(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可変用量設定機構は、回転設定の用量設定機構(102、202、402)であり、そして固定用量設定機構は、軸方向設定の用量設定機構(104、204、304)である、請求項1又は2に記載の薬物送達デバイス。
カラー(108)は、カラーの第一の端(118)とカラーの第二の端(120)の間にギャップ(116)を有するリング形状のカラーであり、ここで、カラーは溝(122)を含み、そしてリンケージ部材(110)は、溝(122)と摺動可能に係合可能なピンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
固定用量設定機構(104)は、ピンに連結された軸方向可動ラック(114)を含み、そしてここで、用量の設定中、カラー(108)の回転が、溝(122)を通してピンを強制的に移動させて、軸方向可動ラック(114)を近位方向(130)に持ち上げる、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
薬物送達デバイスが、用量プロファイル(150)に従って薬剤を送達することができ、ここで用量プロファイルが、第一の薬剤(1)の最小用量(152)が設定された後、第二の薬剤(2)の固定用量(154)の送達を含む、請求項5又は請求項6に記載の薬物送達デバイス。
カラー(208)が、複数のセクションを有する溝(222)を含み、ここで、第一のセクション(240)は、少なくとも一つの略平坦なセクションを含み、第二のセクションは、少なくとも一つのらせんセクション(242)を含み、そしてリンケージ部材(210)は、溝(222)と摺動可能に係合可能であるピンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
固定用量設定機構(204)は、ピンに連結した軸方向可動ラック(214)を含み、そして用量の設定中、カラー(208)の回転が、溝(222)を通して、ピンを強制的に移動させて、軸方向可動ラック(214)を近位方向(230)に吊り上げる、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
カラーは、複数のセクションを有する溝を含み、第一のセクションは、第一のピッチを有する第一のらせんセクションであり、そして第二のセクションは、第一のピッチとは異なる第二のピッチを有する第二のらせんセクションである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
カラー(308)は、複数のセクションを有する溝(322)を含み、第一のセクションは、略平坦なセクションであり、第二のセクションは、らせんセクションであり、そしてリンケージ部材(310)は、ピンスリーブ(312)及び溝(322)に摺動可能に係合可能なピン(314)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
カラー(400)は、第一の溝付き突出物(406)を有する第一のセクション(404)及び第二のねじ溝付き突出物(410)を有する第二のセクション(408)を含み、リンケージ部材(412)は、第一の薬剤の第一の最小用量が設定された後、第一のねじ溝付き突出物(406)と係合することができ、そしてリンケージ部材(412)は、第一の薬剤の第一の最小用量より高い第二の最小用量が設定された後、第二のねじ溝付き突出物(410)と係合可能である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
第一のセクション(404)は、第二のセクション(408)に連結され、二つの間の連結配置(431)が、第一のセクション(404)と第二のセクション(408)の間の距離(434、436)を調整することを可能にするように構成される、請求項14に記載の薬物送達デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二つ又はそれ以上の活性薬剤、又は「作用物質」を同時に送達するとき、多くの潜在的な問題点が存在する。二つの活性作用物質は、処方の長期間寿命の保存中、互いに相互作用するかもしれない。従って、活性成分を分離して保存し、そして、それらを送達の観点のみで、例えば、注射、針なし注射、ポンプ又は吸入を組み合わせることは有利なことである。しかし、二つの作用物質を組み合わせる工程は、信頼性を持って、繰り返し、そして安全に実施するために使用者にとって、簡単で、便利なことが必要である。
【0005】
更なる問題は、組合せ治療を構成する各々の活性作用物質の定量性、及び/又は、割合は、各々の使用者にとって、又は治療の異なった段階で変化することが必要となるかもしれないことである。例えば、一つ又はそれ以上の活性作用物質は、「維持」用量まで患者に徐々に導入するために調節期間を必要とし得る。更なる実例は、一つの活性作用物質が調節不可能な固定用量を必要とする場合、一方、他剤は、患者の症状又は肉体的条件に対応して変化することである。この問題は、複数の活性作用物質の事前混合された処方が、医療専門家又は使用者により変更できないかもしれない活性成分の固定比率を有するので、複数の活性薬剤の事前に混合された処方は、適切でないかもしれないことを意味する。
【0006】
追加の問題は、多薬化合物の治療が必要であるところで発生する。何故ならば、一つより多く薬剤送達システム用いなければならないことに、又は要求される用量組合せの必要で、正確な計算を行わなければならないことに、ある使用者が対処できないことである。これは、器用さ又は計算上の困難性を有する使用者にとって、特に、真実である。
【0007】
従って、単一注射における二つ又はそれ以上の薬剤送達用のデバイス及び方法、又は使用者にとって実施することが簡単な送達工程を提供するための強い必要性が存在する。開示された方法及びシステムは、単一送達方法の実施中、その後、組み合わせのみ、及び/又は、患者に送達する二つ又はそれ以上の活性薬物作用物質用の個別の貯蔵容器を提供することにより上記の問題を解決する。一つの薬剤の用量を自動的に設定することは、第二の薬剤の(即ち、非使用者設定可能な)用量を固定し又は決定することになる。
【0008】
開示された方法及びシステムは、また、一つ又は両方の薬剤の量を変更する機会を与える。例えば、一つの流体量は、注射デバイスの性質を変更することにより可変である(例えば、使用者可変用量をダイヤル設定し、又はデバイスの「固定」用量を変更する)。第二の流体量は、第二の活性作用物質の異なった容量及び/又は濃度を含む各々の変異体を有するパッケージを含む様々な第二薬剤を製造することにより可変である。使用者又は医療専門家は、その結果、特別な治療計画に対する最も適切な二次パッケージ若しくはシリーズ又は異なったパッケージのシリーズの組合せを選択するであろう。あるいは、第二の流体の量は、固定用量設定機構に配設されたリンケージ部材などの固定用量機構の性質を変更することにより、変えることができる。開示されたシステム及び方法は、幅広い対象治療プロファイルを実施し得る。例えば、開示されたシステム及び方法は、一次薬剤の最小設定閾値の用量が設定されると直ちに、第二の薬剤の固定用量を送達する治療用量プロファイルを実施し得る。別の例として、開示されたシステム及び方法は、段階的固定用量プロファイルを実施し得る。開示されたシステム及び方法は、また、二つの(又はそれ以上の)薬物化合物の注入のための投薬力を低下させるが、一方、使用者にある程度投薬工程を制御することを可能にする自動援助のエレメントを加えてもよい。
【0009】
これら及びその他の利点は本発明の次の詳細な記載から明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示されたシステム及び方法は、単一デバイス内で、多薬化合物の複雑な組合せを可能にする。特に、開示されたシステム及び方法は、使用者に単一の用量設定器及び単回投薬インターフェースを通して、多薬化合物を設定し、投薬することを可能にする。薬物送達システムは、可変用量設定機構及び固定用量設定機構を含む。システムは、また、可変用量設定機構上に配設されたカラー及び固定用量設定機構上に配設されたリンケージ部材を含み、ここで、リンケージ部材は、カラーと一緒に係合することが可能である。例において、単一用量設定器は、個別の薬物化合物の事前に規定された組合せが、一つの薬物の単一最小用量が設定され、そして単回投薬インターフェースを通して投薬されるとき送達されるように、デバイスの用量設定機構を制御する。
【0011】
個々の薬物化合物の間の治療上の関係を規定することにより、出願者の送達デバイスは、患者/使用者が、多入力に関連する固有のリスクなしで、多薬化合物デバイスからの最適の治療組合せ用量を受け入れることを確実にするのに役立つであろう。ここで、使用者は、デバイスを使用する度に、正しい用量組合せを、計算し、設定しなければならない。薬剤は、液体、気体、又は流動可能であり、及びその形体を変化させようとする力が作用したとき、定常速度で形状を変化させる粉末として本明細書で規定される流体であり得る。あるいは、一つの薬剤は、運ばれ、可溶化され、さもなければ別の流体薬剤と一緒に投薬され得る固体であってもよい。
【0012】
第一の可変入力及び第二の制御された/制限された入力(及び関連する制御された治療プロファイル)が、使用者の処方された用量を彼らがデバイスを使用する度に計算する必要性を取り除くことになり、そして、この配置が、組合せ化合物をかなり容易に設定し、及び投薬することを可能にするので、この開示されたシステムは、器用さ又は計算の困難性を有する使用者に特に有利である。
【0013】
提案されたシステムの実施態様において、インスリンなどの主薬物化合物は、一次リザーバ内に含まれ、及び二次化合物は、二次リザーバ内に含まれる。出願者の本特許出願は、具体的に、二つの可能性のある薬物の組み合わせとして、インスリン、インスリン類似体又はインスリン誘導体及びGLP−1又はGLP−1類似体を記載するが、鎮痛剤、ホルモン、β−アゴニスト又はコルチコステロイド若しくは上記薬物の組合せなどの他の薬物又は薬物の組合せも、出願者の提案したシステム及び方法と一緒に使用できるであろう。
【0014】
出願者のシステム及び方法の目的のために、用語「インスリン」は、インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体、又はヒトインスリン若しくはヒトインスリン類似体若しくは誘導体を含むそれらの混合物を意味するものとする。インスリン類似体の実例は、制限なしで、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、又はDes(B30)ヒトインスリンである。ヒトインスリン誘導体の実例は、制限なしで、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0015】
本明細書で用いる、用語「GLP−1」は、GLP−1、GLP−1類似体、又はエキセナチド(エキセンジン−4(1−39)ペプチド配列:H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2);エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH
2)を、制限なしで含むその混合物を意味するものとする。
【0016】
β−アゴニストの実例としては、制限なしで、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バムブテロール、クレンブテロール、インダカテロールがある。
【0017】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0018】
出願者が開示した一つの実施態様は、単回投薬インターフェースを通して二つ又はそれ以上の薬剤を送達する薬物送達システムに関し、ここで、デバイスは、少なくとも一つの薬物作用物質の多回投与を含む第一の薬剤の一次リザーバに操作可能に連結された第一の使用者設定可能な用量設定器を含むハウジングを有する。デバイスは、また、少なくとも一つの薬物作用物質の多回投与を含む第二の薬剤の二次リザーバに操作可能に連結された第二の用量設定機構を含む。用量ボタンは、薬剤の一次リザーバに操作可能に連結され、そして単回投薬インターフェースは、一次リザーバと流体連通になるように構成される。少なくとも一つの薬物作用物質の多回投与を含む第二の薬物の二次リザーバは、単回投薬インターフェースと流体連通になるように構成される。
【0019】
この用量ボタンは、機械的に駆動されるか、又は電子工学及び機械工学の組み合わせを通して駆動されるかどちらにせよ、送達手法をトリガするいかなるタイプの機構であってもよい。ボタンは動くことができるか、又は接触感知の仮想ボタンであってもよい。出願者のシステムは、一次リザーバ、及び、少なくとも一つの薬物作用物質を含む薬剤の二次リザーバと流体連通するように構成された単回投薬インターフェースを有する。薬物投薬インターフェースは、二つ又はそれ以上の薬剤をシステムから排出し、そして患者へ送達することを可能にするいかなる出力(output)であってもよい。インターフェースのタイプは、中空針、カテーテル、アトマイザ、空圧式注射器、又は針なし注射器、マウスピース、鼻アプリケータなどのインターフェースを含む。
【0020】
二次リザーバは、好ましくは、薬剤の多回投与を含むが、更に、また、薬剤の単一用量も含み得る。上記で述べた通り、システムは、用量ボタンの単独起動が一次リザーバから薬剤の使用者設定用量及び二次リザーバからの薬剤の非使用者設定用量を、単回投薬インターフェースを通して放出させるように設計される。使用者設定可能用量により、使用者(患者又は介護者)は、望ましい用量を設定するためにデバイスを身体的に操作できることを意味する。更に、使用者設定可能用量は、無線通信(ブルートゥース、WiFi、通信衛星、など)の使用を通して遠隔的に設定でき、又は用量は治療処置アルゴリズムを実施した後の血糖値モニタなどの別の一体化デバイスにより設定できる。非使用者設定用量により、使用者(又は他の投入)は、二次リザーバから薬剤の用量を独立に、設定し、又は選択することができないことを意味する。換言すれば、使用者(又は、上記の別の投入)が一次リザーバにおいて一次薬剤の用量を設定するとき、第二薬剤の固定用量は、自動的に設定される。しかし、ある例において、固定用量が設定される閾値用量を変更するために、用量を設定する前に、デバイスを調節することは使用者にとって可能であるかもしれない。
【0021】
出願者の提案したシステムの例において、薬物送達デバイスは、可変用量設定機構、固定用量設定機構、単一用量設定器、カラー及びリンケージ部材を含む。可変用量設定機構は、第一の薬剤を保持する一次リザーバに操作可能に連結される。固定用量設定機構は、第二の薬剤を含む二次リザーバに操作可能に連結される。更に、単一用量設定器は、可変用量設定機構に操作可能に連結される。尚、更に、カラーは、可変用量設定機構上に配設され、そしてリンケージ部材は固定用量設定機構上に配設される。リンケージ部材はカラーと係合することが可能である。
【0022】
例において、カラーは、カラーの第一の端とカラーの第二の端の間でギャップを有するリング形カラーであり、ここで、カラーは溝を含み、及びここで、リンケージ部材は、溝と摺動可能で係合可能なピンを含む。別の例において、カラーは複数のセクションを有する溝を含み、ここで、第一のセクションは、略平坦なセクションであり、そして第二セクションは、らせんセクションであり、及びここで、リンケージ部材は、溝と摺動可能で係合可能なピンを含む。尚、別の例において、カラーは、第一の溝付き突出部を有する第一のセクションと第二の溝付き突出部を有する第二のセクションを含み、ここで、リンケージ部材は、第一の薬剤の第一の最小用量を設定した後、第一の溝付き突出部と係合することが可能であり、及びここで、リンケージ部材は、第一の最小用量より高い第二の最小用量を設定した後、第二の溝付き突出部と係合することが可能である。一つの実施態様において、カラーは、溝を含み、そしてリンケージ部材は、溝と摺動可能で、係合可能であるフランジを含む。
【0023】
更なる実施態様において、カラーは、可変で段階的な用量プロファイルを可能にし得る。カラーは第一の溝付き突出部を有する第一のセクション及び第二の溝付き突出部を有する第二のセクションを含む。例えば、第一のセクションは、第二のセクションに連結してもよく、そして二つのセクション間の連結配置は、例えば、第一セクションと第二セクションの間の距離を増大させるために第一と第二セクションの間の距離を調節することを可能にするように構成され得る。一つの実施態様において、連結配置は雄ねじと雌ねじを含み得る。
【0024】
出願者の本開示はまた、単一用量設定器を有する薬物送達デバイスの一次リザーバに含まれる第一の薬剤の用量の第一の設定を行う工程を含む、個別のリザーバから一薬剤の固定用量及び別の薬剤の可変用量を投薬する方法をカバーする。この第一の用量の設定は、自動的に、使用者の別の入力なしで、二次リザーバから用量を設定する(例えば、最小の第一の用量の閾値を超えた後で)。次に、単回投薬インターフェースを通して、一次リザーバからの第一の薬剤の設定用量及び自動的に設定された二次リザーバからの非使用者設定可能用量の両方を動かす用量ボタンが起動する。
【0025】
個別のユニットとして、又は混合ユニットとしての化合物の組合せは、一体針(integrated needle)を経由して体内へ送達できる。これは、使用者の観点から、標準的な針を用いた、現在利用可能な注射デバイスに厳密に合致する手法で実施され得る組合せの薬物注射システムを提供するであろう。一つの可能性のある送達手法は、次の工程を含むであろう:
1.単回投薬インターフェースの近位端が、第一の薬剤と第二の薬剤の両方と流体連通になるように、針ハブのような単回投薬インターフェースを注射デバイスの遠位端に取り付ける。
2.第一の薬剤の望ましい用量を投薬する準備をするために、注射デバイスをダイヤルアップする(即ち、設定する)。単一用量設定器が第一の薬剤の用量を設定するので、事前に規定された第二の薬剤の非使用者設定可能用量が、自動的に、同時に設定される。
3.単回投薬インターフェースの遠位端を望ましい投与サイトにおいて、又はその中で、患者に挿入し、又は適用する。単一用量ボタンを起動させて、第一の薬剤の用量を投薬し(dose)、それは、また、第二の薬剤を自動的に投薬することを引き起こす。
【0026】
出願者の開示した薬物送達システムは、専用化した、又はコード化した機能の利用を通して、包括的な一次及び二次リザーバのためにその使用を制限するような方法で設計してもよい。
【0027】
出願者の提案したシステム及び方法の特別な利点は、二つの多回投与リザーバの使用が、必要なとき、特に、調節期間が特定薬物に対して必要であるところで、用法(dose regimes)を特注(tailor)することを可能にすることである。例において、異なった特性を有する第二の用量設定機構及び/又はリザーバを有する薬物送達デバイスのセットが提供され得て、その結果、第二の薬剤の異なった固定用量をもたらす。薬物送達デバイスは、使用者が調節を支援するために、特定の順番で、提供された薬物送達デバイスを使用することを教示するために、機能の美的設計、又はグラフ、番号付けなどの、それらに限定されないが、明確な差別化機能を有する多数の調節レベルで供給され得る。あるいは、処方医師は、患者に多数の「レベル1」調節の薬物送達デバイスを提供し得て、そしてその後、これらが終了したとき、医師は、その結果次のレベルを処方でき得る。
【0028】
出願者の提案したシステム及び方法の実例の更なる機能は、両薬剤が一つの注射針を経由して、そして一つの注射工程において送達されることである。これは、二つの個別の注射を投薬することと比較して、使用者工程が減少することより使用者に都合の良い利点を提供する。この便利性の利点は、また、特に、注射が不愉快であり、又は手先の器用さ、計算の困難性を抱えた使用者に処方治療の改良されたコンプライアンスをもたらす。二つの代わりに一つの注射の使用は、使用者の間違いに対する可能性を低下させ、そしてその結果、患者の安全性を上昇させ得る。
【0029】
本発明の様々な態様のこれらの、並びに、その他の利点は、添付の図面を適切に参照して、次の詳細な記載を読むことにより、当業者には明白になるであろう。
【0030】
本発明の範囲は特許請求範囲の内容で規定される。本発明は、特定の実施態様に制限されず、異なった実施態様のエレメントのいかなる組合せも含む。更に、本発明は、請求項のいかなる組合せも、及び請求項で開示された機能のいかなる組合せも含む。
【0031】
典型的な実施態様は、図面を参照して本明細書に記載される:
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の薬物送達システムは、第一の薬剤(一次薬物化合物)の可変用量及び第二の薬剤(二次薬物化合物)の固定用量を単一の出力又は薬物投薬インターフェースを通して投薬する。使用者により一次薬剤の用量を設定することは、第二の薬剤の用量を自動的に設定することになる。例において、薬物投薬インターフェースは、針カニューレ(中空針)である。
図1は、一般的に、単一用量設定器と単回投薬インターフェースを経由して第一の薬剤と第二の薬剤の両用量を設定し、送達することを可能にする多回投与の注射デバイスを図示する。多回投与の注射デバイスは、可変用量設定機構を固定用量設定機構に結合する機械的結合を含み得る。出願者の提案した概念の例によると、機械的結合は、可変用量設定機構上にカラーを、及び固定用量設定機構上にリンケージ部材を含み得る。可変用量設定機構上に配設されたカラー及び固定用量設定機構上のリンケージ部材を有する実例の薬物送達デバイスは、
図2、4、8、9及び10を参照して記載される。これらの実例の薬物送達デバイスは、広範囲の望ましい治療用量プロファイルを達成することが可能となる。
【0034】
図1に戻って、
図1は一つの可能性のある薬物送達システムを図示し、複数の注射デバイス10は、一方が第一の薬
剤1を含み、他方が第二の薬剤2を含んで、並んで位置する二つのリザーバを有する。これらのリザーバは、各薬剤の多回投与を含み得る。各リザーバは自給型で、及びシールし、殺菌したカートリッジとして提供され得る。これらのカートリッジは、異なった容量であってもよく、及び空になったとき、代替可能であり得て、又はそれらはシステムにおいて固定できる(除去不能)。これらは、また、穿孔可能シール又は針カニューレを受け入れるセプタを有することができる。
【0035】
カートリッジは、除去可能で、使い捨てハブ又は単回投薬インターフェースを含むハウジング4に互換可能な取り付け手段を有するカートリッジホルダ5及び6に収容され得る。この例において、単回投薬インターフェースは、排出針3として示される。一次薬剤及び二次薬剤及び単回投薬インターフェース又は針3の間で流体連通を可能にする条件では、ハブはいかなるデザインであってもよい。ハブ4の実例デザインは、一般的に当該分野で「2:1針」の構成("2-to-1 needle" configuration)といわれるものを含む。示されていないが、ハブ4は、保護及び殺菌カプセル又は容器内に含まれ、製造業者より供給され得るが、ここで、使用者が殺菌された単回投薬インターフェースに接近できるようにするため、シール又は容器それ自身をはがし、又
は裂いて開くであろう。ある場合には、ハブの各端部に二つ又はそれ以上のシールを提供することは望ましいかもしれない。シールは、規制されたラベル表示要件により要求される情報の掲示を可能にし得る。針が薬物の送達のために使用されるとき、各注射用に、使用者に新しいハブを取り付けることを可能にするために経済的で安全であるように、ハブが設計されることは好ましい。ハブ4の複数使用のデバイス10への取り付けが、排出針3と薬剤1及び2の間での流体連通を創造する。
【0036】
図1の例は、単一用量設定器12の回転が使用者に一次薬剤1の用量を選択し、及び二次薬剤2の固定された、又は所定の非使用者設定可能な用量を自動的に設定することを可能にするそのような方法で、二つの用量送達アセンブリ8及び9に機械的に結合する回
転カップリング7を使用する。図示された実施態様において、回転カップリング7は、単一用量設定器の反時計方向の回転が、用量送達アセンブリ8と9内で用量ダイヤル設定部材(示されていない)の時計方向の回転を引き起こすギヤ列として具体化される。回転カップリング7は、両方のダイヤル部材と同じ速度で垂直に動くように構築され得る。これは、デバイスの最大限の操作範囲を通して両薬物化合物を設定し、投薬することを可能にする。
【0037】
当業者が一般的に理解する通り、ピストン、又は薬剤のカートリッジ内に含まれる栓を押し込み又は駆動させるために、主ねじ又はスピンドルを使用することは、便利であるかもしれない。そのようにして、スピンドルは、各用量送達アセンブリにおいて使用してもよい。スピンドルのピッチを変更することにより、互いに対して用量サイズ(及び用量比)を変更することが可能である。具体的には、これは、治療プロファルの変化が異なった用量比を有するデバイスを提供することにより、特定の治療又は患者の要求事項に適合させることを可能にする。
図1に示すデバイスは次の通りに操作できる;
a.用量設定器12の反時計方向の回転が、駆動ギヤの反時計方向の回転及び回転カップリング7における両駆動ギヤの時計方向の回転を引き起こす。両駆動ギヤの時計方向の回転は、薬物送達アセンブリ8及び9における両ダイヤル部材を同一方向に回転させ、そして、デバイスの本体からのらせん経路を従動させる。この操作は、使用者に薬剤1の標的用量を設定することを可能にするが、薬剤2に対してはそうではなく、それは薬剤1に対して選択された用量で自動的に設定されるからである。
b.投薬工程の始動は、投薬又は用量ボタン13の起動で始まる。これは、ダイヤル部材を用量設定器と独立に回転させる。
c.投薬工程の間、両デバイス機構の内部部材と同様に、単一用量設定器の回転方向が逆転する。回転カップリング7は、ダイヤル部材が機構内へ、続いてそれぞれのらせん経路に巻き戻されるので、デバイスの本体に向かって逆行する。内部駆動スリーブ(示されていない)によるスピンドルの内部検査で連結された両機構の回転のこの逆転は、両薬剤を同時の方式で投薬させることになり、次いで、使用者が薬剤1の目的用量を設定するとき、固定された用量比プロファイルを規定する。
【0038】
互いに対して個々の駆動機構のスピンドルピッチを変化させることは、薬剤の固定比率の関係を変え得る。スピンドルのピッチを変化させることは、設定中の所定量の回転のための投薬中にスピンドルの前進を変化させる。二つの機構間の前進量が異なることは、機構間の異なった投薬比を作り出す効果を有する。スピンドルのピッチを変更することは、達成可能な固定比率の範囲の観点より、送達デバイス10の操作窓を広げる効果を有し得る。これは、また、再設定がデバイスを再使用可能に要求すべきことを可能にする範囲内でスピンドルのピッチを維持することに役立つかもしれない。これは、各々異なった治療プロファイルを有する複数のペン形注射器が製造可能であることを意味する。具体的には、これは、治療プロファイルの変更が特定の調節レジーム及び究極的には患者個人の要求事項にも適合させることを可能にする。
【0039】
ハブ4とカートリッジホルダ5及び6の間の取り付け手段は、ねじ山、スナップロック、スナップフィット、ルアロック、バヨネット、スナップリング、キー付きスロット、及びそのような連結手段の組合せを含む当業者に公知のものであり得る。ハブとカートリッジホルダ間の連結又は取り付けは、また、連結器、停止部、スプライン、リブ、溝、ピップ(pip)、クリップなどの、特定ハブが薬物送達デバイスに適合するためにのみ取り付け可能であることを確実にするデザイン機能のような追加の機能(示されていない)を含んでもよい。
【0040】
ハブ4を含めて投薬デバイス10の形状は、略楕円形及び/又は円筒形、又は使用者の手操作に好適なその他いかなるジオメトリック形状であってもよい。更に、ハブ4は、偶然の針突き刺しを防ぎ、そして針恐怖症を病む使用者が経験した心配事を低減する安全シールドデバイスを組み込むことができる。安全シールドの正確なデザインは、薬物送達デバイスに重要ではないが、しかし、例のデザインは、第一及び/又は第二のリザーバに操作可能に連結されるものである。そのようなデザインにおいて、安全シールドの起動は、薬物送達システムのロックを解除し、又はリザーバ間の流体連通を推進し、そして、ある場合においては、一次リザーバから一次薬剤を投薬するために、用量ボタンを起動させる前に、第二の薬剤を投薬させる。デザインの別の例は、患者内への使用済み薬物投薬インターフェースの挿入を物理的に阻止するであろう(例えば、単一使用の針保護型の配置)。
【0041】
例で述べた通り、出願者の薬物送達デバイスのデザインは、薬剤を含むためのカートリッジを含む。カートリッジは、略円筒形状であり、そして通常はガラスで作られ、一端をゴム栓(ピストン)でシールされ、他端は金属フェルールを用いてゴムセプタムでシールされる。用量送達アセンブリは、一般的には使用者の手動動作で動力を得られる。しかし、注射機構は、また、スプリング、圧縮ガス又は電気エネルギなどの他の手段で動力を得てもよい。
【0042】
出願者の提案した概念に準拠した薬物送達デバイスは、カラー、及び可変用量設定機構と固定用量設定機構を機械的に連結するリンケージ部材を含んでもよい。
図2、4、8及び9は、そのような機械的連結の様々な例を示す。一般的に、出願者の開示に準拠した薬物送達デバイスは:
(i)可変用量の設定機構、ここで、可変用量の設定機構は、第一の薬剤を含む一次リザーバホルディングに操作可能に連結される;
(ii)固定用量の設定機構、ここで、固定用量の設定機構は、第二の薬剤を保持する二次リザーバホルディングに操作可能に連結される;
(iii)可変用量の設定機構に操作可能に連結された単一用量設定器;
(iv)可変用量の設定機構に配設されたカラー;及び
(v)固定用量設定機構に配設されたリンケージ部材、ここで、リンケージ部材はカラーと係合することが可能である;
を含んでもよい。例において、可変用量設定機構は、回転方向に設定する用量設定機構であり、そして固定用量設定機構は、軸方向に設定する用量設定機構である。
【0043】
図2a〜hは、出願者開示の実施態様に準拠した例の薬物送達デバイスを描く。特に、
図2a〜hは、設定及び投薬工程の操作の間で、薬物送達デバイス100の近位端を描く。薬物送達デバイス100は、第一の用量設定機構102及び第二の用量設定機構104を含む。第一の用量設定機構102は、
図1で示す第一の薬物1を保持する第一のリザーバ6のような第一の薬剤を保持する第一のリザーバに操作可能に連結する可変用量設定機構であり得る。第一の用量設定機構102は、回転して設定される用量設定機構であり得る。そのような用量設定機構は、一般的に、当該分野で公知である。第二の用量設定機構104は、
図1で示す第二の薬剤2を保持する第二のリザーバ5のような、第二の薬剤を保持する第二のリザーバに操作可能に連結される固定用量設定機構であり得る。固定用
量設定機構104は、軸方向に設定された用量設定機構(例えば、引き−設定、押し−投薬の機構)であり得る。そのような用量設定機構は、一般的に、当該分野で公知である。
【0044】
薬物送達デバイス100は、また、可変用量設定機構102に操作可能に連結される単一用量設定器106を含む。カラー108は、可変用量設定機構102上に配設され(dispose)、そしてリンケージ部材110は、固定用量設定機構104上に配設される。描写された例において、リンケージ部材はピンである。しかし、フランジエレメント、それに制限されないが、を含む他タイプの部材も可能である。用量設定機構102、104の間のカラー及びピンは、第一の薬剤1の可変用量、及び
図3に示す第二の薬剤の、遅延した固定用量を含むプロファイルのような、望ましい用量プロファイルをもたらし得る。
【0045】
カラー108は、様々な位置で可変用量の設定機構102上に配設され得る。例えば、
図2の例において、カラー108は、ダイヤルスリーブ112に取り付けられる。しかし、別の例においては、カラー108は、用量設定器106の遠位端のような用量設定器106それ自身に配列できる。図示する通り、カラー108は、カラーの第一の端118とカラーの第二の端120の間のギャップ116(参照:
図2c及び2f)を有するリング形状であり得る。リング形状は、略円形リング形状、楕円形リング形状又は略多角形リング形状のような、いかなる好適なリング形状であってもよい。カラー108は、また、溝122を含んでもよく、そしてリンケージ部材110は、溝122と摺動可能に係合可能であり得る。ピンは、軸方向に設定された固定用量設定機構104の可動ラック114に固定され得る。ピン110は、カラー108が回転し、設定動作により近位方向に動くとき、ピン110(及びその結果、可動ラック114)が、近位方向に引かれ、それ故、固定用量設定機構104を設定するようにカラー108とインターフェースで連結する。
【0046】
設定及び投薬工程は、
図2a〜hで詳細に描写される。特に、
図2a〜2dは、薬物送達デバイス100の設定中の様々な点を描写し、及び
図2e〜hは投薬中の様々な点を描く。
図2aで示す通り、使用者が回転方向126で用量設定器106を回転し始めたとき、ピン110は、カラー溝122内に乗る。出発位置(即ち、事前設定位置)で、カラー溝122で配設される通りここで描かれるけれど、他の例においては、ピンは、用量設定が始まるまで、カラー溝122と係合し得ない。
【0047】
図2bは、可変用量設定機構102の更なる設定を描く。用量設定器106(及び、その結果カラー108)は回転するにつれて、ダイヤルスリーブ112は、第一の薬剤の可変用量を設定するために近位方向130で上昇する。ピン110は、また、近位方向130で引き上げられ、そしてこの動作は、第二の薬剤2の固定用量を設定することを始める。
【0048】
ピンが固定用量設定機構104の設定点に引き上げられるとき、カラー108におけるギャップ116は、ピンを溝122からの係合を解除することを可能にする。固定用量設定機構104の設定点は、
図2cで示される。第二の薬剤2が充分に設定されるとき、カラーは、
図2dで示す通り、第一の薬剤1の更なる設定を可能にするために、ピン110を通過して回転する。換言すれば、第二の薬剤2の固定用量が設定された後、ピンがカラーから係合を解除した後で第一の薬剤1の高い用量は設定し得る。
【0049】
図2eは、投薬工程の始めを描く。特に、投薬工程は、使用者が用量ボタン132を押すとき始まってもよい。この動作は、用量設定器106(そしてその結果、カラー108)を、回転方向134に回転させ、ここで、順に、用量設定器106の遠位方向136への動きを引き起こす。遠位方向136におけるこの動きは、第一の薬剤1の投薬を始め得る。
図2fで示す通り、用量設定器106及びカラー108が、第一の薬剤の投薬の間、逆回転するので、カラー溝122は、ピン110と再心合わせし(realign)、その結果、ピン110と再係合する。
図2gで示す通り、ピンが溝122を通して動くので、回転方向134と遠位方向136における更なる動きは、カラー108をピン110に向かって押し込み、そしてピンを遠位方向136に動かす。
図2hで示す通り、用量設定器106が、完全に、その出発位置(即ち、事前設定位置)へ押し下げられるとき、第一の薬剤1及び第二の薬剤2の両方が充分に投薬される。
【0050】
薬物送達デバイス100は、第一の薬剤の最小用量が設定された後、第一の薬剤の可変用量の送達及び第二の薬剤の固定用量の送達を含む治療用量プロファイルを有利に送達し得る。そのようなプロファイルの例が
図3に示される。
図3で示す通り、プロファイル150は、第一の薬剤1の最小可変用量152が設定された後、第二の薬剤2の固定用量154が設定されることを含む。固定用量154が設定された後、可変用量は、更に、最大用量156までダイヤル設定してもよい。
【0051】
最小閾
値用量152以下の第一の薬剤1の低用量設定のために、固定用量設定機構はその設定点に到達しない。ある例において、これがそのケースの場合、第二の薬剤は全く投
薬されない。即ち、固定用量設定機構104は、最大限の固定用量が設定された後のみ、薬剤を投薬するように構成され得る。最大限の用量より少ない用量が設定されるならば、固定用量設定機構は、単に、用量を投薬することなしにその出発位置に戻るように構成され得る。それ故、薬物送達デバイス100は、有利に、第一の薬剤1のみを用いて、デバイスのプライミングを可能にし得る。デバイス100は、例えば、第一の薬剤1に比較して第二の薬剤2が特に高価である場合には、特に有利であり得る。第一の薬剤1の最小用量が設定されるまで、第二薬剤の固定用量が設定され得ないので、使用者は、プライミング用量(例えば、用量152より少ない用量)をダイヤル設定し、そして第一薬剤でのみプライミングしてもよい。
【0052】
第二の例の薬物送達デバイスが、
図4a〜kに示される。特に、
図4a〜kは、設定及び投薬工程の操作の間の薬物送達デバイス200の近位端を描く。この薬物送達デバイス200は、薬物送達デバイス100と多くの観点で類似している。例えば、薬物送達デバイス200は、第一の薬剤1を保持する第一のリザーバ6のような、第一の薬剤を保持する一次リザーバに操作可能に連結する第一の用量設定機構202を含む。薬物送達デバイス200は、また、第二の薬剤2を保持する第二のリザーバ5のような、第二の薬剤を保持する二次リザーバに操作可能に連結する第二の用量設定機構204を含む。薬物送達デバイス200は、更に、可変用量の設定機構202に操作可能に連結する単一用量設定器206を含む。カラー208は可変用量設定機構202上に配設され、そしてリンケージ部材210は、固定用量設定機構204上に配設される。
【0053】
これらの様々な部材は、一般的に、薬物送達デバイス100の対応する部材と同一か又は類似する;しかしながら、薬物送達デバイス200は、修正カラー208及び修正された固定用量設定機構204を有する。この修正カラー208は、修正された治療用量プロファイルを実施することを可能にする。更に、修正された固定用量設定機構204は、段階的な固定用量プロファイルに従動する固定用量の設定を可能にする。換言すれば、固定用量の設定機構は、設定可能な固定用量をダイヤル設定した可変用量値を元に増分を増大させることを可能にする。固定用
量設定機構104と同様に、固定用量の設定機構204は、軸方向に設定された用量設定機構であってもよい。当該分野で一般的に公知であるように、そのようなデバイスは、薬剤の用量設定を容易にするラチェット機能を含んでもよい。その場合、追加のラチェット機能は、半分の用量設定並びに最大限の用量設定(以下で記載する)を可能にするように要求され得る。特別な例において、約28のラチェット工程が使用されるが、しかし、この数のラチェット工程は、必要に応じて変更できる。例えば、7の倍数単位でラチェット工程を有することは、それが直接週に関するので、使用者のために交換処方の計画を容易に計画するのに、潜在的に有利であり得る。一つの典型的な配置において、出願者のデバイスは、デバイスがプライミングを容易にする追加の設定を有するように構成され得る。このプライミング投与の後、デバイスは
、14の更なる「完全」用量を送達できる。
【0054】
具体的には、修正カラーは、複数のセクションを有する溝を含む。例えば、カラーは、略平坦なセクションである少なくとも第一のセクション及びらせんセクションを含む第二のセクションを有する溝を含み得る。例えば、
図4a〜kで図示するカラー208は、四つの異なったセクションを含む溝222を有する。特に、溝222は、第一のセクション240、第二のセクション242、第三のセクション244及び第四のセクション246を有する。第二のセクション242及び第四のセクション246は、らせんセクションではあるが、第一のセクション240及び第三のセクション244は、略平坦なセクションである。
図5はカラー208の透視図を図示し、ここで、カラーは薬物送達デバイス200上に未だ配設されて示されていない。
【0055】
カラー208のようなカラーは、段階的固定用量プロファイルを有利に達成し得る。特に、薬物送達デバイス200は、第一の薬剤の可変用量の送達及び第二の薬剤の段階的固定用量の送達を含む治療用量プロファイルを有利に送達し得る。例えば、第二の薬剤2の第一の固定用量は、第一の薬剤1の第一の最小用量が設定された後に設定されてもよく、そして、第二の薬剤2の第二の固定用量は、第一の薬剤の第二の最小用量が設定された後に設定されてもよい。例において、カラー208及び固定用量設定機構204は:
(i)第一の薬剤1の第一の最小可変用量の設定時に第二の薬剤2の半分の固定用量の設定;及び
(ii)第一の薬剤1の第二の閾値用量の設定時に、第二の薬剤2の最大限の固定用量の設定;
を構成され得る。そのようなプロファイルは、第一の薬剤1の対応用量が上昇するので、第二の薬剤2の用量にとって、固定した段階的増分が上昇することが有利なある治療に対
しては有用である。これらの各々の段階的上昇は、第一の薬剤1の特別に事前に規定された閾値用
量を超えるときのみ発生する。
【0056】
そのような段階的な固定用量プロファイルの様々な例は、
図6a〜cで示される。
図6aで示すプロファイル250において、第一の段階252は、第一の薬剤1の閾値用量254が設定されるとき、発生する。第一の段階252は、第二の薬剤2の用量253が設定されることをもたらす。この例において、用量253は、第二の薬剤2の半分の用量である。しかし、用量253は、第二の薬剤2の望ましいパーセンテージであり得ることは理解すべきである。例えば、これは、一様でないピッチ(即ち、段階1用のラチェットピッチ252は、段階2のピッチ256と異なる)を有することにより実施できる。第二の段階256は、第一の薬剤1の閾値用量258が設定されたとき発生する。第二の段階256は、第二の薬剤2の用量259が設定されることをもたらす。この例において、用量259は、第二の薬剤2の最大限の(例えば、最高)用量である。しかし、用量259は、第二の薬剤2の望ましいパーセンテージであり得ることは、理解すべきである。この例において、最大限の用量259が設定された後、使用者は、第一の薬剤1のより高い用量を設定することを継続してもよい。また、二つの段階のみがこの実例の用量プロファイルで示されているが、多い段階もまた可能である。
【0057】
薬物送達デバイス200のような薬物送達デバイスの例の利点は、第二薬剤2の半分及び最大限の設定点(又はいかなる望ましいパーセンテージでも)は、第一の薬剤1の設定に対して発生することを規定する能力である。薬物送達デバイスの潜在的に数種の変更例が作られ、そして多様な特定使用者の必要性に合致するように使用者に処方される。例えば、第一の薬剤1の高用量を、一般的に、使用し得る使用者は、彼らの用量を分割することを望むかもしれず(例えば、一つの位置において半分の用量を設定し、注射して、そしてその後、別の位置で第二の半分の用量を設定し、注射する)、又は、単一の位置において(例えば、不愉快さを引き起こす)、薬剤の高用量を注射することを避けるために用量を分割することを要求され得る。そのような使用者は、例えば、分割用量シナリオの間、二次薬剤を過剰投与するリスクを減少させるために、第一の薬剤(第二の薬剤の最大限の用量を設定するときに決定する)の半分の用量より、かなり高い点にある第一の薬剤1の第二の閾値から利益を受け得る。そのような用量プロファイルの例は、
図6bで示される。用量プロファイル260は:
(i)第一の薬剤1の可変用量264の設定時に、第二の薬剤2の半分の用量262を設定すること;及び
(ii)第一の薬剤1の可変用量268の設定時に、第二の薬剤2の最大限の用量266を設定すること;
を含む。図に示すように、第二の閾値可変用量268は、第一の薬剤1の最高の設定可能用量に近接している。それ故、注射を分割することを望む使用者は、第一の薬剤1の半分の用量をダイヤル設定し得る(そして、第一の薬剤の用量の各半分を有する第二の薬剤の半分の固定用量を送達する)。
【0058】
別の例において、第一の薬剤1の少量を一般的に使用してもよい使用者は、 第一の薬剤1の相対的に低い用量において、第二の薬剤2の最大限の用量を理想的に得られてもよい。その結果、使用者は、第二の薬剤2の最大限の固定用量を得ることを望むより、第一の薬剤1をより多く注射するための必要性を避けてもよい。そのような用量プロファイルの例は、
図6cで示される。用量プロファイル270は:
(i)第一の薬剤の低い可変用量274の設定時に、第二の薬剤の半分の用量272を設定すること;及び
(ii)第一の薬剤の低い可変用量278の設定時に、第二の薬剤の最大限の用量276を設定すること;
を含む。それ故、使用者は、最大限の用量を送達するために、
図6bで示す例とほとんど同じ高さの第一の薬剤1の用量をダイヤル設定する必要がない。
【0059】
薬物送達デバイス200の設定及び投薬工程は、
図4a〜kに詳細に描かれる。特に、
図4a〜4eは、各々、薬物送達デバイス200の設定中の様々な点を描き、そして、
図4f〜kは、各々、投薬中の様々な点を描く。
図4aで示す通り、使用者が回転方向226で用量設定器206を回転することを始めるとき、ピン210はカラー溝222にあり、特に、溝の平坦なセクション240にある。用量設定器206(及び、その結果カラー208)が回転するので、ダイヤルスリーブ212は、第一の薬剤1の可変用量を設定するために近位方向230で上昇し、そして、また、ピン210を、強制的に平坦なセクション240を通して走行させる(travel)。ピンは、軸方向に設定された固定用量設定機構204の可動ラック214に固定され得る。カラーが設定動作により回転し、近位方向に動くとき、ピン(及び、結果的に可動ラック)が近位方向に引かれ、その結果、固定用量設定機構204を設定するように、ピンはカラーとインターフェースで連結する。図
4bを参照して、ピンが平坦なセクション240を通して走行するので、固定用量設定機構204は、また、近位方向230で軸方向に動き、その結果、第二の薬剤の固定用量を設定することを始める。これは第二の薬剤2の半分の用量253を設定し得る(参照、
図6a)。
【0060】
図4cで示す通り、近位方向230において所定量の動きの後、ピン210は、第二/らせんセクション242内へ進入する。この例において、らせんセクション242は、可変用量設定機構のダイヤルスリーブと同一ピッチであり、及びその結果、カラー208をピンを通過して、そして固定用量設定機構204に荷重をかけずに回転させることになる。換言すれば、ピン210は、らせんセクション242を通して動くので、固定用量設定機構204は、近位方向230に動かない。
【0061】
所定量の回転の後、
図4dで示す通り、ピン210は第三の/平坦なセクション244に進入する。その後、更なる回転は、ピン210を、強制的に平坦なセクション244を通して走行させる。
図4eを参照して、ピンが平坦なセクション244を通して走行するので、固定用量設定機構204は、また、軸方向で近位方向230に動き、その結果、第二の薬剤2の固定用量を設定する。これは、例えば、第二の薬剤の最大限の用量259を設定する動作であり得る(
図6a参照)。
【0062】
第二の薬剤の最大限の固定用量が設定された後、用量設定器206は、更に、第一の薬剤1のより高い用量を設定するために回転し得る。特に、ピン210が第三の、平坦なセクション244を通して走行するとき、ピンは、その後、第四の/らせんセクション246内に進入する。このセクションにおいて、らせんセクション246は、可変用量設定機構のダイヤルスリーブと同一ピッチであり、それで、カラー208をピンを通過して回転させ、そして固定用量設定機構に荷重をかけない。ピンは、その後、第四の、らせんセクション246に存在し得て、そして使用者は、望めば、第一の薬剤のより高い用量を設定することを継続できる。
【0063】
別の例において、カラー208は、第四のらせんセクションを含まなくてもよい。むしろ、カラーは、第三の平坦なセクション244で、単に、終了してもよく、そして、ピン210がこの平坦なセクションを出るとき、用量設定器は、もし望めば、第一の薬剤のより高い用量を設定するために回転を継続できる。
【0064】
第一の薬剤の望ましい用量を設定した後、使用者は薬剤を投薬してもよい。
図4gは、投薬工程の始まりを図示する。特に、投薬工程は、使用者が用量ボタン232を押したとき、始まるかもしれない。この動作は用量設定器206(そしれてその結果、カラー208)を回転方向234に回転させ、ここで、順に、用量設定器206を遠位方向236に動かす。この遠位方向236における動きは、第一の薬剤1の投薬を始め得る。
図4g〜hで示す通り、用量設定器206及びカラー208は、第一の薬剤1の投薬中に逆回転するので、ピン210は平坦なセクション244と再心合わせする。回転方向234及び、その結果、遠位方向236における更なる動きは、カラー208をピン210に向かって押し込み、そしてピンが平坦なセクション244を通して動くとき、遠位方向236にピンを動かす。この動作は、第二薬剤2の投薬を始める。この平坦なセクション244が半分の用量から最大限の用量へ用量を増大させる例において、第二の薬剤2の半分の用量は、ピンが平坦なセクション244を通して走行するとき、投薬されるであろう。
【0065】
更に、回転は、ピン210を、強制的にらせんセクション242を通して動かす。ピッチがダイヤルスリーブ212のそれと合致するので、らせんセクションは、ピン210を通過して巻き戻し、そしてこの動作は、遠位方向236において固定用量設定機構の軸方向の動きを引き起こさない。しかし、ピン210は、その後、
図4i〜jで示す通り、平坦なセクション240に進入し、そしてこの力は、第二の薬剤2の投薬を継続させた。この平坦なセクション240が第一の半分の用量を設定する例において、第二の薬剤の用量のその半分は、ピンが平坦なセクション240を通して走行するとき投薬されるであろう。用量設定器206が、
図4kで示す通りに、その出発位置(即ち、事前設定位置)に完全に押し戻されるとき、第一の薬剤1及び第二の薬剤2の両方が、完全に投薬される。
【0066】
溝セクションが、望ましい用量プロファイルを実施するために、有利に、修正できる。例えば、溝は、より多くの平坦なセクション及びより多くのらせんセクションを有してもよく、その結果、段階的な固定用量プロファイルにおいて、より多くの段階をもたらす。例えば、溝セクションは、薬物送達デバイスが、1/4用量、1/2用量、3/4用量及び最大限の用量を設定できるように設計でき得る。
【0067】
別の例として、平坦なセクションを有するよりむしろ、カラー208は:
(i)第一のピッチを有する第一のらせんセクションである第一のセクション;及び
(ii)第一のピッチとは異なる第二のピッチを有する第二のらせんセクションである第二のセクション;
を有する溝を含んでもよい。
【0068】
尚、別の例において、カラーを有する薬物送達デバイスは、固定比率、第一の固定用量、オフセット固定比率及び第二の固定用量を送達することを含む用量プロファイルに基づく薬剤を送達するように構成され得る。
図4に関して上記で議論した例と同様に、そのような用量プロファイルの特別の利点は、第二薬剤の半分及び最大限の(又はいかなる望ましいパーセンテージの)設定点が、第一の薬剤の設定に対して発生するところを規定する能力である。潜在的に薬物送達デバイスの数種の変異体は、製造可能であり、特定使用者の多様な必要性に適合するために、使用者により規定され得る。例えば、高用量の第一の薬剤を一般的に使用し得る使用者は、単一の位置(不愉快さを引き起こし得る)において高用量の薬剤を注射することを避けるために用量を分割すること(例えば、一つの位置において半分の用量を設定し、注射し、そしてその後、別の位置において第二の半部の用量を設定し、注射すること)を望むかもしれない。そのような使用者は、第一の薬剤の半分の用量より高い点にある第一の薬剤の第二の最小閾値(第二の薬剤の最大限の用量が設定されるときを決定する)から利点を得るかもしれない。
【0069】
固定比率、第一の固定用量、オフセット固定比率及び第二の固定用量を含む用量プロファイルの例が
図7aに示される。用量プロファイル280は、固定比率部分282、第二の薬剤2の第一の固定用量部分284、オフセット固定比率部分286及び第二の薬剤2の第二の固定用量部分288を含む。固定比率、第一固定用量、オフセット固定比率及び第二の固定用量を含む用量プロファイルの別の例は、
図7bに示される。用量プロファイル290は、固定比率部分292、第一の固定用量部分294、オフセット固定比率部分296及び第二の固定用量部分298を含む。
図6cに関して記載したプロファイルに類似して、実例のプロファイル280は、低容量の第一の薬剤の使用者にとって、有用であるかもしれない。更に、例のプロファイル290は、高容量の第一の薬剤の使用者にとって、有用であるかもしれない。
【0070】
図8aは、プロファイル280又は290のような用量プロファイルを実施し得る実例の薬物送達デバイスを描く。薬物送達デバイス300は、薬物送達デバイス200に多くの観点で類似し、それ故、詳細には記載しない。例えば、薬物送達デバイス300は、第一の薬剤1を保持する一次リザーバに操作可能に連結された第一の用量設定機構302を含み、そして、第二の用量設定機構304は、第二の薬剤2を保持する二次リザーバに操作可能に連結し得る。薬物送達デバイス300は、また、可変用量設定機構302に操作可能に連結された単一用量設定器306を含む。カラー308は可変用量設定機構302上に配設され、そしてリンケージ部材310は、固定用量設定機構304上に配設される。
【0071】
薬物送達デバイス200の固定用量設定機構及びリンケージ部材に比較して、しかし、固定用量設定機構及びリンケージ部材は、若干修正されている。この例において、固定用量設定機構304は、回転して設定される固定用量設定機構である。更に、リンケージ部材310は、ピンスリーブ312及びピン314を含む。カラー308は、ダイヤルスリーブ316(参照、
図8b)及び/又は用量設定器306に固定され、そしてピンスリーブ312及びピン314は、ダイヤルスリーブ318がデバイス300の本体320に対して回転するので、ピンスリーブ312は、回転が拘束されて固定して留まるように、ダイヤルスリーブ318に対して固定される。ダイヤルスリーブ318は、ダイヤルスリーブ316と同じピッチを有しても、有さなくてもよい。ピンスリーブ312に対する回転の拘束は、レッグ(leg)機能328などの本体上の係合機能に係合することにより提供され得る。上記で記載した例と同様に、ピンスリーブ312及びピン314は、カラー308と相互作用するピン314を経由して第二の用量設定機構304に上昇させる力(用量設定のため)又は低下させる力(投薬のため)を分け与えることができる。
【0072】
カラー208と同様に、カラー308は、平坦及びらせんセクションを有する溝322を含んでもよい。特に、溝322は、平坦ねじセクション330及びらせんねじセクション332を有する。上記の通り、平坦なセクション330は、用量設定器306のダイヤル設定に基づき、上方に引かれるピン314をもたらす。らせんセクション332は、ダイヤルスリーブ316と同一ピッチを有してもよく、そしてそれで、用量設定器306が回転するとき、ピンを通過して回転するカラー308(そしてその結果、第二の薬剤に負荷しない)をもたらすであろう。特に、
図8a〜bを参照して、ダイヤル設定中、ピン314がカラー308上の平
坦なセクション330に係合するとき、荷重は、用量設定器306と同じ割合で、方向334に近位的にピンスリーブ312(及びその結果、固定用量設定機構304)を動かすために移動する。しかし、ピン314が、カラー308上のねじ山のらせ
んねじセクション332に位置するとき、いかなる荷重も移動せず、そして固定用量設定機構304のいかなる近位運動も発生しない。
図8aが5個の平坦なセクション及び5個のらせんセクションを描くが、多かれ少なかれ、平坦及びらせんセクションも可能であることは留意すべきである。
【0073】
固定用量設定機構304は、回転して設定される固定用量設定機構であるので、
図7a〜bで示す通り、ピン314が軸方向に持ち上げられるとき実施される用量プロファイルは、固定比率である。
【0074】
投薬時に、カラー308のらせんセクション332は、ピン314を通過し、そして、
平坦なセクション330は、ピン314を押し下げ、第二の薬剤の投薬をもたらす。
図8a及び8c〜eを参照して、投薬ストローク中、ピン314がカラー308上の平
坦なセクション330と係合するとき、荷重はピンスリーブ312に移動する。この動作は、固定用量設定機構304を用量設定器306と同じ速度で遠位的に動かす前に、機構のこの側でクラッチ340の係合を解除するために(参照、
図8e)、遠位方向336にわずかな距離でピンスリーブ312を移動させる。クラッチ340が係合を解除されるとき、用量設定器306にかかる荷重の一部は、固定用量設定機構304から薬剤を投薬するために移動する。用量をダイヤル設定するのと同様に、ピン314は、ねじ山のらせんセクション332に位置するとき、いかなる荷重も移動せず、それで、固定用量の設定機構304のいかなる遠位運動も発生しない。
【0075】
出願者の提案した概念に従う薬物送達デバイス用の別の実例のカラーは、
図9に示される。このカラーは、また、
図6aで示す段階型用量プロファイル250のような段階型用量プロファイルを実施し得る。また、このカラーは、可変段階型用量プロファイルを実施できる。例の可変段階型用量プロファイルが
図12で示される。
図12で示す通り、用量プロファイル500において、第二の薬剤の固定用量は、段階的間隔で上昇する。具体的には、固定用量の第一の段階502(この例においては、半分の用量である)は、第一の薬剤の閾値用量504が設定されるとき発生し、そして固定用量の第二の段階506(この例においては、最大限の固定用量が完結する)は、第一の薬剤の閾値用量508が設定されるとき発生する。しかし、これらの段階が発生する閾値用量は、矢印510で示す通り、どちらかの方向に変化してもよい。
【0076】
図9に戻って、カラー400は、第一の用量設定機構402上に配設される。 カラー400は、第一の溝の付いた突出物406を有する第一のセクション、及び第二の溝の付いた突出物410を有する第二のセクションを含む。第二の用量設定機
構は、リンケージ部材412を含んでもよい。
図9の例において、リンケージ部材412は、第二の用量設定機構の可動ラッ
ク416に連結したフランジ414を含む。リンケージ部材412は、第一の薬剤の第一の最小用量が設定された後、第一の溝付き突出物406に係合可能であり、そして、リンケージ部材は、第一の最小用量より高い第二の最小用量が設定された後、第二の溝付き突出物410に係合可能である。
【0077】
カラー400のようなカラーを有するデバイスの操作は、上記のデバイス100及び200の操作と同様である。特に、使用者インターフェース418の回転時に、可変用量設定機構402は、カラー400を回転させ、そして近位方
向に動かせる。カラー400が回転するとき、カラー上の第一の溝付き突出物406とインターフェースで連結する可動ラック416上のフランジ414は、近位方
向に引かれ、結果として、第二の薬剤2を設定することを始める。
【0078】
第一の薬剤1が第一の事前に規定された閾値に到達するとき、第一の溝付き突出物406が終了する。結果として、示される通り、フランジ414と相互作用するために、カラー400上には機能が存在しない。結果として、第一の用量設定機構402は、カラーと一緒に可動ラック416を引くことなしに、回転すること(第一の薬剤のより高い用量を設定すること)を継続できる。
【0079】
カラー400上の第二の所定の点において、第二の溝付き突出物410は、溝付き突出物410がフランジ414に係合し
、可動ラック416を、更に、第一の薬剤の継続したダイヤル設定
を行う状態で引き抜くようにして始まる。溝付き突出物との係合が、カラーを適切に設計することにより可能となることを理解すべきであろう。例えば、係合は、それらがカラーの回転を補足するらせん経路に従動し、そしてフランジが用量選択と投薬の両方で要求される通りに、取り上げられることを確実にするように突出物を設計することにより可能となり得る。
【0080】
第一の薬剤1の設定を継続することは、第二の薬剤2の最大限の固定用量が設定されるまで、可動ラック416を引くことを継続するであろう。この点において、第二の溝付き突出物410は係合を解除し、もし望めば、第一の薬剤1の高い用量を設定することを可能にする。
【0081】
投薬中に、逆も起こる。即ち、突出物406、410は、反対方向に回転するが、しかし、用量の設定中、同一らせん経路上に従動する。カラー400は、同時に、デバイスのハウジング内に逆回転し、そして、投薬サイクルの所定点において可動ラック416のフランジ414に係合する。フランジ414が係合し、第一の薬剤1が投薬されるときはいつも、第二の薬剤2の段階は同時に投薬されるであろう。
【0082】
上記の通り、例において、カラー400は、可変段階的用量プロファイルが可能になり得る。例えば、第一のセクションは、第二のセクションに連結され、そして二つのセクション間の連結配置431は、例えば、第一のセクションと第二のセクション間の距離を増大させるために、第一と第二のセクション間の距離を調整することを可能となるように構成され得る。例の連結配置431は
図10a及び10bに示す。この例の連結配置は、第一の溝付き突出物406と第二の溝付き突出物410の間の距離を変更することを可能とする。特に、連結配置は、ねじ付き配置であり、ここで、第一のセクションは、雄ねじ430を含み、第二のセクションは、雌ねじ432を含む。ねじ付き配置は、
溝付き突出物406、410の間の距離を変化させることを望む場合、調整することができる。例えば、
図10aは、
溝付き突出物406と
溝付き突出物410間の距離434を示し、一方、
図10bは
溝付き突出物406と
溝付き突出物410間の距離436を示す。スナップフィットタイプの連結配置を含むが、それに限定されない突出物間の距離を変更することを可能とし得る他の連結配置も、また、可能である。
【0083】
突出物が
図10aで示す通り、互いに接近している場合、デバイスは、第一の薬剤の相対的に低い閾値用量において、第二の薬剤の最大限の用量を設定することを含む用量プロファイルを実施し得る。例えば、プロファイル440(参照、
図11a)のような用量プロファイルが、実施され得る。しかし、突出物が
図10bで示す通り、更に離れている場合、デバイスは、第一の薬剤のより高い閾値において第二の薬剤の最大限の用量を設定することを含む用量プロファイルを実施し得る。例えば、プロファイル450(参照、
図11b)のような用量プロファイルが、実施し得る。
【0084】
このタイプの使用者可変のインターフェースの利点は、第二の薬剤2の最大限の用量が、設定された第一の薬剤1の量に対して設定される点を、使用者が規定してもいいことである。この使用者可変インターフェースは、一回設定された(set-once)配置であり得て、ここで、使用者(例えば、患者又は医療専門家)は、溝付きセクション間の距離を一度に設定する。あるいは、この使用者インターフェースは、要求される通り、使用者が複数回調整できる機能であり得る。このいずれかの場合においても、すべての注射の前に、この使用者インターフェースを調整することは、使用者にとって必要ではありえない。従って、実際の注射を実施するために要求される使用者の段階は、使用者が第一の使用者インターフェース(即ち、用量設定器)を操作することのみを要求されるように簡略化される。
【0085】
カラー108、208、308及び400などのカラーを有する薬物送達デバイスの更なる利点は、第二の薬剤の遅延設定は、使用者が第一の薬剤のみを用いて(そして第二の薬剤なしで)、プライミング工程を実施し得ることを意味するという事実に関する。このプライミングは、第二の薬剤のいかなる投薬もなしで、必要な回数(各々、第一の薬剤の最小閾値までの容量を有して)を実施できる。多回投与の薬物送達デバイスのために、このタイプのプロファイルは、例えば:
(i)第二の薬剤が繰り返しプライミングを必要としない;
(ii)第一と第二の薬剤の同時プライミングは、第一の薬剤の不成功なプライミングを隠すかもしれない;又は
(iii)第二の薬剤が、好ましくは、浪費すべきでない特に高価な化合物である場合、有利であり得る。他の例も同様に可能である。
【0086】
第一と第二の突出物の間の距離を増大させることに加えて、第一の設定点(即ち、第一の最小用量閾値)は、独立に可変であり得る。従って、第二の薬剤が設定することを始める点は、希望通りに変更し得る。
【0087】
例えば、
図9を参照して、この配置は修正可能であり、ここで、カラーはカラー(及び関連フランジ)の回転
が溝付き突出物406を
、フランジ414に対して遠位的に動かすように、らせんねじ山を経由して個別のエレメント(それ自身、番号スリーブ又は類似のスリーブに連結される)上に取り付けられる。406と410間の関係が同じように維持される場合、その後、
図10aとbに類似の部分配置も可能であろう。上部及び下部の段階が独立して調整可能である場合、その後、少なくとも三つの構成部材のサブアセンブリ配置も恐らく必要となろう。
【0088】
上記の通り、各用量の前に、使用者は、第二の薬剤の最大限の用量が設定される点で閾値を潜在的に変更でき、又は使用者が閾値をその以前に設定された値から変更しないまま放置してもよい。同様に、半分の用量閾値は、また、潜在的に、使用者により、又はデバイスの譲渡の前に、処方された医療専門家により変更でき得る。
【0089】
上記の通り、上記の薬物送達デバイスのいくつかの例において、デバイスは、二つ又はそれ以上の段階などの、複数の段階において、固定用量を増大させるように構成でき、各々は、第一の薬剤の関連する規定された閾値が設定されるとき、設定される。
【0090】
上記で記載した実例の薬物送達デバイスにおいて、薬物送達デバイスは、更に、第一の薬剤及び第二の薬剤の少なくとも一つの投薬を支援する、薬剤の送達を支援する付勢エレメントなどの力−支援エレメントを含んでもよい。付勢エレメントは、限定されないが、一定力スプリング、圧縮スプリング、引張りスプリング及び捻じれスプリングなどのいかなるエネルギ貯蔵エレメントであってもよい。例において、第一及び第二の薬剤の設定中、エネルギは、スプリングエレメントに加えられ、そして投薬中、この貯蔵されたエネルギは、薬剤の投薬を支援するために解放され得る。例えば、スプリングエレメントが固定用量設定機構に操作可能に連結されるとき、スプリングエレメントは、第二の薬剤の投薬を支援し得る。
【0091】
投薬を支援することにより、スプリングエレメントは、薬剤の投薬のために、使用者から要求される力を、有利に低下させ得る。
【0092】
出願者の開示した実例のピン/カラー配置と関連してスプリング投薬支援エレメントを用いる特別の特徴は、投薬中の第二の薬剤の用量設定機構の抵抗に対して低いスプリング力で、カラーがピンに対して押すことを引き起こすことである。これは摩擦荷重を増大させ、従って、薬剤を投薬するために必要とされる使用者が入力する力を増大させる。この状況は
図13aで描かれる。示される通り、スプリング力602(「S」)は、第二の用量設定機構(「B」)の抵抗力604より小さい。従って、ピ
ン608は、近位方向610においてカラー606に対して軸方向の荷重を適用する。
【0093】
スプリング力が、投薬中、第二の薬剤の用量設定機構の抵抗に対して高いとき、ピンは遠位方向612においてカラーに対して軸方向の荷重を適用する。この状況は、
図13cで描かれる。示される通り、スプリング力602(「S」)は、第二の用量設定機構(「B」)の抵抗力604より大きい。従って、ピン608は、遠位方向612においてカラー606を押し付ける。
【0094】
スプリング力が、
図13bで描かれ
る通り、動きに対する第二の用量設定機構の抵抗に正確に等しい所定のバランスが存在してもよい、しかし、これは投薬ストロークに沿って可変であり得るので、この所定の理想的なバランスを達成することは、ある環境下では、困難であるかもしれない。しかし、スプリング力は、使用者の荷重が、低い第二の用量設定機構の抵抗において、若干増大するが、高い抵抗においては減少するように導入でき、その結果、投薬ストロークにかかる使用者が入力する力を均等にし、そしてピーク力を低下させる。
【0095】
開示された薬物送達デバイスは、薬物廃棄物を管理する観点から、モジュール方式の廃棄可能な又は再使用可能なプラットフォームに対して適合し得る。これは、もし二つの薬剤間で厳密に1:1比が存在しなければ、一つの薬剤が、他方の薬剤の前に完了するリスクが存在するからである。しかし、両側が再設定可能である場合、新しい薬剤リザーバが挿入でき、そしてデバイスは使用を継続できる。モジュール方式の使い捨てプラットフォームのための可能な実施態様は、新しい一次パックを取り付けた完全なデバイス機構の代替を含むが、それに限定されない。好適な再係合機能は、心合わせ、及び頑丈で使用者に優しい方式での個々のデバイス機構を一緒に締結することを支援するためにデバイスプラットフォーム内に一体化し得る。そのような機能は、それ自身の上に二つの個別のエレメントの許容可能な機能性を規定するために配列できることは可能である。
【0096】
可能性のある再使用可能プラットフォームは、当該分野で公知のものと同様に、それらが走行の限界点に到達したとき、それぞれのデバイス内に巻き戻されるスピンドルの機能を果たす。この機能性に加えて、プラットフォームは、一つ又は両方のスピンドルの再設定の後、薬剤のひとつのリザーバ又は複数のリザーバの手段の機能を果たす。
【0097】
本発明の典型的な実施態様が記載された。しかし当業者は、変化及び修正が特許請求の範囲で規定された本発明の真の範囲及び精神から離れることなく、これらの実施態様に対して行われ得るこ
とを理解するであろう。
【0098】
参照番号リスト
1:第一の薬剤;
2:第二の薬剤;
3:単回投薬インターフェース/針;
4:使い捨てハブ/ハウジング;
6
:カートリッジホルダ/一次リザーバ;
7:回転カップリング;
10
:複数使用の投薬デバイス;
12:単一用量設定器;
102、202、3
02、402:可変用量設定機構;
104、204、304:軸方向に設定され
た固定用量設定機構;
106、206、306、418:単一用量設定器;
108、208、308、400:カラー;
110、210、310、412:リンケージ部
材/ピン;
11
4、214、416:可動ラック;
116:ギャップ;
118: 第一の端;
120: 第二の端;
122:溝;
13
0、230、334、610:近位方向;
136、236、336、420、612:遠位方向;
152、254:最小用量;
154、253:固定用量;
222:溝;
24
0、244:平坦なセクション;
24
2、246:らせんセクション;
250:段階的固定用量プロファイル;
280、290:用量プロファイル;
282、292:固定比
率部分;
284、294:第一の固定用
量部分;
286、296:オフセット固定比
率部分;
288、298:第二の固定用
量部分;
312:ピンスリーブ;
314:ピン;
322:溝;
404:第一のセクション;
406:第一の溝付き突出物;
408:第二のセクション;
410:第二の溝付き突出物;
414:フランジ;
431:連結配置;
434、436:距離;
430:雄ねじ;
432:雌ねじ;