(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のおむつホルダーはパンツ部材を有し、おむつホルダーは、尿パッドのような使い捨て吸収性物品や布製のおむつを着用者の股間に装着するために用いられる。
【0015】
パンツ部材は、おむつホルダーの着用時にパンツ形状を有するものであればよい。本発明においてパンツ形状とは、1つのウェスト開口と2つの脚開口を有する形状を意味する。ウェスト開口は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口は着用者の脚を通すための開口である。
【0016】
パンツ部材は、着用前からパンツ形状に形成されていてもよく、着用の際にパンツ形状に形成可能なものであってもよい。後者の場合、パンツ部材は例えば、着用前は止着部材が備えられたシート状であり、着用時に当該止着部材によりパンツ形状に形成される。パンツ形状は、例えば、下腹部からそけい部までを覆うショーツタイプ(ビキニタイプ)のパンツ形状であってもよく、そけい部からさらに下方に延在する部分を有するボクサータイプ(トランクスタイプ)のパンツ形状であってもよい。
【0017】
パンツ部材を構成する材料は特に限定されない。パンツ部材は、例えば、織布、編布、不織布、プラスチックフィルム、またはこれらの積層体等から構成される。パンツ部材を構成する材料として織布、編布、不織布等の布材料を用いる場合、布材料を構成する繊維としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、パルプ、綿、絹等の天然繊維を用いればよい。パンツ部材を構成する材料としてプラスチックフィルムを用いる場合は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の合成樹脂を用いればよい。パンツ部材は、液透過性であっても、液不透過性であってもよい。
【0018】
パンツ部材には、そけい部に取っ手部材が設けられている。パンツ部材のそけい部とは、おむつホルダーを着用した際に着用者のそけい部に重なる部分を意味する。なお本発明では、着用者のそけい部から30mm以内の領域もそけい部に含まれるものとする。
【0019】
取っ手部材は、パンツ部材の外側面に設けられる。本発明では、おむつホルダーを着用した時に、着用者の肌に向く面を肌側面と称し、着用者の肌とは反対側に向く面を外側面と称する。取っ手部材は着用者や介護者等が手でつまむための部材であり、取っ手部材の一部がパンツ部材等に固定され、他部がパンツ部材の外側面から延出して設けられる。取っ手部材は、パンツ部材の肌側面に尿パッド等を載置しておむつホルダーを着用する際、着用者や介護者等が取っ手部材をつまんで上方(着用者から見て上方)に引っ張って用いられる。
【0020】
従来のおむつホルダーでは、一旦おむつホルダーを着用すると、尿パッドと着用者の肌との間に隙間ができたり、尿パッドが着用者の股間に対して多少ずれたりして、尿パッド等が着用者の股間に好適にフィットしていなくても、おむつホルダーの外側から尿パッド等のフィット性を改善することは難しかった。しかし、本発明のおむつホルダーは、パンツ部材のそけい部に取っ手部材が設けられているため、おむつホルダーを着用した状態で取っ手部材を上方に引っ張ることにより、尿パッド等が着用者の肌に押し付けられて、尿パッド等の着用者の股間へのフィット性を高めることができる。また、取っ手部材が設けられていれば、着用者だけでなく介護者等であっても、取っ手部材を引っ張ることにより尿パッド等のフィット性を容易に高めることができる。
【0021】
取っ手部材の形状は、取っ手部材を着用者や介護者が手でつまむことができるのであれば、特に限定されない。取っ手部材の形状は、例えば、ストリップ状(短冊状)やループ状が挙げられる。なかでも、取っ手部材はループ状であることが好ましく、このように取っ手部材が構成されていれば、取っ手部材のループ状の部分(ループ部分)に指を引っかけて、取っ手部材を引っ張りやすくなる。
【0022】
取っ手部材は、例えば、パンツ部材の外側面から延出する部分の長さが20mm以上であることが好ましく、30mm以上がより好ましく、また80mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。パンツ部材の外側面から延出する部分の長さが20mm以上であれば、取っ手部材をつまみやすくなり、80mm以下であれば、おむつホルダーを着用した際、取っ手部材が邪魔になりにくくなる。
【0023】
取っ手部材がループ状である場合は、ループ部分の周長が40mm以上であることが好ましく、60mm以上がより好ましく、また160mm以下が好ましく、120mm以下がより好ましい。取っ手部材のループ部分の周長が40mm以上であれば、ループ部分に少なくとも1本の指を入れることが容易になり、取っ手部材のループ部分の周長が160mm以下であれば、ループ部分に3,4本の指を入れて取り扱うことが容易になる。
【0024】
取っ手部材は柔軟な材料で構成されていることが好ましい。取っ手部材が柔軟な材料で構成されていれば、おむつホルダーを着用した際に取っ手部材が着用者に押し付けられても、取っ手部材による圧迫感や違和感を覚えにくくなる。取っ手部材は、例えば、織布、編布、不織布等の布材料やプラスチックフィルム等で構成される。また、取っ手部材は、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の弾性伸縮材料で構成されていてもよい。取っ手部材は、手触りや取り扱い性を高める点から、布材料で構成されていることが好ましい。
【0025】
取っ手部材は、左右のそけい部に設けられていることが好ましい。左右のそけい部に取っ手部材が設けられていれば、尿パッド等の着用者の股間へのフィット性をより高めることができる。また、左右の取っ手部材の引っ張る力を調整することで、尿パッド等をより好適に着用者の股間にフィットさせることが可能となる。
【0026】
パンツ部材には、そけい部に沿って弾性部材が設けられていることが好ましい。パンツ部材のそけい部に沿って弾性部材が設けられていれば、弾性部材の収縮力によってそけい部に沿っておむつホルダーを着用者の肌に押し付ける力が働き、おむつホルダーの肌側面に載置された尿パッド等が着用者の肌に密着しやすくなる。
【0027】
弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の使い捨ておむつ等の吸収性物品に通常用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態でパンツ部材に固定されていることが好ましい。弾性部材は、例えば、伸長倍率が1.3倍〜2.5倍でパンツ部材に固定されることが好ましい。
【0028】
弾性部材は、パンツ部材の外側面に設けられても、肌側面に設けられてもよい。また、パンツ部材が複数層から構成され、これら複数層の間に設けられてもよい。
【0029】
パンツ部材のそけい部に沿って弾性部材が設けられる場合、取っ手部材は弾性部材と重なって設けられることが好ましい。具体的には、取っ手部材のパンツ部材等に固定される部分が、弾性部材と重なって設けられることが好ましい。このとき、取っ手部材は弾性部材の上方端(着用者から見て上方側の端部)と重なって設けられることが好ましい。取っ手部材がそけい部に沿って設けられた弾性部材と重なって設けられていれば、取っ手部材を引っ張ることで、パンツ部材の弾性部材が設けられた部分(すなわちそけい部)が着用者の肌に押し付けられるように作用しやすくなり、尿パッド等の密着性を高めやすくなる。
【0030】
パンツ部材のそけい部に沿って弾性部材が設けられる場合、取っ手部材と弾性部材は直接接合していてもよく、パンツ部材を介して間接的に接合していてもよい。前者の場合、取っ手部材と弾性部材は連続して設けられてもよく、また取っ手部材と弾性部材が1つの部材から構成され、その一部が取っ手部材として機能し、他部が弾性部材として機能するものでもよい。
【0031】
パンツ部材には、そけい部に沿って補強部材が設けられていてもよい。補強部材は、上記のそけい部に沿って設けられる弾性部材の代わりに設けられてもよく、そけい部に沿って弾性部材とともに設けられてもよい。補強部材は取っ手部材と重なって設けられることが好ましく、より好ましくは補強部材の上方端(着用者から見て上方側の端部)が取っ手部材と重なって設けられることが好ましい。このように取っ手部材と補強部材が設けられていれば、取っ手部材を引っ張った際、パンツ部材がそけい部に沿って引っ張られやすくなり、その結果、尿パッド等の着用者の股間へのフィット性を高めやすくなる。また、取っ手部材を引っ張った際に、パンツ部材が破断しにくくなる。補強部材としては、パンツ部材や取っ手部材と同じまたは異なる材料をパンツ部材に取り付ければよい。
【0032】
次に、本発明のおむつホルダーの構成例について、図面を参照して説明する。なお、本発明のおむつホルダーは図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0033】
図1および
図2には、着用時にパンツ形状に形成するおむつホルダーの一例を示した。
図1は着用前のおむつホルダーを外側面から見た平面図を表し、
図2は
図1に示したおむつホルダーの着用方法を表す。
図1および
図2に示したおむつホルダーは、着用前は平面状に形成されている。
【0034】
図1では、矢印xが横方向、矢印yが縦方向を表す。縦方向yとは、おむつホルダーを着用者が着用した際、着用者の上下方向または着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。横方向xとは、おむつホルダーと同一面上にあり、縦方向yと直交する方向を意味する。横方向xは、おむつホルダーを着用者が着用した際、着用者の左右方向に相当する。
【0035】
おむつホルダー1はパンツ部材2を有する。
図1および
図2に示したおむつホルダー1は、着用前はパンツ部材2が平面状に形成されている。
【0036】
パンツ部材2は、縦方向yに前側部Fと後側部Bを有する。前側部Fとは、パンツ部材2の縦方向yの一方側に形成され、おむつホルダー着用時に着用者の腹側に当てる部分を意味する。後側部Bとは、パンツ部材2の縦方向yの他方側に形成され、おむつホルダー着用時に着用者の背側に当てる部分を意味する。前側部Fと後側部Bは、パンツ部材2の横方向xの長さが最も狭くなる部分を境に区分される。
【0037】
パンツ部材2は、後側部Bに右ウェスト部3と左ウェスト部4とを有する。左右ウェスト部3,4は、後側部Bにあり、パンツ部材2の最も幅狭な部分の外縁より横方向xの外方に位置する部分に相当する。右ウェスト部3と左ウェスト部4は、おむつホルダー1の着用時にそれぞれ着用者の右側と左側の腰周りに当てる部分である。
図1では、図面の右側が、おむつホルダーの着用時に着用者の右側に位置し、図面の左側が、おむつホルダーの着用時に着用者の左側に位置する。従って、
図1では、おむつホルダーの外側面が見えるように、おむつホルダーが示されている。
【0038】
パンツ部材2は、前側部Fに右フラップ部5と左フラップ部6とを有する。左右フラップ部5,6は、前側部Fにあり、パンツ部材2の最も幅狭な部分の外縁より横方向xの外方に位置する部分に相当する。右フラップ部5と左フラップ部6は、おむつホルダー1の着用時に、前側部Fとともに着用者の腹部を覆う部分である。
【0039】
右ウェスト部3と左ウェスト部4の一方または両方には、ウェスト用留め具7が設けられることが好ましい。右ウェスト部3と左ウェスト部4の一方または両方にウェスト用留め具7が設けられれば、ウェスト用留め具7により右ウェスト部3と左ウェスト部4とを連結することができ、その結果、左右ウェスト部3,4を着用者の腰周りに固定することができる。
図1では、右ウェスト部3の肌側面にウェスト用留め具7が設けられる実施態様を示しており、右ウェスト部3をウェスト用留め具7により左ウェスト部4または後側部Bに接合することにより、左右ウェスト部3,4を着用者の腰周りに固定することができる。
【0040】
右フラップ部5と左フラップ部6には、前側留め具8が設けられることが好ましい。前側留め具8ば左右フラップ部5,6の肌側面に設けられ、着用者の腰周りに装着された左右ウェスト部3,4または後側部Bに、左右フラップ部5,6を前側留め具8により接合する。
【0041】
ウェスト用留め具7や前側留め具8としては、例えば、面ファスナー(フック・ループ・ファスナー)のフック部材やループ部材を用いればよい。ウェスト用留め具7や前側留め具8としてフック部材を用いる場合は、左右ウェスト部3,4や後側部Bにループ部材を設けたり、左右ウェスト部3,4や後側部Bをループ部材として機能する材料(例えば、織布、編布、不織布等)で構成すればよい。
【0042】
図1に示すおむつホルダーの着用方法について、
図2を用いて説明する。
図2に示すおむつホルダー1は、パンツ部材2が、ウェスト用留め具7と前側留め具8が接合可能な材料から構成されている。
【0043】
図2(a)には、
図1に示したおむつホルダー1を肌側面から見た図を示している。おむつホルダー1は、後側部Bを着用者の背側に当てながら、右ウェスト部3を着用者の右側の腰周りに当て、左ウェスト部4を着用者の左側の腰周りに当てる。次いで、右ウェスト部3を引っ張りながら、右ウェスト部3のウェスト用留め具7を左ウェスト部4の外側面に接合する(
図2(a),(b)参照)。その結果、左右ウェスト部3,4を着用者の腰周りに固定することができる。次いで、前側部Fと左右フラップ部5,6を、着用者の股間を通して着用者の腹側に持ってきて、左右フラップ部5,6を着用者の左右方向に拡げながら着用者の上方向に引っ張って、左右フラップ部5,6を前側留め具8により左右ウェスト部3,4に固定する(
図2(b),(c)参照)。その結果、パンツ部材2がパンツ形状に形成され、おむつホルダー1を着用することができる。
図2(c)では、おむつホルダー1は、ショーツタイプのパンツ形状に形成されている。
【0044】
図1および
図2に示したおむつホルダー1には、パンツ部材2のそけい部に沿って弾性部材10が設けられ、さらにループ状の取っ手部材9が弾性部材10と重なって設けられている。おむつホルダー1では、弾性部材10がパンツ部材2の肌側面に取り付けられ、取っ手部材9がパンツ部材2の外側面に取り付けられている。おむつホルダー1はショーツタイプのパンツ形状を有しているため、パンツ部材2のそけい部は、パンツ形状に形成した状態の脚開口縁に沿う部分に相当することとなる。つまり、弾性部材10が脚開口縁に沿って設けられ、さらに取っ手部材9が脚開口縁の近傍に設けられている。
【0045】
おむつホルダー1は、パンツ部材2のそけい部に取っ手部材9が設けられているため、おむつホルダー1を着用した状態で取っ手部材9を上方に引っ張ることにより、おむつホルダー1の肌側面に載置した尿パッド等が着用者の肌に押し付けられて、尿パッド等の着用者の股間へのフィット性を高めることができる。また、パンツ部材2のそけい部に沿って弾性部材10が設けられているため、おむつホルダー1の肌側面に載置された尿パッド等の着用者の肌への密着性が高められる。
【0046】
次に、
図1および
図2に示したおむつホルダーとは別の態様のおむつホルダーについて、
図3および
図4を参照して説明する。
図3および
図4には、予めパンツ形状に形成されたおむつホルダーの一例を示す。
図3は着用時のおむつホルダーの斜視図を表し、
図4は
図3に示したおむつホルダーの着用前の状態を表す。
【0047】
図3および
図4に示したおむつホルダー11はパンツ部材12を有し、パンツ部材12は1つのウェスト開口と2つの脚開口を有するパンツ形状に形成されている。パンツ部材12は、ウェスト開口にウェスト開口縁13を有し、脚開口に脚開口縁14を有する。おむつホルダー11は、パンツ部材12が、そけい部から下方に延在する部分を有するボクサータイプのパンツ形状を有している。パンツ部材12がボクサータイプのパンツ形状を有していれば、おむつホルダー11の肌側面に載置した尿パッド等が脚開口縁14からはみ出しにくくなり、おむつホルダー11を用いて尿パッド等を装着しやすくなる。また、おむつホルダー11を着用した際の見栄えも良くなる。
【0048】
おむつホルダー11には、パンツ部材12のそけい部に沿って弾性部材16が設けられ、さらにループ状の取っ手部材15が弾性部材16と重なって設けられている。弾性部材16はパンツ部材12の肌側面に取り付けられ、取っ手部材15がパンツ部材12の外側面に取り付けられている。
図3および
図4に示したおむつホルダー11はボクサータイプのパンツ形状を有しているため、
図1および
図2に示したおむつホルダー1と異なり、そけい部がパンツ部材12の脚開口縁14から離れて延在している。このようにボクサータイプのパンツ形状を有するおむつホルダー11では、取っ手部材15の効果がさらに発揮される。すなわち、おむつホルダー11を着用した状態では、おむつホルダー11の肌側面に載置した尿パッド等の装着状態を脚開口から指を入れたりして調整することは困難であるところ、おむつホルダー11に取っ手部材15が設けられていれば、取っ手部材15を上方に引っ張ることにより尿パッド等の装着状態を調整することが容易になる。また、パンツ部材12のそけい部に沿って弾性部材16が設けられているため、おむつホルダー11の肌側面に載置された尿パッド等の着用者の肌への密着性を高めることができる。
【0049】
おむつホルダー11のパンツ部材12は、
図4に示すように、ウェスト開口縁13が左右に分離して前開き可能に形成されている。つまり、パンツ部材12は、前側部がウェスト開口縁13から左右に分離可能に形成されている。このとき、パンツ部材12は、ウェスト開口縁13が左右に分離可能であるとともに、前側部の少なくとも一部が左右に分離可能に形成されていればよい。このようにパンツ部材12が形成されていれば、パンツ部材12が着用前からパンツ形状に形成されているものであっても、おむつホルダー11の着脱が容易になる。なおパンツ部材の前側部とは、おむつホルダー着用時に着用者の腹側に当てる部分を意味し、パンツ部材の前側半分の部分に相当する。
【0050】
図3および
図4に示したおむつホルダー11では、パンツ部材12の前側部が左側部分17と右側部分18に分離可能に形成され、左側部分17と右側部分18の一部が重なって前開き可能なパンツ形状に形成されている。左側部分17と右側部分18は、おむつホルダー11を着用した状態で着用者の左右方向に基づき定められる。
【0051】
左側部分17と右側部分18には、互いが対面する部分にそれぞれ留め具が設けられることが好ましい。
図3および
図4に示したおむつホルダー11では、右側部分18の外側面に左側部分17が重ねられているため、左側部分17の肌側面と右側部分18の外側面にそれぞれ留め具19,20が設けられている。
【0052】
留め具19,20としては、面ファスナー(フック・ループ・ファスナー)、線ファスナー(ジッパー、チャック)、ボタン等が挙げられる。留め具19,20に用いられるボタンとしては、ボタンとボタンホールの組み合わせやスナップボタンの凸部材と凹部材の組み合わせ等を採用することができる。なかでも、留め具19,20としては、面ファスナーのフック部材やループ部材を用いることが好ましい。留め具19,20として面ファスナーを用いれば、着用者の体型や装着する尿パッド等の嵩張り度合に応じて左側部分17と右側部分18の重ね合わせを調節することで、おむつホルダー11のフィット性を容易に高めることができる。留め具19,20として面ファスナーを用いる場合、左側部分17に設けられる留め具19と右側部分18に設けられる留め具20の一方にフック部材を設け、他方にループ部材を設ければよい。また、ループ部材を設ける一態様として、留め具19と留め具20のうちの他方をループ部材として機能する材料(例えば、織布、編布、不織布等)で構成してもよい。
【0053】
図3および
図4に示したおむつホルダー11では、留め具19,20として、ウェスト開口縁13に沿って留め具19A,20Aと、左側部分17と右側部分18の前開き縁部に留め具19B,20Bが設けられている。ウェスト開口縁13に沿って留め具19A,20Aを設けることにより、おむつホルダー11を着用した際に、着用者の腰周りのサイズ調整が容易になる。左側部分17と右側部分18の前開き縁部に留め具19B,20Bを設けることにより、おむつホルダー11の着用時にパンツ部材12の前開きを閉じて、尿パッド等を着用者の股間に密着させるように装着することが容易になる。なお、左側部分17と右側部分18の前開き縁部とは、左側部分17の右側縁から50mm以内の領域(好ましくは30mm以内の領域)と右側部分18の左側縁から50mm以内の領域(好ましくは30mm以内の領域)をそれぞれ意味する。パンツ部材12の前開きは、左側部分17の右側縁と右側部分18の左側縁により規定される。
【0054】
なお図面には示されていないが、左側部分17と右側部分18は互いに重ね合わさずに、左側部分17の右側縁と右側部分18の左側縁が接続可能に形成されていてもよい。この場合、左側部分17の右側縁と右側部分18の左側縁に線ファスナー(ジッパー、チャック)が設けられ、線ファスナーによりパンツ部材12がの前側部が前開き可能に形成されていればよい。
【0055】
パンツ部材12は、左側部分17と右側部分18の少なくとも一方の前開き縁部に、第2取っ手部材が設けられることが好ましい。
図3および
図4に示したおむつホルダー11では、左側部分17と右側部分18の両方の前開き縁部に第2取っ手部材21が設けられている。第2取っ手部材21は、おむつホルダー11を着脱する際に着用者や介護者等が手でつまむための部材であり、第2取っ手部材21をつまむことでパンツ部材12の前開きを閉じたり開いたりすることが容易になる。特に高齢の着用者は手で細かい作業をすることが苦手とする場合があり、そのような高齢の着用者であっても、第2取っ手部材21を利用することでおむつホルダー11の着脱が容易になる。
【0056】
第2取っ手部材21の形状は、取っ手部材を着用者や介護者が手でつまむことができるのであれば、特に限定されない。第2取っ手部材21の形状は、例えば、ストリップ状(短冊状)やループ状が挙げられる。なかでも、第2取っ手部材21はループ状であることが好ましく、このように第2取っ手部材21が構成されていれば、第2取っ手部材21のループ状の部分に指を引っかけることができ、高齢の着用者であっても第2取っ手部材21を取り扱いやすくなる。
【0057】
第2取っ手部材のパンツ部材から延出する部分の長さやループ部分の周長の好適範囲は、そけい部に設けられる取っ手部材と同様である。また、第2取っ手部材を構成する材料についても、そけい部に設けられる取っ手部材に使用可能な材料を採用することができる。
【0058】
パンツ部材12にはウェスト開口縁13に沿ってウェスト用弾性部材が設けられることが好ましい(図示せず)。ウェスト用弾性部材を設けることにより、おむつホルダー11の腰周りのフィット性を高めやすくなる。
【0059】
パンツ部材12には脚開口縁14に沿って脚用弾性部材が設けられることが好ましい(図示せず)。脚用弾性部材を設けることにより、おむつホルダー11の脚周りのフィット性を高めやすくなり、また、おむつホルダー11の肌側面に載置した尿パッド等が脚開口縁14からはみ出しにくくなる。
【0060】
本発明のおむつホルダーは、パンツ部材が伸縮材料から構成されることが好ましい。パンツ部材が伸縮性を有していれば、おむつホルダーを着用した際、おむつホルダーの肌側面に載置した尿パッド等の着用者の肌への密着性を高めることができる。伸縮材料としては、天然ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソブチレン等の合成ゴム;ポリウレタン、ポリエーテル・ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の合成樹脂等を用いることができる。この場合、パンツ部材は、伸縮材料を含む繊維から形成された織布、編布、不織布等から構成されたり、伸縮材料をフィルム状に形成したプラスチックフィルムから構成されればよい。
【0061】
パンツ部材は、横方向の伸び率が縦方向の伸び率よりも大きいことが好ましい。縦方向とは、おむつホルダーを着用者が着用した際、着用者の上下方向または着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味し、横方向とは、おむつホルダーを着用者が着用した際の着用者の左右方向に相当する。パンツ部材が、横方向の伸び率が縦方向の伸び率よりも大きくなるように構成されていれば、おむつホルダーの着用者の腰周りへの密着性を高めやすくなる。またおむつホルダーを着用した際に、着用者の腰や脚の動きにパンツ部材が追従しやすくなり、装着感が向上する。
【0062】
パンツ部材が横方向と縦方向で異なる伸び率を有する場合、パンツ部材は編布から構成されることが好ましい。編布のなかでも特に緯編布は、編布の巾方向の伸び率が高いためより好ましい。編布を構成する糸としては、ポリウレタン、ポリエステルなどの伸縮性を有する糸のみを用いてもよいが、綿などの天然繊維を交編させることで肌触りを良くすることもできる。
【0063】
パンツ部材の横方向の伸び率の縦方向の伸び率に対する比(横方向の伸び率/縦方向の伸び率)は、1.2以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、また8.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましい。パンツ部材がこのように構成されていれば、着用者の腰周りへの密着性を高めておむつホルダーを着用することが容易になる。
【0064】
パンツ部材の横方向の伸び率は、80%以上が好ましく、100%以上がより好ましく、また200%以下が好ましく、180%以下がより好ましい。パンツ部材がこのような伸び率を有していれば、おむつホルダーの着用者の腰周りへの密着性を高めやすくなり、また着用者の腰や脚の動きへの追従性を高めやすくなる。
【0065】
伸び率はJIS L 1018 8.14.2の定荷重時伸び率(カットストリップ法)に基づき測定する。具体的には、2.5cm×20cmの試験片を縦方向または横方向が長手方向となるように5枚ずつ切り出し、引張試験機にて伸び率を測定する。試験片の長手方向の一端を引張試験機の上部クランプに固定し、他端に初荷重29mNを加えて試験片に10cm(L)間隔に印を付け、その後、7.35Nの荷重を加えて1分間放置し、放置後の印間の長さL1(cm)を測り、式:EP=(L1−L)/L×100に基づき伸び率EPを算出する。伸び率は5つの試験片の測定結果の平均値を用いる。
【0066】
パンツ部材は縦方向と横方向の伸長弾性率が60%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、また100%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。パンツ部材がこのような伸長弾性率を有していれば、おむつホルダーの着用者の腰周りへの密着性を高めやすくなり、またおむつホルダーの肌側面に載置した尿パッド等の着用者への密着性を高めやすくなる。
【0067】
伸長弾性率はJIS L 1018 8.15.2のB法(定荷重法)に基づき測定する。具体的には、2.5cm×20cmの試験片を縦方向または横方向が長手方向となるように5枚ずつ切り出し、引張試験機にて伸長弾性率を測定する。試験片の長手方向の一端を引張試験機の上部クランプに固定し、他端に初荷重29mNを加えて試験片に10cm(L)間隔に印を付ける。その後、7.35Nの荷重を加えて1分間放置し、放置後の印間の長さL1(cm)を測り、次いで直ちに荷重を取り除き3分間放置し、放置後の印間の長さL2(cm)を測り、式:Ee=(L1−L2)/(L1−L)×100に基づき伸長弾性率Eeを算出する。伸長弾性率は5つの試験片の測定結果の平均値を用いる。
【0068】
パンツ部材は、通気性を確保して、着用時の蒸れを低減する点から、織布、編布、不織布等の布材料から構成されることが好ましく、織布または編布から構成されることがより好ましい。パンツ部材の通気性は、例えば、30cc/cm
2・s以上であることが好ましく、40cc/cm
2・s以上であることがより好ましい。パンツ部材の通気性の上限は特に限定されないが、パンツ部材の強度を確保する点から、例えば、200cc/cm
2・s以下であればよい。通気性は、JIS L 1018 8.33.1に基づき測定する。