特許第5959558号(P5959558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン高丘株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000002
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000003
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000004
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000005
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000006
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000007
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000008
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000009
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000010
  • 特許5959558-複合構造体及びその製造方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959558
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】複合構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20160719BHJP
   B29C 43/20 20060101ALI20160719BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20160719BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20160719BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20160719BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20160719BHJP
【FI】
   B32B15/08 105Z
   B29C43/20
   B29C43/34
   B29C67/14 X
   B29K105:08
   B29L9:00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-50751(P2014-50751)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-174247(P2015-174247A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100805
【氏名又は名称】アイシン高丘株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 清人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 義政
(72)【発明者】
【氏名】河邊 浩和
(72)【発明者】
【氏名】稲本 好輝
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−312646(JP,A)
【文献】 第3回日本複合材料合同会議 JCCM-3,日本材料学会/日本複合材料学会,2012,p.204-207
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00〜43/00
B29C39/00〜39/24
39/38〜39/44
41/00〜41/36
41/46〜41/52
43/00〜43/34
43/44〜43/48
43/52〜43/58
70/00〜70/88
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料からなるベース部材と、
強化繊維が長手方向に沿って一方向に配向した繊維強化プラスチックからなり、前記ベース部材に接合された、補強部材と、
を有し、
前記補強部材には、前記長手方向の全体にわたってスリットが形成されたことを特徴とする、複合構造体。
【請求項2】
前記補強部材は、熱硬化性樹脂を含有するものであって、前記ベース部材と直接接合されたことを特徴とする、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
金属材料からなるベース部材と、
強化繊維が一方向に配向した繊維強化プラスチックからなり、前記ベース部材に接合された、補強部材と、
を有し、
前記補強部材には、前記強化繊維の配向方向に沿ってスリットが形成された複合構造体の製造方法であって、
前記スリットに対応する形状を有する突起が設けられた一対の金型を用意し、
一対の前記金型の間に、前記ベース部材と、強化繊維が一方向に配向した繊維強化プラスチックのプリプレグからなる補強部材前駆体とを、前記強化繊維の配向方向が前記突起の長手方向に沿うようにセットし、
一対の前記金型を閉じ合わせることで、前記補強部材前駆体に対して所定形状への成形及び前記スリットの形成を行うとともに、前記ベース部材と前記補強部材前駆体との積層体を形成し、
一対の前記金型を閉じ合わせた状態で、一対の当該金型内にて前記積層体を加熱する、
ことを特徴とする、複合構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチックと金属材料との複合構造体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合構造体及びその製造方法として、例えば、特開2010−149350号公報、国際公開第2013/146900号、等に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−149350号公報
【特許文献2】国際公開第2013/146900号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の複合構造体において、繊維強化プラスチック部分と金属部品との接合部における歪みや剥離の発生(特に両者の熱膨張係数の相違に基づくもの)の懸念があった。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題に対処するため、請求項1に記載の発明は、金属材料からなるベース部材と、強化繊維が長手方向に沿って一方向に配向した繊維強化プラスチックからなり前記ベース部材に接合された補強部材と、を有する複合構造体において、前記補強部材には前記長手方向の全体にわたってスリットが形成されていることを特徴とする。
【0006】
繊維強化プラスチックにおいては、強化繊維の配向方向(以下、単に「配向方向」と称することがある。)と、かかる配向方向と交差(典型的には直交)する方向とで、加熱・冷却時における膨張・収縮量が異なる。このため、繊維強化プラスチックとして、強化繊維が一方向に配向したもの(いわゆるUD材:UDはUni Directionの略)が用いられた場合、配向方向に起因して、膨張・収縮量の異方性が生じる。すなわち、UD材においては、配向方向に対して直交する方向における膨張・収縮量の方が、配向方向における膨張・収縮量よりも大きくなる。このような異方性に伴い、接合部における歪みや剥離の発生の懸念が生じる。
【0007】
この点、請求項1に記載の発明によれば、金属部品であるベース部材とUD材である補強部材との接合体である複合構造体において、補強部材に、強化繊維の配向方向に沿ったスリットが当該補強部材の長手方向の全体にわたって形成されている。これにより、配向方向に対して直交する方向における接合部の長さが削減され、以て当該方向における補強部材の膨張・収縮量が抑制される。したがって、本発明によれば、接合部における歪みや剥離の発生を良好に抑制しつつ、UD材による配向方向についての繊維強化特性を得ることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明においては、熱硬化性樹脂を含有する補強部材が、ベース部材と直接接合されている。かかる構成によれば、上述の構成を有する複合構造体が、簡易な製造工程によって得られる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、金属材料からなるベース部材と、強化繊維が一方向に配向した繊維強化プラスチックからなり、前記ベース部材に接合された、補強部材と、を有し、前記補強部材には、前記強化繊維の配向方向に沿ってスリットが形成された複合構造体の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする:(1)上述のスリットに対応する形状を有する突起が設けられた一対の金型を用意し、(2)一対の金型の間に、ベース部材と、強化繊維が一方向に配向した繊維強化プラスチックのプリプレグからなる補強部材前駆体とを、強化繊維の配向方向が突起の長手方向に沿うようにセットし、(3)一対の金型を閉じ合わせることで、補強部材前駆体に対して所定形状への成形及びスリットの形成を行うとともに、ベース部材と補強部材前駆体との積層体を形成し、(4)一対の金型を閉じ合わせた状態で、一対の当該金型内にて積層体を加熱する。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、金属材料からなるベース部材と、強化繊維が一方向に配向した繊維強化プラスチックからなり、前記ベース部材に接合された、補強部材と、を有し、前記補強部材には、前記強化繊維の配向方向に沿ってスリットが形成された構成を有する複合構造体が、簡易な製造工程によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る複合構造体の概略構成を示す平面図。
図2図1における2−2断面図。
図3】本発明の一実施形態に係る製造方法の説明図。
図4】本発明の一実施形態に係る製造方法の説明図。
図5】本発明の一実施形態に係る製造方法の説明図。
図6】一変形例に係る複合構造体の概略構成を示す断面図。
図7図6に示された複合構造体の製造方法の説明図。
図8図6に示された複合構造体の製造方法の説明図。
図9図6に示された複合構造体の製造方法の説明図。
図10】他の一変形例に係る複合構造体の概略構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、変形例は、当該実施形態の説明中に挿入されると首尾一貫した一実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0013】
<複合構造体の構成>
図1は、本実施形態に係る複合構造体10の平面図である。図2は、図1における2−2断面図である。以下、図1及び図2を参照しつつ、複合構造体10の具体的構成について説明する。
【0014】
複合構造体10は、図1に示されているように所定の(図中上下方向と平行な)長手方向を有するとともに、図2に示されているように所謂「ハット形状」に形成されている。具体的には、複合構造体10は、フランジ部10aと、第一U字部10bと、接続部10cと、第二U字部10dと、フランジ部10eと、を有している。
【0015】
フランジ部10aは、上述の長手方向と平行な長手方向を有する平面視にて矩形状の平板状部分であって、複合構造体10の幅方向(上述の長手方向と直交し且つ複合構造体10の厚さ方向と直交する方向:図中左右方向)における一端側に設けられている。第一U字部10bは、図2に示されているように、断面視にて略U字形状に形成された部分であって、その一端がフランジ部10aに接続されるとともに他端が接続部10cに接続されている。
【0016】
接続部10cは、上述の長手方向と平行な長手方向を有する平面視にて矩形状の平板状部分であって、第一U字部10bと第二U字部10dとの間に設けられている。第二U字部10dは、断面視にて第一U字部10bと同様(具体的には略同一)の略U字形状に形成された部分であって、その一端が接続部10cに接続されるとともに他端がフランジ部10eに接続されている。フランジ部10eは、上述の長手方向と平行な長手方向を有する平面視にて矩形状の平板状部分であって、フランジ部10aと同様(具体的には略同一)の形状に形成されている。
【0017】
複合構造体10は、薄板状の金属材料を上述のような形状に曲げ加工することで形成されたベース部材11と、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)からなりベース部材11に接合された補強部材12と、を備えている。すなわち、この複合構造体10は、CFRPと金属材料との積層(接合)構造を有している。特に、本実施形態においては、補強部材12は、ベース部材11との接合部にて、熱硬化性樹脂を含有するように設けられている。具体的には、本実施形態においては、熱硬化性樹脂を含有する補強部材12が、付加的な接着層を介さずに、ベース部材11と直接接合されている。
【0018】
ここで、本実施形態においては、この複合構造体10は、長手方向についての強化が要求されているものとする。このため、本実施形態においては、補強部材12は、複合構造体10における所定の強度が必要な部分(具体的には第一U字部10b、接続部10c、及び第二U字部10d)にのみ設けられていて、その他の部分(具体的にはフランジ部10a及び10e)については補強部材12の設置が省略されている。また、補強部材12は、一方向に揃えられた連続炭素繊維(長繊維)を含む、いわゆるUD材であって、複合構造体10の長手方向についての強化のため、配向方向が上述の長手方向に沿った方向(例えば平行)となるように設けられている。
【0019】
補強部材12には、スリット13が、配向方向に沿って(具体的には配向方向と略平行に)形成されている。スリット13は、ベース部材11の内面(補強部材12が接合されている側の表面)を露出させるように、補強部材12の長手方向における全体にわたって設けられている。また、本実施形態においては、スリット13は、第一U字部10bの幅方向における略中央位置、及び第二U字部10dの幅方向における略中央位置に配設されている。
【0020】
<製造方法>
次に、上述の構成を有する複合構造体10の製造方法について、図3図5を用いて説明する。
【0021】
一対の金型のうちの固定型(雌型ともいう)である下型20には、ハット形状に予め形成されたベース部材11の外面(上述の内面とは反対側の面)と当接するように形成された凹部であるキャビティ21が設けられている。また、下型20の内部には、キャビティ21の内面に沿って、加熱用のヒータ22が設けられている。
【0022】
一対の金型のうちの移動型(雄型ともいう)である上型30には、上述のベース部材11の内面に沿った形状(すなわち第一U字部10b及び第二U字部10dに対応する形状)の凸部31が設けられている。すなわち、凸部31は、図3における紙面と垂直な方向の長手方向を有するように形成されている。
【0023】
凸部31の幅方向(長手方向と直交し且つ凸部31の突出方向と直交する方向:図中左右方向)における略中央部には、上述のスリット13(図1及び図2参照)に対応する形状を有するスリット形成突起31aが形成されている。すなわち、スリット形成突起31aは、上述のスリット13と略同一の長さを有するレール状の突起であって、凸部31の長手方向と平行な長手方向を有するように設けられている。また、上型30の内部には、凸部31の外面に沿って、加熱用のヒータ32が設けられている。
【0024】
図3に示されているように、最初に、下型20に、金属部品であるベース部材11がセット(配置)される。また、上型30と、ベース部材11がセットされた下型20と、の間に、シート状のプリプレグ41がセット(配置)される。ここで、本発明の「補強部材前駆体」としてのプリプレグ41は、硬化前の熱硬化性樹脂を含有する、UD材のプリプレグである。このプリプレグ41は、強化繊維の配向方向がスリット形成突起31aの長手方向に沿うように(具体的には当該長手方向と略平行となるように)セットされる。
【0025】
次に、図4に示されているように、下型20と上型30とを閉じ合わせる。これにより、プリプレグ41が、ベース部材11の内面形状に倣ったハット形状に成形されつつ、ベース部材11と積層される。このとき、スリット形成突起31aがプリプレグ41内に侵入することで、プリプレグ41に、スリット13の形状に相当するスリット42が形成される。
【0026】
続いて、図4に示されている状態で、プリプレグ41とベース部材11との積層体は、ヒータ22及び32により所定温度・所定時間加熱される。これにより、プリプレグ41にて熱硬化性樹脂の硬化反応が進行して、スリット13を有する補強部材12が生成するとともに、ベース部材11と補強部材12とが積層されつつ互いに強固に接合される。その後、図5に示されているように、下型20と上型30とが開型され、成形された複合構造体10が抜き取り可能となる。
【0027】
<作用・効果>
本実施形態の複合構造体10においては、金属部品であるベース部材11とUD材である補強部材12との接合体である複合構造体10において、補強部材12に、強化繊維の配向方向に沿ったスリット13が形成されている。これにより、配向方向に対して直交する幅方向における接合部の長さが削減され、以て当該幅方向における補強部材12の膨張・収縮量が抑制される。したがって、かかる構成によれば、接合部における歪みや剥離の発生を良好に抑制しつつ、UD材による配向方向についての繊維強化特性を得ることが可能となる。
【0028】
特に、本実施形態の構成のように、熱硬化性樹脂を含むCFRPと金属部品との接合の場合、完成品の使用環境下における膨張・収縮のみならず、製造工程における硬化反応に起因する収縮と硬化後の冷却に起因する収縮とが問題となる。この点、本実施形態の構成によれば、熱硬化性樹脂を含むCFRPである補強部材12と、金属部品であるベース部材11と、の接合に際しても、接合部における歪みや剥離の発生が良好に抑制され得る。
【0029】
また、本実施形態の複合構造体10においては、補強部材12が、ベース部材11との接合部にて熱硬化性樹脂を含有している。具体的には、ベース部材11と、熱硬化性樹脂を含有する補強部材12とが、直接接合されている。したがって、かかる構成によれば、ベース部材11の内面に補強部材12との接着性を向上するための前処理(表面処理:鍍金処理、プラズマ処理、ブラスト処理、等。)を行ったり、ベース部材11と補強部材12との間に特別な接着層(接合層)を設けたりしなくても、ベース部材11と補強部材12との接合が良好に行われる。また、上述の構成を有する複合構造体10が、簡易な製造工程によって得られる。
【0030】
さらに、本実施形態の複合構造体10及びその製造方法によれば、補強部材12の成形と、成形した補強部材12とベース部材11との接合とを、同時に行うことで、工程数の削減及びこれによる製品の低コスト化が可能となる。
【0031】
<変形例>
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、上述の実施形態の一部、及び、複数の変形例の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0032】
本発明は、上述したような具体的な構成及び製造方法の例示に限定されない。例えば、複合構造体10の形状は、上述のようなハット形状に限定されない。具体的には、複合構造体10は、略平板状であってもよい。また、補強部材12は、CFRPに限定されない。また、補強部材12における配向方向は、複合構造体10の実際の使用条件における外力あるいは内部応力の方向等に応じて、上述の長手方向に対して所定角度傾斜した方向に設定され得る。
【0033】
図6に示されているように、スリット13を形成するための突起である隆起部111が、ベース部材11に設けられていてもよい。この場合、隆起部111における、ベース部材11の外面側には、スリット13と平行な凹部である金型突起収容部112が設けられている。この金型突起収容部112は、スリット13と略同一の長さに形成されている。かかる変形例の複合構造体10の製造方法について、図7図9を用いて説明する。
【0034】
本変形例における下型20のキャビティ21には、スリット対応突起211が、上型30に向かって突出するように設けられている。スリット対応突起211は、図8に示されているように、スリット13に対応する位置及び形状に形成されている。すなわち、このスリット対応突起211は、ベース部材11に設けられた金型突起収容部112に嵌合するように設けられている。その一方で、上型30における凸部31には、上述のレール状の突起(図3におけるスリット形成突起31a参照)が省略されている。
【0035】
図7に示されているように、最初に、下型20に設けられたスリット対応突起211がベース部材11に設けられた金型突起収容部112に嵌合する(収容される)ように、ベース部材11が下型20にセット(配置)される。また、上型30と、ベース部材11がセットされた下型20と、の間に、シート状のプリプレグ41が、強化繊維の配向方向がスリット対応突起211の長手方向に沿うように(具体的には当該長手方向と略平行となるように)セットされる。
【0036】
次に、図8に示されているように、下型20と上型30とを閉じ合わせる。これにより、プリプレグ41が、ベース部材11の内面形状に倣ったハット形状に成形されつつ、ベース部材11と積層される。このとき、スリット対応突起211に支持された隆起部111がプリプレグ41内に侵入することで、プリプレグ41に、スリット13の形状に相当するスリット42が形成される。
【0037】
続いて、図8に示されている状態で、プリプレグ41とベース部材11との積層体は、ヒータ22及び32により所定温度・所定時間加熱される。これにより、プリプレグ41にて熱硬化性樹脂の硬化反応が進行して、スリット13を有する補強部材12が生成するとともに、ベース部材11と補強部材12とが積層されつつ互いに強固に接合される。その後、図9に示されているように、下型20と上型30とが開型され、成形された複合構造体10が抜き取り可能となる。
【0038】
プリプレグ41は、予め補強部材12に対応する形状に成形されていてもよい。この場合、かかる成形体は、下型20と上型30とを閉じ合わせる前に、ベース部材11とともに下型20にセットされ得る。あるいは、図3において、下型20にベース部材11をセットすることに代えて、ベース部材11の基となる金属板が、プリプレグ41と下型20との間に挿入され得る。この場合、閉型及びこれに続く加熱(図4参照)によって、ベース部材11及び補強部材12の成形と接合とが同時に行われ得る。
【0039】
ベース部材11の内面には、上述の前処理が行われてもよい(特に補強部材12が熱可塑性FRPである場合)。なお、補強部材12が熱可塑性FRPである場合、閉型前にて、硬化前の熱硬化性樹脂のシート(熱硬化性樹脂前駆体シート)が、ベース部材11と補強部材12との間に挿入され得る。すると、熱硬化性樹脂からなる接着層を介して、ベース部材11と補強部材12との接合が形成される。かかる構成及び製造方法によれば、ベース部材11の内面に上述の前処理が行われなくても、ベース部材11と、熱可塑性FRPからなる補強部材12と、の接合が、良好に行われる。
【0040】
スリット13の数や位置についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、図10に示されているように、スリット13は、接続部10cにも設けられていてもよい。
【0041】
この場合、接続部10cにおけるスリット13は、補強部材12の幅方向における略中央部に設けられ得る。また、第一U字部10bにおけるスリット13は、第一U字部10bの幅方向における略中央部よりも接続部10c寄りの位置に設けられ得る。同様に、第二U字部10dにおけるスリット13は、第二U字部10dの幅方向における略中央部よりも接続部10c寄りの位置に設けられ得る。
【0042】
図10に記載された構成によれば、3分割された補強部材12のそれぞれにおける、ベース部材11との接合部長さを、略同一に設定することが可能となる。これにより、接合部における歪みや剥離の発生が、よりいっそう良好に抑制され得る。
【0043】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構成及びその均等物の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構成をも含む。
【符号の説明】
【0044】
10…複合構造体、11…ベース部材、111…隆起部、12…補強部材、13…スリット、20…下型、21…キャビティ、211…スリット対応突起、22…ヒータ、30…上型、31…凸部、31a…スリット形成突起、32…ヒータ、41…プリプレグ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10