特許第5959564号(P5959564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5959564取鍋搬送台車およびそれを使用した溶湯搬送ライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959564
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】取鍋搬送台車およびそれを使用した溶湯搬送ライン
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/12 20060101AFI20160719BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20160719BHJP
   B65G 35/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B22D41/12 A
   B61B13/00 A
   B65G35/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-75647(P2014-75647)
(22)【出願日】2014年4月1日
(65)【公開番号】特開2015-196181(P2015-196181A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2015年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391020492
【氏名又は名称】藤和電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100126767
【弁理士】
【氏名又は名称】白銀 博
(72)【発明者】
【氏名】西田 理
(72)【発明者】
【氏名】星野 正則
【審査官】 藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−244504(JP,A)
【文献】 特開2009−154192(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/122900(WO,A1)
【文献】 特開2012−166271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 33/00−47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯搬送ラインのレールの上を移動する取鍋搬送台車であって、
車輪を備えた台車本体と、
当該台車本体上に配置された載置台と、
当該載置台上に配置され、取鍋を載置すると共に水平方向へ移動させて取鍋を取鍋搬送台車から取鍋搬送台車外へ移乗させ、あるいは取鍋を取鍋搬送台車外から取鍋搬送台車へ移乗させる取鍋移動機構と、
当該台車本体と当該載置台の間に配置され、当該載置台を水平面内において旋回駆動することによって、当該取鍋を旋回させる取鍋旋回機構と、
を備えることを特徴とする取鍋搬送台車。
【請求項2】
請求項1に記載された取鍋搬送台車であって、更に、
前記取鍋に配置された蓋を開閉するための蓋開閉機構を備えることを特徴とする取鍋搬送台車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された取鍋搬送台車であって、前記取鍋旋回機構は、
前記台車本体と前記載置台の連結部に配置され、前記台車本体に対して前記載置台を回動自在に連結する軸受と、
前記載置台の外周部に配置された従動側固定チェーンと、
前記台車本体に固定され、当該従動側固定チェーンに係合する駆動側スプロケットと、
駆動側スプロケットに連結され駆動側スプロケットを回転駆動する駆動モータと、
からなることを特徴とする取鍋搬送台車。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された取鍋搬送台車であって、更に、位置決めデバイスを備え、当該位置決めデバイスは、
前記台車本体に配置された第1の位置決め機構と、前記載置台に配置された第2の位置決め機構からなり、第1の位置決め機構と第2の位置決め機構が係合することにより、前記台車本体に対して前記載置台を円周方向の所定位置に位置決め固定するものであることを特徴とする取鍋搬送台車。
【請求項5】
請求項4に記載された取鍋搬送台車であって、
前記第1の位置決め機構は1又は2以上からなり、前記第2の位置決め機構は1又は2以上からなり、いずれか1つの第1の位置決め機構といずれか1つの第2の位置決め機構が係合することにより、前記台車本体に対して前記載置台を、円周方向の1箇所または複数個所の所定位置に位置決め固定するものであることを特徴とする取鍋搬送台車。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された取鍋搬送台車であって、更に、
前記台車本体と前記載置台との間に、電気配線及び/又は流体配管を保護するためのケーブル保護手段を備えることを特徴とする取鍋搬送台車。
【請求項7】
鋳鉄製造用の溶湯搬送ラインであって、当該溶湯搬送ラインは、
請求項1乃至6のいずれかに記載された取鍋搬送台車と、
溶湯を入れる少なくとも1つの取鍋と、
当該取鍋搬送台車が走行するレールと、
当該レールに沿って配置された少なくとも1つの溶解炉又は保持炉と、
当該レールに沿って配置された少なくとも1つの注湯装置と、
を備え、
当該取鍋と、当該取鍋搬送台車とによって、溶湯を当該溶解炉又は保持炉から当該注湯装置まで搬送することを特徴とする溶湯搬送ライン。
【請求項8】
請求項7に記載された溶湯搬送ラインであって、当該溶湯搬送ラインは、更に、第2の取鍋搬送台車を備え、
当該第2の取鍋搬送台車は請求項1乃至6のいずれかに記載された取鍋搬送台車であり、
前記取鍋と、前記取鍋搬送台車と、当該第2の取鍋搬送台車とによって、溶湯を前記溶解炉又は保持炉から前記注湯装置まで搬送することを特徴とする溶湯搬送ライン。
【請求項9】
請求項7に記載された溶湯搬送ラインであって、当該溶湯搬送ラインは、更に、前記レールの上を移動する第2の取鍋搬送台車を備え、当該第2の取鍋搬送台車は
車輪を備えた台車本体と、
当該台車本体上に配置された載置台と、
当該載置台上に配置され、取鍋を載置すると共に水平方向へ移動させる取鍋移動機構と、を備え、
前記取鍋と、前記取鍋搬送台車と、当該第2の取鍋搬送台車とによって、溶湯を前記溶解炉又は保持炉から前記注湯装置まで搬送することを特徴とする溶湯搬送ライン。
【請求項10】
鋳鉄製造用の溶湯搬送ラインであって、当該溶湯搬送ラインは、
溶湯を入れる少なくとも1つの取鍋と、
第1のレールと、
第1のレールに直交して隣接配置された第2のレールと、
第1のレールの上を移動する第1の取鍋搬送台車と、
第2のレールの上を移動する第2の取鍋搬送台車と、
当該第1のレールに沿って配置された少なくとも1つの溶解炉又は保持炉と、
当該第2のレールに沿って配置された少なくとも1つの注湯装置と、
を備え、
当該第1の取鍋搬送台車と当該第2の取鍋搬送台車は、いずれも請求項1乃至6のいずれかに記載された取鍋搬送台車であり、
当該取鍋と、当該第1の取鍋搬送台車と、当該第2の取鍋搬送台車によって、溶湯を当該溶解炉又は保持炉から当該注湯装置まで搬送することを特徴とする溶湯搬送ライン。
【請求項11】
鋳鉄製造用の溶湯搬送ラインであって、当該溶湯搬送ラインは、
溶湯を入れる少なくとも1つの取鍋と、
第1のレールと、
第1のレールに直交して隣接配置された第2のレールと、
第1のレールの上を移動する第1の取鍋搬送台車と、
第2のレールの上を移動する第2の取鍋搬送台車と、
当該第1のレールに沿って配置された少なくとも1つの溶解炉又は保持炉と、
当該第2のレールに沿って配置された少なくとも1つの注湯装置と、
を備え、
当該第1の取鍋搬送台車と当該第2の取鍋搬送台車のいずれかは請求項1乃至6のいずれかに記載された取鍋搬送台車であり、他方の取鍋搬送台車は、
車輪を備えた台車本体と、
当該台車本体上に配置された載置台と、
当該載置台上に配置され、取鍋を載置すると共に水平方向へ移動させる取鍋移動機構と、
を備え、
当該取鍋と、当該第1の取鍋搬送台車と、当該第2の取鍋搬送台車によって、溶湯を当該溶解炉又は保持炉から当該注湯装置まで搬送することを特徴とする溶湯搬送ライン。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかに記載された溶湯搬送ラインであって、更に、前記レールに沿って配置され、次の溶湯の搬送に使用するまで空の取鍋を待機させるための取鍋保管装置を備えていることを特徴とする溶湯搬送ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取鍋を地上搬送する取鍋搬送台車及びその取鍋搬送台車を使用した溶湯搬送ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶湯を入れた取鍋を地上で搬送するために、台車、ローラコンベア、フォークリフトなどの地上搬送手段が慣用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような地上搬送手段は、クレーンなどの空間搬送手段に比べて安全性が高いというメリットがあるため、それらの地上搬送手段を組み合わせた溶湯搬送ラインも慣用されている。
【0003】
また従来は、溶湯を搬送する取鍋に注湯口を設け、この取鍋を注湯装置に載置し、注湯装置を駆動して取鍋の注湯口から鋳型に直接注湯する方法が採用されているケースが多かった。 このような注湯方法における注湯装置としては、フォークリフト(特許文献1参照)や注湯台車(特許文献2、特許文献3参照)を使用するのが一般的であった。
【0004】
このような取鍋の注湯口から鋳型に直接注湯する方法を採用した溶湯搬送ラインにおいては、取鍋の搬送経路における取鍋の向き、すなわち取鍋の注湯口の水平面内における周方向の向きが重要な要素になってくる。
すなわち、取鍋の注湯口から鋳型に注湯する時には、取鍋の注湯口は鋳型が配置された位置に向かって突起している必要があり、また、溶解炉や保持炉から取鍋へ受湯する時、あるいは搬送経路途中において黒鉛球状化処理、接種処理、ノロ取り処理を行うような時には、溶解炉や保持炉および各種処理装置と取鍋の注湯口との干渉を避けるために、取鍋の注湯口の位置と溶解炉や保持炉および各種処理装置の位置とが所定の位置関係となるように考慮して溶湯搬送ラインを設計する必要があった。
【0005】
従来の溶湯搬送ラインにおいては、取鍋の向きを調整するために、以下のような方法がとられていた。
すなわち、特許文献1では、工場内を自由に走行できるフォークリフトに注湯口を有する取鍋を取り付け、フォークリフトの動力によって取鍋を傾動し、注湯する方法を採用していた。 この方法では、フォークリフトは工場内を自由に走行できるため、例えば、鋳型の配置された位置に取鍋の注湯口を向けて取鍋を搬送することが可能であった。
また、特許文献2では、溶解炉と注湯台車の中間位置に取鍋配湯モノレール、プラットホーム、ローラコンベアを配置し、これらによって取鍋の向きが所定の方向に向くようにした上で、注湯台車へ取鍋を移送するようにしていた。
【0006】
しかしながら、このような方法により取鍋の向きを調整する溶湯搬送ラインでは、次の様な問題があった。
すなわち、フォークリフトは、レールを必要とせず自由な経路を搬送可能であるが、運転者を確保する必要があり、自動化、省力化には不向きであると共に、運転者は溶湯の入った取鍋の近くで作業を行うため、安全性の観点からも問題があった。
また、搬送経路において、取鍋配湯モノレールとローラコンベア等を配置して取鍋の向きを調整する溶湯搬送ラインでは、モノレールとローラコンベアのために大きなスペースが必要になることや、モノレールによる取鍋の搬送は、自動化、省力化、省スペース化には不向きであるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57−195578号公報、1頁右欄
【特許文献2】特開平1−262065号公報、図1
【特許文献3】DE3717220公報、FIG.III
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、溶湯の入った取鍋を搬送する経路において、取鍋の向き、すなわち取鍋の注湯口の水平面内における周方向の向きを自由に調整することにより、溶湯搬送ラインのレイアウトの自由度を高め、溶湯搬送ラインの自動化、省力化、省スペース化を可能にし、溶湯搬送ラインの低コスト化を可能にする取鍋搬送台車及びその取鍋搬送台車を使用した溶湯搬送ラインを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の観点にかかる発明では、溶湯搬送ラインのレールの上を移動する取鍋搬送台車の構成を以下のようにした。 すなわち、
車輪を備えた台車本体と、
台車本体上に配置された載置台と、
載置台上に配置され、取鍋を載置すると共に水平方向へ移動させて取鍋を取鍋搬送台車から取鍋搬送台車外へ移乗させ、あるいは取鍋を取鍋搬送台車外から取鍋搬送台車へ移乗させる取鍋移動機構と、
台車本体と載置台の間に配置され、載置台を水平面内において旋回駆動することによって、取鍋を旋回させる取鍋旋回機構と、
を備えた構成とした。
【0010】
また、第2の観点にかかる発明では、第1の観点にかかる発明の取鍋搬送台車において、更に、取鍋に配置された蓋を開閉するための蓋開閉機構を備える構成とした。
【0011】
また、第3の観点にかかる発明では、第1または第2の観点にかかる発明の取鍋搬送台車における取鍋旋回機構を、
台車本体と載置台の連結部に配置され、台車本体に対して載置台を回動自在に連結する軸受と、
載置台の外周部に配置された従動側固定チェーンと、
台車本体に固定され、従動側固定チェーンに係合する駆動側スプロケットと、
駆動側スプロケットに連結され駆動側スプロケットを回転駆動する駆動モータと、
を備えた構成とした。
【0012】
また、第4の観点にかかる発明では、第1乃至第3の観点にかかる発明のいずれかの取鍋搬送台車において、更に、位置決めデバイスを備え、この位置決めデバイスは、
台車本体に配置された第1の位置決め機構と、載置台に配置された第2の位置決め機構からなり、第1の位置決め機構と第2の位置決め機構が係合することにより、台車本体に対して載置台を円周方向の所定位置に位置決め固定する構成とした。
【0013】
また、第5の観点にかかる発明では、第4の観点にかかる発明の取鍋搬送台車において、
第1の位置決め機構は1又は2以上からなり、第2の位置決め機構は1又は2以上からなり、いずれか1つの第1の位置決め機構といずれか1つの第2の位置決め機構が係合することにより、台車本体に対して載置台を、円周方向の1箇所または複数個所の所定位置に位置決め固定する構成とした。
【0014】
また、第6の観点にかかる発明では、第1乃至第5の観点にかかる発明のいずれかの取鍋搬送台車において、更に、
台車本体と載置台との間に、電気配線及び/又は流体配管を保護するためのケーブルベアを備える構成とした。
【0015】
また、第7の観点にかかる発明では、鋳鉄製造用の溶湯搬送ラインであって、この溶湯搬送ラインは、
第1乃至第6の観点にかかる発明のいずれかの取鍋搬送台車と、
溶湯を入れる少なくとも1つの取鍋と、
取鍋搬送台車が走行するレールと、
レールに沿って配置された少なくとも1つの溶解炉又は保持炉と、レールに沿って配置された少なくとも1つの注湯装置と、
を備え、
取鍋と、取鍋搬送台車とによって、溶湯を溶解炉又は保持炉から注湯装置まで搬送する構成とした。
【0016】
また、第8の観点にかかる発明では、第7の観点にかかる発明の溶湯搬送ラインにおいて、この溶湯搬送ラインは、更に、
第2の取鍋搬送台車を備え、
第2の取鍋搬送台車は第1乃至第6の観点にかかる発明のいずれかの取鍋搬送台車であり、
取鍋と、取鍋搬送台車と、第2の取鍋搬送台車とによって、溶湯を溶解炉又は保持炉から注湯装置まで搬送する構成とした。
【0017】
また、第9の観点にかかる発明では、第7の観点にかかる発明の溶湯搬送ラインにおいて、溶湯搬送ラインは、更に、
レールの上を移動する第2の取鍋搬送台車を備え、
第2の取鍋搬送台車は、
車輪を備えた台車本体と、
台車本体上に配置された載置台と、
載置台上に配置され、取鍋を載置すると共に水平方向へ移動させる取鍋移動機構と、を備え、
取鍋と、取鍋搬送台車と、第2の取鍋搬送台車とによって、溶湯を溶解炉又は保持炉から注湯装置まで搬送する構成とした。
【0018】
また、第10の観点にかかる発明では、鋳鉄製造用の溶湯搬送ラインであって、この溶湯搬送ラインは、
溶湯を入れる少なくとも1つの取鍋と、
第1のレールと、
第1のレールに直交して隣接配置された第2のレールと、
第1のレールの上を移動する第1の取鍋搬送台車と、
第2のレールの上を移動する第2の取鍋搬送台車と、
第1のレールに沿って配置された少なくとも1つの溶解炉又は保持炉と、
第2のレールに沿って配置された少なくとも1つの注湯装置と、
を備え、
第1の取鍋搬送台車と第2の取鍋搬送台車は、いずれも第1乃至第6の観点にかかる発明のいずれかの取鍋搬送台車であり、
取鍋と、第1の取鍋搬送台車と、第2の取鍋搬送台車によって、溶湯を溶解炉又は保持炉から注湯装置まで搬送する構成とした。
【0019】
また、第11の観点にかかる発明では、鋳鉄製造用の溶湯搬送ラインであって、この溶湯搬送ラインは、
溶湯を入れる少なくとも1つの取鍋と、
第1のレールと、
第1のレールに直交して隣接配置された第2のレールと、
第1のレールの上を移動する第1の取鍋搬送台車と、
第2のレールの上を移動する第2の取鍋搬送台車と、
第1のレールに沿って配置された少なくとも1つの溶解炉又は保持炉と、
第2のレールに沿って配置された少なくとも1つの注湯装置と、
を備え、
第1の取鍋搬送台車と第2の取鍋搬送台車のいずれかは第1乃至第6の観点にかかる発明のいずれかの取鍋搬送台車であり、
他方の取鍋搬送台車は、
車輪を備えた台車本体と、
台車本体上に配置された載置台と、
載置台上に配置され、取鍋を載置すると共に水平方向へ移動させる取鍋移動機構と、を備え、
取鍋と、第1の取鍋搬送台車と、第2の取鍋搬送台車によって、溶湯を溶解炉又は保持炉から注湯装置まで搬送する構成とした。
【0020】
また、第12の観点にかかる発明では、第7乃至第11の観点にかかる発明のいずれかの溶湯搬送ラインにおいて、前記溶湯搬送ラインは、更に、前記レールに沿って配置され、次の溶湯の搬送に使用するまで空の取鍋を待機させるための取鍋保管装置を備えていることを特徴とする溶湯搬送ライン。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる取鍋搬送台車によれば、溶湯の入った取鍋を搬送する経路において、取鍋の向き、すなわち取鍋の注湯口の水平面内における周方向の向きを自由に調整することが可能となった。
また、このような取鍋搬送台車を溶湯搬送ラインにおいて使用することにより、溶湯搬送ラインのレイアウトの自由度を高め、溶湯搬送ラインの自動化、省力化、省スペース化を可能にし、溶湯搬送ラインの低コスト化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明にかかる取鍋搬送台車(取鍋を搭載した状態)の正面図を示したものである。
図2図2は、図1に示す断面X―Xから見た取鍋搬送台車(取鍋を搭載した状態)の主要部の側面図を示したものである。
図3図3は、図1に示す取鍋搬送台車の取鍋旋回機構近傍の正面図を示したものである。
図4図4は、図3に示す矢視Yから見た取鍋搬送台車の取鍋旋回機構近傍の平面図を示したものである。
図5図5は、本発明の第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100のレイアウト図を示したものである。
図6図6は、本発明の第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100のレイアウト図を示したものである。
図7図7は、本発明の第3の実施例にかかる溶湯搬送ライン100のレイアウト図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至図4に基づき、本発明にかかる取鍋搬送台車について説明する。
本発明にかかる取鍋搬送台車20は、台車本体21と、載置台22と、取鍋移動機構23と、取鍋旋回機構24と、走行駆動機構25と、制御盤26とを備えている。
【0024】
台車本体21には2本のレール1上を走行するための車輪21-1が備えられており、台車本体21には構造的に取鍋旋回機構24を介して載置台22が搭載されている。
載置台22には取鍋移動機構23が備えられており、取鍋移動機構23の上には取鍋10が載置されるようになっている。 また、載置台22と取鍋移動機構23と取鍋10は、取鍋旋回機構24によって一体的に水平面内において旋回駆動されるようになっている。
【0025】
取鍋旋回機構24は、台車本体21と載置台22の連結部に配置された軸受24-1と、載置台22の外周部に固定配置した従動側固定チェーン24-3と、台車本体21に固定され、従動側固定チェーン24-3に係合する駆動側スプロケット24-2と、駆動側スプロケットに連結され駆動側スプロケットを回転駆動する駆動モータとから構成されている。
軸受24-1は台車本体21と載置台22の連結部に配置され、例えば、軸受24-1の内輪側は台車本体21の構造に軸支され、軸受24-2の外輪側は載置台22の構造に軸支されることにより、載置台22は台車本体21に対して水平面内において回動自在に軸支されている。
ここで、「取鍋旋回機構24は台車本体21と載置台22の間に配置される」とは、取鍋旋回機構24は台車本体21と載置台22の構造的連結部に配置されることを意味するものであって、単に空間的な間に配置されるものではない。
【0026】
また、従動側固定チェーン24-3と駆動側スプロケット24-2は、例えば、(株)椿本チェインから販売されているピンギア駆動システムであっても良い。
この場合、従動側固定チェーン24-3は、載置台22の下端側外周の全周にわたって、あるいは載置台22の旋回に必要な角度範囲+アルファの角度範囲にわたって固定配置されたアタッチメント付チェーンである。 アタッチメント付チェーンはドラムやテーブル状の構造物の外周に巻き付け固定され、駆動側スプロケット24-2(後述するピンギア用スプロケット)と係合させることにより回転駆動機構となるものである。
【0027】
また、駆動側スプロケット24-2は、アタッチメント付チェーンに係合するピンギア用スプロケットとすることができ、このピンギア用スプロケットはアタッチメント付チェーンの形状に適合する特殊歯形を有するものであって、台車本体21に回動自在に軸支されるとともに、ピンギア用スプロケットの歯はアタッチメント付チェーンに噛合うようにして配置されている。
そして、ピンギア用スプロケットの回転軸の一端には、ピンギア用スプロケットを回転駆動させる、減速機付モータのような駆動モータ24-4が連結されている。
【0028】
従って、駆動モータ24-4が回転駆動するとピンギア用スプロケット(駆動側スプロケット24-2)が回転し、ピンギア用スプロケットが係合するアタッチメント付チェーン(従動側固定チェーン24-3)が旋回することにより、載置台22と取鍋移動機構23と取鍋10は、一体的に水平面内において旋回駆動されるようになっている。 載置台22と取鍋移動機構23と取鍋10が旋回する角度は、任意に設定することができ、チェーンホイール24-3の設置範囲を変えることにより、例えば、90度、180度、270度の範囲、あるいは360度の範囲にわたって旋回させることが可能である。
【0029】
なお、ここでは、載置台22、取鍋移動機構23、取鍋10を旋回駆動する機構としてピンギア駆動システムを使用した例について説明したが、これに限定されるものではない。 その他の旋回駆動機構、たとえば歯車駆動機構やローラチェーン駆動機構等を使用することも可能である。
【0030】
取鍋移動機構23は、載置台22の上に配置され、取鍋移動機構23の上には取鍋10が直接載置されるようになっている。 取鍋移動機構23は、載置された取鍋を水平方向へ移動させるものであって、例えばローラコンベアのような搬送機構を採用することができる。 この取鍋移動機構23は、溶湯搬送ライン100において取鍋を受け渡しする際に使用されるものであり、ローラコンベアのローラを駆動モータ等によって回転駆動することにより、取鍋が水平移動するようになっている。
【0031】
台車本体21には、走行駆動機構25が配置されている。
走行駆動機構25は、取鍋搬送台車20をレール1上で走行させるものであり、駆動モータによって車輪21-1を回転駆動することにより、取鍋搬送台車20全体を走行させるようになっている。
【0032】
また、台車本体21には制御盤26が配置されている。
制御盤26は、取鍋搬送台車20の内外に配置された各種センサ(リミットスイッチ、近接スイッチ、位置検出スイッチなど)の検知データや、予め組み込まれたプログラム、あるいはオペレータの入力に基づき、取鍋移動機構23、取鍋旋回機構24、走行駆動機構25の動作を制御するようになっている。
更に制御盤26は、後述する蓋開閉機構27、第2の取鍋移動機構28、および位置決めデバイス29の動作を制御するようにしても良い。
【0033】
更に、取鍋搬送台車20には、蓋開閉機構27を備えるようにしても良い。 蓋開閉機構27は、台車本体21に直接配置され、取鍋10に蓋12が設けられている場合には、この蓋開閉機構27によって取鍋10の蓋12が開閉される。
【0034】
また、取鍋搬送台車20には、第2の取鍋移動機構28を備えるようにしても良い。 第2の取鍋移動機構28は、取鍋移動機構23と同様のローラコンベアのような搬送機構によって構成することができる。 また、第2の取鍋移動機構28は台車本体21に直接配置されるため、第2の取鍋移動機構28は、取鍋移動機構23のように旋回することはなく、台車本体21に一体となって固定されている。
第2の取鍋移動機構28は、溶湯搬送ライン100において、取鍋搬送台車20が取鍋10を受け渡しする際に、取鍋移動機構23と溶湯搬送ライン100の他の構成要素との間における取鍋10の移動を中継するものである。
【0035】
また、取鍋搬送台車20には、載置台22の旋回位置を固定するための位置決めデバイス29を備えるようにしても良い。
この位置決めデバイス29は、台車本体21に配置された第1の位置決め機構29-1と、載置台22に配置された第2の位置決め機構29-2から構成され、第1の位置決め機構29-1と第2の位置決め機構29-2が係合することにより、台車本体21に対して載置台22を円周方向の所定位置に位置決め固定するものである。
【0036】
例えば、第1の位置決め機構29-1として先端に円形状の突起を設けたストッパ金具を使用し、第2の位置決め機構29-2としてストッパ金具の円形状突起に対応した凹状の受金具を使用し、ストッパ金具及び/又は受金具をエアーシリンダ等によって前進させてストッパ金具と受金具とを係合させることにより、台車本体21に対して載置台22を円周方向の所定位置に位置決め固定するようにしても良い。
【0037】
なお、このとき第1の位置決め機構29-1及び第2の位置決め機構29-2を1又は2以上設け、いずれか1つの第1の位置決め機構29-1といずれか1つの第2の位置決め機構29-2が係合するようにして、台車本体21に対して載置台22を、円周方向の1箇所または複数個所の所定位置に位置決め固定するようにしても良い。 言い換えれば、台車本体21に対して載置台22を、円周方向の特定の位置に固定するためには、第1の位置決め機構29-1と第2の位置決め機構29-2が、少なくとも1組だけ係合するようになっていれば良い。
【0038】
更に、取鍋搬送台車20には、ケーブル保護手段31を備えるようにしても良い。 このケーブル保護手段31の例としては、ケーブルベアが挙げられる。
ケーブル保護手段31(ケーブルベア)の一端側を台車本体21側に固定し、他端側を載置台22側に固定し、ケーブル保護手段31の内部に電気配線及び/又はフレキシブルな流体配管を通すことにより、台車本1の内部に電気配線及び/又はフレキシブルな流体配管を通すことにより、台車本体21に対する載置台22の旋回運動に対しても、電気配線及び/又は流体配管を保護することが可能となる。
【0039】
次に、本発明にかかる取鍋搬送台車20を使用した溶湯搬送ライン100について説明する。
図5は、本発明の第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100のレイアウト図を示したものである。
【0040】
第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100では、上述した取鍋搬送台車20と、取鍋搬送台車20に載置され搬送される取鍋10と、取鍋搬送台車20が走行するレール1と、レールに1沿って配置された1又は複数の溶解炉又は保持炉30と、レール1に沿って配置された1又は複数の注湯装置40が配置されている。
【0041】
更に、第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100では、レール1に沿った位置に、黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70(あるいは、 黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70を一体化した装置)や、次の溶湯の搬送に使用するまで空の取鍋を待機させるための取鍋保管装置80等を適宜配置するようにしても良い。
なお、取鍋保管装置80を設置することにより、取鍋搬送台車20上に搭載する取鍋10を適宜交換することが可能となり、取鍋10の容量、取鍋搬送台車20による取鍋10の搬送時間、注湯装置40の注湯能力、運用する取鍋10の個数等を勘案することにより、最適な溶湯搬送ライン100を設計することが可能となる。
【0042】
このような構成の溶湯搬送ライン100では、取鍋搬送台車20に載置された取鍋10は、レール1上(すなわち取鍋搬送台車20上)において、溶解炉又は保持炉30から受湯し、取鍋搬送台車20によって溶湯入り取鍋10は注湯装置40まで搬送される。 注湯装置40の位置では、取鍋搬送台車20に配置された取鍋移動機構23によって、溶湯の入った取鍋10は取鍋搬送台車20から注湯装置40へ移乗する。 この際、注湯装置40には、取鍋移動機構23から取鍋10を受け取るためにローラコンベアのような取鍋移送手段41を設けるようにしても良い。
【0043】
取鍋10が溶解炉又は保持炉30から受湯する際、取鍋10の注湯口11と溶解炉又は保持炉30とが干渉するのを避けるため、取鍋10の注湯口11は、溶解炉又は保持炉30が配置された位置とは180度反対側を向いた状態で受湯される。
【0044】
また、注湯装置40においては、取鍋から鋳型に直接注湯されるため、取鍋の注湯口11は、鋳型供給ライン42に向いていることが必要になる。 第1の実施例では、溶解炉又は保持炉30が配置された位置と注湯装置40の鋳型供給ライン42が配置された位置は、レール1に対して同じ側にある。
したがって、取鍋10が溶解炉又は保持炉30から注湯装置40まで取鍋搬送台車20によって搬送される途中、取鍋10の注湯口11が180度反対方向を向くように旋回させる必要がある。
【0045】
第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100では、取鍋10が溶解炉又は保持炉30から注湯装置40まで取鍋搬送台車20によって搬送される途中、所定位置(取鍋旋回位置)において、取鍋旋回機構24が起動され、載置台22、取鍋移動機構28、取鍋10が一体となって180度旋回するようになっている。
なお、載置台22、取鍋移動機構28、取鍋10が一体となって180度旋回するのは、所定位置(取鍋旋回位置)に停止して行われる場合の他、取鍋搬送台車20が移動しながら載置台22、取鍋移動機構28、取鍋10が一体となって180度旋回するようにしても良い。
【0046】
第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100では、取鍋10の注湯口11が180度異なった2つの旋回位置を向くようになっているため、この2つの旋回位置(180度異なった2つの旋回位置)において載置台22を位置決めするようにしても良い。
すなわち、前述した位置決めデバイス29を作動させることによって、台車本体21に対して載置台22を、円周方向の2箇所の所定位置に位置決め固定するようにしても良い。
【0047】
第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100において、溶解炉又は保持炉30から注湯装置40までの取鍋10の搬送経路の途中に、レール1に沿って、黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70(あるいは、 黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70を一体化した装置)や、取鍋保管装置80が配置されている場合であって、これらの装置において取鍋10内の溶湯を処理する場合、あるいは空の取鍋10を一時的に保管する場合には、取鍋10は、取鍋搬送台車20とこれらの装置の間を移動するようにしても良い。
【0048】
この場合、これらの装置の位置では、取鍋搬送台車20に配置された取鍋移動機構23によって、溶湯の入った取鍋10又は空の取鍋10は取鍋搬送台車20からこれらの装置へ移乗し、あるいはこれらの装置から取鍋搬送台車20へ移乗する。
この際、これらの装置には、取鍋移動機構23から取鍋10を受け取るために、あるいは取鍋移動機構23へ取鍋10を渡すために、ローラコンベアのような取鍋移送手段41を設けるようにしても良い。
【0049】
また、取鍋10に蓋12が配置されている場合には、必要に応じて蓋12が開閉される。 例えば、取鍋搬送台車20上において、取鍋10が溶解炉又は保持炉30から受湯する場合には、取鍋搬送台車20に配置された蓋開閉機構27によって、取鍋10の蓋12は開閉される。
【0050】
更に、取鍋搬送台車20に、前述した第2の取鍋移動機構28が配置されている場合には、取鍋10が取鍋搬送台車20と前述した黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70(あるいは、 黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70を一体化した装置)、取鍋保管装置80、注湯装置40の間を移動する際に、取鍋移動機構23とこれらの装置との間における取鍋10の移動を中継するようになっている。
【0051】
また、第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100において、更に、レール1上を走行する第2の取鍋搬送台車90を備えるようにしても良い。 すなわち、取鍋搬送台車20と第2の取鍋搬送台車90とを使用して、溶解炉又は保持炉30と注湯装置40の間における取鍋10の搬送、あるいは前述した黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70(あるいは、 黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70を一体化した装置)、及び/又は取鍋保管装置80を経由して取鍋10の搬送をすることもできる。
【0052】
この際、搬送経路途中において取鍋搬送台車20と第2の取鍋搬送台車90との間で直接取鍋10の受け渡しをするようにしても良いし、黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70(あるいは、 黒鉛球状化処理装置50、接種処理装置60、ノロ取り装置70を一体化した装置)、取鍋保管装置80を介して受け渡しをするようにしても良い。
【0053】
なお、第2の取鍋搬送台車90としては、取鍋搬送台車20と同じ構成のものを使用しても良いし、取鍋搬送台車20から取鍋旋回機構24を取り除いた以下のような構成を有するものを使用しても良い。 すなわち、第2の取鍋搬送台車90としては、車輪を備えた台車本体21と、台車本体21上に配置された載置台22と、載置台22上に配置され、取鍋10を載置すると共に水平方向へ移動させる取鍋移動機構23とを備えた構成であっても良い。
【0054】
なお、以上の説明においては、取鍋10が溶解炉又は保持炉30から受湯する際に、取鍋搬送台車20上で受湯するものとして説明してきたが、これに限定されるものではない。 第2の取鍋搬送台車90であって、取鍋旋回機構24を備えていない取鍋搬送台車上で受湯することも可能であるし、あるいは、溶解炉又は保持炉30にローラコンベアのような取鍋移送手段41を設け、取鍋搬送台車20の取鍋移動機構23と、溶解炉又は保持炉30の取鍋移送手段41との間で取鍋10の受け渡しを行い、この取鍋移送手段41上において取鍋10は溶解炉又は保持炉30から受湯するようにしても良い。
また、例えば、図5には、注湯装置40とレール1の間に取鍋移送手段41と取鍋保管装置80を配置し、取鍋移送手段41を使用して溶湯の入った取鍋10を取鍋搬送台車20から注湯装置40へ移送し、注湯装置40において注湯を終えた空の取鍋10を取鍋保管装置80上に置くようすれば、取鍋10の合理的な搬送が可能となる。 なお、図5に記載した取鍋移送手段41と取鍋保管装置80の位置を逆にしても良い。
【0055】
次に、本発明の第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100について説明する。
図6は、本発明の第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100のレイアウト図を示したものである。
なお、以下の説明においては、第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と共通する部分については、説明を省略する。 したがって、特段の説明がない部分については、第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100は同じ構成を有するものである。
【0056】
本発明の第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100は、第1のレール1と、第1のレールに直交して隣接配置された第2のレール1を備えている。 第1のレール1に沿って1又は複数の溶解炉又は保持炉30が配置され、第2のレールに沿って1又は複数の注湯装置40が配置されている。 また、第1のレール1および第2のレールの上には、第1の取鍋搬送台車90と第2の取鍋搬送台車90がそれぞれ少なくとも1台配置されている。
この実施例における第1の取鍋搬送台車90と第2の取鍋搬送台車90は、第1の実施例にかかる溶湯搬送ライン100における第2の取鍋搬送台車90と同じ構成を有するものである。 すなわち、第1の取鍋搬送台車90と第2の取鍋搬送台車90は、取鍋旋回機構24を備えた構成の取鍋搬送台車と取鍋旋回機構24を備えない構成の取鍋搬送台車の両者を含む概念の取鍋搬送台車を指す。
そして、第1のレール1および第2のレールの上に配置された第1の取鍋搬送台車90と第2の取鍋搬送台車90の内、少なくとも1台は、取鍋旋回機構24を備えた構成の取鍋搬送台車である。 これら第1および第2の取鍋搬送台車90によって、取鍋10は、溶解炉又は保持炉30と注湯装置40の間を搬送されるようになっている。
【0057】
この実施例においては、取鍋10の注湯口11の位置と、溶解炉又は保持炉30の位置、注湯装置40の位置の関係から、溶解炉又は保持炉30と注湯装置40の間において取鍋10を搬送する際には、搬送途中において取鍋10の注湯口11の向きを90度回転することが必要になる。 この取鍋10の回転は、取鍋旋回機構24を備えた第1又は第2の取鍋搬送台車90によって実現される。
【0058】
なお、第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100では、第1のレールと第2のレールの間において取鍋10を受け渡しする際には、第1のレールと第2のレールの連結部近傍において、第1のレール上に配置された第1の取鍋搬送台車90と第2のレール上に配置された第2の取鍋搬送台車90との間で直接取鍋10の受け渡しが行われる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施例にかかる溶湯搬送ライン100について説明する。 図7は、本発明の第3の実施例にかかる溶湯搬送ライン100のレイアウト図を示したものである。
なお、以下の説明においては、第1および第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と第3の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と共通する部分については、説明を省略する。 したがって、特段の説明がない部分については、第1および第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と第3の実施例にかかる溶湯搬送ライン100は同じ構成を有するものである。
【0060】
本発明の第3の実施例にかかる溶湯搬送ライン100は、第1のレール1と、第1のレールに直交して隣接配置された第2のレール1との連結する位置が異なる点を除いては、第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と同様である。
【0061】
したがって、この実施例においても、第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と同様に、取鍋10の注湯口11の位置と、溶解炉又は保持炉30の位置、注湯装置40の位置の関係から、溶解炉又は保持炉30と注湯装置40の間において取鍋10を搬送する際には、搬送途中において取鍋10の注湯口11の向きを90度回転することが必要になる。 この取鍋10の回転は、第2の実施例にかかる溶湯搬送ライン100と同様に、取鍋旋回機構24を備えた第1又は第2の取鍋搬送台車90によって実現される。
【符号の説明】
【0062】
1 レール
10 取鍋
11 注湯口
12 蓋
20 取鍋搬送台車
21 台車本体
21-1 車輪
22 載置台
23 取鍋移動機構
24 取鍋旋回機構
24-1 軸受
24-2 駆動側スプロケット
24-3 従動側固定チェーン
24-4 駆動モータ
25 走行駆動機構
26 制御盤
27 蓋開閉機構
28 第2の取鍋移動機構
29 位置決めデバイス
29-1 第1の位置決め機構
29-2 第2の位置決め機構
30 溶解炉又は保持炉
31 ケーブル保護手段
40 注湯装置
41 取鍋移送手段
42 鋳型供給ライン
50 黒鉛球状化処理装置(図示せず)
60 接種処理装置(図示せず)
70 ノロ取り装置(図示せず)
80 取鍋保管装置
90 第1、第2の取鍋搬送台車
100 溶湯搬送ライン


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7