(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値と人の目の大きさの各印象分類との前記対応関係から、算出された前記相対値に対応する前記被験者の目の大きさの印象分類を特定する、
ことを更に含む請求項1から3のいずれか1項に記載の目の大きさの印象判定方法。
前記被験者に関し、前記交線上における、前記各外眼角より下方の最も顔幅方向外側に張り出した左右の各点を各頬幅特定点としてそれぞれ特定する頬点特定部を更に備え、
前記幅算出部は、前記頬点特定部により特定された前記頬幅特定点間の距離を前記頬幅として算出する、
請求項6に記載の目の大きさの印象判定装置。
前記面積算出部は、前記3次元情報から、前記検出部により検出された前記被験者の少なくとも一方の目の縦幅及び横幅を取得し、前記被験者の少なくとも一方の目の縦幅及び横幅を掛け合わせることにより、前記被験者の少なくとも一方の目の面積を取得する、
請求項6又は7に記載の目の大きさの印象判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態は例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における目の大きさの印象判定方法を示すフローチャートである。以下、
図1を用いて、第1実施形態として、目の大きさの印象判定方法(以降、単に印象判定方法と表記する場合もある)について説明する。
【0021】
第1実施形態における印象判定方法は、正面視状態の被験者の左右の外眼角を通る地面と垂直な平面と、その被験者の顔の表面との交線上における、外眼角より下方の頬骨位置の幅を頬幅として取得し(S11)、その被験者の少なくとも一方の目の面積を取得し(S12)、取得された少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の相対値を算出し(S13)、少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値と人の目の大きさの各印象分類との対応関係を用いて、算出された相対値に対応するその被験者の目の大きさの印象特定を可能にする(S14)ことを含む。
【0022】
背景技術の項で述べたように、目の大きさの印象を評価するにあたって、顔の2次元形状情報から得られる、顔の各部位のサイズ、及び、それらの部位間の相対値が用いられていた。ところが、人間は、他人の顔の3次元形状を知覚していることから、本発明者らは、顔の3次元情報(例えば、凹凸など)も目の大きさの印象を評価するのに重要な要素であると考えた。その上で、本発明者らは、顔の3次元情報という膨大な因子の中から、特に、頬骨の目尻(外眼角)の下周辺(以降、外眼角下頬周辺と表記する)の形状が目の大きさの印象の形成に強い影響を及ぼしていることを見出した。
【0023】
人の頭部を、顔を形成する正面部と側面部とに区分けすると、その正面部と側面部との境界線上に、上記外眼角下頬周辺が存在する。その境界線は、眉山付近と目尻付近から、口角外側を通り、下顎に抜けるラインとなる。本発明者らは、芸術の分野における光源を調整して陰影をつける手法等においても、頭部の造形上のこのような境界線が強く意識されていると考えた。
【0024】
そこで、本発明者らは、その境界線上の各外眼角より下方の頬骨位置間の幅を、目の大きさの印象を判定するための因子として用いた。これにより、第1実施形態では、正面視状態の被験者の左右の外眼角を通る地面と垂直な平面と、その正面視状態の被験者の顔の表面との交線上における、外眼角より下方の頬骨位置の幅が頬幅として取得される(S11)。この頬骨位置とは、外眼角下頬周辺の或る位置を意味する。この頬骨位置として、頬幅特定点、即ち、正面視状態の被験者の左右の外眼角を通る地面と垂直な平面と、その正面視状態の被験者の顔の表面との交線上における、各外眼角より下方の最も顔幅方向の外側に張り出した左右の各点が利用されてもよい。
【0025】
図2は、正面視状態の被験者の左右の外眼角を通る地面と垂直な平面と、その正面視状態の被験者の顔の表面との交線の一部を示す図である。
図2では、当該交線の一部が太い点線で示されている。当該頬幅の取得形態には、コンピュータが画像処理により算出する形態や、定規等の計測器を用いて人が測定する形態等がある。前者の形態については、第2実施形態以降で説明する。
【0026】
後者(人が測定)の形態については、次のような具体例がある。測定者は、正面視状態の被験者の外眼角から地面と垂直の下方向に辿り頬骨上の或る位置にマークを付ける。このとき、被験者の外眼角から地面と垂直の下方向に辿り頬骨が顔幅方向の最も外側に張り出している位置にマークが付された場合には、そのマークは、頬幅特定点を示す。測定者は、このようなマーク付けを左右の外眼角についてそれぞれ行い、マーク間の直線の距離を計測器を用いて測定する。この測定により得られた値が上記頬幅とされる。なお、頬幅の取得形態はこのような具体例に制限されない。
【0027】
更に、第1実施形態では、被験者の少なくとも一方の目の面積が取得される(S12)。ここで、少なくとも一方の目の面積とは、左目のみの面積、右目のみの面積、両目の合計面積のいずれか1つを意味する。目の面積の取得形態には、コンピュータが画像処理により算出する形態や、定規等の計測器を用いて人が測定する形態等がある。前者の形態については、第2実施形態以降で説明する。
【0028】
後者(目の面積取得を人が測定)の形態については、次のような具体例がある。例えば、測定者は、紙を被験者の目に被せて、目の形をその紙にトレースし、その紙にトレースされた形状から周知の様々な方法でその目の面積を取得する。この場合取得される面積は、目の表面積に近似する。また、測定者は、被験者の目の縦幅及び横幅を定規等の計測器で測定し、それらの積から得られる値をその目の面積として算出してもよい。
【0029】
また、目の面積としては、例えば、まつ毛の生え際から内側の領域の面積が取得される。人は、まつ毛の生え際を目の外縁として視認すると考えられるため、この取得方法によれば、人の感覚に合った形で目の面積を取得することができる。この場合、目の横幅は、内眼角から外眼角までの距離に設定され、目の縦幅は、内眼角と外眼角とを結ぶ線に直交する線であって上下のまつ毛の生え際間を結ぶ最大長の線の長さに設定される。また、目の横幅は、目の顔幅方向最大距離に設定されてもよい。なお、他の例として、眼球の露出領域の面積が目の面積として取得されてもよい。
【0030】
第1実施形態では、取得された少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の相対値が算出される(S13)。この相対値は、例えば、目の面積(E)と頬幅(A)との間の比率である。この相対値としては、例えば、目の面積(E)を頬幅(A)で除算することにより得られる値(E/A)、頬幅(A)を目の面積(E)で除算して得られる値(A/E)、目の面積(E)を目の面積(E)と頬幅(A)との合計値で除算して得られる値(E/(A+E))、頬幅(A)を目の面積(E)と頬幅(A)との合計値で除算して得られる値(A/(A+E))がある。また、この相対値は、上述のような値に所定の係数が掛け合わされて得られる値としてもよい。
【0031】
本発明者らは、目の面積と頬幅との間の相対値と、人により形成される目の大きさの印象との間に明確な相関性があることを見出した。そこで、第1実施形態では、少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値と人の目の大きさの各印象分類との対応関係を用いて、このように算出された相対値に対応する当該被験者の目の大きさの印象特定が可能にされる(S14)。
【0032】
この印象特定を可能にする形態には、様々な形態がある。例えば、当該相対値毎或いは当該相対値の範囲毎に、「目が大きい印象」、「目が小さい印象」などの各印象分類が関連付けられた対応表(上記対応関係に相当する)が予め用意されており、実施者又はコンピュータが、この対応表と共に、上述のように算出された相対値を被験者などに提示する方法がある。この場合には、当該印象特定は、提示された側の者(被験者等)が行ってもよい。また、実施者又はコンピュータが、その対応表を用いて、その算出された相対値に対応する当該被験者の目の大きさの印象分類を特定してもよい。コンピュータによる実施形態については、第2実施形態以降で説明する。
【0033】
このように、第1実施形態は、被験者の頭部の3次元形状から得られるデータに基づいて目の大きさの客観的かつ定量的な印象判定を可能とする。これにより、第1実施形態によれば、2次元形状のみから得られるデータに基づく判定に比べて、正確な判定結果を導くことができる。ここでの正確とは、複数の判定者により実際にその被験者の目の大きさの印象が判定された場合の判定結果と等しくなることを意味する。
【0034】
また、第1実施形態によれば、頬幅と目の面積との2つの要素データにより、目の大きさの印象判定が可能となるため、3つ以上の複数の要素データを要する上述の他の手法に比べて、容易に当該印象を判定することができる。
【0035】
更に、第1実施形態における印象特定方法は、少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値と各化粧方法との対応関係から、算出された相対値に対応する被験者のための化粧方法を特定することを更に含んでもよい。これにより、当該印象特定方法は、化粧法の指導に利用できる(支援ツール)と共に、化粧品の販促ツールとしても利用できる。
【0036】
上述のように、当該相対値と、人間によって形成される目の大きさの印象とは相関関係にあることから、目の大きさの印象を変え得る化粧方法と当該相対値とを対応付けることができる。例えば、化粧方法により疑似的に、目の面積を広げる、又は、頬幅を狭める、又は、それらの組み合わせを行なえば、当該相対値を疑似的に変えることができる。よって、当該相対値に応じて目が小さい印象を与えると判定された被験者には、目が大きい印象に対応する値となるように当該相対値を疑似的に変えるような化粧方法が特定されればよい。
【0037】
目の面積が広がったように見せる化粧法には、アイライナー、マスカラ、アイシャドウといったアイメイクの化粧料を用いる化粧方法が有り、頬幅が狭まったように見せる化粧方法には、頬紅やファンデーションといった化粧具を用いて立体感を出す化粧方法等が有る。なお、特定すべき具体的な化粧方法については制限されない。
【0038】
上述のように、第1実施形態の印象判定方法には、人によって実施される工程が含まれてもよい。当該印象判定方法は、顔の物理的な形状から得られる客観的データと当該印象の統計的データとの間の相関性を用いることにより、他人の顔を見て多数の人が形成するであろう目の大きさの印象を、実際に多数の判定者にヒヤリング等することなく容易に判定することができるという一定の効果を反復継続して実現する方法である。言い換えれば、当該印象判定方法は、人間の受ける印象という一般的には反復類型性の予見や期待が困難であると言われる人間の特定の精神活動について、顔の特定部位の形状特性を示す物理データと実際に多数の判定者が受けた印象の統計データの明確な相関を用いて、一定の確実性を持つ判定を反復継続して行うことを可能としている。従って、例え、人によって実施される工程が含まれていたとしても、第1実施形態の印象判定方法は、全体として、自然法則を利用した技術的思想と言える。
【0039】
[第2実施形態]
〔装置構成〕
図3は、第2実施形態における目の大きさの印象判定装置(以降、単に印象判定装置とも表記する)10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。第1実施形態における印象判定装置10は、いわゆるコンピュータであり、例えば、バス5で相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)2、メモリ3、入出力インタフェース(I/F)4等を有する。メモリ3は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、可搬型記憶媒体等である。
【0040】
入出力I/F4は、
図3に示されるように、3次元センサ7、出力部9等と接続される。出力部9は、ユーザに対して所定形態で情報を出力する装置であって、ディスプレイ等の表示装置や、プリンタ装置等である。なお、本実施形態は、入出力I/F4に接続される機器を制限せず、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける入力部や、ネットワーク(図示せず)を介して他のコンピュータと通信を行う通信装置等と接続されてもよい。印象判定装置10のハードウェア構成は制限されない。
【0041】
3次元センサ7は、正面視状態の被験者の3次元情報を測定する。測定される被験者の3次元情報には、被験者の頭部における、上述の左右の頬幅特定点及び目を含む部分の情報が少なくとも含まれていればよい。また、3次元情報には、被験者の3次元形状を示す情報が少なくとも含まれていればよいが、被験者の2次元平面情報(2次元画像)も含まれていてもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、3次元センサ7の実現手法は制限されない。例えば、3次元センサ7は、点測定法、面測定法などのような光学的な周知の手法で当該3次元形状を計測する。点測定法には三角測量法などが含まれ、面測定法にはモアレトボグラフィ法、ステレオ法などが含まれる。また、
図3では、1つの3次元センサ7のみが図示されるが、採用される3次元形状の測定手法に応じて、3次元センサ7として、ステレオ法等で利用される2台以上の撮像装置が設けられてもよい。
【0043】
図4は、第2実施形態における印象判定装置10の処理構成例を概念的に示す図である。第2実施形態における印象判定装置10は、情報取得部11、検出部12、頬点特定部13、幅算出部15、面積算出部16、相対値算出部17、印象分類格納部18、出力部19等を有する。これら各処理部は、例えば、CPU2によりメモリ3に格納されるプログラムが実行されることにより実現される。また、当該プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F4を介してインストールされ、メモリ3に格納されてもよい。
【0044】
情報取得部11は、3次元センサ7から、正面視状態の被験者の3次元情報を取得する。
【0045】
検出部12は、情報取得部11により取得された3次元情報から、被験者の両目を検出する。両目の認識には、一般的な画像認識(パターン認識)の技術が利用されればよいため、ここでは説明を簡略化する。例えば、画像の中から、目、口等を認識する手法としては、例えば特開2007−200289号公報、特開2009−015599号公報、特開2009−086705号公報などに記載の手法を用いて、当該3次元情報に含まれる被験者の2次元平面画像から、被験者の両目を検出する。
【0046】
検出部12は、検出された両目の情報を、例えば、座標情報として保持する。このとき、検出部12は、当該3次元情報からフランクフルト平面を検出し、この平面を3次元座標の基準面として、当該3次元情報に座標を設定するようにしてもよい。以降、各処理部は、この座標情報を用いて処理をするようにしてもよい。
【0047】
頬点特定部13は、情報取得部11により取得された3次元情報から、上述の外眼角下頬周辺の或る位置を特定する。例えば、頬点特定部13は、検出部12により検出された被験者の両目の各々について目尻(外眼角)をそれぞれ特定し、当該3次元情報に含まれる等高線情報から、両外眼角を通る1つの等高線を特定し、この等高線上における当該外眼角の下方の頬骨の或る位置を特定する。
【0048】
図5は、両外眼角を通る等高線の例を示す図である。
図5の画像31は、情報取得部11により取得された3次元情報から得られる等高線情報を示し、画像32には、両外眼角を通る等高線が示されている。なお、
図5に示される画像では、個人情報保護の観点から目周辺が黒く塗りつぶされている。これは、印象判定装置10の処理に由来するものではない。このとき、両外眼角を通る等高線は、正面視状態の被験者の両目の各外眼角を通る地面と垂直な平面とその正面視状態の被験者の顔の表面との交線に相当する。
【0049】
情報取得部11により取得された3次元情報において、左右の外眼角が異なる等高線上に位置している場合には、頬点特定部13は、その3次元情報に含まれる等高線情報を、両外眼角が同一の等高線上に位置するように補整してもよい。このとき、頬点特定部13は、上述したような左右の頬幅特定点を特定してもよい。頬幅特定点とは、正面視状態の被験者の両目の各外眼角を通る地面と垂直な平面とその正面視状態の被験者の顔の表面との交線上における、各外眼角より下方の最も顔幅方向外側に張り出した左右の各点である。
図5には、頬幅の例及び頬幅特定点の例についても示されている。
【0050】
幅算出部15は、頬点特定部13により特定された左右の位置間の距離を頬幅として算出する。当該位置として頬幅特定点が特定されている場合には、幅算出部15は、左右の頬幅特定点間の距離を頬幅として算出する。当該距離は、例えば、情報取得部11により取得された3次元情報が示す、頬点特定部13により特定された各点の位置座標に基づいて、算出される。
【0051】
面積算出部16は、情報取得部11により取得された3次元情報に基づいて、検出部12により検出された、被験者の少なくとも一方の目の面積を算出する。面積算出部16は、3次元情報に含まれる被験者の2次元平面画像からその面積を算出してもよいし、3次元形状の情報に基づいて目の表面積を精密に算出してもよい。また、面積算出部16は、検出部12により検出された被験者の少なくとも一方の目の縦幅及び横幅を取得し、それらの積を被験者の少なくとも一方の目の面積として算出してもよい。上述したように、少なくとも一方の目の面積とは、左目のみの面積、右目のみの面積、両目の合計面積のいずれか1つを意味する。また、上述したように、目の面積としては、まつ毛の生え際の内側の領域の面積が取得されてもよいし、眼球の露出領域の面積が取得されてもよい。
【0052】
相対値算出部17は、面積算出部16により算出された目の面積と幅算出部15により算出された頬幅との間の相対値を算出する。
【0053】
印象分類格納部18は、少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値と人の目の大きさの各印象分類との対応関係を格納する。具体的には、印象分類格納部18は、当該相対値毎或いは当該相対値の範囲毎に、「目が大きい印象」、「目が小さい印象」などの各印象分類が関連付けられた対応表を格納する。なお、印象分類格納部18は、印象分類が切り替わる閾値として、各相対値のみを格納していてもよい。この場合、例えば、印象分類格納部18は、「目が小さい印象」と「目が大きい印象」との間の閾値となる相対値を格納する。なお、本実施形態は、具体的な印象分類を制限しない。印象分類は、「目が小さい印象」、「目が大きい印象」の2つに分類されていてもよいし、それより詳細に分類されていてもよい。
【0054】
出力処理部19は、相対値算出部17により算出された相対値、及び、この相対値に対応する被験者の目の大きさの印象分類の少なくとも一方を入出力I/F4を介して出力部9から出力する。印象分類を出力する場合には、出力処理部19は、印象分類格納部18から、相対値算出部17により算出された相対値に対応する印象分類を抽出し、抽出された印象分類を示す情報を生成する。当該出力形態は、表示装置への表示であってもよいし、印刷装置からの印刷であってもよいし、音声出力であってもよい。
【0055】
〔動作例〕
以下、第2実施形態における印象判定装置10の動作例について
図1を用いて説明する。印象判定装置10は、
図1の各処理工程を順に実行する。
【0056】
(S11)は、情報取得部11、検出部12、頬点特定部13及び幅算出部15により実現される。即ち、情報取得部11が被験者の3次元情報を取得し、検出部12が被験者の両目を検出し、頬点特定部13が外眼角下頬周辺の或る位置(頬幅特定点を含む)を特定し、幅算出部15が頬幅を算出する。
【0057】
(S12)は、(S11)における情報取得部11及び検出部12の各処理に加えて、面積算出部16の処理により実現される。即ち、面積算出部16が、情報取得部11により取得された3次元情報に基づいて、検出部12により検出された被験者の少なくとも一方の目の面積を算出する。
【0058】
(S13)は、(S11)で算出された頬幅と(S12)で算出された少なくとも一方の目の面積とを用いて、相対値算出部17により実現される。
【0059】
(S14)は、(S13)で算出された相対値に基づいて、出力処理部19により実現される。(S14)での印象特定の態様については、出力処理部19は、当該相対値のみ、又は、当該相対値に対応する被験者の目の大きさの印象分類を示す情報、或いは、それら両方を出力部9から出力する。
【0060】
〔第2実施形態の作用及び効果〕
上述したように第2実施形態では、3次元センサ7により被験者の3次元情報が検出され、この3次元情報がコンピュータ(印象判定装置10)により自動で解析されることにより、被験者の目の大きさの印象を特定するための相対値データや印象分類情報が自動で出力される。被験者は、正面視状態において、少なくとも自身の頭部を印象判定装置10の3次元センサ7の前に置くことで印象判定装置10の出力部9に出力(表示、印刷、音声出力など)された情報を得ることができるので、他人が認識するであろう自身の目の大きさの印象を知ることができる。
【0061】
このように、第2実施形態によれば、被験者は、容易にかつ迅速に自身の目の大きさの客観的な印象を知ることができる。また、第2実施形態では、目の面積及び頬幅がコンピュータ処理により算出されるため、より正確な印象判定を行うことができる。
【0062】
[第3実施形態]
第3実施形態では、第2実施形態で算出される情報を用いて、被験者のために有効な化粧方法を示す情報が自動で出力される。以下、第3実施形態における印象判定装置10について、第2実施形態と異なる内容を中心に説明する。また、第2実施形態と同様の内容については適宜省略する。
【0063】
〔装置構成〕
第3実施形態における印象判定装置10のハードウェア構成は、
図3に示される第2実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図6は、第3実施形態における印象判定装置10の処理構成例を概念的に示す図である。第3実施形態における印象判定装置10は、第2実施形態の構成に加えて、化粧方法特定部21及び化粧方法格納部22を更に有する。
【0064】
化粧方法格納部22は、少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値と各化粧方法との対応関係を格納する。具体的には、化粧方法格納部22は、当該相対値毎或いは当該相対値の範囲毎に、「目を大きく見せる化粧法」、「顔に立体感を持たせる化粧法」などの各化粧方法が関連付けられた対応表を格納する。なお、化粧方法格納部22は、化粧方法が切り替わる閾値として、各相対値のみを格納していてもよい。この場合、例えば、化粧方法格納部22は、「顔に立体感を持たせる化粧法」を提示する場合とそうでない場合との間の閾値となる相対値を格納する。
【0065】
図7は、化粧方法格納部22の例を示す図である。
図7に示されるように、化粧方法格納部22は、各相対値に関し、各化粧方法とその程度を示す情報とをそれぞれ格納するようにしてもよい。
図7の例によれば、相対値範囲が「A値toB値」の場合に、「顔に立体感を持たせる化粧」を「程度:小」(薄く)する化粧法が格納され、相対値範囲が「B値toC値」の場合に、「顔に立体感を持たせる化粧」を「程度:大」(濃く)する化粧法が格納され、相対値範囲が「C値toD値」の場合に、「顔に立体感を持たせる化粧」を「程度:大」(濃く)する化粧法と、「目を大きく見せる化粧」を「程度:小」(薄く)する化粧法との組み合わせが格納され、相対値範囲が「D値toE値」の場合に、「顔に立体感を持たせる化粧」を「程度:大」(濃く)する化粧法と、「目を大きく見せる化粧」を「程度:大」(濃く)する化粧法との組み合わせが格納される。なお、本実施形態は、具体的な化粧方法を制限しない。
【0066】
化粧方法特定部21は、化粧方法格納部22から、相対値算出部17により算出された相対値に対応する化粧方法を特定する。
【0067】
出力処理部19は、化粧方法特定部21により特定された化粧方法を示す情報を入出力I/F4を介して出力部9に出力する。第3実施形態における出力処理部19は、当該相対値又は当該相対値に対応する被験者の目の大きさの印象分類を示す情報を、化粧方法の情報と共に出力してもよいし、化粧方法の情報のみを出力してもよい。
【0068】
〔動作例〕
図8は、第3実施形態における印象判定装置10の動作例を示すフローチャートである。
図8の例では、
図1に示されるフローに対して、(S61)及び(S62)が更に実行される。
【0069】
(S61)では、化粧方法特定部21が、化粧方法格納部22から、相対値算出部17により算出された相対値に対応する化粧方法を特定する。(S62)では、出力処理部19が、化粧方法特定部21により特定された化粧方法を示す情報を入出力I/F4を介して出力部9に出力する。
【0070】
なお、
図8における(S14)を省くことにより、当該化粧方法を示す情報のみが出力されるようにしてもよい。
【0071】
〔第3実施形態の作用及び効果〕
このように、第3実施形態では、算出された相対値に対応する化粧方法が特定され、この化粧方法を示す情報が出力される。よって、被験者は、この出力情報で示される化粧方法を参考に化粧を行うことにより、自身の目の大きさの印象を改善することができる。即ち、本実施形態によれば、算出された相対値を使って、化粧法を指導することができる。更に、本実施形態によれば、当該化粧法に応じて化粧品カウンセリングを行うこともできる。
【0072】
以下に各実施例を挙げ、上述の各実施形態を更に詳細に説明する。但し、本発明は以下の各実施例から何ら制限を受けない。
【実施例1】
【0073】
実施例1では、本発明者らによって想到された、少なくとも1つの目の面積と頬幅との間の相対値と、人により形成される目の大きさの印象との間の明確な相関性が検証されると共に、その相対値を用いた目の大きさの印象の判定結果の正当性が検証された。なお、以下の実施例1では、少なくとも1つの目の面積と頬幅との間の相対値には、片方の目の面積(E)を頬幅(A)で除算して得られる比率(E/A)が利用された。また、目の面積(E)には、眼球の露出領域の面積が利用された。
【0074】
実施例1における検証では、アイメイクをしていない12名の女性の顔画像を評価刺激として用い、20代から40代の女性10人を判定者とする目の大きさの印象評価が行われた。
図9は、実施例1で用いられた評価刺激(12名の顔画像)を示す図である。なお、
図9に示される画像では、個人情報保護の観点から各画像の目周辺が黒く塗りつぶされており、
図9では目の大きさの印象は判定できないが、実施例1における印象評価では当然塗りつぶしのない顔画像が利用された。
【0075】
本評価では、各判定者により、
図9に示される各顔画像が、目の大きさの印象により3つ(大きい、普通、小さい)に分類された。評価の結果、
図10に示されるように、顔画像P1、P3、P4及びP7が「目が大きい印象」に分類され、顔画像P2、P9、P10及びP12が「目が小さい印象」に分類され、それ以外の顔画像が「普通」に分類された。
【0076】
図10は、実施例1における印象評価の結果と、片方の目の面積(E)と頬幅(A)との間の比率との相関関係を示す図である。
図10に示される各比率は、
図9に示される各顔画像の被験者についてそれぞれ算出されたものであり、
図10では、当該比率が降順に上から下に並べられている。なお、当該比率が同値となった顔画像については、番号順に上から下に並べられている。
【0077】
図10に示されるように、実施例1の印象評価の結果、目の大きさの印象評価の結果と、本発明における少なくとも1つの目の面積と頬幅との間の比率を用いて印象判定の結果とが実質的に一致していることが検証された。実質的に一致としたのは、本発明における当該比率による判定では、「目が大きい印象」と「普通の印象」との境界、及び、「目が小さい印象」と「普通の印象」との境界となる、顔画像P3及びP10が、曖昧な結果となり得るからである。しかしながら、これら顔画像P3及びP10に関する判定においても、印象評価結果と大きく相違しておらず、顔画像P3は、「普通の印象」又は「目が大きい印象」と判定することができ、顔画像P10は、「普通の印象」又は「目が小さい印象」と判定することができる。
【0078】
図10の例によれば、目が大きい印象と判定するための閾値として、0.03が保持され、目が小さい印象と判定するための閾値として、0.029が保持されればよい。この場合、比率(E/A)が0.03以上となる被験者を「目の大きい印象」と判定し、比率(E/A)が0.029以下となる被験者を「目の小さい印象」と判定すればよい。このような比率の閾値を設定することにより、「目の大きい印象」又は「目の小さい印象」と判定すべき被験者を明確に特定することが出来る。
【0079】
実施例1では、更に、少なくとも1つの目の面積と頬幅との間の比率以外の物理データと、印象評価の結果との関係についても調査された。
図11は、実施例1の調査で利用された物理データを示す図である。実施例1の調査では、
図11に示されるように、目幅(横)、目幅(縦)、目の面積、内眼角幅、外眼角幅、頬弓幅が物理データとして計測され、これら物理データが利用された。
【0080】
図12は、目幅(横)、目幅(縦)、目幅比及び目の面積と、印象評価の結果との対比表である。目幅比とは、目幅(縦)を目幅(横)で除算して得られる比率である。
図12に示される各パラメータによる判定では、
図12に網掛けで示される各顔画像に関し、特に、印象評価結果と大きく相違する結果となった。
図12によれば、目の大きさを示す物理データ自体は、目の大きさの印象と一致しないことが検証された。
【0081】
図13は、内眼角幅、外眼角幅及び頬弓幅と目面積との間の各比率と、印象評価の結果との対比表である。
図13で示される比率による判定は、
図10に示される本発明の比率による判定と比較すると、次のような点に関し、判定精度が低下していることが分かる。内眼角幅と目面積との比率では、顔画像P5、P6、P8及びP11は、印象評価の境界を操作したとしても、「普通の印象」と判定することはできず、顔画像P7、P3、P2及びP9は、印象評価の境界を操作したとしても、「目が大きい印象」又は「目が小さい印象」と判定することはできない。また、外眼角幅と目面積との比率では、顔画像P2及びP3の値が等しくなっているため、特にその両者を「目が大きい印象」又は「目が小さい印象」と区別して判定することはできない。また、頬弓幅と目面積との比率では、顔画像P2の値が顔画像P8と等しくなっているため、それを「目の小さい印象」と判定することはできない。
【0082】
図14は、頬幅、内眼角幅、外眼角幅及び頬弓幅と目幅(横)との間の各比率と、印象評価結果との対比表である。
図14に示される各比率による判定では、特に、
図14に網掛けで示される各顔画像に関し、印象評価結果と大きく相違する結果となった。
【0083】
図15は、頬幅、内眼角幅、外眼角幅及び頬弓幅と目幅(縦)との間の各比率と、印象評価結果との対比表である。頬幅、外眼角幅及び頬弓幅と目幅(縦)との間の各比率による判定では、特に、
図15に網掛けで示される顔画像P10に関し、印象評価結果と大きく相違する結果となった。また、内眼角幅と目幅(縦)との間の比率による判定では、顔画像P10の値が顔画像P4よりも大きくなるため、特に顔画像P4及びP10を「目が大きい印象」又は「目が小さい印象」と区別して判定することができない。
【0084】
図16は、頬幅、内眼角幅、外眼角幅及び頬弓幅と目幅比との間の各比率と、印象評価結果との対比表である。
図16に示される各比率による判定では、特に、
図16に網掛けで示される顔画像P10に関し、印象評価結果と大きく相違する結果となった。
【0085】
このように、実施例1によれば、片方の目の面積(E)と頬幅(A)との間の比率(E/A)により目の大きさの判定と、人により形成される目の大きさの印象とが実質的に一致することが検証された。加えて、実施例1によれば、当該比率(E/A)を用いた目の大きさの印象判定が、当該比率(E/A)以外の物理データを用いた判定よりも正確であることが検証された。
【0086】
また、上述の実施例1によれば、片方の目の面積(E)と頬幅(A)との間の比率(E/A)と、人により形成される目の大きさの印象との間に明確な相関性が認められたため、上述の各実施形態における相対値の他の態様(A/E、E/(A+E)、A/(A+E)など)についても同様の結論を導くことができる。但し、頬幅(A)が分子となる相対値の場合には、相対値と目の大きさの印象とは負の相関となり、相対値が小さい程、目が大きい印象を示し、相対値が大きい程、目が小さい印象を示す。相対値の他の態様として、両目の合計面積と頬幅との間の相対値を用いた判定についても、同様の結論を導くことができる。
【実施例2】
【0087】
実施例2では、化粧方法によって、目の大きさや顔の大きさの印象が変化するか否かについて評価された。実施例2における印象評価は、20代の一人の女性に対し3タイプの異なる化粧方法が適用された3つの化粧顔画像を評価刺激として用い、4名の判定者によるThurstoneの一対比較法により実施された。
【0088】
3タイプの化粧方法として、ファンデーションを平面的に塗る方法(以降、平面FDと表記する)、平面FDに加えて頬紅を塗る方法(以降、平面FD+頬紅と表記する)、ファンデーションを立体的に塗ると共に頬紅を塗る方法(以降、立体FD+頬紅と表記する)が比較された。ファンデーションを立体的に塗る方法には、例えば、グラデーションを付けてファンデーションを塗る方法がある。実施例2における評価法により、化粧方法のみの差という刺激間の小さな差が検出された。
【0089】
図17は、実施例2における印象評価の結果を示す図である。実施例2により、
図17に示されるように、頬紅塗布により、目が大きくかつ顔が小さく感じられ、頬紅塗布及びファンデーションの立体的塗布により、その印象が更に大きくなることが検証された。また、顔が小さい印象よりも、顔が広い印象のほうが、目の大きさの印象と近い評価が得られている。これにより、本発明で利用している頬幅が目の大きさの印象に大きな影響を与えていることが支持されたといえる。
【0090】
このように、実施例2によれば、ファンデーションや頬紅等を外眼角下頬周辺に塗布し顔の立体感を強調することで、目元の化粧や顔辺縁のシェーディングを行わなくても、目の大きさや顔の大きさの印象を変えられることが検証された。従って、この実施例2の結果により、少なくとも一方の目の面積と頬幅との間の各相対値に応じた化粧方法を特定することができ、その化粧方法により、目の大きさの印象を変え得ることが検証された。即ち、当該相対値に応じて、ファンデーションのグラデーションの程度や、ファンデーションに加えて頬紅を塗布すべきか等、化粧のカウンセリングを行うことができることが検証された。
【0091】
[補足]
上述の実施例2では、化粧を外眼角下頬周辺に施し顔の立体感を強調することで、目の大きさや顔の大きさの印象を変えられることが検証された。アイライナー、アイシャドウ、マスカラ等のアイメイクによってアイラインの位置を際立たせることにより、目の大きさの印象は変化し、目の面積が広がったように感じられる場合がある。そこで、上述の各実施形態及び各実施例は、アイメイクを施した被験者を判定対象とする場合には、そのアイメイクも加味して、被験者の目の大きさの印象を判定するようにしてもよい。また、アイメイクを加味した判定とするかアイメイクを無視した判定とするかが切り替えられるようにしてもよい。
【0092】
アイメイクも加味して目の大きさの印象判定を行う場合には、上述のようなまつ毛の生え際よりも外側のアイメイク上の所定箇所を目の面積の境界に設定し、その境界に基づいて目の面積が取得されるようにすればよい。アイメイク上の所定箇所は、例えば、アイライナーや濃い色のアイシャドウ等を用いて目の一部を囲むようにアイラインが施されている場合には、そのアイラインの外縁に設定される。
【0093】
図18Aは、アイメイク無しの場合及びアイメイク有りの場合に取得される目の面積の例を示す図であり、
図18Bは、アイメイク無しの場合及びアイメイク有りの場合に取得される目の縦幅及び横幅の例を示す図である。
図18Aでは、アイメイク無しの場合に、まつ毛の生え際から内側の領域の面積が目の面積として取得される例が示され、アイメイク有りの場合に、アイラインの外縁(アイラインが無い部分はまつ毛の生え際)から内側の領域の面積が目の面積として取得される例が示されている。
図18Aに示されるように、アイメイクも加味して目の大きさの印象判定を行う場合に取得される目の面積は、上述の各実施形態で取得されるものよりも広くなる。
【0094】
また、
図18Bの例では、アイメイク無しの場合に、内眼角と外眼角との間の距離が目の横幅として取得され、内眼角と外眼角とを結ぶ線に直交する線であって上下のまつ毛の生え際間を結ぶ最大長の線の長さが目の縦幅として取得されている。同例では、アイメイク有りの場合には、左右のアイラインの外縁(アイラインが無い部分はまつ毛の生え際)間の顔幅方向最大距離が目の横幅として取得され、その目の横幅を示す線に直交する線であって上下のアイライン(アイラインが無い部分はまつ毛の生え際)の外縁間を結ぶ最大長の線の長さが目の縦幅として取得されている。
図18Bに示されるように、アイメイクも加味して目の大きさの印象判定を行う場合に取得される目の縦幅及び横幅は、上述の各実施形態で取得されるものよりも大きくなる。結果、同一被験者に関し、アイメイクが施された方が、アイメイク無しよりも、目が大きい印象と判定される可能性を高めることができる。
【0095】
なお、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数のステップ(処理)が順番に記載されているが、本実施形態で実行される処理ステップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。本実施形態では、図示される処理ステップの順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。