特許第5959932号(P5959932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959932
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】発泡性エアゾール組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20160719BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/60
   A61K8/81
   A61K8/55
   A61K8/02
   A61K8/44
   A61Q19/10
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-114877(P2012-114877)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-241359(P2013-241359A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100110984
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 敬子
(74)【代理人】
【識別番号】100111279
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 眞弘
(72)【発明者】
【氏名】羽部 恵美
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】松井 和弘
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−252725(JP,A)
【文献】 特開2011−093878(JP,A)
【文献】 特開2011−207862(JP,A)
【文献】 特開平07−316547(JP,A)
【文献】 特表平05−506018(JP,A)
【文献】 特開2013−224275(JP,A)
【文献】 特開2008−195669(JP,A)
【文献】 特開2004−002319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
C09K 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性界面活性剤、カチオン性成分、多価アルコールおよび水を含有する水性原液、液化ガス、ならびに炭酸ガスからなり、
前記水性原液は、前記水性原液と前記液化ガスとの合計量中85〜97質量%含有され、
前記液化ガスは、前記水性原液と前記液化ガスとの合計量中3〜15質量%含有され、
多価アルコールが、2〜4価アルコールおよび/または単糖類であり、水性原液中に5〜18質量%含有され、
前記カチオン性成分は、カチオン性高分子であり、
前記カチオン性成分の含有量は、水性原液中、0.5〜15質量%であ
発泡性エアゾール組成物。
【請求項2】
前記単糖類が糖アルコールである請求項記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項3】
前記水性原液は、さらに両性界面活性剤を含む、請求項1または2記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項4】
前記2〜4価アルコールは、2〜3価アルコールの二量体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性エアゾール組成物。
【請求項5】
前記液化ガスの25℃での蒸気圧が0.1〜0.3MPaであり、
前記炭酸ガスを充填した後の平衡圧力が0.4〜0.8MPaである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性エアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性エアゾール組成物に関する。さらに詳しくは、水性原液中にアニオン性界面活性剤、カチオン成分および多価アルコールを含有し、伸びがよく、もっちりとした泡となり、洗浄性に優れた発泡性エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、所定のアニオン性界面活性剤、(メタ)アクリル酸系高分子および多糖類系高分子を含有する原液、二酸化炭素、ならびに炭素数3〜5の炭化水素の混合物を含有する泡沫状皮膚塗布剤が開示されている。しかし、多糖類型高分子を含有するため、吐出物の伸びが悪く、塗布面がべたつきやすいという問題がある。
【0003】
また、特許文献3には、二酸化炭素、所定の蒸気圧を有する炭素数3〜5の炭化水素の混合物、および界面活性剤を含有する泡沫状皮膚塗布剤が開示されている。しかし、吐出物の伸びをよくすること、およびもっちりとした泡とすることについては考慮されていない。また、アニオン性界面活性剤とカチオン成分とを併用し、多価アルコールを含有することは開示されていない。
【0004】
さらに、特許文献4には、特定の非イオン性界面活性剤、多価アルコール、水溶性高分子、炭酸ガスを含有し、キメ細かくコシがあり、適度な粘性を与えるクリーミーな泡で、マッサージ施術中においても泡状態が維持されてマッサージしやすく、拭き取りまたは洗い流した後も、べたつき感がなく、肌にしっとりした感触を与えるエアゾール型皮膚化粧料が開示されている。しかし、アニオン性界面活性剤を使用していないため、洗浄効果が弱いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−84490号公報
【特許文献2】特開2010−248098号公報
【特許文献3】特開2009−269914号公報
【特許文献4】特開2011−93878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アニオン性界面活性剤およびカチオン性成分を炭酸ガスとともに配合しているにも関わらず、アニオン性界面活性剤の析出を防止し、吐出物は塗り伸ばす際に伸びがよく、もっちりとした泡となり、洗浄性に優れた発泡性エアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アニオン性界面活性剤、カチオン性成分、多価アルコールおよび水を含有する水性原液、液化ガス、ならびに炭酸ガスからなり、多価アルコールが、2〜4価アルコールおよび/または単糖類であり、水性原液中に5〜30質量%含有する発泡性エアゾール組成物に関する。
【0008】
前記カチオン性成分がカチオン性高分子であることが好ましい。
【0009】
前記単糖類が糖アルコールであることが好ましい。
【0010】
前記水性原液を水性原液と液化ガスとの合計量中80〜97質量%含有し、前記液化ガスを水性原液と液化ガスとの合計量中3〜20質量%含有することが好ましい。
【0011】
前記液化ガスの25℃での蒸気圧が0.1〜0.3MPaであり、前記炭酸ガスを充填した後の平衡圧力が0.4〜0.8MPaであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アニオン性界面活性剤およびカチオン性成分を含有する水性原液中に多価アルコールを特定量含有することで、炭酸ガスを配合してもアニオン性界面活性剤の析出を防止することができ、吐出物は塗り伸ばす際の伸びに優れ、また、もっちりとした泡となり、洗浄性に優れた発泡性エアゾール組成物を提供することができる。さらに泡の中に炭酸ガスを長く保持することができるため、炭酸ガスによるマッサージ効果および血行促進効果が得られやすい。
【0013】
前記カチオン性成分がカチオン性高分子である場合は、泡に弾力性や粘りが得られやすく、特にもっちり感が高くなる。
【0014】
前記単糖類が糖アルコールである場合は、特に塗り伸ばしやすい泡が得られやすい。
【0015】
前記水性原液を水性原液と液化ガスとの合計量中80〜97質量%含有し、前記液化ガスを水性原液と液化ガスとの合計量中3〜20質量%含有する場合は、きめが細かく塗り伸ばしやすい泡が得られやすい。
【0016】
前記液化ガスの25℃での蒸気圧が0.1〜0.3MPaであり、前記炭酸ガスを充填した後の平衡圧力が0.4〜0.8MPaである場合は、炭酸ガスの溶解量が多くなり炭酸ガスの効果が得られやすい。さらに低温時の発泡性に優れ、また高温時の圧力上昇が小さく安全である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の発泡性エアゾール組成物は、アニオン性界面活性剤、カチオン性成分、多価アルコールおよび水を含有する水性原液、液化ガス、ならびに炭酸ガスからなり、多価アルコールが、2〜4価アルコールおよび/または単糖類であり、水性原液中に5〜30質量%含有することを特徴とする。多価アルコールを特定量含有することにより、不安定な組み合わせであるアニオン性界面活性剤、カチオン性成分および炭酸ガスを含有するにも関わらずアニオン性界面活性剤の析出を防止することができ、各成分の効果を効率的に得ることができる。
【0018】
前記アニオン性界面活性剤は、水性原液と液化ガスを乳化させ吐出物を発泡させる、洗浄効果を奏するなどの目的で用いられる。
【0019】
前記アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩;POEラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸カリウム、POEトリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などが挙げられる。また、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩;N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型界面活性剤を用いてもよい。なかでも、吐出物の発泡性において優れるという点からアルキルリン酸塩を用いることが好ましい。
【0020】
前記アニオン性界面活性剤の含有量は、水性原液中0.1〜20質量%であることが好ましく、さらには0.5〜15質量%であることが好ましい。前記アニオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は水性原液と液化ガスとが乳化しにくく、吐出時に発泡しにくくなる傾向がある。また、含有量が20質量%よりも多い場合は塗布面上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。なお、アニオン性界面活性剤が水やアルコール類などの溶剤に溶解したものを用いる場合のアニオン性界面活性剤の含有量は、溶剤を除いたアニオン性界面活性剤の含有量である。
【0021】
前記カチオン性成分は、前記アニオン性界面活性剤と共に含有することで泡に弾力性や粘りを付与する、使用感を向上させる、泡質を向上させるなどの目的で用いられる。
【0022】
前記カチオン性成分としては、たとえば、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)、ポリビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジメチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩酸塩、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルなどのカチオン性高分子、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、吐出物がもっちりとした泡になるという点からカチオン性高分子を用いることが好ましい。
【0023】
前記カチオン性成分の含有量は、水性原液中0.1〜15質量%であることが好ましく、さらには0.5〜10質量%であることが好ましい。前記カチオン性成分の含有量が0.1質量%よりも少ない場合はカチオン性成分を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が15質量%よりも多い場合は塗布面上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0024】
また、アニオン性界面活性剤とカチオン性成分とを併用することにより、もっちりとした泡になり、泡質がよくなる。
【0025】
前記多価アルコールは、不安定な組み合わせであるアニオン性界面活性剤、カチオン性成分および炭酸ガスを含有するにも関わらずアニオン性界面活性剤の析出を防止するという目的で用いられる。さらに、塗布面で吐出物を塗り伸ばした際に泡の伸びが良くなる。また、多価アルコールとしては2〜4価アルコールおよび/または単糖類が用いられる。
【0026】
前記多価アルコールの含有量は、水性原液中5〜30質量%であることが好ましく、さらには7〜25質量%であることが好ましい。前記多価アルコールの含有量が5質量%よりも少ない場合は炭酸ガスを充填するとアニオン性界面活性剤が析出しやすくなる傾向がある。また、含有量が30質量%よりも多い場合は皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。なお、多価アルコールとして2〜4価アルコールおよび単糖類を併用する場合は、これらの合計量を多価アルコールの含有量とする。
【0027】
多価アルコールとして2〜4価アルコールを含有する場合は、アニオン性界面活性剤、カチオン性成分および炭酸ガスを含有する場合においてもアニオン性界面活性剤の析出を防止する効果が高くなる。
【0028】
前記2〜4価アルコールとしては、たとえば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどが挙げられる。なかでも、アニオン性界面活性剤、カチオン性成分および炭酸ガスを含有する場合においてアニオン性界面活性剤の析出を防止する効果が高いという点からジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの2〜3価アルコールの二量体を用いることが好ましい。
【0029】
2〜4価アルコールを含有する場合の含有量は、水性原液中1〜30質量%であることが好ましく、さらには3〜25質量%であることが好ましい。前記2〜4価アルコールの含有量が1質量%よりも少ない場合は、アニオン性界面活性剤の析出を防止する効果が得られにくく、長期間保存すると析出が発生する傾向がある。また、含有量が30質量%よりも多い場合は皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0030】
多価アルコールとして単糖類を含有する場合は、泡が塗り伸ばしやすくなり、皮膚に刺激がなく、使用感を向上させることができる。
【0031】
前記単糖類としては、たとえば、エリスリトール、アラビトール、ガラクチトール、グルシトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール;エリトリトール、D−エリトロース、D−トレオースなどのテトロース類;D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、D−リキソース、L−リキソース、D−リボース、D−キシルロース、L−キシルロース、D−リブロース、L−リブロースなどのペントース類;D−アルトロース、L−アルトロース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−グルコース、D−タロース、D−マンノース、L−ソルボース、D−タガトース、D−プシコース、D−フルクトース、D−マンノースなどのヘキソース類などが挙げられる。なかでも、吐出物が塗布面上で塗り伸ばしやすくなる点から糖アルコールを用いることが好ましい。
【0032】
単糖類を含有する場合の含有量は、水性原液中1〜30質量%であることが好ましく、さらには3〜25質量%であることが好ましい。前記単糖類の含有量が1質量%よりも少ない場合は前述の単糖類を含有する効果が得られにくい傾向がある。また、含有量が30質量%よりも多い場合は皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。なお、単糖類は2〜4価アルコール、アミノ酸型界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、液体の脂肪酸などと併用することでアニオン性界面活性剤の析出を防止する効果が一層高くなる。
【0033】
前記水は水性原液の主溶媒であり、水性原液中に含有した界面活性剤により液化ガスと乳化し、外部に吐出されると液化ガスの気化に伴い発泡してフォームを形成する。
【0034】
前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、海洋深層水などが挙げられる。
【0035】
前記水の含有量は、水性原液中40〜94質量%であることが好ましく、さらには50〜90質量%であることが好ましい。前記水の含有量が40質量%よりも少ない場合は吐出物が発泡しにくくなる傾向がある。また、含有量が94質量%よりも多い場合はその他の成分を含有しにくくなる。
【0036】
本発明に用いられる水性原液は、用途や目的などに応じて、前記アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤、有効成分、1価アルコール、水溶性高分子、油分、粉体などを含有することができる。
【0037】
前記アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤などが挙げられる。
【0038】
前記両性界面活性剤は吐出物の発泡状態を調整する、洗浄効果を向上させる目的で用いられる。
【0039】
前記両性界面活性剤としては、たとえば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどのアミンオキシド型;などが挙げられる。
【0040】
前記両性界面活性剤を含有する場合の含有量は、原液中0.05〜10質量%であることが好ましく、さらには0.1〜8質量%であることが好ましい。前記両性界面活性剤の含有量が0.05質量%よりも少ない場合は両性界面活性剤を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が10質量%よりも多い場合は皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0041】
前記ノニオン性界面活性剤は吐出物の発泡状態を調整する、アニオン性界面活性剤の析出防止効果を補助する、洗浄効果を向上させる目的で用いられる。
【0042】
前記ノニオン性界面活性剤としては、たとえば、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル型;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコールなどのエステル型;などが挙げられる。
【0043】
前記ノニオン性界面活性剤を含有する場合の含有量は、水性原液中0.05〜10質量%であることが好ましく、さらには0.1〜8質量%であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05質量%よりも少ない場合はノニオン性界面活性剤を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が10質量%よりも多い場合は、皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0044】
前記シリコーン系界面活性剤は吐出物の発泡状態を調整する目的で用いられる。
【0045】
前記シリコーン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。
【0046】
前記シリコーン系界面活性剤を含有する場合の含有量は、水性原液中0.05〜10質量%であることが好ましく、さらには0.1〜8質量%であることが好ましい。シリコーン系界面活性剤の含有量が0.05質量%よりも少ない場合はシリコーン系界面活性剤を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が10質量%よりも多い場合は、皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0047】
前記天然系界面活性剤は吐出物の発泡状態を調整する、洗浄効果を向上させる目的で用いられる。
【0048】
前記天然系界面活性剤としては、たとえば、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチンなどが挙げられる。
【0049】
前記天然系界面活性剤を含有する場合の含有量は、水性原液中0.05〜10質量%であることが好ましく、さらには0.1〜8質量%であることが好ましい。天然系界面活性剤の含有量が0.05質量%よりも少ない場合は天然系界面活性剤を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が10質量%よりも多い場合は、皮膚上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0050】
前記有効成分としては、たとえば、天然香料、合成香料などの各種香料;l−メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;などが挙げられる。
【0051】
前記有効成分を含有する場合の含有量は、水性原液中0.05〜20質量%であることが好ましく、さらには0.1〜15質量%であることが好ましい。有効成分の含有量が0.05質量%よりも少ない場合は有効成分の効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が20質量%よりも多い場合は有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体へ悪影響を及ぼす場合がある。
【0052】
前記1価アルコールは、使用感を向上させるという目的だけでなく、水に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒となり、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0053】
前記1価アルコールとしては、たとえば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコールが挙げられる。
【0054】
前記1価アルコールを含有する場合の含有量は、水性原液中0.1〜30質量%であることが好ましく、さらには0.5〜20質量%であることが好ましい。前記1価アルコールの含有量が0.1質量%よりも少ない場合は1価アルコールを含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が30質量%よりも多い場合は吐出物が発泡しにくくなる傾向がある。
【0055】
前記水溶性高分子は泡の持続性を長くするなど、吐出物の発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0056】
前記水溶性高分子としては、たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系多糖類;カラギーナン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ゼラチン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。
【0057】
前記水溶性高分子を含有する場合の含有量は、水性原液中に0.001〜2質量%であることが好ましく、さらには0.005〜1質量%であることが好ましい。水溶性高分子の含有量が0.001質量%よりも少ない場合は水溶性高分子を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が2質量%よりも多い場合はべたつきやすくなるなど、使用感が低下する傾向がある。
【0058】
前記油分は、皮膚に艶や潤いを与える、油汚れを洗浄しやすくする、発泡状態を調整するなどの目的で用いられる。
【0059】
前記油分としては、たとえば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリグリセロール変性シリコーンなどのシリコーンオイル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;イソステアリン酸などの液体脂肪酸;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類;などが挙げられる。
【0060】
前記油分を含有する場合の含有量は、水性原液中0.1〜10質量%であることが好ましく、さらには0.5〜8質量%であることが好ましい。油分の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は油分を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。また、含有量が10質量%よりも多い場合は乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下する傾向がある。
【0061】
前記粉体は、紫外線を散乱させる、粉体自体が有効成分として作用する、スクラブなどとして作用する、などの目的で用いられる。
【0062】
前記粉体としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダーなどが挙げられる。
【0063】
前記粉体を含有する場合の含有量は、水性原液中0.1〜5質量%であることが好ましく、さらには0.3〜3質量%であることが好ましい。粉体の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は、粉体を含有する効果が得られにくい傾向があり、5質量%よりも多い場合はバルブや吐出部材の吐出孔で詰まりやすくなる傾向や、静置した状態で長期間保存した場合、粉体が容器底部で固まりやすくなり(ケーキング)、均一な組成物を吐出しにくい傾向がある。
【0064】
本発明に用いられる水性原液は、アニオン界面活性剤、カチオン性成分を水や多価アルコールに溶解させて調整することができる。また必要に応じて含有される有効成分などを水や多価アルコールに溶解させて調製することができる。なお、水性原液には、粉体を分散させてもよい。
【0065】
前記水性原液の含有量は、水性原液と液化ガスとの合計量中80〜97質量%であることが好ましく、さらには85〜96質量%であることが好ましい。水性原液の含有量が80質量%よりも少ない場合は泡が粗くなりやすく泡質が低下しやすくなる傾向がある。また、含有量が97質量%よりも多い場合は吐出物が発泡しにくくなる傾向がある。
【0066】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、外部に吐出されると気化して、水性原液を発泡させて発泡物を形成する、水性原液を冷却して炭酸ガスを発泡物内に長く保持させて炭酸ガスの効果を長く得る、などの目的で用いられる。
【0067】
前記液化ガスとしては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンなどのハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物などが挙げられる。
【0068】
特に、液化ガスとして25℃における蒸気圧が0.1〜0.3MPaであるものを用いることが好ましく、0.15〜0.25MPaであるものを用いることがさらに好ましい。液化ガスの25℃における蒸気圧が0.1MPaよりも低い場合は低温時の発泡性が悪くなりやすく、0.3MPaよりも高い場合は炭酸ガスが水性原液と液化ガスに溶解する量が少なくなり、炭酸ガスの効果が不十分になりやすい傾向がある。
【0069】
前記液化ガスの含有量は、水性原液と液化ガスとの合計量中3〜20質量%であることが好ましく、さらには4〜15質量%であることが好ましい。液化ガスの含有量が3質量%よりも少ない場合は、低温時に吐出物が発泡しにくくなる傾向がある。また、含有量が20質量%よりも多い場合は泡が粗くなって泡質が低下する、または泡状になりにくくなる傾向がある。
【0070】
前記炭酸ガスはエアゾール容器内では一部が水性原液に溶解しており、外部に吐出されると水性原液から揮発して発泡性を向上させる、発泡する際に皮膚に適度な刺激を与えて血行を促進する、洗浄効果を高くする、などの目的で用いられる。
【0071】
前記炭酸ガスは水性原液および液化ガスを充填したエアゾール容器に充填するが、その充填量は、炭酸ガスが水性原液および液化ガスに溶解し、エアゾール容器内の25℃での平衡圧力が0.4〜0.8MPaとなるように充填することが好ましく、さらには0.5〜0.7MPaとなるように充填することが好ましい。
【0072】
本発明のエアゾール組成物は、たとえば、耐圧容器(エアゾール容器内の)に水性原液を充填してバルブを固着し、バルブのステムから液化ガスを充填し、さらに炭酸ガスを充填して、耐圧容器内で水性原液と液化ガスに炭酸ガスの一部を溶解させて平衡状態にすることにより調製することができる。
【0073】
なお、耐圧容器内の圧力を調整する、発泡状態を調整するなどのために、イソペンタンやノルマルペンタンなどの炭化水素や、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガス、亜酸化窒素ガスなどの前記炭酸ガス以外の圧縮ガスなどをさらに充填してもよい。
【0074】
本発明のエアゾール組成物は、吐出物が発泡し、もっちりとした泡を形成し、皮膚上で塗り伸ばしても泡が直ぐ消えずに伸びが良いため、たとえば、スキンケア用品として好適に用いることができる。特に、洗顔料やパック用品など、皮膚に塗り伸ばして使用する製品として用いることにより本願発明の効果が効果的に発揮される。
【0075】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
評価方法を下記に示す。
【0077】
(1)安定性
透明なガラス製の耐圧容器(満注量100ml)に表2および表4に示すエアゾール組成物を60g充填し、5℃にて保存し、析出物の有無を目視で確認した。
○:3箇月以上保存しても析出物は発生しなかった。
×:1箇月以内に析出物が発生した。
【0078】
(2)常温での泡状態
アルミニウム製の耐圧容器(満注量100ml)に表2および表4に示すエアゾール組成物を60g充填したエアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持した。その後、手のひらに0.5g吐出し、吐出物の状態を評価した。
○:非常にきめの細かい泡を形成し、指先で押さえると弾力感がある。もっちりとした感触がある。
△:きめの細かい泡を形成したが、指先で押さえても弾力感がない。ぱさついた泡。
×1:粗い泡を形成した。
×2:クリームのような発泡性の小さい泡を形成した。
【0079】
(3)低温での泡状態
アルミニウム製の耐圧容器(満注量100ml)に表2および表4に示すエアゾール組成物を60g充填したエアゾール製品を5℃の恒温水槽中に1時間保持した。その後、手のひらに0.5g吐出し、吐出物の状態を評価した。
○:きめの細かい泡を形成し、指先で押さえると弾力感がある。もっちりとした感触がある。
△:やや粗い泡を形成し、指先で押さえても弾力感がない。ぱさついた泡。
×1:粗い泡を形成した。
×2:クリームのような発泡性の小さい泡を形成した。
【0080】
(4)泡の伸び
前記(2)と同様に25℃の恒温水槽中に1時間保持したエアゾール製品を用い、人工皮上に吐出し、泡が厚さ5mmになるようにプラスチック板で10cm伸ばしたときの状態を評価した。
○:泡が途切れず、滑らかに伸びた。
△:泡は途切れずに伸びたが、伸ばしたときに抵抗感があった。
×:泡が途中で途切れた。
【0081】
(5)洗浄性
前記(2)と同様に25℃の恒温水槽中に1時間保持したエアゾール製品を用い、口紅を手の甲に塗った部分に泡を吐出して塗り伸ばし、水洗いしたあとの状態を評価した。
○:口紅が残らず洗浄できた。
×:口紅が残っていた。
【0082】
実施例1〜10
表1に示す水性原液A〜Gを調製し、得られた水性原液、液化ガスおよび炭酸ガスを表2に示す処方で耐圧容器に充填し、試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品について前記(1)〜(5)の評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、表2における各水性原液および液化ガスの含有量は質量部で、炭酸ガスの含有量は充填後の耐圧容器内の平衡圧力で示す。
【0083】
【表1】
*1:プライオリーB−300D(商品名)、有効成分(ラウリルリン酸カリウム/POEラウリルエーテル酢酸カリウム)35質量%含有、花王株式会社製
*2:ソフケアKG−301W(商品名)、花王株式会社製
*3:DPG−FC(商品名)、旭硝子株式会社製
*4:イソステアリン酸EX(商品名)、高級アルコール工業株式会社製
*5:サンソフトM−12−J(商品名)、太陽化学株式会社製
*6:アラノンALE(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製
*7:レボン2000HG(商品名)、三洋化成工業株式会社製
*8:レオドールTW−IS399C(商品名)、花王株式会社製





【0084】
【表2】
*9:ノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
【0085】
比較例1〜10
水性原液Aと、表3に示す水性原液H〜Oを調製し、得られた水性原液、液化ガスおよび炭酸ガスを表4に示す処方で耐圧容器に充填し、試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品について前記(1)〜(5)の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、表4における各水性原液および液化ガスの含有量は質量部で、炭酸ガスの含有量は充填後の耐圧容器内の平衡圧力で示す。
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
処方例1 洗顔フォーム
下記の水性原液95gを透明なガラス製耐圧容器およびアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブを取り付け、バルブから液化石油ガス(*9)を5g充填した。次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させた。炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力は0.55MPaであった。
【0089】
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液(*1) 15.0
ポリオクタニウム52(*2) 2.0
ジプロピレングリコール(*3) 5.0
ソルビトール 10.0
ラウリン酸デカグリセリル(*5) 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*7) 3.0
POEソルビタントリイソステアレート(*8) 0.5
ヒアルロン酸 0.01
メチルパラベン 0.2
精製水 59.29
合計(質量部) 100.0
【0090】
処方例2 洗顔フォーム
下記の水性原液90gを透明なガラス製耐圧容器およびアルミニウム製耐圧容器に充填し、バルブを取り付け、バルブから液化石油ガス(*9)を10g充填した。次いでバルブから炭酸ガスを充填し、容器を振って炭酸ガスを水性原液と液化石油ガスに溶解させた。炭酸ガス充填後の耐圧容器内の25℃における平衡圧力は0.55MPaであった。
【0091】
<水性原液>
ラウリルリン酸カリウム/
POEラウリルエーテル酢酸カリウムの水溶液(*1) 15.0
ポリオクタニウム52(*2) 2.0
ジプロピレングリコール(*3) 5.0
グリセリン 3.0
ソルビトール 10.0
ラウリン酸デカグリセリル(*5) 3.0
ラウリルグルコシド(*10) 2.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*7) 3.0
POEソルビタントリイソステアレート(*8) 0.5
ヒアルロン酸 0.01
メチルパラベン 0.2
香料 0.1
精製水 56.19
合計(質量部) 100.0
*10:マイドール12(商品名)、花王株式会社製
【0092】
前記の処方例1および2で得られたエアゾール製品について前記(1)〜(5)の評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0093】
【表5】