(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地盤に立設したH鋼間に、パネルの側部が前記H鋼の凹部に嵌るようにして複数のパネルを上方から順次挿入し、前記H鋼の凹部内に前記パネルの側部を固定するパネル取り付け方法において、
前記H鋼の凹部にパネルを挿入する以前に前記地盤には前記複数のパネルのうち最下段のパネルの下端が位置することになる箇所に下端パッキンを予め配置しておき、
前記H鋼の凹部内の一側の内面と前記パネルの側部の一側の表面との間に弾性体を配置し、自身の長さを伸縮させて伸張方向へ押圧可能な伸縮支持部材を、前記H鋼の凹部内の他側の内面と前記パネルの側部の他側の表面間に配置すると共に、該H鋼または該パネルの少なくとも一方に係止させ、
前記伸縮支持部材を伸長させて前記パネルの側部の他側の表面を押圧すると共に、該押圧により前記H鋼の凹部内の一側の内面と前記パネルの側部の一側の表面との間の前記弾性体を圧縮し、該弾性体の圧縮に対する反発力と前記伸縮支持部材による押圧とによって前記パネルの側部を前記H鋼の凹部内に固定するパネル取り付け方法であって、
前記伸縮支持部材(81)は、胴部(82)の内面の両端側に互いに逆ネジの雌ネジ部が形成され、ネジが外周に形成された伸縮部(86,91)が前記胴部(82)の両端側の雌ネジ部に各々螺着されて前記胴部(82)の回転により前記胴部(82)の両端から前記伸縮部(86,91)が伸縮するようにされ、前記パネル側とされる前記伸縮部(86)の端部に、前記パネルの側部の他側の表面に当接する当接部(88)が形成され、前記当接部(88)から前記パネル側とされる伸縮部(86)の伸長方向へ突出した挿入片(89)が前記当接部(88)の両端間の中間位置に形成され、上下に隣接するパネルにおける下側パネルの側部の上端上面と上側パネルの側部の下端底面間に前記挿入片(89)を配置し、前記当接部(88)を前記下側パネルの側部における上部の他側の表面と前記上側パネルの側部における下部の他側の表面の両方に当接させ、前記当接部(88)によって前記下側パネルの側部における上部の他側の表面と前記上側パネルの側部における下部の他側の表面を同時に押圧することを特徴とするパネル取り付け方法。
【背景技術】
【0002】
例えば傾斜地における道路の拡幅や平地の土手等の形成において採用されている軽量盛土工法では、地盤にH鋼を所定間隔で立設し、パネルの側部がH鋼の凹部に嵌るようにして複数のパネルを上方から順次H鋼間に挿入し、H鋼の凹部内にパネルの側部を固定してパネルを取り付けた後、パネルより内側の空間に硬質発泡体層などを形成して盛土を行っている。
【0003】
従来、H鋼間にパネルを取り付ける方法として、H鋼の凹部内の一側の内面とパネルの側部の表面との間に、硬質ウレタン発泡体からなる2個のくさび片を組み合わせて打ち込み、凹部内の前記くさび片とは反対側の内面にパネルの側部を押し付ける方法(特許文献1の段落0022、
図9)、あるいは、前記2個のくさび片に代えてジャッキをH鋼の凹部内の一側の内面とパネルの側部の表面との間に配置し、ジャッキによって凹部内の反対側の内面にパネルの側部を押し付ける方法(特許文献1の段落0023、
図10)がある。
【0004】
しかしながら、硬質ウレタン発泡体等からなるくさび片を用いるパネル取り付け方法にあっては、くさび片をH鋼の凹部内の一側の内面とパネルの側部の表面との間に打ち込む際に、くさび片が塑性変形することがあり、その場合、くさび片によってパネルの側部を凹部内の内面に押し付けることができなくなってパネルがガタツクようになり、さらにはくさび片が外れることもあり、その結果、新たなくさび片を再度打ち込まねばならなくなり、作業に手間取る問題がある。さらに、厚みが異なるパネルを用いるなどによって、H鋼の凹部内の内面とパネルの側部表面との間隔(隙間)が広くなった場合には、くさび片を打ち込んでも、パネルの側部をH鋼の凹部に完全に固定できないことがある。
【0005】
一方、ジャッキを用いるパネル取り付け方法にあっては、パネルの側部がジャッキで押圧されることによって変形し、その部分で厚みが薄くなってパネルの側部をH鋼の凹部に完全に固定できなくなることがある。また、いずれの固定方法においても、パネルが風圧を受けたり施工時の振動によって、H鋼の凹部内の一側の内面とパネル間の距離が変動することがあり、くさび片やジャッキが落下するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、パネルの側部をH鋼の凹部に確実にかつ作業性よく固定できるパネル取り付け方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、地盤に立設したH鋼間に、パネルの側部が前記H鋼の凹部に嵌るようにして複数のパネルを上方から順次挿入し、前記H鋼の凹部内に前記パネルの側部を固定するパネル取り付け方法において、前記H鋼の凹部にパネルを挿入する以前に前記地盤には前記複数のパネルのうち最下段のパネルの下端が位置することになる箇所に下端パッキンを予め配置しておき、前記H鋼の凹部内の一側の内面と前記パネルの側部の一側の表面との間に弾性体を配置し、自身の長さを伸縮させて伸張方向へ押圧可能な伸縮支持部材を、前記H鋼の凹部内の他側の内面と前記パネルの側部の他側の表面間に配置すると共に、該H鋼または該パネルの少なくとも一方に係止させ、前記伸縮支持部材を伸長させて前記パネルの側部の他側の表面を押圧すると共に、該押圧により前記H鋼の凹部内の一側の内面と前記パネルの側部の一側の表面との間の前記弾性体を圧縮し、該弾性体の圧縮に対する反発力と前記伸縮支持部材による押圧とによって前記パネルの側部を前記H鋼の凹部内に固定する
パネル取り付け方法であって、前記伸縮支持部材(81)は、胴部(82)の内面の両端側に互いに逆ネジの雌ネジ部が形成され、ネジが外周に形成された伸縮部(86,91)が前記胴部(82)の両端側の雌ネジ部に各々螺着されて前記胴部(82)の回転により前記胴部(82)の両端から前記伸縮部(86,91)が伸縮するようにされ、前記パネル側とされる前記伸縮部(86)の端部に、前記パネルの側部の他側の表面に当接する当接部(88)が形成され、前記当接部(88)から前記パネル側とされる伸縮部(86)の伸長方向へ突出した挿入片(89)が前記当接部(88)の両端間の中間位置に形成され、上下に隣接するパネルにおける下側パネルの側部の上端上面と上側パネルの側部の下端底面間に前記挿入片(89)を配置し、前記当接部(88)を前記下側パネルの側部における上部の他側の表面と前記上側パネルの側部における下部の他側の表面の両方に当接させ、前記当接部(88)によって前記下側パネルの側部における上部の他側の表面と前記上側パネルの側部における下部の他側の表面を同時に押圧することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、前記H鋼の凹部内の一側の内面と前記パネルの側部の一側の表面との間に配置する弾性体は、止水性を有する弾性体であり、前記弾性体を前記H鋼の凹部内の一側の内面と前記パネルの側部の一側の表面との間に前記H鋼の上から下まで連続して配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、H鋼の凹部内の一側の内面とパネルの側部の表面との間に配置した弾性体が、H鋼の凹部内の他側の内面とパネルの側部の他側の表面との間に配置した伸縮支持部材の伸長によって圧縮され、圧縮された弾性体の反発力と伸縮支持部材による押圧とによってパネルの側部が両側から押圧されるため、パネルの側部をH鋼の凹部内に固定することができ、しかも、厚みが異なるパネルの使用時や、H鋼の立て込み誤差等によるパネルの側部表面とH鋼の凹部の内面との間隔変化に対しても、伸縮支持部材の伸長量を調節することによって対応することができ、隣り合うパネルの側部の面を、段差が極力少なく、面一になるように修正しながらH鋼の凹部に容易かつ確実に固定することができる。また伸縮支持部材をパネルまたはH鋼の少なくとも一方に固定・係止して伸縮支持部材の伸長量調節作業を行うことができるため、伸長量調節作業中に伸縮支持部材が外れ難い。また、パネル設置後にも、パネルが風圧を受けたり、施工時の振動によって、H鋼の凹部内の一側の内面とパネル側部表面との間の距離が変動するような場合にも、伸縮支持部材が落下するおそれがない。
【0014】
請求項
1の発明によれば、胴部の回転により伸縮支持部材の伸長量の微妙な調節作業を容易に行うことができるので、隣り合うパネルの側部の面を、複数のパネル面全体が面一になるように修正しながら、H鋼の凹部に容易かつ確実に固定することができる。
【0015】
請求項
1の発明によれば、伸縮支持部材の挿入片を有する側をパネルに係止して伸縮支持部材の伸長量調節作業を行うことができるため、伸長量調節作業中に伸縮支持部材が外れ難く、パネルの取り付け作業を一層容易に行うことができるようになる。
【0016】
請求項
1の発明によれば、伸縮支持部材の挿入片を有する側をパネルに係止して伸縮支持部材の伸長量調節作業を行うことができるため、伸長量調節作業中に伸縮支持部材が外れ難く、パネルの取り付け作業を一層容易に行うことができる。さらに、一つの伸縮支持部材で上下に隣接するパネルの境界部を同時に押圧して固定することができるため、伸縮支持部材の使用数を減らすことができ、パネルの取り付け作業を一層容易に行えると共に、施工費用を低減させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、H鋼とパネル間に止水性を有する弾性体を用いることで、液状材料の投入時に壁面構造体の外部へ漏出を防止することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明におけるパネル取り付け方法の実施形態について説明する。本発明においては、後述の弾性体と金属製の伸縮支持部材を使用してH鋼間にパネルを取り付ける。
まず第一実施形態について示す。第一実施形態のパネル取り付け方法では、
図1の(1−A)及び(1−B)に示すように、地盤11に所定間隔で立設したH鋼21の凹部22の一側内面23に、上下方向に弾性体31を接着剤や両面接着テープ等で貼着する。前記H鋼21は、
図1の(1−B)及び
図2に示すように、ウェブ24の両端にフランジ25が形成されて断面がH形状とされた形鋼であり、ウェブ24の両側に対向するフランジ25間で構成される前記凹部22を有する。また、前記弾性体31は、発泡ゴム(ゴムスポンジ)、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡体が好ましく、特に厚みが3〜50mm、密度が20〜500kg/m
3の発泡ゴム又はポリウレタンフォームが好ましい。
【0020】
次に、上方からクレーン等で吊り下げた最下段のパネル(第一段のパネル)41を挿入し、最下段のパネル41の側部42をH鋼21の凹部22に嵌める。これによって、前記H鋼21の凹部22内の一側内面23と前記最下段のパネル41の側部42における一側表面43aとの間に前記弾性体31を位置させる。前記最下段のパネル41は他の段のパネルと同様のコンクリートパネル、鋼板、合板等からなる。また、
図3に示すように、前記地盤11には、最下段のパネル41の下端が位置することになる箇所に予め下端パッキン35を配置しておく。なお、以下の説明では、2つのH鋼21間にパネルを挿入して固定する場合を示すが、図示しない隣のH鋼間にも同様にパネル(図示せず)を挿入して、後述のようにしてパネルの側部を凹部に固定する。
【0021】
次に
図1の(1−C)、
図2及び
図3に示すように、前記H鋼21の凹部22内における他側の内面26と前記最下段のパネル41の側部の下部における他側の表面44aとの間に伸縮支持部材として第一の伸縮支持部材51を前記凹部22内における他側の内面26と直交するようにして配置する。
前記第一の伸縮支持部材51は、
図7の斜視図と断面図に示すように、胴部52と該胴部52の両端から伸縮可能にされた伸縮部56、61とからなる。
前記胴部52は、筒状体からなり、長さ方向の両端側の内周に互いに逆ネジとなる雌ネジ部53、54が形成されている。なお、胴部52の中央には貫通孔55が設けられている。
【0022】
前記胴部52の一側端部に設けられた伸縮部56は、外周に雄ネジが形成されて前記雌ネジ部53に基部側が螺合した軸部57と、該軸部57の先端に設けられた当接部58と、該当接部58の一端から伸縮部58の伸長方向(前進方向)へ突出した挿入片59とよりなる。前記当接部58は、面状体からなり、前記当接部58と前記挿入片59によって断面略L字形を構成している。
【0023】
前記胴部52の他側端部に設けられた伸縮部61は、外周に雄ネジが形成されて前記雌ネジ部54に基部側が螺合した軸部62と、該軸部62の先端に設けられた面状体の当接部63とよりなる。
前記第一の伸縮支持部材51は、両端の前記伸縮部56、61に対して胴部52を一方向へ回転させると両端の伸縮部56、61が胴部52の両端から伸長(前進)して第一の伸縮支持部材51が長くなり、一方、前記胴部52を反対方向へ回転させると両端の伸縮部56、61が胴部52内へ後退して縮み、第一の伸縮支持部材51が短くなる。
【0024】
前記第一の伸縮支持部材51は、前記H鋼21の凹部22内における他側の内面26と前記最下段のパネル41の側部42における下部との間に配置する際に、
図3に示すように、前記挿入片59を有する伸縮部56を前記最下段のパネル41へ向け、且つ前記挿入片59が当接部56の下端となる向きにして前記挿入片59を前記最下段のパネル41の下端底面42aに配置し、前記当接部56を前記最下段のパネル41の側部42における下部の他側表面(弾性体31とは反対側の表面)44aに当接させると共に、反対の当接部63を前記H鋼21の凹部22における他側の内面26に当接させる。そして、前記胴部52の貫通孔55に棒状体を差し込んで、前記伸縮部56、61が伸長(前進)することとなる回転方向へ胴部52を回転させることにより、前記胴部52両端の伸縮部56、61を伸長(前進)させ、前記挿入片59を有する当接部58で前記最下段のパネル41の側部42における下部の他側表面44aを押圧し、前記最下段のパネル41の側部42における下部の一側表面43aと前記H鋼21の凹部22における一側の内面23との間で前記弾性体31を圧縮する。前記第一の伸縮支持部材51の伸長による最下段のパネル41における他側表面44aの押圧と、前記最下段のパネル41の下部における一側表面43aに作用する前記弾性体31の圧縮に対する反発力とによって、前記最下段のパネル41の側部42における下部を前記H鋼21の凹部22に固定する。
【0025】
次に
図4及び
図5に示すように、前記H鋼21の凹部22内において、前記弾性体31が貼着された一側とは反対の他側の内面26と、前記最下段のパネル41の上部45と最下段のパネル41上にその後積み上げられることになる第二段のパネル71の下部75との境界部79間に、伸縮支持部材として第二の伸縮支持部材81を前記H鋼21の凹部22内における他側の内面26と直交するように配置する。前記第二の伸縮支持部材81は、
図8の斜視図と断面図に示すように、胴部82と該胴部82の両端に設けられた伸縮部86、91とからなる。
前記胴部82は、筒状体からなり、長さ方向の両端側の内周に互いに逆ネジとなる雌ネジ部83、84が形成されている。なお、胴部82の中央には貫通孔85が設けられている。
【0026】
前記胴部82の一側端部に設けられた伸縮部86は、外周に雄ネジが形成されて前記雌ネジ部83に基部側が螺合した軸部87と、該軸部87の先端に設けられた当接部88と、該当接部88の両端間の中間位置から伸縮部86の伸長方向(前進方向)へ突出した挿入片89とよりなる。前記当接部88は面状体からなり、前記当接部88と前記挿入片89によって断面T字形を構成している。
【0027】
前記胴部82の他側端部に設けられた伸縮部91は、外周に雄ネジが形成されて前記雌ネジ部84に基部側が螺合した軸部92と、該軸部92の先端に設けられた面状体の当接部93とよりなる。
前記第二の伸縮支持部材81は、両端の前記伸縮部86、91に対して胴部82を一方向へ回転させると両端の伸縮部86、91が胴部82の両端から伸長(前進)して第二の伸縮支持部材81が長くなり、一方、前記胴部82を反対方向へ回転させると両端の伸縮部86、91が胴部82内へ後退して縮み、第二の伸縮支持部材81が短くなる。
【0028】
前記第二の伸縮支持部材81の配置時、
図4及び
図5に示すように、前記挿入片89を有する伸縮部86を前記H鋼21の凹部22内で前記最下段のパネル41へ向けると共に、前記挿入片89の無い伸縮部91を前記凹部22内の弾性体31が無い他側の内面26へ向け、前記伸縮部86の挿入片89を前記最下段パネル41の側部42における上端上面42bに配置して前記伸縮部86の当接部88における挿入片89より下側の部分88aを、前記最下段のパネル41における上部の他側の表面44bに当接させる。その際、前記挿入片89を有する当接部88と前記挿入片の無い当接部93が、前記最下段のパネル41における上部の他側の表面44bと前記凹部内22の弾性体31が無い他側の内面26に緩く当接するように、前記胴部85の回転により前記第二の伸縮支持部材81の長さを調節する。
【0029】
次に、
図5及び
図6に示すように、上方からクレーン等で吊り下げた第二段のパネル71を、前記第二段のパネル71の側部が前記H鋼の凹部内の一側内面に貼着された前記弾性体31と前記凹部22内の他側内面との間に嵌まるようにして前記H鋼21間に挿入し、前記最下段のパネル41上に前記第二段のパネル71を積み上げる。その際、前記第二段のパネル71の側部における下端72aを、前記弾性体31と前記第二の伸縮支持部材81の挿入片89を有する当接部88の挿入片89よりも上側の部分88bとの間に嵌め、前記第二段のパネル71の側部における下部75の一側表面73aを前記弾性体31に当接させると共に、前記第二段のパネル71の側部における下部の他側表面74aを、前記第二の伸縮支持部材81の挿入片89を有する当接部88における挿入片89よりも上側の部分88bに当接させる。
【0030】
その後、前記第二伸縮支持部材81の胴部82の貫通孔85に棒状体を差し込んで前記伸縮部86、91が伸長(前進)することとなる回転方向へ胴部82を回転させることにより、前記胴部82両端の伸縮部86、91を伸長(前進)させ、前記挿入片89を有する当接部88の下側88aで前記最下段のパネル41の側部における上部の他側表面44bを押圧し、かつ前記挿入片89を有する当接部88の上側88bで前記第二段のパネル71の側部における下部の他側表面74aを同時に押圧し、前記最下段のパネル41の側部における上部の一側表面43b及び前記第二段のパネル71の側部における下部の一側表面73aと前記H鋼21の凹部22内の一側の内面23との間で前記弾性体31を圧縮する。前記第二の伸縮支持部材81の伸長による最下段のパネル41の上部における他側表面44b及び第二段のパネル71の下部における他側表面74aの押圧と、前記最下段のパネル41の上部における一側表面43b及び前記第二段のパネル71の下部における一側表面73aに作用する前記弾性体31の圧縮に対する反発力とによって、前記最下段のパネル41の側部の上部と前記第二段のパネル71の側部の下部を前記H鋼21の凹部22に同時に固定する。なお、前記第二段のパネル71と最下段のパネル41は上下に隣接するパネルであり、第二段のパネル71が上側パネルに相当し、最下段のパネル41が下側パネルに相当する。
【0031】
その後、前記第二段のパネル71の側部における上部及び、前記第二段のパネル71の上方に積み上げる第三段以降のパネルの下部及び上部に対しても、前記最下段のパネル41と第二段のパネル71の境界部におけるH鋼21の凹部22内への固定と同様に前記第二の伸縮支持部材81を用いて固定することにより、所定段数のパネルを前記H鋼21間に取り付ける。なお、上下に隣接するパネルは、段数の小さいパネルが下側パネル、段数の大きいパネルが上側パネルである。また、最上段のパネルの側部における上部の固定については、前記第一の伸縮支持部材51を用い、前記最下段のパネル41に使用した場合とは反対に、前記挿入片59が当接部56の上端となるようにして前記挿入片59を最上段のパネルの側部における上端上面に配置し、前記胴部を回転させることによって行ってもよい。
【0032】
図9には他の
参考形態の伸縮支持部材101を示す。この
参考形態の前記伸縮支持部材101は、胴部102と該胴部102の両端から伸縮可能にされた伸縮部106、111とからなる。
前記胴部102は、前記第一の伸縮支持部材51、第二の伸縮支持部材81と同様に、筒状体からなり、長さ方向の両端側の内周に互いに逆ネジとなる雌ネジ部103、104が形成されている。なお、胴部102の中央には貫通孔105が設けられている。
【0033】
前記胴部102の一側端部に設けられた伸縮部106は、外周に雄ネジが形成されて前記雌ネジ部103に基部側が螺合した軸部107と、該軸部107の先端に設けられたクランプ109とからなる。前記クランプ109は、前記伸縮部106の伸縮方向と直交方向に開口したU字形の挟持本体部109aと、該挟持本体部109aの外側片109bに前記伸縮部106の伸縮方向に貫通螺着されたボルト109dとよりなり、前記ボルト109dの回転によって前記挟持本体部109a内へのボルト109dの突出量を変化させ、該ボルト109dの内端109eと前記挟持本体部109aの内側片109cとの間隔を変化させることができる。
一方、前記胴部102の他側端部に設けられた伸縮部111は、外周に雄ネジが形成されて前記雌ネジ部104に基部側が螺合した軸部112と、該軸部112の先端に設けられた面状体の当接部113とよりなる。
【0034】
前記伸縮支持部材101は、両端の前記伸縮部106、111に対して胴部102を一方向へ回転させると両端の伸縮部106、111が胴部102の両端から伸長(前進)して伸縮支持部材101が長くなり、一方、前記胴部102を反対方向へ回転させると両端の伸縮部106、111が胴部102内へ後退して縮み、前記伸縮支持部材101が短くなる。
【0035】
前記伸縮支持部材101を用いる
参考形態のパネル取り付け方法を説明する。なお、前記第一実施形態のパネル取り付け方法と同じ部材については、第一実施形態の場合と同じ符号を用いる。
【0036】
まず、
図10の(10−A)及び(10−B)のように、地盤11に立設したH鋼21の凹部22の一側内面23に弾性体31を上下方向に貼着する。次に、H鋼21間に、上方からクレーン等で吊り下げた最下段のパネル(第一段のパネル)41を挿入し、最下段のパネル41の側部42をH鋼21の凹部22に嵌め、前記弾性体31と前記凹部22内の他側内面26間に位置させる。そして、
図10の(10−C)のように、前記伸縮支持部材101を前記H鋼21の凹部22内の他側内面26と前記最下段のパネル41の側部42の下部との間に、前記凹部22内の他側内面26及び前記最下段のパネル41と直交するように配置する。その際、前記クランプ109を有する伸縮部106側が、前記H鋼21の凹部22内において弾性体31が貼着されていない他側となるようにし、前記凹部22の他側のフランジ25aを、前記クランプ109の挟持本体部109a内におけるボルト109dの内端109eと挟持本体部109aの内側片109cとの間に挿入する。その後、ボルト109dを回転させて締めこむことで、H鋼の他側のフランジ25aを挟持して係止する。
【0037】
そして、前記胴部102の貫通孔105に棒状体を差し込んで前記伸縮部106、111が伸長(前進)することとなる回転方向へ胴部102を回転させることにより、前記胴部102両端の伸縮部106、111を伸長(前進)させ、前記クランプの無い当接部113で最下段のパネル41の側部42における下部の他側表面44aを押圧し、前記最下段のパネル41の側部42における下部の一側表面43aと前記H鋼21の凹部22内の一側の内面23との間で前記弾性体31を圧縮する。前記伸縮支持部材101の伸長による最下段のパネル41の他側表面44aの押圧と、前記最下段のパネル41の一側表面43aに作用する前記弾性体31の圧縮に対する反発力とによって、前記最下段のパネル41の側部42における下部を前記H鋼21の凹部22に固定する。
【0038】
また前記最下段のパネル41の側部の上部についても、前記伸縮支持部材101を用いて同様にして前記H鋼21の凹部22内に固定する。その後、第二段以降のパネルを前記H鋼21間に挿入して最下段のパネル41の上方へ積み上げ、前記伸縮支持部材101を用いて最下段のパネル41の場合と同様にしてH鋼21の凹部22に固定し、所定段数のパネルを前記H鋼21間に取り付ける。
【0039】
なお、前記の各伸縮支持部材は、伸縮部の軸部が胴部の雌ネジ部と螺合しているため、軸部を含む伸縮部が着脱可能であり、各ネジ部の径およびピッチを同一にしておくことで伸縮部を互いに交換して使用することが可能である。
【0040】
また、本発明のように設置したパネルからなる壁面構造体の内側に現場発泡によるウレタンや、モルタル、コンクリート等、発泡・非発泡を問わず、液状の材料を投入して硬化させる工法において用いた場合には、H鋼とパネル間に止水性を有する弾性体を用いることで、液状材料の投入時に壁面構造体の外部へ漏出を防止することもできて、好適である。
【0041】
このように本発明は、H鋼の凹部内の一側の内面とパネルの側部の表面との間に配置した弾性体を、H鋼の凹部内の他側の内面とパネルの側部の反対表面との間に配置した伸縮支持部材の伸長によって圧縮し、圧縮した弾性体の反発力と伸縮支持部材による押圧とによってパネルの側部を両側から押圧するため、パネルの側部をH鋼の凹部内に固定することができ、しかも、以下の
図12に示すように厚みが異なるパネルの使用時や、
図13に示すようにH鋼の立て込み誤差等によるパネルの側部表面とH鋼の凹部の内面との間隔変化に対しても、伸縮支持部材の伸長量を調節することによって対応することができ、パネルの側部をH鋼の凹部に容易かつ完全に固定することができる。
【0042】
図12は、前記第一実施形態のパネル取り付け方法において、前記H鋼21の両側でパネル41A、41Bの厚みが異なる場合を示す。なお、理解を容易とするために前記第一実施形態と区別して示すことが必要な部分については、符号に「A」又は「B」を付す。パネル41Aは厚みが大、パネル41Bは厚みが小である。この場合、厚みが大のパネル41A側では、第二の伸縮支持部材81Aにおける胴部82両端の伸縮部86、91の伸長量を小にし、一方、厚みが小のパネル41B側では、第二の伸縮支持部材81Bにおける胴部82両端の伸縮部86、91の伸長量を大にすることにより、前記厚みの大のパネル41Aにおいて外側となる一側表面43Abと、前記厚みの小のパネル41Bにおいて外側となる一側表面43Bbを面一にすることができる。符号44Abは、厚みが大のパネル41Aにおける他側の表面であり、一方、符号44Bbは、厚みが小のパネル41Bにおける他側の表面である。
【0043】
図13は、前記第一実施形態のパネル取り付け方法において、H鋼21Aの立て込み時に、複数のH鋼のうち一部のH鋼21Aが横断面の中心を軸として正しい位置から所定角度曲がって立設される立て込み誤差があった場合を示す。なお、理解を容易とするために前記第一実施形態と区別して示すことが必要な部分については、符号に「A」、「C」、「D」を付す。この場合、立て込み誤差のあったH鋼21Aの凹部22の内面23、26は、H鋼間に挿入されるパネル41C、41Dの表面43Cb、44Cb、43Db、44Dbに対して平行とならずに傾斜することになり、前記H鋼21Aの凹部22の一側内面23と前記パネル41C、41Dの一側表面43Cb、43Dbとの間隔が、前記H鋼21Aのウエブ24側とフランジ25の端側とで異なることになる。しかし、前記H鋼21Aの凹部22の一側内面23に貼着されている弾性体31が、前記パネル41C、41Dの他側表面44Cb、44DbとH鋼21Aの凹部22の他側内面26との間に設けた第二の伸縮支持部材81C、81Dにおける伸縮部86、91の伸長量を調整することにより、前記H鋼21Aの凹部22の一側内面23と前記パネル41C、41Dの一側表面43Cb、43Dbとの間で圧縮変形し、前記H鋼21Aの凹部22の一側内面23と前記パネル41C、41Dの一側表面43Cb、43Dbとの間隔変化を吸収することができる。そのため、互いに隣り合うパネル41Cの外側表面となる一側表面43Cbとパネル41Dの外側表面となる一側表面43Dbを面一にすることができる。