特許第5959777号(P5959777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大野ロール株式会社の特許一覧

特許5959777小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法
<>
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000002
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000003
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000004
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000005
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000006
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000007
  • 特許5959777-小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5959777
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】小型圧延機あるいはロールプレス機に用いられる油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 31/02 20060101AFI20160719BHJP
   B21B 13/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B21B31/02 A
   B21B13/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-27575(P2016-27575)
(22)【出願日】2016年2月17日
【審査請求日】2016年2月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149619
【氏名又は名称】大野ロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箭内 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】森 茂
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−059177(JP,A)
【文献】 特開昭55−133810(JP,A)
【文献】 特開2006−082093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 31/00−31/32
B21B 13/00−13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプからの圧油で、圧延機あるいはロールプレス機ハウジング内に組み込まれた圧下シリンダー内配置のラムを上下動させ、上下ロール間に圧延力あるいはプレス力を付与して被圧延材としての、鋼板をロールで圧延する圧延機あるいは素材をロールでプレスするロールプレス機の油圧圧下装置において、
昇圧シリンダーと、該昇圧シリンダー内に組み込まれたピストンと、該ピストンに連結され、表面にネジ溝が設けられたロッドと、該ネジ溝に係合するネジ係合体を備え、前記ロッドを駆動する駆動本体と、該駆動本体に連結され、ピストン移動域を制御する制御駆動モーターとから構成された制御駆動手段と、
パイロットチェック弁が配置され、圧油によって前記ラムを上下動させるA油圧回路と、
該A油圧回路に接続され、前記圧下シリンダーと前記昇圧シリンダーとをつなぐB油圧回路と、から構成され、
前記A油圧回路に圧油が封じ込まれて高圧が形成され、前記パイロットチェック弁が閉じられると、前記B油圧回路に高圧油が封じ込まれた高圧状態が形成され、前記制御駆動手段が、生成された制御駆動信号によって、ネジ係合体及びネジ溝の係合による前記ピストンの移動量信号を生起して前記ピストンを制御移動させ、前記高圧状態の高圧油を圧力制御し、圧力制御された圧延力あるいはプレス力を当該ラムに作用させ、上下ロール間に圧延力あるいはプレス力を付与して被圧延材を圧延あるいはプレスさせること
を特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置。
【請求項2】
請求項1に記載された圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置において、前記制御駆動手段が、ネジ係合体及びネジ溝の係合によって前記ロッドを回転させ、回転角度を自在に制御することを特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置において、前記昇圧シリンダーのロッド側の油柱にアキュムレーターが接続され、当該アキュムレーターのアキュムレーター圧力を前記ピストンに付与することを特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された油圧圧下装置を備えた圧延機あるいはロールプレス機において、前記圧延機あるいはロールプレス機ハウジングの上部に電動圧下装置の圧下スクリュウが設置されていた場合に、電動圧下装置の圧下スクリュウが撤去された跡の円筒状の凹部に前記圧下シリンダーが設置され、圧下シリンダー内配置のラムを上下動させるように組み込まれ、前記圧延機ハウジングの上部表面に昇圧シリンダーが配設され、前記圧延機ハウジングの上部上で、前記圧下シリンダーと前記昇圧シリンダーとが前記A油圧回路及びB油圧回路によって接続されることを特徴とする油圧圧下装置を備えた圧延機あるいはロールプレス機。
【請求項5】
油圧ポンプからの圧油で、圧延機あるいはロールプレス機ハウジング内に組み込まれた圧下シリンダー内配置のラムを上下動させ、上下ロール間に圧延力あるいはプレス力を付与して被圧延材としての、鋼板をロールで圧延する圧延機あるいは素材をロールでプレスするロールプレス機に用いられ、
昇圧シリンダーと、該昇圧シリンダー内に組み込まれたピストンと、該ピストンに連結され、表面にネジ溝が設けられたロッドと、該ネジ溝に係合するネジ係合体を備え、前記ロッドを駆動する駆動本体と、該駆動本体に連結され、ピストン移動域を制御する制御駆動モーターとから構成された制御駆動手段と、
パイロットチェック弁が配置され、圧油によって前記ラムを上下動させるA油圧回路と、
該A油圧回路に接続され、前記圧下シリンダーと前記昇圧シリンダーとをつなぐB油圧回路と、を備えた、圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置による油圧制御方法において、
前記A油圧回路に圧油を封じ込めて高圧を形成し、前記パイロットチェック弁を閉じて、前記B油圧回路に高圧油が封じ込まれた高圧状態を形成し、上下ロールの位置信号に基づいて生成された制御駆動信号によって、ネジ係合体及びネジ溝の係合による前記ピストンの移動量信号を生起して前記ピストンを制御移動させ、前記高圧状態の高圧油を圧力制御し、圧力制御された圧延力あるいはプレス力を当該ラムに作用させ、上下ロール間に圧延力あるいはプレス力を付与して被圧延材を圧延あるいはプレスさせること
を特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置による油圧制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延力が500トン未満の小型圧延機あるいはロールプレス機に適した油圧圧下装置及びこの油圧圧下装置による油圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のボディに使われる材料の様に幅が広い鋼板は大手製鉄会社にて大量に生産される。製鉄会社では複数台の圧延機を連続的に配置し、幅の広い圧延ロール間に鋼板を挟み、1000トン以上の大きな力で圧延し、薄くしている。この様に大量生産向いた圧延機は効率的な圧延を行うため、圧延ロール間に大きな圧延力を発生させる手段として、油圧サーボ制御弁と油圧ジャッキからなる油圧圧下装置が多く用いられている。近年、新素材を連続的にロールでプレスするロールプレス機の分野や、非鉄材料を箔のように薄く伸ばしたりする分野でも圧延後の被圧延材の板厚精度をより高めるため油圧力を用いた油圧圧下装置の利用が増えてきた。
【0003】
小型圧延機に油圧力を用いた油圧圧下装置を導入する場合、圧延ロールの移動量を微小に制御する為、微量の油を出し入れ可能な油圧サーボ制御弁が必要となる。油圧サーボ制御弁を安定的に使用するには、高圧の油圧を供給する油圧発生装置の油温を一定に保つ必要がある。その為、油圧タンク内の油を冷却する冷却水供給インフラなど大型圧延機で必要とされるシステムを準備しなければならない。油圧圧下システムを簡略化するために以下のような装置が開示されている。
【0004】
特許文献1には主シリンダーに中間シリンダーのロッド先端が挿入されていて、中間シリンダーのロッド位置を油圧によって制御し、主シリンダーのラムの位置を上下させ板厚制御することが記載されている。
【0005】
特許文献2には操作側、駆動側の両方の圧延機に組み込まれた両方の主シリンダーとつながる中間シリンダーを設け、2つの中間シリンダーをロッドでつなぐ構造になっている。更に、中間シリンダーの一方側にサーボ制御バルブと接続して、操作側、駆動側の主シリンダーのラムを同じ速度で上下動させることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、ネジ棒・螺進機構と油圧ピストン・シリンダ構成の超高圧発生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−97906号公報
【特許文献2】特公平2−14123号公報
【特許文献3】特許第4299229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2に記載された油圧圧下機構は、大型の圧延機に採用されるものであって、圧延機用の油圧圧下機構として適せず、また特許文献3に記載された油圧圧下機構によれば超高圧を発生させ、高精度に位置制御を行うことが出来るが、小型圧延機油圧圧下装置としては機能することは記載されていない。
【0009】
本発明の目的は、圧延力が最大500トンを超えない小型圧延機、及びロールプレス機において、ウォーム減速機を介した機械式機構や油圧サーボ制御弁による油圧式制御機構を用いることなく圧延ロール位置を高精度に制御可能な油圧圧下機構であって、圧延機あるいはロールプレス機、特に小型圧延機に簡便に装着され、簡便に油圧制御を行い得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
油圧ポンプからの圧油で、ハウジング内に組み込まれた圧下シリンダーのラムをより速い速度で上下動を可能とするA油圧回路と、圧下シリンダーと昇圧シリンダーをつなぐB油圧回路とを有し、前記A油圧回路と前記B油圧回路はT字型に接続されている。
【0011】
前記A油圧回路にはパイロットチェック弁が配置され、パイロットチェック弁を閉じることで、圧下シリンダーと昇圧シリンダー間に高圧油が封じ込まれる機構を有し、更に前記昇圧シリンダーはシリンダー内にネジにより前後動可能なロッドと接続されたピストンが配置されている。前記ピストンと前記シリンダー間に封じ込まれた圧油が前記ピストンの移動で加圧され、前記昇圧シリンダーと前記圧下シリンダー間に封じ込まれた圧油も同時に加圧され、両シリンダーの受圧面積差に比例した力を発生させることを可能とし、圧下シリンダーを介して、最終的に上下ロール間により強い力を発生させる。
【0012】
更に、油圧圧下装置は昇圧シリンダー内に配置されたピストンを前後に移動させるネジとネジに回転力を与え、ネジの回転角度を自在に制御し、ピストン位置を目的位置に移動させるモーターより構成され、昇圧シリンダーから配管により接続された圧下シリンダーは昇圧シリンダー内のピストンの移動により生じた高圧油の移動により、圧下シリンダー内のラムを上下移動させ、圧延ロールを押し上げ、押し下げ可能とする構造を有する。
【0013】
既設の圧延スタンドに組み込まれた電動圧下装置の圧下スクリューを圧延スタンドから撤去し、圧延スタンドの圧下スクリューが組み込まれていた円筒状の凹部に圧下シリンダーを挿入し、スタンドの上部に配置された昇圧シリンダーと圧下シリンダーを配管で接続し、短期間で、油圧圧下機能を有する圧延設備に改善可能な作業方法を提供する。
【0014】
昇圧シリンダーのロッド側の油柱にアキュムレーターで加圧された油圧をつなぎ、ヘッド側の加圧力をネジで加圧する力にロッド側の加圧力を合算し、昇圧シリンダーのヘッド側油柱の圧力を大きくする。
【0015】
本発明は、具体的には、油圧ポンプからの圧油で、圧延機ハウジング内に組み込まれた圧下シリンダー内配置のラムを上下動させ、上下ロール間に圧延力を付与して被圧延材を圧延する圧延機に用いられる圧延機あるいはロールプレス機油圧圧下装置において、
昇圧シリンダーと、該昇圧シリンダー内に組み込まれたピストンと、該ピストンに連結され、表面にネジ溝が設けられたロッドと、該ネジ溝に係合するネジ係合体を備え、前記ロッドを駆動する駆動本体と、該駆動本体に連結され、ピストン移動域を制御する制御駆動モーターとから構成された制御駆動手段と、
パイロットチェック弁が配置され、圧油によって前記ラムを上下動させるA油圧回路と、
該A油圧回路に接続され、前記圧下シリンダーと前記昇圧シリンダーとをつなぐB油圧回路と、から構成され、
前記A油圧回路に圧油が封じ込まれて高圧が形成され、前記パイロットチェック弁が閉じられると、前記B油圧回路に高圧油が封じ込まれた高圧状態が形成され、前記制御駆動手段が、上下ロールの位置信号に基づいて生成された制御駆動信号によって、ネジ係合体及びネジ溝の係合による前記ピストンの移動量信号を生起して前記ピストンを制御移動させ、前記高圧状態の高圧油を圧力制御し、圧力制御された圧延力を当該ラムに作用させ、上下ロール間に圧延力を付与して被圧延材を圧延させること
を特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置を提供する。
【0016】
本発明は、上述された圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置において、前記制御駆動手段が、ネジ係合体及びネジ溝の係合によって前記ロッドに回転の回転角度を自在に制御することを特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置を提供する。
【0017】
本発明は、上述された圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置において、前記圧延機ハウジングの上部に電動圧下装置の圧下スクリュウが設置されていた場合に、電動圧下装置の圧下スクリュウが撤去された跡の円筒状の凹部に前記圧下シリンダーが設置され、圧下シリンダー内配置のラムを上下動させるように組み込まれ、前記圧延機ハウジングの上部表面に昇圧シリンダーが配設され、前記圧延機ハウジングの上部上で、前記圧下シリンダーと前記昇圧シリンダーとが前記A油圧回路及びB油圧回路によって接続されることを特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置を提供する。
【0018】
本発明は、上述された圧延機あるいはロールプレス機油圧圧下装置において、前記昇圧シリンダーのロッド側の油柱にアキュムレーターが接続され、当該アキュムレーターのアキュムレーター圧力を前記ピストンに付与することを特徴とする圧延機あるいはロールプレス機油圧圧下装置を提供する。
【0019】
本発明は、油圧ポンプからの圧油で、圧延機ハウジング内に組み込まれた圧下シリンダー内配置のラムを上下動させ、上下ロール間に圧延力を付与して被圧延材を圧延する圧延機あるいはロールプレス機に用いられ、
昇圧シリンダーと、該昇圧シリンダー内に組み込まれたピストンと、該ピストンに連結され、表面にネジ溝が設けられたロッドと、該ネジ溝に係合するネジ係合体を備え、前記ロッドを駆動する駆動本体と、該駆動本体に連結され、ピストン移動域を制御する制御駆動モーターとから構成された制御駆動手段と、
パイロットチェック弁が配置され、圧油によって前記ラムを上下動させるA油圧回路と、
該A油圧回路に接続され、前記圧下シリンダーと前記昇圧シリンダーとをつなぐB油圧回路と、を備えた、圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置による油圧制御方法において、
前記A油圧回路に圧油を封じ込めて高圧を形成し、前記パイロットチェック弁を閉じて、前記B油圧回路に高圧油が封じ込まれた高圧状態を形成し、上下ロールの位置信号に基づいて生成された制御駆動信号によって、ネジ係合体及びネジ溝の係合による前記ピストンの移動量信号を生起して前記ピストンを制御移動させ、前記高圧状態の高圧油を圧力制御し、圧力制御された圧延力を当該ラムに作用させ、上下ロール間に圧延力を付与して被圧延材を圧延させること
を特徴とする圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置による油圧制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型圧延機やロールプレス機において、圧延ロール間で必要となる圧延力を大型圧延機で使われる油圧サーボ制御弁を用いることなく、電動サーボモーターで油圧シリンダー内のラムの位置を正確に制御することが出来る油圧圧下装置を提供できる。
【0021】
また、本発明によれば、既設の小型圧延機に圧下装置として組み込まれているウォーム減速機や圧下用オネジ、メネジを撤去して、低コストでかつ短い時間で交換可能な油圧圧下装置を持った圧延機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態ある昇圧シリンダーを配置した圧延機の油圧圧下装置の構成を概略で示す図である。
図2】従来から多く用いられている油圧サーボ制御弁を用いた圧延機の油圧圧下装置の構成を示す図である。
図3図1に於ける油圧圧下装置に組み込まれた昇圧シリンダーの動作を説明する側面図である。
図4図1に於ける油圧圧下装置に組み込まれた昇圧シリンダーの動作を説明する側面図である。
図5】本発明の実施形態ある油圧圧下装置を圧延機に配置した一例を示す図である。
図6】既設の機械式圧下装置を有する圧延機の一例を示す図である。
図7図1に於ける油圧圧下装置の動作フローチャート一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
製鉄所で用いられる一般的な4段圧延機に組み込まれている油圧圧下装置を、図2を用いて説明する。
【0024】
圧延ロールとして上、下作業ロール1、2とこれらを各々外側から加圧する上、下補強ロール3、4を有し、各作業ロール1、2間で被圧延材である金属板400の圧延を行ない、その圧延力はハウジング300で支えている。そして下補強ロール4の下位位置に圧下ラム6をシリンダー7に保持させてなる圧延ロール加圧用の圧下シリンダー7Aにシリンダー7内の油圧を制御する油圧サーボ制御弁8、この油圧サーボ制御弁8を駆動する制御盤9を有する。例えば圧下ラム6の位置を検出してその検出信号を制御盤9にフィードバックする位置検出器10と同様に圧延ロール加圧力を測定し、制御盤9にフィードバックするロードセル5等からなる制御信号を受け、上位制御装置からの信号11を加味して油圧サーボ制御弁8を制御する。
【0025】
油圧サーボ制御弁8には高圧の油圧が油圧ポンプ12で加圧され送られる。高圧に加圧された油を油圧サーボ制御弁8で使用し続けていると圧力エネルギーが熱エネルギーに代わりタンク内の油が高温まで昇温する。安定して圧延ロール位置を制御する為、油温が一定以上に昇温しない様に冷却用クーラー14に油タンク13から配管13−1を介して送られる。冷却用クーラー14は配管14−1を介して送られる冷却水にて油タンク13の油温を目的の温度まで冷却する。
【0026】
小型の圧延機で、大型圧延機で用いられる油圧サーボ制御弁8を圧延ロール位置制御に使用する場合、各作業ロール1、2間の圧延力を維持するため、大型圧延機で使用される油圧と同じ圧力を用いる必要がある。もし、低い圧力にすると、圧延ロールの位置決め精度が低下してしまう。
【0027】
小型圧延機では必要となる油量は少ないが、大型圧延機と同じ油圧力を出すために、高圧油圧ポンプ12と専用油圧タンク13が必要で、更に、油圧タンク13内の油の昇温を抑えるため、冷却用クーラー14と多くの冷却水が必要になる。
【0028】
一般的に小型圧延機を使用する工場では十分な冷却水を供給する設備を持ち合わせていない工場が多い。また、油圧の圧力を常に高く維持するため、油圧ポンプ13を頻繁に運転しなければならず、多くの電気が必要になり、今から求められる省エネ工場からどんどん離れて行ってしまう。その為、従来は多くの小型圧延機では圧下用オネジ、メネジを介した機械式圧延ロール位置決め機構が用いられている。しかし、機械式圧延ロール位置決め機構は機構に用いられる歯車のバックラシュなどの理由で油圧圧下装置に比較して圧延ロールの位置決め精度は低くなる。圧延機の使用期間が長くなると、バックラシュなど機械的隙間がさらに増えてくる。
【0029】
近年、小型圧延機でも、圧延材の厚み精度がより高精度に求められ、且つ、省エネルギー作業に適した高性能な油圧圧下装置が求められている。
【0030】
この様な課題を解決する、小型圧延機やロールプレス機200に適した油圧圧下装置100の構成を、図1を用いて説明する。小型圧延機を例にとって説明し、小型圧延機200と表示する。
【0031】
小型圧延機200に多い上作業ロール1と下作業ロール2の2本の圧延ロールを有する2段圧延機を例に述べる。上作業ロール1を加圧する圧下シリンダー7Aを上作業ロール1の上部に配置し、圧下シリンダー7Aはシリンダー7と上下に移動するラム6とラム6位置を精密に測定する位置検出器10から構成されている。
【0032】
上作業ロール1と下作業ロール2との間で図示されない被圧延材である金属板400を挟み、その圧延力をハウジング200と下作業ロール2を保持する軸受箱間に配置されたロードセル5により圧延力を測定可能としている。油圧ポンプ12と油タンク13を持ち、油圧ポンプ12からの加圧した油圧をシリンダー7に送り、シリンダー7内のラム6の上下動の動きを制御する電磁弁15を油圧ポンプ12からシリンダー7間の配管途中に配置する。更にこの配管途中には油圧ポンプ12が運転していない状態でもシリンダー7内のロッド側油室7−1から油タンク13側に油が戻らないようブロックするパイロットチェック弁17と強制的にパイロットチェック弁17を開閉させるための油を通油する電磁弁16、シリンダー7への流量を調整する絞り弁18−1,18−2配置されている。この油圧回路をA油圧回路19とする。圧延力がない状態で、ラム6の自重によりラム6が下方向に移動しないよう、シリンダー7内の反ロッド側油室7−2に一定の圧力を常に加えるアキュムレーター31が取り付けられている。
【0033】
圧下シリンダー7Aの近くにラム6位置を微細に制御可能な昇圧シリンダー20を取り付け、シリンダー7と昇圧シリンダー20を直接つなぐ油圧回路をB油圧回路28とする。このA油圧回路19及びB油圧回路28はT字型に接続され、昇圧シリンダー20内の油圧が圧下シリンダー7Aへ通油可能とされている。
【0034】
昇圧シリンダー20は図3に示す様な構造になっている。油を加圧するシリンダー22、シリンダー22内を往復動するピストン21、ピストン21により加圧された油室23、ピストン21とつながったロッド25を往復動させるネジ部24、ネジ部24は制御モーター26が回転した角度を往復動に変える機能を有している。
【0035】
以上のように構成された昇圧シリンダー20は図1にある制御盤9から信号で、制御モーター26が指示された回転角度を回転し、伝達部を介してネジ部24で回転角度をロッド25軸方向の移動量に変える。ロッド25と一体のピストン21がシリンダー21の中で移動し、油室23内の油を目的の量だけ正確に圧下シリンダー7Aのロッド側油室7−1に圧送、又はロッド側油室7−1の油を油室23内に受け入れる機能を有する。
【0036】
制御盤9は外部からの信号11、圧下シリンダー7Aに取り付けられた位置検出器10の信号、ロードセル5の信号を使って制御モーター26の回転制御を行う。
【0037】
図3において、小形圧延機200の油圧圧下装置100は、より具体的には昇圧シリンダー22と、この昇圧シリンダー22内に組み込まれたピストン21と、このピストン21に連結され、表面にネジ溝を備えたネジ部24が設けられたロッド25とを備える。ネジ部24は、ネジ溝に係合するネジ係合体28を備える。制御駆動手段30が、ネジ部24と、ロッド25を駆動する駆動本体29と、この駆動本体29に連結され、ピストン移動域を制御する制御駆動モーター26とから構成される。
【0038】
制御駆動手段30は、ネジ係合体28及びネジ部24のネジ溝の係合によってロッド25を回転させ、回転角度を自在に制御する。
【0039】
図1において、油圧圧下装置100が、パイロットチェック弁17が配置され、圧油によってラム6を上下動させるA油圧回路19と、このA油圧回路19に接続され、圧下シリンダー7Aと昇圧シリンダー22とをつなぐB油圧回路28と、から構成される。
【0040】
A油圧回路19に圧油が封じ込まれて高圧が形成され、パイロットチェック弁17が閉じられると、B油圧回路28に高圧油が封じ込まれた高圧状態が形成される。制御駆動手段30が、上下ロール1,2の位置信号に基づいて生成された制御駆動信号によって、ネジ係合体28及びネジ部24のネジ溝の係合によるピストン21の移動量信号を生起してピストン21を制御移動させ、高圧状態の高圧油を圧力制御し、圧力制御された圧延力をラム6に作用させ、上下ロール1,2間に圧延力を付与して被圧延材である金属板400を圧延させる。
【0041】
昇圧シリンダー20を使った油圧圧下装置の動きについて、図2及び、図7のフローチャート図を用いて以下説明する。フローは、図示したようにS1からS20で構成される。
【0042】
初めに、電磁弁16をAポート側に励磁し、更に、電磁弁15をBポートに励磁し、パイロットチェック弁17を逆流可能な方向に開き、シリンダー7内の反ロッド側油室7−2に一定の圧力を常に加えるアキュムレーター31からの油圧力でシリンダー7の油室7−1から油タンク13へ油を戻し、ラム6を上昇させる。ラム6がシリンダー7の底辺まで移動すると、動きが停止する。ラム6の移動停止を位置検出器10で検出し、ラム6のストローク上限位置として認識し、記憶する。
【0043】
電磁弁15をAポート側に励磁し、金属板400の圧延厚みに適した上作業ロール1の位置までラム6を降下させる。目的の位置にラム6が移動したことを位置検出器10で確認し、電磁弁15をNポートに移動し、電磁弁16をBポートに切り替え、パイロットチェック弁17を閉じ、シリンダー7の油室7−1から油タンク13へ油が逆流出来ないようにする。シリンダー7の油室7−1からパイロットチェック弁17間の油は封じ込められる。
【0044】
別な方法として、薄い金属板400を圧延する場合は、電磁弁15をAポート側に励磁し、油圧ポンプ12からの加圧した油圧をシリンダー7に送りラム6を押し下げ、上作業ロール1を下作業ロール2に接触させる。上下ロール間の接触力つまり圧延力をロードセル5で測定し、操作側、駆動側ロードセル5が一定の圧延力を示した時、ラム6の位置を位置検出器10で測定し、記憶する。
【0045】
電磁弁16をAポート側に励磁し、更に、電磁弁15をBポートに励磁し、パイロットチェック弁17を逆流可能な方向に開き、シリンダー7の油室7−1から油タンク13へ油を戻し、金属板400の圧延厚みに適した上作業ロール1の位置まで上昇させる。ラム6の移動量は上、下作業ロール1,2間に一定の接触力をロードセル5が認識した位置を基準にし、位置検出器10で測定しながらラム6を上昇させる。この時の油圧は負荷が無いので700N/平方センチ以下の低圧で動かし、ラム6の上下移動速度が目的の速さになるよう、絞り弁18−1,18−2で油圧ポンプ12からシリンダー7への流量を調整する。
【0046】
目的の位置にラム6が移動したことを位置検出器10で確認し、電磁弁15をNポートに移動し、電磁弁16をBポートに切り替え、パイロットチェック弁17を閉じ、シリンダー7の油室7−1から油タンク13へ油が逆流出来ないようにする。
【0047】
電磁弁15を使った圧下シリンダー7Aの位置制御はラム6をスムーズに上下動させることは出来るが、ラム6の停止位置をミクロン単位の細かな位置決めを行うことは出来ない。更に、昇圧シリンダー20を使って、パイロットチェック弁17でシリンダー7の油室7−1に封じ込まれた油を増減させ、ラム6の位置をミクロン単位で上下に移動可能とし、正確な位置調整を行う。
【0048】
昇圧シリンダー20の制御方法は前に述べたように、制御盤9から制御モーター26に必要な回転角度を伝え、指定された回転数又は角度を制御モーター26が回転し、ネジ部24を廻す。制御モーター26は正逆回転を高速で回転制御可能なACサーボモーターを用いる。 ネジ部24はバックラュシュなどの隙間を限りなく無くすため、一般にはボールネジを用いて、ネジ部24の回転力をロッド25の軸方向の移動推力に変える。ロッド25とピストン21が一体になっているので、ピストン21が微小量押す方向へ動くとシリンダー22とピストン21で油室23が圧縮され、昇圧シリンダー20内の油圧は昇圧する。油室23内の油圧が圧下シリンダー7A内の油室7−1より高くなるので、ピストン21が動いた体積分の微小油量が油室23から圧下シリンダー7A内の油室7−1へ送り込まれる。送り込まれた油により、圧下シリンダー7Aのラム6を加圧し、同時にラム6を押し下げる。ラム6が押し下げられると、ラム6とつながった位置検出器10でラム6位置の変化量を計測し、制御盤9へ伝える。ラム6を押し上げるときはこの逆の動きとなる。
【0049】
上下作業ロール1,2間に金属板400を圧延している場合も、圧延後の板厚を図示されない板厚測定器で測定し、金属板400の目標厚みとの偏差を求め、その厚み偏差から厚み偏差を無くすように、制御信号11が制御盤9から出され、ラム6の上下移動量に適した回転角度を制御モーター26が回転し、油圧圧下制御を行う。
【0050】
金属板400の厚み精度をミクロン単位で制御するには、例えば2個の圧下シリンダー7Aにより圧延力を100トン発生させる場合、ラム6の直径180mmの圧下シリンダー7Aを用いると、2000N/平方センチの油圧力を油室7−1に発生させなければならない。圧延力を100トンの力で、ラム6を1ミクロン押し下げるのには2000N/平方センチの高圧の油を25.4立方mm油室7−1に増加させる必要がある。
【0051】
昇圧シリンダー20のシリンダー22の径を20mmとすると、シリンダー22の油室23の圧力を2000N/平方センチに加圧し、25.4立方mmの油量をシリンダー7へ押し出す為、ピストン21を0.081mm押し込む必要がある。シリンダー22の油室23の圧力を2000N/平方センチまで加圧するためにはピストン21の押し力は6.28KNが必要になる。
【0052】
ピストン21を6.28KNの力で押せば、圧下シリンダー7Aの油室7−1とシリンダー22の油室23は2000N/平方センチの油圧で釣り合うことになる。圧下シリンダー7Aの押し下げ力は508.7KNの圧延力となり、ピストン21の加圧力6.28KNの力と比較すると、シリンダー7とシリンダー22の面積比を利用し、81倍の倍力を達成することが出来る。シリンダー7とシリンダー22間の圧力が釣り合った状態で、ピストン21を0.081mm動かす場合、ネジ部24のリードを6mmとするとネジ部24を4.86度回転させる必要がある。制御モーター26で容易に回転角度を制御し、25.4立方mmの油量をシリンダー22の油室23から油室7−1へ送り込み、正確にラム6を1ミクロン押し下げることが出来る。
【0053】
従来の機械式圧延ロール位置決め機構に比較し、昇圧シリンダー20を用いることで倍力比が大きくなる。また、ネジを利用することで、力の伝達効率が高く、小型のモーターで正確な圧延ロール位置決めが可能となる。
【0054】
更に、油圧サーボ制御弁8を用いた油圧圧下装置は異なり、高圧の油圧を常に発生させることが不要になる。その為、油温が上がることがないので、冷却装置が不要となり、冷却水を供給する新たな設備を準備する必要がない。油圧サーボ制御弁8は図示されないが、油量を精密に制御する為、油圧サーボ制御弁8内で狭い隙間に高圧の油を流す必要がある。その際、油の中に微細な異物が混入していると、この異物が狭い隙間に入り込み、スムーズな油の流れを阻害する恐れがある。その為、油圧圧下システムに使用される油は、高度に清浄度を管理したり、細密な隙間を持つフィルターを何か所にも取り付け、異物が油中に混入しないよう配慮をしたりすること必要となる。
【0055】
油圧サーボ制御弁8を利用した油圧圧下装置に比較し、ネジを利用した昇圧シリンダー20の弱点は油室23の油圧を高い圧力にするため、ピストン21を大きな力で押さなければならない。この課題を解決する手段に付いて図4を用いて説明する。
【0056】
制御モーター26によるネジ部24の推力だけでロッド25を押し切れない場合は、反油側23―1に油圧を付加する。油室側(ヘッド側)23にネジ部24で発生した押し力と反油室側(ロッド側)23―1に加わった油圧力の合計押し力が発生する。ロッド側23−1の押し力を得るために、アキュムレーター27の油圧を使用することで、油圧ポンプ12の油圧力を使用しないで押し力を発生させることが出来る。逆に、ロッド25をロッド側23−1に戻すときはアキュムレーター27の押し力に打ち勝って戻す必要がある。ロッド側23−1に油圧力を加算することで、ピストン21の押し引きに必要な力を平均化出来、ピストン21を移動させるに必要な制御モーター26の最大出力を小さく出来るので制御モーター26を小型化することが出来る。
【0057】
例えば、昇圧シリンダー20のシリンダー22径を40mmとすると40mmのシリンダー7油室23の圧力を2000N/平方センチまで昇圧するには、ピストン21を25.1KNで押さなければならない。もし、反油室側23−1にアキュムレーター27から1500N/平方センチの油圧が供給されれば、ロッド25の径を25mmとすると11.5KNのピストン21を押す力が加算される。2000N/平方センチまで昇圧するに必要なネジ部24からの推進力で押す力は13.6KNまで低減出来る。しかし、シリンダー7油室23の圧力がゼロN/平方センチの状態でピストン21を反油室側23−1に移動する場合、アキュムレーター27の圧力に打ち勝って動くためには11.5KNの戻し力をネジ部24からロッド25へ伝えなければならない。
【0058】
エレベーターの場合、ゴンドラに乗る乗客重量差により、昇降で必要となる負荷の差を少なくし、昇降力を発生させる駆動機の最大動力を低減させる為、ゴンドラの反対側にカウンターウエイトが取り付けられている。アキュムレーター27内の圧力はエレベーターのカウンターウエイトと同じ機能を果たしている。昇圧シリンダー20においても、アキュムレーター27を設けることで必要となるピストン21の押し引き力の差を少なくして、ネジ部24を回転させる制御モーター26の必要駆動トルクを平準化させることが可能となる。
【0059】
小型の圧延機においては図6に示すような機械式圧下装置を持った圧延機が多い。しかし、近年、被圧延材である金属板400がより薄くなり、圧延やロールプレスされた製品に求められる板厚精度もミクロンタイまで求められるようになり、機械式圧下装置ではその要求を満足出来なくなってきた。前に述べた、油圧圧下装置100を用いることで、シビアな板厚精度に対しても対応可能となる。しかし、従来の機械式圧下装置を設備稼働時間に影響を出来るだけ少なくして、機械式から油圧圧下装置100への置き換えが望まれる。
【0060】
この様な課題を容易に解決可能な手段を図5、及び図6を用いて説明する。ハウジング100の上部に取り付けられたウォーム減速機33、ウォーム減速機33で回転する圧下スクリュウ35、ウォーム減速機33を回転させる駆動用モーター34をハウジング300から撤去する。撤去した後、上作業ロール1の上部にある圧下スクリュウ35の組み込まれていた丸い凹部を活用し、圧下シリンダー7Aを挿入する。圧下スクリュウ35の組み込まれていた凹部を利用することで、圧下シリンダー7Aをハウジング300に配置するスペースを新たに設ける必要が無い。
【0061】
更に、ウォーム減速機33と駆動用モーター34が設置されていたハウジング300の上部に昇圧シリンダー20や電磁弁15などを配置し、図5の様に、圧下シリンダー7Aと接近して接続することが出来る。
【0062】
既設のハウジング300を出来るだけ加工などの変更を加えずに、圧下シリンダー7Aを上作業ロール1の上に配置する場合、シリンダー7に反ロッド側油室7−2を設けることが出来ない場合がある。ラム6を常に上側へ押し上げておくために、図6の上作業ロール1を上に押し上げるバランスシリンダー32を使う。上作業ロール1を支持する軸受箱1−1をバランスシリンダー32で持ち上げると、圧下シリンダー7Aのラム6も押し上げられ、ロッド側油室7−の圧力を昇圧することが出来る。
【0063】
A油圧回路に圧油を封じ込めて高圧を形成し、前記パイロットチェック弁を閉じて、B油圧回路に高圧油が封じ込まれた高圧状態を形成し、上下ロールの位置信号又はロードセルからの圧延荷重信号に基づいて生成された制御駆動信号によって、ネジ係合体及びネジ溝の係合による前記ピストンの移動量信号を生起して前記ピストンを制御移動させ、前記高圧状態の高圧油を圧力制御し、圧力制御された圧延力を当該ラムに作用させ、上下ロール間に圧延力を付与して被圧延材を圧延させる小型圧延機あるいはロールプレス機の油圧圧下装置による油圧制御方法が提供される。
【0064】
これによれば、は既設の圧下用オネジ、メネジを介した機械式圧延ロール位置決め機構を有する小型圧延機を油圧力で被圧延材の厚みを制御可能な油圧圧下機構に短い時間で変更する作業方法を提供することが出来る。
【符号の説明】
【0065】
1…上作業ロール、2…下作業ロール、5…ロードセル、6…ラム、7…シリンダー、7A…圧下シリンダー、8…油圧サーボ制御弁、9…制御盤、10…位置検出器、11…信号、12…油圧ポンプ、13…油圧タンク、14…冷却装置、15…電磁弁、16…電磁弁、17…パイロットチェック弁、18−1,2…絞り弁、19…A油圧回路、20…昇圧シリンダー、21…ピストン、22…シリンダー、23…油室、24…ネジ部、25…ロッド、26…制御モーター、27…アキュムレーター、28…B油圧回路、31…アキュムレーター、32…バランスシリンダー、33…ウォーム減速機、34…駆動用モーター、35…圧下スクリュウ、100…油圧圧下装置、200…小型圧延機あるいはロールプレス機、300…ハウジング(圧延機ハウジング)、400…金属板。
【要約】
【課題】小型圧延機やロールプレス機において、板厚精度に対応した油圧制御サーボ弁を使用しない油圧圧下装置を提供する。
【解決手段】油圧圧下装置は、昇圧シリンダー内に配置されたピストンを前後に移動させるネジとネジに回転力を与え、ネジの回転角度を自在に制御し、ピストン位置を目的位置に移動させるモーターより構成され、昇圧シリンダーから配管により接続された圧下シリンダーは昇圧シリンダー内のピストンの移動により生じた油の移動により、圧下シリンダー内のラムを上下移動させ、圧延ロールを押し上げ、押し下げ可能とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7