【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するため、冒頭に挙げた種類のサーバから出発して、次のことを提案する。すなわち、まずサーバを、通信ネットワークを介して直接に、またはネットワークのそのほかのサーバを介して間接的に、複数のさまざまな企業(Unternehmen)に属する企業内部の(unternehmensinternen)工作機械および/またはそのほかの機器に接続させる。ここにいうそのほかの機器とは、ツールおよび/またはワークピースを再研磨、再コーティング、検査、測定、または評価するためのものである。次に、サーバに、工作機械のツールまたはツールホルダの識別データを、そして/または工作機械の識別データおよび/または運転パラメータを、そして/またはツールに関する動的情報を、受信する手段を持たせる。次に、データベースアプリケーションに、ツールに関する静的情報であって上記識別データに割り当てられたものをファイルする。次に、サーバに、受信された動的情報、データベースから得た静的情報および/または工作機械の操作パラメータを処理する手段を持たせて、ツールに関するアップデートされた情報を生成する。この場合、アップデートされた情報の情報量は、受信された動的情報、データベースから得た静的情報および工作機械の操作パラメータの情報量の合計を超えるものである。
【0011】
さまざまな企業に属するそのほかの企業内部の機器、すなわちツールの再研磨、再コーティング、検査、測定、または評価のためのこれらの機器、かつネットワークのサーバが好ましくはそのほかのサーバを介して接続されているこれらの機器は、たとえば次のものの再生のための任意のマシンツールとする。すなわち、ツール、事前設定システム、測定機器、コーティング設備、コーティング機器、ツールの保管場所(たとえば取り出しを記帳している(mit buchener Entnahme)委託倉庫またはツールチェスト)、またはそのほかの検出装置と通信装置、たとえばMES/BDE(運転データ収集)端末、移動電話、およびサーバから物的データまたは切削データなどを呼び出すためのPCに類した機器、すなわち任意のそのほかのデータ受信器、データ伝送回路、および/またはデータユーザを再生するための任意のマシンツールである。
【0012】
したがって本発明が提案するのは、一つの企業または企業立地点内部の個別または複数の工作機械だけでなく、さまざまに異なる、空間的に分散された企業または企業立地点を超えて配分された複数の工作機械および/またはデータ受信器、データ伝送回路、および/またはデータユーザをも、相互にネットワーク化することである。工作機械および/またはそのほかのデータ受信器、データ伝送回路、および/またはデータユーザを相互にネットワーク化するには、通信ネットワークが使用される。この通信ネットワークは、任意の通信ネットワーク、とくにインターネットであってよい。この通信ネットワークを介して、工作機械および/またはそのほかのデータ受信器、データ伝送回路、および/またはデータユーザは、任意の情報を伝送でき、これらの情報は本発明によるサーバに合流する。伝送された情報は、詳細には、識別データであって、この識別データは、工作機械および/またはそのほかのデータ受信器、データ伝送回路、および/またはデータユーザで用いられる、またはそこに存在するツールまたはそのツールホルダの識別データであり、工作機械の識別データ、および/または工作機械の運転パラメータである。運転パラメータとはたとえば、ある特定のツールに対する工作機械の回転数、送り、および/または使用時間である。伝送された情報は、タイポロジックな機械情報、すなわち製造システムに関するタイポロジックな情報であり得る。それはたとえば、工作機械の構造(たとえばガントリ、ポータル、コンソール、トランスファライン、ロータリテーブルマシンなど)、スピンドルとツールとの間の相対的自由度の数(NC軸の数)、剛性マトリックス(たとえば、相対的、絶対的、静的、動的剛性マトリックス)、または検出されたツールと実際に結び付けられる安定性ダイアグラムである。
【0013】
本発明によって得られた付加価値情報は、使用条件の適合または最適化のため、そしてツールの安全性改善のために用いることができる。こうして、たとえばツール使用中に機械に集められる情報、とくに使用パラメータを、使用条件の適合のために、たとえば送り速度、切削速度、残り寿命などを上げたり、下げたりするために援用できる。
【0014】
タイポロジックな機械情報を用いて、サーバでは機械分類を行うことができ、次にこの機械分類を、個別のツール、ツールタイプ、材料に割り当てることができる。この区分は、たとえば入力量ベクトルとして、1つのニューラルネットワークに供給することができ、このニューラルネットワークは、使用されたツール、ツールホルダ、および/または工作機械に関する予想を行うことができる。ニューラルネットワークは自己学習型に形成することができるので、検出された事例の増加と、評価基準の適合とを介して、さらに精細に予想を行うことができる。より多くの工作機械についてより多くのタイポロジックな情報が得られて、評価できれば、ツール、ツールホルダ、および/または工作機械に関する予想が、それだけ多くの信頼性を持つようになる。当然のことであるが、タイポロジックな情報に基づいて、ニューラルネットワークを用いるのとは別な方法で、たとえばグループ分けおよび/または統計的評価を用いて、予想を行うこともできる。
【0015】
行われる予想は、たとえば次のことに関する。すなわち、ツールまたは工作機械の予想される残り寿命(Standzeit)、あたえられた使用条件下におけるツールの将来の摩耗、そのときどきの使用ケースに対する工作機械の最適な運転パラメータ、詳細には、ツールの推測される将来の摩耗を考慮した上での運転パラメータ、バイト(Schneidplatte)またはツール全体の交換が生じると予想される時点、およびそのほか任意の将来に向けてのツールおよび/または工作機械関連のステートメント(Aussagen)に関する。
【0016】
加工作業それぞれ、ツールそれぞれ、とくに材料それぞれの情報を用いて、サーバではワークピース分類/材料分類を行うことができる。この場合、またもやさまざまに異なる分類を、ツールとツールタイプに割り当てることができる。これによって、ツールまたは工作機械の加工能力、予想される寿命(残り寿命)について、非常に正確で信頼性ある評価が可能となる。
【0017】
ツールまたはツールホルダに割り当てられた識別データは、それ自体従来の技術から公知の方法で、それに適した記憶手段に記憶されている。この記憶手段は、ツールまたはツールホルダの上または中に配置されていて、それに適した読み取り手段、たとえば工作機械の倉庫・在庫管理部門のロジスティックス読み取り機器によって(たとえば棚卸などのため)、無接触で読み出すことができる。当然のこととして、別個の読み取り手段を設けて、この読み取り手段が、読み込まれた情報を伝送する目的で、工作機械に接続されることも考えられる。同様にして、工作機械が識別データを、接触型の方法、たとえばスキャニングパターンを用いて読み込むことも考えられる。したがって、いずれの工作機械もいかなる時も、どのツールが工作機械に取り付けられているかについて、工作機械におけるツールのポジションについて、とくに、どのツールが使用中であるか、または使用中であったかについて、展望を持たなければならない。これらの情報やこのほかの情報は、工作機械から、通信ネットワークを介してサーバに伝送される。
【0018】
さらには、ツールまたはツールホルダに割り当てられた識別データを、事前設定機器またはツール管理プログラムによって読み込むことが考えられる。事前設定機器によって、たとえばツールの切削位置を考慮して、ツールを使用する前に工作機械中で測定できる。そのためにこの事前設定機器には、ワークピースの代わりに測定機器が設けられている。事前設定機器は、工作機械でツールを使用するときに考慮される補正値を求める。このためには、1つの方法として、工作機械の中で、補正値に相当する補正を手動で行うことができる。代替的に、この補正値を工作機械に伝送し、そこでツール使用時に自動的に考慮することができる。補正値の伝送は、手動で、または事前設定機器と工作機械との間のデータ通信回路を介して行うことができる。
【0019】
サーバのデータベースアプリケーションにおいては、ツールに関して識別データに割り当てられた静的情報がファイルされている。この静的情報は、たとえば、ツールの種類、製造者、製造日付、ツールの寸法、バイトの個数、材料などである。ツールとしてはとくに、ワークピースの切削加工のためのツールが用いられる。ツールの種類は、たとえば、ドリル、旋削工具、フライス、精密旋盤、リーマ、ホーン、砥石または砥石車、ワークピースの仕上げ研磨のための摩擦片、仕上げベルトまたは仕上げ砥石、または金属その他の材料からなるワークピースを切削加工するそのほか任意のツールである。当然のことであるが、本発明は、そのほかのツールにも用いることができる。たとえば、成形ツール(Umformwerkzeuge)、とくにパンチングツール/スタンピングツール、そしてまた、深絞りポンチ、ダイおよびポンチなどである。基本的に本発明は、あらゆる種類の機械ツールのために使用でき、この機械ツールは、摩耗から生じる摩損と、それにより知られる最終的寿命の下にある。ある特定のツールに対してデータベースアプリケーションに記憶されている静的情報の種類と範囲は、ツールの種類に、そしてデータベースアプリケーションに基づくデータベースまたは記憶媒体の容量に、そしてアップデートされた情報の計算に望まれる正確さと信頼性に、強く依存する。
【0020】
サーバにおけるツールまたはツールホルダの一意的識別を可能とする識別データのほかに、工作機械は、そのほかの情報、たとえばツールに関する動的情報をもサーバに伝送する。伝送される動的情報は、たとえば、ツールの有効寿命と仕様形態、ツールの摩耗、バイトの起こりうる交換に関する情報、加工されるワークピースの材料と寸法などである。個々のツールおよび/または割り当てられたツールホルダを、追加的センサを持つものとして形成することが考えられる。この場合、センサ信号は、やはり動的情報としてサーバに伝送することができる。こうしてたとえば、ツールホルダに力センサ、振動センサ、またはトルクセンサを組み込み、このセンサは、ツールが使用されている間、ツールに作用する力またはトルクの大きさを検出して、それに適した送信手段により、好ましくは無接触で工作機械の対応する読み取り手段に伝送することが考えられる。次にこの読み取り手段から、これらのデータは、本発明によるサーバに伝送される。動的情報は、ツールの使用場所での環境条件に関する情報でもあり得る。したがってたとえば、工作機械の環境においてまたは工作機械自体において、それに適したセンサ、たとえば温度を検出する、そして/または精密加工のときは湿度そのほかの値を検出するセンサを設けることが考えられる。さらには、一般的プロセス監視のためのセンサを、ツールが使用されている間、動的プロセスパラメータの検出に用いることができる。このプロセスパラメータもまた、サーバに伝送できる。さらには、ある特定のツールとともに用いられた冷媒、研磨剤、またはラップ材の量もまた、動的な情報であってよく、工作機械から中央のサーバに伝送される。
【0021】
さまざまなツールに関して受信された識別データを用い、サーバでは、現在いかなる工作機械にいかなるツールが存在するか、または使用されているかを、データベースに記憶されている静的情報によって正確かつ一意的に検出することができる。サーバはさらに、受信された動的情報、データベースからの静的情報、および/または工作機械の運転パラメータを処理する手段を備える。サーバに合流する情報を適切に処理することにより、情報上の付加価値を生み出すことができ、この付加価値をツール製造者と第三者に提供することができる。情報の処理は、ツールそれぞれに、すなわちツールのいずれに対しても別々に行うことができ、また複数の同種のツール(ツールタイプ)に対しては、または異なるツール、場合によっては異なる企業または異なる企業立地点の異なる工作機械のツールに対しても、そして/または異なる製造者のツールに対しても、広範囲のこれらツールに対して行うことができる。このような方法で、たとえばニューラルネットワークにより、そして/または利用可能な静的および/または動的情報および運転パラメータの統計的処理によって、特定のツールタイプに対し、個別ケースの偏差から独立した代表性ある平均値を求めることができる。この平均値によって、このツールタイプのツールの品質と寿命(残り寿命)について、信頼性あるステートメントが可能となる。これらの情報は、たとえば製造者が考慮に入れて、将来、このツールタイプのツールの品質、安全性、そして/または残り寿命を適合させることができ、すなわち、向上させまたは削減することができる。
【0022】
本発明によって、いわばツールの製造からツールの使用を経てツール製造者にふたたび戻るという、1つの閉じたコントロールループが形成される。
【0023】
この動作のループは、制御対象として工作機械におけるツールの使用を含む。この使用は、たとえばツールの残り寿命をできるだけ長くするという観点から、最適化されるべきである。制御量としては、使用されるツールの動的情報が、測定装置によって、たとえばそれに適したセンサまたはモデルとしての測定装置によって検出され、そして信号量として、ネットワークを介してサーバにフィードバックされる。サーバでは、ネットワークを介して受信された動的情報や、サーバに記憶された静的情報のデータ処理の枠の中で、1つまたは複数の指令量との比較によって、1つの制御偏差(Regeldifferenz)が形成される。この指令量は、たとえば1つの摩耗値によって形成される。この摩耗値は、ツールとそのツールを用いた工作機械のそのときどきの使用に、またはワークピースの材料に、またはそのほかのパラメータに依存するものであり得る。またこの摩耗値は、たとえばできるだけ小さいもの、または少ないものとしたい。指令量はレギュレータに導かれ、このレギュレータは、1つまたは複数のアクチュエータを、たとえば観察されているタイプのツールを製造する機械として、ツールの摩耗が最小になるように制御する。そのとき必要があれば、ツールのそのときどきの使用、およびそのツールを使用する工作機械のそのときどきの使用、またはそのツールを用いて加工されるワークピースの材料、またはそのほかのパラメータを考慮して制御する。すると最適化された条件の下で製造されたツールを、ふたたび上記の方法で観察することができる。
【0024】
このコントロールループは、反応時間が複数日以上かかる。ネットワークを介してサーバにフィードバックされる情報は、かならずしもいずれもが同時に、アクチュエータ制御の際に考慮されるわけではない。むしろ、諸情報がアクチュエータの制御に影響を持つ前に、まずある程度の時間にわたって、たとえば複数時間、複数日、または複数週にわたって、情報を集めて処理することが考えられる。同様に、集められて処理された情報がアクチュエータの制御に影響を持つ前に、まずある程度の個数のさまざまなツール(ツールタイプが同じであることが好ましい)の情報が存在しなければならないことが考えられる。
【0025】
当然のことであるが、ある特定のタイプのツールの品質または寿命を検出することは、個別情報の合計に対して情報上の付加価値を持つアップデートされた情報を生成するために、本発明によるサーバを使用する無数の可能性のうちの、ただ1つにすぎない。ある特定のツールタイプについて検出された寿命を介し、そしてこのタイプのツールの従来の使用期間に関する情報を用いて、ツールの予想される残り寿命、またはいつバイトまたはツール全体の交換が予想されるかを、求めることができる。対応するツールの製造と供給、および発注者におけるそれと関連性ある経理上の措置の生成(たとえば商品受け入れの調整、納品書作成と送付、請求書作成、運送委託、在庫量調整、発注プロセスの開始と監視、および配送追跡システムまたは発注システムへのデータ供給)は、上記情報のおかげで、信頼性をもって時期に遅れず調整が可能である。サーバのデータベースに記憶された情報を用いれば、ツールの在庫が分かるだけでなく、その場所が特定される。
【0026】
データベースにファイルされたデータの首尾一貫性を確保できるよう、データベースには、好ましくは未処理データだけが、または基本データだけが記憶されて、付加価値情報を得るために利用されるものとし、ツール、工作機械、および/または企業の領域で事前処理済み、あるいは評価済みのデータは記憶されないものとする。さもなければ、諸データは、ツール、工作機械、および/または企業の領域で、さまざまな事前処理または評価を受け、それにより、データベースでは、内容の首尾一貫性と統一性に関する問題が生じる危険が存在することとなろう。
【0027】
サーバで生成されアップデートされた情報にアクセス可能とされ得る第三者とは、たとえば、サーバの監視を受けるある特定のタイプのツールを使用して、その使用するツールのその時点の状態と将来(寿命)に関しできるだけ包括的に報告が行われる、このような企業または企業立地点である。すなわち、サーバの処理手段によって行われる広範囲な情報評価と情報処理は、ツールの現在の状態に関するアップデートされた情報の生成を可能とするだけではなく、ツールの将来に関する適切な評価と信頼性あるステートメントを可能とするものである。たとえばこの将来とは、ツールがよく切れなくなるか欠陥を持つようになるまでの、ツールに予想されるその後の残り寿命である。とくにツールの将来に関するステートメントを生成するには、できるだけ多くのツールに関する情報と、対応する工作機械の運転パラメータにアクセスできることと、これらを評価することとが重要である。これらのことは、本発明によるサーバを使用して初めて可能となる。
【0028】
さらには、サーバとそこにファイルされている情報にアクセスする第三者が、次のような可能性を得ることも考えられるであろう。それは、データベースに含まれる情報とデータを評価するための、そして個別の付加価値情報または補完的データベースフィールドを生成するための、新しい機能とアルゴリズムを、存在するデータベースフィールドに基づいてプログラミングする可能性である。そうすると、この新しい機能、アルゴリズム、またはデータフィールドを、第三者はサービスとして、たとえばアプリケーション(いわゆる「App」)の範囲内として提供し、販売することができる。そのためにはこのデータベース構造は公開され、その際、データベースの内容、すなわちそこにファイルされている情報とデータは秘密のままとし、第三者にはアクセスできないものとする。
【0029】
それだけではなく本発明はさらに多くの利点を持つ。たとえば、個別のコードを介して、すなわちツールまたはツールホルダの識別データを介して、ある特定のツールをそのほか多数の情報とリンクすることが可能である。ツール製造者における「品質保証」の環境では、測定値、製造データなどを特定のツールに割り当てることによって、ツールユーザ側に苦情が生じた場合、ツール不具合の原因をより簡単に見つけることができる。追加的な可能性は、たとえば、ある特定のチャージに対する的を絞ったリコールの際に存在する。ツールの「製造」の環境においては、たとえば、ワークピースまたはそのワークピースから製造されるツールを識別し、そして製造部門によってコントロールする(委嘱書類を省略する)ために、個別のコードを利用することが考えられる。
【0030】
ユーザ(ツールのユーザ)における「商品受け取りチェック」の環境では、ツールの一意的な識別表示が、納入されるツールの受け取りをチェックするための、プログラム、図面、技術仕様書などの自動的ダウンロードを可能とする。
【0031】
事前設定機器による「ツール事前設定」の環境では、取り付けられたツールが、個別のコードによって識別可能となり、さまざまなツールに、特定の設定値、推奨切削データなどを割り当てることができる。さらには、ツールの個別のコードに依存して、工作機械のための対応する設定プログラムを、本発明によるサーバから自動的にダウンロードすることが考えられる。
【0032】
企業のユーザにおける「NCプログラミング」の環境では、ツールの個別コードが、工作機械のため、対応する推奨切削データ、衝突解析モデル(2D、3D)などの自動的ダウンロードを可能とする。「ツール利用」の環境では、個別のコードが、ツール使用時間、切削データ、そのツールで製造された部品の品質などの検出、検出された値のサーバへの伝送、検出されたデータのある特定のツールまたはツールタイプへの割り当てを可能とする。それどころか、データベースに含まれている情報を用いて、ツールに推奨ベストプラクティスをあたえることが考えられるであろう。しかしこのような推奨ベストプラクティスは、周囲の工作機械システムに依存するので、推奨ベストプラクティスを検出するためには、工作機械に関する情報(たとえば製造者、タイプ、製造年度など)と、必要があればそのほかユーザに依存する情報を記憶させるべきであろう。
【0033】
「購入/加工」の環境では、個別のコードが、たとえば代替品取り付けまたはほかのツールのバイトの識別を可能とする。ここに挙げた情報のほか、ツール製造者、販売者、顧客(ツールのユーザ)などに関する任意の追加的情報を検出して、個別のコードを介して特定のツールに割り当て、アップデートされた情報を生成する際に考慮することができる。
【0034】
切れなくなったツールまたはバイトを研磨するための「再研磨サービス」の環境では、ツールの個別のコードが、対応する図面、それに切削材料/ラベリング、機械プログラム、実施済みそして/または可能性ある再研磨の回数に関する情報、顧客情報、オリジナルの注文番号などに関する情報の自動的ダウンロードを可能とする。さらにはツールコンディショニングのために、ツールに関する情報、たとえば使用時間のような使用パラメータ、履歴、加工されたワークピースの個数、以前の運転中に生じた(欠陥)データなどを、サーバから呼び出すこともできる。ツールコンディショニングを行った後、好ましくは、ツールに割り当てられている定義されたデータを、データベースにファイルして、そのデータには、ツールのコンディショニングを実行したことと、コンディショニングの方法と範囲が記載されているものとする。
【0035】
ツールまたはツールホルダのいずれの識別コードもユニークな(einmalig)ものであって、いずれのツールに対しても、またはツールのいずれの組み込み部品に対しても、一意的に(ツールタイプに対して、およびツールの個別部分に対して)付与することができる。いずれのコードも、1つの特定のデータベースエントリに一意的に割り当てられている。ツールの個別部品が、ツールのいずれの個別部品に対しても、個別の識別コードを持つ限り、そのときどきのデータベースエントリには、1つの特定のツールタイプに当てはまるすべての情報が記憶されているか、あるいはこのデータベースエントリは、これらの情報の参照を指示する。この識別コードは、たとえば1つの数字/文字組み合わせであって、この組み合わせは、光学的方法、無線通信、またはそのほかの方法によって自動的に読み出し可能な記憶素子(たとえばRFIDタグ、データマトリックス、バーコード、QRコード(登録商標)など)に記憶されている。好ましくはこの記憶素子は、識別コードのほか、追加的な情報を記憶できないものとする。しかし、ツールの使用中または使用後、任意の情報、たとえばツールの使用パラメータを、記憶素子に記憶することができるものとすることも考えられる。このような記憶素子は、たとえば書き込み可能なRFIDタグとして形成されている。これらの情報もまた、読み出して、サーバに伝送し、データベースにファイルすることができる。データベースから、これらの情報は、ツールコンディショニングの際に照会され、ツールコンディショニングの最適化のために援用できる。
【0036】
当然のことながら、ツール全体だけでなく、ツールの個別部品にも、そのときどきに個別の識別コードを割り当てて、個別部品ごとに記憶することが考えられる。ツールの個別部品とは、たとえば、ツールホルダ、バイト、またはインサート(SchneidplattenまたはWendeschneidplatten)などである。個別部品の個々のコードは、同様に読み込み可能であり、データベースに記憶できる。するとデータベースには、多数の個別部品に関する情報がファイルされる。さまざまなツールが、データベースまたはデータベースに割り当てられた加工ユニットにおいて、個別部品からバーチャルに組み立てられ、その結果、ある1つの特定のツールがいかなる個別部品から組み立てされたものであるか、つねに知られていることとなる。するとツールがさまざまな個別部品から新たに組み立てられる場合、たとえば、1つの新しいホルダに収められる場合、またはエクステンションが交換される場合、またはバイトが交換される場合、このことは、データベースで問題なくアップデートの対象となる。
【0037】
データベースは、リレーショナルでかつ自由にコンフィギュレーション可能なフィールド(relationale frei konfigurierbare Felder)を含む。いずれのフィールドも、補完可能であり、情報を供給することができる。データベースのすべてのフィールドに対しても、個別の読み出し/書き込み権が存在する。データベースは、ツールまたはツールの個別の部品のバーチャルな取り付けと取り外しを許容する。たとえば、ホルダにおけるドリルのバイトであって、このホルダから、取り付けられたツールの場所/ポジション、全体の寸法などが得られる。識別は、結合関係にあるあらゆる識別コードを介して、ツール全体に対して行われる。
【0038】
第三者からサーバへの照会は、通常対応するツールの識別コード、またはそのほかの定義(たとえばアイテム番号、名称など)と、要求されている情報を取得するための第三者への権限付与を証明する権限付与コードとを含む。このような権限付与コードは、サーバの運用者がその第三者に分配できる。このコードは、たとえば照会元の機器の立地点に関する情報、照会元の機器を識別するための情報、照会された情報を用いて生成される。こうして顧客別に、購入情報またはジオメトリ情報を供給できる。悪用またはパスワード入力は抑止され、機器の切り替え(使用済み機器を未知の第三者に販売)があっても、悪用による、または許可されないデータ照会は不可能であろう。要求元が権限付与されていることを、伝送された権限付与コードによって、サーバが確認して初めて、希望された情報が、識別コードまたはそのほかの定義によってツールに伝送される。こうして、たとえば顧客すなわちツールのユーザにおいて、ツールの事前設定機器、タイプ、説明、寸法、そのほかのデータを、自動的にダウンロードできる。しかし購入者には、ドリル本体を例に取ると、バイトのタイプ、単価、注文条件、および/またはみずからの在庫を調べることが可能となる。これらの情報によれば、在庫管理のための予測データ、到達費用、期限、そのほかの処理データを調べることさえ、購入者には可能となる。
【0039】
本発明では、情報上の付加価値を得るために、データベースから得た情報をより高いレベルで圧縮する。たとえば顧客または購入者において、同一アイテム(たとえばツールまたはバイト)の個数を求めることができる。そのためには、ツールの使用場所のコードを、1つの特定の階層に弾力的に割り当てることもできる。たとえば、設定機器が顧客Bの工場Aにあって、販売され、次に別の工場Cまたは別の顧客Dの下にある場合、使用場所のコードを考慮に入れるべきであろう。新しい工場Cまたは別の顧客Dは、アップデートされた情報であって、この情報は、データストックをアップデートするためにデータベースに記憶される。
【0040】
最後に、第三者、たとえばツール製造者、顧客(ツールのユーザ)、または任意のそのほかの者が、データおよび情報をサーバに戻して、書き込み箇所/読み出し箇所に依存してデータベースエントリに記憶することが考えられる。したがってたとえば、使用されたバイトと切削データを、使用されたドリルと使用された機械に依存して記憶することが考えられる。同じドリルをほかの機械で使用する際には、場合によって、ほかのバイトが使用されて、別な切削データが得られる。
【0041】
バイト、ホルダ、ツール、そして事前設定機器、工作機械をリンクすることにより(匿名で)、顧客の使用挙動に関して興味ある情報を収集できる。これらの情報は、詳細には、使用頻度、使用時間、交換時期などである。この場合、履歴との比較の中で変更された使用挙動と、さまざまに異なる使用場所間の比較評価とは、ツール供給者にとって非常に興味がある。たとえば、使用時間のばらつき範囲、たとえば国別レベルで見た著しい相違を、機械別または顧客別などで評価することができる。製品イノベーションによって顧客側が体験した改善に関する、具体的調査も可能である。
【0042】
サーバで合流するこれらすべての情報は、中央のサーバにあるデータと情報の適切な統計的分析によって得られ、評価される。すると、これらの情報は、ツール製造者と任意の第三者にとってかなりの情報価値を持つ。この情報価値は、運用者モデルの場合、たとえば費用負担させて、またはサービス提供として、前記ツール製造者と第三者に提供し、アクセス可能とすることができる。最終顧客(ツールのユーザ)のもとで本発明が使用される場合、このモデルによって、前記ツール製造者と第三者はさらに、生産性向上の実現の逆推論を引き出すことができる。このことは顧客との価格交渉に利用でき、あるいは、将来の価格展開の基盤として契約で取り決めることができる。このシステムが、たとえば工作機械でサーバ補正が義務として行われるように設計されていて、その結果、工作機械からサーバへのデータ伝送と情報伝送が抑止されまたは迂回するといった「裏切り」の可能性が除外されている場合、これら使用されたツールまたはツールホルダによって行われる工作機械のライフ・サイクル・コスト(Life‐Cycle‐Cost)観察(Betrachtung)、そしてさらには「ペイ・パー・パーツ(Pay‐Per‐Part)」(加工されたワークピース1個当たりの支払い)、または「ペイ・パー・フィーチャー(Pay‐Per‐Feature)」(ジオメトリエレメント1個当たりの支払い)、詳細には、「ペイ・パー・ホール(Pay‐Per‐Hole)」(穴あけ1個当たりの支払い)をベースとする販売モデルを作成できる。
【0043】
本発明のそのほかの事項と利点を、下記に図面を引用しながらさらに詳しく説明する。この場合挙げられた諸事項は、単独でも、任意の組み合わせの形のものであっても、本発明の対象物である。図面の示す内容は下記の通りである。