質に加えて、試薬、副産物、及び(使用される場合は)使用される標識技術を含む具体的な用途に依存する設計上の選択であってよい。センサ114は、パッシベーション層116によってマイクロウェルの内部から分離されている、センサプレート120を有するフローティングゲート118を備えるchemFETであってよい。センサ114は、主に、センサプレート120の反対側のパッシベーション層116上に存在する電荷124の量に応答し得る(そして、前記量に関連する出力シグナルを生じさせる)。電荷124の変化は、FETのソース121とドレイン122との間の電流に変化をもたらし得、この電流の変化を直接使用して電流に基づく出力シグナルを提供してもよく、更なる回路と共に間接的に用いて電力に基づく出力シグナルを提供してもよい。反応物質、洗浄溶液、及び他の試薬は、主に拡散140によってフローチャンバ106からマイクロウェルに移動し得る。
【0015】
1つの実施形態では、マイクロウェル101で行われる反応は、対象検体の特徴又は特性を同定又は決定するための分析反応であってよい。このような反応は、センサプレート120に隣接する電荷の量に影響を与える副産物を直接又は間接的に生じさせ得る。(間接的な検出は、例えば、対象検体に結合した後にセンサに影響を与える副産物キレート剤もしくは他の結合化合物が用いられる場合、又は結合事象の結果として二次副産物を生じさせ得る酵素等の標識部分を使用する場合等に起こり得る)。このような副産物が少量しか生成されないか、又は急速に崩壊するか、又は他の成分と反応する場合、最終的に生じる出力シグナルを増大させるために、同じ検体の複数のコピーをマイクロウェル101において同時に分析してもよい。1つの実施形態では、検体の複数のコピーは、マイクロウェルに堆積する前又は後に、固相支持体112に付着し得る。固相支持体112は、マイクロ粒子、ナノ粒子、ビーズ、固体、及び、ゲルを含む多孔体等であってよい。核酸検体の場合、複数の連結されているコピーは、固体支持体を必要とすることなく、アンプリコンを生成するためのローリングサークル増幅(RCA)、指数的RCA、及び同様の技術によって作製することができる。
【0016】
1つの実施形態では、ゲノミックDNA断片のシークエンシングの結果として生じる副産物は、ヌクレオチドの組み込みに起因するpHの変化である。1つの実施形態では、これは、7.5〜7.8の適切な作用pHで生じ得る。所与の条件下で組み込まれたヌクレオチド1個当たり、約1個のプロトンが放出される。pHの変化は、ウェルの底部における表面の電荷の変化を測定することにより検出される。ウェルの底部及び側部における表面は、典型的に、金属の酸化物又は窒化物からなる。該表面は、帯電反応を受ける多数の表面基を含んでよい。これら帯電反応は、以下の等式を用いて説明することができる。
【0017】
前記多数の表面基は、上記帯電反応に関連する特徴的な平衡定数と共に、表面に緩衝能を付与する。マイクロウェル等の限られたサンプル容積における表面緩衝能は、生物学的組み込み反応に関連するpHの変化を緩衝する。帯電反応(上記等式(1)及び(2))に起因する表面電荷の変化は、ウェルの底面の下に位置するchemFETにウェルの底部を容量結合することにより検知され得る。しかし、背景技術の章で論じた通り、ウェルの側壁は、chemFETから遠く離れすぎていて、chemFETシグナルには寄与しない。したがって、本発明の実施形態は、ウェルの側壁と底部とを区別するためにコンフォーマルコーティングを用いることにより、側壁の緩衝を減少する。
【0018】
図2B及び2Cは、自然金属の酸化物、窒化物、又は酸窒化物の表面層をコンフォーマルコーティングし、次いで、全ての水平表面を選択的にエッチングすることにより側壁の緩衝の問題を解決する本発明の1つの実施形態を示す。
図2Bは、本発明の1つの実施形態に係る、シランによるマイクロウェルの全ての表面のコンフォーマルコーティングを示す。
図2Bに示す通り、マイクロウェル202は、層204によって(底部及び側壁の両方が)被覆され得る。層204は、例えば、プロトンに対する親和性を欠いている化学物質の層であってよい。コンフォーマルコーティングは、溶液中でプロトンと反応し得る表面基を減少するか又は除去して、前記表面の緩衝能を減少するか又は除去する。例えば、層204をマイクロウェル202の底部から取り除いた場合、側壁上の層204は、マイクロウェルの側壁の緩衝能を減少するか又は除去するのに役立ち得る。
図2Cは、(ウェルの底部、及び、ウェルとウェルとの間の頂縁部を含む)水平表面のみを選択的にエッチングし、自然金属の酸化物、窒化物、又は酸窒化物の表面を復元して、ウェルの底部において選択的にpH検知が生じるようにした結果を示す。水平表面をエッチングするために様々な技術を用いることができる。1つの実施形態では、エッチングは、水平表面の指向性反応性イオンエッチングを用いて行われる(例えば、Boschプロセス)。
【0019】
図3A〜3Cは、コンフォーマルコーティングプロセスに用いることができる様々な種類のシランを示す。
図3Aは、コンフォーマルコーティングプロセスにおいて用いることができるPEG−シランの構造を示す。これは、NANOCS.comから入手可能であり(製品コードPEG6−0 I 02)、PEGの平均分子量は2000である。これは、作用pH付近のpH(例えば、7.5〜7.8のpH範囲)における小さな変化では電荷が変化しない親水性表面を付与し得る。
図3Bは、コンフォーマルコーティング工程において使用することができるN,N,N−トリメチル−3−(トリメトキシシリル)−I−プロパンアミニウムクロリドシランの構造を示す。これは、Sigma Aldrichから入手可能である(製品番号595888)。これは、全ての垂直表面に親水性の正の電荷を付与し得る。表面上の電荷は、作用pH付近のpHにおける小さな変化には応答しない。
図3Cは、コンフォーマルコーティングプロセスにおいて用いることができる両性イオン性種のシランの構造を示す。これは、プロパンスルトン及びAPTMSを用いて一段反応で入手可能である。これは、高度に親水性であるが全体的に中性であるコーティングを側壁に付与し得る。
【0020】
図4A〜4Cは、本教示の実施形態に係るウェル構造の製造の様々な段階の断面図を示す。
図4Aは、マイクロウェルを形成する前の化学的検知装置400の一部の断面図を示す。化学的検知装置400は、金属酸化物層402と、マイクロウェル層404と、CMOS装置層406と、該マイクロウェル層404及び該CMOS装置層406の間の電荷敏感装置408.1及び408.2とを備え得る。金属酸化物層402は、マイクロウェル層404の上に存在し得、そしてまた、マイクロウェル層404は、CMOS装置層406の上に存在し得る。電荷敏感装置408.1及び408.2は、それぞれ、chemFETの頂部となり得る。例えば、電荷敏感装置408.1及び408.2は、chemFETのパッシベーション層(例えば、
図1のパッシベーション層116)であってよく、一方、chemFETのフローティングゲート構造は、該電荷敏感装置408.1及び408.2の下に存在し得る(図示せず)。1つの実施形態では、マイクロウェル層404は、プラスチックの層(例えば、Cytop、TEFLON、Parylene等)であってよい。更に、1つの実施形態では、電荷敏感装置408.1及び408.2は、それぞれ、2層以上の金属酸化物層を含んでよい。例えば、電荷敏感装置408.1及び408.2は、それぞれ、五酸化タンタル(Ta
2O
5)の上層及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)の底層を含んでよい。金属酸化物層402は、1層以上のTa
2O
5、二酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、又はAl
2O
3の層を含んでよい。CMOS装置層は、半導体材料(例えば、Si)の層であってよい。
【0021】
図4Bは、1対のマイクロウェル410を備える化学的検知装置400の断面図を示す。金属酸化物層402及びマイクロウェル層404において、マイクロウェル410をエッチングしてよい。1つの実施形態では、マイクロウェル410をエッチングして、電荷敏感装置408.1及び408.2の頂部を露出させてよい。マイクロウェル410は、例えば、異方性エッチングによってエッチングしてよい。
図4Cは、化学物質が塗布された後の化学的検知装置400の断面図を示す。波線412として示されている塗布された化学物質は、プラスチックの側壁の不活性特性により、マイクロウェルの底部にのみコーティングされ得る。1つの実施形態では、プラスチックの側壁は、不活性特性によりゼロ緩衝を有し得る。1つの実施形態では、化学物質は、ホスフェート、ホスホネート、又はシランであってよい。
【0022】
図5は、本教示の実施形態に係る
図4Cのウェル構造を製造するプロセス500を示す。ブロック502では、プロセス500は、CMOS装置層の上にプラスチック層を形成し得る。
図4Aに示す通り、プラスチック層404は、CMOS装置層406の上に形成され得る。次いで、ブロック504では、プロセス500は、プラスチック層の上に金属酸化物層を形成し得る。例えば、
図4Aでは、金属酸化物層402をプラスチック層404の上に形成し得る。プロセス500は、次いで、ブロック506に進行し得る。ブロック506では、CMOS装置層の上のプラスチック層上にマイクロウェルを形成し得る。
図4Bに関して上記した通り、プラスチック層のエッチングは、異方性プラスチックエッチングにより実施してよい。ブロック508では、化学物質を塗布してよい。化学物質(例えば、波線412)は、例えばプラスチックの側壁の不活性特性により、マイクロウェルの底部にのみ結合し得る。
【0023】
図6A〜6Fは、本教示の別の実施形態に係るウェル構造の製造の様々な段階の断面図を示す。
図6Aは、マイクロウェルを形成する前の化学的検知装置600の一部の断面図を示す。化学的検知装置600は、金属酸化物層602と、マイクロウェル層604と、CMOS装置層606と、該マイクロウェル層604及び該CMOS装置層606の間の電荷敏感装置608.1及び608.2とを備え得る。金属酸化物層602は、マイクロウェル層604の上に存在し得、そしてまた、マイクロウェル層604は、CMOS装置層606の上に存在し得る。電荷敏感装置608.1及び608.2は、それぞれ、chemFETの頂部となり得る。例えば、電荷敏感装置608.1及び608.2は、chemFETのパッシベーション層(例えば、
図1のパッシベーション層116)であってよく、一方、chemFETのフローティングゲート構造は、電荷敏感装置608.1及び608.2の下に存在し得る(図示せず)。1つの実施形態では、マイクロウェル層604は、酸化ケイ素(SiO
2)の層であってよい。更に、1つの実施形態では、電荷敏感装置608.1及び608.2は、それぞれ、2層以上の金属酸化物層を含んでよい。例えば、電荷敏感装置608.1及び608.2は、それぞれ、Ta
2O
5の上層及びAl
2O
3の底層を含んでよい。金属酸化物層602は、1層以上のTa
2O
5、HfO
2、ZrO
2又はAl
2O
3の層を含んでよい。CMOS装置層606は、半導体材料(例えば、Si)の層であってよい。
【0024】
図6Bは、1対のマイクロウェル610が形成された化学的検知装置600の断面図を示す。金属酸化物層602及びマイクロウェル層604の上部において、マイクロウェル610の開口部をエッチングしてよい。
図6Bに示す通り、金属酸化物層602の開口縁部の下に、マイクロウェル層604の上部をエッチングしてアンダーカット部を形成してよい。1つの実施形態では、アンダーカット部は、等方性SiO
2エッチングにより作製してよい。
図6Cは、1対のマイクロウェル610が形成されている化学的検知装置600の断面図を示す。1つの実施形態では、マイクロウェル610をエッチングして、電荷敏感装置608.1及び608.2の頂部を露出させてよい。マイクロウェル610は、異方性SiO
2エッチングにより形成してよい。
図6Dは、化学物質を塗布した後の化学的検知装置600の断面図を示す。波線612として示されている塗布された化学物質でコーティングして、マイクロウェル610の側壁及び底部を被覆してよい。1つの実施形態では、化学物質はシラン基であってよい。
【0025】
図6Eは、1対のマイクロウェル610の底部に塗布された化学物質が取り除かれた化学的検知装置600の断面図を示す。1つの実施形態では、マイクロウェル610をエッチングして、塗布された化学物質を取り除き、電荷敏感装置608.1及び608.2の頂部を露出させてよい。マイクロウェル610の底部は、指向性エッチング、反応性イオンエッチング、犠牲層エッチング、又はこれらエッチング技術の組合せによって洗浄してよい。犠牲層エッチングを用いる場合、化学物質を塗布する前に、電荷敏感装置608.1及び608.2の金属酸化物検知層の上に犠牲層を作製してよい。化学物質が塗布された後、犠牲層をエッチングして、マイクロウェル610の底部における化学物質を剥がし、電荷敏感装置608.1及び608.2の金属酸化物検知層を露出させてよい。別の実施形態では、例えば、被覆したり、化学的に不活性にしたりする等、他の手段によって化学物質を不活性化してよい。
【0026】
図6Fは、別の化学物質を塗布した後の化学的検知装置600の断面図を示す。他の塗布される化学物質(第1の化学物質と呼ぶこともあり、太い波線614で示されている)でコーティングして、マイクロウェル610の底部を被覆してよい。1つの実施形態では、他の化学物質は、ホスフェート、ホスホネート、カテコール、ニトロカテコール、ボロネート、フェニルボロネート、イミダゾール、シラノール又は他のpH検知基を含む群より選択される1つ以上の化学物質であってよい。他の化学物質は、正に帯電して、ビーズローディングを補助したり、化学反応によって引き起こされる電荷の蓄積を補助したりすることができる。
【0027】
1つの実施形態では、他の化学物質が存在しなくてもよい。すなわち、化学的検知装置600は、1群の化学物質でコーティングされたマイクロウェル610の側壁を有してよく、マイクロウェル610の底部は、露出させたままであってよい。1群の化学物質で側壁のみをコーティングすることにより、側壁による電荷の緩衝を減少するか又は除去することができ、また、SNRを改善することができる。
【0028】
図7は、本教示の実施形態に係る
図6Fのウェル構造を製造するプロセスを示す。ブロック702では、二酸化ケイ素(SiO
2)層の上の金属酸化物層上にマイクロウェルの開口部を形成してよく、SiO
2層は、CMOS装置層の上に存在してよい。次いで、ブロック704では、マイクロウェルの開口部の縁部の下のSiO
2層上に円形のアンダーカット部を形成してよい。
図6Bに示す通り、マイクロウェル610の開口部及び開口部の周囲のアンダーカット部は、金属酸化物層602及びマイクロウェル層606に形成してよい。
図6Bに関連して上記した通り、アンダーカット部は、等方性SiO
2エッチングにより作製してよい。ブロック706では、CMOS装置層の上のSiO
2層上にマイクロウェルを形成してよい。例えば、異方性SiO
2エッチングを用いて、マイクロウェルをエッチングしてよい。ブロック708では、マイクロウェルに化学物質を塗布してよい。化学物質は、マイクロウェルの側壁及び底部に結合し得、また、マイクロウェルの側壁及び底部を被覆し得る。ブロック710では、マイクロウェルの底部の化学物質を不活性化してよい。例えば、(例えば、指向性エッチング、反応性イオンエッチング、犠牲層エッチング、又はこれらの組合せによって)化学物質を取り除いてもよく、化学物質によって不活性化してもよく、被覆してもよい。ブロック712では、マイクロウェルに別の化学物質を塗布してよい。他の化学物質は、マイクロウェルの底部に結合し、イオンの結合を促進することができる。
【0029】
図8は、本教示の別の実施形態に係るウェル構造を示す。
図8のウェル構造は、金属酸化物層802、マイクロウェル層804、CMOS装置層806、化学的検知装置808.1又は808.2を含んでよい。金属酸化物層802は、マイクロウェル層804の上に存在してよく、そしてまた、マイクロウェル層804は、CMOS装置層806の上に存在してよい。電荷敏感装置808.1及び808.2は、マイクロウェル810において露出していてよい。マイクロウェル810の側壁及び底部の周縁部816は、第2の化学物質812(細い波線)によって被覆されてよい。周縁部816は、電荷敏感装置818.1及び808.2の周囲のマイクロウェル810の底部の一部であってよい。化学的検知装置808.1及び808.2の頂面は、第1の化学物質814(太い波線)によって被覆されてよい。1つの実施形態では、
図8に示す通り、マイクロウェル810は、それぞれ、逆先細り形状を有してよい。すなわち、マイクロウェル810の底部は、マイクロウェル810の頂部よりも大きな直径を有してよく、したがって、側壁は、逆に傾斜していてよい。1つの実施形態では、金属酸化物層802は、1層以上のTa
2O
5、HfO
2、ZrO
2、又はAl
2O
3の層を含んでよく;マイクロウェル層806は、SiO
2の層であってよく;CMOS装置層806は、半導体材料(例えば、Si)の層であってよい。マイクロウェル810は、指向性エッチング、反応性イオンエッチング、犠牲層エッチング又はこれらの組合せを使用してエッチングしてよい。
【0030】
図9A〜9Eは、本教示の別の実施形態に係るウェル構造の製造の様々な段階の断面図を示す。
図9Aは、任意のマイクロウェルを形成する前の化学的検知装置900の一部の断面図を示す。化学的検知装置900は、CMOS装置層904の上のマイクロウェル層902と、マイクロウェル層902及びCMOS装置層904の間に埋め込まれている電荷敏感装置906とを備えてもよい。埋め込み装置906は、chemFETの頂部となり得る。例えば、埋め込み装置906は、chemFETのパッシベーション層(例えば、
図1のパッシベーション層116)であってよく、chemFETのフローティングゲート構造が装置906の下に存在してよい(図示せず)。1つの実施形態では、マイクロウェル層902は、SiO
2の層であってよい。更に、1つの実施形態では、装置906は、2層以上の金属酸化物の層を含んでよい。例えば、装置906は、Ta
2O
5の上層及びAl
2O
3の底層を含んでよい。CMOS装置層は、半導体材料(例えば、Si)の層であってよい。
【0031】
図9Bは、マイクロウェル908を備えた化学的検知装置900の断面図を示す。マイクロウェル層902においてマイクロウェル908をエッチングしてよい。1つの実施形態では、マイクロウェル908をエッチングして、装置906の頂部を露出させてよい。マイクロウェル908は、異方性SiO
2エッチングによりエッチングされてよい。
図9Cは、化学物質を塗布した後の化学的検知装置900の断面図を示す。太い波線910によって示されている塗布された化学物質は、電荷敏感装置906の表面の化学的特性により、マイクロウェル908の底部のみをコーティングし得る。例えば、電荷敏感装置906の表面は、ホスフェート、又はホスホネート、又はシラン基の選択的親和性を有する。1つの実施形態では、化学物質は、ホスフェート、ホスホネート、カテコール、ニトロカテコール、ボロネート、フェニルボロネート、イミダゾール、シラノール、又は他のpH検知基であってよい。
【0032】
図9Dは、マイクロウェル908の側壁及び水平頂部916(本明細書では「頂縁部」又は「側壁の頂縁部に隣接する水平表面」とも呼ばれる)を金属酸化物層912で被覆した後の化学的検知装置900の断面図を示す。1つの実施形態では、金属酸化物層912は、単分子層であってよい。例えば、単分子層は、ウェルの壁の酸化物(二酸化ケイ素等)とジルコニウムアルコキシドとを化学選択的に反応させ、次いで、反応後に加水分解することによって形成される金属酸化物であってよい。すなわち、金属酸化物層912は、ZrO
2の溶剤ベースの堆積物の層であってよい。金属酸化物層912は、本教示の実施形態に従って、金属酸化物層912と化学物質910との間の親和性を欠いているため、
図9Dに示す通り、ウェルの底部に沿って堆積する。実際、化学物質910は、金属酸化物層912がマイクロウェルの底部に沿って堆積するのを防ぐ「マスク」又は保護/バリア層として機能し得る。
図9Eは、別の化学物質を塗布した後の化学的検知装置900の断面図を示す。細い波線914で示される他の化学物質は、金属酸化物層912の表面の化学的特性により、マイクロウェル908の側壁及び水平頂部をコーティングし得る。1つの実施形態では、他の化学物質は、PEGのホスフェート又はホスホネートであってよい。上述の実施形態との整合性をとるために、マイクロウェル908の底部にコーティングされた化学物質を第1の化学物質と呼ぶ場合があり、側壁にコーティングされた化学物質を、第2の化学物質と呼ぶ場合がある。
【0033】
マイクロウェル908の側壁における中性PEG表面は、側壁におけるプロトン緩衝を減少するか又は除去することができる。更に、マイクロウェルの底部にコーティングされたホスフェート又はホスホネートは、正電荷を付与して、ビーズローディング又はDNAプライマーを改善し、シークエンシングのシグナル対ノイズ比(SNR)を更に上げることができる。
【0034】
図10は、本教示の実施形態に係る
図9Eのウェル構造を製造するプロセス1000を示す。ブロック1002では、マイクロウェルは、CMOS装置の上の二酸化ケイ素(SiO
2)層に形成してよい。
図9Bに示す通り、マイクロウェル908は、SiO
2層902に形成してよい。次いで、ブロック1004では、化学物質を塗布して、マイクロウェルの底部に選択的に付着させてよい。例えば、第1の化学物質を塗布し、マイクロウェル908における電荷敏感装置906の頂面に選択的に付着させてよい。ブロック1006では、マイクロウェルの側壁及び水平頂部上に金属酸化物層を形成してよい。
図9Dに関して上記した通り、ZrO
2単分子層の溶剤ベースの堆積物を、マイクロウェル908の側壁及び水平頂部に作製してよい。ブロック1008では、マイクロウェルの側壁及び水平頂部に選択的に付着する第2の化学物質を塗布してよい。第2の化学物質(例えば、
図9Eの細い波線914)は、例えば、他の化学物質及び金属酸化物層912の化学的特性により、側壁及び水平頂部においてマイクロウェルの金属酸化物層912にのみ結合し得る。
【0035】
1つの実施形態では、マイクロウェルは、CMOS装置層の上に配置された金属の層上に作製されてよい。すなわち、例えば、マイクロウェル層902は、Al、Cu、又はTi等の金属の層であってよい。この実施形態では、マイクロウェルの底部は、第1の化学物質によってコーティングされてよいか、又はマイクロウェルの側壁は、第2の化学物質によってコーティングされてよいか、又はこれら両方であってもよい。更に、この実施形態では、マイクロウェルの頂縁部を、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ハフニウム(HfO
2)、又は酸化ジルコニウム(ZrO
2)の1層以上の層等の金属酸化物層によって被覆されてよい。金属マイクロウェルの製造には、ダマシンプロセス又はデュアルダマシンプロセスを使用してよい。例えば、フォトリソグラフィーを使用してネガ型ピラーパターンを作製し、シード層を堆積させ、金属電気メッキを実施し、金属を研磨し、次いで、前記ネガ型ピラーパターンをエッチングして、金属マイクロウェルを形成する。例えば、参照することによりその内容が本明細書に組み込まれるOhmoriら,Japanese Journal of Applied Physics 49 05FD01:1−4(2010年)を参照されたい。
【0036】
1つの実施形態では、第2の化学物質のためのシラン基は、R−[(CH2)n]−Si−[X1X2X3](式中、Rは、有機官能基であり、[(CH2)n]は、炭化水素リンカー(n=1〜20)であり、Siは、ケイ素原子であり、[X1X2X3]は、アルコキシ又はハロゲン基を含む1つ以上の独立した加水分解性基を含む)であってよい。別の実施形態では、第2の化学物質のためのシラン基は、R−[(C2H4O)n]−Si−[XlX2X3](式中、Rは、有機官能基であり、[(C2H4O)n](n=1〜100)は、ポリエーテルリンカーであり、Siは、ケイ素原子であり、[X1X2X3]は、アルコキシ又はハロゲン基を含む1つ以上の加水分解性基を含む)であってよい。いずれの実施形態でも、有機官能基Rは、メチル、メチレン、フェニル、ベンジル、アニリノ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルデヒド、アルコキシ、ハロ、メルカプト、カルボキシ、アシル、ビニル、アリル、スチリル、エポキシ、イソシアナト、グリシドキシ及びアクリルオキシを含むが、これらに限定されない。
【0037】
第2の化学物質のためのシラン基の例は、以下を含んでよい。
・N−(6−アミノヘキシル)アミノメトルトリエトキシシラン
・(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン
・クロロメチルトリエトキシシラン
・(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン
・N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン
・トリエトキシシリルウンデカナル
・11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン
・10−ウンデセニルトリメトキシシラン
・N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン
・11−ブロモウンデシルトリメトキシシラン
・n−オクチルトリエトキシシラン
・2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン
・3−メトキシプロピルトリメトキシシラン
・メトキシトリエチレンオキシプロピルトリシラン
・メトキシシラン
・メトキシエトキシウンデシルトリクロロシラン
・2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]−トリクロロシラン
【0038】
図11は、本教示の実施形態に係る化学的検知プロセス1100を示す。ブロック1102では、複数の検体が付着している固相支持体をマイクロウェルに堆積させてよい。例えば、複数の検体を固相支持体112に付着させてよく、固相支持体112をマイクロウェル101に堆積させてよい。マイクロウェルは、底表面及び側壁を有してよい。1つの実施形態では、底表面は、pH検知を促進する第1の化学物質で被覆されてよく、側壁は、溶液中のプロトンの緩衝を減少する第2の化学物質で被覆されてよい。ブロック1104では、マイクロウェルの底表面における電荷を検知してよい。等式(1)及び(2)に関して記載した通り、電荷は、複数の検体との少なくとも1つの化学反応によって生成する1つ以上の副産物に起因するものであってよい。1つの実施形態では、化学的検知プロセス1100は、DNA配列検知プロセスであってよい。すなわち、複数の検体はそれぞれ、サンプルDNA断片であってよい。次いで、マイクロウェル101に様々な試薬を供給し、化学反応の副産物を検出することによってDNA配列を決定することができる。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態を、本明細書に具体的に例証し、説明する。しかし、本発明の変更及び変形も上記教示によって網羅されていることが理解されるであろう。他の例では、周知の操作、コンポーネント、及び回路は、実施形態を不明瞭にしないように詳細に記載されてはいない。本明細書に開示される具体的な構造及び機能に関する詳細は、例示的なものであり、実施形態の範囲を必ずしも限定するものではないことが理解され得る。例えば、幾つかの実施形態は、CMOS技術を用いて説明される。当業者であれば、CMOS装置を用いて純粋なPMOS装置もしくは純粋なNMOS装置、又はPMOS装置とNMOS装置との組合せに言及することができると理解するであろう。
【0040】
当業者は、前述の記載から、本発明が、様々な形態で実施され得、様々な実施形態が単独で又は組合せて実施され得ることを理解することができる。したがって、本発明の実施形態は、その具体的な実施例に関連して記載されるが、本発明の実施形態及び/又は方法の真の範囲は、それに限定されるべきではない。なぜならば、図面、明細書、及び特許請求の範囲を検討すれば、他の変形例が当業者に明らかになるためである。
【0041】
様々な実施形態は、ハードウェアエレメント、ソフトウェアエレメント、又は両方の組合せを用いて実施され得る。ハードウェアエレメントの例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子(例えばトランジスタ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ等)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理回路(PLD)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ロジックゲート、レジスタ、半導体装置、チップ、マイクロチップ、チップセット等を含んでよい。ソフトウェアの例は、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、メソッド、手順、ソフトウェアインタフェース、アプリケーションプログラムインターフェイス(API)、指示セット、コンピューティングコード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、言葉、値、記号又はこれらの任意の組合せを含んでよい。実施形態がハードウェアエレメント及び/又はソフトウェアエレメントを用いて実行されるかどうかの判定は、所望の計算速度、電力レベル、耐熱性、加工サイクル予算、入力データ速度、出力データ速度、メモリ資源、データバス速度及び他の設計又は性能上の制約等の任意の数の要因に従って変動し得る。
【0042】
例えば、幾つかの実施形態は、マシンによって実行する場合、実施形態に係る方法及び/又は操作をマシンに実施させ得る指示又は指示のセットを格納し得るコンピュータ可読媒体又はアーティクルを使用して実行することができる。このようなマシンは、例えば、任意の適切な処理プラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、処理装置、コンピューティングシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ等を含んでもよく、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の適切な組合せを使用して実行し得る。コンピュータ可読媒体又はアーティクルは、例えば、任意の適切なタイプのメモリユニット、メモリデバイス、メモリアーティクル、メモリ媒体、ストレージデバイス、ストレージアーティクル、ストレージ媒体、及び/又はストレージユニット、例えばメモリ、取外し可能な媒体又は取り外し不可能な媒体、消去可能な媒体又は消去不可能な媒体、書き込み可能な媒体又は再書き込み可能な媒体、デジタル媒体又はアナログ媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、書き込み可能なコンパクトディスク(CD−R)、再書き込み可能なコンパクトディスク(CD−RW)、光ディスク、磁気媒体、磁気発電気光学媒体、取外し可能なメモリカード又はディスク、様々な型のデジタル多用途ディスク(DVD)、テープ、カセット等を含んでよい。命令は、任意の適切な高水準、低水準、オブジェクト指向型、ビジュアル型、コンパイラ型及び/又はインタープリタ型のプログラミング言語を用いて実行されるソースコード、コンパイル済コード、解釈されたコード、実行可能なコード、静的コード、動的コード、暗号化されたコード等任意の適切な種類のコードを含んでよい。
【0043】
「アンプリコン」は、ポリヌクレオチド増幅反応産物を意味する。すなわち、一本鎖であっても二本鎖であってもよい、1つ以上の出発配列から複製されるポリヌクレオチドのクローン集団である。1つ以上の出発配列は、同じ配列の1つ以上のコピーであっても、又は、増幅される共通領域、例えば、サンプルから抽出されたDNA断片の混合物中に存在する特定のエキソン配列を含む様々な配列の混合物であってよい。アンプリコンは、単一の出発配列の増幅により形成される。アンプリコンは、1つ以上の出発核酸又は標的核酸の複製物を生成する様々な増幅反応によって生成され得る。1つの態様では、アンプリコンを生成する増幅反応は、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドである反応物質の塩基対合が、反応産物の作製に必要なテンプレートポリヌクレオチドの相補体を有する「テンプレート駆動型」である。1つの態様では、テンプレート駆動型反応は、核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長、又は核酸リガーゼによるオリゴヌクレオチドのライゲーションである。このような反応は、参照することにより本明細書に組み込まれる以下の参照文献に開示されている、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、線状ポリメラーゼ反応、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅等を含むが、これらに限定されない:Mullisら,米国特許第4,683,195号、同第4.965,188号、同第4,683,202号、及び同第4,800,159号(PCR);Gelfandら,米国特許第5,210,015号(「taqman」プローブを用いるリアルタイムPCR);Wittwerら,米国特許第6,174,670号;Kacianら,米国特許第5,399,491号(「NASBA」);Lizardi,米国特許第5,854,033号;Aonoら,日本国特許公報JP4−262799(ローリングサークル増幅)等。1つの態様では、アンプリコンは、PCRによって生成される。本発明で使用する用語「増幅する」は、増幅反応を実施することを意味する。「反応混合物」は、反応を実施するために必要な反応物質を全て含有する溶液を意味し、反応中に選択されたレベルでpHを維持するための緩衝剤、塩、補因子、スカベンジャー等を含んでよいが、これらに限定されない。「固相アンプリコン」は、核酸配列のクローン集団が付着している粒子又はビーズ等の固相支持体を意味し、これは、エマルションPCR又は同様の技術等のプロセスによって作製することができる。
【0044】
「検体」は、マイクロウェル等のサンプル保持領域における電子センサに直接影響を与えるか、又はマイクロウェル等のサンプル保持領域又は反応閉じ込め領域内に位置する分子又は生物学的細胞を含む反応から生じる副産物によって電子センサ等に間接的に影響を与える対象分子又は生物学的細胞を意味する。1つの態様では、検体は、電子センサに影響を与える水素イオン等の反応副産物を生じさせるシークエンシング反応に供される核酸テンプレートである。また、用語「検体」は、ビーズ又は粒子等の固体支持体に付着しているタンパク質、ペプチド、核酸等の検体の複数のコピーを含む。1つの実施形態では、用語「検体」は、核酸アンプリコン又は固相アンプリコンを意味する。
【0045】
「マイクロ流体装置」は、相互に連結され且つ流体連通している1つ以上のチャンバ、ポート、及びチャネルの一体化システムであり、単独で、あるいはサンプル導入、流体及び/又は試薬の駆動手段、温度制御、検出システム、データ収集、及び/又は積分システム等の支援機能を提供する器具又は機器と連携して分析反応又はプロセスを実行するために設計されているものを意味する。マイクロ流体装置は、例えば、サンプルの成分又は反応物質の吸収を防いだり、電気浸透による試薬の移動を促進したりするために、バルブ、ポンプ、及び内壁上の特殊な機能のコーティングを更に含んでもよい。このような装置は、通常、固体基材において又は固体基材として製造され、該固体基材は、ガラス、プラスチック、又は他の固体高分子材料であってよく、特に光学的又は電気化学的な方法を介してサンプル及び試薬の移動を検出及びモニタリングする場合のために典型的に平面形状を有する。マイクロ流体装置の特徴としては、通常、数百平方マイクロメートル未満の断面寸法を有し、通路は、典型的に、例えば、約0.1μm〜約500μmの最大断面寸法を有するキャピラリー寸法を有する。マイクロ流体装置は、典型的に、数nL、例えば、10〜100nLから1μLの範囲の容積容量を有する。マイクロ流体装置の製造及び操作は、参照することにより本明細書に組み込まれる以下の参照文献によって例証される通り、当技術分野において周知である:Ramsey,米国特許第6,001,229号、同第5,858,195号、同第6,010,607号、及び同第6,033,546号;Soaneら,,米国特許第5,126,022号、及び同第6,054,034号;Nelsonら,米国特許第6,613,525号;Maherら,米国特許第6,399,952号;Riccoら,国際特許公報国際公開公報第02/24322号;Bjornsonら,国際特許公報国際公開公報第99/19717号;Wildingら,米国特許第5,587,128号;同第5,498,392号;Siaら,Electrophoresis,24:3563−3576(2003年);Ungerら,Science,288:113−116(2000年);Enzelbergerら,米国特許第6,960,437号。
【0046】
「マイクロウェル」は、「反応チャンバ」と互換的に使用され、「反応閉じ込め領域」の特殊な例を意味する、すなわち、対象反応を局所化させる固体基材の物理的又は化学的属性である。反応閉じ込め領域は、基材の表面に共有結合しているオリゴヌクレオチド又は抗体を含む別個の領域等の、対象検体と特異的に結合する基材の表面の別個の領域であってよい。通常、反応閉じ込め領域は、基材に製造される明確に画定された形状及び容積を有する窪み又はウェルである。これら後者の種類の反応閉じ込め領域を、本明細書ではマイクロウェル又は反応チャンバと呼び、例えば、以下の参照文献に開示されている通り、従来の微細加工技術を用いて製造することができる。Doering及びNishi編,Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology,第2版(CRC Press,2007年);Saliterman,Fundamentals of BioMEMS and Medical Microdevices(SPIE Publications,2006年);Elwenspoekら,Silicon Micromachining(Cambridge University Press,2004年)等。マイクロウェル又は反応チャンバの構成(例えば、間隔、形状、及び容積)は、参照することにより組み込まれるRothbergら,米国特許出願公開第2009/0127589号;Rothbergら,英国特許出願GB24611127に開示されている。マイクロウェルは、正方形、矩形、又は八角形の断面を有してよく、表面上に直線アレイとして配置されてよい。また、マイクロウェルは、六角形の断面を有してよく、六角形のアレイとして配置されてよい。これによって、直線アレイに比べて単位面積当たりのマイクロウェルの密度をより高くすることができる。マイクロウェルの例示的な構成は、10
2、10
3、10
4、10
5、10
6、又は10
7個の反応チャンバを有する。
【0047】
本発明で使用する「アレイ」は、センサ又はウェル等の構成要素の平面配置である。アレイは、一方向であっても二方向であってもよい。一方向アレイは、第1の方向に1つの段(又は列)の構成要素を有し、第2の方向に複数の段(又は列)を有するアレイである。第1及び第2の方向の段(又は列)の数は、同じであっても異なっていてもよい。アレイは、例えば、少なくとも100,000個のチャンバを含んでよい。更に、各反応チャンバは、例えば、約1:1以下のアスペクト比の水平方向幅及び垂直方向深さを有する。反応チャンバ間のピッチは、例えば、約10マイクロメートル以下である。簡潔に述べると、1つの実施形態では、マイクロウェルアレイは、センサアレイの半導体構造が形成された後に製造することができ、この場合、半導体ダイ上のこのような構造にマイクロウェル構造が適用される。すなわち、マイクロウェル構造は、ダイ上に形成されてもよいか、又は別々に形成して、次いで、ダイに実装してもよい。
【0048】
ダイ上にマイクロウェル構造を形成するために、様々な製造プロセスを用いてよい。例えば、MicrochemのSU−8 2015等のネガ型フォトレジスト、又はHD Microsystems HD8820等のポジ型レジスト/ポリイミドで、ダイ全体をマイクロウェルの所望の高さまでスピンコーティングしてよい。フォトレジスト層における所望のウェルの高さ(例えば、1ウェル当たり1ピクセルの場合約3〜12μmであるが、一般的な事項としてこれに限定されるものではない)は、1つ以上の層において、所定の速度(文献及び製造業者の説明書を参照することにより、又は経験的に見出すことができる)で適切なレジストをスピニングすることにより得ることができる。(ウェルの高さは、典型的に、公称1:1〜1.5:1のアスペクト比、高さ:幅、又は直径について、センサピクセルの横方向寸法に一致するように選択してよい)。あるいは、異なるフォトレジストの複数の層を塗布しても、又は別の形態の絶縁性材料を堆積させてもよい。また、様々な種類の化学蒸着を用いて、マイクロウェルを形成するのに適した材料の層を構築することができる。1つの実施形態では、マイクロウェルは、テトラ−メチル−オルト−シリケート(TEOS)の層に形成される。本発明は、反応チャンバの少なくとも1つの二方向アレイを含む装置を包含し、各反応チャンバが化学的感応型電界効果トランジスタ(「chemFET」)に結合され、且つ各反応チャンバの容積が10
3μm
3(すなわち、1pL)以下である。各反応チャンバの容積は、0.34pL以下、及び0.096pL以下、又は更には0.012pLである。反応チャンバは、場合により、頂部の断面積が0.5
2、1、2
2、3
2、4
2、5
2、6
2、7
2、8
2、9
2、又は10
2平方マイクロメートルであってよい。アレイは、少なくとも10
2、10
3、10
4、10
5、10
6、10
7、10
8、10
9個、又はそれ以上の反応チャンバを有してよい。反応チャンバは、chemFETに容量的に結合され得る。
【0049】
「プライマー」は、ポリヌクレオチドテンプレートと二本鎖を形成するとき、核酸合成の開始点として作用することができ、且つ伸長二本鎖が形成されるようにテンプレートに沿って3'末端から伸長することができる天然又は合成のオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの伸長は、通常、DNA又はRNAのポリメラーゼ等の核酸ポリメラーゼを用いて実施される。伸長プロセスにおいて付加されるヌクレオチドの配列は、テンプレートポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーは、DNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは、通常、14〜40ヌクレオチドの範囲、又は18〜36ヌクレオチドの範囲の長さを有する。プライマーは、例えば、単一プライマーを用いる線状増幅反応、又は2つ以上のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応等の様々な核酸増幅反応において使用される。特定の用途のためのプライマーの長さ及び配列を選択するための指針は、参照することにより組み込まれる以下の参照文献によって証明されている通り、当業者に周知である。Dieffenbach編,PCR Primer:A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Press,New York,2003年)。