(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5959711
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 1/00 20060101AFI20160719BHJP
A63H 1/18 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
A63H1/00 F
A63H1/18
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-246910(P2015-246910)
(22)【出願日】2015年12月18日
【審査請求日】2016年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 幸弘
【審査官】
宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5793631(JP,B1)
【文献】
特開2003−062354(JP,A)
【文献】
特開2005−328976(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3067318(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3170034(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3071812(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3170033(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3160657(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側の胴体には第1の爪が形成され、下側の軸部には第2の爪が形成され、前記胴体と前記軸部とは、前記軸部の軸線を中心とする相対的な回転位置に応じて、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面が対向するように前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なる結合状態と、前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重ならない結合解除状態とを取り得、前記結合解除状態から前記胴体に対して前記軸部を所定の回転方向に回転させることで前記結合状態とされ、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃によって前記胴体に対して前記軸部が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し前記結合解除状態に至った際に前記胴体と前記軸部との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、
前記胴体及び前記軸部のそれぞれには前記結合状態において半径方向で互いに対向する部分が形成され、
前記胴体側の前記対向する部分と前記軸部側の前記対向する部分とには、それぞれ抵抗部分が形成され、少なくとも一方の前記抵抗部分は半径方向に弾性を有し、この弾性による前記抵抗部分同士の互いの当接によって、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃で徐々に又は段階的に前記相対回転するように当該相対回転に抗らう抵抗手段が固定して設けられていることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記抵抗手段の前記抵抗部分として、前記胴体側の対向する部分又は前記軸部側の対向する部分の一方には、前記軸部の軸線方向に延びるような山部分及び谷部分の組が円周方向に連続して形成された起伏部が形成され、前記胴体側の対向する部分又は前記軸部側の対向する部分の他方には、前記少なくとも一方の前記抵抗部分の弾性によって前記起伏部の谷部分に係合可能な突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記起伏部は三角波状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記胴体側の対向する部分又は前記軸部側の対向する部分の一方は、前記軸部の軸線と合致した軸線を有する円筒状部から構成され、前記円筒状部には前記軸部の軸線方向に延び自由端に至る直線状スリットが円周方向に複数形成され、前記円筒状部の前記スリットによって区画された部分は半径方向に弾性を有し、この弾性を有する部分には、対応する前記起伏部又は前記突起が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面とを当接させるスプリングを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項6】
コマ玩具の性能を変化させ得る性能可変リングを備え、前記性能可変リングは、前記結合状態で、前記胴体と前記軸部との間に挟持されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項7】
前記胴体には弧状スリットが形成され、前記性能可変リングには上方に向けて突出し前記弧状スリットに下方から挿入される舌片が形成され、前記性能可変リングと前記軸部とは前記係合解除状態で上下方向から嵌合可能となっており、前記弧状スリットによって前記胴体に対する前記性能可変リングの回転範囲が規制されることを特徴とする請求項6に記載のコマ玩具。
【請求項8】
前記弧状スリットは、前記結合解除状態では前記弧状スリットの一端に前記舌片が位置し、完全な前記結合状態では前記弧状スリットの他端に前記舌片が位置するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コマ玩具を使用したバトルゲームとして、例えば専用のフィールド上で回転するコマ玩具同士を互いに衝突させ、その衝撃力によって、相手方のコマ玩具をフィールド外へ弾き飛ばしたり、相手方のコマ玩具の胴体と軸部とを分解させたりして楽しむものがある。
【0003】
このバトルゲームに使用されるコマ玩具の一例が特許文献1に開示されている。
このコマ玩具では、スプリングの付勢力によって、上側に位置する胴体側の爪の上面と下側に位置する軸部側の爪の下面とを上下方向で当接させるとともに、胴体側の歯部と軸部側の突起とを上下方向で噛合させる構成となっている。
このコマ玩具によれば、コマ玩具同士が互いに衝突した際の衝撃力によって、胴体の回転が抑制される一方で軸部が引き続き回転を継続しようとすることにより、胴体と軸部とが相対的に反対方向に回転し、胴体側の爪の上面と軸部側の爪の下面との当接が解除され、コマ玩具の胴体と軸部とが分解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5793631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のコマ玩具において、胴体側の歯部と軸部側の突起との噛合は、胴体と軸部とが相対的に反対方向に回転する際の回転抵抗として作用する。そして、この回転抵抗によって、コマ玩具同士が互いに衝突した際の胴体と軸部との相対的な回転量が小さくなり、複数回の衝撃力を受けたときに初めてコマ玩具の胴体と軸部とが分解される。
しかしながら、上記特許文献1のコマ玩具の場合、胴体側の歯部と軸部側の突起との噛合力はスプリングの付勢力に依存する。そして、スプリングの付勢力が小さいと噛合力が弱くなり、コマ玩具が互いに衝突した際に胴体と軸部とが簡単に分解されてしまい、反対に、スプリングの付勢力が大きいと噛合力が強くなり、コマ玩具が互いに衝突した際に胴体と軸部とが極めて分解し難くなる。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、回転抵抗を付与するのにスプリングが不要なバトル用のコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のコマ玩具は、
上側の胴体には第1の爪が形成され、下側の軸部には第2の爪が形成され、前記胴体と前記軸部とは、前記軸部の軸線を中心とする相対的な回転位置に応じて、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面が対向するように前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なる結合状態と、前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重ならない結合解除状態とを取り得、前記結合解除状態から前記胴体に対して前記軸部を所定の回転方向に回転させることで前記結合状態とされ、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃によって前記胴体に対して前記軸部が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し前記結合解除状態に至った際に前記胴体と前記軸部との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、
前記胴体及び前記軸部のそれぞれには前記結合状態において半径方向で互いに対向する部分が形成され、
前記胴体側の前記対向する部分と前記軸部側の前記対向する部分とには、
それぞれ抵抗部分が形成され、少なくとも一方の前記抵抗部分は半径方向に弾性を有し、この弾性による前記抵抗部分同士の互いの当接によって、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃
で徐々に又は段階的に前記相対回転するように当該相対回転に抗らう抵抗手段が固定して設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のコマ玩具は、請求項1に記載のコマ玩具であって、前記抵抗手段
の前記抵抗部分として、前記胴体側の対向する部分又は前記軸部側の対向する部分の一方には、
前記軸部の軸線方向に延びるような山部分及び谷部分の組が円周方向に連続して形成された起伏部が形成され、前記胴体側の対向する部分又は前記軸部側の対向する部分の他方には、前記
少なくとも一方の前記抵抗部分の弾性によって前記起伏部の谷部分に係合可能な突起が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のコマ玩具は、請求項2に記載のコマ玩具であって、前記起伏部は三角波状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のコマ玩具は、請求項2又は請求項3に記載のコマ玩具であって、前記胴体側の対向する部分又は前記軸部側の対向する部分の一方は、前記軸部の軸線と合致した軸線を有する円筒状部から構成され、前記円筒状部には
前記軸部の軸線方向に延び自由端に至る直線状スリットが円周方向に複数形成され、前記円筒状部の前記スリットによって区画された部分は半径方向に弾性を有し、この弾性を有する部分には、対応する前記起伏部又は前記突起が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のコマ玩具は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面とを当接させるスプリングを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載のコマ玩具は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコマ玩具であって、コマ玩具の性能を変化させ得る性能可変リングを備え、前記性能可変リングは、前記結合状態で、前記胴体と前記軸部との間に挟持されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載のコマ玩具は、請求項6に記載のコマ玩具であって、前記胴体には弧状スリットが形成され、前記性能可変リングには上方に向けて突出し前記弧状スリットに下方から挿入される舌片が形成され、前記性能可変リングと前記軸部とは前記係合解除状態で上下方向から嵌合可能となっており、前記弧状スリットによって前記胴体に対する前記性能可変リングの回転範囲が規制されることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載のコマ玩具は、請求項7に記載のコマ玩具であって、前記弧状スリットは、前記結合解除状態では前記弧状スリットの一端に前記舌片が位置し、完全な前記結合状態では前記弧状スリットの他端に前記舌片が位置するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のコマ玩具によれば、胴体及び軸部のそれぞれには結合状態において半径方向で互いに対向する部分が形成され、胴体側の対向する部分と軸部側の対向する部分とには、互いの当接によって、相対回転に抗らう抵抗手段が固定して設けられているので、抵抗手段を有効に機能させるのにスプリングが不要となる。
【0016】
請求項2に記載のコマ玩具によれば、抵抗手段が起伏部と、この起伏部の谷部分に係合可能な突起とで形成されているため、前記係合状態から前記係合解除状態まで段階的に胴体と軸部とを相対回転させることができる。
【0017】
請求項3に記載のコマ玩具によれば、起伏部が三角波状に形成されているため、前記係合状態から前記係合解除状態まで段階的に胴体と軸部とを相対回転させることができる。
【0018】
請求項4に記載のコマ玩具によれば、起伏部又は突起がスリットによって区画され半径方向に弾性を有する部分に形成されているため、突起が起伏部の山部分を乗り越えやすくなる。
【0019】
請求項5に記載のコマ玩具によれば、スプリングによって第1の爪の上面と第2の爪の下面とを当接させるので、胴体と軸部との回転軸の軸線方向のガタを少なくすることができる。
【0020】
請求項6に記載のコマ玩具によれば、結合状態で性能可変リングは胴体と前記軸部との胴体と軸部との間に挟持されるだけなので、容易に着脱することができる。
【0021】
請求項7に記載のコマ玩具によれば、性能可変リングと軸部とは結合解除状態で上下方向から嵌合し、胴体に対する性能可変リングの回転範囲が規制されるので、胴体に対する軸部の結合が容易となる。
【0022】
請求項8に記載のコマ玩具によれば、結合解除状態では弧状スリットの一端に舌片が位置し、完全な結合状態では弧状スリットの他端に舌片が位置するように形成されているので、さらに、結合が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るコマ玩具の一実施形態の遊び方を説明した図である。
【
図3】本実施形態のコマ玩具の分解断面斜視図である。
【
図4A】本実施形態のコマ玩具における胴体、軸部および性能可変リングの係合状態を示した作動図である。
【
図4B】本実施形態のコマ玩具における胴体、軸部および性能可変リングの係合状態を示した作動図である。
【
図5】本実施形態のコマ玩具を回転駆動させるランチャーの一例を示した斜視図である。
【
図6】本実施形態のコマ玩具の抵抗手段の他例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0025】
《全体構成》
図1は、本発明に係るコマ玩具の一実施形態の遊び方を説明した図、
図2は、本実施形態のコマ玩具の分解斜視図、
図3は、本実施形態のコマ玩具の分解断面斜視図である。本明細書においては、上下、左右及び前後は
図2及び
図3に示した向きを言うものとする。
実施形態のコマ玩具1は、いわゆるコマ玩具同士のバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。具体的には、このコマ玩具1は、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を
図1の右側のように分解させて勝利とするようなバトルゲームに使用できる。
このコマ玩具1は、
図2および
図3に示すように、下部構造を構成する軸部10と、上部構造を構成する性能可変リング30および胴体40とによって構成されている。
【0026】
《細部構成》
1.軸部10について
軸部10は、下部に回転軸11、中間部に鍔12、上部に円筒状部13を備えている。この軸部10は合成樹脂で形成されている。ただし、材料は合成樹脂に限定されず、金属製であってもよい。
軸部10において、鍔12から下の部分は、当該鍔12から下端に向けて段状に窄んだ形状となっており、全体として略逆円錐状に形成されている。
鍔12の上にある円筒状部13には、
図2に示すように、回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向外方に張り出す突出部15が形成されている。この突出部15の外面は鍔12の外周面と面一となっている。また、円筒状部13には、回転軸11の軸線方向に延在し下端から上端(自由端)にまで至る直線状スリット14が円周方向に所定間隔で4つ形成されている。この直線状スリット14を形成することで、直線状スリット14によって区画された部分、特に後述の起伏部13aが形成される部分に、半径方向の弾性を持たせている。
図4A及び
図4Bに示すように、円筒状部13の内周壁には半径方向に起伏する起伏部13aが一体的に形成されている。この起伏部13aは歯部を三角波状となるように円周方向に沿って所定間隔で複数形成した形となっている。
円筒状部13の内方には円柱体16が立設されている。この円柱体16の上端は特に限定はされないが円筒状部13の上端よりも僅かに高い位置に設定されている。この円柱体16の上端部には回転軸11の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向外側に張り出す爪(第2の爪)17が形成されている。
【0027】
2.性能可変リング30について
この実施形態では、性能可変リング30としてフライホイールが用いられている。この性能可変リング30は板状を成している。この性能可変リング30の底面には軸部10の鍔12を下方から収容可能な環状段部31が形成されている。また、この性能可変リング30の上面には回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに上方に向けて張り出す突出部32が形成されている。各突出部32の下側部分には、軸部10の突出部15を下方から収容可能な凹部33が形成されている。また、性能可変リング30の上面には、各突出部32の直ぐ外側に上方に延びる舌片34が形成されている。舌片34は突出部32よりも上方に突出している。なお、この性能可変リング30としては、フライホイールに代えて或いはフライホイールと一体的で、外周面に半径方向外方に張り出す突出部があって相手方のコマ玩具1を攻撃し易くしたものや、外周面に半径方向に凹む凹部があって相手方のコマ玩具1からの攻撃を受け難くしたものであってもよい。
【0028】
3.胴体40について
胴体40は円盤状を成している。この胴体40は、
図2に示すように、基体400と、上面視で基体400と略同形で基体400の上に被せられた透明カバー体401とを備えている。
胴体40の外周には凹凸40aが形成されている。また、基体400の中央には円孔41が形成されている。この円孔41は上記透明カバー体401によって上端開口が塞がれている。さらに、
図3に示すように、胴体40の下面には、性能可変リング30の突出部32を下方から収容可能な環状凹部42が形成されている。この環状凹部42を区画形成する内周璧43aの内周面下端には、回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向内側に向けて張り出す爪(第1の爪)44が突設されている。また、内周璧43aの外周面には、回転軸11の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向外側に向けて張り出す突起45が一体的に設けられている。この突起45は上面視で3角形状となっており、上記起伏部13aの谷部分に係合可能に形成されている。
また、胴体40の環状凹部42を区画形成する天井壁43bには、性能可変リング30の舌片34を下方から挿入可能な弧状スリット46が形成されている。この弧状スリット46の長さは舌片34が十分に移動し得る長さとなっている。
【0029】
《組立方法》
次に、コマ玩具1の組立方法の一例を説明する。
まず、軸部10の突出部15を下方から性能可変リング30の凹部33に合致させるようにして、軸部10と性能可変リング30を嵌合状態に組み付ける。次に、この組付け体を胴体40に下方から近付ける。この際、上記組付け体の性能可変リング30の舌片34を胴体40の弧状スリット46の所定の端に合致させる(
図4A)。この状態は、軸部10の爪17と胴体40の爪44とが上下方向で重なっていない状態である。この状態が結合解除状態である。その後、軸部10を性能可変リング30と一体的に胴体40に対して舌片34が上記所定の端とは反対側の端まで移動するまで回転させる(
図4B)。この場合の回転は、胴体40及び性能可変リング30と軸部10との相対的な回転であって、
図4(B)では、胴体40側を軸部10及び性能可変リング30に対して回転させた状態が示されている。すると、軸部10の爪17と胴体40の爪44とが上下で重なった状態となる。この状態が完全な結合状態である。これにより、軸部10の爪17の下面と胴体40の爪44の上面とが当接され、軸部10と、性能可変リング30及び胴体40が結合され、コマ玩具1が組み立てられる。
【0030】
《遊び方》
続いて、このコマ玩具1を使用しての遊び方の一例を説明する。
この遊び方の一例では、コマ玩具1を回転させて、相手方のコマ玩具1と戦いを行う。
この場合、コマ玩具1の回転力のチャージは、
図5に示すようなランチャー50によって行われる。このランチャー50は、内部に図示しない円板を備え、その円板を図示しないゼンマイばねで一の回転方向に付勢するとともに、円板の周囲に巻く回させた図示しない紐をハンドル51で引くと、円板が回転され、コマホルダー53が回転されるように構成されている。このコマホルダー53の回転は、下方に突設されたフォーク(爪)54によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を回転する。この場合、フォーク54は胴体40の弧状スリット46に差し込まれる。そして、ランチャー50のハンドル51を引き切ると、円板ひいてはコマホルダー53の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク54の傾斜面54aを倣ってコマ玩具1がコマホルダー53から外れる。なお、
図5において符号52はコマホルダー53に対して出没可能なロッドである。このロッド52はコマホルダー53にコマ玩具1を装着した際にコマ玩具1の上面に押されてコマホルダー53に没する。このロッド52は例えばコマ玩具1の着脱の検出に使用される。
【0031】
このようにして発射されたコマ玩具1は所定のフィールドで回転させられ、相手方のコマ玩具1に衝突すると、衝突による衝撃力や擦れ等によって、胴体40には、軸部10及び性能可変リング30の回転方向とは反対の方向に力が作用する。それによって、胴体40が軸部10及び性能可変リング30の回転方向に対して反対の方向に相対的に回転し、胴体40の突起45が軸部10の起伏部(凹凸部)13aの谷部分に係合し、そこに位置決めされる。そして、
図4Aに示す位置に達すると、胴体40の爪44が軸部10の爪17から外れ、コマ玩具1の回転力によって胴体40が軸部10から離反する。そして、
図1の右側に示すように、コマ玩具1は分解される。
【0032】
《本発明の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態では、抵抗手段の例として起伏部13aと突起45とを例に挙げたが、抵抗手段としては、
図6に示すように、起伏部13aをゴム、スポンジ、テープその他の面材で形成してもよい。また、場合によっては、円筒状部13と内周璧43aとを直接的に摺接させることも可能である。さらに、上記実施形態では、1つの突起45を形成したが複数の突起45を設けてもよい。また、突起45を円周方向に所定間隔で複数形成して上記起伏部13aと同様の起伏部として形成してもよい。なお、この場合、結合解除状態において、軸部10側の抵抗部分と胴体40側の抵抗部分とが係合していることも考えられる。この場合には、結合解除状態において軸部10と胴体40との上下方向の移動ひいては軸部10と胴体40との分解が抵抗手段によって許容妨げられないように構成することが好ましい。
【0034】
また、上記実施形態では、円筒状部13に直線状スリット14を形成して起伏部13aを設けるスリット区画部分に弾性を持たせたが、抵抗手段をゴムその他の弾性体で形成し、抵抗手段自体に弾性を持たせてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、第1の爪44の上面と第2の爪17の下面とを当接させるスプリングを備えていないが、備えていてもよい。この場合のスプリングは例えば円筒状部13と円柱体16との間に設けられる。
【0036】
また、上記実施形態では、上面視で時計方向に回転するコマ玩具1について説明したが、上面視で反時計方向に回転するコマ玩具1に適用できることは勿論である。
【0037】
また、上記実施形態では、上面視で時計方向に回転するコマ玩具1,1同士でバトルをさせた例を説明したが、上面視で反時計方向に回転するコマ玩具1,1同士でバトルをさせてもよい。
さらには、上面視で時計方向に回転するコマ玩具1と上面視で反時計方向に回転するコマ玩具1とでバトルをさせることも可能である。
この場合には、コマ玩具1,1同士の衝突及び擦れによって、軸部10に対して胴体40が結合解除状態から結合状態の方に相対的に回転する。換言すれば、軸部10と胴体40とが締まる方向に回転する。したがって、コマ玩具1は衝突及び擦れによっては分解されにくくなるが、この場合には、相手方のコマ玩具1を弾き出してバトルの勝敗を決する等の態様のバトルが楽しめることになる。勿論、3個以上のコマ玩具1でバトルをすることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 コマ玩具
10 軸部
13a 起伏部
14 直線状スリット
17 爪(第2の爪)
21 凸条(凸部)
30 性能可変リング
34 舌片
40 胴体
46 弧状スリット
50 ランチャー
【要約】
【課題】回転抵抗を付与するのにスプリングが不要なバトル用のコマ玩具を提供すること。
【解決手段】胴体40に対して軸部10を前記一の回転方向に回転させることで結合状態とされ、コマ玩具1の回転中に受ける衝撃によって胴体40に対して軸部10が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し結合解除状態に至った際に胴体40と軸部10との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具1において、胴体側の対向する部分と軸部側の対向する部分とに、互いの当接によって、コマ玩具1の回転中に受ける衝撃によって徐々に又は段階的に前記相対回転するように当該相対回転に抗らう抵抗手段13a,45が固定して設けられている。
【選択図】
図2