特許第5959939号(P5959939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959939
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】容器用吐出器および工具
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   B65D47/34 D
   B65D47/34 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-124307(P2012-124307)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-249086(P2013-249086A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】栗山 武文
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−227057(JP,A)
【文献】 特開2002−225906(JP,A)
【文献】 特開2001−240110(JP,A)
【文献】 特開2008−074487(JP,A)
【文献】 特開2011−230820(JP,A)
【文献】 特開2012−250719(JP,A)
【文献】 特開2013−227056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り外し可能にねじ付けられる装着筒と、該装着筒によって前記容器に装着されるポンプ機構とを備える容器用吐出器であって、
前記装着筒の下端部を、工具を嵌める外観形状を有する嵌め合い部に構成するとともに、
前記ポンプ機構の上端部材に、前記嵌め合い部を残して前記装着筒を取り囲むとともに前記上端部材をも取り囲むカバーを、相対回転自在に取り付けたことを特徴とする容器用吐出器。
【請求項2】
請求項1記載の容器用吐出器において、前記カバーの上端縁に切欠きが設けられることを特徴とする容器用吐出器。
【請求項3】
請求項1または2記載の容器用吐出器において、前記カバーが、前記ポンプ機構の上端部材をも取り囲むことを特徴とする容器用吐出器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器用吐出器の工具であって、該工具は、前記嵌め合い部に嵌合するプレート部に、前記カバーを取り囲むように延在するとともに末端に前記カバーを通す開放部が形成された帯状をなすバンド部が基部を介して一体に設けられたものであることを特徴とする容器用吐出器の工具。
【請求項5】
請求項4記載の容器用吐出器の工具において、前記バンド部の内周面に、周方向に間隔を置いて複数の縦リブを設けたことを特徴とする容器用吐出器の工具。
【請求項6】
請求項4または5記載の容器用吐出器の工具において、前記工具に、把持部を設けたことを特徴とする容器用吐出器の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーやリンス、整髪料等の内容物を収容する容器の口部に取り外し可能に取り付けられて、該内容物を吐出する容器用吐出器およびこれに用いる工具に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、従来の容器用吐出器として、店頭での陳列やホテル等の施設に据え置かれるときに、内容物が入れ替えられたり、抜き取られたりする等の悪戯を想定し、こうした不正使用を防止する対策として、容器に対するねじ付け部分にラチェット機構を設けたものを提案済みである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、様々なニーズに応じて、新たな容器用吐出器を提案していくことが重要であることも事実である。
【0005】
本発明の目的とするところは、不正使用による着脱が困難な安全性の高い新規な容器用吐出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部に取り外し可能にねじ付けられる装着筒と、該装着筒によって前記容器に装着されるポンプ機構とを備える容器用吐出器であって、前記装着筒の下端部を、工具を嵌める外観形状を有する嵌め合い部に構成するとともに、前記ポンプ機構の上端部材に、前記嵌め合い部を残して前記装着筒を取り囲むとともに前記上端部材をも取り囲むカバーを、相対回転自在に取り付けたことを特徴とする。
【0007】
上記構成においては、前記カバーの上端縁に切欠きを設けるのが好ましい。
【0008】
上記構成においては、前記カバーが、前記ポンプ機構の上端部材をも取り囲むのが好ましい。
【0009】
本発明は、上記構成の容器用吐出器の工具であって、該工具は、前記嵌め合い部に嵌合するプレート部に、前記カバーを取り囲むように延在するとともに末端に前記カバーを通す開放部が形成された帯状をなすバンド部が基部を介して一体に設けられたものであることを特徴とする。
【0010】
上記構成においては、前記バンド部の内周面に、周方向に間隔を置いて複数の縦リブを設けるのが好ましい。
【0011】
上記構成においては、前記工具に、把持部を設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、装着筒の下端部を、工具を嵌める外観形状を有する嵌め合い部に構成するとともに、ポンプ機構の上端部材に、嵌め合い部を残して装着筒を取り囲むカバーを、相対回転自在に取り付けるようにしたので、嵌め合い部に適合する工具を持たない第三者は、装着筒を直接回転させることができない。これに対し、工具を所持する管理者は、カバーの下側から工具を差し入れて、当該工具を嵌め合い部に嵌合させることで、装着筒を容器に対して回転させることができる。
【0013】
したがって、本発明によれば、不正使用による着脱が困難な安全性の高い新規な容器用吐出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の容器用吐出器の一実施の形態であって、容器に取り付けた状態を一部断面で示す側面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3】(a)は、同形態に係る、装着キャップの平面図であり、(b)は、同形態である容器用吐出器を容器に取り付け又は取り外す際に用いられる本発明の工具の一例を示す平面図である。
図4】(a)は、図3(b)のA−A線に沿う断面図であり、(b)は、その斜視図である。
図5】(a)は、同形態の容器用吐出器の容器への取り付け又は取り外しを、例示の工具を用いて行うときの操作方法であって、工具を嵌合させる前の状態を示す平面図であり、(b)は、工具を嵌合させた後の状態を示す平面図である。
図6】同形態において、例示の工具を嵌合させた状態を示す要部側面図である。
図7】本発明の容器用吐出器を、他の形状の容器に取り付けた状態を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1に示す本発明の一実施の形態である容器用吐出器(以下、吐出器とする)10は、装着キャップ(装着筒)11と、これに保持されるポンプ機構Pとがユニット化された構成となっている。吐出器10は、容器50に取り付けられ、容器50とともにポンプ容器60を構成する。
【0017】
装着キャップ11は、容器50の口部51を周方向に取り囲む周壁11aを有する。周壁11aの内側には、ねじ部11sが形成されている。これにより、装着キャップ11は、口部51に形成したねじ部50sに対して取り外し可能にねじ付けられる。装着キャップ11の周壁11aの外表面には、そのねじ付け作業を容易にするために、ローレット等の凹凸が形成される。なお、装着キャップ11の周壁11aの外表面は、当該ローレット等の凹凸が設けられない、滑らかな表面とすることもできる。
【0018】
この吐出器10が取り付けられる容器50は据え置き型となっており、装着キャップ11よりも大径の有底筒状の容器本体50aを備えている。容器本体50aには、例えば、シャンプーやリンス、整髪料等の内容物が収容される。また、容器50の上端部分は肩部50bとなっており、この肩部50bの中心(軸心)に口部51が設けられている。肩部50bは、装着キャップ11の径方向に対して僅かに傾斜する円錐面に構成され、その口部51に近接する部分は、装着キャップ11の下端に僅かな隙間を空けて対向している。
【0019】
容器本体50aは、断面円形形状に限らず、断面矩形や多角形状など、様々な形状に形成することができる。また、例えば、容器本体50aが断面矩形や多角形状に形成された場合には、肩部50bは、装着キャップ11の径方向に対して僅かに傾斜するとともに、断面の各辺に対応する複数の平面で構成することができる。
【0020】
ポンプ機構Pはシリンダ12を有し、シリンダ12には容器50の底まで延びる吸入パイプ13が固定されている。シリンダ12の内側には、ポペット14が配置されている。ポペット14の内側には、吸入パイプ13を通して容器50から吸入された内容液を導入する吸入弁14aが設けられている。本実施の形態では、吸入弁14aは、3つの連結片を介して弾性保持された弾性弁で構成されている。また、ポペット14には、吸入弁14aから導入された内容液をシリンダ12内に導入する開口通路r1が形成されている。開口通路r1は、装着キャップ11や口部51の軸心を通る軸線O周りに周方向に間隔を置いて複数の箇所に形成されている。シリンダ12内には、スプリング等の弾性部材15が、その軸方向に沿って配置されている。弾性部材15は、ポペット14を介してピストン16を弾支する。ピストン16は、シリンダ12の内側に摺動可能に配置されている。ピストン16には、ステムシャフト16aが一体に設けられている。
【0021】
シリンダ12の上端開口は、ポンプリング17によって閉じられている。ポンプリング17は、ポンプ機構Pの上端部材(リング部材)であって、その内側にステムシャフト16aを摺動可能に保持している。これにより、ポンプリング17は、複数のポンプ要素の収納空間を形成する。また、ポンプリング17を貫通するステムシャフト16aの上端には、ノズルヘッド18が固定されている。ステムシャフト16aには、開口通路r1をノズルヘッド18に通じさせる流路r2が形成されている。更に、ステムシャフト16aの内側には、排出弁19が配置されている。これにより、ポンプ機構Pが形成され、ヘッド18aの押し下げと復帰を繰り返せば、ノズルヘッド18に設けられたノズル18bから内容液を吐出させることができる。
【0022】
ポンプリング17は、図2に示すように、シリンダ12の内周面に嵌合する内筒部17aを有する。内筒部17aは、上述の通り、ステムシャフト16aを摺動可能に保持する。また、ポンプリング17は、内筒部17aと同心円状に外筒部17bを有する。内筒部17aと外筒部17bとの間には、シリンダ12の上端部12aが配置されている。シリンダ12の上端部12aは、抜け止め部Cによってポンプリング17の外筒部17bに抜け止め保持されている。抜け止め部Cとしては、例えば、図示のように、上端部12aの外周面に形成された環状の凸(凹)と、外筒部17bの内周面に形成された環状の凹(凸)とを上下方向から嵌合させた凹凸嵌合が挙げられる。また、シリンダ12の上端部12aは、回り止め部Sによってポンプリング17の内筒部17aに対して回り止めされている。回り止め部Sとしては、例えば、図示のように、上端部12aの内周面に沿って周方向に形成した縦リブ(スプライン(溝))と、ポンプリング17の内筒部17aの外周面に沿って周方向に形成した縦リブ(スプライン溝(スプライン))との噛み合いによるスプライン嵌合が挙げられる。これにより、シリンダ12とポンプリング17は、互いに軸線O周りを空転することなく、一体に結合される。また、ポンプリング17の外周部には、ねじ部17cが一体に形成されている。ねじ部17cは、ノズルヘッド18のヘッド18aの内側に形成されたねじ部18sに取り外し可能にねじ付けることができる。
【0023】
シリンダ12には、その外周面から径方向外側に突出するとともに、軸線O周りを周回する円板状のフランジ12bが一体に形成されている。装着キャップ11は、このフランジ部12bとポンプリング17との間に挟み込まれて、ポンプ機構Pに保持されている。また、フランジ部12bは、口部51にねじ付けられた装着キャップ11の天壁11bと口部51との間に挟み込まれている。これにより、ポンプ機構Pは装着キャップ11とともに容器50の口部51に固定されている。つまり、装着キャップ11を口部51にねじ付けることにより、吐出器10は容器51の口部51に取り付けられる。
【0024】
本実施の形態では、フランジ12bには、パッキン等の環状のシール部材20が設けられている。シール部材20は、吐出器10を容器口部51に取り付けたとき、吐出器10と容器口部51との間を密封する。
【0025】
装着キャップ11の下端部には、工具を嵌める外観形状を有する嵌め合い部21が設けられている。嵌め合い部21は、径方向に突き出した多数の平面21aで構成された外観形状を有する。本実施の形態では、図3(a)に示すように、嵌め合い部21は、正八角形の板状の外観形状、つまり8つの平面21aで構成された薄い八角柱状の外観形状を有する。これにより、嵌め合い部21の外観形状に合った八角スパナ等の工具を嵌め合い部21に嵌めて軸線O周りに回すことにより、装着キャップ11を容器50の口部51にねじ付け、又は、緩めることができる。なお、図3(a)中、符号「21a」を例示的に五箇所のみ付記している。
【0026】
加えて、図1図2に示すように、ポンプリング17にはカバー22が取り付けられている。カバー22は、円筒状のカバー本体22aを備え、このカバー本体22aの上端には、カバー本体22aよりも僅かに小径の上端縁部22bが一体に設けられている。カバー本体22aおよび上端縁部22bの内径は、装着キャップ11の周壁11aの外径、ポンプリング17の外径およびノズルヘッド18のヘッド18aの外径よりも大きくされている。また、上端縁部22bには、カバー本体22aの内側に向けて垂下する取付け爪22cが一体に設けられている。取付け爪22cは、カバー本体22aの内面との間に間隔を有し、当該間隔を狭める径方向に弾性変形自在である。図示する場合では、取付け爪22cは、カバー本体22aの内側に沿って全周に渡って設けられている。なお、取付け爪22cは、全周一体の構成に限らず、切欠きにより、周方向に複数に分割された構成とすることもできる。この場合、それぞれの取付け爪22cは径方向に弾性変形し易くなるので、カバー22の取り付けが容易になる。
【0027】
取付け爪22cはポンプリング17に設けられたフランジ部17dに上方側からアンダーカット係合する。また、カバー本体22aの下端は、嵌め合い部21の上面に摺動自在に当接している。さらに、カバー本体22aの下端部分の内周面は、嵌め合い部21に重ねて一体に設けられた支持円筒部11cの外周面に摺動自在に当接している。これにより、カバー22は、ポンプリング17に対して、軸線Oを中心として相対回転自在となっている。また、カバー22は、ポンプリング17に対して相対回転自在であり、且つ、嵌め合い部21や支持円筒部11cに対して摺動自在であるので、装着キャップ11に対しても軸線Oを中心として相対回転自在となっている。したがって、カバー22を回転させても、ポンプ機構Pや装着キャップ11は回転しない。
【0028】
カバー22のノズルヘッド18の側を向く上端縁には、上端縁部22bからカバー本体22aにまで達する略半円形状の切欠き22dが設けられている。切欠き22dは、周方向に沿う開口幅がノズルヘッド18のノズル18bの直径よりも大きく、その軸方向の深さがノズル18bの直径より僅かに小さくなっている。
【0029】
上述のように、カバー22は、カバー本体22aと上端縁部22bとが、周壁11a、ポンプリング17およびノズルヘッド18のヘッド18aよりも大径に形成されているので、装着キャップ11とともにポンプ機構Pを容器50に取り付けた後に、カバー22をノズルキャップ18の側から差し込んで、装着キャップ11やポンプリング17の外側に取り付けることができる。また、カバー22には切欠き22dが設けられるので、カバー22をノズルキャップ18の側から差し込む際に、切欠き22dにノズルキャップ18のノズル18bを沿わせて、ノズル18bのカバー22への干渉を抑制することができる。これにより、カバー22の取り付け作業が容易になる。カバー22がポンプリング17に取り付けられ、取付け爪22cがフランジ部17dにアンダーカット係合すると、カバー22はポンプリング17から取り外すことができなくなる。
【0030】
カバー22は、嵌め合い部21を残して、装着キャップ11を取り囲んでいる。つまり、カバー22は、装着キャップ11の嵌め合い部21以外の部分全体を取り囲んでいる。また、カバー22は、ポンプリング17よりも上方つまりノズルヘッド18側まで延びて、ポンプリング17をも取り囲んでいる。つまり、嵌め合い部21を残した装着キャップ11の全体とポンプリング17は、その径方向外側がカバー22により覆われ、外部から隠されている。また、容器50の肩部50bは、装着キャップ11やカバー22の径方向に対して僅かに傾斜する円錐面に構成されているので、カバー22の下端と肩部50bとの隙間は小さくなっている。そして、嵌め合い部21は、カバー22と容器50の肩部50bとの間において、カバー22の外周面よりも径方向内側に配置されているので、当該隙間の内部に配置される嵌め合い部21を、手や指で直接回転操作することはできない。したがって、カバー22が取り付けられると、装着キャップ11を直接操作することができない。
【0031】
上述のように、カバー22が取り付けられると、装着キャップ11を直接操作することができなくなる。そのため、本実施の形態では、吐出器10を容器50に取り付け、又は取り外す際には、図3(b)及び図4に示す工具30を用いる。
【0032】
本発明の一実施の形態である工具30は、図3(b)に示すように、プレート部31を有する。プレート部31は、カバー22の下端と肩部50bとの間の隙間に差し込むことが可能な厚みを有する。プレート部31には、切欠き部30cが形成されている。切欠き部30cは、嵌め合い部21の平面21aに対応する5つの平面31aで形作られている。従って、プレート部31を嵌め合い部21に差し込めば、工具30は、装着キャップ11に一体に固定される。これにより、工具30を軸線O周りに時計回り又は反時計回りに回転させて、吐出器10を容器50に対してねじ付け、あるいは、取り外すことができる。
【0033】
加えて、本実施の形態では、図4(a)に示すように、プレート部31に基部32を介してバンド部33が一体に設けられている。バンド部33は、図3(b)に示すように、カバー22を取り囲むように軸線O周りに延在し、バンド部33の末端33eは、カバー22を通す開放部30Aを形成する。また、バンド部33は、基部32に固定された固定部分33aが不動部分となる一方、基部32から末端33eまでの間の部分が自由端33bとしてなる。自由端33bは、基部32を基点に変形及び復元することができる。更に、固定部分33aには、把持部34が設けられている。これにより、図5(a)に示すように、工具30を開放部30Aから押し込めば、図5(b)に示すように、バンド33の内側にカバー22を固定することができ、その後、工具30を引っ張れば、カバー22から引き外すことができる。なお、図5において、カバー22は、二点鎖線で示す。
【0034】
図6は、容器50に装着された吐出器10に工具30を嵌合させた状態を示す。このように、本実施の形態では、バンド部33がカバー22を包み込むように把持するため、工具30全体を握って、工具30をカバー22とともに回転させることができる。つまり、本実施の形態では、カバー22はポンプリング17に対して相対回転自在に取り付けられているので、工具30とともにカバー22を回転させてもよい。このため、工具30を、カバー22の下側から差し込んだのち、カバー22とともに握って軸線O周りに回転させれば、容易に装着キャップ11を回転させることができる。
【0035】
特に、本実施の形態のように、バンド部33の両側が自由端33bとして構成されれば、自由端33bが基部32を基点に内側に変形することにより、カバー22ごと工具30を握り易くなる。更に、図4等に示すように、バンド部33の内周面には、周方向に間隔を置いて複数の縦リブ35が一体に設けられている。縦リブ35は、バンド部33の剛性を高めることでバンド部33の耐久性を高めている。特に、バンド部33の剛性が高まることで、バンド部33を薄肉にすることができる。このように、バンド部33を薄肉に形成すれば、自由端33bを容易に変形させることができる。加えて、縦リブ35を設けてバンド部33を薄肉に形成することにより、このバンド部33を形成するために必要な樹脂材料を減らして、この工具30のコストを低減することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、上述の通り、バンド部33に把持部34が一体に設けられている。このため、把持部34を摘んで、工具30の押し込みと引き外しを行えば、工具30の着脱操作を容易に行うことができる。
【0037】
上述の通り、本実施の形態では、装着キャップ11の下端部を、工具30を嵌める外観形状を有した嵌め合い部21に構成するとともに、ポンプ機構Pのポンプリング17に、当該ポンプリング17とは別体に形成されたカバー22を相対回転自在に取り付け、このカバー22により、嵌め合い部21を残して装着キャップ11を取り囲むようにしたので、嵌め合い部21に適合する工具30を持たない第三者は、装着キャップ11を直接回転させることができない。つまり、カバー22を回転させても、ポンプリング17や装着キャップ11は回転しないので、吐出器10を容器50から取り外すことができない。
【0038】
これに対し、工具30を所持する管理者は、図6に示すように、カバー22の下側から工具30を差し入れれば、嵌め合い部21に工具30を嵌め合わせることで、装着キャップ11を時計回り又は反時計回りに軸線O周りに回転させることができる。そして、装着キャップ11を回転させることにより、吐出器10を容器50から取り外すことができる。
【0039】
このように、本発明によれば、工具30を持った管理者のみが、容器50に対する吐出器10の着脱を行うことができる構成とすることができるので、この吐出器10を、不正使用による着脱が困難な安全性の高いものとすることができる。
【0040】
また、本発明では、カバー22を、装着キャップ11、ポンプリング17およびノズルヘッド18よりも大径に形成するようにしているので、装着キャップ11を容器50の口部51にねじ付けて、ポンプ機構Pを容器に取り付けた後に、カバー22をポンプリング17に取り付けることができる。したがって、作業者は、カバー22を取り付ける前に、工具30を用いることなく、装着キャップ11を直接手で回転させて、容器50へ吐出器10を容易に取り付けることができる。また、カバー22が取り付けられる前に、容器50への吐出器10の取付け作業を行うことができるので、装着キャップ11を機械で用いて回転させることもできる。したがって、容器50への吐出器10の取付け作業を、機械を用いて自動化することも可能となる。また、カバー22を有していない従来の容器用吐出器の生産ラインを、その工程を変更することなく、本発明の吐出器10の生産に用いることができる。
【0041】
さらに、本発明では、カバー22の上端縁に切欠き22dを設けたので、ポンプ機構Pがノズル18bを備えたノズルヘッド18を有する構成であっても、ポンプ機構Pを容器50に取り付けた後に、カバー22の取り付け作業を行う際に、ノズル18bのカバー22への干渉を抑制して、当該取付け作業を容易にすることができる。
【0042】
さらに、本発明では、カバー22により、装着キャップ11だけでなくポンプリング17をも取り囲むようにしたので、ポンプリング17を介して装着キャップ11が回されることを防止することができる。また、ポンプリング17に設けられたねじ部17cをカバー22により隠すことができるので、吐出器10の美観を高めることもできる。
【0043】
図7に示すように、吐出器10は、他の形状の容器10に取り付けることもできる。図7に示す容器10は、容器本体50aの上端側が口部51に向けて徐々にその径を縮小するように湾曲する半球面状に形成されている。一方、口部51と容器本体50aとの間に設けられる肩部50bは、装着キャップ11やカバー22の径方向に対して僅かに傾斜する円錐面に構成されている。肩部50bは、その外径が嵌め合い部21よりも大径となっており、カバー22の下端に対向する位置にまで延びている。これにより、図2に示す場合と同様に、カバー22の下端と肩部50bとの隙間は小さくされ、当該隙間の内部に嵌め合い部21が配置される。
【0044】
したがって、容器本体50aの上端側を半円形状とした容器50においても、肩部50bをカバー22の下端にまで延びて当該下端に僅かな隙間で対向する円錐面で構成することにより、カバー22の下端と肩部50bとの隙間の内部に配置される嵌め合い部21を、手や指で直接回転操作させることをできなくして、吐出器10の不正使用による着脱が困難な安全性の高いものとすることができる。
【0045】
上述したところは、本発明の様々な実施形態であるが、本発明に従えば、様々な変更が可能となる。
【0046】
例えば、カバー22は、装着キャップ11とポンプリング17の両方を取り囲むことなく、少なくとも装着キャップ11を取り囲んでいればよい。
【0047】
また、カバー22は、ポンプリング17に相対回転自在に取り付けられる構成であれば、取付け爪22cをポンプリング17のフランジ部17dにアンダーカット係合させる構成に限らず、他の構成でポンプリング17に取り付けられてもよい。
【0048】
さらに、嵌め合い部材21は、工具30を嵌めることができれば、例えば、六角柱形状など、その外観形状には、様々な形状を採用することができる。
【0049】
さらに、工具30は、プレート部31のみで構成することも可能である。この場合、把持部34を、プレート部31に一体に設けることができる。
【0050】
さらに、ポンプ機構Pは例示的なものであり、本形態に制限されることなく、様々な機構のものを採用することができる。例えば、容器用吐出器を、泡生成吐出器や噴霧吐出器に構成するポンプ機構Pを用いることもできる。
【0051】
さらに、本発明は、容器の口部に取り外し可能にねじ付けられる装着筒と、装着筒を保持するポンプ機構とを備える容器用吐出器であれば、据え置きタイプの容器に限定されることなく、他の容器にも採用することができる。また、内容物についても、シャンプーやリンス、整髪料に限らず、様々なものを採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 容器用吐出器
11 装着キャップ(装着筒)
12 シリンダ
13 吸入パイプ
14 ポペット
15 弾性部材
16 ピストン
17 ポンプリング(上端部材)
18 ノズルヘッド
19 排出弁
20 シール部材
21 嵌め合い部
21a 平面
22 カバー
22d 切欠き
30 工具
30A 開放部
31 プレート部
32 基部
33 バンド部
34 把持部
35 縦リブ
50 容器
51 口部
60 ポンプ容器
P ポンプ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7