(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959969
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
H02J3/38 130
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-160851(P2012-160851)
(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-23317(P2014-23317A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】397022368
【氏名又は名称】上新電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505462471
【氏名又は名称】株式会社イー・プランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(72)【発明者】
【氏名】土井 栄次
(72)【発明者】
【氏名】遠山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 利幸
(72)【発明者】
【氏名】板垣 禮二
(72)【発明者】
【氏名】山下 勇
(72)【発明者】
【氏名】曽根 健二
【審査官】
桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−41037(JP,U)
【文献】
特開平10−66264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される太陽光発電システムであって、
太陽電池アレイと、
前記太陽電池アレイから出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ装置と、
前記インバータ装置に接続され、所定の電圧に変換する変圧器と、
前記電力系統と変圧器との間に設けられた第1遮断機と、
発電機と、
前記発電機と変圧器との間に設けられた第2遮断機と、
前記電力系統と発電機の同期を取り、第1遮断機と第2遮断機の開閉をおこなう同期検出機と、
前記発電機の出力電圧を制御するスタータと、
前記太陽電池アレイが配置された場所の日射量を検出する日射計と、
前記日射計で検出された日射量が所定値になると同期検出機とスタータに起動信号を送信する演算回路と、
を備えた太陽光発電システム。
【請求項2】
前記スタータがソフトスタータであって、発電機の出力電圧を徐々に所定の電圧になるように制御する請求項1の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記発電機が同期発電機である請求項1または2の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電網に系統連系する太陽光発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電の開発が盛んであり、1MW以上の大規模な太陽光発電システムも開発されている。
図2に示す従来の太陽光発電システム100は、太陽電池アレイ12、太陽電池アレイ12から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ装置(パワーコンディショナー)14を備える。インバータ装置14は、変圧器16などを介して商用の電力系統(送電網)に接続されており、太陽電池アレイ12で発電された電力は、商用の電力系統に送られる。
【0003】
インバータ装置14は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御されるDC−DCコンバータと交流電力を出力するインバータ回路を含む。これらの回路はそれぞれ制御回路によって駆動される。
【0004】
インバータ装置14に含まれる制御回路を駆動させるため、電力系統から電力を得る。したがって、太陽電池アレイ12の発電量がインバータ装置14の消費電力を上回らなければ、単なる電力消費と同じである。
【0005】
夜間は太陽電池アレイ12で発電されない。また、昼間であっても日射量が小さいと太陽電池アレイ12は発電しない。そのような場合であってもインバータ装置14を駆動させるために、商用の電力系統から電力を得る必要がある。このことは不必要な電力消費であり、避ける必要がある。約20MWの太陽光発電システム100では、未発電時間に買電する料金が年間約600万円になっており、経済的損失も大きい。
【0006】
その対策のために、下記の特許文献1のように、太陽光発電システム100と電力系統との間に遮断機を設置することが考えられる。遮断機はタイマーによって制御されており、朝になると遮断機が太陽光発電システム100と電力系統とを接続する。夜になると遮断機は太陽光発電システム100を電力系統から切断する。発電をおこなっていない夜間に電力系統から電力を得ることが無くなる。
【0007】
しかし、特許文献1の場合、遮断機が太陽光発電システム100と電力系統とを接続するたびに、変圧器16に突入電流が流れる。電力系統に使用される変圧器16は高価であり、そのような変圧器16に余分な負荷をかけて劣化させることは問題である。また、遮断機に対する負荷も大きく、遮断機の使用回数が減ることになる。突入電流が流れた際に電力系統の瞬時電圧低下が生じる恐れもあり、電力系統が不安定になる。さらに、特許文献1の場合、タイマーによって制御されるため、日射量が少ない日は商用の電力系統から電力を得る必要がり、不必要な電力消費が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−197455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、不必要な消費電力を低減し、機器に負荷をかけない太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
太陽光発電システムは、電力系統に接続される。その構成は、太陽電池アレイと、前記太陽電池アレイから出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ装置と、前記インバータ装置に接続され、所定の電圧に変換する変圧器と、給電停止システムとを備える。
【0011】
給電停止システムは、前記電力系統と変圧器との間に設けられた第1遮断機と、発電機と、前記発電機と変圧器との間に設けられた第2遮断機と、前記電力系統と発電機の同期を取り、第1遮断機と第2遮断機の開閉をおこなう同期検出機と、前記発電機の出力電圧を制御するスタータと、前記太陽電池アレイが配置された場所の日射量を検出する日射計と、前記日射計で検出された日射量が所定値になると同期検出機とスタータに起動信号を送信する演算回路とを備える。
【0012】
太陽電池アレイが発電をおこなっているときは、第1遮断機を閉じ、電力系統に電力を送電する。日射が所定値以下になり、太陽電池アレイで発電されなくなると、第1遮断機を開放し、インバータ装置への電力系統からの電力供給を停止する。
【0013】
再び日射が所定値以上になると、第2遮断機を閉じ、発電機を駆動し、インバータ装置に電力を供給する。発電機と電力系統の同期を取り、同期が取れれば第1遮断機を閉じる。その後、第2遮断機を開放し、発電機を停止させる。
【0014】
前記スタータがソフトスタータであって、発電機の出力電圧を徐々に所定の電圧になるように制御する。また、前記発電機が同期発電機である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、夜間などの太陽電池アレイで発電がおこなわれないときに、制御モジュールなどで電力を消費しない構成である。無駄な電力消費が無く、環境負荷を小さくできる。電力系統への接続時に突入電流などを抑制でき、機器の負荷を小さくし、長寿命になる
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の太陽光発電システムの構成を示す図である。
【
図2】従来の太陽光発電システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の太陽光発電システムについて図面を使用して説明する。太陽光発電システムは商用の電力系統に接続され、発電時に電力を電力系統に供給する。
【0018】
図1に示す太陽光発電システム10は、太陽電池アレイ12、太陽電池アレイ12から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ装置14、および所定の電圧に変換する変圧器16を備える。また太陽光発電システム10は、電力系統への接続および切断を制御する給電停止システム18を備える。
【0019】
太陽電池アレイ12は、方形のフレームに複数の太陽電池パネルが取り付けられたものである。太陽電池パネルの裏面側において、配線などが施され、太陽電池パネルから電力が出力される。1枚の太陽電池アレイ12から出力される電力は、たとえば約300Wである。太陽電池アレイ12は、地面や屋根に固定された架台に固定される。
図1では太陽電池モアレイ12が1つであるが、複数の太陽電池アレイ12が接続されていてもよい。
【0020】
インバータ装置14は、MPPT制御をおこなう回路や直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を備える。MPPT制御をおこなうために、太陽電池アレイ12の出力電圧および電流を計測する回路、DC−DCコンバータ、出力電圧と電流からDC−DCコンバータをMPPT制御する回路を備える。太陽電池アレイ12の電力の取り出し効率を高める。
【0021】
インバータ回路は電力制御用のスイッチング素子(パワー半導体)やスイッチングを制御する回路を備え、スイッチングによって交流電力を出力する。インバータ装置14に含まれる制御回路は商用の電力系統から電力を得るようにする。インバータ装置14に変圧器16が接続され、変圧器16で所望の電圧に変換される。
【0022】
変圧器16と電力系統との間に力率改善装置20を挿入しても良い。力率改善装置20としては、電力用コンデンサなどを使用する。変圧器16の無負荷電流の力率が非常に悪く、力率改善装置20によって発電機22の容量を減らすことができる。
【0023】
給電停止システム18は、発電機22、電力系統と変圧器16との間に設けられた第1遮断機SW1、発電機22と変圧器16との間に設けられた第2遮断機SW2、日射計24、および制御装置26を備える。給電停止システム18は、夜間などの太陽電池アレイ12が発電していないときに、インバータ装置14で電力が消費されないようにする。
【0024】
発電機22として原動機28で駆動される同期発電機が挙げられる。発電機22で発電をおこない、インバータ装置16に電力を供給した後、電力系統からインバータ装置16に電力を供給する。
【0025】
第1遮断機SW1と第2遮断機SW2は、変圧器16に対する電力系統または発電機22の接続または切断をおこなう開閉器である。第1遮断機SW1と第2遮断機SW2によって、インバータ装置16への電力の供給と停止を切り替える。下記のように変圧器16への突入電流が抑制されているため、各遮断機SW1、SW2への負荷も小さく、各遮断機SW1、SW2が開閉できる回数を多くすることができる。
【0026】
日射計24として、熱電素子を使用する装置が挙げられる。熱電素子において、日射による熱エネルギーから起電力を発生させ、起電力から日射量を求める。日射計24は、太陽電池アレイ12に隣接して配置される。日射計24に太陽光が照射されるとき、太陽電池アレイ12にも太陽光が照射される。日射計24によって太陽電池アレイ12が発電可能か否かをチェックする。
【0027】
制御装置26は、同期検出機30、発電機22の出力電圧を制御するスタータ32、同期検出機30とスタータ32に信号を送信する演算回路34、および原動機28の速度を調節する速度調節機36を備える。これらは後述するような動作をする回路やプログラムで構成される。
【0028】
同期検出機30は、電力系統と発電機22の同期を取り、第1遮断機SW1と第2遮断機SW2に開閉の信号を送る。同期検出機30によって電力系統と発電機22の電圧および位相が合わせられ、発電機22から電力系統に接続を切り換えることが可能になる。
【0029】
スタータ32はソフトスタータである。発電機22の出力電圧を徐々に上げ、所定値になるようにする。サイリスタおよび開閉器などで構成されるソフトスタータの回路を発電機22の出力に挿入し、スタータ32からサイリスタと開閉器に制御信号を送ってソフトスタートさせる。全電圧投入をせず、無電圧投入をおこなった後、徐々に電圧を上昇させる。変圧器16への励磁突入電流を抑制する。
【0030】
演算回路34は日射計24から日射量のデータを受信し、所定の値になれば同期検出機30とスタータ32に起動信号または停止信号を送信する。演算回路34は、CPU(Central Processing Unit)などの回路で構成される。
【0031】
速度調節機36は原動機28の速度を調節し、発電機22の出力電圧および周波数が所定値になるようにする。電力系統と発電機22との同期を取るために、同期検出機30からの指令によって速度調節機36が駆動する。
【0032】
制御装置26や日射計24への電力供給は、電力系統からおこなっても良いし、太陽電池アレイ12で発電された電力を二次電池や電気二重層コンデンサなどの蓄電手段に蓄電しておき、それらの電力を利用しても良い。また蓄電手段への蓄電は電力系統からの電力を使用してもよい。蓄電手段の代わりに一次電池を使用してもよい。インバータ装置16で消費される電力に比べて非常に小さく、従来に比べて電力の低減が可能である。
【0033】
次に太陽光発電システム10の動作について説明する。昼間に太陽光が太陽電池アレイ12に照射されているとする。このとき、第1遮断機SW1が閉じており、第2遮断機SW2が開いている。太陽電池アレイ12で発電された電力が電力系統に送られている。また発電機22は停止している。
【0034】
(1)日没になり日射計24への日射量が所定値以下になると、演算回路34から同期検出機30に停止信号を送る。同期検出機30からの信号によって第1遮断機SW1を開放する。日射量が所定値以下であるため太陽電池アレイ12は電力系統に出力できる発電はおこなえない。変圧器16と電力系統とが切断されており、電力系統から電力供給が無い。インバータ装置14で不要な電力消費がない。
【0035】
なお、日中であっても曇天や雨天によって太陽電池アレイ12が所定の発電をおこなわない場合は、第1遮断機SW1を開放して、電力系統と変圧器16を切り離す。
【0036】
(2)日の出になり日射計24への日射量が所定値になると、演算回路34から同期検出機30に起動信号を送る。同期検出機30から速度調節機36に起動信号が送られ、速度調節機36によって原動機28を起動させ、発電機22の出力の周波数を定格周波数まで上昇させる。
【0037】
(3)発電機22の出力が定格周波数になったら、第2遮断機SW2を閉じる。発電機22と変圧器16とが接続される。
【0038】
(4)演算回路34からスタータ32にも起動信号を送り、スタータ32によって発電機22の出力が徐々に規定値まで上昇(ソフトスタート)する。ソフトスタートによって、変圧器16への突入電流が抑制される。
【0039】
(5)発電機22の出力が所定の周波数と電圧になったら、同期検出機30および速度調節機36によって電力系統の電圧と位相になるように同期を取る。
【0040】
(6)同期が取れたら第1遮断機SW1を閉じる。変圧器16が電力系統に接続される。電力系統と発電機22の同期が取れており、併用運転が可能になる。
【0041】
(7)第1遮断機SW1が閉じて無負荷損失の給電を電力系統から受ける状態になると、第2遮断機SW2を開放する。発電機22が変圧器16から切り離され、電力系統への切り替えが完了する。
【0042】
(8)速度調節機36によって原動機28を停止させ、発電機22の発電を停止する。太陽電池アレイ12が発電をおこなっており、日没になれば、上記(1)の工程に戻る。
【0043】
以上のように、本発明は夜間などの太陽電池アレイ12で発電がおこなわれないときに、インバータ装置14で電力を消費しない構成である。無駄な電力消費が無く、環境負荷を小さくできる。電力系統への接続時に突入電流などを抑制でき、機器の負荷を小さくし、長寿命になる。
【0044】
本発明について実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。たとえば、太陽光発電システム10は、大規模発電所に限定されず、各家庭の小規模な太陽光発電システム10であっても良い。
【0045】
太陽光発電システム10を商用の電力系統に接続する以外に、大規模プラントなどで自家消費のための電力系統に接続しても良い。
【0046】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0047】
10:太陽光発電システム
12:太陽電池アレイ
14:インバータ装置
16:変圧器
18:給電停止システム
20:力率改善装置
22:発電機
24:日射計
26:制御装置
28:原動機
30:同期検出機
32:スタータ
34:演算回路
36:速度調節機