特許第5959569号(P5959569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959569
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】眼鏡型電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02C 11/00 20060101AFI20160719BHJP
   G02C 5/22 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G02C11/00
   G02C5/22
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-98189(P2014-98189)
(22)【出願日】2014年5月9日
(65)【公開番号】特開2015-215471(P2015-215471A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】時田 誠治
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸光
【審査官】 南 宏輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−047888(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/061917(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/080840(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0085631(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0043444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムとテンプルとの間に介在する丁番と、
前記丁番を介して前記リムと前記テンプルとが相対的に回転しているときに当該回転に応じた力を受ける位置に設けられた圧電素子と、
前記圧電素子の出力電位を基に、前記丁番の回転を検出する検出手段と
を有する眼鏡型電子機器であって、
第1の前記圧電素子と、
前記回転の向きに応じて前記第1の圧電素子とは逆極性の出力電位を出力する第2の前記圧電素子と
を有し、
前記検出手段は、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子の前記出力電位を基に前記回転を検出する
眼鏡型電子機器。
【請求項2】
前記圧電素子の前記出力電位は、前記リムとテンプルとの相対的な前記回転が停止している状態において略0Vである
請求項1に記載の眼鏡型電子機器。
【請求項3】
電池と、
当該電池から給電されて動作する被給電部と
を有し、
前記検出手段は、前記圧電素子の出力信号を基に、前記回転が前記テンプルを開く向きの場合に前記被給電部を通常動作モードに切換え、前記回転が前記テンプルを閉じる向きである場合に前記被給電部の動作をオフあるいは低電力動作モードに切り換える
請求項1または請求項2に記載の眼鏡型電子機器。
【請求項4】
前記被給電部は、前記丁番に対して前記リム側に設けられ、
前記電池は、前記丁番に対して前記テンプル側に設けられており、
前記被給電部と前記電池との間の電源供給ラインと、前記圧電素子とが形成されたフレキシブルプリント基板
をさらに有する請求項に記載の眼鏡型電子機器。
【請求項5】
リムとテンプルとの間に介在する丁番と、
前記丁番を介して前記リムと前記テンプルとが相対的に回転しているときに当該回転に応じた力を受ける位置に設けられた圧電素子と、
前記圧電素子の出力電位を基に、前記丁番の回転を検出する検出手段と、
前記回転に応じて所定の振動パターンを発生するクリック生成手段と
を有し、
前記圧電素子は、前記振動パターンを検出可能な位置に設けられ、
前記検出手段は、前記圧電素子の前記出力電位と予め規定された前記振動パターンに対応した基準値とを基に、前記回転を検出する
眼鏡型電子機器。
【請求項6】
前記クリック生成手段は、前記テンプルを開く向きの前記回転と、前記テンプルを閉じる向きの前記回転とで異なる前記振動パターンを発生する
請求項5に記載の眼鏡型電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプルとリムが丁番を介して相対的に回転する眼鏡型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
眼鏡にセンサや処理回路を搭載して様々な機能を持たせたいという要請がある。
このような眼鏡は、センサや処理回路の電源となる電池を搭載しているが、スペースや重量等の制約が多く小容量の電池しか用いることができない。そのため、省電力化が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
省電力化の方法として、例えば、眼鏡に手動で電源をオン/オフするスイッチを設ける方法があるが、不使用時にスイッチをオフにする手間がかかるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサや処理回路等の被給電部への電源供給が必要な眼鏡型電子機器において、小規模な構成で省電力化を図ることができる眼鏡型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の眼鏡型電子機器は、ムとテンプルとの間に介在する丁番と、前記丁番を介して前記リムと前記テンプルとが相対的に回転しているときに当該回転に応じた力を受ける位置に設けられた圧電素子と、前記圧電素子の出力電位を基に、前記丁番の回転を検出する検出手段とを有する眼鏡型電子機器であって、第1の前記圧電素子と、前記回転の向きに応じて前記第1の圧電素子とは逆極性の出力電位を出力する第2の前記圧電素子とを有し、前記検出手段は、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子の前記出力電位を基に前記回転を検出する。
【0006】
この構成によれば、リムとテンプルとの相対的な回転を圧電素子を用いて検出するため、当該回転を自動的に検出できる。また、小規模且つ安価な構成で実現できる。
この構成によれば、第1の圧電素子及び第2の圧電素子の2つの圧電素子を用いることで、一つの圧電素子を用いる場合に比べて回転の向きによらずどちらか一方の圧電素子は正極性の出力となるため確実に前記回転を検出でき、また断線等による不具合による回転の誤検出の恐れが低減するという効果が得られる。
【0007】
好適には、本発明の眼鏡型電子機器の前記圧電素子の前記出力電位は、前記リムとテンプルとの相対的な前記回転が停止している状態において略0Vである。
この構成によれば、リムとテンプルとの相対的な回転が生じていない間の電力消費を抑えることができ、省電力化が図れる。
【0011】
好適には、本発明の眼鏡型電子機器は、電池と、当該電池から給電されて動作する被給電部とを有し、前記検出手段は、前記圧電素子の出力信号を基に、前記回転が前記テンプルを開く向きの場合に前記被給電部を通常動作モードに切換え、前記回転が前記テンプルを閉じる向きである場合に前記被給電部の動作をオフあるいは低電力動作モードに切り換える。
【0012】
この構成によれば、テンプルを開く向きの回転が生じた場合(すなわち、眼鏡型電子機器の使用開始時)には被給電部を通常動作モードに切換え、テンプルを閉じる向きの回転が生じた場合(すなわち、眼鏡型電子機器の使用後)に被給電部の動作をオフあるいは低電力動作モードに切り換えることができる。
【0013】
好適には、本発明の眼鏡型電子機器の前記被給電部は、前記丁番に対して前記リム側に設けられ、前記電池は、前記丁番に対して前記テンプル側に設けられており、前記被給電部と前記電池との間の電源供給ラインと、前記圧電素子とが形成されたフレキシブルプリント基板をさらに有する。
この構成によれば、フレキシブルプリント基板に電源供給ラインと圧電素子とを形成するため、圧電素子をテンプル等に組み込む際の負担が軽減される。
【0014】
好適には、本発明の眼鏡型電子機器は、前記回転に応じて所定の振動パターンを発生するクリック生成手段を有し、前記圧電素子は、前記振動パターンを検出可能な位置に設けられ、前記検出手段は、前記圧電素子の前記出力電位と予め規定された前記振動パターンに対応した基準値とを基に、前記回転を検出する。
この構成によれば、クリック生成手段が生じる振動を、クリック感の実現と、回転検出の双方に利用できる。
【0015】
好適には、本発明の眼鏡型電子機器の前記クリック生成手段は、前記テンプルを開く向きの前記回転と、前記テンプルを閉じる向きの前記回転とで異なる前記振動パターンを発生する。
この構成によれば、クリック生成手段の振動パターンを基に、上記回転向きを検出でき、回転向きに応じた処理を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、センサや処理回路等の被給電部への電源供給が必要な眼鏡型電子機器において、小規模な構成で省電力化を図ることができる眼鏡型電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係る眼鏡の外観図である。
図2図2は、図1に示す眼鏡においてリムとテンプルとが閉じた状態における第1の圧電素子と第2の圧電素子との配置を説明するための図である。
図3図3は、図1に示す眼鏡においてリムとテンプルとが開いた状態における第1の圧電素子と第2の圧電素子との配置を説明するための図である。
図4図4は、第1の圧電素子、第2の圧電素子、検出回路及び処理回路の関係を説明するための図である。
図5図5は、テンプルを閉じる向き(図2中回転向きA)に回転させた場合における、第1の圧電素子及び第2の圧電素子から出力される第1の出力電位信号及び第2の出力電位信号の波形を説明するための図である。
図6図6は、テンプルを開く向き(図2中回転向きB)に回転させた場合における、第1の圧電素子及び第2の圧電素子から出力される第1の出力電位信号及び第2の出力電位信号の波形を説明するための図である。
図7図7は、本発明の実施形態の眼鏡1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施形態のその他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る眼鏡1の外観図である。図2は、図1に示す眼鏡1においてリム31とテンプル11とが閉じた状態における第1の圧電素子61と第2の圧電素子63との配置を説明するための図である。図3は、図1に示す眼鏡1においてリム31とテンプル11とが開いた状態における第1の圧電素子61と第2の圧電素子63との配置を説明するための図である。
【0019】
図1に示すように、眼鏡1は、使用者に耳に掛けられるテンプル11,13と、レンズ21,23が固定されるリム31,33と、リム31,33の間に介在するブリッジ35と、鼻パッド41,43とを有する。リム31,33の先端にはモダン37,39とが設けられている。
【0020】
また、テンプル11,13とリム31,33との間には丁番45,47が設けられている。
ここで、テンプル11が本発明のテンプルの一例であり、リム31が本発明のリムの一例であり、丁番45が本発明の丁番の一例である。
テンプル11とリム31とは丁番45を介して相対的に回転する。また、テンプル13とリム33とは丁番47を介して相対的に回転する。
【0021】
図2及び図3に示すように、テンプル11、丁番41及びリム31には、テンプル11とリム31とは丁番45を介して相対的に回転したときに、受けた力に応じた出力電位を生成する第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63が設けられている。
ここで、第1の圧電素子61が本発明の第1の圧電素子の一例であり、第2の圧電素子63が本発明の第2の圧電素子の一例である。
図2及び図3に示す例では、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63は、線状であり、丁番41の回転軸を外側から巻くように設けられている。
第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63は、例えば、テンプル11及びリム31のケース内に収容されており、外側から見えないようになっている。
【0022】
図4は、第1の圧電素子61、第2の圧電素子63、検出回路53及び処理回路55の関係を説明するための図である。図5は、テンプル11を閉じる向き(図2中回転向きA)に回転させた場合における、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63から出力される第1の出力電位信号S61及び第2の出力電位信号S63の波形を説明するための図である。図6は、テンプル11を開く向き(図2中回転向きB)に回転させた場合における、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63から出力される第1の出力電位信号S61及び第2の出力電位信号S63の波形を説明するための図である。
【0023】
図4に示すように、第1の圧電素子61の出力電位が生じる電極は第1の信号線161を介してモダン37内の検出回路53に接続されている。第1の圧電素子61から検出回路53へは第1の出力電位信号S61が出力される。
第2の圧電素子63の出力電位が生じる電極は第2の信号線163を介して検出回路53に接続されている。第2の圧電素子63から検出回路53へは第2の出力電位信号S63が出力される。
信号線161,163は、非導電性のシールド部材で覆われている。
【0024】
図5及び図6に示すように第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63の第1の出力電位信号S61及び第2の出力電位信号S63は、丁番45を介してテンプル11とリム31とが相対的に回転していない状態において略0Vである。これにより、回転が生じていない間の電力消費を抑えることができ、省電力化が図れる。
【0025】
また、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63は、テンプル11を閉じる向き(図2中回転向きA)に回転させた場合と、テンプル11を開く向き(図2中回転向きB)に回転させた場合とで、逆極性の向きに変化するように設けられている。
【0026】
また、図5及び図6に示すように、第1の圧電素子61と第2の圧電素子63とは、丁番45を介してテンプル11とリム31とが相対的に回転した場合に、第1の出力電位信号S61と第2の出力電位信号S63とが相互に逆極性になるように設けられている。
【0027】
図5に示すように、第1の出力電位信号S61は、テンプル11を閉じる向き(図2中回転向きA)に回転させた場合に、略0Vからプラス方向に上昇し、しきい値Vthを超える。一方、第2の出力電位信号S63は、略0Vからマイナス方向に下降する。
また、図6に示すように、第2の出力電位信号S63は、テンプル11を開く向き(図2中回転向きB)に回転させた場合に、略0Vからプラス方向に上昇し、しきい値Vthを超える。一方、第1の出力電位信号S61は、略0Vからマイナス方向に下降する。
【0028】
モダン37は、内部に収容空間を有し、当該収容空間内に図4に示す検出回路53及び処理回路55が収容されている。
検出回路53は、第1の信号線161を介して、第1の圧電素子61からの第1の出力電位信号S61を入力する。また、検出回路53は、第2の信号線163を介して、第2の圧電素子63からの第2の出力電位信号S63を入力する。
検出回路53は、第1の出力電位信号S61と第2の出力電位信号S63とを基に上記回転を検出する。
【0029】
検出回路53は、第1の出力電位信号S61と第2の出力電位信号S63とが図5に示すように変位したことを検出すると、テンプル11を閉じる向き(図2中回転向きA)の回転が生じたと判断する。具体的には、検出回路53は、第1の出力電位信号S61がしきい値Vthを超えた場合に、テンプル11を閉じる向き(図2中回転向きA)の回転が生じたと判断する。
【0030】
一方、検出回路53は、第1の出力電位信号S61と第2の出力電位信号S63とが図6に示すように変位したことを検出すると、テンプル11を開く向き(図2中回転向きB)の回転が生じたと判断する。具体的には、検出回路53は、第2の出力電位信号S63がしきい値Vthを超えた場合に、テンプル11を開く向き(図2中回転向きB)の回転が生じたと判断する。
【0031】
検出回路53は、テンプル11を開く向きの回転を検出すると(眼鏡1の使用開始時)、処理回路55を通常動作モードに切り換えることを示す電源制御信号S53を処理回路55に出力する。
一方、検出回路53は、テンプル11を閉じる向きの回転を検出すると(眼鏡1の使用終了時)、処理回路55を動作オフあるいは低電力動作モードに切り換えることを示す電源制御信号S53を処理回路55に出力する。
ここで、処理回路55が本発明の被給電部の一例である。
【0032】
以下、本発明の実施形態の眼鏡1の動作例を説明する。
図7は、本発明の実施形態の眼鏡1の動作例を説明するためのフローチャートである。
ステップST1:
検出回路53は、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63から第1の出力電位信号S61及び第2の出力電位信号S63を監視する。
このとき、図5に示すように、テンプル11を閉じる向き(図2中回転向きA)に回転させた場合に、第1の出力電位信号S61は、略0Vからプラス方向に上昇し、しきい値Vthを超える。一方、第2の出力電位信号S63は、0Vからマイナス方向に下降する。
また、図6に示すように、テンプル11を開く向き(図2中回転向きB)に回転させた場合に、第2の出力電位信号S63は、略0Vからプラス方向に上昇し、しきい値Vthを超える。一方、第1の出力電位信号S61は、0Vからマイナス方向に下降する。
【0033】
ステップST2:
検出回路53は、スイッチ・オフの条件、すなわち、第1の出力電位信号S61が略0Vからプラス方向に上昇し、しきい値Vthを超えるという条件を満たしたか否かを判断し、当該条件を満たしたと判断するとステップST3に進む。
【0034】
ステップST3:
検出回路53は、処理回路55を動作オフあるいは低電力動作モードに切り換えることを示す電源制御信号S53を処理回路55に出力する。
これにより、処理回路55を動作オフあるいは低電力動作モードにとなる。
【0035】
ステップST4:
検出回路53は、スイッチ・オンの条件、すなわち、第2の出力電位信号S63が0Vからプラス方向に上昇し、しきい値Vthを超えるという条件を満たしたか否かを判断し、当該条件を満たしたと判断するとステップST5に進む。
【0036】
ステップST5:
検出回路53は、処理回路55を通常動作モードに切り換えることを示す電源制御信号S53を処理回路55
これにより、処理回路55を通常動作モードにとなる。
【0037】
以上説明したように、眼鏡1によれば、使用者が眼鏡1の使用を開始するためにテンプル11を開く向きの回転を検出すると、通常動作モードとなるように電源供給を制御する。また、使用後にテンプル11を閉じる向きの回転を検出すると、処理回路55を動作オフあるいは低電力動作モードにする。そのため、使用者は手動で電源をオン/オフする必要がなく便利であると共に、使用後に電源をオフにし忘れることを防止でき、省電力化を図ることができる。
【0038】
また、眼鏡1によれば、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63を用いて検出を行うため、小規模且つ安価な構成で実現できる。
【0039】
また、眼鏡1によれば、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63の2つの圧電素子を用いることで、一つの圧電素子を用いる場合に比べて回転の向きによらずどちらか一方の圧電素子は正極性の出力となるため確実に前記回転を検出でき、また断線等による不具合による回転の誤検出の恐れが低減するという効果が得られる。
【0040】
また、眼鏡1によれば、モダン37内に検出回路53及び処理回路55を収容するため、優れたデザイン性を有すると共に、日常で違和感なく装着できる。
【0041】
また、眼鏡1によれば、モダン37内の通信モジュールを介して携帯型通信装置等の外部装置に各信号(データ)送信することで、外部装置の高い処理能力及びメモリ容量を用いた高機能な処理を実現できる。
【0042】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
上述した実施形態では、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63を、図2及び図3に示すように、丁番45を介してテンプル11とリム31とを結ぶ位置に配置し、テンプル11とリム31との相対的な回転に応じて第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63に直接的に加わる力を検出する場合を例示した。
本発明は、例えば、丁番45を介してテンプル11とリム31とを結ぶ位置に一本の圧電素子を配置し、当該圧電素子からの出力電位信号がプラス方向に上昇してしきい値Vthを超えた場合にテンプル11が閉じられたと判断し、出力電位信号がマイナス方向に下降してしきい値(−Vth)を下回った場合にテンプル11が開かれたと判断してもよい。
【0043】
また、本発明は、例えば、テンプル11とリム31との丁番45を介した相対的な回転運動時にクリック感を持たせるクリック振動パターンを生じさせるクリック生成機構を用い、当該クリック振動を圧電素子で検出するようにしてもよい。当該クリック生成機構が本発明のクリック生成手段の一例である。
この場合は、検出回路53において圧電素子からの出力電位信号と予め規定された上記振動パターンに対応した基準値とを基に上記回転を検出する。
また、上記クリック生成機構は、テンプル11を開く向きの回転と、テンプル11を閉じる向きの回転とで異なる上記振動パターンを発生する構造してもよい。これにより、検出回路53は、検出した振動パターンから、回転の向きを特定できる。
【0044】
また、上述した実施形態では、図2及び図3に示すように、シールド部材で覆われた孫号線161,163を用いた場合を例示したが、例えば、リム31側にセンサやカメラ等の被給電部が設けられ、当該被給電部とモダン37内の処理回路55及び電池とが図8に示すフレキシブルプリント基板81を介して接続されている場合に、フレキシブルプリント基板81に電源ライン、信号線、第1の圧電素子61及び第2の圧電素子63を形成してもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では検出回路53、処理回路55及び電池等をモダン37内に収容した場合を例示したが、モダン37ではなくテンプル11等に固定したボックス内に収容してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明をレンズ21,23を備えた眼鏡1に適用した場合を例示したが、レンズが無いアイウェア等に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、眼鏡型電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…眼鏡
11,13…テンプル、21,23…レンズ、31,33リム、37,39…モダン、35…ブリッジ、45…丁番、53…検出回路、55…処理回路、61…第1の圧電素子、63…第2の圧電素子、81…フレキシブルプリント基板、161…第1の信号線、163…第2の信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8