特許第5959922号(P5959922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959922
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】物品落下防止装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20160719BHJP
   A47B 96/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A47F5/00 F
   A47B96/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-100993(P2012-100993)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-226279(P2013-226279A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年4月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年2月1日〜同年2月3日に、東京ビッグサイトにおいて開催された、第46回スーパーマーケット・トレードショー2012で公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】堀田 玄樹
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−095556(JP,A)
【文献】 特表2009−511095(JP,A)
【文献】 特表2000−505676(JP,A)
【文献】 特開2007−082779(JP,A)
【文献】 特開2003−024194(JP,A)
【文献】 特開2000−135149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47B 96/00−96/02
57/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に立設した支柱の上下方向に列設された係止孔に、後端にフックを有する左右一対のブラケットを係止し、該ブラケットにより棚板を支持してなり、物品棚に前後方向に陳列される上部に胴体部分よりくびれた首部を有する物品の落下を防止する物品落下防止装置であって、
前記物品落下防止装置は、前記左右の支柱の上下方向に列設された係止孔に係止可能なフックを備える杆部材と、少なくとも左右に離間する2本の線状部材を有し前記物品の周囲を囲繞する移動規制部材を前記杆部材の左右所定位置に配置固定できる固定部と、を備え
前記移動規制部材は、前記2本の線状部材の左右の幅寸法が、前記物品の首部の直径より大きく、かつ前記物品の胴体部分の直径より小さく形成されていることを特徴とする物品落下防止装置。
【請求項2】
前記移動規制部材と前記固定部とが一体的に構成されており、前記固定部は前記杆部材に対して着脱可能に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の物品落下防止装置。
【請求項3】
前記線状部材には補助規制部材が前後方向に摺動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の物品落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア及び倉庫等で飲料などの容器を陳列及び収納する物品棚における物品落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で用いられる物品を陳列する物品棚として、平常時は物品の出し入れに支障がなく物品の展覧ができ、且つ地震などの震動による物品の落下を防止することができる物品落下防止装置がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2826811号公報
【特許文献2】特開2007−82779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記特許文献1に記載されている物品落下防止装置にあっては、感震振り子を利用し、この感震振り子の振動で支持機構の係合を外し、水平部材が上方に移動して落下防止装置として作動する構造になっているため、物品の出し入れに支障はないものの、係合装置と感震手段とを別々に備えなければならないといった複雑な構造であり、取扱いが煩雑になるばかりか、部品点数が増加し、製造コストが高い割には十分な落下防止効果を発揮できない。
【0005】
また、前記特許文献2に記載されている物品落下防止装置にあっては、前方に落下防止板が設けられており、簡素化された構造でありながら物品の落下を防止するには効果があるものの、左右方向の揺れや上下方向の揺れに対して、または背の高い物品に対して落下防止効果を十分に発揮するとはいえないものである。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、地震などの震動による物品の移動を効果的に規制し、物品棚からの物品の落下を防止することができるとともに、各種サイズの物品を陳列する物品棚に対応可能な物品落下防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の物品落下防止装置は、
左右に立設した支柱の上下方向に列設された係止孔に、後端にフックを有する左右一対のブラケットを係止し、該ブラケットにより棚板を支持してなり、物品棚に前後方向に陳列される上部に胴体部分よりくびれた首部を有する物品の落下を防止する物品落下防止装置であって、
前記物品落下防止装置は、前記左右の支柱の上下方向に列設された係止孔に係止可能なフックを備える杆部材と、少なくとも左右に離間する2本の線状部材を有し前記物品の周囲を囲繞する移動規制部材を前記杆部材の左右所定位置に配置固定できる固定部と、を備え
前記移動規制部材は、前記2本の線状部材の左右の幅寸法が、前記物品の首部の直径より大きく、かつ前記物品の胴体部分の直径より小さく形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、上下方向に列設された係止孔を有する支柱に対して、杆部材の高さ、すなわち移動規制部材の上下位置を適宜物品の高さに合わせて選択可能であることから、種々の高さの物品の転倒や落下を効果的に防止できる。さらに、杆部材に対して固定部の位置を変更することにより、移動規制部材の左右位置を変更できるため、種々の形状の物品の陳列が可能となる。また、物品の胴体部分が左右の線状部材間を上方に通過できないため、物品の上方への抜脱が不能となっている。
【0008】
本発明の物品落下防止装置は、
前記移動規制部材と前記固定部とが一体的に構成されており、前記固定部は前記杆部材に対して着脱可能に固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、固定部が杆部材に対して着脱可能になっているため、移動規制部材を適宜変更でき、物品に対して最適な形状の移動規制部材を配置できることになる。
【0009】
本発明の物品落下防止装置は、
前記線状部材には補助規制部材が前後方向に摺動可能に取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、補助規制部材により、陳列された物品の後方移動を規制することができるため、物品の転倒を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の適用された物品棚の設置状況を示す一部拡大斜視図である。
図2】物品落下防止装置を示す斜視図である。
図3】物品に対する囲繞部の配置位置を示す正面図である。
図4】物品の取り出しを示す側面図である。
図5】異なる移動規制部材を混在させた設置状況を示す一部拡大斜視図である。
図6】(a)は、変形例における移動規制部材を示す斜視図であり、(b)は物品の取り出しを示す一部拡大斜視図である。
図7】(a)は、変形例における移動規制部材を示す斜視図であり、(b)は物品の取り出しを示す一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る物品棚における物品落下防止装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
実施例に係る物品棚における物品落下防止装置につき、図1図5を参照して説明する。図1図5の符号1は、物品棚8に取付けて使用する物品落下防止装置である。この物品落下防止装置1の使用例を図1に基づいて説明すると、物品棚8は、ここでは図示しないベース脚とその両側後端に起立し、前面に複数の係止孔10を有した支柱9と、左右一対のブラケット部材12に支持された数枚の棚板11及びストッパー13により構成されている。なお、本実施例における物品B,B…は、上部に胴体部分Bbよりくびれた首部Baを有する飲料等を封入した瓶等のボトル容器であり、ここではボトル容器を例に説明するものとする。
【0013】
図1に示されるように、この物品落下防止装置1は、物品棚8の棚板11上の物品Bの落下等に対応できる、物品Bの高さの中心より上方に位置するように位置決めされている。より詳しくは、物品落下防止装置1は、左右の支柱9,9の係止孔10,10…にフック6a,6a…(図2参照)を用いて係止される杆部材2を有しており、この杆部材2は、支柱9,9の係止孔10,10…の位置を適宜物品の高さに合わせて選択することで物品落下防止装置1の高さを調節できるようになっている。また、杆部材2に係合される移動規制部材3により、棚板11上に前後方向に複数陳列される物品B,B…を列ごとに囲繞することで、物品B,B…が震動などにより移動したり倒れたりして落下するのを防止できるようになっている。
【0014】
図2は、物品落下防止装置1の構成を詳述した図であり、物品落下防止装置1は、杆部材2と、この杆部材2に係合される固定部7を有する移動規制部材3と、から主に構成されている。また杆部材2は断面視略矩形状に形成されており、長手方向の両端にフック6a,6a…を有するブラケット部材6,6をそれぞれ有している。
【0015】
移動規制部材3は、固定部7と、物品Bを囲繞する略U字に湾曲した金属などからなる線状部材15とにより主に形成されている。そして固定部7は、図2及び図4に示すように、後方に一部開口した断面略矩形状に形成されており、固定部7の上片7aおよび上片7aの端部より下方に屈曲して延出する係止片7bにより杆部材2に吊持され、さらに、下片7cに設けられたネジ孔7dを挿通して固定ネジ17を支持部材の下面2aに押圧することで強固に固定されるようになっている。なお、固定部7は、この固定ネジ17を緩めることで杆部材2に対し左右方向に調整および着脱可能となっている。
【0016】
また、図1及び2に示されるように、本実施例では、前記移動規制部材3は、1本の線材が中央部で曲折され、2本の平行する部分と前方の先端部分とからなる線状部材15を構成するようになっており、この線状部材15により前後方向に陳列される物品を左右両側及び前側で囲繞するようになっており、該線状部材15には補助規制部材5がこの線状部材15に沿って前後方向に摺動可能に取り付けられている。
【0017】
図3に示すように、移動規制部材3の高さに関しては、移動規制部材3の高さが物品Bの落下防止に効果的な高さである首部Baに位置するように、前述した左右の支柱9,9の係止孔10,10を選択するのが望ましい(図1参照)。さらに、図3に示すように、移動規制部材3における左右の線状部材15間の幅寸法L1が、物品Bの首部Baの直径L2より大きく、かつ物品Bの胴体部分Bbの直径L3より小さく形成されている。これにより、物品Bの胴体部分Bbが左右の線状部材15間を上方に通過できないため、物品Bの上方への抜脱が不能となっている。なお、ある程度高さのある物品Bは、図4に示すように、一旦上方へ持ち上げて物品棚8の棚板11の前端部に設けられたストッパー13を跨がせるようにして前方へ斜めに引き出しが可能になる。
【0018】
図4に示すように、補助規制部材5は、常に物品の列の最後尾の物品B2の後方近傍に配置することで、地震などの震動による物品B2の後方への移動を規制できる。なお、物品棚8に陳列される物品は、最前の物品B1が常に線状部材15の前端15a近傍に配置されるように前詰めで陳列整理されることが望ましく、これによれば、前述した補助規制部材5による後方への移動規制に加え、前方への移動も規制され、物品の列は前後から挟まれるようになり、より効果的な物品移動の規制が可能となる。例えば図1に示すように、物品B,B…が物品棚8に3本以上陳列される場合は、最前の物品と最後尾の物品とにより、これらの間に陳列される物品が挟まれ、前後移動が規制されることになる。
【0019】
以上説明したように、本発明の物品落下防止装置1は、左右の支柱9,9の上下方向に列設された係止孔10,10…に係止可能なフック6a,6a…を備える杆部材2と、前記物品棚8に前後方向に陳列される物品B,B…の周囲を囲繞する移動規制部材3を前記杆部材2の左右所定位置に配置固定できる固定部7と、を備え、補助規制部材5が、左右両側の線状部材15を跨ぐように前後に摺動可能に取付けられている。これによれば、上下方向に列設された係止孔10,10…を有する支柱9,9に対して、杆部材2の高さ、すなわち移動規制部材3の上下位置を適宜物品の高さに合わせて選択可能であることから、種々の高さの物品の転倒や落下を効果的に防止でき、さらに前記杆部材2に対して固定部7の位置を変更することにより、移動規制部材3の左右位置を変更できるため、種々の形状の物品の陳列が可能となる。また、補助規制部材5により、陳列された物品Bの後方移動を規制することができる。
【0020】
また、移動規制部材3における左右の線状部材15により、前後に陳列される物品の列が個々に囲繞可能であることから、隣接する他の列の物品との干渉が阻止され、物品の破損を防止できることになる。
【0021】
なお、本実施例における物品Bは、特に上部に胴体部分よりくびれた首部を有する飲料等を封入したボトル容器を例にとり説明してきたが、本発明はこのような容器に限らず、たとえば図5に示すように、線状部材15の左右の幅が異なる移動規制部材3をそれぞれ用意することで、種々の形状の物品に合わせて最適な形状の移動規制部材30により、物品Bの移動を規制することができる。
【0022】
また、図6は、本発明における移動規制部材3の変形例であり、図6(a)に示すように左右の線状部材25が左右に分割されるとともに、ゴムチューブなどにより形成される弾性部材40,40により連結されている。これによれば、物品の取り出し時に図6(b)に示すように分割された線状部材の前部25aが上に持ち上がり、物品Bを容易に取り出すことができる。
【0023】
さらに、図7は、本発明における物品落下防止装置1の更なる変形例であり、図7(a)に示すように囲繞部35が前端部がゴムなどの弾性素材で形成されており、この前端部41,41は中央が切離されており、左右に開口可能となっている。これによれば、図7(b)に示すように物品Bを前端部41,41に所定の力で押し付けることで前端部41,41同士が弾性変形して漸次離間し、物品Bの取り出しが行えるようになっている。
【0024】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0025】
例えば、棚板11に前方に向けて下を向く傾斜を設ける物品棚に本発明の物品落下防止装置1を取り付ける場合は、棚板11上の商品12が前方へ自重で押し出されるとともに、物品が前方に隣接する物品に自重をかけた状態で安定し、後方への移動が生じ難いため、必ずしも補助規制部材5を用いなくとも良いことになる。
【符号の説明】
【0026】
1 物品落下防止装置
2 杆部材
3 移動規制部材
5 補助規制部材
5a 杆部材下面
6 ブラケット部材
6a フック
7 固定部
8 物品棚
9 支柱
10 係止孔
11 棚板
12 ブラケット部材
13 ストッパー
15 線状部材
B,B1,B2 物品
Ba 首部
Bb 胴体部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7