特許第5959679号(P5959679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959679
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20160719BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20160719BHJP
   H04W 4/22 20090101ALI20160719BHJP
【FI】
   H04W48/18 111
   H04W48/16 130
   H04W4/22
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-53948(P2015-53948)
(22)【出願日】2015年3月17日
(62)【分割の表示】特願2014-4134(P2014-4134)の分割
【原出願日】2009年8月4日
(65)【公開番号】特開2015-133747(P2015-133747A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2015年3月17日
(31)【優先権主張番号】0815679.6
(32)【優先日】2008年8月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ロシック クリストフ
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/103055(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/035736(WO,A2)
【文献】 3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;User Equipment,3GPP TS 25.304 V8.2.0 (2008-05),3GPP,2008年 5月
【文献】 NEC,Discussion on emergency calls and CS Fallback[online], 3GPP TSG-RAN WG2#63bis R2-085455,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ra,2008年 9月29日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 −H04W 99/00
H04B 7/24 −H04B 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受入可能なセルを特定する手段と、
前記セルによってサポートされている無線アクセス技術、すなわちRATを確定する手段と、を備え、
前記確定する手段が前記セルのRATがE−UTRAセルであると確定し、前記セルに関するブロードキャスト制御チャネルを読み取り、該ブロードキャスト制御チャネルより前記セルがリダイレクト無しで緊急呼を実現できるか否かを検証し、前記緊急呼が実現不可と判断された場合、該セルを拒否する手段と、
前記確定する手段が前記セルのRATがGSM又はUTRAであると確定する場合、該セルを選択する手段と、
更に備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
通信装置の制御方法であって、
受入可能なセルを特定する工程と、
前記セルによってサポートされている無線アクセス技術、すなわちRATを確定する工程と、を有し、
前記確定する工程が前記セルのRATがE−UTRAセルであると確定し、前記セルに関するブロードキャスト制御チャネルを読み取り、該ブロードキャスト制御チャネルより前記セルがリダイレクト無しで緊急呼を実現できるか否かを検証し、前記緊急呼が実現不可と判断された場合、該セルを拒否する工程と、
前記確定する工程が前記セルのRATがGSM又はUTRAであると確定する場合、該セルを選択する工程と、
更に有することを特徴とする制御方法。
【請求項3】
受入可能なセルを特定する処理と、
前記セルによってサポートされている無線アクセス技術、すなわちRATを確定する処理と、をコンピュータに実行させ、
前記確定する処理が前記セルのRATがE−UTRAセルであると確定し、前記セルに関するブロードキャスト制御チャネルを読み取り、該ブロードキャスト制御チャネルより前記セルがリダイレクト無しで緊急呼を実現できるか否かを検証し、前記緊急呼が実現不可と判断された場合、該セルを拒否する処理と、
前記確定する処理が前記セルのRATがGSM又はUTRAであると確定する場合、該セルを選択する処理と、を更にコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信ネットワークにおいて、無線カバレッジの下にあるユーザー機器(UE)が、該UEが(U)SIMカードを有しないとき、又はネットワークへのUEの登録が失敗したときであっても、常に緊急呼を発することができることに対する要求が存在する。したがって、移動通信ネットワーク内で、UEがそのような緊急呼を発することを可能にするための対処が行われなくてはならない。
【0003】
3GPPは、E−UTRAネットワークがパケット交換(PS)ネットワークのみとなり、そのため回路交換(CS)サービスは実施されないことを規定した。これは、音声トラフィックがボイスオーバーIP(VoIP)を使用して実行されなくてはならないことを意味する。しかしながら、VoIPの実装に伴うコストに起因して、3GPPは、E−UTRANがリリース8においてVoIPをサポートしない可能性を検討し、以後のリリースにおいてVoIPをオプションにすることを構想している。したがって、3GPPは、LTEセルにとどまるUEに音声呼サービスを提供するために、音声呼要求を、CS呼をサポートするセルにリダイレクトするメカニズムを規定した。このメカニズムは、CSフォールバックと呼ばれ、3GPP標準規格文書TS23.272に記載されている。本質的に、このメカニズムは、UEがセルを音声サービスをサポートするセル、通常CSドメインをサポートするGSM(登録商標)セル又はUTRAセルに変更することを要求することを可能にする。
【0004】
緊急呼は音声呼であるため、このCSフォールバックメカニズムは緊急呼を確立するのに使用されることが構想される。しかしながら、本発明者らは、これによって多数の問題が生じると認識している。第1に、現在のCSフォールバック手順は、該手順が使用可能になる前にUEが通常サービス(NORMAL SERVICE)で登録されることを必要とする。これは、現在のCSフォールバック手順が、UEがE−UTRAネットワークに「サービング要求」を送信することを必要とし、UEが限定サービス(LIMITED SERVICE)でセルに登録されているとき、ネットワークはそのような要求を拒否するように構成されるためである。したがって、現在のCSフォールバック手順では、UEが限定サービスモードにあるとき、緊急呼を発することができない。さらに、CSフォールバック手順が、セルが要求を受け取ることを可能にするように修正されるとしても、他の技術的問題が残る。特に、CSフォールバックは、RAT間モビリティ手順の実施を必要とし、該手順はUEとネットワークとの間でさらなるメッセージの交換を必要とし、いくつかの場合、何らかのUE測定が行われることを必要とする。これらのさらなる手順は、さらなるシグナリングオーバーヘッドを必要とし、緊急呼失敗の尤度を高めると共に、緊急呼確立の重大な遅延をもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/103055号
【特許文献2】国際公開第2006/080080号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】TS 36.304 Rapporteur (Nokia Corporation),Editorial corrections to 36.304,GPP TSG-RAN2 Meeting #62 R2-082830,2008年5月5日
【非特許文献2】3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;User Equipment,3GPP TS 25.304 V8.2.0 (2008-05),3GPP,2008年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、UEがE−UTRAカバレッジの下で該UEの限定サービスモードで動作しているときに、該UEから緊急呼を発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる通信装置は、
受入可能なセルを特定する手段と、
前記セルによってサポートされている無線アクセス技術、すなわちRATを確定する手段と、を備え、
前記確定する手段が前記セルのRATがE−UTRAセルであると確定し、前記セルに関するブロードキャスト制御チャネルを読み取り、該ブロードキャスト制御チャネルより前記セルがリダイレクト無しで緊急呼を実現できるか否かを検証し、前記緊急呼が実現不可と判断された場合、該セルを拒否する手段と、
前記確定する手段が前記セルのRATがGSM又はUTRAであると確定する場合、該セルを選択する手段と、
更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、UEがE−UTRAカバレッジの下で該UEの限定サービスモードで動作しているときに、該UEから緊急呼を発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態が適用可能であるタイプの移動通信システムを概略的に示す図である。
図2図1に示すシステムの一部を形成するE−UTRA無線アクセスネットワーク及びコアネットワークの構成要素を示すブロック図である。
図3図1に示すシステムの一部を形成する移動通信装置の構成要素を示すブロック図である。
図4図3に示す移動通信装置の複数の異なる状態、及びそれらの状態間で遷移がどのように達成され得るのかを示す状態遷移図である。
図5図3に示す移動通信装置が、該移動装置を登録するセルを選択するときに、該移動装置によって実行されるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1つの実施の形態では、これは、UEが、該UEの限定サービスモードにあるときにセルに登録しているとき、音声呼サービスを提供することができるセルに登録することを確実にすることによって達成される。UEは、これをセルによってブロードキャストされたシステム情報内に存在する情報から推測することもできるし、セルのブロードキャスト情報内に、該セルが緊急呼サービスを提供することができるか否かを特定する新たなパラメータを含めるようにセルを構成することもできる。
【0012】
1つの態様によれば、本発明は、通信装置であって、セルから送信されるシステム情報を受信する受信回路と、通信装置が音声サービスをサポートし、システム情報が緊急呼をサポートしないことを示す場合に、該セル以外のセルを選択するためのセル選択プロセスを実行するコントローラと、を備える、通信装置を提供する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、通信装置であって、受入可能なセルを特定する手段と、セルによってサポートされている無線アクセス技術、すなわちRATを確定する手段と、確定されたRATが、セルが回路交換(CS)緊急呼サービスを提供することができることを示す場合、該セルを選択する手段と、確定されたRATが、セルがCS緊急呼サービスもパケット交換(PS)緊急呼サービスも提供することができないことを示す場合、該セルを拒否する手段とを備える、通信装置を提供する。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、移動通信装置であって、受入可能なセルを特定する手段と、該受入可能なセルが、別のセルへの装置のリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができるか否かを確定する手段と、受入可能なセルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができない場合、該セルを拒否する手段と、該セルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができる場合、該セルを選択する手段とを備える、移動通信装置を提供する。
【0015】
受入可能なセルの特定は、利用可能な周波数の走査を含んでもよく、又は以前の走査情報の使用を含んでもよい。
【0016】
受入可能なセルが、別のセルへの装置のリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができるか否かの確定は、受入可能なセルによってサポートされている無線アクセス技術を確定することを含むことができる。セルの無線アクセス技術がE−UTRAである場合、確定する手段は、セルによって出力されるセルシステム情報を取得することができ、該セルシステム情報を処理して、該セルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを実行することができるか否かを確定することができる。この処理は、リダイレクトなしで緊急呼サービスが利用可能であるか否かを示す、セルのパラメータの値を特定することを含むことができる。セルの無線アクセス技術がE−UTRAでない場合、確定する手段は、セルが緊急呼サービスを提供可能であると推測することができる。
【0017】
セルが複数の公衆地上移動通信網(PLMN)によって使用される場合、セルシステム情報は、各PLMNについて該PLMNが緊急呼サービスを提供するか否かを示すパラメータを含むことができ、選択する手段は、リダイレクトなしで緊急呼サービスを提供するPLMNに移動電話を登録することができる。
【0018】
セルシステム情報内の情報は、セルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを実行することができるか否かを間接的に特定することができる。例えば、パラメータは、セルがVoIPサービスをサポートすることができるか否かを特定することができ、サポートする場合、確定する手段は、セルがVoIPサービスをサポートすることができるならば、該セルが、別のセルへの装置のリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができると推測することができる。代替的に、パラメータは、セルがCSフォールバックをサポートすることができるか否かを特定することができる。サポートすることができる場合、確定する手段は、セルが、別のセルへの装置のリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができないと推測することができる。セルがCSフォールバックをサポートすることができない場合、確定する手段は、緊急呼サービスがサポートされている場合があると推測することができる(ただし、これを確定するにはシステム情報におけるさらなる情報が必要である場合がある)。
【0019】
移動通信装置の上記の動作は、装置が限定サービス動作モードに入ると実行することができる。そのような限定サービス動作モードは、装置がオンに切り換えられるとき、SIMが利用可能でない場合、ネットワークへの装置の登録が拒否されたとき、又は適切なセルが見つからなかったときに発生する場合がある。
【0020】
1つの態様によれば、本発明は、通信装置で実施される方法であって、セルから送信されるシステム情報を受信するステップと、通信装置が音声サービスをサポートし、前記システム情報が緊急呼をサポートしないことを示す場合に、該セル以外のセルを選択するためのセル選択プロセスを実行するステップと、を含む、通信方法を提供する。
【0021】
別の態様によれば、本発明は、移動通信装置によって実行される方法であって、受入可能なセルを特定すること、受入可能なセルが、別のセルへの装置のリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができるか否かを確定すること、上記確定するステップが、受入可能なセルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができないと確定する場合、該セルを拒否すること、上記確定するステップが、セルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができると確定する場合、該セルを選択することを含む、方法も提供する。
【0022】
好ましい実施の形態では、E−UTRA通信ノードは、上述したセル選択手順をサポートするようになっている。これは、通信ノードのセルが、別のセルへの移動通信装置のリダイレクトなしで、登録された移動通信装置に緊急サービスを提供するか否かを特定する少なくとも1つのパラメータを、E−UTRA通信ノードが(例えばセルのブロードキャストチャネル上で)出力することによって行われる。この情報によって、移動通信装置は、より容易に上述した確定を行うことが可能になる。1つの実施の形態では、複数の公衆地上移動ネットワーク(PLMN)がセルを共有する場合、通信ノードは、各PLMNに関連付けられる、該PLMNがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができるか否かを特定するパラメータを出力することができる。
【0023】
本発明は、プログラム可能なコンピューター装置を、上記の移動装置又は上記のE−UTRA通信ノードとして構成させるためのコンピューター実施可能命令を含むコンピューター実施可能命令製品も提供する。該製品は、コンピューター可読媒体、又は命令を搬送する信号を含むことができる。
【0024】
本発明のこれらの態様及び様々な他の態様は、添付の図面を参照して例示としてのみ説明される実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0025】
<概観>
図1は、移動電話3と、3つの無線アクセスネットワーク5−1、5−2、及び5−3と、対応するコアネットワーク7−1、7−2、及び7−3とを有する移動(セルラー)通信システム1の一部を概略的に示している。無線アクセスネットワーク5のそれぞれは、それぞれのセル内の移動電話3と通信するように動作する。
【0026】
該セルは図1においてそれぞれC1、C2、及びC3とラベル付けされた破線の円によって示されている。示される図において、移動電話3は、全てのセルの範囲内にあり、したがって、3つの無線アクセスネットワーク5のうちの任意のものに登録することができ、選択された無線アクセスネットワーク5、該無線アクセスネットワークの関連付けられるコアネットワーク7、及び電話ネットワーク9を介して、他のユーザー(図示せず)と通信することが可能である。
【0027】
この実施形態では、無線アクセスネットワーク5−1及び5−2はE−UTRAアクセスネットワークであり、無線アクセスネットワーク5−3はGSMアクセスネットワークである。移動電話3がLTEに準拠する場合、該移動電話は、通常E−UTRA無線アクセスネットワーク5−1又は5−2に登録する。しかしながら、下記でより詳細に説明するように、この実施形態では、これは移動電話3のサービス状態、並びにE−UTRAコアネットワーク7−1及び7−2の音声呼能力に依拠する。
【0028】
3GPP標準規格によれば、緊急呼は、ネットワーク内で優先的に確立される音声呼であり、以下の任意の時点において利用可能でなくてはならない。
1)UE(例えば移動電話3)が公衆地上移動ネットワーク(PLMN)に首尾よくアタッチしているとき。この場合、UEは、「適切な」セルにとどまり、通常サービスでネットワークに登録される。
2)UEがPLMNに依然としてアタッチしていないとき、アタッチ手順が拒否されたとき、又は(U)SIMが利用可能でないとき。この場合、UEは「受入可能な」セルにとどまり、限定サービスで登録される。この状態では、緊急呼のみが権限を有する。
【0029】
本実施形態は、上記で論考した第2のシナリオに関し、移動電話3が音声呼サービスを提供することができるセルにのみ登録するように、移動電話3が登録すべきセルを選択するときに該移動電話によって実行されるセル選択手順を変更することを提案する。
【0030】
<無線アクセスネットワーク及びコアネットワーク>
各無線アクセスネットワーク5は、それぞれが異なるサービスを移動電話3に提供する複数の異なるセルを操作することができるが、この実施形態では、各無線アクセスネットワーク5が単一のセルを操作すると想定される。また、E−UTRAコアネットワーク7−1は音声呼サービスを提供せず、E−UTRAコアネットワーク7−2及びGSMコアネットワーク7−3は音声呼サービスを提供すると想定される。図2は、この実施形態において使用される無線アクセスネットワーク5−2及びコアネットワーク7−2の主要構成要素を示すブロック図である。図示されるように、無線アクセスネットワーク5−2は、1つ又は複数のアンテナ22を介して移動電話3に対し信号を送受信するように動作可能であると共に、コアネットワークインターフェース23を介してコアネットワーク7−2に対して信号を送受信するように動作可能な送受信機回路21を備える。無線アクセスネットワーク5−2は、無線アクセスネットワーク5−2の動作を、メモリ内に記憶されているソフトウェアに従って操作するコントローラも含むが、これらは単純にするために示されていない。
【0031】
コアネットワーク7−2は、コアネットワーク7−2の動作を制御すると共にRANインターフェース27を介して無線アクセスネットワーク5−2に対してデータを送受信するように動作可能であると共に、電話ネットワークインターフェース28を介して電話ネットワーク9に対してデータを送受信するように動作可能であるコントローラ25を備える。図示されるように、コントローラ25は、コアネットワーク7−2の動作を、メモリ29内に記憶されているソフトウェアに従って制御する。ソフトウェアは、中でも、オペレーティングシステム31と、登録モジュール33と、VoIPモジュール34とを含む。登録モジュール33は、無線アクセスネットワーク5−2に登録された移動電話3及び該移動電話のサービス状態(例えば、通常サービス又は限定サービス)の記録を維持し、VoIPモジュール34は、登録された移動電話3に音声呼サービスを提供する。コアネットワーク7−1は、VoIPモジュール34を有せず、したがって音声呼サービスを提供することができないという点を除いてコアネットワーク7−2と同様である。
【0032】
<移動電話>
図3は、図1に示す移動電話3の主要構成要素を概略的に示している。図示されるように、移動電話3は、1つ又は複数のアンテナ73を介して、選択された無線アクセスネットワーク5に対して信号を送受信するように動作可能な送受信機回路71を備える。図示されるように、移動電話3は、該移動電話3の動作を制御すると共に、送受信機回路71、並びにスピーカー77、マイクロフォン79、ディスプレイ81、及びキーパッド83に接続されるコントローラ75も備える。コントローラ75はメモリ85内に記憶されているソフトウェアモジュールに従って動作する。図示されるように、これらのソフトウェアモジュールは、中でも、オペレーティングシステム87と、セル選択モジュール89と、緊急呼モジュール91とを含む。セル選択モジュール89は、移動電話3が登録すべき無線アクセスネットワーク5を選択しているときにセル選択プロセス(下記でより詳細に説明する)を制御するように動作し、緊急呼モジュール91は、移動電話3のユーザーが緊急音声呼を要求すると共に発することを可能にするように動作する。
【0033】
上記の説明では、コアネットワーク7及び移動電話3の双方を、理解を容易にするために、様々な別個のソフトウェアモジュールを有するものとして説明した。これらのソフトウェアモジュールは、このように、例えば既存のシステムが本発明を実施するために変更された、特定の用途で提供されてもよいが、他の用途、例えば本発明による特徴を踏まえて最初から設計されたシステムにおいて、これらのモジュールをオペレーティングシステム又はコード全体に組み込んでもよく、したがってこれらのモジュールは別個のエンティティとして識別可能でない場合がある。
【0034】
<セル選択>
現在の3GPP標準規格文書によれば、移動電話3は、移動電話3がオンにされたとき、(U)SIMが利用可能でない場合、登録が拒否されたとき、及び「適切な」セルが見つからなかったとき、「任意のセル選択」を実行しなくてはならない。この任意のセル選択手順は、移動電話3が、セルのPLMNアイデンティティとは無関係に、該移動電話が「受入可能な」セルを特定すると共に該セルにとどまる機能に従って、E−UTRAN、UTRAN、及びGSMの周波数帯域内の全てのRFチャネルを走査することを伴う。この実施形態は変更を提案し、該変更において、セル選択プロセスは、移動電話3が緊急呼サービスを提供しないセルにとどまらないように、該移動電話3が、見つかった受入可能セルが(リダイレクトなしで)緊急呼サービスを提供することができるか否かを確定することを要求する。このプロセスは、図4及び図5に示され、セル選択モジュール89によって制御される。
【0035】
図4は、移動電話3がオンにされたとき、(U)SIMが利用可能でない場合、登録が拒否されたとき、又は適切なセルが見つからなかったとき(遷移1)の移動電話3の動作を示す状態遷移図である。図示されるように、移動電話3はステップs1に入り、ここで移動電話3は、任意の「受入可能な」セル(すなわち、移動電話3がとどまって限定サービスを得ることができるセル)を見つけるために全てのRFチャネルにわたって走査することによって、「任意のセル選択」プロセスを実行する。該セルに関連付けられるPLMNに関わらず、少なくとも1つの受入可能なセルが見つかった場合、移動電話はステップs3に遷移する(遷移2)。ここで移動電話3は、見つかったセルが緊急呼サービスを提供するか否かを(直接的又は関接的に)確定する。提供しない場合(図1に示すセルC1と同様)、受入可能なセルは拒否され、移動電話3は、ステップs1に戻るように遷移する(遷移4)。ここで移動電話3は別の受入可能なセルを選択する。緊急呼サービスを提供する受入可能なセル(図1のセルC2又はセルC3等)が見つかると、移動電話はステップs3からステップs5に遷移し(遷移3)、ここで移動電話3は、セルに関連付けられる公衆地上移動ネットワーク(PLMN)に限定サービスで登録し、このセルにアイドルモードでとどまる。
【0036】
ユーザーが緊急呼を要求する場合、移動電話3は現在のアイドルモードを出て、ステップs7に入る。ここで、移動電話3は、緊急呼モジュール91を使用して緊急呼を発することができる、該移動電話の接続モードに入る。呼を発したか、又はユーザーがアクションをキャンセルする場合、移動電話3は「接続モードを出るときのセル選択」処理ステップs9に入る。ここで、移動電話3は最初に(以前のRF走査の結果から)以前の受入可能なセル又は代替的な受入可能なセルを見つけようと試みる。受入可能なセルが見つからない場合、処理はステップs1に戻る。ここで受入可能なセルを見つけるためのフルRFスキャンが再び行われる。ステップs9において受入可能なセルが見つかった場合、移動電話3は処理ステップs3に戻るように遷移し(遷移5)、ここで該移動電話は見つかった受入可能なセルが緊急呼サービスを提供するか否かを確定する。
【0037】
ステップs5において、移動電話3は、該移動電話のアイドルモードにあるとき、ステップs11のセル再選択プロセスに入るようにトリガーされる場合がある。これは、例えば周期的に、又は現在のセルの信号電力の強さが十分でない場合にトリガーされ得る。セル再選択プロセスは、「任意のセル選択プロセス」(s1)が前回実行されたときに取得されたセルデータから別の受入可能なセルを探すことを開始することができる。受入可能なセルが見つからなかった場合、処理はステップs1に戻り、ここで利用可能なRFチャネルのフルスキャンが再び実行される。受入可能なセルが見つかった場合、移動電話3はステップ3に遷移し(遷移6)、ここで移動電話3は、見つかった受入可能なセルが緊急呼サービスを提供することができるか否かを確定する。
【0038】
図5は、図4に示すステップs3において移動電話3によって実行される処理ステップを示している。上述したように、ステップs3は、受入可能なセルが見つかったとき、遷移2、5、又は6から開始する。ステップs15において、移動電話3は、見つかった受入可能なセルによってサポートされている無線アクセス技術(RAT)を確定する。RATがE−UTRAである場合、処理はステップs17に進む。ここで、移動電話3はセルのブロードキャスト制御チャネル(BCCH)を読み取り、該セルに関するブロードキャストシステム情報を復号する。次に、ステップs19において、移動電話3は、復号されたシステム情報が、セルがリダイレクトなしで緊急呼を実行することができるか否かを直接的に又は間接的に示す情報を含むか否かを検証する。情報が存在しない場合、又は存在するが非サポートに設定されている場合、セルは拒否され、処理は図4に示すステップs1に戻る(遷移4)。情報が存在し、かつサポートに設定されている場合、セルは選択され、処理は図4に示すステップs5に進む(遷移3)。ステップs15において、移動電話3がRATがGSM又はUTRAであると確定する場合、これらのタイプのセルにおいて音声サービスは常に利用可能であるため、セルは選択され、処理は図4に示すステップs5に進む(遷移3)。
【0039】
<セルシステム情報>
当業者であれば理解するように、上記で論考したセル選択プロセスを実施するために、移動電話3は、受入可能なセルがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することができるか否かを確定する。この確定をサポートするために、E−UTRA無線アクセスネットワーク5−1及び5−2は、好ましくはそのシステム情報内に埋め込まれる特定のパラメータ(「SystemInformation-BlockType1」メッセージ)を含むように配置され、これは該ネットワークのブロードキャスト制御チャネルを介してブロードキャストされ、呼サービスがサポートされているか否かを特定する。セルが2つ以上のPLMNによって使用されている場合、セルを使用するPLMN毎にそれぞれのパラメータを提供することができる。移動電話3に、緊急呼をサポートするネットワーク7のPLMNアイデンティティを示すことが必要な場合、以下のようなパラメータを含めることができる;
【0040】
【数1】
【0041】
次に、移動電話3はこの情報を使用して、少なくとも1つのPLMNがリダイレクトなしで緊急呼サービスを提供することが可能であるか否かを確定する。可能である場合、セルは限定サービスでの登録のために選択されることができる。
【0042】
代替的に、以下のように、PLMNアイデンティティとは無関係に、パラメータをセルに直接リンクすることができる:
【0043】
【数2】
【0044】
特定のパラメータが、セルによってブロードキャストされるシステム情報内に含まれてない場合、UEは、他のブロードキャスト情報から確定を行うことができる。例えば、ブロードキャストシステム情報が、セルがVoIPサービスをサポートすることができるか又はできないかを示す場合、移動電話3はこの情報を使用して、このセルを通じて緊急呼を確立することができるか否かを確定することができる。具体的には、VoIPがサポートされている場合、UEは、リダイレクトなしで緊急呼がサポートされていることを推測することができ、VoIPがサポートされていない場合、移動電話3は、異なるセル(GERANセル又はUTRANセル等)を通じて緊急呼をリダイレクトしなくてはならないことを推測することができる。同様に、ブロードキャストシステム情報が、セルがCSフォールバックをサポートすることができるか又はできないかを示す場合、移動電話3は、この情報を使用して、このセルを通じて緊急呼を確立することができるか否かを確定することができる。具体的には、CSフォールバックがサポートされている場合、移動電話3は、緊急呼がリダイレクトなしでサポートされないことを推測することができ、CSフォールバックがサポートされていない場合、移動電話3は、緊急呼サービスがサポートされていることを推測することができる。
【0045】
<変更形態及び代替形態>
詳細な実施形態を上記で説明した。当業者であれば、上記の実施形態に対し、該実施形態において具現化された本発明から利益を受けながら、多くの変更形態及び代替形態を作成することができることを理解されよう。ここで、例示としてのみ、これらの代替形態及び変形形態のうちのいくつかを説明する。
【0046】
上記の実施形態において、多くのソフトウェアモジュールを説明した。当業者であれば理解するように、ソフトウェアモジュールは、コンパイル済みの形式又はコンパイルされていない形式で提供することができ、コアネットワーク、無線アクセスネットワーク、又は移動電話に、コンピューターネットワークを介した信号として、又は記録媒体で供給することができる。さらに、このソフトウェアの一部又は全てによって実行される機能は、1つ又は複数の専用ハードウェア回路を使用して実行することができる。しかしながら、ソフトウェアモジュールの使用によって、無線アクセスネットワーク5及び移動電話3を、それらの機能を更新するために更新することが容易になるため、ソフトウェアモジュールの使用が好ましい。
【0047】
上記の実施形態において、多くの無線アクセスネットワークと通信する移動電話が提供された。当業者であれば理解するように、本発明は、ラップトップコンピューター、携帯情報端末、又は他のハンドヘルドの可搬性コンピューター装置のような他のタイプのユーザー機器(UE)に適用可能である。
【0048】
上記の実施形態では、各無線アクセスネットワークは独自のコアネットワーク7に接続された。当業者であれば理解するように、セルはネットワーク共有アーキテクチャの一部とすることができ、該アーキテクチャにおいて、同じセルを使用するいくつかのコアネットワーク7が存在する場合があり、これらのネットワークのうちのいくつかのみがリダイレクトなしの緊急呼サービスをサポートする場合がある。
【0049】
図4は、セルが緊急呼サービスを実行することができるか否かを考慮してセル選択プロセスが実行される特殊な方法を示している。当業者であれば理解するように、セル選択プロセスは図4に示したものに正確に準拠しなくてもよい。例えば、移動電話がセル再選択を実行するようにトリガーされるとき、処理は、フルRFスキャンが実行されるように、直接s1にジャンプしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5