(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
β−1,6−グルカンが全ての対象において強い免疫応答を生じるか、およびそのよう
な応答がどのようなメカニズムにより生じるかは知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ある実施の形態において、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントに
対する対象の反応性を特定する診断方法を提供し、この方法は、
グルカンにさらされた対象において関連する免疫グロブリンG(IgG)1、2、3お
よび4のアイソタイプタイターを評価する工程;および
抗IgG1またはIgG2またはIgG3、あるいはそれらの組合せ、対IgG4の存
在を、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントへの反応性と関連付ける工程;
を含む。
【0011】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、関連するIgGアイソタイプタイタ
ーを評価する前に対象中の細胞をグルカンに基づくワクチンまたはアジュバントに接触さ
せる工程を含み、これはある実施の形態においてO−アセチル化グルカンを含み、別の実
施の形態において地衣類または真菌から単離されるまたは由来するグルカンを含み、真菌
は必要に応じて酵母菌を含み、これはある実施の形態においてUmbilicariaceaeから単離
されるまたは由来する。別の実施の形態において、グルカンに基づくワクチンまたはアジ
ュバントは、化学的に合成されたまたはアセチル化されたグルカンを含み、別の実施の形
態において、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントは、粒子に結合されたグルカ
ンを含む。
【0012】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、サイトカインを対象に投与する工程
を含み、これはある実施の形態においてインターロイキン2、インターロイキン12、イ
ンターフェロン−γ、またはそれらの組合せを含む。
【0013】
別の実施の形態において、本発明の方法は、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバ
ントに対する対象の反応性を特定する診断キットを提供し、このキットは、
このワクチンまたはアジュバント中のグルカンに対応するまたは相同であるグルカン;
対象サンプルにおいて関連する免疫グロブリンG(IgG)1、2、3および4アイソ
タイプタイターを検出するための試薬;および
必要に応じて、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントに対する陽性および陰性
レスポンダーに由来する一連の基準;
を含む。
【0014】
本発明のこの態様によれば、およびある実施の形態において、グルカンは担体に結合さ
れ、これはある実施の形態においてマイクロタイタープレートであり、別の実施の形態に
おいてビーズである。ある実施の形態において、試薬は、検出を半定量的にする検出可能
マーカーを含む。
【0015】
ある実施の形態において、本発明は、対象において免疫応答を刺激する方法を提供し、
この方法は、精製されたβ−1−6−グルカン、および免疫グロブリンG(IgG)4に
対して相対的に大きい量の免疫グロブリンG(IgG)1、2または3を生じるように抗
体産生を偏らせる試薬を対象に投与する工程を含む。
【0016】
本発明のこの態様によれば、およびある実施の形態において、対象は、精製されたβ−
1−6−グルカンおよび試薬を同時に投与され、あるいは別の実施の形態において、対象
は、精製されたβ−1−6−グルカンおよび試薬を順次に投与される。別の実施の形態に
おいて、対象は、精製されたβ−1−6−グルカンおよびサイトカインをそれぞれ少なく
とも2度投与される。
【0017】
ある実施の形態において、試薬はサイトカインであり、ある実施の形態においてはイン
ターロイキン2、インターロイキン12またはインターフェロン−γ、またはそれらの組
合せである。別の実施の形態において、試薬は、インターロイキン−4またはインターロ
イキン−10を下方調節する、あるいはインターロイキン−4またはインターロイキン−
10活性を抑制する。
【0018】
ある実施の形態において、対象はさらに免疫応答の標的に関連する抗原にさらされ、こ
れはある実施の形態において腫瘍関連抗原である。本発明のこの態様によれば、およびあ
る実施の形態において、対象は増殖性または新生物発生前障害を有し、別の実施の形態に
おいて、本発明の方法は、対象中の癌を治療し、進行を遅らせ、鎮静化を延ばし、あるい
は発生または重症度を低減する。別の実施の形態において、対象は癌を有する。別の実施
の形態において、対象は癌を有すると診断されていない。別の実施の形態において、対象
は腫瘍を有すると診断されていない。
【0019】
別の実施の形態において、抗原は病原体に由来し、これはある実施の形態において真菌
である。ある実施の形態において本発明の方法は、対象中の感染を治療し、進行を遅らせ
、鎮静化を延ばし、あるいは発生または重症度を低減する。
【0020】
ある実施の形態において、本発明は、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバント、
あるいはβ1−6グルカンを含む粒子を有するグルカンの使用を提供する。ある実施の形
態において、粒子は、乾燥重量で10%、20%、30%、40%、50%、60%、7
0%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のβ1−6グル
カンで構成される。ある実施の形態において、粒子はβ1−6グルカンから実質的に構成
される。必要に応じて、ある実施の形態において、β1−6グルカンは、O−アセチル化
基を多く含む。本発明はさらに、任意の上記の粒子、または任意の上記の粒子を含有する
組成物を使用してもよい、ここに記載される方法およびキットを提供する。
【0021】
ある実施の形態において、β1−6グルカンは、O−アセチル化基を多く含み、ある実
施の形態において重量で少なくとも25%のO−アセチル化グルカンを含む。
【0022】
別の実施の形態において、本発明による使用のためのグルカンに基づくワクチンまたは
アジュバント、あるいはグルカンは、β−1,6グルカン分枝(β1,3/1,6グルカ
ンまたはβ−1,6−分枝β−1,3−グルカンとも称される)を有するβ−1,3グル
カンを含み、β−1,6グルカン分枝の少なくともいくつかはO−アセチル化基を多く含
む。別の実施の形態において。本発明は、(i)O−アセチル化基を多く含むβ1−6グ
ルカン;および(ii)β−1,6−分枝β−1,3−グルカンを含む組成物を使用する。
【0023】
本発明の任意の実施の形態において、「接触させる」なる用語またはその文法的な形に
関して、接触させることは対象の体外または体内のいずれで起こってもよい。ある実施の
形態において、いくつかの実施の形態において好中球である細胞は、対象から除去され、
既述の試薬または成分または組成物と接触され、次にその後のある時点で対象に投与され
る。細胞は(ある実施の形態において好中球であり、別の実施の形態において、マクロフ
ァージまたは樹状細胞、単球、NK細胞、B細胞またはその他のような他の専門抗原提示
細胞のような他の免疫系細胞)、体の外で、本発明の試薬/成分または組成物と接触され
、その後別の試薬が対象に投与される点で対象に戻される、あるいは、別の細胞集団が、
体の外で、本発明の試薬/成分または組成物と接触され、その後対象に戻される。適切な
時期は、例えば治療が与えられ所望の結果が得られない後、または例えば、より大きい効
果が所望である、例えば免疫グロブリンG4(IgG4)産生が高過ぎる場合でもよく、
続いてサイトカインが反復投与され、その後のグルカンへさらされ、より多くのIgG1
、2または3が産生される。
【0024】
いくつかの実施の形態において、本発明は、グルカンを含む担体を有するキットを提供
する。ある実施の形態において、担体は、微粒子、ナノ粒子、マイクロタイタープレート
、またはそのような診断アッセイ、例えば自動化アッセイに適切な任意の物質の一部、ま
たはそれらの形態である。
【0025】
本発明のある態様は、β−1,6−グルカンに応答して分泌された免疫グロブリンG(
IgG)抗体の量を検出する方法に関し、この方法は、以下の工程を含む:
β−1,6−グルカンによる誘発前に、対象から第1の血液サンプルを獲得し;
β−1,6−グルカンによる誘発後に、対象から第2の血液サンプルを獲得し;
溶液中で読み取り可能なシグナルを生じるのに十分な時間を与え、IgG抗体の存在を
定量化するまたは測定するアッセイ中のIgG抗体結合の溶液中のシグナルを検出し;
第1および第2の血液サンプルからIgG抗体結合のシグナルを計算してIgG抗体分泌の
量を特定し、ここでシグナル間の差異はβ−1,6−グルカンに応答して産生されたIgG抗
体の量を示し;および
差異をポジティブおよびネガティブコントロールと比較する;ここで差異が閾値を超え
る場合はβ−1,6−グルカンへの対象の応答性を特定する。
【0026】
ある実施の形態において、抗体は免疫グロブリンG全体またはその断片を含む。
【0027】
ある実施の形態において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から
なる群より選択されるアイソタイプを含んでもよい。
【0028】
ある実施の形態において、抗体はIgG2である。
【0029】
ある実施の形態において、対象はヒトでもよい。
【0030】
ある実施の形態において、β−1,6−グルカンは、地衣類、真菌または酵母菌から単
離される。
【0031】
ある実施の形態において、β−1,6−グルカンは、Umbilicariaceaeから単離される。
【0032】
ある実施の形態において、β−1,6−グルカンは、O−アセチル化されたβ−1,6−グルカンを含む。
ある実施の形態において、β−1,6−グルカンは、化学的に合成された、遺伝子操作
された、またはO−アセチル化されたβ−1,6−グルカンを含む。
【0033】
ある実施の形態において、IgG抗体の量は、酵素結合イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、免疫ブロットアッセイ、ラテラルフローアッセイ、凝集アッセイ、または粒子に基づく(particulate−based)アッセイにより特定される。
【0034】
ある実施の形態において、薬剤組成物はさらに、標的化成分に結合するβ−1,6−グ
ルカンを含む。
【0035】
本発明の別の態様は、IgGレベルを測定するための診断キットに関し、以下を含む:
(i)β−1,6−グルカンを含む薬剤組成物;
(ii)血液サンプル中で薬剤組成物に結合したIgG抗体を検出するための試薬;
(iii)必要に応じて、薬剤組成物に対する陽性および陰性レスポンダーに由来する一
連の基準;および
(iv)血液サンプル中のIgG量を検出するための薬剤組成物の使用説明書。
【0036】
ある実施の形態において、β−1,6−グルカンは溶液中に存在するかまたは凍結乾燥されて
いる。
【0037】
ある実施の形態において、β−1,6−グルカンは基材上に固定される。
【0038】
ある実施の形態において、基材は、プラスチック、ガラス、ゲル、セルロイド、紙、磁
性樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース、アガロース、ラテックス
およびポリスチレンからなる群より選択される材料を含む。
【0039】
ある実施の形態において、基材は、ELIZAプレート、計深棒、マイクロタイタープ
レート、ラジオイムノアッセイプレート、ビーズ、アガロースビーズ、プラスチックビー
ズ、ラテックスビーズ、免疫ブロット膜、および免疫ブロット紙を含む。
【0040】
ある実施の形態において、試薬は検出可能なマーカーに結合される。
【0041】
ある実施の形態において、検出可能なマーカーは、放射性ラベル、蛍光ラベル、化学発
光ラベル、発色ラベル、リガンド、フルオレセイン、ラジオアイソトープ、ホスファター
ゼ、ビオチン、ビオチン関連化合物、アビジン、アビジン関連化合物、およびぺルオキシ
ダーゼからなる群より選択される。
【0042】
本発明の別の態様は、標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを含む組成物に関す
る。
【0043】
ある実施の形態において、グルカンはO−アセチル化される。
【0044】
ある実施の形態において、グルカンは、少なくとも25重量%のO−アセチル化グルカンを含む。
【0045】
ある実施の形態において、グルカンは、地衣類、酵母菌、真菌から単離され、化学的に
合成され、または遺伝子操作される。
【0046】
ある実施の形態において、グルカンはUmbilicariaceaeから単離される。
【0047】
ある実施の形態において、標的化成分は、抗体、抗原、レセプターリガンド、エピトー
プ、多糖、ペプチド、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0048】
ある実施の形態において、標的化成分は、抗原である;抗原は、糖タンパク質、ムコタ
ンパク質、核酸、炭水化物、プロテオグリカン、脂質、ムチン分子、腫瘍関連抗原、およ
びそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0049】
ある実施の形態において、抗原は腫瘍関連抗原である。
【0050】
ある実施の形態において、腫瘍関連抗原は、卵巣癌、黒色腫、膵癌、結腸直腸癌、バー
キット白血病、B細胞リンパ腫、肺癌、白血病、乳癌、骨髄腫、大腸腺癌、胃癌、胚性癌
腫、前立腺癌、および子宮内膜癌からなる群より選択される癌上に存在する。
【0051】
ある実施の形態において、癌細胞は、卵巣癌である;および腫瘍関連抗原は、CA12
5またはCD46である。
【0052】
ある実施の形態において、癌細胞は黒色腫細胞である;および腫瘍関連抗原は、p97
、gp75、HMW−MAA、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、MAGE
、BAGE、Mart−1R24、ガングリオシドGM2、およびガングリオシドGM3
からなる群より選択される。
【0053】
ある実施の形態において、癌細胞は、膵癌である;および腫瘍関連抗原はADMRまた
はCRLR上に存在する。
【0054】
ある実施の形態において、癌細胞は、癌胎児性癌腫である;および腫瘍関連抗原はCE
Aである。
【0055】
ある実施の形態において、癌細胞は、結腸直腸癌である;および腫瘍関連抗原は、TA
G−72、CO17−1A、G1CA19−9、CTA−1、LEA、VEP8、VEP
9、My1、VIM−D5、D156−22、C4BP、およびDAFからなる群より選
択される。
【0056】
ある実施の形態において、癌細胞は、バーキットリンパ腫である;および腫瘍関連抗原は、抗原−38.13またはCD19である。
【0057】
ある実施の形態において、癌細胞は、ヒトB−リンパ腫である;および腫瘍関連抗原は
、CD20またはCD33である。
【0058】
ある実施の形態において、癌細胞は、ヒト肺癌である;および腫瘍関連抗原は、L6、
L20、F3またはCD117である。
【0059】
ある実施の形態において、癌細胞は、ヒト白血病T細胞である;および腫瘍関連抗原は
、gp37、ネオ糖タンパク質、スフィンゴ脂質、またはAPO−1である。
【0060】
ある実施の形態において、癌細胞は、乳癌細胞である;および腫瘍関連抗原は、EGF
R、HER/neu、CR1、M18またはM39である。
【0061】
ある実施の形態において、癌細胞は、骨髄腫である;および腫瘍関連抗原は、T5A7
またはSSEA−1である。
【0062】
ある実施の形態において、癌細胞は、大腸腺癌細胞である;および腫瘍関連抗原は、C
14、CO−514、またはNS−10である。
【0063】
ある実施の形態において、癌細胞は、胃癌細胞である;および腫瘍関連抗原は、ムチン
、AH6、またはFHL−1である。
【0064】
ある実施の形態において、癌細胞は、胚性癌腫細胞である;および腫瘍関連抗原は、Y
ハプテン、Ley、FC10.2、4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、O
FA−2、GD2、およびM1:22:25:8からなる群から選択される。
【0065】
ある実施の形態において、癌細胞は、前立腺癌である;および腫瘍関連抗原は、CD5
5またはMCPである。
【0066】
ある実施の形態において、癌細胞は、子宮内膜癌である;および腫瘍関連抗原は、CD
35である。
【0067】
ある実施の形態において、標的化成分は、エピトープである;およびエピトープは、T
ヘルパー細胞エピトープ(TH)、ケモカインエピトープ、好中球エピトープ、MHCク
ラスII分子、および食細胞エピトープからなる群より選択される。
【0068】
ある実施の形態において、エピトープは、好中球エピトープである;および好中球エピ
トープは、L−セレクチン、2−インテグリン、補体レセプター1(CR−1)、崩壊促
進因子(DAF)C5aレセプター、細胞接着分子−1(ICAM−1)、およびICA
M−3からなる群より選択される。
【0069】
ある実施の形態において、エピトープは、食細胞エピトープである;および食細胞エピ
トープは、Fcレセプターである。
【0070】
ある実施の形態において、エピトープは、ケモカインエピトープである;およびケモカ
インエピトープは、CD40、CD80、またはCD86である。
【0071】
ある実施の形態において、エピトープは、MHCクラスII分子である;およびMHC
クラスII分子は、CD69、ADAM8、CD14、CD163、CD33、CD63
、CD68、CD74、CHIT1、CHST10、CSF1R、DPP4、FABP4
、FCGR1A、ICAM2、IL1R2、ITGA1、ITGA2、S100A8、お
よびTNFRSF8からなる群より選択される。
【0072】
ある実施の形態において、THエピトープは、抗原提示細胞(APC)により取り上げられる(take up)ことができ、これはAPCにより処理可能であり、それによりAPCはMHCクラスII分子に結合した表面上でTHエピトープを示す。
【0073】
ある実施の形態において、標的化成分は抗体である;および抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体(bispecific antibody)、二重特異性抗体(diabody)、三重特異性抗体、四重特異性抗体、および小型抗体(minibody)からなる群より選択される。
【0074】
ある実施の形態において、抗体はモノクローナル抗体である。
【0075】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、アレムツズマブ(キャンパス)、ベ
バシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(エルビタックス)、ゲムツズマブ(マイロタ
ーグ)、イブリツモマブ(ゼヴァリン)、パニツムマブ(ベクチビックス)、リツキシマ
ブ(リツキサン)、トシツモマブ(ベキサール)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、呼
吸器多核体ウイルス中のAおよびFタンパク質におけるパリビズマブ(シナジス)、およ
び免疫グロブリンG2からなる群より選択される。
【0076】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、アレムツズマブ(キャンパス)であ
る;およびアレムツズマブ(キャンパス)は、膵癌細胞上に存在するCD52を標的にす
る。
【0077】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、ベバシズマブ(アバスチン)である
;およびベバシズマブ(アバスチン)は、結腸直腸癌中に存在するVEGFを標的にする。
【0078】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、セツキシマブ(エルビタックス)で
ある;およびセツキシマブ(エルビタックス)は、頭頚部扁平上皮癌または乳癌上に存在
するEGFRを標的にする。
【0079】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、ゲムツズマブ(マイロターグ)であ
る;およびゲムツズマブ(マイロターグ)は、骨髄性白血病に存在するCD33を標的に
する。
【0080】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、イブリツモマブ(ゼヴァリン)、パ
ニツムマブ(ベクチビックス)、リツキシマブ(リツキサン)、またはトシツモマブ(ベ
キサール)である;およびイブリツモマブ(ゼヴァリン)、パニツムマブ(ベクチビック
ス)、リツキシマブ(リツキサン)、またはトシツモマブ(ベキサール)は、B細胞リン
パ腫上に存在するCD20を標的にする。
【0081】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、トラスツズマブ(ハーセプチン)で
ある;およびトラスツズマブ(ハーセプチン)は、乳癌上に存在するHER/neuを標
的にする。
【0082】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、パリビズマブ(シナジス)である;
およびパリビズマブ(シナジス)は、呼吸器多核体ウイルス上に存在するAおよびFタン
パク質を標的にする。
【0083】
ある実施の形態において、モノクローナル抗体は、免疫グロブリンGである;および免
疫グロブリンGは、真菌または細菌病原体上に存在するβ−1,6−グルカンを標的にす
る。
【0084】
ある実施の形態において、抗体は、ポリクローナル抗体である;およびポリクローナル
は、任意の上記の抗原またはエピトープに結合する。
【0085】
ある実施の形態において、抗体は、IgG2に結合する抗原結合部位を少なくとも1つ
有する。
【0086】
ある実施の形態において、抗体は、任意の上記の抗原およびエピトープへの、第2、第
3または第4の抗原結合部位を有する。
【0087】
ある実施の形態において、組成物はさらに、アジュバント、抗原、免疫調節化合物、ま
たはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与することを含む。
【0088】
本発明の別の態様は、標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンの任意の上記の組成
物;および薬学的に許容できるキャリヤ、希釈剤、または賦形剤を含む、薬剤に関する。
【0089】
本発明の別の態様は、対象中で免疫応答を調節する方法に関し、この方法は、投与を必
要とする対象に、標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンの任意の上記の組成物を治
療効果のある量で投与する工程を含む。
【0090】
ある実施の形態において、標的癌細胞、感染因子、病原体、または感染部位への免疫応答
が刺激される。
【0091】
ある実施の形態において、免疫応答は熱ショックタンパク質発現を刺激または増強する
。
【0092】
ある実施の形態において、免疫応答は活性酸素種(ROS)の産生を誘発する。
【0093】
ある実施の形態において、免疫応答は好中球食作用または細胞障害性溶解を増強または
刺激する。
【0094】
ある実施の形態において、免疫応答は補体媒介溶解を増強または刺激する。
【0095】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、アジュバント、抗原、ペプチド、免
疫刺激化合物、治療剤、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程を含む
。
【0096】
ある実施の形態において、治療剤は、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗生物質、抗感染薬、
グルカン合成阻害剤、抗原虫薬、抗ヒスタミン、鬱血除去薬、抗精神病薬、有糸分裂阻害
剤、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0097】
ある実施の形態において、治療剤は、抗ウイルス薬である;および抗ウイルス薬は、ア
シクロビル、ネルフィナビル、またはビラゾール(virazole)である。
【0098】
ある実施の形態において、治療剤は、抗生物質である;および抗生物質は、アンピリシ
ン、ペニシリンG、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、
カルバペネム、ペネム、単環性ベータ−ラクタム、ベータ−ラクタマーゼの阻害剤、テトラサイクリン、ポリペプチド抗生物質、クロラムフェニコール、フシジン酸、リンコマイシン、ノボビオシン(novobiocine)、スペクチノマイシン、ポリ−エセリック(etheric)イオノフォア、およびキノロンからなる群より選択される。
【0099】
ある実施の形態において、治療剤は、抗感染薬である;および抗感染薬は、塩化ベンザ
ルコニウム、クロルヘキシジン、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セフ
ァクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、エリスロマイシン、クリ
ンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カル
ベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン(picloxacillin)、
ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、チカルシリン、リフ
ァンピン、テトラシリン、ジフルニサル、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェ
ナム酸、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロ
キシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン、サリチル酸、およびアンホテリシンB
からなる群より選択される。
【0100】
ある実施の形態において、治療剤は、グルカン合成阻害剤である;およびグルカン合成
阻害剤は、カスポファンギン、ミカファンギン、アニデュラファンギン(LY303366)、エ
コナゾール、テルコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、およびグリセオフルビ
ンからなる群より選択される。
【0101】
ある実施の形態において、治療剤は、抗原虫薬である;および抗原虫薬は、メトロニダ
ゾール、ツブラゾール(tubulazole)、チアベンダゾール、またはオキシフェンダゾール
である。
【0102】
ある実施の形態において、治療剤は、抗ヒスタミンである;および抗ヒスタミンは、ア
ステミゾール、レボカバスチン、セチリジン、またはシンナリジンである。
【0103】
ある実施の形態において、治療剤は、鬱血除去薬である;および鬱血除去薬はプソイド
エフェドリンである。
【0104】
ある実施の形態において、治療剤は、抗精神病薬である;および抗精神病薬は、フルスピリレン、ペンフルリドール、リスペリドン、またはジプラシドンである。
【0105】
ある実施の形態において、治療剤は有糸分裂阻害剤である;および有糸分裂阻害剤は、エトポシド、コルヒチン、またはビンカアルカロイドである。
【0106】
ある実施の形態において、免疫応答は下方調節または抑制される。
【0107】
ある実施の形態において、免疫応答は、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊
死因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコ
ロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、好中球活性化
タンパク質(NAP)、マクロファージ化学誘引物質および活性化因子(MCAF)、R
ANTES、またはマクロファージ炎症性ペプチドの活性化を下方調節または抑制する。
【0108】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、免疫抑制剤を同時にまたは順次に投
与する工程を含む。
【0109】
本発明の別の態様は、対象中の癌を治療し、進行を遅らせ、鎮静化を延ばし、あるいは
発生または重症度を低減する方法に関し、この方法は、投与を必要とする対象に、標的化
成分に結合したβ−1,6−グルカンの任意の上記の組成物を治療効果のある量で投与す
る工程を含む。
【0110】
ある実施の形態において、標的癌細胞、過形成病変、または新生物発生前病変への免疫応答が刺激される。
【0111】
ある実施の形態において、免疫応答は、好中球食作用を増強し、細胞障害性溶解を刺激
し、ROSの産生を誘発し、熱ショックタンパク質の発現を誘発し、または補体媒介溶解
を増強する。
【0112】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、化学療法剤、細胞障害性薬物、抗悪
性腫瘍薬、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程を含む。
【0113】
ある実施の形態において、上記の細胞障害性薬物は、ErbBレセプター阻害剤、VE
GFレセプター阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼA阻害剤、抗血管
新生薬、抗ホルモン薬、およびサイトカインからなる群より選択される。
【0114】
ある実施の形態において、上記の化学療法剤は、シスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、およびブレオマイシンからなる群より選択される。
【0115】
ある実施の形態において、上記の抗悪性腫瘍薬は、スピロプラチン(spiroplatin)、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサート、フルオロウラシル、アドリアマイシン、マイトマイシン、アンサミトシン(ansamitocin)、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリシン、ビンクリスチン、ブルスファン、クロラムブシル、メルファラン、PAM、L−PAM、フェニルアラニンマスタード、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジンアクチノマイシンD、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、パクリタキセルおよび他のタキサン、ラパマイシン、マニュマイシンA、TNP−470、プリカマイシン、ミトラマイシン、アミノグルテチミド、リン酸エストラムスチンナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m−AMSA)、アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ)Erwinaアスパラギナーゼ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、テニポシド(VM−26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、およびダカルバジンからなる群より選択される。
【0116】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、アジュバント、抗原、免疫調節化合
物、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程を含む。
【0117】
本発明の別の態様は、対象中の感染を治療し、進行を遅らせ、あるいは発生または重症度を低減する方法に関し、この方法は、投与を必要とする対象に、標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンの任意の上記の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む。
【0118】
ある実施の形態において、標的寄生生物、ウイルス、真菌、病原体、細菌、または感染因子への免疫応答が刺激される。
【0119】
ある実施の形態において、上記の免疫応答は、好中球食作用を増強し、細胞障害性溶解
を刺激し、ROSの産生を誘発し、熱ショックタンパク質の発現を誘発し、または補体媒
介溶解を増強する。
【0120】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、抗生物質、抗ウイルス薬、抗感染薬
、抗原虫薬、アジュバント、抗原、免疫調節化合物、またはそれらの組合せを同時にまた
は順次に投与する工程を含む。
【0121】
本発明の別の態様は、対象中の炎症を治療し、進行を遅らせ、発生または重症度を低減
する方法に関し、この方法は、投与を必要とする対象に、標的成分に結合したβ−1,6
−グルカンの任意の上記の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む。
【0122】
ある実施の形態において、炎症は、下方調節または抑制される標的炎症性病巣において
である。
【0123】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、アジュバント、抗原、ペプチド、免
疫調節化合物、抗炎症薬、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程を含
む。
【0124】
ある実施の形態において、抗炎症薬は、ベタメタゾン、プレドニゾロン、ピロキシカム
、アスピリン、フルルビプロフェン、および(+)−N−{4−[3−(4−フルオロフ
ェノキシ)フェノキシ]−2−シクロペンテン−1−yl}−N−ヒドロキシウレアから
なる群より選択される。
【0125】
本発明の別の態様は、対象中の自己免疫応答を治療し、進行を遅らせ、あるいは発生ま
たは重症度を低減する方法に関し、この方法は、投与を必要とする対象に、標的成分に結
合したβ−1,6−グルカンの任意の上記の組成物を治療効果のある量で投与する工程を
含む。
【0126】
ある実施の形態において、標的移植組織、移植細胞、自己抗原、またはHIV感染に対
する自己免疫応答は、下方調節または抑制される。
【0127】
ある実施の形態において、自己免疫応答は、インターロイキン、腫瘍壊死因子、または
インターフェロンの活性化を下方調節する。
【0128】
ある実施の形態において、本発明の方法はさらに、免疫抑制剤を同時にまたは順次に投
与する工程を含む。
【0129】
本発明の別の態様は、標的成分に結合した精製されたβ−1,6−グルカンを含む組成物に関し、この組成物は、薬剤組成物、食物または食品、栄養補助食品、または化粧組成物である。
【0130】
ある実施の形態において、組成物は、非処理のβ−1,6−グルカンに関して免疫応答
を調節する能力が増加するよう処理された標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを
含む。
【0131】
ある実施の形態において、組成物に含まれるグルカンの少なくとも95%が、標的化成
分に結合したβ−1,6−グルカンである。
【0132】
本発明の別の態様は、標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを含むミセルに関し
、β−1,6−グルカンは必要に応じてO−アセチル化される。
【0133】
本発明の別の態様は、標的化成分および生分解性ポリマーに結合したβ−1,6−グル
カンを含む組成物に関し、生分解性ポリマーは、分解して生物学的に活性のサリチル酸ま
たはアルファ−ヒドロキシ酸成分を形成し、β−1,6−グルカンは必要に応じてアセチ
ル化される。
【0134】
本発明の別の態様は、標的化成分および生分解性ポリマーに結合したβ−1,6−グル
カンの任意の上記の組成物に結合したミクロスフェアを含む粒子に関する。
【0135】
本発明の別の態様は、標的化成分および生分解性ポリマーに結合したβ−1,6−グル
カンの任意の上記の組成物を含む医療装置に関する。
【0136】
ある実施の形態において、表面の少なくとも一部は、標的化成分に結合されたβ−1,
6−グルカンを含む組成物で被覆される。
【0137】
ある実施の形態において、装置は、カテーテル、ステント、弁、ペースメーカー、中心
線、ペッサリー、管、シャント、栄養管、ドレーン、および整形外科ハードウェア装置か
らなる群より選択される。
【0138】
ある実施の形態において、組成物は、標的化成分に結合したポリマーおよびβ−1,6
−グルカンを含む被覆層を含む。
【0139】
ある実施の形態において、組成物は、標的化成分に結合したポリマーおよびβ−1,6
−グルカンを含む被覆層を含み、ポリマーは生分解性である。
【0140】
本発明の別の態様は、任意の上記の医療装置を、それを必要とする対象の体内に移植
または導入する工程を含む対象を治療する方法に関する。
【0141】
本発明の別の態様は、以下を含む被覆された材料に関する:(a)基材;および(b)
基材の表面の少なくとも一部と物理的に結合する標的化成分に結合したβ−1,6−グル
カンを含む組成物であって、組成物は必要に応じてゲルまたは膜の形態である。
【0142】
ある実施の形態において、組成物はポリマーである。
【0143】
ある実施の形態において、組成物は生分解性ポリマーを含む。
【0144】
ある実施の形態において、基材は少なくとも部分的に、金属、セラミック、またはポリマーから成る。
【0145】
本発明の別の態様は、必要とする対象の身体を、上記の被覆された材料の任意の被覆された材料に接触させる工程を含む治療方法に関する。
【0146】
ここに言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれ個々の刊行物および
特許が具体的におよび個々に特定により引用されると示されるかのように、ここに全体が
特定により引用される。本明細書と引用文献との間に不一致がある場合、明細書が支配す
る。本明細書に数値範囲がある場合、端点は範囲内に含まれる。さらに、他に示されてい
なければまたは当該分野における通常の知識の内容および理解から他に明らかでなければ
、範囲として示された数値は、記載された範囲内の任意の特定値または部分的な範囲を想
定し、本発明の異なる実施の形態において、前後関係が明らかに他を決定するのでなけれ
ば、範囲の下限の単位の十分の一まで、必要に応じて端点のいずれかまたは両方を含むま
たは除外することが理解されるべきである。自然数である単位を元来有する数値に関して
パーセンテージが記載される場合、任意の生じる端数は直近の自然数に切り上げられても
よい。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
β−1,6−グルカンに応答して分泌された免疫グロブリンG(IgG)抗体の量を検出する方法であって、前記方法は、以下の工程:
β−1,6−グルカンによる誘発前に、対象から第1の血液サンプルを獲得する工程;
β−1,6−グルカンによる誘発後に、対象から第2の血液サンプルを獲得する工程;
溶液中で読み取り可能なシグナルを生じるのに十分な時間を与え、前記IgG抗体の存在を定量化するまたは測定するアッセイにおいてIgG抗体結合の溶液中のシグナルを検出する工程;
前記第1および第2の血液サンプルからIgG抗体結合の前記シグナルを計算してIgG抗体分泌の量を特定する工程であって、ここで前記シグナル間の差異はβ−1,6−グルカンに応答して産生されたIgG抗体の量を示す、工程;および
前記差異をポジティブおよびネガティブコントロールと比較する工程;
を含み、ここで閾値を超える前記差異はβ−1,6−グルカンへの対象の応答性を特定する、方法。
(項目2)
前記抗体は免疫グロブリンG全体またはその断片を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択されるアイソタイプを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抗体はIgG2である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記対象はヒトである、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記β−1,6−グルカンは、地衣類、真菌または酵母菌から単離される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記β−1,6−グルカンは、Umbilicariaceaeから単離される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記β−1,6−グルカンは、O−アセチル化されたβ−1,6−グルカンを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記β−1,6−グルカンは、化学的に合成された、遺伝子操作された、またはO−アセチル化されたβ−1,6−グルカンを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記IgG抗体の量は、酵素結合イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、免疫ブロットアッセイ、ラテラルフローアッセイ、凝集アッセイ、または粒子に基づく(particulate−based)アッセイにより特定される、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記薬剤組成物はさらに、標的化成分に結合するβ−1,6−グルカンを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
IgGレベルを測定するための診断キットであって、以下:
(i)β−1,6−グルカンを含む薬剤組成物;
(ii)血液サンプル中で前記薬剤組成物に結合したIgG抗体を検出するための試薬;
(iii)必要に応じて、前記薬剤組成物に対する陽性および陰性レスポンダーに由来する一連の基準;および
(iv)血液サンプル中のIgG量を検出するための前記薬剤組成物の使用説明書
を含む、キット。
(項目13)
前記β−1,6−グルカンは溶液中に存在するかまたは凍結乾燥されている、項目12に記載のキット。
(項目14)
前記β−1,6−グルカンは基材上に固定される、項目12に記載のキット。
(項目15)
前記基材は、プラスチック、ガラス、ゲル、セルロイド、紙、磁性樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース、アガロース、ラテックスおよびポリスチレンからなる群より選択される材料を含む、項目14に記載のキット。
(項目16)
前記基材は、ELIZAプレート、計深棒、マイクロタイタープレート、ラジオイムノアッセイプレート、ビーズ、アガロースビーズ、プラスチックビーズ、ラテックスビーズ、免疫ブロット膜、および免疫ブロット紙を含む、項目14に記載のキット。
(項目17)
前記試薬は検出可能なマーカーに結合体化される、項目14に記載のキット。
(項目18)
前記検出可能なマーカーは、放射性ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、発色ラベル、リガンド、フルオレセイン、ラジオアイソトープ、ホスファターゼ、ビオチン、ビオチン関連化合物、アビジン、アビジン関連化合物、およびぺルオキシダーゼからなる群より選択される、項目17に記載のキット。
(項目19)
標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを含む組成物。
(項目20)
前記グルカンはO−アセチル化される、項目19に記載の組成物。
(項目21)
前記グルカンは、少なくとも25重量%のO−アセチル化グルカンを含む、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記グルカンは、地衣類、酵母菌、真菌から単離され、化学的に合成され、または遺伝子操作される、項目19に記載の組成物。
(項目23)
前記グルカンはUmbilicariaceaeから単離される、項目22に記載の組成物。
(項目24)
前記標的化成分は、抗体、抗原、レセプターリガンド、エピトープ、多糖、ペプチド、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目19に記載の組成物。
(項目25)
前記標的化成分は、抗原であり;前記抗原は、糖タンパク質、ムコタンパク質、核酸、炭水化物、プロテオグリカン、脂質、ムチン分子、腫瘍関連抗原、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記抗原は腫瘍関連抗原である、項目25に記載の組成物。
(項目27)
前記腫瘍関連抗原は、卵巣癌、黒色腫、膵癌、結腸直腸癌、バーキット白血病、B細胞リンパ腫、肺癌、白血病、乳癌、骨髄腫、大腸腺癌、胃癌、胚性癌腫、前立腺癌、および子宮内膜癌からなる群より選択される癌上に存在する、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記癌細胞は、卵巣癌であり:そして前記腫瘍関連抗原は、CA125またはCD46である、項目27に記載の組成物。
(項目29)
前記癌細胞は黒色腫細胞であり;そして前記腫瘍関連抗原は、p97、gp75、HMW−MAA、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、MAGE、BAGE、Mart−1R24、ガングリオシドGM2、およびガングリオシドGM3からなる群より選択される、項目27に記載の組成物。
(項目30)
前記癌細胞は、膵癌であり;そして存在する前記腫瘍関連抗原はADMRまたはCRLRである、項目27に記載の組成物。
(項目31)
前記癌細胞は、癌胎児性癌腫であり;そして前記腫瘍関連抗原はCEAである、項目27に記載の組成物。
(項目32)
前記癌細胞は、結腸直腸癌であり;そして前記腫瘍関連抗原は、TAG−72、CO17−1A、G1CA19−9、CTA−1、LEA、VEP8、VEP9、My1、VIM−D5、D156−22、C4BP、およびDAFからなる群より選択される、項目27に記載の組成物。
(項目33)
前記癌細胞は、バーキットリンパ腫であり;そして前記腫瘍関連抗原は、抗原−38.13またはCD19である、項目27に記載の組成物。
(項目34)
前記癌細胞は、ヒトB−リンパ腫であり;そして前記腫瘍関連抗原は、CD20またはCD33である、項目27に記載の組成物。
(項目35)
前記癌細胞は、ヒト肺癌であり;そして前記腫瘍関連抗原は、L6、L20、F3またはCD117である、項目27に記載の組成物。
(項目36)
前記癌細胞は、ヒト白血病T細胞であり;そして前記腫瘍関連抗原は、gp37、ネオ糖タンパク質、スフィンゴ脂質、またはAPO−1である、項目27に記載の組成物。
(項目37)
前記癌細胞は、乳癌細胞であり;そして前記腫瘍関連抗原は、EGFR、HER/neu、CR1、M18またはM39である、項目27に記載の組成物。
(項目38)
前記癌細胞は、骨髄腫であり;そして前記腫瘍関連抗原は、T5A7またはSSEA−1である、項目27に記載の組成物。
(項目39)
前記癌細胞は、大腸腺癌細胞であり;そして前記腫瘍関連抗原は、C14、CO−514、またはNS−10である、項目27に記載の組成物。
(項目40)
前記癌細胞は、胃癌細胞であり;そして前記腫瘍関連抗原は、ムチン、AH6、またはFHL−1である、項目27に記載の組成物。
(項目41)
前記癌細胞は、胚性癌腫細胞であり;そして前記腫瘍関連抗原は、Yハプテン、Ley、FC10.2、4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、OFA−2、GD2、およびM1:22:25:8からなる群から選択される、項目27に記載の組成物。
(項目42)
前記癌細胞は、前立腺癌であり;そして前記腫瘍関連抗原は、CD55またはMCPである、項目27に記載の組成物。
(項目43)
前記癌細胞は、子宮内膜癌であり;そして前記腫瘍関連抗原は、CD35である、項目27に記載の組成物。
(項目44)
前記標的化成分は、エピトープであり;そして前記エピトープは、Tヘルパー細胞エピトープ(TH)、ケモカインエピトープ、好中球エピトープ、MHCクラスII分子、および食細胞エピトープからなる群より選択される、項目24に記載の組成物。
(項目45)
前記エピトープは、好中球エピトープであり;そして前記好中球エピトープは、L−セレクチン、2−インテグリン、補体レセプター1(CR−1)、崩壊促進因子(DAF)C5aレセプター、細胞接着分子−1(ICAM−1)、およびICAM−3からなる群より選択される、項目44に記載の組成物。
(項目46)
前記エピトープは、食細胞エピトープであり;そして前記食細胞エピトープは、Fcレセプターである、項目44に記載の組成物。
(項目47)
前記エピトープは、ケモカインエピトープであり;そして前記ケモカインエピトープは、CD40、CD80、またはCD86である、項目44に記載の組成物。
(項目48)
前記エピトープは、MHCクラスII分子であり;そして前記MHCクラスII分子は、CD69、ADAM8、CD14、CD163、CD33、CD63、CD68、CD74、CHIT1、CHST10、CSF1R、DPP4、FABP4、FCGR1A、ICAM2、IL1R2、ITGA1、ITGA2、S100A8、およびTNFRSF8からなる群より選択される、項目44に記載の組成物。
(項目49)
前記THエピトープは、抗原提示細胞(APC)により取り上げられることができる、項目44に記載の組成物。
(項目50)
前記APCにより処理可能であり、それにより前記APCはMHCクラスII分子に結合した表面上でTHエピトープを示す、項目49に記載の組成物。
(項目51)
前記標的化成分は抗体であり;そして前記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体(bispecific antibody)、二重特異性抗体(diabody)、三重特異性抗体、四重特異性抗体、および小型抗体(minibody)からなる群より選択される、項目24に記載の組成物。
(項目52)
前記抗体はモノクローナル抗体である、項目51に記載の組成物。
(項目53)
前記モノクローナル抗体は、アレムツズマブ(キャンパス)、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(エルビタックス)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、イブリツモマブ(ゼヴァリン)、パニツムマブ(ベクチビックス)、リツキシマブ(リツキサン)、トシツモマブ(ベキサール)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、呼吸器多核体ウイルス中のAおよびFタンパク質におけるパリビズマブ(シナジス)、および免疫グロブリンG2からなる群より選択される、項目52に記載の組成物。
(項目54)
前記モノクローナル抗体は、アレムツズマブ(キャンパス)であり;そして前記アレムツズマブ(キャンパス)は、膵癌細胞上に存在するCD52を標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目55)
前記モノクローナル抗体は、ベバシズマブ(アバスチン)であり;そして前記ベバシズマブ(アバスチン)は、結腸直腸癌中に存在するVEGFを標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目56)
前記モノクローナル抗体は、セツキシマブ(エルビタックス)であり;そして前記セツキシマブ(エルビタックス)は、頭頚部扁平上皮癌または乳癌上に存在するEGFRを標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目57)
前記モノクローナル抗体は、ゲムツズマブ(マイロターグ)であり;そして前記ゲムツズマブ(マイロターグ)は、骨髄性白血病に存在するCD33を標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目58)
前記モノクローナル抗体は、イブリツモマブ(ゼヴァリン)、パニツムマブ(ベクチビックス)、リツキシマブ(リツキサン)、またはトシツモマブ(ベキサール)であり;そして前記イブリツモマブ(ゼヴァリン)、パニツムマブ(ベクチビックス)、リツキシマブ(リツキサン)、またはトシツモマブ(ベキサール)は、B細胞リンパ腫上に存在するCD20を標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目59)
前記モノクローナル抗体は、トラスツズマブ(ハーセプチン)であり;そして前記トラスツズマブ(ハーセプチン)は、乳癌上に存在するHER/neuを標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目60)
前記モノクローナル抗体は、パリビズマブ(シナジス)であり;そして前記パリビズマブ(シナジス)は、呼吸器多核体ウイルス上に存在するAおよびFタンパク質を標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目61)
前記モノクローナル抗体は、免疫グロブリンGであり;そして前記免疫グロブリンGは、真菌または細菌病原体上に存在するβ−1,6−グルカンを標的にする、項目52に記載の組成物。
(項目62)
前記抗体は、ポリクローナル抗体であり;そして前記ポリクローナルは、項目25〜50のいずれか一項に記載の抗原またはエピトープに結合する、項目24に記載の組成物。
(項目63)
前記抗体は、IgG2に結合する抗原結合部位を少なくとも1つ有する、項目51に記載の組成物。
(項目64)
前記抗体は、項目25〜50のいずれか一項に記載の抗原およびエピトープへの、第2、第3または第4の抗原結合部位を含む、項目63に記載の組成物。
(項目65)
アジュバント、抗原、免疫調節化合物、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与することをさらに含む、項目19に記載の組成物。
(項目66)
項目19に記載の組成物;および
薬学的に許容できるキャリヤ、希釈剤、または賦形剤
を含む、薬剤。
(項目67)
対象中で免疫応答を調節する方法であって、前記方法は、前記調節を必要とする対象に、項目19〜65のいずれか一項に記載の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む、方法。
(項目68)
標的癌細胞、感染因子、病原体、または感染部位への免疫応答が刺激される、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記免疫応答は熱ショックタンパク質発現を刺激または増強する、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記免疫応答は活性酸素種(ROS)の産生を誘発する、項目68に記載の方法。
(項目71)
前記免疫応答は好中球食作用または細胞障害性溶解を増強または刺激する、項目68に記載の方法。
(項目72)
前記免疫応答は補体媒介溶解を増強または刺激する、項目68に記載の方法。
(項目73)
アジュバント、抗原、ペプチド、免疫刺激化合物、治療剤、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程をさらに含む、項目67に記載の方法。
(項目74)
前記治療剤は、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗生物質、抗感染薬、グルカン合成阻害剤、抗原虫薬、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬、抗精神病薬、有糸分裂阻害剤、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記治療剤は、抗ウイルス薬であり;そして前記抗ウイルス薬は、アシクロビル、ネルフィナビル、またはビラゾール(virazole)である、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記治療剤は、抗生物質であり;そして前記抗生物質は、アンピリシン、ペニシリンG、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、カルバペネム、ペネム、単環性ベータ−ラクタム、ベータ−ラクタマーゼの阻害剤、テトラサイクリン、ポリペプチド抗生物質、クロラムフェニコール、フシジン酸、リンコマイシン、ノボビオシン(novobiocine)、スペクチノマイシン、ポリ−エセリック(etheric)イオノフォア、およびキノロンからなる群より選択される、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記治療剤は、抗感染薬であり;そして前記抗感染薬は、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン(picloxacillin)、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、チカルシリン、リファンピン、テトラシリン、ジフルニサル、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン、サリチレート、およびアンホテリシンBからなる群より選択される、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記治療剤は、グルカン合成阻害剤であり;そして前記グルカン合成阻害剤は、カスポファンギン、ミカファンギン、アニデュラファンギン(LY303366)、エコナゾール、テルコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、およびグリセオフルビンからなる群より選択される、項目74に記載の方法。
(項目79)
前記治療剤は、抗原虫薬であり;そして前記抗原虫薬は、メトロニダゾール、ツブラゾール(tubulazole)、チアベンダゾール、またはオキシフェンダゾールである、項目74に記載の方法。
(項目80)
前記治療剤は、抗ヒスタミン薬であり;そして前記抗ヒスタミン薬は、アステミゾール、レボカバスチン、セチリジン、またはシンナリジンである、項目74に記載の方法。
(項目81)
前記治療剤は、鬱血除去薬であり;そして前記鬱血除去薬はプソイドエフェドリンである、項目74に記載の方法。
(項目82)
前記治療剤は、抗精神病薬であり;そして前記抗精神病薬は、フルスピリレン、ペンフルリドール、リスペリドン、またはジプラシドンである、項目74に記載の方法。
(項目83)
前記治療剤は、前記有糸分裂阻害剤であり;そして前記有糸分裂阻害剤は、エトポシド、コルヒチン、またはビンカアルカロイドである、項目74に記載の方法。
(項目84)
前記免疫応答は下方調節または抑制される、項目67に記載の方法。
(項目85)
前記免疫応答は、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、好中球活性化タンパク質(NAP)、マクロファージ化学誘引物質および活性化因子(MCAF)、RANTES、またはマクロファージ炎症性ペプチドの活性化を下方調節または抑制する、項目84に記載の方法。
(項目86)
免疫抑制剤を同時にまたは順次に投与する工程をさらに含む、項目84に記載の方法。
(項目87)
対象中の癌を治療し、進行を遅らせ、鎮静化を延ばし、あるいは発生または重症度を低減する方法であって、癌を治療し、進行を遅らせ、鎮静化を延ばし、あるいは発生または重症度を低減する必要のある対象に、項目19〜65のいずれか一項に記載の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む、方法。
(項目88)
標的癌細胞、過形成病変、または新生物発生前病変への免疫応答が刺激される、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記免疫応答は、好中球食作用を増強し、細胞障害性溶解を刺激し、ROSの産生を誘発し、熱ショックタンパク質の発現を誘発し、または補体媒介溶解を増強する、項目88に記載の方法。
(項目90)
化学療法剤、細胞障害性薬物、抗悪性腫瘍薬、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程をさらに含む、項目87に記載の方法。
(項目91)
前記細胞障害性薬物は、ErbBレセプター阻害剤、VEGFレセプター阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼA阻害剤、抗血管新生薬、抗ホルモン薬、およびサイトカインからなる群より選択される、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記上記の化学療法剤は、シスプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、およびブレオマイシンからなる群より選択される、項目90に記載の方法。
(項目93)
前記抗悪性腫瘍薬は、スピロプラチン(spiroplatin)、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサート、フルオロウラシル、アドリアマイシン、マイトマイシン、アンサミトシン(ansamitocin)、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリシン、ビンクリスチン、ブルスファン、クロラムブシル、メルファラン、PAM、L−PAM、フェニルアラニンマスタード、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジン、アクチノマイシンD、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、パクリタキセルおよび他のタキサン、ラパマイシン、マニュマイシンA、TNP−470、プリカマイシン、ミトラマイシン、アミノグルテチミド、リン酸エストラムスチンナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m−AMSA)、アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ)Erwinaアスパラギナーゼ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、テニポシド(VM−26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、およびダカルバジンからなる群より選択される、項目90に記載の方法。
(項目94)
アジュバント、抗原、免疫調節化合物、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程をさらに含む、項目87に記載の方法。
(項目95)
対象中の感染を治療し、進行を遅らせ、あるいは発生または重症度を低減する方法であって、感染を治療し、進行を遅らせ、あるいは発生または重症度を低減する必要のある対象に、項目19〜65のいずれか一項に記載の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む、方法。
(項目96)
標的寄生生物、ウイルス、真菌、病原体、細菌、または感染因子への免疫応答が刺激される、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記免疫応答は、好中球食作用を増強し、細胞障害性溶解を刺激し、ROSの産生を誘発し、熱ショックタンパク質の発現を誘発し、または補体媒介溶解を増強する、項目96に記載の方法。
(項目98)
抗生物質、抗ウイルス薬、抗感染薬、抗原虫薬、アジュバント、抗原、免疫調節化合物、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程をさらに含む、項目95に記載の方法。
(項目99)
対象中の炎症を治療し、進行を遅らせ、発生または重症度を低減する方法であって、炎症を治療し、進行を遅らせ、発生または重症度を低減する必要のある対象に、項目19〜65のいずれか一項に記載の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む、方法。
(項目100)
前記炎症は、標的炎症性病巣において下方調節または抑制される、項目99に記載の方法。
(項目101)
アジュバント、抗原、ペプチド、免疫調節化合物、抗炎症薬、またはそれらの組合せを同時にまたは順次に投与する工程を含む、項目99に記載の方法。
(項目102)
前記抗炎症薬は、ベタメタゾン、プレドニゾロン、ピロキシカム、アスピリン、フルルビプロフェン、および(+)−N−{4−[3−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−シクロペンテン−1−イル}−N−ヒドロキシウレアからなる群より選択される、項目101に記載の方法。
(項目103)
対象中の自己免疫応答を治療し、進行を遅らせ、あるいは発生または重症度を低減する方法であって、自己免疫応答を治療し、進行を遅らせ、あるいは発生または重症度を低減する必要のある対象に、項目27〜72のいずれか一項に記載の組成物を治療効果のある量で投与する工程を含む、方法。
(項目104)
標的移植組織、移植細胞、自己抗原、またはHIV感染に対する前記自己免疫応答は、下方調節または抑制される、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記自己免疫応答は、インターロイキン、腫瘍壊死因子、またはインターフェロンの活性化を下方調節する、項目104に記載の方法。
(項目106)
免疫抑制剤を同時にまたは順次に投与する工程をさらに含む、項目103に記載の方法。
(項目107)
標的成分に結合した精製されたβ−1,6−グルカンを含む組成物であって、前記組成物は、薬剤組成物、食物または食品、栄養補助食品、または化粧組成物である、組成物。
(項目108)
前記組成物は、未処理のβ−1,6−グルカンに対して免疫応答を調節する能力が増加するよう処理された標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを含む、項目107に記載の組成物。
(項目109)
前記組成物に含まれるグルカンの少なくとも95%が、標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンである、項目107に記載の組成物。
(項目110)
標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを含むミセルであって、前記β−1,6−グルカンは必要に応じてO−アセチル化される、ミセル。
(項目111)
標的化成分および生分解性ポリマーに結合したβ−1,6−グルカンを含む組成物であって、前記生分解性ポリマーは、分解して生物学的に活性のサリチレートまたはアルファ−ヒドロキシ酸成分を形成し、前記β−1,6−グルカンは必要に応じてアセチル化される、組成物。
(項目112)
項目111に記載の組成物に結合したミクロスフェアを含む、粒子。
(項目113)
項目111に記載の組成物を含む、医療装置。
(項目114)
前記表面の少なくとも一部は、標的化成分に結合されたβ−1,6−グルカンを含む組成物で被覆される、項目113に記載の医療装置。
(項目115)
前記装置は、カテーテル、ステント、弁、ペースメーカー、中心線、ペッサリー、管、シャント、栄養管、ドレーン、および整形外科ハードウェア装置からなる群より選択される、項目113に記載の医療装置。
(項目116)
前記組成物は、標的化成分に結合したポリマーおよびβ−1,6−グルカンを含む被覆層を含む、項目113に記載の医療装置。
(項目117)
前記組成物は、標的化成分に結合したポリマーおよびβ−1,6−グルカンを含む被覆層を含み、前記ポリマーは生分解性である、項目113に記載の医療装置。
(項目118)
対象を治療する方法であって、項目113に記載の医療装置を、前記治療を必要とする対象の体内に移植または導入する工程を含む、方法。
(項目119)
以下:
(a)基材;および
(b)前記基材の表面の少なくとも一部と物理的に結合する標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンを含む組成物であって、前記組成物は必要に応じてゲルまたは膜の形態である、組成物
を含む、被覆された材料。
(項目120)
前記組成物はポリマーである、項目119に記載の被覆された材料。
(項目121)
前記組成物は生分解性ポリマーを含む、項目119に記載の被覆された材料。
(項目122)
前記基材は少なくとも部分的に、金属、セラミック、またはポリマーから構成される、項目119に記載の被覆された材料。
(項目123)
対象を治療する方法であって、前記治療を必要とする対象の身体を、項目119に記載の被覆された材料に接触させる工程を含む、方法。
【0147】
説明の容易さおよび明瞭さのために、図面に示される要素は必ずしも一定の比率で記載
されていないことが分かるであろう。例えば、要素のいくつかの寸法は明瞭さのために他
の要素に関連して大げさに記載されているかもしれない。さらに、適切であると考えられ
る場合、対応するまたは類似の要素を示すために図面を通して参照番号は繰り返されても
よい。
【発明を実施するための形態】
【0149】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的詳細が
示される。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的詳細なしで本発明を実施し得
ることが理解されるであろう。他の例において、本発明があいまいにならないように、既
知の方法、手段、および成分は詳細に記載されていない。
【0150】
グルカンは、今日まで全ての研究された種類の地衣化真菌で見られる多糖である。部分的なO−アセチル化pustulansは、Umbilicariaceaeの代表例であり、U.pustulataおよびU.hirsute、U.sngulata、U.caroliniana、およびU.polyphyllaのようなUmbilicariaのいくつかの種類について記載されてきた。
【0151】
β−1,6−グルカンへの反応性は、本発明者により、抗体依存性であることが発見さ
れ、この反応の強さは、特定の免疫グロブリンG(IgG)アイソタイプ発現を有する対
象と関連することが発見された。そのような発現は、したがって、グルカンに基づくワク
チンまたはアジュバントへの対象の反応性の予測に有用であり、そのような活性は免疫応
答の調節に有用かもしれない。
【0152】
ある実施の形態において、本発明は、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントへ
の対象の反応性を特定する診断方法を提供し、この方法は、以下を含む:
グルカンにさらされた対象中の相対的な免疫グロブリンG(IgG)1、2、3および
4アイソタイプタイターを評価する工程;および
高IgG1またはIgG2またはIgG3、あるいはそれらの組合せ、対IgG4の存
在をグルカンに基づくワクチンまたはアジュバントへの反応性と関連付ける工程。
【0153】
いくつかの実施の形態において、そのような方法は、対象の任意の生物液体または対象
から単離されるサンプルで行ってもよい。いくつかの実施の形態において、そのような方
法は、対象から単離される血清または血漿で行われる。
【0154】
IgGアイソタイプタイターを評価するために当該技術で既知の多くの方法があること
が評価されるべきであり、例えば、修正されたELIZAアッセイを行って、グルカンま
たはその断片を担体に吸収させ、その後対象からの液体またはサンプルと共にインキュベ
ートし、グルカンに誘発される抗体アイソタイプを、酵素ラベルした抗IgGサブクラス
特異的二次抗体でプローブすることにより特定してもよい。市販の、オクタロニー(二重
拡散)アッセイのような他のアッセイ、または他のシングル・ステップ同定法を使用して
もよい。
【0155】
ある実施の形態において、本発明の方法は、所定のサンプル中のIgGアイソタイプ発
現の相対差を明確に評価し、IgG4に対するIgG1、IgG2またはIgG3の相対
的な増加がグルカンに基づくワクチンまたはアジュバントへの反応性の指標として作用す
る。
【0156】
ある実施の形態において、本発明の方法は、相対的なIgGアイソタイプタイターを評
価する前に、対象中の細胞をグルカンに基づくワクチンまたはアジュバントと接触させる
工程を含み、ある実施の形態においてはO−アセチル化グルカンが含まれ、別の実施の形
態においては地衣類または真菌から単離または由来するグルカンが含まれ、真菌は必要に
応じて酵母であり、ある実施の形態においてはUmbilicariaceaeから単離または由来する
。
【0157】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法は、精製されたβ−1,6−グルカンを
含む組成物を使用し、この組成物は、本発明の様々の実施の形態において、薬剤組成物、
食物または食品、栄養補助食品、または化粧組成物である。この組成物は、いくつかの実
施の形態において、pustulanまたは真菌細胞壁の調製品のような組成物と区別される。本
発明のある実施の形態において、重量で組成物中に含まれるグルカンの少なくとも10%
、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%
、または99%がβ1−6グルカンである。ある実施の形態において、組成物に含まれる
グルカンの20%から50%までがβ1−6グルカンである。ある実施の形態において、
組成物に含まれるグルカンの50%から100%までがβ1−6グルカンである。本発明
の任意の組成物または方法のある実施の形態において、グルカンは、重量で約15%から
約30%までのβ1−6グルカンを含む。本発明の任意の組成物または方法の別の実施の
形態において、グルカンは、重量で約10%から約35%までのβ1−6グルカンを含み
、あるいは別の実施の形態において、重量で約20%から約50%までのβ1−6グルカ
ンを含み、あるいは別の実施の形態において、重量で約25%から約60%までのβ1−
6グルカンを含み、あるいは別の実施の形態において、重量で約35%から約80%まで
のβ1−6グルカンを含み、あるいは別の実施の形態において、重量で約18%から約3
5%までのβ1−6グルカンを含み、あるいは別の実施の形態において、重量で約15%
から約75%までのβ1−6グルカンを含む。ある実施の形態において、グルカンは、オ
リゴマーまたはポリマーの混合物であり、β−1,6−グルカンは、それらのオリゴマー
またはポリマーの重量で約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、
80%、90%、95%、98%、または99%よりも多い。本発明のある実施の形態に
おいて、「重量」は「乾燥重量」を称する。他の実施の形態において、「重量」は総重量
を称する。本発明のある実施の形態において、β1−6グルカンが処理される。そのよう
な処理は、例えば、脱アセチル化、β1−6グルカン以外のグルカンを消化する酵素によ
る処理、β1−6グルカンを消化する酵素による制限消化、特定の分子量範囲の選択等を
含んでもよい。ある実施の形態において、処理は、他のグルカン、例えばα−グルカン、
β1−3グルカン等からの分離を含む。ある実施の形態において、処理は、β1−3グル
カンからβ1−6グルカン側鎖を除去する工程、およびβ1−6グルカン側鎖を必要に応
じて分離する工程を含む。ある実施の形態において、組成物は処理されたβ1−6グルカ
ンを含み、処理されたβ1−6グルカンは、未処理グルカンに関してまたは未処理β1−
6グルカンに関して免疫応答を所望に調節する能力が増強されたことを示す。
【0158】
本発明は、ある実施の形態において、O−アセチル化基を多く含むβ1−6グルカンを使用する。ある実施の形態において、本発明の方法による使用のための任意の製剤において、グルカンは重量で少なくとも25%のO−アセチル化グルカンを含む。ある実施の形態において、本発明の方法による使用のための任意の製剤において、グルカンは重量で約15%から約30%までのO−アセチル化グルカンを含む。別の実施の形態において、本発明の方法による使用のための任意の製剤において、グルカンは重量で約10%から約35%までのO−アセチル化グルカンを含み、または別の実施の形態において、グルカンは重量で約20%から約50%までのO−アセチル化グルカンを含み、または別の実施の形態において、グルカンは重量で約25%から約60%までのO−アセチル化グルカンを含み、または別の実施の形態において、グルカンは重量で約35%から約80%までのO−アセチル化グルカンを含み、または別の実施の形態において、グルカンは重量で約18%から約35%までのO−アセチル化グルカンを含み、または別の実施の形態において、グルカンは重量で約15%から約75%までのO−アセチル化グルカンを含む。他の実施の形態において、グルカンは、重量で約75%から100%までのO−アセチル化グルカン、例えば重量で75%から90%まで、または90%から100%までのO−アセチル化グルカンを含む。ある実施の形態において、本発明の方法による使用のための任意の製剤において、グルカンは、O−アセチル化グルコース単位の上記のパーセンテージ(本発明の様々の実施の形態における重量または数による)を概ね含み、これは、β1−6グルカンの重量で少なくとも90%を5以下のグルコース単位を含むオリゴ糖に消化するのに十分な時間β1−6エンドグルカナーゼで天然発生β1−6グルカン(例えばここに記載されるpustulanまたは任意の他のβ1−6グルカン)を消化すること、およびその後、(i)組成物から5以下のグルコース残基を含むオリゴ糖を除去する、または(ii)5kDより大きい、またはいくつかの実施の形態において10、20、30、50または100kDaより大きい分子量を有する生じた組成物の一部を単離する、ことにより生じる。
【0159】
いくつかの実施の形態において、「O−アセチル化残基を多く含む」という用語は、天
然発生のグルカン分子と比較して、グルカン分子内の個々のグルコース単位中でO−アセ
チル化部位の増強された%、グルカン分子内のO−アセチル化グルコース単位の増強され
た%、またはそれらの組合せを称する。ある実施の形態において、O−アセチル化グルカ
ンについて特定の重量パーセントだけ多く含んでいるグルカン製剤への言及は、グルカン
分子と比較して、グルカン分子内の個々のグルコース単位中のO−アセチル化部位の増強
された%、グルカン分子内のO−アセチル化グルコース単位の増強された%、またはそれ
らの組合せを称する。
【0160】
異なる供給源から由来するグルカンは、個々のグルコース単位、グルカン分子内のO−
アセチル化グルコース単位、またはそれらの組合せ中のO−アセチル化部位に関して様々
の量のO−アセチル化を含んでもよい。本発明のこの態様によれば、「O−アセチル化グ
ルカンを多く含む」という用語は、いくつかの実施の形態において、グルカンが由来する
参照供給源との間で、ここに記載されるように増強されたO−アセチル化を称し、任意の
グルカン供給源と比較して全体的な増強を示さないかもしれない。
【0161】
ある実施の形態において、「O−アセチル化グルカンを多く含む」という用語は、少な
くとも1つのグルコース単位でO−アセチル化されたグルカン鎖の重量で少なくとも25
%含むこと、または組成物中のグルカンに存在するグルコース単位の少なくとも25%が
O−アセチル化されること、またはそれらの組合せを称する。いくつかの実施の形態にお
いて、ベータグルカン鎖の少なくとも1%、または別の実施の形態において少なくとも5
%においてグルコース単位の少なくとも25%が、O−アセチル化される。他の実施の形
態において、ベータグルカン鎖の少なくとも5%においてグルコース単位の25%から3
5%、25%から50%、25%から75%、15%から45%、20%から60%、3
5%から80%、またはその他がO−アセチル化等される。他の実施の形態において、ベ
ータグルカン鎖の少なくとも10%において、または別の実施の形態において、ベータグ
ルカン鎖の少なくとも15%において、または別の実施の形態において、ベータグルカン
鎖の少なくとも20%において、グルコース単位の25%から35%、25%から50%
、25%から75%、15%から45%、20%から60%、35%から80%またはそ
の他がO−アセチル化される。
【0162】
ある実施の形態において、グルカンは地衣類から、ある実施の形態においてUmbilicari
aceae属から単離されるまたは由来する。ある実施の形態において、グルカンは真菌から
単離される。ある実施の形態において、グルカンは酵母から単離され、または別の実施の
形態において、グルカンは化学的に合成またはアセチル化される。別の実施の形態におい
て、グルカンは固体担体に結合される。
【0163】
グルカンは、特に真菌細胞壁で見られるグルコース含有多糖である。α−グルカンは、
グルコースサブユニット間に1つ以上のα−結合を含み、β−グルカンは、グルコースサ
ブユニット間に1つ以上のβ−結合を含む。
【0164】
β−1,6−グルカンは、真菌中にしばしば発生するが、どちらかと言えば真菌の外側である。本発明により使用されるグルカンは、β−1,6−グルカンを含む。いくつかの実施の形態において、β−グルカンは、U.pustulataおよびU.hirsute、U.sngulata、U.caroliniana、およびU.polyphyllaのようなUmbilicariaに由来する。
【0165】
いくつかの実施の形態において、β−グルカンは、C.albicansのようなCandidaに由来する。β−グルカンが使用されてもよい他の生物は、Coccidioides immitis、Trichopyton verrucosum、Blastomyces dermatidis、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Saccharomyces cerevisiae、Paracoccidioides brasiliensis、およびPythiumn insidiosumを含む。いくつかの実施の形態において、β−グルカンは、当該技術において知られるように化学的にまたは酵素的に合成され、または他の実施の形態において、β−グルカンは、同じものを生成し、例えば分子のO−アセチル化を増加するように化学的にまたは酵素的に変化された任意の種類に由来する。
【0166】
いくつかの実施の形態において、β−グルカンは、真菌グルカンである。「真菌」グル
カンは、通常は真菌から得られるが、特定のグルカン構造が真菌および非真菌(例えば細
菌、下等植物または藻)に見られる場合には非真菌生物を代わりの供給源として使用して
もよい。
【0167】
全長天然β−グルカンは不溶性であり、メガダルトン範囲の分子量を有する。いくつか
の実施の形態において、本発明は、可溶性β−1,6−グルカンを提供する。いくつかの
実施の形態において、本発明は、可溶性O−アセチル化β−1,6−グルカンを提供する
。可溶化は、いくつかの実施の形態において、長い不溶性グルカンを断片化することによ
り達成してもよい。これは、例えば、加水分解により、またはいくつかの実施の形態にお
いてグルカナーゼによる消化により(例えばβ−1,3グルカナーゼによるまたはβ−1
,3グルカナーゼによる制限消化により)行ってもよい。他の実施の形態において、グル
カンは化学的に、例えばいくつかの実施の形態において、単糖構築ブロックを結合するこ
とにより、調製できる。そのようなグルカンのO−アセチル化は、当該技術において知ら
れる方法により容易に行うことができる。そのような方法は、当該技術において知られる
ような化学的および/または酵素的アセチル化を含んでもよい。
【0168】
真菌β−グルカンの様々の供給源が存在する。例えば、純粋なβ−グルカンが市販されており、例えばpustulan(Calbiochem)はUmbilicaria papullosaから精製されるβ−1,6−グルカンである。β−グルカンは、例えばTokunakaet al. [(1999) Carbohydr Res 316:161-172]に記載されるように、様々の方法で真菌細胞壁から精製でき、その産物は、当該技術において知られる方法により、β−1,6−グルカン成分、またはO−アセチル化β−1,6−グルカン成分を多く含んでもよい。
【0169】
当業者は、β−1,6−グルカン成分および/またはO−アセチル化β−1,6−グル
カンを多く含むように適切な方法を同定または選択できるであろう。ある実施の形態にお
いて、ベータ−グルカンのO−アセチル化は、化学的に行われる。例えば、多糖がSpeedV
ac遠心分離で乾燥され、1.5mLの無水酢酸(Mallinderockdt)中に再懸濁される。再
懸濁の後、4−ジメチルアミノピリジン(Avocado Research Chemist, Ltd)の少数
の結晶を、触媒として加える。5、20または120分間室温で反応を起こさせ、2倍量
の水で停止する。その後、サンプルを水に対して一晩透析する。この処理は、当業者に明
らかなように、変化またはスケールアップできることが理解されるであろう。他の実施の
形態において、O−アセチル化β−1,6−グルカンを分離する方法は、様々の順番で行
うことのできる以下の工程の1つ以上を含む:(a)任意の疎水性マトリクスへの結合の
ような、高次疎水性に基づく分離;(b)O−アセチル化β−1,6−グルカンが消化に
耐性である、適切なエンド−またはエキソ−グルカナーゼによる消化に基づく分離;(c
)β−1,6−グルカンまたはその上のO−アセチル基に結合する抗体または他の成分を
使用する親和性分離;(d)分子量に基づく分離。ある実施の形態において、β−1,6
−グルカンは、アセチル化されていないおよび/または軽くアセチル化されたβ−1,6
−グルカンを消化する酵素により消化される。生じた物質は、サイズまたは分子量に基づ
いて分離され、強くアセチル化されたグルカンを含むタンパク質が単離される。いくつか
の実施の形態において、β−1,6−グルカン製剤が得られ、消化され、O−アセチル化
オリゴ糖が分離される、または別の実施の形態において、単離され、新しい組成物の調製
に使用される。そのような組成物は、本発明のO−アセチル化残基を多く含むβ−1,6
−グルカン製剤の実施の形態を示す。
【0170】
O−アセチル化β−1,6−グルカンを多く含む製剤を調製する任意の方法の産物は、
本発明の方法およびキットでの使用に適切であると考えられることが理解される。
【0171】
いくつかの実施の形態において、本発明のキットで使用するためのおよび/または本発
明の方法によるグルカンは、天然のグルカン製剤に存在しない構造変異を含んでもよい。
そのような変異は、ここに記載されるようにO−アセチル化を含んでもよい。他の実施の
形態において、そのような変異は、当業者に知られるように、メチル化、アルキル化、ア
ルコキシ化、硫酸化、リン酸化、脂質結合または他の変異を含んでもよい。いくつかの実
施の形態において、変異は、蟻酸、琥珀酸、クエン酸、または当該技術において知られる
他の酸による変異(例えばエステル化)を含む。
【0172】
いくつかの実施の形態において、任意のまたは全ての遊離ヒドロキシル基への脂質結合
は、例えば以下に記載されるように、当該技術において知られる多くの手段により達成し
てもよい:DrouillatB, et al., Pharm Sci. 1998 Jan;87(1):25-30, B. N. A. Mbadugh
a, et al., Org.Lett., 5(22), 4041-4044, 2003。
【0173】
いくつかの実施の形態において、メチル化は、例えば以下に記載されるように、当該技
術において知られる多くの手段により達成および確認してもよい:Mischnick et al. 199
4 Carbohydr.Res., 264, 293-304; Bowie et al. 1984, Carbohydr. Ref., 125, 301-30
7; Sherman andGray 1992, Carbohydr. Res., 231, 221-235; Stankowski and Zeller 1
992, Carbohydr.Res., 234, 337-341; Harris, P.J., et al. (1984) Carbohydr. Res.
127, 59-73; Carpita,N.C. & Shea, E.M. (1989) Linkage structure of carbohydrates
by gaschromatography-mass spectrometry (GC-MS) of partially methylated alditol
acetates;In Analysis of Carbohydrates by GLC and MS (Biermann, C.J. & McGinnis
, G.D., eds),pp. 157-216. CRC Press, Boca Raton, FL。
【0174】
いくつかの実施の形態において、メチル化は、さらに生成されるTMSエーテル、アセ
テートまたは他のエステル、結合したMS、または単糖への消化、脱O−メチル化および
例えば以下に記載される誘導体化およびGLC/MSによる分析によって確かめることが
できる:Pazur1986, Carbohydrate Analysis−A Practical Approach, IRL Press, Oxfo
rd, pp. 55-96;Montreuil et al. 1986, Glycoproteins. In M.F. Chaplin and J.F. Ke
nnedy, (eds.),Carbohydrate Analysis − a Practical Approach, IRL Press, Oxford,
pp.143-204; Sellers et al. 1990, Carbohydr. Res., 207, C1-C5; O'Neill et al. 1
990, Pecticpolysaccharides of primary cell walls. In P.M. Dey (ed.), Methods in
PlantBiochemistry, Volume 2, Carbohydrates, Academic Press, London, pp. 415-44
1; Stephen etal. 1990, Methods in Plant Biochemistry, Volume 2, Carbohydrates,
Academic Press,London, pp. 483-522; or Churms 1991, CRC Handbook of Chromatogra
phy.Carbohydrates, Volume II, CRC Press, Boca Raton, Florida, USA)。
【0175】
いくつかの実施の形態において、必要に応じて他の変異の導入を含む、リン酸化、およ
び得られた産物の確認は、当該技術において当業者によく知られる手段により行ってもよ
く、例えば以下を参照のこと:Brown, D.H., Biochem Biophys. Acta, 7, 487 (1951); R
oseman, S., andDaffner, I., Anal. Chem., 28, 1743 (1956); Kornberg, A., and Hor
ecker,. B. L.,in Methods in enzymology, Bol. I, Academic Press, New York, 1955,
p.323; UnitedStates Patent Number 4,818,752。
【0176】
いくつかの実施の形態において、グルカンの硫酸化および得られた産物の確認は、例え
ば以下に記載されるように、当該技術においてよく知られる任意の手段により行ってもよ
い:Alban,S., and Franz, G. (2001), Biomacromolecules 2, 354-361; Alban, et al.
(1992)Arzneimittelforschung 42, 1005-1008; or Alban, S., et al. (2001). Carboh
ydr. Polym. 47,267-276。
【0177】
本発明により、β−1,6−グルカンを含むミセルの使用も提供される。ある実施の形
態において、ミセルは、脂質コロイド中に分散し得る、β−1,6−グルカンを含む界面
活性剤分子から成る複合体を含む。ある実施の形態において、界面活性剤分子は両親媒性
である、すなわち、疎水基(「尾部」)および親水基(「頭部」)の両方を含む。ある実
施の形態において、親水成分は、必要に応じてここに記載される任意の1つ以上の方法に
より変異された、β−1,6−グルカンを含む。ある実施の形態において、水溶液中のミ
セルは、周囲の溶媒と接触する親水性「頭部」領域により凝集体を形成し、ミセルの中心
に疎水性尾部領域を隔離する。ミセルは、球形およびおよそ丸い形状でもよいが、ある実
施の形態において、ミセルは楕円、円柱、または二重層である。いくつかの実施の形態に
おいて、ミセルは、例えば米国出願公開第2002/0035217号に記載されるよう
な高分子ミセルである。いくつかの実施の形態において、ミセルは、例えば疎水性分子の
ような活性剤を被包する。例示的な活性剤は、抗菌、抗ウイルス、抗真菌、抗寄生虫薬;
癌の治療のための化学療法剤;サイトカイン、抗原等のような抗感染薬を含む。
【0178】
本発明はさらに、脂質を結合することにより変異されたβ−1,6−グルカンを提供し
、いくつかの実施の形態において変異により脂質が結合したβ−1,6−グルカンを含む
ミセルが生じる。脂質は直鎖または分枝の、必要に応じて置換された、炭化水素でもよい
。いくつかの実施の形態において、脂質は脂肪酸を含む。いくつかの実施の形態において
、脂質、例えば脂肪酸は、4から26まで、または4から40までの炭素原子を含む。
【0179】
また、本発明により、酵母グルカンを含むまたはそれから実質的に成る粒子に共有また
は非共有結合したβ−1,6−グルカンを含む粒子の使用またはそれを含むキットが提供
される。また、酵母グルカンの官能基と反応して共有結合を形成できる反応成分を含むβ
−1,6−グルカンが提供される。酵母グルカンは、β−1,6−グルカン、β−1,3
−グルカン、他のグルカン、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0180】
別の実施の形態において、本発明は、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントへ
の対象の反応性を特定する診断キットを提供し、このキットは以下を含む:
ワクチンまたはアジュバント中のグルカンに対応または相同するグルカン;
対象サンプル中の相対的な免疫グロブリンG(IgG)1、2、3および4アイソタイ
プタイターを特定する試薬;および
必要に応じて、グルカンに基づくワクチンまたはアジュバントへの陽性または陰性レス
ポンダーに由来する一連の標準。
【0181】
本発明のこの態様によれば、およびある実施の形態において、グルカンは担体に結合さ
れ、ある実施の形態において担体はマイクロタイタープレートであり、別の実施の形態に
おいてビーズである。ある実施の形態において、試薬は検出を半定量的にする検出可能な
マーカーを含む。
【0182】
いくつかの実施の形態において、対象は周囲のグルカンにさらされ、診断は特定のグル
カンに基づくワクチンへの対象の反応性を特定するためである。この態様によれば、キッ
トは、反応性が特定されるワクチン中のグルカンに対応するまたはその断片である、ある
いは高度に類似するグルカンを含むであろう。
【0183】
この態様によれば、およびある実施の形態において、「相同」なる用語は、ここに記載
されるようにグルカンに関する場合、対応するグルカン参照分子と比較して候補分子中の
構造的同一性または組成または含有量に関する同一性のパーセンテージを示す。
【0184】
ある実施の形態において、「相同」、「相同物」または「相同の」なる用語は、どの場
合も、言及される分子が、参照分子と少なくとも70%の一致を示すことを意味する。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも72%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも75%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも77%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも80%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも82%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも85%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも87%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも90%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも92%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも95%の一致を示す。別
の実施の形態において、グルカン分子は、参照分子と少なくとも95−100%の一致を
示す。
【0185】
参照分子への一致に関し、そのような一致は、構造的同一性または化学含有量に関する
組成的同一性を称してもよい。いくつかの実施の形態において、同様に調製されたグルカ
ンが本発明のキットで使用され、これらはグルカンに基づくアジュバントまたはワクチン
で使用されるものと比較できるが、キット中で使用されるグルカンは、グルカンに基づく
ワクチンまたはアジュバントのための調製処理を含む全ての処理工程を受けていないかも
しれない。
【0186】
ある実施の形態において、相同性は、免疫ブロット分析を含む当該技術においてよく記
載される方法により、または既成の方法により入手できる多くのソフトウェアパッケージ
を使用するコンピュータアルゴリズム分析により、特定してもよい。
【0187】
また、本発明により、β−1,6−グルカンおよび生分解性ポリマーを含む組成物を含
むキットおよびそのような組成物使用が提供される。いくつかの実施の形態において、生
分解性ポリマーは、生物活性サブユニットを含む。「生分解性」なる用語は、いくつかの
実施の形態において、それが見られる細胞または対象の生物環境において、分解される、
すなわちより小さい断片に破壊される物質を称する。ある実施の形態において、生分解は
、例えば酵素的または非酵素的加水分解、消化等による、ポリマーの成分サブユニットへ
の分解を含む。ある実施の形態において、生分解は、ポリマー骨格中の結合(共有または
その他)の開裂を含んでもよい。別の実施の形態において、生分解は、側鎖の内部の結合
(共有またはその他)または側鎖をポリマー骨格に連結する結合の開裂を含んでもよい。
いくつかの実施の形態において、分解産物は、対象により代謝可能である。いくつかの実
施の形態において、分解産物は、より大きい生体分子の合成のために対象により利用可能
である。いくつかの実施の形態において、分解産物は、対象により排泄されるまたはそう
でなければ排除される。いくつかの実施の形態において、ポリマーおよび/またはその消
化産物は、実質的に無毒性であり、本発明に合わせた量で対象の体内に投与または他の方
法で導入される場合に許容できない炎症または免疫応答を生じないという点で、生物適合
性である。
【0188】
「生物活性薬」という用語は、いくつかの実施の形態において、有効量で動物(例えば
ヒトのような哺乳類)に投与されると治療的に所望の効果を提供する治療薬を含み、全て
の対象がこの薬から恩恵を受けるものではないことが理解される。いくつかの実施の形態
において、ポリマーはポリ無水物であり、必要に応じて生物活性サリチル酸およびアルフ
ァ−ヒドロキシ酸を含む。ポリマーの分解は、生物活性サリチル酸および/またはアルフ
ァ−ヒドロキシ酸を遊離する。いくつかの実施の形態において、β−1,6−グルカンは
、生分解性ポリマーに共有または非共有結合する。それらを生成するための適切なポリマ
ーおよび方法は、例えば、米国特許公開第2003/0035787号および同第200
5/0053577号の各明細書に記載される。ある実施の形態において、ポリマーは、
10から1000まで、または50から500まで、または約100のモノマーを含む。
ある実施の形態において、ポリマーはポリアスピリン(登録商標)である。内部でβ−1
,6−グルカンがポリマーに共有結合する化合物を形成する方法は、当業者に明らかであ
ろう。β−1,6−グルカンは、重合の前にモノマーに共有結合できる、または重合の後
にポリマーの官能基に結合できる。いくつかの実施の形態において、β−1,6−グルカ
ンは、結合基により共有結合される。例示的な結合基は、米国特許出願公開第2005/
0053577号明細書に記載され、他は当業者に明らかであろう。
【0189】
いくつかの実施の形態において、本発明のキットは、β−1,6−グルカンおよび生分
解性ポリマーを含む粒子を含み、本発明の方法はこの粒子を使用する。いくつかの実施の
形態において、粒子は、β−1,6−グルカンで被覆されるまたは含浸される。いくつか
の実施の形態において、β−1,6−グルカンは、ポリマーに共有結合される。いくつか
の実施の形態において、組成物は、移植またはここに他で記載される他の医療または手術
装置を被覆する。
【0190】
さらに、β−1,6−グルカンおよび生物活性サリチル酸またはアルファ−ヒドロキシ
酸を対象に投与する方法が提供され、この方法は、β−1,6−グルカン、および生物活
性サリチル酸および/またはアルファ−ヒドロキシ酸を含む生分解性ポリマーを含む組成
物を、対象に投与する工程、または、ポリマーおよび生物活性サリチル酸および/または
アルファ−ヒドロキシ酸を含む装置を、対象中に移植または導入する工程を含む。
【0191】
いくつかの実施の形態において、本発明は、100kDa未満(例えば、80、70、
60、50、40、30、25、20または15kDa未満)の分子量を有する、低分子
量グルカンを含むキットおよびそれを使用する方法を提供する。いくつかの実施の形態に
おいて、本発明は、例えば85以下(例えば85、84、83、82、81、80、79
、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、
65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、5
2、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39
、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、
25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、1
2、11、10、9、8、7、6、5、4)グルコース単糖単位を含む多糖を提供する。
【0192】
いくつかの実施の形態において、本発明のキットまたは方法で使用されるβ−1,6−
グルカンは、低分子量グルカンを含むまたはそれから実質的に成る。β−1,6−グルカ
ンを使用する本発明の任意の方法のいくつかの実施の形態において、β−1,6−グルカ
ンは、低分子量グルカンを含むまたはそれから実質的に成る。必要に応じて、本発明の任
意の実施の形態における低分子量β−1,6−グルカンは、O−アセチル化基を多く含む
。
【0193】
グルカン中の結合タイプおよび構造を特定する一般的な技術は、炭素−13核磁気共鳴
分光法(13C−NMR)である。所定のスペクトルにおける
13Cシグナルの数および
相対強度を使用して、グルカンポリマー中の結合構造および位置を特定できる。例えば、
グリコシド結合に関与する炭素原子の化学シフト(シグナル)は、対応する未結合炭素と
比較して強く低磁場シフトする(9ppmまで)。
【0194】
本発明は、いくつかの実施の形態において、β−1,6−グルカンを含む組成物のキッ
トおよび使用を提供し、グルカンは固体担体に結合する。ある実施の形態において、固体
担体はビーズまたは粒子である。
【0195】
ある実施の形態において、グルカンが結合するビーズまたは粒子または担体は、変性タ
ンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(Benacerraf et al., 1957 Brit. J. Exp. Path
, 38:35))、不溶性物質(例えば、カーボンブラック、シリカ、二酸化ケイ素、ポリス
チレン、ラテックス)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化鉄)、およびインドイン
ク(India ink)(すなわち、コロイドカーボン粒子の懸濁)(Reichard and F
ilkins, 1984,The Reticuloendothelial System; A Comprehensive Treatise, pp. 73-1
01 (PlenumPress)およびここにおける参照文献に記載される)、ヒドロゲル(例えば、
米国特許出願公開第2005/0191361号)、セファロースまたはアガロースビー
ズまたは微粒子を含む。いくつかの実施の形態において、ビーズまたは微粒子は、生分解
性で非毒性である物質(例えば、ポリ(ラクチド−コ−グリコシド)のようなポリ(α−
ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラ
クトン等)から形成される。本発明のビーズまたは粒子は、「ゴースト」RBCとして知
られる細胞質を除去された赤血球(RBC)、細菌(RESにより明らかにされる細胞;
例えば、Benacerrafand Miescher, 1960, Ann NY Acad Sci, 88:184-195参照)、細胞断
片、リポソーム、バクテリオファージ、バクテリオファージ断片、およびウイルス核酸を
欠くウイルスキャプシド(例えば肝炎Bウイルス表面抗原粒子)等を含んでもよい。
【0196】
ある実施の形態において、固体担体への結合は、本発明のグルカンへの固体の化学的架
橋結合によってもよい。架橋結合の化学は、当該技術においてよく知られる。グルカンお
よび固体(例えばビーズまたは粒子)を結合するのに使用される架橋結合剤の性質は、当
該技術において知られる任意の適切な試薬でもよい。グルカンの活性が維持されることに
注意して任意の適切な架橋結合剤を使用してもよいことが理解されるべきである。
【0197】
粒子は、バクテリオファージまたは細菌の断片でもよい。
【0198】
ある実施の形態において、粒子のサイズは、マクロファージ、好中球、または両方によ
る消化に適切である。粒子は、ここに記載される任意の組成を有してもよい。ある実施の
形態において、本発明は、粒子の集団を提供し、粒子の少なくとも50%が、マクロファ
ージ、好中球、または両方による消化に適切なサイズを有する。本発明は、粒子の少なく
とも50%、75%、または90%が所望のサイズ範囲内となる粒子の集団を提供する。
ある実施の形態において、所望のサイズは所定の値の±10%、±20%、±30%、±
40%、または±50%の範囲内である。値は、例えば20nm、100nm、500n
m、1、5、10、20、50マイクロメートル等でもよい。任意のこれらの実施の形態
における粒子は、ここに記載される任意の組成物を有してもよい。集団は、任意の割合で
、異なる組成を有する粒子を含んでもよい。粒子の集団は、ここに記載される任意の目的
に使用してもよく、そのような使用のための方法は本発明のある態様である。
【0199】
使用できる架橋結合剤は、以下を含むがこれに限定されない:p-アジドベンゾイルヒド
ラジド、N-(4-[p-アジドサリチルアミド]-ブチル)-3’(2’-ピリジルジチオ)-プロピオン
アミド、Bis(ベータ-[4-アジドサリチルアミド]-エチル)ジスルフィド、1,4-ビスマレイ
ミジル-2,3-ジヒドロキシブタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,5-ジフルオロ-2,4-ジ
ニトロベンゼン、ジメチルアジピミデート-2HCl、ジメチルスベリミデート-2HCl、ジメチ
ルアジポジミデート-2HCl、ジメチルピメリミデート-2HCl、ジサクシンイミジルグルタレ
ート、ジスクサンイミジルタルトレート、1-エチル-3-[3-ジメチルアノノプロピル]カル
ボジイミドヒドロクロライド、(N-ヒドロキシスクシンイミジル)-4-アジドサリチル酸、
スルホスクシンイミジル2-[7-アジド-4-メチル-クマリン-3-アセトアミドメチル-1,3-ア
ミノプロピオネート、N-スクシニミジル-4-ヨードアセチルアミノベンゾエート、N-スク
シンイミジル-3-[2-ピリジルチオ]プロピオネート、およびスクシンイミジル6-[3-(2-ピ
リジルアチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート(PierceChemical Co., Rockford, III
)。ある実施の形態において、グルカンは、NatureMethods vol 2 No. 11, p., 845, 200
5に記載されるように、または同様の方法で誘導体化される。ある実施の形態において、
グルカンは、2,6−ジアミノピリジン(DAP)のような試薬を使用して、遊離、反応
性一次アミンを提供する成分で誘導体化される。シッフ塩基アゾメチンを、例えばナトリ
ウムシアノ水素化ホウ素により安定な二次アミンに還元してもよい。ある実施の形態にお
いて、誘導体化されたグルカンを、NHS−ビオチンのようなN−ヒドロキシスクシンイ
ミド(NHS)と反応させる。
【0200】
他の架橋結合剤は、アルデヒド、イミド、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、活性化カ
ルボキシル、無水物およびマレイミド官能基を含む。いくつかの実施の形態において、架
橋結合剤は、ABH、M2C2H、MPBHおよびPDPHのようなヘテロ二官能性架橋
結合剤を含んでもよい(Pierce Chemical Co.,Rockford, III)。例えば、Hermanson, G.
T. (1996)参照。架橋結合方法および反応約のさらなる議論について、例えばBioconjuga
te Techniques,Academic Press, Inc.参照。
【0201】
別の実施の形態において、ビーズまたは粒子へのグルカンの結合は、例えばBrumeanu e
t al. (GeneticEngineering News, Oct. 1, 1995, p.16)により開示されるような方法に
従って結合できる官能基を含むビーズの使用によってもよい。
【0202】
非共有手段により、ビーズ/粒子/固体担体をグルカンに結合することも可能である。
非共有結合を行うためのある使いやすい方法は、粒子、ビーズ等に共有または非共有結合
するグルカンへの抗体の使用を含む。別の実施の形態において、非共有結合は、ビオチン
−アビジンを使用して行う(「アビジン」はアビジンの任意の形態を称することが理解さ
れるべきである)。例えば、アビジンで被覆されたまたは結合されたビーズを、ビオチン
成分で誘導体化されたグルカンと接触させてもよい。
【0203】
いくつかの実施の形態において、結合したグルカンの調製は、未結合の試薬を実質的に
含まない最終結合の生成を含んでもよい。精製は、結合のいずれかの成分の特性に基づく
、親和力、ゲル濾過、疎水性クロマトグラフィ、タンゲンシャル限外濾過、ダイアフィル
トレーションまたはイオン交換クロマトグラフィにより行ってもよい。例えば、精製によ
り、1つ以上の未結合反応物質(例えばグルカンまたは固体担体)の量を、当初存在して
いた未結合反応物質の量の10%以下、または5%以下、または1%以下まで減少させて
もよい。
【0204】
いくつかの実施の形態において、本発明は、いくつかの実施の形態においてO−アセチ
ル化基を多く含むβ1−6グルカンを含む粒子を提供する。いくつかの実施の形態におい
て、粒子は、重量で少なくとも50%のβ1−6グルカンを含む。いくつかの実施の形態
において、β1−6グルカンは、粒子中に均一的に分布する。本発明のβ1−6グルカン
を含む粒子は、ここに記載されるように、適切な任意の実施の形態を含んでもよいことが
理解されるべきである。
【0205】
ある実施の形態において、結合したグルカンは、O−アセチル化基を多く含み、ある実
施の形態において、重量で少なくとも25%のO−アセチル化グルカン、またはここに記
載される任意の関連する実施の形態を含む。ある実施の形態において、グルカンは、ある
実施の形態において約1−100マイクロメートルの直径を有するミクロスフェアに結合
される。ある実施の形態において、ミクロスフェアは、約10−50マイクロメートルの
範囲の直径を有する。別の実施の形態において、ミクロスフェアは、約5−40マイクロ
メートルの範囲の直径を有する。別の実施の形態において、直径は0.1から5マイクロ
メートルの範囲である。別の実施の形態において、直径は0.5から1マイクロメートル
の範囲である。別の実施の形態において、粒子またはビーズは、ナノメートル範囲、例え
ば100から500nmである。
【0206】
ある実施の形態において、「ビーズ」または「粒子」または「固体担体」なる用語は、
球形の物質を称する。別の実施の形態において、「ビーズ」または「粒子」または「固体
担体」なる用語は、非球形の物質を称する。ある実施の形態において、非球形のビーズま
たは粒子は、任意の上記の範囲内で表面上の任意の2点間の最長軸または最長寸法を有す
る。ある実施の形態において、粒子の寸法(例えば直径)は、好中球のような食細胞、マ
クロファージまたは樹状細胞による粒子の食作用を促進するよう選択される。
【0207】
ある実施の形態において、「ビーズ」または「粒子」または「固体担体」なる用語は、
グルカンが結合し得る、食細胞により取り込まれ得るサイズおよび組成の任意の固体また
はゲル化、またはゾルゲルベースの物質を称する。
【0208】
ある実施の形態において、例えばグルカンの異なる寸法および/または表面密度を有す
る粒子と比較して、抗原提示細胞により有効に食菌されるグルカンの寸法および表面密度
を有するビーズまたは粒子(例えば、必要に応じてO−アセチル化基を多く含むβ−1,
6−グルカン)を、本発明のキット/組成物は含む、または本発明の方法が使用する。
【0209】
ある実施の形態において、固体担体への結合は、反応性官能基を含む固体担体との反応
による直接結合によって行ってもよい。
【0210】
リンカー基による結合は、既知の方法、例えば米国特許第6,642,363号;同第
4,882,317号;または同第4,695,624号の各明細書に記載される方法を
使用して行ってもよい。結合の有用なタイプは、アジピン酸リンカーであり、アミノ化グ
ルカン上の遊離−NH2基をアジピン酸と結合し(例えばジイミド活性化を使用して)、
その後生じた糖類−アジピン酸中間体にタンパク質を結合することにより形成してもよい
。別のタイプの結合は、カルボニルリンカーであり、変異グルカンの遊離ヒドロキシル基
のCDIとの反応およびその後のカルバメート結合を形成するためのタンパク質との反応
により形成してもよい。他のリンカーは、B−プロピオンアミド、ニトロフェニル−エチ
ルアミン、ハロアシルハライド、グリコシド結合、6−アミノカプロン酸、ADH、C4
からC12成分等を含む。
【0211】
別の実施の形態において、本発明は、β1−6グルカンを含む粒子を提供する。ある実
施の形態において、粒子は、乾燥重量で、少なくとも10%、20%、30%、40%、
50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または9
9%β1−6グルカンから成る。ある実施の形態において、粒子はβ1−6グルカンから
実質的に成る。ある実施の形態において、粒子は、水のような任意の溶媒成分を除いてβ
1−6グルカンから実質的に成る。ある実施の形態において、β1−6グルカンは、O−
アセチル化基を多く含む。ある実施の形態において、粒子は、乾燥重量で、50%、40
%、30%、20%、10%または5%未満のβ1−3グルカンを含む。本発明はさらに
、β1−6グルカンを含むまたはそれから実質的に成り、必要に応じてO−アセチル化基
を多く含む、任意の上記の粒子を含む組成物を提供する。組成物はさらに、薬学的に許容
できるキャリヤまたはアジュバントを含んでもよい。本発明はさらに、任意の上記の粒子
、または任意の上記の粒子を含む組成物を、対象に投与する工程を含む、哺乳類の対象の
免疫応答を調節する方法を提供する。粒子は、当該技術において知られる任意の方法を使
用して調製できる。粒子は、所望のサイズを達成するために、製粉するまたは篩にかけて
もよい。ある実施の形態において、β1−6グルカンは、粒子中に一様にまたは均一に分
布する。ある実施の形態において、「一様に分布する」とは、β1−6グルカンが異なる
物質内に被包されないが、異なる物質から成る粒子の表面を単純に被覆しない、あるいは
異なる物質から成る粒子の表面に共有または非共有結合しないことを意味する。代わりに
、ある実施の形態において、必要に応じて別の物質と混合されるβ1−6グルカンは、粒
子に形成されて、β1−6グルカンは粒子の実質的に全容積に亘って位置する。β1−6
グルカンの密度は、変化し得るが、通常は急激にではなく粒子に亘って徐々におよび連続
的に変化することが理解されるであろう。
【0212】
別の実施の形態において、本発明は、固体担体に結合されるβ1−6グルカンを提供し
、固体担体は、その上または内部でアッセイを行うのが有効な担体である。例えば、いく
つかの実施の形態において、本発明のキット/方法は、β1−6グルカンが結合されるマ
イクロタイタープレート、または96ウェルプレートを使用し、アッセイはこのウェル/
プレート中で行われる。そのような担体は、例えば、溶媒に耐性の、担体中のサンプル上
で分光側光を行えるように透明である、任意の適切な物質を含んでもよい。
【0213】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法で使用するためのβ1−6グルカンは、
さらに標的化成分を含んでもよい。いくつかの実施の形態において、標的化成分は特定の
細胞タイプについてであり、またはいくつかの実施の形態において、例えば感染細胞、ま
たは新生細胞あるいは新生物発生前細胞のような病気の細胞についてである。いくつかの
実施の形態において、例えば、ウイルス感染細胞の標的化は、ウイルス性コレセプターと
のグルカンの結合により行ってもよい。いくつかの実施の形態において、標的化成分は、
インテグリンまたはMHCのクラスII分子を含んでもよく、専門抗原提示細胞のような
感染細胞上で上方調節されてもよい。
【0214】
いくつかの実施の形態において、感染細胞の標的化により、対象中の感染への治療的応
答が増強される。例えば、およびいくつかの実施の形態において、感染細胞の標的化は、
病原への食作用および/または細胞障害性応答を増強し、またはいくつかの実施の形態に
おいて、病原の補体媒介溶解を増強する。いくつかの実施の形態において、感染細胞の標
的化は、病原への免疫応答を増強する。
【0215】
いくつかの実施の形態において、標的化成分は、ここに記載され、任意の実施の形態を
含む、新生または新生物発生前細胞と特異的に相互作用する。いくつかの実施の形態にお
いて、新生または新生物発生前細胞を標的化する標的化細胞に結合したβ1−6グルカン
の使用により、宿主抗癌反応が促進される。いくつかの実施の形態において、そのような
標的化は、腫瘍細胞溶解を促進し、またはいくつかの実施の形態において、宿主抗腫瘍反
応を増強する。
【0216】
いくつかの実施の形態において、および制限なく、本発明の標的化成分に結合するβ1
−6グルカンおよび/または組成物は、癌細胞上に特異的に発現する抗原へ多糖を標的化
し、それにより細胞の補体媒介溶解を増強する。
【0217】
ある実施の形態において、本発明は、対象中の免疫応答を刺激する方法を提供し、この
方法は、対象に精製したβ−1−6−グルカン、および免疫グロブリンG(IgG)4に
対して比較的大きい量の免疫グロブリンG(IgG)1、2または3を生じるように抗体
産生を偏らせる薬剤を投与する工程を含む。
【0218】
本発明のこの態様によれば、およびある実施の形態において、対象は、精製されたβ−
1−6−グルカンおよび薬剤を同時に投与され、または別の実施の形態において、対象は
、精製されたβ−1−6−グルカンおよび薬剤を別々に投与される。別の実施の形態にお
いて、対象は、精製されたβ−1−6−グルカンおよび薬剤をそれぞれ少なくとも2回投
与される。
【0219】
ある実施の形態において、薬剤はサイトカインであり、ある実施の形態において、イン
ターロイキン−2、インターロイキン−12またはインターフェロン−γまたはそれらの
組合せである。別の実施の形態において、薬剤は、インターロイキン−4またはインター
ロイキン−10産生を下方調節し、あるいはインターロイキン−4またはインターロイキ
ン−10活性を妨げる。
【0220】
ある実施の形態において、対象はさらに、免疫応答の標的と関連する抗原、ある実施の
形態において腫瘍関連抗原、にさらされる。本発明のこの態様によれば、およびある実施
の形態において、対象は増殖性または新生物発生前病変を有し、別の実施の形態において
、本発明の方法は、対象中の癌を治療し、進行を遅らせ、鎮静化を延ばし、あるいは発生
または重症度を低減する。別の実施の形態において、対象は癌を有する。別の実施の形態
において、対象は癌を有すると診断されていない。別の実施の形態において、対象は腫瘍
を有すると診断されていない。
【0221】
別の実施の形態において、抗原は病原体に由来し、これはある実施の形態において真菌
である。ある実施の形態において、本発明の方法は、対象中の感染を治療し、進行を遅ら
せ、鎮静化を延ばし、あるいは発生または重症度を低減する。
【0222】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法は、βグルカンおよび必要に応じてサイ
トカインを、新生または新生物発生前細胞または組織、腫瘍に標的化する工程を含み、こ
れは、ここに記載されるように腫瘍抗原の標的化により達成できる。いくつかの実施の形
態において、そのような細胞は、ここに記載されるように、アドレノメデュリンレセプタ
ー(ADMR)、カルシトニンレセプター様レセプター(CRLR)、CD117または
腫瘍関連抗原の任意の組合せを発現してもよい。
【0223】
この態様によれば、およびある実施の形態において、アドレノメデュリンレセプターを
発現する細胞を本発明の結合したグルカンにより標的化することによって、肺、膵臓、卵
巣、および他の関連する癌が治療されるかもしれない。いくつかの実施の形態において、
CRLRおよび/またはCD117を発現する細胞を本発明の結合したグルカンにより標
的化することによって、血管腫瘍、神経膠腫および/または他の関連する癌が治療される
かもしれない。
【0224】
いくつかの実施の形態において、ここでの標的化成分への言及は、ここに記載されるよ
うに抗体またはその断片、参照されるレセプターへの天然発生ペプチドリガンドまたはそ
の変異形態、例えばトランケーション産物を含むことが理解されるべきである。いくつか
の実施の形態において、ここでの標的化成分への言及は、人工ペプチド、小分子等を含む
ことが理解されるべきである。
【0225】
いくつかの実施の形態において、本発明は、治療法への新生または新生物発生前細胞あ
るいは組織の反応性を特定する手段として、グルカン、本発明の標的化成分および/また
は組成物に結合したβ1−6グルカン(ここに記載されるように任意の実施の形態を含む
)の使用を提供する。いくつかの実施の形態において、そのような方法は、新生または新
生物発生前細胞を含む対象または生検物質から腫瘍サンプルを獲得し、インビトロ溶解へ
の細胞の感応度または耐性を評価し、および/または内在性補体コントロールタンパク質
の発現および/または分泌のレベルを特定する工程を含む。
【0226】
いくつかの実施の形態において、腫瘍細胞は、補体レセプター1(CR1またはCD3
5)、崩壊促進因子(DAFまたはCD55)、補体調節タンパク質(MCPまたはCD
46)、補体因子H(fH)(またはFHL−1)および/またはC4b結合タンパク質
(C4BP)のような内在性補体コントロールタンパク質を発現または過発現する(例え
ば、細胞の期限の細胞タイプまたは組織の正常細胞に関して)。
【0227】
いくつかの実施の形態において、本発明は、グルカン、例えば、アテローム硬化性脈管
構造のような病変脈管構造を標的化する、またはいくつかの実施の形態において、そのよ
うな脈管構造の除去を増強する目的で腫瘍関連新脈管構造のような新脈管構造を標的化す
る手段として本発明の(ここに記載されるように任意の実施の形態を含む)標的化成分お
よび/または組成物に結合したβ1−6グルカンの使用を提供する。
【0228】
本発明のこの態様によれば、およびいくつかの実施の形態において、標的化成分は、特
に、そのような脈管構造の成分と特異的に相互作用する抗体または抗体断片またはリガン
ド、例えば、VEGFと特異的に相互作用する物質、組織因子、凝固因子、血管細胞接着
分子、インテグリン、セレクチン、または内皮細胞の表面の上または表面において発現さ
れる任意の他のマーカーを含む。
【0229】
ある実施の形態において、標的化成分は、ペプチド、抗体、抗体断片、レセプター、プ
ロテインA、プロテインG、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、金属イオンキレ
ート、酵素補因子、核酸またはリガンドである。
【0230】
いくつかの実施の形態において、そのような標的化成分は、抗体または抗体断片を含ん
でもよい。いくつかの実施の形態において、そのような抗体または抗体断片は、ここに記
載されるように、所望の標的と特異的に相互作用し、グルカンとの抗体または断片の結合
は、そのような相互作用を抑制しない。
【0231】
いくつかの実施の形態において、「抗体」なる用語は、無処置の分子並びにその機能的
断片、例えば、ここに記載されるように、所望の標的と特異的に相互作用できるFab、
F(ab’)2およびFvを称する。いくつかの実施の形態において、抗体断片は、以下
を含む:
(1)Fab、無処置の軽鎖および1つの重鎖の一部を生じるように酵素パパインによ
る全抗体の消化によって生じ得る、抗体分子の一価抗原結合断片を含む断片;
(2)Fab’、ペプシンによる全抗体の処理、その後の無処置の軽鎖および重鎖の一
部を生じるための還元により得られる抗体分子の断片;2つのFab’断片は、抗体分子
毎に得られる;
(3)F(ab’)2、その後の還元なしで、全抗体を酵素ペプシンで処理することに
より得られる抗体の断片;F(ab’)2は2つのジスルフィド結合により一緒に保持さ
れる2つのFab’断片の二量体である;
(4)Fv、2つの鎖として発現される、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む
遺伝子組み換え断片;および
(5)一本鎖抗体(「SCA」)、遺伝的に融合された一本鎖分子として適切なポリペ
プチドリンカーにより結合された、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝子組
み換え分子。
【0232】
これらの断片を生成する方法は、当該技術において知られている。(例えば、ここに特
定により引用されるHarlowand Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring
HarborLaboratory, New York, 1988参照)。
【0233】
いくつかの実施の形態において、抗体断片は、抗体のタンパク質分解加水分解により、
または断片をコード化するDNAの大腸菌または哺乳類細胞(例えばチャイニーズハムス
ター卵巣細胞培養または他のタンパク質発現システム)中での発現により調製されてもよ
い。
【0234】
抗体断片は、いくつの実施の形態において、従来の方法による全抗体のペプシンまたは
パパイン消化により得られる。例えば、抗体断片は、F(ab’)2で示される5S断片
を提供するためのペプシンによる抗体の酵素開裂により生じてもよい。この断片は、さら
に、チオール還元剤、および必要に応じてジスルフィド結合の開裂から生じるスルフヒド
リル基についての保護基を使用して開裂し、3.5S Fab’一価断片を生じてもよい
。あるいは、ペプシンを使用する酵素開裂により、2つの一価Fab’断片およびFc断
片を直接生じる。これらの方法は、例えば、ここに特定により完全に引用される、Golden
bergの米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号の各明細書に記
載される。Porter,R.R., Biochem. J., 73:119-126, 1959も参照。抗体を開裂する他の
方法、例えば重鎖の分離による一価軽−重鎖断片の形成は、断片が無処置の抗体により認
識される抗原に結合する限り、さらなる断片の開裂、または他の酵素的、化学的、または
遺伝的技術を使用してもよい。
【0235】
Fv断片は、VHおよびVL鎖の対合を含む。この対合は、Inaba et al., Proc. Nat
’lAcad.Sci. USA 69:2659-62, 1972に記載されるように、非共有でもよい。あるいは、
可変鎖は、グルタルアルデヒドのような化学物質により分子間ジスルフィド結合または架
橋により結合されてもよい。好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーにより連結され
るVHおよびVL鎖を含む。これらの一本鎖抗原結合タンパク質(sFv)は、オリゴヌ
クレオチドにより連結されるVHおよびVL領域をコード化するDNA配列を含む構造遺
伝子を構成することにより調製される。構造遺伝子は、発現ベクター中に挿入され、これ
はその後大腸菌のような宿主細胞中に導入される。組換え宿主細胞は、2つのV領域を架
橋するリンカーペプチドにより一本鎖ポリペプチド鎖を合成する。sFvsを生じる方法
は、例えば、ここに特定により完全に引用される、Whitlow and Filpula, Methods, 2:97
-105, 1991; Birdet al., Science 242:423-426, 1988; Pack et al., Bio/Technology
11:1271-77,1993;およびLadner et al.,米国特許第4,946,778号明細書に記載
される。
【0236】
抗体断片の別の形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである
。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、関心のある抗体のCDRをコード化する遺伝
子を構築することにより得られる。そのような遺伝子は、例えば、ポリメラーゼ鎖反応を
使用して抗体産生細胞のRNSから可変領域を合成することにより調製される。例えば、
Larrick andFry, Methods, 2:106-10, 1991参照。
【0237】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されるように抗体または断片は、抗体の「
ヒト化形態」を含んでもよい。いくつかの実施の形態において、「抗体のヒト化形態」な
る用語は、非ヒト化免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する免疫グロブリンの分子
、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)s
ub.2または抗体の他の抗原結合配列)のキメラ分子である、非ヒト化(例えばネズミ
)抗体を称する。ヒト化抗体は、受容者の相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望
の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギのような非ヒト生物(
ドナー抗体)のCDRからの残基により置換される、ヒト免疫グロブリン(受容者抗体)
を含む。いくつかの実施の形態において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基
は、対応する非ヒト残基により置換される。ヒト化抗体はまた、受容者抗体および移入さ
れたCDRまたはフレームワーク配列に見られない残基を含んでもよい。通常、ヒト化抗
体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応
し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンの共通配列のFR領域であ
る、少なくとも1つおよび通常2つの可変領域の実質的に全てを含む。ヒト化抗体は好ま
しくは、通常はヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少
なくとも一部を含む[Joneset al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., N
Ature,332:323-329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992
)]。
【0238】
非ヒト抗体をヒト化させる方法は、当該技術においてよく知られる。通常、ヒト化抗体
は、非ヒトである供給源から導入される1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒ
トアミノ酸残基は、しばしば移入残基と称され、通常は移入可変領域から得られる。ヒト
化は、Winterおよび協力者の方法[Joneset al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechma
nn et al.,Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (
1988)]に従って、げっ歯類CDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより、
実質的に行われる。したがって、そのようなヒト化抗体は、キメラ抗体であり(米国特許
第4,816,567号)、実質的に無処置のヒト可変領域未満が非ヒト生物からの対応
する配列により置換される。実際には、ヒト化抗体は、通常はヒト抗体であり、いくつか
のCDR残基およびおそらくいくつかのFR残基がげっ歯類抗体の類似部位からの残基に
より置換される。
【0239】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリを含む、当該技術において知られる
様々の技術を使用して産生できる[Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (19
91); Marks etal., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]。Cole et al.およびBoerner et
al.の技術は、ヒトモノクローナル抗体の調製にも有用である(Coleet al., Monoclon
al Antibodiesand Cancer Therapy, alan R. Liss, p. 77 (1985)およびBoerner et al.
, J. Immunol.,147(1):86-95 (1991))。同様に、ヒト化は、ヒト免疫グロブリン遺伝子
座を、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活化された遺伝子導
入動物に導入することにより行ってもよい。誘発により、遺伝子再構成、アセンブリ、お
よび抗体レパートリーを含む全ての点でヒト中に見られるものに非常に類似するヒト抗体
産物が観察される。この方法は、例えば、米国特許第5,545,807号;同第5,5
45,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,63
3,425号;同第5,661,016号の各明細書、および以下の学術刊行物に記載さ
れる:Markset al., Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 36
8 856-859(1994); Morrison, Nature 368 812-13 (1994); Fishwild et al., Nature Bi
otechnology 14,845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); L
onberg andHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)。
【0240】
ある実施の形態において、標的化成分は、例えば好中球を特異的に認識する抗体または
その断片、および、L−セレクチン、β2−インテグリン、補体レセプター1(CR−1
)、崩壊促進因子(DAF)、C5aレセプター、細胞接着分子−1(ICAM−1)、
ICAM−3および当業者により理解されるであろうその他を特異的に認識する抗体であ
る。
【0241】
いくつかの実施の形態において、食細胞は、Fcレセプター、ケモカインレセプター、
CD40、CD80、CD86、MHCクラスII分子、CD69,ADAM8、CD1
4、CD163、CD33、CD63、CD68、CD74、CHIT1、CHST10
、CSF1R、DPP4、FABP4、FCGR1A、ICAM2、IL1R2、ITG
A1、ITGA2、S100A8、TNFRSF8、および当業者により理解されるであ
ろうその他と相互作用する分子により標的化される。
【0242】
別の実施の形態において、標的化成分は、任意の適切な成分でよく、例えば、アプタマ
ー、天然発生または人工リガンド、または操作結合タンパク質は、ここに記載されるよう
な標的化成分を含んでよく、ここに記載されるようなグルカンとのそれらの物理的結合は
、例えば、以下に記載される方法、またはその変化を含む、選択された標的化成分の特性
に適する、当該技術において知られる任意の数の手段により容易に達成できる。
【0243】
ある実施の形態において、標的化成分は、細胞への接着を増強し、別の実施の形態にお
いて、細胞へのホーミングを増強する。ある実施の形態において、標的化成分は、エネル
ギー供給源の供給後の接着を増強する。ある実施の形態において、標的化成分は、化学架
橋基を介してグルカンに化学的に結合し、または別の実施の形態において、グルカンと安
定な結合を形成し、または別の実施の形態において、例えば塩濃度またはpHのような環
境条件における変化を受けて解離する、グルカンとの結合を形成する。
【0244】
ある実施の形態において、標的化成分は、タンパク質または核酸のような関心のある分
子を特異的に認識する抗体でもよい。別の実施の形態において、抗体は、関心のある分子
に結合したレポーター分子を特異的に認識してもよい。別の実施の形態において、標的化
成分は、抗体断片、プロテインA、プロテインG、ビオチン、アビジン、ストレプトアビ
ジン、金属イオンキレート、酵素補因子、または核酸でもよい。別の実施の形態において
、標的化成分は、関心のある同族リガンドに結合するレセプターでもよく、関心のある細
胞または分子と結合してもよく、または別の実施の形態において、標的化成分は同族レセ
プターとの相互作用を介して細胞に結合するように使用されるリガンドでもよい。
【0245】
本発明のグルカンへの標的化成分の結合は、当該技術において知られる任意の手段、例
えば実施例7にさらに記載されるように、または米国特許第5,965,714号または
米国特許出願公開第2007/0141084号の各明細書、またはSchnectson et al.,
Proc NatlAcad Sci USA. 2003 Jul 22;100 (15):8945-50, Lees et al., Vaccine. 199
6 Feb;14(3):190-8に記載されるように、あるいはここに記載されるような架橋結合剤ま
たは当業者により理解されるであろう他の方法により、行ってもよい。
【0246】
いくつかの実施の形態において、グリコシル化抗体を使用し、β−1,6−グルカンを
抗体のグリコシル化残基に結合し、または別の実施の形態において、当業者により理解さ
れるように、結合は複数でもよく、抗体または標的化成分上の複数の部位を含んでもよい
。
【0247】
いくつかの実施の形態において、標的化成分へのグルカンの結合は、標的化細胞または
有機体の食作用および/または死滅を増強する。いくつかの実施の形態において、そのよ
うな溶解は、例えば、好中球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、細胞
毒性Tリンパ球、およびその他のような、任意の専門抗原提示細胞またはキラー細胞によ
り媒介されてもよい。
【0248】
いくつかの実施の形態において、任意のO−アセチル化グルカンは、標的化成分と物理
的に結合してもよく、ある実施の形態を示す本発明のグルカンまたは組成物を含んでもよ
い。免疫応答の調節、癌または前癌病変の治療、感染の消散の促進のための、そのような
O−アセチル化グルカン、例えばO−アセチル化されたβ−1,3−グルカンの使用、ま
たはここに記載される任意の方法は、本発明の一部と考えられるべきである。
【0249】
いくつかの実施の形態において、本発明のキットのまたは本発明の方法で使用するため
の任意のグルカン製剤は、グルカンの検出が容易に行われるようにラベリング剤に結合さ
れてもよい。ある実施の形態において、「ラベリング剤」なる用語は、ラベリング剤と接
触するものを容易に検出可能にする分子を称する。ある実施の形態において、ラベリング
剤はマーカーポリペプチドである。マーカーポリペプチドは、例えば、緑色蛍光タンパク
質(GFP)、DS−Red(赤色蛍光タンパク質)、分泌アルカリ性ホスファターゼ(
SEAP)、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または当業者に知られる任意
の数の他のレポータータンパク質を含んでもよい。別の実施の形態において、ラベリング
剤は、ラベルされる標的についてより大きい特異性を提供する別の分子に結合されてもよ
い。例えば、およびある実施の形態において、ラベリング剤は、所定の標的分子に特異的
に結合する、または別の実施の形態において、当業者により容易に理解されるように、標
的分子に結合した別の抗体に特異的に結合する、抗体に結合された蛍光色素である。いく
つかの実施の形態において、抗体に結合したグルカンは、当業者により理解されるように
、抗体中に蛍光色素を取り入れる。
【0250】
ある実施の形態において、本発明は、β−グルカンおよびアジュバントの組み合わせた
使用、またはそれらを含む組成物を提供し、またはβ−グルカンに基づくアジュバントが
使用される場合、第2のアジュバントがβ−グルカンと共に投与される。いくつかの実施
の形態において、アジュバントは、以下を含んでよいがそれに限定されない:(A)アル
ミニウム化合物(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムヒド
ロキシホスフェート、オキシヒドロキシド、オルトホスフェート、サルフェート等[例え
ば、ref.96のchapter8および9参照])、または任意の適切な形態を取る(例えば、ゲル、
結晶、アモルファス等)化合物および好ましい吸着との異なるアルミニウム化合物の混合
物;(B)MF59(マイクロフリューダイザを使用してサブマイクロメートル粒子に形
成された、5%スクアレン、0.5%ツイーン80、および0.5%スパン(Span)
);(C)リポソーム;(D)追加の界面活性剤を欠いてもよいISCOM;(E)サブ
マイクロメートルエマルジョン中に流動化されたまたはより大きい粒子サイズのエマルジ
ョンを生成するようボルテックスされた、10%スクアレン、0.4%ツイーン80、5
%プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDP;(F)2%スクア
レン、0.2%ツイーン80、および、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロー
スジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(
Detox(登録商標))から成る群からの1つ以上の細菌細胞壁成分を含む、Ribi
(登録商標)アジュバントシステム(RAS);(G)Stimulon(登録商標)と
しても知られる、QuilAまたはQS21のようなサポニンアジュバント;(H)キト
サン;(I)完全なフロイトアジュバント(CFA)および不完全なフロイトアジュバン
ト(IFA);(J)インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−
5、IL−6、IL−7、IL−12等)、インターフェロン(例えばインターフェロン
−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子等のようなサイトカイン;(K
)モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL);
(L)例えばQS21および/または水中油エマルジョンとの3dMPLの組合せ;(M
)必要に応じてシトシンに代えて5−メチルシトシンが使用される、CpGモチーフを含
む、すなわち、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド;(N)
ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル;(O)オクトキシノー
ルと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤、あるいはオクトキ
シノールのような少なくとも1つの追加の非イオン性界面活性剤と組み合わせたポリオキ
シエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤;(P)免疫賦活性オリゴヌクレ
オチド(例えばCpGオリゴヌクレオチド)およびサポニン;(Q)免疫賦活剤および金
属塩の粒子;(R)サポニンおよび水中油エマルジョン;(S)サポニン(例えば、QS
21)+3dMPL+IL12(必要に応じて+ステロール);(T)大腸菌熱不安定性
(「LT」)、またはその解毒突然変異体、例えばK63またはR72突然変異体;(U
)コレラ毒素(「CT」)、またはジフテリア毒素(「DT」)またはいずれかの解毒突
然変異体;(V)ダブルスタンダードRNA;(W)アミノアルキルグルコサミニド(g
lucosaminide)ホスフェート誘導体、例えばRC−529のような、モノホ
スホリルリピドA模倣物(mimic);(X)ポリホスファゼン(PCPP);または
(Y)エステル型ヒアルロン酸ミクロスフェア、またはポリ(アクリル酸)、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン(pyrollidone)、多糖およびカルボキシ
メチルセルロースのようなムコ接着剤。
【0251】
ムラミルペプチドは、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン
(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン
(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L
−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホス
ホリルオキシ)エチルアミンMTP−PE)等を含む。
【0252】
別の実施の形態において、本発明は、β−グルカン、免疫グロブリンG(IgG)4に
対して比較的に大きい量の免疫グロブリンG(IgG)1、2または3を生じるように抗
体産生を偏らせる物質、および抗原の組み合わせた使用を提供する。
【0253】
様々の形態において、抗原は、外来性として対象の免疫システムにより認識される任意
の分子でもよい。例えば、抗原は、任意の外来性分子、例えば、タンパク質(糖タンパク
質、ムコタンパク等のような修飾タンパク質を含む)、核酸、炭水化物、プロテオグリカ
ン、脂質、ムチン分子、または他の同様の分子、およびこれらの任意の組合せでもよい。
抗原は、別の実施の形態において、細胞またはその一部、例えば細胞表面分子でもよい。
別の実施の形態において、抗原は、感染性のウイルス、細菌、真菌、または他の有機体(
例えば原生生物)、またはそれらの一部に由来してもよい。これらの感染性有機体は、あ
る実施の形態において活性でもよく、または別の実施の形態において不活性でもよく、こ
れは、例えば、熱への暴露または有機体の複製に必要な少なくとも1つのタンパク質また
は遺伝子の除去により行ってもよい。ある実施の形態において、抗原性タンパク質または
ペプチドは、単離され、または別の実施の形態において合成される。
【0254】
ある実施の形態において、「抗原」なる用語は、その後の抗原への暴露または抗原との
接触により免疫応答を刺激または増強するタンパク質、ペプチド、または任意の断片のよ
うな物質を称する。ある実施の形態において、抗原は、シグナルの結果として免疫応答を
開始または増強することに関して、対象の免疫システムにより解釈される「危険な」シグ
ナルである。別の実施の形態において、抗原は、「非自己」である分子の存在を識別する
宿主の能力を提示する。
【0255】
ある実施の形態において、抗原は、病原体、感染細胞、新生細胞または新生物発生前細
胞に由来する。別の実施の形態において、抗原は、自己抗原、または自己抗原反応を開始
または増強する分子である。
【0256】
ある実施の形態において、抗原は、ライフサイクルの少なくとも数段階中に細胞内に存在する寄生物質に由来する。考えられる細胞内寄生は、例えば、原生動物を含む。細胞を感染させる原生動物は、以下を含む:Plasmodium属(例えば、Plasmodium falciparum、P.Vivax、P.ovaleおよびP.malariae)、Trypanosoma、Toxoplasma、Leishmania、Schistosoma、およびCryptosporidium。別の実施の形態において、寄生物質は、ライフサイクルの少なくとも一部において細胞外に存在する。例には、線虫、吸虫(吸虫類)および多節条虫類が含まれる。いくつかの実施の形態において、抗原は、記載される原生動物、例えば、Schistosomaの卵抗原、Toxoplasmaシストから独自に発現される抗原、および当業者により明らかなその他、による感染の副生成物に由来する。
【0257】
ある実施の形態において、抗原は、病気のおよび/または異常な細胞に由来する。考え
られる病気のまたは異常な細胞は、以下を含む:感染細胞、新生細胞、新生物発生前細胞
、炎症部位、良性腫瘍またはポリープ、カフェオレ斑、白板症、他の皮膚黒子、Tおよび
/またはNK細胞を含む自己反応性細胞等。
【0258】
ある実施の形態において、抗原は、特に以下を含む感染性ウイルスに由来する:レトロ
ウイルス科(例えば、HIV−1(HTLV−III、KAVまたはHTLV−III/
LAVとも称される)、またはHIV−IIIのようなヒト免疫不全ウイルス);HIV
−LPのような他の単離体;ピコルナウイルス科(例えばポリオウイルス、A型肝炎ウイ
ルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス
);カリシウイルス科(例えば胃腸炎を起こす菌株);トガウイルス科(例えばウマ脳炎
ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えばデング熱ウイルス、脳炎ウイルス
、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(例えばコロナウイルス);ラブドウイルス科(例
えば水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えばコレラウイル
ス);パラミクロウイルス科(例えばパラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、
麻疹ウイルス、RSウイルス);オルトミクソウイルス科(例えばインフルエンザウイル
ス);ブニヤウイルス科(例えばハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルスお
よびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば
レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイ
ルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科
(パピロマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(多くのアデノウイルス
);ヘルペスウイルス科(ヘルペス単純ウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウ
イルス(CMV)、サイトメガロウイルス);ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワク
チニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(例えばアフリカブタ熱
ウイルス);および未分類のウイルス(例えば海綿状脳症の病原学的物質、デルタ肝炎の
物質(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライトと考えられる)、非A、非B肝炎の物質(クラ
ス1=内部に感染した;クラス2=非経口で感染した(すなわちC肝炎);ノーウォーク
および関連ウイルス、およびアストロウイルス)。
【0259】
ある実施の形態において、抗原は、特に以下を含む細菌に由来する:Helicobacter pylori、Borellia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sps(例えばM. tuberculosis、M. avium、M. intracellulare、M. kansaii、M. gordonae)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes (Group A Streptococcus)、Streptococcus agalactiae (Group B Streptococcus)、Streptococus (viridians group)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus (anaerobic sps)、Streptococcus pneumoniae、pathogenic Campylobacter sp、Enterococcus sp、Chlamydia sp、Haemophilus ingluenzae、Baccillus antracis、corynebacterium diphtheriae、corynebacterium sp、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringers、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、Actinomyces israelliおよびFrancisella tularensis。
【0260】
ある実施の形態において、抗原は、特に以下を含む真菌に由来する:Absidia corymbiferaのようなAbsidia、Ajellomyces capsulatus、Ajellomyces dermatitidisのようなAjellomyces、Arthroderma benhamiae、Arthroderma fulvum、Arthroderma gypseum、Arthroderma incurvatum、Arthroderma otae、Arthroderma vanbreuseghemiiのようなArthroderma、Aspergillus flavus、Aspergillus fumigatus、Aspergillus nigerのようなAspergillus、Blastomyces dermatitidisのようなBlastomyces、Candida albicans、Candida glabrata、Candida guilliermondii、Candida krusei、Candida parapilosis、Candida tropicalis、Candida pelliculosaのようなCandida、Cladophialophora carrioniiのようなCladophialophora、Coccidioides immitisのようなCoccidioides、Cryptococcus neoformansのようなCryptococcus、Cunninghamella、Epidermophyton floccosumのようなEpidermophyton、Exophiala dermatitidisのようなExophiala、Filobasidiella neoformansのようなFilobasidiella、Fonsecaea pedrosoiのようなFonsecaea、Fusarium solaniのようなFusarium、Geotrichum candidumのようなGeotrichum、Histoplasma capsulatumのようなHistoplasma、Hortaea werneckiiのようなHortaea、Issatschenkia orientalisのようなIssatschenkia、Madurella grisaeのようなMadurella、Malassezia furfur、Malassezia globosa、Malassezia obtuse、Malasseziapachydermatis、Malassezia restricta、Malassezia slooffiae、Malassezia sympodialis、のようなMalassezia、Microsporum canis、Microsporum fulvum、Microsporum gypseumのようなMicrosporum、Mucor circinelloidesのようなMucor、Nectria haematococcaのようなNectria、Paecilomyces variotiiのようなPaecilomyces、Paracoccidioides brasiliensisのようなParacoccidioies、Penicillium marneffeiのようなPenicillium、Pichia anomala、Pichia guilliermondiiのようなPichia、Pneumocytis cariniiのようなPneumocystis、Pseudallescheria boydiiのようなPseudallescheria、Rhizopus oryzaeのようなRhizopus、Rhodotorula rubraのようなRhodotorula、Scedosporium apiospermumのようなScedosporium、Schizophyllum communeのようなSchizophyllum、Sporothrix schenckiiのようなSporothrix、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton rubrum、Trichophyton verrucosum、Trichophyton violaceumのようなTrichophyton、Trichosporon asahii、Trichosporon cutanum、Trichosporon inkin、Trichosporon mucoidesのようなTrichosporon、またはその他。
【0261】
ある実施の形態において、病原性真菌はヒト宿主を感染させる。ある実施の形態におい
て病原性真菌は非ヒト動物を感染させる。
【0262】
いくつかの実施の形態において、本発明の組成物および方法は、同じ供給源からの複数
の抗原、同じ種類の有機体からの複数の抗原、異なる種類の有機体からの複数の抗原、ま
たはそれらの任意の組合せの、組み合わせた使用を可能にする。
【0263】
別の実施の形態において、本発明は、対象中の感染を治療し、進行を遅らせ、鎮静化を
延ばし、あるいは発生または重症度を低減する方法を提供し、この方法は、対象に精製さ
れたβ1−6グルカンを含む組成物を投与する工程を含む。本発明のある実施の形態にお
いて、感染は病原性真菌によるものである。本発明のある実施の形態において、感染は病
原性細菌、ウイルス、または寄生動物によるものである。本発明のある実施の形態におい
て、対象は、本発明の組成物に加えて、対象が危険を受け罹患する感染を治療または予防
するのに有用であることが当該技術において知られる任意の物質を受ける。したがって、
ある実施の形態において、本発明の方法は、(i)β1−6グルカンを含む本発明の組成
物;および(ii)既知の抗真菌、抗ウイルスまたは抗寄生虫薬を対象に投与する工程を
含む。本発明の組成物および抗真菌薬は、単一の組成物でまたは別々に投与されてもよい
。いくつかの実施の形態において、そのような分離投与は、最大で24時間までまたは4
8時間まで離れてもよく、いくつかの実施の形態において、1時間未満離れてもよい。本
発明の組成物は、ヒトにおいて、獣医用途で、または両方に適切でもよい。
【0264】
いくつかの実施の形態において、βグルカンおよび必要に応じて、免疫グロブリンG(
IgG)4に対して比較的大きい量の免疫グロブリンG(IgG)1、2または3を生じ
るよう抗体産生を偏らせる薬剤の使用は、補体結合を刺激、増強または促進する。いくつ
かの実施の形態において、この効果は抗体媒介である。
【0265】
この態様によれば、およびいくつかの実施の形態において、βグルカンおよび必要に応
じて、免疫グロブリンG(IgG)4に対して比較的大きい量の免疫グロブリンG(Ig
G)1、2または3を生じるよう抗体産生を偏らせる薬剤の使用は、補体結合に関連する
免疫応答を刺激、増強または促進し、対象における治療効果が生じる。いくつかの実施の
形態において、そのような使用は、対象中の敗血症の治療に向けられてもよい。いくつか
の実施の形態において、そのような使用は、対象中のシャーガス病の治療、肺性病原体、
または寄生虫または蠕虫に向けられてもよい。いくつかの実施の形態において、そのよう
な使用は、HSVのようなウイルス感染の治療に向けられてもよい。
【0266】
いくつかの実施の形態において、本発明のこの態様による方法は、さらに、補体カスケ
ードの生成を促進する薬剤の投与を含んでもよい。いくつかの実施の形態において、本発
明のこの態様によれば、この方法はさらに、対象が感染される病原性物質を特異的に認識
する抗体の投与を含んでもよい。
【0267】
別の実施の形態において、本発明の免疫応答を刺激する方法は、抗癌反応を刺激するよ
うにされてもよい。ある実施の形態において、この方法はさらに、腫瘍関連抗原である抗
原に対象をさらす工程を含む。ある実施の形態において、対象は、増殖性または新生物発
生前病変を有する。別の実施の形態において、対象は癌を有する。
【0268】
ある実施の形態において、以下の癌抗原に関連する癌を、本発明の方法および組成物により治療または予防してもよい。KS 1/4 pan-癌抗原(Perez and Walker, 1990, J. Immunol. 142:32-37; Burnal, 1988, Hybridoma 7(4):407-415)、卵巣癌抗原(CA125)(Yu et al., 1991, Cancer Res. 51(2):48-475)、前立腺酸性フォスファターゼ(Tailor et al., 1990, Nucl. Acids Res. 18(1):4928)、前立腺特異抗原(Henttu and Vihko, 1989, Biochem. Biophys. Res. Comm. 10(2):903-910; Israeli et al., 1993, Cancer Res. 53:227-230)、黒色腫関連抗原p97(Estin et al., 1989, J. Natl. Cancer Instit. 81(6):445-44)、黒色腫抗原gp75(Vijayasardahl et al., 1990, J. Exp. Med. 171(4):1375-1380)、高分子量黒色腫抗原(HMW-MAA)(Natali et al., 1987, Cancer 59:55-3; Mittelman et al., 1990, J. Clin. Invest. 86:2136-2144)、前立腺特異的膜抗原、癌胎児性抗原(CEA)(Foon et al., 1994, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 13:294)、多形性上皮ムチン抗原、ヒト乳脂肪小球抗原、以下のような結腸直腸腫瘍関連抗原:CEA、TAG-72(Yokota et al., 1992, Cancer Res. 52:3402-3408)、CO17-1A(Ragnhammar et al., 1993, Int. J. Cancer 53:751-758);GICA 19-9(Herlyn et al., 1982, J. Clin. Immunol. 2:135)、CTA-1およびLEA;バーキットリンパ腫抗原−38.13、CD19(Ghetie et al., 1994, Blood 83:1329-1336)、ヒトBリンパ腫抗原−CD20(Reffet al., 1994, Blood 83:435-445)、CD33(Sgouros et al., 1993, J. Nucl. Med. 34:422-430)、以下のような黒色腫特異抗原:ガングリオシドGD2(Saleh et al., 1993, J. Immunol., 151, 3390-3398)、ガングリオシドGD3(Shitara et al., 1993, Cancer Immunol. Immunother. 36:373-380)、ガングリオシドGM2(Livingston et al., 1994, J. Clin. Oncol. 12:1036-1044)、ガングリオシドGM3(Hoon et al., 1993, Cancer Res. 53:5244-5250);以下のような腫瘍特異移植タイプの細胞表面抗原(TSTA);T−抗原DNA腫瘍ウイルスを含むウイルス性に誘発される腫瘍抗原およびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原;結腸、膀胱腫瘍胎児抗原のCEA(Hellstrom et al., 1985, Cancer. Res. 45:2210-2188)のような腫瘍胎児抗原−アルファ−フェトプロテイン、ヒト肺癌抗原L6、L20(Hellstrom et al., 1986, Cancer Res. 46:3917-3923)、繊維肉腫の抗原、ヒト白血病T細胞抗原−Gp37(Bhattacharya-Chatterjee et al., 1988, J. of Immun. 141:1398-1403)、ネオ糖タンパク質、EGFR(上皮増殖因子レセプター)のような乳癌抗原、HER2抗原(p185HER2)、多形性上皮ムチン(PEM)(Hilkens et al., 1992, Trends in Bio. Chem. Sci. 17:359)、悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1(Benhard et al., 1989, Science 245:301-304)、以下のような分化抗原(Feizi, 1985, Nature 314:53-57):胎児赤血球および一次内胚葉に見られるI抗原、胃腺癌に見られるI(Ma)、胸部上皮に見られるM18およびM39、骨髄性細胞に見られるSSEA-1、結腸直腸癌に見られるVEP8、VEP9、Myl、VIM-D5およびD156-22、TRA−1−85(血液型H)、結腸腺癌に見られるC14、肺腺癌に見られるF3、胃癌に見られるAH6、Yハプテン、胎児癌細胞に見られるLey、TL5(血液型A)、A431細胞に見られるEGFレセプター、膵癌に見られるE1シリーズ(血液型B)、胎児癌細胞に見られるFC10.2、胃腺癌、腺癌に見られるCO-514(血液型Lea)、腺癌に見られるNS-10、CO-43(血液型Lcb)、G49、結腸腺癌に見られるEGFレセプター(血液型ALeb/Ley)、結腸癌に見られる19.9、胃癌ムチン、骨髄性細胞に見られるT5A7、黒色腫に見られるR24、4.2、GD3、D1.1、OFA-1、GM2、OFA-2、GD2、胎児癌細胞に見られるM1:22:25:8および、4-8細胞段階胚に見られるSSEA-3、SSEA-4。別の実施の形態において、抗原は、皮膚T細胞リンパ球からのT細胞レセプター由来ペプチドである(Edelson, 1998, The Cancer Journal 4:62参照)。
【0269】
別の実施の形態において、抗原は、これらの抗原を発現する、乳、卵巣、膵臓、結腸、
前立腺および肺の癌の抑制/阻害のためのHER2/neuまたは絨毛胚抗原(CEA)に由来する。
同様に、MUC-1のようなムチンタイプ抗原を様々の悪性腫瘍に対して使用できる;MAGE、B
AGE、およびMart-1抗原を黒色腫に対して使用してもよい。ある実施の形態において、本
発明の方法は、抗原性ペプチドまたはタンパク質の選択が、患者の癌細胞中で発現する抗
原に依存するように、特定の癌患者に合わせてもよく、他の実施の形態において外科生検
または血液サンプルおよびその後の免疫組織化学により予め定められてもよい、
別の実施の形態において、本発明は、βグルカンおよび、免疫グロブリンG(IgG)
4に対して比較的大きい量の免疫グロブリンG(IgG)1、2または3を生じるよう抗
体産生を偏らせる薬剤、および必要に応じて追加の免疫調節化合物の組み合わせた使用を
提供する。
【0270】
有用な薬剤の例は、サイトカイン、ケモカイン、補体成分、免疫システムアクセサリおよび接着分子およびそれらのヒトまたは非ヒト動物特異性のレセプターを含む。有用な例は、以下を含むがそれに限定されない:GM-CSF、IL-2、IL-12、OX40、OX40L(gp34)、リンホタクチン、CD40およびCD40L。さらに有用な例は、以下を含むがそれに限定されない:例えばインターロイキン1−15までのインターロイキン、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマ、腫瘍壊死因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、好中球活性化タンパク質(NAP)のようなケモカイン、マクロファージ化学誘引物質および活性化因子(MCAF)、RANTES、マクロファージ炎症性ペプチドMIP-1aおよびMIP-1b、補体成分およびそれらのレセプター、またはB7.1、B7.2、TRAP、ICAM-1、2または3のようなアクセサリ分子およびサイトカインレセプター。OX40およびOX40−リガンド(gp34)は、免疫調節タンパク質のさらに有用な例である。バイアスに関与する工程へのおよびその中での免疫応答を刺激し、または所定の免疫応答においてここに記載されるグルカンと協力してバイアスされた応答の活性化を容易にする任意の薬剤は、本発明の方法に従って使用してもよいことが理解されるべきであり、その実施の形態が考慮されるべきである。
【0271】
ある実施の形態において、本発明による使用は、以下を含んでもよい追加の治療の投与を含んでもよい:ベタメタゾン、プレドニゾロン、ピロキシカム、アスピリン、フルルビプロフェン、および(+)−N−{4−[3−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−シクロペンテン−1−yl}−N−ヒドロキシウレアのような抗炎症薬;アシクロビル、ネルフィナビル、またはビラゾールのような抗ウイルス;アンピリシンおよびペニシリンGのようなまたはペニシリンファミリーに属するような抗生物質、セファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、カルバペネムおよびペネム、単環性ベータ−ラクタム、ベータ−ラクタムの阻害剤、テトラサイクリン、ポリペプチド抗生物質、クロラムフェニコールおよび誘導体、フシジン酸、リンコマイシン、ノボビオシン、スペクチノマイシン、ポリ−エセリックイオノフォア、キノロン;塩化ベンザルコニウムまたはクロルヘキシジン、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン(picloxacillin)、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンGおよびペニシリンVを含むペニシリン、チカルシリン、リファンピン、およびテトラサイクリンのような抗感染薬;ジフルニサル、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリンおよびサリチル酸のような抗炎症薬;アンホテリシンBのような抗菌薬;カスポファンギン、ミカファンギン、またはアニデュラファンギン(LY303366)、エコナゾール、テルコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、またはグリセオフルビンのようなグルカン合成阻害剤;メトロニダゾールのような抗原虫薬;ツブラゾールのようなイミダゾールタイプの抗腫瘍薬;チアベンダゾールまたはオキシフェンダゾールのような駆虫薬;アステミゾール、レボカバスチン、セチリジン、またはシンナリジンのような抗ヒスタミン;プソイドエフェドリンのような鬱血除去薬;フルスピリレン、ペンフルリドール、リスペリドン、またはジプラシドンのような抗精神病薬;白金化合物(例えばスピロプラチン、シスプラチン、およびカルボプラチン)、メトトレキサート、フルオロウラシル、アドリアマイシン、ミトマイシン、アンサミトシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリシン、ビンクリスチン、ブルスファン、クロラムブチル、メルファラン(例えば、PAM、L−PAM、またはフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジンダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、パクリタキセルおよび他のタキサン、ラパマイシン、マニュマイシンA、TNP−470、プリカマイシン(ミトラマイシン)、アミノグルテチミド、リン酸エストラムスチンナトリウム、フルタミド、酢酸リュープロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m−AMSA)、アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ)Erwinaアスパラギナーゼ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、テニポシド(VM−26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、およびダカルバジンのような抗悪性腫瘍薬;エトポシド、コルヒチン、またはビンカアルカロイドのような有糸分裂阻害剤;放射性ヨードおよび亜リン酸産物のような放射性医薬品;またはそれらの任意の組合せ。
【0272】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法は、緊急手術、怪我、病気、放射線また
は化学療法、または免疫システムに有害な影響を与える他の状態による感染のリスクが高
い動物またはヒトを治療的にまたは予防的に処理するために使用される。いくつかの実施
の形態において、本発明の方法は、HIV感染(AIDS)のような、正常免疫応答を減少また
は機能低下させる病気または疾患を有する、あるいは免疫抑制療法を受ける(例えば、移
植候補者であるまたは移植を受けたことがある個体、自己免疫疾患を罹患する個体等)患
者を治療するために使用される。いくつかの実施の形態において、本発明の方法は、化学
療法または放射線治療を受けている、あるいは、感染への体の正常な反応を動員する能力
が減少する病気、疾患または治療のために二次感染または術後合併症を患う危険が高い患
者において免疫応答を予め開始するために使用される。
【0273】
ある実施の形態において、免疫応答の刺激は、抗原特異的反応の刺激を含む。
【0274】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されるグルカンの使用、およびここに記載
される方法は、対象中の補体媒介溶解を増強する作用をしてもよい。いくつかの実施の形
態において、そのような増強は、食細胞反応を含んでもよく、例えば、好中球またはマク
ロファージ、または他の専門抗原提示細胞食作用および細胞障害性反応を増強する。いく
つかの実施の形態において、そのような増強は、例えば膜侵襲複合体の形成および/また
は活性を増強することにより、食細胞の関与と独立でもよい。
【0275】
本発明の方法は、免疫応答を刺激することにより、今度は病気を防ぎ、および/または
病気を改善し、および/または病気の進行を変化させることは、本発明の一部であると考
えられることが理解されるべきである。
【0276】
いくつかの実施の形態において、「接触させる」または「投与する」なる用語は、示さ
れた物質への直接および間接の暴露を称する。
【0277】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法は、個体への投与に適切な薬学的キャリ
ヤのような、細胞、組織または有機体への記載される薬剤の投与のための、非滅菌または
滅菌キャリヤを使用する。そのようなキャリヤは、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキス
トロース、水、グリセロール、およびそれらの組合せを含むが、それに限定されない。剤
形は投与のモードに適しなければならない。
【0278】
薬剤は、例えば、血管内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、鼻腔内(i.n.)、皮下(s.c.)、経口、直
腸、膣内供給による投与、またはグルカン/組成物が組織に供給できる任意の手段(例え
ば針またはカテーテル)を含む、任意の有効な、便宜の態様で投与されてもよい。あるい
は、上皮細胞への挿入には局所投与が所望かもしれない。投与の別の方法は、吸引または
エアロゾル製剤によるものである。いくつかの実施の形態において、本発明の方法は、対
象の体内、例えば被覆層の成分としてグルカンを含む移植または他の医療または手術装置
への移植または導入による、記載される薬剤/グルカンの投与を含む。
【0279】
ある実施の形態において、本発明は、ここに記載されるβ1−6グルカンおよび/また
は他の薬剤を含む栄養補助食品を提供する。
【0280】
いくつかの実施の形態において、食物または食品は、有機体により代謝されてエネルギーを与え組織を構築することができる実質的に無毒の任意の物資である。いくつかの実施の形態において、食物または食品は、栄養価を有する、動物による、例えばヒトによる消化を意図された産物を示す。いくつかの実施の形態において、食物または食品は、米国食品医薬品局(FDA)により食物または食品として規定された産物を示す。いくつかの実施の形態において、食物または食品は、その産物が食物または食品であることを示すラベルを有する容器中に包装された産物である。いくつかの実施の形態において、食物または食品は、カロリー、脂肪、またはタンパク質含有量、または1つ以上のビタミンまたはミネラルの含有量のような、産物に関する栄養情報を提供するラベルを有する容器中に包装された産物である。いくつかの実施の形態において、栄養補助食品(「健康補助食品」とも称される)は、食物または食品に加えられる任意の物質である。いくつかの実施の形態において、栄養補助食品は、本発明のグルカンに加えて、ビタミン、ミネラル、およびタンパク質のような1つ以上の必須栄養素を含む。いくつかの実施の形態において、栄養補助食品は、食事への補助としての消化を意図された任意の産物であり、本発明のグルカンに加えて、1つ以上のビタミン、ミネラル、ハーブ、植物、および他の植物由来の物質;アミノ酸;およびこれらの物質の濃縮物、代謝体、成分および抽出物を含んでもよい。いくつかの実施の形態において、食物、食品、栄養補助食品、または化粧組成物は、病気を診断、治癒、緩和、治療、または予防することを意図しない。いくつかの実施の形態において、栄養補助食品は、例えば現在の米国法および/またはFDAガイドラインに従って、内容物が食物または栄養補助食品であることを示すようラベルされた、容器または他の包装物質中で提供される。いくつかの実施の形態において、栄養補助食品または食品は、約0.01から30 w/w %のグルカンを含み、ビタミン、オリゴ糖、食事成分、タンパク質、またはそれらの組合せをさらに含んでもよい。
【0281】
いくつかの実施の形態において、成分の割合は固定されておらず、または他の実施の形態において、そのような割合は、100 w/w %ごとに約0.01から30 w/w %までの範囲でもよい。本発明の上記のグルカンを含む食物の例は、様々の食物、飲料、ガム、ビタミン複合体、健康改善食物等である。
【0282】
本発明の組成物は、さらに、以下の1つ以上を含んでもよい:クエン酸、フマル酸、ア
ジピン酸、乳酸、リンゴ酸のような有機酸;ホスフェート、リン酸ナトリウム、リン酸カ
リウム、ピロリン酸、ポリリン酸のようなホスフェート;ポリフェノール、カテキン、ア
ルファ−トコフェノール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、甘草抽出物、キトサン、タ
ンニン酸、フィチン酸のような天然酸化防止剤等。
【0283】
いくつかの実施の形態において、本発明の一部として投与される薬剤/グルカンは、一定の量、例えば、0.0001から50% w/w、例えば0.075から20% w/w(0.1% w/wの区切りに0.1%から20%までの範囲、例えば0.6% w/w、0.7% w/w等の活性成分を含む)で、活性成分を含有する、局所軟膏、ローション、ゲル、またはクリームとして形成される。いくつかの実施の形態において、軟膏に形成される場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性軟膏ベースで使用してもよい。いくつかの実施の形態において、活性成分は、水中油クリームベースでクリームに形成されてもよい。
【0284】
いくつかの実施の形態において、クリームベースの水相は、例えば、少なくとも30% w/
wの多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マン
ニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG 400を含む
)およびそれらの混合物のような、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含ん
でもよい。いくつかの実施の形態において、局所製剤は、皮膚または他の病気に冒された
領域を通して活性成分の吸収または浸透を増強する化合物を含んでもよい。そのような皮
膚浸透増強剤は、ジメチルスルホキシド(sulphoxide)および関連類似物を含む。
【0285】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法の一部として投与される薬剤/グルカンは、目薬として使用するために形成され、活性成分は、適切な賦形剤、例えば、約pH6−8のような中性に近いpH値で1つ以上の電荷を含む活性成分のための水性溶媒中に、溶解または懸濁される。いくつかの実施の形態において、活性成分は、約0.5−20% w/w、通常は約1−10% w/w、しばしば約2−5% w/wの濃度でそのような製剤中に存在する。
【0286】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法の一部として投与される薬剤/グルカン
は、口で局所投与されるように形成され、以下を含んでもよい:スクロースおよびアカシ
アまたはトラガカントを含んでもよい、味の付いたベース中に活性成分を含む錠剤;ゼラ
チンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア、またはその他のような不活性
ベース中に活性成分を含む錠剤;または適切な液体受容体中に活性成分を含む洗口剤、ま
たは当業者により明らかなその他。
【0287】
直腸投与のための製剤は、例えばココアバターまたはサリチラートを含む適切なベース
を有する座薬として存在してもよい。
【0288】
肺内または鼻腔内投与に適切な製剤は、例えば0.01から500マイクロメートルの範囲(0.1マイクロメートルまたは他の区切りで0.01から500マイクロメートルの範囲の平均粒子サイズを含む、例えば、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6、7、8、9、10、20、25、30、35、50、75、100等のマイクロメートル)の粒子サイズを有し、肺胞嚢に達するように、鼻腔を通る急速吸入により、または口を通る吸入により投与される。適切な微粉にされた製剤は、活性成分の水性または油性溶液または懸濁液を含む。エアロゾル、乾燥粉末または錠剤投与に適切な製剤は、従来の方法により調製されてもよく、ここに記載されるウイルス性または他の感染の治療または予防において従来使用される化合物のような他の治療薬と共に供給されてもよい。そのような製剤は、経口で、非経口で(i.v.、i.m.、s.c.)、局所的にまたは口腔内経路により投与されてもよい。
【0289】
膣内投与に適切な製剤は、活性成分に加えて当該技術において適切であると知られる賦
形剤を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤
として存在してもよい。
【0290】
非経口投与に適切な製剤は、製剤を意図された受容体の血液と等張にする、酸化防止剤
、バッファ、静菌剤および溶質を含んでもよい、水性および非水性滅菌注射液;および懸
濁剤および濃化剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁を含む。
【0291】
製剤は、単位投与量または複数投与量容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで存在
してもよく、使用の直前に滅菌水性賦形剤、例えば注射のための水を加えることのみを必
要とするフリーズドライ(凍結乾燥)された状態で保存されてもよい。即時注射液および
懸濁液は、上記の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製される。単位投与量製剤は、
ここに記載されるように、活性成分の一日量または単位一日サブ投与量、またはその適切
な画分を含むものである。
【0292】
上記に特に記載された成分に加えて、本発明の製剤は、問題の製剤のタイプに関する当
該技術における従来の他の薬剤または賦形剤を含んでもよく、例えば経口投与に適切なも
のは味の付いた薬剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0293】
本発明の原理または範囲から逸脱せずに本発明の組成物、使用および調製において様々
の修正および変更を行えることが当業者に明らかであろう。
【0294】
哺乳類、特にヒトへの投与のために、薬剤の場合、医者または他の適格な医療介護提供
者は、個人に最も適切であり、特定の個人の年齢、体重および反応によって変化し得る、
実際の投与量および治療の所要時間を決定してもよい。非処方(例えば「処方箋なしの」
)薬剤、食物、食品、栄養補助食品、化粧およびパーソナルケア組成物の場合、必要に応
じてラベリングからまたは適切な医療介護提供者または他のアドバイザからのガイダンス
により、ユーザの自己判断で決定されてもよい。
【実施例】
【0295】
材料および方法
IgG−枯渇血清の調製
未処理セファロースビーズのプロテインG−セファロースビーズ(コントロール)を、P
BSで3回洗浄した。血清をPBS中で2倍に希釈し、ビーズに加えた。ビーズを30分間、終端間(end-to-end)ミキサー上で室温でインキュベートした。ビーズを遠心分離により除去した。
【0296】
10の未免疫の正常な健康ドナーからの血清をプールした。
【0297】
SRBCアッセイ
SRBC(Accurate chemical and scientific corp.)を、ゼラチンベロナールバッファ(Sigma)で洗浄し、30分間室温で抗SRBC抗体(Accurate chemical and scientific corp.)によりオプソニン化した。IgG−枯渇血清(プロテインG−セファロースビーズから)またはIgG−含有血清(未処理セファロースビーズから)をSRBCに加え、37℃で1時間インキュベートした。水をポジティブコントロールとして加え(完全溶解)、バッファをネガティブコントロールとして加えた(非溶解)。溶解を、直接の顕微鏡視覚化により(
図1C a)、または溶解SRBCから排出されるヘムを検出するO.D. 414 nmにより検出した。
【0298】
β−1,6−グルカン被覆ビーズの調製およびFACS分析(食作用およびROS産生) これらの方法は、Rubin-Bejerano, I., et al., Phagocytosis by human neutrophils isにstimulated by a unique fungal cell wall component. Cell Host Mictobe, 2007. 2(1): p.55-67に記載されるように行われた。
【0299】
細胞培養 SK-BR-3細胞(ATCC)を、10% FBSを加えたMcCoy’s 5A Medium(Gibco)中で培養した。
【0300】
接合
ハーセプチン(Genentech, Inc.)またはIgG1アイソタイプコントロール(Sigma)をβ−1,6−グルカンに接合し、その後、過ヨウ素酸メタ(meta)ナトリウムで酸化した。
【0301】
好中球
新鮮なヒト血液および血清を、Research Blood Components(Brighton, MA)により提供した。Histopaque 1077およびHistopaque 1119(Sigma)を使用することにより、MIT Committee on Use of Humans as Experimental Subjectsにより認可されるプロトコルに従って、新鮮なヒト血液から好中球を単離した。
【0302】
オプソニン化
乳癌細胞を、15分間37℃で、塩化カルシウムを含まず塩化マグネシウムを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco)中の40%血清中でオプソニン化した。次に、0.04mg/mlのプロテアーゼ抑制剤AEBSF(Sigma)を加えた冷たいPBSで、細胞を3回洗浄した。
【0303】
抗体結合およびC3堆積
蛍光標識細胞分取(FACS)分析を使用して、乳癌細胞へ結合するハーセプチンおよび(Sigmaの抗ヒトIgG1抗体を使用することにより)およびC3堆積(Accurate Chemの抗ヒトC3抗体を使用することにより)を検出した。
【0304】
細胞障害性
β−1,6−グルカン−接合または未接合ハーセプチンおよび血清とのインキュベート
後の乳癌細胞への細胞障害性を、溶解した細胞から放出される乳酸脱水素酵素を検出する
CytoTox 96(登録商標)Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega)により特定し
た。好中球依存性の死滅について、上記の細胞を37℃で好中球と共に培養し、その後細胞
障害性を測定した。
【0305】
実施例1
β−1,6−グルカン刺激補体活性化は抗体依存性である
抗体がβ−1,6−グルカンによる補体活性化に関与するか否かをテストするために、
補体活性化アッセイにおいて使用した血清から、プロテインGセファロースビーズを使用
して抗体を枯渇させた。このIgG−枯渇した血清を使用した、β−1,6−グルカン−被
覆されたビーズをオプソニン化した。次に、ヒト好中球を使用して行った食作用アッセイ
でビーズをテストした。食作用およびROS産生は、β−1,6−グルカン被覆されたビー
ズをIgG−枯渇した血清でオプソニン化した場合に減少し(
図1AおよびB)、これは古典
経路がβ−1,6−グルカンによる補体活性化において主要な役割を果たすことを示す。
【0306】
IgG−枯渇した血清は、機能的補体因子を含んだ。ヒツジ赤血球(SRBC)アッセイにお
いて、抗SRBC抗体でオプソニン化されたSRBCは、IgG−枯渇した血清を使用した場合に溶解した(
図1C)。
【0307】
実施例2
β−1,6−グルカンへの抗体は正常な成人において蔓延する
10のヒトドナーからのプールされた血清は、IgG結合β−1,3−グルカンの低いレベルと対照的に、高レベルのIgG抗体結合β−1,6−グルカンを有した。異なるドナー中の抗−β−1,6−グルカン抗体がどのように蔓延するかをテストするために、12の個体から血清を採取した。血清を使用してβ−1,6−グルカン−またはβ−1,3−グルカン−被覆されたビーズをオプソニン化し、ビーズをヒト好中球と共にインキュベートした。12の血清のうち11は、プールが、媒介された有効な貪食およびROS産生を行った、高反応を有した(
図2 Aa、高レスポンダーの代表的な血清)。1つの血清は、より効果の少ない貪食およびROS産生を媒介した(
図2 Ab、低レスポンダー)。
【0308】
実施例3
β−1,6−グルカンは好中球による有効な食作用および活性酸素種の産生を媒介する IgGのどのアイソタイプがβ−1,6−グルカン認識を媒介するかを評価するために、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4に特異的な抗体を使用して、オプソニン化β−1,6−グルカン−被覆されたビーズへの暴露に続き、β−1,6−グルカンへの高いまたは低い反応を有するドナー血清中のIgGアイソタイプ使用を特定した。高レスポンダーは、低レスポンダーと比較して、より多くのIgG1、IgG2およびIgG3を産生したがIgG4ではそうではなかった(
図3)。特に、IgG2のレベルは、おそらく多糖はIgG2アイソタイプの産生を誘発する傾向があるために、高レスポンダーにおいて著しく高かった。
【0309】
異なるアイソタイプは、補体活性特性において異なる。IgG3は、最も高い補体活性特性を有し、次にIgG1、IgG2が続き、IgG4は補体を活性化できない。IgG2は、古典経路の低活性化因子であるが、別の経路を通して補体を活性化でき、好中球による食作用のための良好な担体である。
【0310】
実施例4
ハーセプチンモノクローナル抗体に結合したβ−1,6−グルカンは乳癌細胞への補体お
よび好中球の動員を媒介する
標的化成分に結合したβ−1,6−グルカンが、標的化成分により結合された標的細胞を溶解および殺すための補体および好中球の動員を媒介できるかを評価するために、ハーセプチンモノクローナル抗体(mAb)に結合した1,6−グルカンを乳癌細胞の系(SK-BR-3)でテストした。ハーセプチンmAbはSK-BR-3細胞上で過発現されたHer-2/neuタンパク質に対して配向された。ハーセプチンへのβ−1,6−グルカンの結合は、乳癌細胞への結合に影響を与えなかった(
図4Aa)。さらに、接合体は高C3堆積を媒介し(
図4Aa)、これはβ−1,6−グルカンが機能的なままであったことを示す。β−1,6−グルカンに結合した非特異的アイソタイプコントロール抗体は、乳癌細胞を結合せず(
図4Ba)、したがって、これらの細胞において補体活性化およびC3堆積を媒介しなかった(
図4Bb)。化学的結合なしでのβ−1,6−グルカンのmAbとの混合は、乳癌細胞上でのC3堆積を媒介しなかった(
図4C、緑を青と比較)。したがって、標的化成分へのβ−1,6−グルカンの結合は、補体およびしたがって好中球を、標的細胞へ配向するために必要であることが結論付けられた。C3堆積は、β−1,3−グルカンではなくβ−1,6−グルカンに接合したハーセプチンで処理された乳癌細胞上で検出されたが(
図4D、青を緑に比較)、これは補体の誘因においてβ−1,6−グルカンがβ−1,3−グルカンよりも有効であったことを示す。
【0311】
実施例5
ハーセプチンモノクローナル抗体に結合したβ−1,6−グルカンは補体および好中球に
よる乳癌細胞の殺傷を媒介する
乳癌細胞上の補体タンパク質C3の堆積は、これらの癌細胞の溶解を引き起こした。ハーセプチン−β−1,6−グルカン接合体は、乳癌細胞上で投与量依存性の細胞障害性効果を示すのに対し、未接合のハーセプチンは、いずれの効果も欠けていた(
図5A)。さらに、ハーセプチン−β−1,6−グルカン接合体は、癌細胞の好中球殺傷の増加を示した(
図5B)。
【0312】
VIII.均等物および範囲
形式および詳細における様々の変化を、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の原
理および範囲から逸脱せずに行ってもよいことが当業者により理解されるであろう。当業
者は、機械的に過ぎない実験を使用して、ここに記載される本発明の特定の実施の形態へ
の多くの均等物を認識し評価できるであろう。そのような均等物は、特許請求の範囲に含
まれることが意図される。
【0313】
特許請求の範囲において、「ある」および「その」のような冠詞は、そうでない場合を示しているまたは前後関係から明らかでない限り、1つ以上を意味する。ある群のメンバー間で「または」あるいは「および/または」を含む特許請求の範囲または明細書は、そうでない場合を示しているまたは前後関係から明らかでない限り、1つ、1つ以上、または全ての群のメンバーが存在する、使用されている、または所定の産物または方法に関する場合に充足される。本発明は、群の正確に1つのメンバーが存在する、使用されている、または所定の産物または方法に関連する実施の形態を含む。本発明はまた、群の1つ以上または全てのメンバーが存在する、使用されている、または所定の産物または方法に関連する実施の形態を含む。さらに、本発明は、様々の実施の形態において、他に示されているあるいは矛盾または不整合が生じることが当業者に明らかでない限り、1つ以上の列挙される請求項からの1つ以上の限定、要素、条項、記述用語等が同じベースの請求項に依存する別の請求項に導入される、全ての変化、組合せ、および置換を提供することが理解されるべきである。例えばマーカッシュグル―プ形式等のように要素が列挙として存在する場合、要素の各サブグループも開示されており、任意の要素をグループから除去できることが理解されるべきである。概して、本発明または本発明の態様が、特定の要素、特徴等を含むと称される場合、本発明または本発明の態様の特定の実施の形態は、そのような要素、特徴等から成るまたは実質的に成ることが理解されるべきである。簡便のために、これらの実施の形態は、全ての場合においてここに言葉で特に記載されていない。特定の請求項は便宜のために従属形式で存在するが、出願人は、そのような請求項が依存する独立請求項および任意の他の請求項の要素または制限を含むように、任意の従属項を独立形式に書き直す権利を保持し、そのような書き直された請求項は、独立形式に書き直される前のどのような形態であれ(補正されたまたは未補正の)従属項に全ての点で均等であると考えられる。