(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下端部に突起を有する最下端の既製杭及びその他の既製杭を連結しながら、杭穴を掘削しつつ、前記突起を前記杭穴の根固め部に位置させて前記既製杭を設置する工法であって、以下のように構成することを特徴とする既製杭の埋設工法。
(1) 前最下端の記既製杭の下端部外周で、前記根固め部内に位置する突起を覆うように、保護筒を装着する。
(2) 前記保護筒の上端部に、引き上げ用の操作ロッドの下端を固定し、前記杭穴の中空部を通した掘削ロッドの先端を前記最下端の既製杭及び保護筒の先端から突出して、前記掘削ロッドの先端の掘削ヘッドで杭穴を掘削しながら、所定深さまで、杭穴を掘削しつつ前記最下端の既製杭及び保護筒を杭穴内に下降させる。
(3) 続いて、所定の方法で最下端の既製杭にその上方の既製杭を連結するとともに、掘削ロッドを継ぎ足し、前記操作ロッドを継ぎ足して、最下端の既製杭及び上方の既製杭を連結して、前記保護筒とともに同様に下降させる。
以下、所定数の既製杭、掘削ロッド、操作ロッドを継ぎ足して、同様に、杭穴内に既製杭及び保護筒を下降させる。
(4) 所定深さまで前記杭穴を掘削完了し、前記杭穴の下端部に根固め部を形成したならば、あるいは根固め部を形成する前に、前記既製杭の必要な突起が根固め部内に位置するように前記既製杭を下降させる。
(5) 前記既製杭の下降と同時に、または既製杭の下降に前後して、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。
(6) 前記既製杭が所定の深さに至った状態で、前記既製杭を地上で保持して、前記操作ロッドを地上で引き上げ、前記保護筒のみを、前記既製杭の外周と前記杭穴の内壁の間を通過させて、引き上げ、前記保護筒の下縁が、前記根固め部に位置する前記既製杭の突起よりも少なくとも上方に位置するようにする。
(7) 以上のようにして、前記杭穴内に既製杭を設置する。
下端部に根固め部を形成した杭穴を掘削して、前記杭穴内に、下端部に突起を有する最下端の既製杭及びその他の既製杭を連結しながら埋設して、前記突起を杭穴の根固め部に設置する工法であって、以下のように構成することを特徴とする既製杭の埋設工法。
(1) 従来の任意な方法で前記杭穴を掘削して、前記杭穴の下端部に根固め部を形成する。
(2) 前記最下端の既製杭の下端部外周で、前記根固め部内に位置する突起を覆うように、保護筒を装着する。
(3) 前記保護筒の上端部に、引き上げ用の操作ロッドの下端を固定し、前記最下端の既製杭及び前記保護筒を前記杭穴内に下降させる。
(4) 続いて、所定の方法で最下端の既製杭にその上方の既製杭を連結するとともに、前記操作ロッドを継ぎ足して、最下端の既製杭及び上方の既製杭を連結して、前記保護筒とともに同様に下降させる。以下、所定数の既製杭、操作ロッドを継ぎ足して、同様に、杭穴内に既製杭及び保護筒を下降させる。
(5) 前記最下端の既製杭の必要な突起が根固め部内に位置するように前記最下端の既製杭及びその他の既製杭を設置する。
(6) 前記既製杭が所定の深さに至った状態で、前記既製杭を地上で保持して、前記操作ロッドを地上で引き上げ、前記保護筒のみを、前記既製杭の外周と前記杭穴の内壁の間を通過させて、引き上げ、前記保護筒の下縁が、前記根固め部に位置する前記既製杭の突起よりも少なくとも上方に位置するようにする。
(7) 以上のようにして、前記杭穴内に既製杭を設置する。
【背景技術】
【0002】
従来、中掘工法では、既製杭1の中空部に掘削ヘッド20付きの掘削ロッド70を挿通して、先端から掘削ヘッド20を突出させ、杭穴65を掘削しながら既製杭1を下方へ押し込んで(
図11(a)(b))、杭穴65内の所定位置に既製杭1、8を配置することに前後して(
図11(c))、杭穴65内から掘削ロッド70を地上64に引き上げて、既製杭1、8を設置して、根固め液(セメントミルク類)67が固化した後に基礎杭61を構築していた(
図11(d))。また、この場合、中掘工法でも、より多くの先端支持力を確保するために、杭穴65の下端部に固化強度の大きな大径の根固め部66を形成し、下端部に突起を有する既製杭1を使用して、突起を根固め部に位置させていた(特許文献1)。
【0003】
この場合、中掘工法では、一般に杭穴65の外径は、既製杭1、8の最大外径と同等あるいはそれ以下で設定されるため、既製杭1、8の外面、特に突起4、5、6を有する場合には突起4、5、6の下面側4a、5a、6aが杭穴65の壁に当たるので、既製杭1の外面や、突起4、5、6の下面側4a、5a、6aに泥75が付いた状態で、下降され、根固め部に65泥75付きの突起5、6が配置されることがあった。また、杭穴65を既製杭1の最大外径より大きく形成した場合であっても、杭穴65中に泥の塊が有った場合には同様に、既製杭1の突起4、5、6の下面側に泥が付着する可能性もあった。
また、突起を有しない既製杭1でも、同様に、既製杭1の外面や下面に泥が付着する場合もあった。
【0004】
また、掘削ヘッド20で杭穴65を掘削し後に既製杭1、8のみを杭穴65内に埋設するいわゆる先堀工法でも同様の問題点があった(
図12)。即ち、先掘工法では、掘削ヘッド20で所定の構造の杭穴65を掘削し(
図12(a)(b))、その後に、掘削ヘッド20から根固め液を吐出して(
図11(c))、掘削ヘッド20を地上64に引き上げ、所定構造の根固め部66を有する杭穴65を形成し(
図11(d))、その後、杭穴65内に突起4、5、6付きの既製杭1、8を下降させて、既製杭1の下端部の突起5、6を根固め部65内に位置させて、セメントミルク類が固化後に基礎杭61を構築していた(
図11(e))。
【0005】
いわゆる先掘工法の場合にも、杭径に比して杭穴径が一般に大きく形成されるが、同様に杭穴65の壁に既製杭1が接触する可能性もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の場合、既製杭1の突起4、5、6に泥75が付着した状態で、根固め部66の根固め液(セメントミルク類)が固化することになるので、突起突起4、5、6の下面が直接に固化した根固め液に触れない場合もあった。したがって、この場合には、既製杭1に作用した鉛直荷重を根固め部66を介して支持地盤に伝達するに際して、根固め部66の機能が充分に発揮されない問題点があった。
とりわけ、既製杭1の外径と同等又はそれ以下の杭穴径を設定する中掘工法の場合に顕著であった。従来の中掘工法では、比較的弱い地盤で、杭穴外壁に既製杭の外面が直接押圧するように既製杭を納めることに特徴があったが、前述のように、やや弱い地盤であってもできるだけ多くの支持力を確保する傾向が有り、杭穴に根固め部を形成して、根固め部内に既製杭の突起を位置させる必要があった。
既製杭1の鉛直荷重が、既製杭1の突起の下方に向けた面から、固化した根固め液を通して支持地盤に伝わると考えられている。したがって、既製杭1の突起4、5、6の下方に向かう面の面積をより大きくすることが重要であり、突起の下面に泥が付着した場合には、好ましく無かった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこでこの発明では、最下端の既製杭の突起に保護筒を取り付けた状態で、最下端の既製杭及びその他の既製杭を埋設するので、前記問題点を解決した。
【0009】
すなわち、中掘工法適用した発明は、下端部に突起を有する最下端の既製杭及びその他の既製杭を連結しながら、杭穴を掘削しつつ、前記突起を前記杭穴の根固め部に位置させて前記既製杭を設置する工法であって、以下のように構成することを特徴とする既製杭の埋設工法である。
(1) 前最下端の記既製杭の下端部外周で、前記根固め部内に位置する突起を覆うように、保護筒を装着する。
(2) 前記保護筒の上端部に、引き上げ用の操作ロッドの下端を固定し、前記杭穴の中空部を通した掘削ロッドの先端を前記最下端の既製杭及び保護筒の先端から突出して、前記掘削ロッドの先端の掘削ヘッドで杭穴を掘削しながら、所定深さまで、杭穴を掘削しつつ前記最下端の既製杭及び保護筒を杭穴内に下降させる。
(3) 続いて、所定の方法で最下端の既製杭にその上方の既製杭を連結するとともに、掘削ロッドを継ぎ足し、前記操作ロッドを継ぎ足して、最下端の既製杭及び上方の既製杭を連結して、前記保護筒とともに同様に下降させる。
以下、所定数の既製杭、掘削ロッド、操作ロッドを継ぎ足して、同様に、杭穴内に既製杭及び保護筒を下降させる。
(4) 所定深さまで前記杭穴を掘削完了し、前記杭穴の下端部に根固め部を形成したならば、あるいは根固め部を形成する前に、前記既製杭の必要な突起が根固め部内に位置するように前記既製杭を下降させる。
(5) 前記既製杭の下降と同時に、または既製杭の下降に前後して、前記掘削ロッドを地上に引き上げる。
(6) 前記既製杭が所定の深さに至った状態で、前記既製杭を地上で保持して、前記操作ロッドを地上で引き上げ、前記保護筒のみを、前記既製杭の外周と前記杭穴の内壁の間を通過させて、引き上げ、前記保護筒の下縁が、前記根固め部に位置する前記既製杭の突起よりも少なくとも上方に位置するようにする。
(7) 以上のようにして、前記杭穴内に既製杭を設置する。
【0010】
また、先掘工法に適用した発明は、下端部に根固め部を形成した杭穴を掘削して、前記杭穴内に、下端部に突起を有する最下端の既製杭及びその他の既製杭を連結しながら埋設して、前記突起を杭穴の根固め部に設置する工法であって、以下のように構成することを特徴とする既製杭の埋設工法である。
(1) 従来の任意な方法で前記杭穴を掘削して、前記杭穴の下端部に根固め部を形成する。
(2) 前記最下端の既製杭の下端部外周で、前記根固め部内に位置する突起を覆うように、保護筒を装着する。
(3) 前記保護筒の上端部に、引き上げ用の操作ロッドの下端を固定し、前記最下端の既製杭及び前記保護筒を前記杭穴内に下降させる。
(4) 続いて、所定の方法で最下端の既製杭にその上方の既製杭を連結するとともに、前記操作ロッドを継ぎ足して、最下端の既製杭及び上方の既製杭を連結して、前記保護筒とともに同様に下降させる。以下、所定数の既製杭、操作ロッドを継ぎ足して、同様に、杭穴内に既製杭及び保護筒を下降させる。
(5) 前記最下端の既製杭の必要な突起が根固め部内に位置するように前記最下端の既製杭及びその他の既製杭を設置する。
(6) 前記既製杭が所定の深さに至った状態で、前記既製杭を地上で保持して、前記操作ロッドを地上で引き上げ、前記保護筒のみを、前記既製杭の外周と前記杭穴の内壁の間を通過させて、引き上げ、前記保護筒の下縁が、前記根固め部に位置する前記既製杭の突起よりも少なくとも上方に位置するようにする。
(7) 以上のようにして、前記杭穴内に既製杭を設置する。
【0011】
また、前記各発明において、以下のように形成したことを特徴とする既製杭の埋設工法である。
(1) 埋設時に保護筒の下端を、最下端の既製杭の軸部に形成した最下端の突起よりも下方に位置させ、
(2)保護筒の下端部に、前記既製杭の軸部と前記保護筒の内面との隙間を塞ぐ塞ぎ部材を連設した。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、既製杭の外側面と下面を保護筒が覆うので、根固め部内で、既製杭の外面と固化根固め液が密着して、鉛直荷重を確実に支持地盤に伝えることができる。特に、最下端に位置する既製杭に突起を形成し、その突起を杭穴の根固め部に位置させた場合には、突起の全面が固化根固め液に密着するので、鉛直荷重を突起の下面から下方に向けて作用する押圧力、また引き抜き力が生じた場合の突起の上面から上方に向けて作用する押圧力を効率良く発揮でき、基礎杭構造全体の支持力を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1はこの発明の実施に使用する保護筒で、(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)はA−A断面図、(d)はB−B断面図である。
【
図2】
図2はこの発明の実施例で使用する既製杭の正面図である。
【
図3】
図3はこの発明の実施に使用する掘削ヘッドで、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図4】
図4はこの発明の実施に使用する掘削ヘッドで、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図5】
図5(a)〜(f)は、この発明の掘削方法(中掘工法)を説明する縦断面図である。
【
図6】
図6は掘削ロッドに掘削ヘッドを連結した状態で、非回転状態を表し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図7】
図7は掘削ロッドに掘削ヘッドを連結した状態で、(a)は通常掘削状態の正面図であり、(b)は拡大掘削状態の正面図である。
【
図8】
図8は他の掘削ロッドに掘削ヘッドを連結した状態で、非回転状態を表し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図9】
図9は他の掘削ロッドに掘削ヘッドを連結した状態で、(a)は通常掘削状態の正面図であり、(b)は拡大掘削状態の正面図である。
【
図10】
図10(a)〜(f)は、この発明の他の掘削方法(先掘工法)を説明する縦断面図である。
【
図11】
図11(a)〜(d)は、従来の掘削方法(中掘工法)を説明する縦断面図である。
【
図12】
図12(a)〜(e)は、従来の掘削方法(先掘工法)を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1) この発明で使用する最下端の既製杭1は、上方の既製杭8と連結する上部の軸部(太径)2に下部の軸部(細径)3を連設して、上部の軸部2と下部の軸部3の段差部分に、上部の軸部2より大径の径D
3(表面からの出+5cm程度)の環状の突起5を形成する。上部の軸部2、下部の軸部3にもそれぞれ、同じ外径D
3の環状の突起4、6を形成する。
ここでは、下部の軸部3の突起6、段差部の環状突起5の2つが根固め部66に位置するように計画されたものである。
【0016】
(2) 最下端の既製杭1以外の既製杭8は本実施形態では、最下端の既製杭1の上部の軸部2と同一外径のストレート状の既製杭8を使用する。
最下端の既製杭1以外の既製杭8は、ストレート状の通常の丸杭、環状の突起を全長に設けた節杭、あるいはその他の特殊形状の既製杭のいずれを採用しても良いが、節杭などの突起を有する既製杭を使用する場合には、最大突起物の外径が、最下端の既製杭の環状突起の外径と同程度とすることが望ましい。
【0017】
(3) 最下端の既製杭1で、
下部の軸部3の外径をD
1
上部の軸部2の外径をD
2
環状の突起4、5、6の外径をD
3
とする。
【0019】
(1) 外径D
11、内径D
12の鋼管から筒状基体11を構成する。内径D
12は使用する最下端の既製杭1の環状突起4、5、6の外径D
3より若干大きな径とする。
筒状基体11の下端内面に内径D
13の柔軟な樹脂材料(例えば、ゴム状の材料)からなるドーナツ状の塞ぎ部材13を固定する。外径D
11は、杭穴65内を通って地上64に引き上げられるように、掘削予定の杭穴65の径D
0より若干小さい径とする。
また、外径D
11は、杭穴65の径D
0と同径又は若干大径として、筒状基体11の下端をフリクションカッターの機能を扶養することもできる。この場合、筒状基体11の上部及び中間部の外径D
11を杭穴65の径D
0より若干小さい径として、筒状基体11の下端部の外径D
11を杭穴65の径D
0と同径又は若干大径とすることもできる。
【0020】
(2) また、筒状基体11の上端に、操作ロッド15、15の下端部を連結する。操作ロッド15は平面視で回転対称な位置に複数設けて、操作ロッド15は、例えば、筒状基体の外径D
11が、1050mmの場合、太さ12.6mm程度のPC鋼棒から構成する。操作ロッド15は、筒状基体11の外壁(径D
11)から突出しないように形成することが望ましい。以上のようにして保護筒10を構成する。
【0021】
(3) また、前記において、操作ロッド15はPC鋼棒を使用したが、筒状基体11を巻き上げて筒状基体(保護筒)を杭穴65の先端部から地上まで引き上げる機能があれば材質は任意である。例えば、鋼製ワイヤーなど、PC鋼棒に比して柔らかい材料を使用することもできる(図示していない)。
【0023】
(1) 掘削ヘッド20は、掘削ロッド70に連結するヘッド本体22と、ヘッド本体22に水平軸26で取り付けた掘削腕40、40とからなる(
図3(a)(b))。
【0024】
(2) ヘッド本体22は、略直方体の本体上部23と、本体上部23の下方に連続する本体扁平部31とからなる。
本体上部23は、直方体の下部を半円形に形成してあり、下部は半割の円柱のような形状となっている。本体上部23の4つの側面を、対向する一側面24、24、他を他側面24a、24aとする。本体上部23の上端部に、掘削ロッド70と連結する連結部25を設け、本体上部23の一側面(半円側)24、24に水平軸26を設け、水平軸26に、それぞれ掘削腕40、40の上端部を回転揺動自在に連設する。また、本体上部23の他側面(水平軸26を設けない側の側面)24a、24aに、掘削ロッド70の螺旋羽根71の下端に連続するように形成した螺旋羽根27、27を設ける。
本体扁平部31は、本体上部23の一側面24に続く面を一側面32、本体上部23の他側面24aに続く面を他側面32aとする。本体扁平部31の一側面32、32は、上部で斜めに徐々に幅が広がり、中間部及び下部は同じ幅D
21となっている。また、本体扁平部31の他側面32aは、上端(本体上部23の下縁)から下端まで徐々に幅が狭くなるように形成され、下端でD
22に形成されている。したがって、本体扁平部31の下面33は、「長さD
21×長さD
22」の平面が形成される。
本体扁平部31の下面33でD
21方向の両側に、中央部から徐々に下方に向かう斜面35を有する突起部34が形成され、突起部34の両端部は水平面36が形成される。本体扁平部31の下面33及び突起部34の斜面35、水平面36に、それぞれ固定掘削刃38、38を下方に向けて固定する。固定掘削刃38は、刃先が略逆U字状で、長さD
22方向に、2つの刃先が形成される。
【0025】
(3) 掘削腕40は、水平軸26に連結する上部41と、下端に移動掘削刃45、45を有する下部43と、上部41と下部43とをつなぐ中間部42とからなる。正面視(本体上部23の一側面24側)で、上部41の中間部42側は徐々に幅が小さくなるように形成され中間部42に至っている。また下部43は中間部42から徐々に幅が大きくなるように形成され下端部で最大幅となっている。
また、側面視(本体上部23の他側面24a側)で、掘削腕40は略同一の幅で形成され、「上部41の下側」から「中間部42」がヘッド本体22の一側面24、32に沿って、両掘削腕40、40が近づくように屈曲傾斜されている。さらに掘削腕の「下部43」は両掘削腕40、40が離れるように、下方外側に向けて屈曲傾斜している。掘削腕40の下端には、「下部43」の傾斜に沿って、下方外側に向く移動掘削刃45、45を連設してある。
移動掘削刃は3本設けられており、正回転で掘削腕40が揺動した際に最も外側に位置する移動掘削刃45Aが最も長く(先端が下方に位置する)、最も内側に位置する移動掘削刃45Cが最も短く(先端が上方に位置する)、中間の移動掘削刃45Bが、移動掘削刃45A、45Cの中間に位置する(
図3、
図4、
図6、
図7)。
また、掘削腕40で、通常掘削時に揺動する側を一側面44とし、他側を他側面44aとする。掘削腕40、40の一側面44で中間部42から下部43にかけての高さに、撹拌板47を固定する。
【0026】
(4) 掘削腕40、40の中間部42で、他側面(撹拌板を設けた側の反対側の側面)44aに、枠状のストッパー枠51を突設する。ストッパー枠51は、掘削腕40に突設した2本の支持材53、53と両支持材53の先端を連結するストッパーバー52とからなり、ストッパーバー52と支持材53、53とで略コ字状に形成される。ストッパーバー52は、掘削腕40の軸方向と同じ方向であるが、若干角度を持つように設定されている。
また、掘削腕40の上端に上方に向けた上部突起48を突設する。
【0027】
(5) 掘削ヘッド20が正回転して、掘削腕40、40が揺動した際に、予め決められた角度で揺動して、杭穴65の軸部66aを掘削する(
図7(a))。その時の掘削腕の揺動角度を保つように、ヘッド本体22の本体扁平部31に、掘削腕40のストッパー枠51のストッパーバー52を係止するストッパー受け56を設ける。
また、掘削ヘッド40が正回転して、掘削腕40、40がさらに揺動して、予め決められた角度で揺動して、杭穴65の拡大掘削する(
図7(b))。その時の掘削腕40の揺動角度を保つように、ヘッド本体22の本体上部23の一側面24に、掘削腕40の上部突起48が当接して、それ以上大きく掘削腕40が揺動することを規制する第1ストッパー突起57を突設する。また、このとき、掘削腕40の中間部42に当接して、、それ以上大きく掘削腕40が揺動することを規制する第2ストッパー突起58を、ヘッド本体22の本体扁平部31に突設する。
また、掘削ヘッド40が正回転して、杭穴65の拡大掘削する揺動角度を保持するように、ヘッド本体22の本体扁平部31の一側面32に、一側面32から突出する方向にバネで付勢された出没突起59を設ける。この状態で、出没突起59は、出状態で、掘削腕40の裏面側(ヘッド本体22に向く側)に設けた凹部(図示していない)に嵌合した状態にある。正回転中の不慮の加圧では戻らないようになっている。なお、掘削ヘッド40を一旦停止して、掘削ヘッド40を杭穴底に押圧すれば、掘削腕40の移動掘削刃45、45が加圧され掘削腕40の先端の間隔が開き、掘削腕40の裏面が出没突起を乗り越えて、掘削腕40を他側に戻すことができる。
【0029】
(1) 最下端の既製杭1の下端部外周で、根固め部66内に位置する突起5、6及び突起4を覆うように、保護筒10を装着する。この場合、保護筒10の下端の塞ぎ部材13が既製杭1の下面1aを覆っている。掘削ヘッド20を先端に取り付けた掘削ロッド70を既製杭1の中空部を通して(
図6)、既製杭1の下端から掘削ヘッド20の掘削腕40、40を出して、掘削ロッド70(掘削ヘッド20)を正回転させて(
図7(a))、既製杭1の下方を掘削しながら、下降する(
図5(a))。
この際、既製杭1と保護筒10の操作ロッド15を地上64で保持する。杭穴65が深い場合には、既製杭1に既製杭8、掘削ロッド70、操作ロッド15、15も継ぎ足しながら下降させる。
【0030】
(2) 所定深さに至ったならば、掘削ヘッド20の掘削腕40の揺動角度を大きくして(
図7(b)、既製杭1の下方から大きく掘削ヘッド20を突出させ、杭穴65の拡大径の根固め部部66を掘削する(
図5(b))。
【0031】
(3) 所定の根固め部66を掘削したならば、掘削ヘッド22のヘッド本体23の下端から根固め液67を吐出して、根固め部部掘削ヘッド22を掘削ロッド70共に、地上64に引き上げる(
図5(c))。
【0032】
(4) 掘削ヘッド22の引き上げと同時に又は前後して、根固め部66内に根固め液67が満たされたならば、既製杭1を所定の深さに設置する(
図5(d))。その後、保護筒10のみを地上64で操作ロッド15を引いて、引き上げる(
図5(e))。
【0033】
(5) この既製杭1は突起5、6が根固め部66内に位置するが、下降途中で突起4、5、6及び既製杭1の下面1aに泥が付着することなく、突起5、6の下面5a、6aをはじめ突起4、5の全体、下面1aが根固め液67に納まった状態となる(
図5(e))。
したがって、根固め液67が固化した後に、基礎杭構造60を構成する。基礎杭構造60では、既製杭1の突起5、6、下面1aが固化根固め液67に密着するので、鉛直荷重を確実に根固め部66に伝え、鉛直荷重が支持地盤に確実に支持される。
【0035】
(1) 掘削ヘッド20を先端に取り付けた掘削ロッド70を正回転させて(
図7(a))、杭穴65の軸部66aを掘削する(
図10(a)。所定の深さで、掘削ヘッド20の掘削腕40の揺動角度を大きくして(
図5(b))、さらに正回転して、杭穴65の根固め部66を拡大掘削する(
図10(b))。
【0036】
(2) 所定の設計の杭穴65の軸部66a、根固め部66を構築したならば、掘削ヘッド20の下端から根固め液67を吐出しながら、掘削ヘッド20で根固め部66内を反復、撹拌し(
図10(c))、根固め部66内に根固め液67が満たされた杭穴65を構築して、その後掘削ヘッド20を引き上げる(
図10(d))。
【0037】
(3) 続いて、最下端の既製杭1の下端部外周で、根固め部66内に位置する突起5、6及び突起4を覆うように、保護筒10を装着する。この場合、保護筒10の下端の塞ぎ部材13が既製杭1の下面1aを覆っている。既製杭1を保護筒10と共に杭穴65内を下降して、深さに応じて、他の既製杭8、操作ロッド15、15を連結しながら、既製杭1と保護筒10とを所定の深さに設置する(
図10(e))。
【0038】
(4) その後、保護筒10のみを地上64で操作ロッド15を引いて、引き上げれば、この既製杭1は突起5、6が根固め部66内に位置するが、下降途中で突起4、5、6及び既製杭1の下面1aに泥が付着することなく、突起5、6の下面5a、6aをはじめ突起4、5の全体、下面1aが根固め液67に納まった状態となる(
図5(f))。
したがって、根固め液67が固化した後に、基礎杭構造60を構成する。基礎杭構造60では、中掘工法の場合と同様に、既製杭1の突起5、6、下面1aが固化根固め液67に密着するので、鉛直荷重を確実に根固め部66に伝え、鉛直荷重が支持地盤に確実に支持される。
【0039】
6.他の実施形態
(1) 前記実施形態で、最下端の既製杭1に突起4、5、6を有する場合が最適であるが、ストレート状の既製杭であっても、保護筒10により、外側面及び下端1aに泥が付着することが無いので、充分な効果を発揮することができる(図示していない)。
【0040】
(2) また、前記実施形態で、杭穴65の根固め部66を拡大掘削したが、軸部66aと同径に形成することもできる(図示していない)。
【0041】
(3) また、前記実施態様で、保護筒10を地上64まで引き上げたが、保護筒10を杭穴65の軸部66a内に止めることもできる(図示していない)。この場合、保護筒10の筒状基体11が根固め部66より上方に(すなわち杭穴65の軸部66aに位置するように)まで引き上げればよい。より、正確には、保護筒10の筒状基体11の下縁が、少なくとも根固め部66内に位置する既製杭1の突起6、5よりも上方に位置するように引き上げる。
【0042】
(4) また、前記実施態様で、掘削ヘッド20の移動掘削刃45Cは、正回転で掘削腕40が揺動した際に最も外側に位置する移動掘削刃45Aが最も長く、移動掘削刃45B、移動掘削刃45Aにしたがって短く形成したが、他の構成とすることもできる。例えば、3本の場合、両側の移動掘削刃45A、45Cを長く(先端が下方に位置する)、中間の移動掘削刃45Bを短く(先端が上方に位置する)形成することもできる(
図8、
図9)。この場合、掘削ヘッド20の作動は同様であり、前記各実施態様に同様に使用できる。