特許第5959984号(P5959984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5959984
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】乗物用座席シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   B60N2/68
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-175352(P2012-175352)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-34244(P2014-34244A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 武志
(72)【発明者】
【氏名】奥 尚人
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 亮輔
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−218963(JP,A)
【文献】 特開2002−347492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の適所に設置されて乗員の着座するシートクッション、このシートクッションの後端部に連結されて乗員の背部を受けるシートバックを備えた乗物用座席シートにおいて、
前記シートバックは、その骨格を構成するシートバックフレームと、このシートバックフレームを被包する、表皮により被覆されたクッション部材と前記シートバックフレームの背部に取り付けられるバックボードとを備え、
前記シートバックフレームには、第1規制部材と、第2規制部材とが上下に間隔をあけて架設され、前記第1規制部材は前記バックボードとの間で、前記シートバックフレームの後方に位置する後部クッション部材を挟持し、また、前記第2規制部材に形成される規制部は、前記シートバックフレームのアッパフレームと前記第1規制部材との間に位置して、前記後部クッション部材の前方への変形を抑制するようにしたことを特徴とする、乗物用座席シート。
【請求項2】
前記第2規制部材の前記規制部は、前記第1規制部材の前面および後面と、前記シートバックフレームの前記アッパフレームの前面および後面とをそれぞれ結ぶ前後仮想線内に配置されることを特徴とする、前記請求項1に記載の乗物用座席シート。
【請求項3】
前記第2規制部材の前記規制部は前記後部クッション部材の前面に当接していることを特徴とする、前記請求項1または2に記載の乗物用座席シート。
【請求項4】
前記第2規制部材の前記規制部と対面する前記後部クッション部材の前面は、前方に向けて凸の湾曲面に形成されていることを特徴とする、前記請求項1、2または3に記載の乗物用座席シート。
【請求項5】
前記第2規制部材は前記後部クッション部材に対面する前記規制部が後方に傾斜していることを特徴とする、前記請求項1、2、3または4に記載の乗物用座席シート。
【請求項6】
前記第2規制部材の前記後部クッション部材の前方への変形を規制する前記規制部は前記シートバックフレームの前記アッパフレームに設けたヘッドレスト支持部の間に設けられることを特徴とする、前記請求項1、2、3、4または5に記載の乗物用座席シート。
【請求項7】
前記第2規制部材の前記後部クッション部材の前方への変形を規制する前記規制部の上端は、前記シートバックフレームの前記アッパフレームに設けたヘッドレスト支持部の下端よりも上方に延長されることを特徴とする、前記請求項1、2、3、4、5または6に記載の乗物用座席シート。
【請求項8】
前記第2規制部材の前記後部クッション部材の前方への変形を規制する前記規制部は前方から見たときに、前記第1規制部材と交差して、その上方に位置していることを特徴とする、前記請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の乗物用座席シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物、主として車両に設置され、シートクッション、このシートクッションの後端部に連結されるシートバックを備えた、乗物用座席シートに関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる乗物用座席シートにおいて、前記シートバックを、その骨格となるシートバックフレームと、このシートバックフレームを被包する、表皮により被覆されたクッション部材と、シートバックフレームの背面に取り付けられるバックボードとより構成し、シートバックフレームにクッション部材を支持するサポートワイヤを架設したものは公知である(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−169259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記シートバックのサポートワイヤは、シートバックの後方側から過大な外力が作用したとき、クッション部材、特にシートバックフレームのアッパフレームとバックボード間のクッション部材の前方への、潰れ、移動などの変形を一層抑制することが望まれていた。
【0005】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、バックボードを支持する第1規制部材と、クッション部材の変形を抑制する第2規制部材との協働により、クッション部材の前方への変形を抑制できるようにした、新規な乗物用座席シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、乗物の適所に設置されて乗員の着座するシートクッション、このシートクッションの後端部に連結されて乗員の背部を受けるシートバックを備えた乗物用座席シートにおいて、
前記シートバックは、その骨格を構成するシートバックフレームと、このシートバックフレームを被包する、表皮により被覆されたクッション部材と前記シートバックフレームの背部に取り付けられるバックボードとを備え、
前記シートバックフレームには、第1規制部材と、第2規制部材とが上下に間隔をあけて架設され、前記第1規制部材は前記バックボードとの間で、前記シートバックフレームの後方に位置する後部クッション部材を挟持し、また、前記第2規制部材に形成される規制部は、前記シートバックフレームのアッパフレームと前記第1規制部材との間に位置して、前記後部クッション部材の前方への変形を抑制するようにしたことを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項2に係る本発明は、前記第1の特徴に加えて、前記第2規制部材の前記規制部は、前記第1規制部材の前面および後面と、前記シートバックフレームの前記アッパフレームの前面および後面とをそれぞれ結ぶ前後仮想線内に配置されることを第2の特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項3に係る本発明は、前記第1または2の特徴に加えて、前記第2規制部材の前記規制部は前記後部クッション部材の前面に当接していることを第3の特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項4に係る本発明は、前記第1、2または3の特徴に加えて、前記第2規制部材の前記規制部と対面する前記後部クッション部材の前面は、前方に向けて凸の湾曲面に形成されていることを第4の特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項5に係る本発明は、前記第1、2、3または4の特徴に加えて、前記第2規制部材は前記後部クッション部材に対面する前記規制部が後方に傾斜していることを第5の特徴としている。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項6に係る本発明は、前記第1、2、3、4または5の特徴に加えて、前記第2規制部材の前記後部クッション部材の前方への変形を規制する前記規制部は前記シートバックフレームの前記アッパフレームに設けたヘッドレスト支持部の間に設けられることを第6の特徴としている。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項7に係る本発明は、前記第1、2、3、4、5または6の特徴に加えて、前記第2規制部材の前記後部クッション部材の前方への変形を規制する前記規制部の上端は、前記シートバックフレームの前記アッパフレームに設けたヘッドレスト支持部の下端よりも上方に延長されることを第7の特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項8に係る本発明は、前記第1、2、3、4、5、6または7の特徴に加えて、前記第2規制部材の前記後部クッション部材の前方への変形を規制する前記規制部は前方から見たときに、前記第1規制部材と交差して、その上方に位置していることを第8の特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、シートバックフレームには、第1規制部材と、第2規制部材とが上下に間隔をあけて架設され、前記第1規制部材は、バックボードとの間で後部クッション部材を挟持し、また前記第2規制部材に形成される規制部は、前記シートバックフレームのアッパフレームと第1規制部材との間に位置して、後部クッション部材の前方への変形を抑制するようにしたので、前記第1規制部材と第2規制部材との協働により、シートバックに後方側から外力が作用したとき、後部クッション部材の前方への潰れ、移動などの変形を一層確実に抑制することができ、クッション性を高めて、乗員の座り心地を向上させることができる。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、前記第2規制部材の規制部は、第1規制部材の前面および後面と、シートバックフレームのアッパフレーム前面および後面とをそれぞれ結ぶ前後仮想線内に配置されることにより、アッパフレーム下の特に変形し易い後部クッション部材の変形を効率よく抑制することができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、第2規制部材の規制部は、シートバックフレームの後方に位置する後部クッション部材の前面に当接していることで、第2規制部材によりクッション部材の変形を素早く抑制して、クッション部材の抑制効果を一層高めることができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、第2規制部材と対面する後部クッション部材の前面は、前方に向けて凸の湾曲面に形成されているので、後部クッション部材の前面を第2規制部材に近づけることができ、第2規制部材によりクッション部材の変形を素早く抑制して、クッション部材の抑制効果を一層高めることができる。
【0018】
本発明の第5の特徴によれば、第2規制部材は、後部クッション部材に対面する上部が後方に傾斜しているので、後部クッション部材の前面を第2規制部材に近づけることができ、第2規制部材によりクッション部材の変形を素早く抑制して、クッション部材の変形抑制効果を一層高めることができる。
【0019】
本発明の第6の特徴によれば、第2規制部材の、後部クッション部材の前方への変形を規制する規制部は、シートバックフレームのアッパフレームに設けたヘッドレスト支持部の間に設けられるので、ヘッドレスト支持部に干渉することなく、後部クッション部材の前方への変形を抑制することができる。
【0020】
本発明の第7の特徴によれば、前記第2規制部材の、後部クッション部材の前方への変形を規制する規制部の上端は、シートバックフレームのアッパフレームに設けたヘッドレスト支持部の下端よりも上方に延長されているので、ヘッドレスト支持部に近い後部クッション部材の前方への変形を抑制することができる。
【0021】
本発明の第8の特徴によれば、第2規制部材の、後部クッション部材の前方への変形を規制する規制部は、前方から見たときに、第1規制部材と交差して、その上方に位置しているので、第1規制部材と第2規制部材との協働による後部クッション部材の前方への変形抑制作用を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】座席シートの側面図。
図2図1の2矢視の座席シートの一部破断した前方斜視図。
図3図2の3線矢視の座席シートの正面図。
図4図2の4矢視の座席シートの背面図。
図5図3の5−5線に沿う断面図。
図6図5の6線矢視の仮想線囲い部分の拡大図。
図7図5の7線矢視の仮想線囲い部分の拡大図。
図8図3の8−8線に沿う断面図。
図9図3の9線矢視拡大図。
図10】受圧部材に負荷のかかった状態を示す、図7と同じ断面図。
図11】受圧部材に負荷のかかった状態の受圧部材と上部連結ワイヤとの関係を示す、図4の一部拡大図。
図12図11の12−12線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明乗物用座席シートを、自動車用として実施した場合の実施態様について説明する。
【0024】
以下の説明において、座席シートの設置される自動車の前後を「前後」、その左右を「左右」、その上下を「上下」という。
【0025】
図1,2に示すように、自動車用座席シート1は、シートクッション2、シートバック3およびヘッドレスト4を備える。
【0026】
シートクッション2は、下部に複数の支持脚7、7を設けた、シートクッションフレーム6を有しており、その支持脚7、7が自動車の床Fに固着される。
【0027】
シートクッションフレーム6の後端部には上方に突出する左右一対のブラケット8が連設され、これらブラケット8に、シートバック3の骨格を構成するシートバックフレーム20が、従来公知のリクライニング機構10を介して枢軸9まわりにリクライニング可能に連結される。
【0028】
また、シートバックフレーム20の上端部、すなわちアッパフレーム22には、左右一対のヘッドレスト支持部11、11が固設されており、これら支持部11、11によってヘッドレスト4が、従来公知の支持装置(図示せず)によって昇降および固定可能に支持される。
【0029】
つぎに、図1〜9を参照して、座席シート1のシートバック3の具体的構造について詳細に説明する。
【0030】
シートバック3は、その骨格を構成するシートバックフレーム20と、そのシートバックフレーム20の全域を被包し、その表面が表皮15により被覆される、発泡ウレタン製のクッション部材14と、シートバックフレーム20の背面に取り付けられるバックボード16とを備えている。
【0031】
図2〜4に示すように、シートバックフレーム20は、上下方向に長い長方形状に形成されており、左右方向、すなわち車幅方向に間隔を存して互いに並行に上下方向に延びる左右サイドフレーム21と、左右サイドフレーム21,21の上端間に溶接結合されるアッパフレーム22と、左右サイドフレーム21,21の下端間に溶接結合されるロアーフレーム23とより上下方向に長い矩形状に形成されている。
【0032】
前記左右サイドフレーム21,21は、互いに対向する内面を開放した横断面コ字状に形成され、その下半部は前方に湾曲状に膨出形成され、また、前記アッパフレーム22は、パイプ部材により門型に形成されている。
【0033】
前記ロアーフレーム23は、左右サイドフレーム21,21間を車幅方向に延びる中央部材24と、この中央部材24の左右両端と左右サイドフレーム21,21の下端間を一体に溶接結合する左右接続部材25,25を備える。前記中央部材24は、鋼板などの板材により断面コ字状で、車幅方向に長い長方形に形成され、一方、左右接続部材25,25は、鋼板などの板材により断面コ字状で、三角形状に形成されている。中央部材24の左右両端部には、それと重なるように左右接続部材25,25の内端部が接続され、それらは一体に溶接結合される。また、左右接続部材25,25の上端は、前記左右サイドフレーム21,21の下端にそれぞれ一体に溶接結合される。そして、ロアーフレーム23は、全体として前後方向からみて凹状に形成されている。
【0034】
図3,4,5,7に示すように、前記中央部材24の、車幅方向(左右方向)の中央部の上縁部には、その方向に細長い長方形状の突出部26が上方に向けて一体に突出形成されている。この突出部26の左右両端と、中央部材24の左右両端部および左右接続部材25,25との間にはそれぞれ凹部27,27が形成されており、突出部26は、単独で前後方向に弾性変形が可能である。
【0035】
前記突出部26は、シートクッション2上に乗員Mが着座した状態では、後述する受圧部材40よりも後方にあって、突出部26の上端と、受圧部材40の下端間には、前後方向に距離dが保たれ(図5,7参照)、乗員Mに違和感を与えないようにしており、自動車の急加速時、後面衝突時など、シートバック3に乗員Mからの荷重が作用したとき、突出部26の上端と、受圧部材40の下端とが上下方向に略面一になり、また、突出部26の上端面が、受圧部材40の下端面に最も近づくように設定される(図10参照)。
【0036】
図5,7に示すように、前記突出部26は、中央部材24よりも前側(乗員側)に向けて傾斜しており、その上下方向の中間領域26aには、前方に向かって凸に湾曲する湾曲面よりなり、クッション部材14の後面に接触する荷重受面が形成され、その上端(自由端)には、前方に向かって折り曲げられる上端折曲部26bが形成され、さらに、その下端には、後方に向かって折り曲げられる下端折曲部26cが形成されており、突出部26の剛性が高められる。前記上端折曲部26bは、表皮15の下端縁の掛け止め部として利用することができ、また、前記下端折曲部26cは中央部材24に一体に接続されている。突出部26の上端面は、後述する受圧部材40の下端面と間隔をあけて略平行である。
【0037】
図2〜4に示すように、シートバックフレーム20の上部、すなわちアッパーフレーム22の左右側部には、第1規制部材30および第2規制部材31が上下に間隔をあけて架設されている。
【0038】
第1規制部材30は、ワイヤなどの線状部材により構成され、車幅方向に直線状に延びており、その左右両端30e,30eが、シートバックフレーム20のアッパフレーム22の左右側部に溶接結着されている。そして、この第1規制部材30は、図5,6に示すように、アッパフレーム22を迂回してその後部下方に垂下される後部クッション部材14aの下端部を挟んでバックボード16の上縁を支持しており、後部クッション部材14aの変形を規制する。
【0039】
一方、図3,4に示すように、第2規制部材31もワイヤなどの線状部材により構成され、その左右両端31e,31eが、アッパフレーム22の左右側部に溶接結着されている。そして、この第2規制部材31は、第1規制部材30よりも前方にあって(図5,6参照)上下方向に波状に屈曲形成されていて、後部クッション部材14aの前方への変形を抑制する規制部31a、後部クッション部材14aの表皮15を取り付ける一対の表皮取付部31b,31bおよびバックボード16の上縁を係止する一対のバックボード取付部31c,31cが一体に形成されている。具体的には、前記規制部31aは、第2規制部材31の中央部に形成され、前方から見たときに、前記第1規制部材30と交差し上方に突出して横方向に直線状に延びる突出部分31a−1と、その両端より下方に垂下する垂下部分31a−2を有して逆U字状に形成されている。また、前記表皮取付部31bは、前記垂下部分31a−2の下端に連続して横方向に直線状に延びており、さらに、前記バックボード取付部31cは、表皮取付部31bの左右両側に、略鉛直な連結部分31d,31dを介して横方向に直線状に延びている。
【0040】
図6に示すように、前記第2規制部材31の規制部31aは、、第1規制部材31の前面および後面と、シートバックフレーム20のアッパフレーム22の前面および後面とをそれぞれ結ぶ前後仮想線l1 ,l2 内に配置されることにより、アッパフレーム22下の特に変形し易い後部クッション部材14aの変形を効率よく抑制することができる。
【0041】
また、前記第2規制部材31の規制部31aは、後部クッション部材14aの、前方に向けて凸の湾曲面に形成される前面に対面しており、さらに、第2規制部材31の規制部31aは、後方に向け傾斜している。これにより、後部クッション部材14aの前面を、第2規制部材31に規制部31aに近づけることができ、第2規制部材31による、後部クッション部材14aの変形抑制効果が高められる。
【0042】
図3,4に示すように、前記第2規制部材31の、規制部31aの突出部分31a−1は、アッパフレーム22に設けられる、ヘッドレスト4の一対の支持部11,11の下端よりも上方に突出し、かつ、その支持部11,11間に配置されていて、一対のヘッドレスト4の支持部11,11近傍の後部クッション部材14aがそれよりも前方側、すなわち乗員側へ変形して侵入するのを効果的に抑制する。
【0043】
図3、4、5、6に示すように、シートバック16の背面を覆うバックボード16の上端内側に設けられる一対の取付けフック16a,16aは、前記第2規制部材31のバックボート取付部31c,31cに係止され、バックボード16の上端は、第2規制部材31に取り付けられる。また、クッション部材14を被覆する表皮15の端末は、第2規制部材31の表皮取付部31b、31bに結着される。
【0044】
ところで、自動車の急加速時、後面衝突時など、過大な外力がシートバック3に作用したき、第2規制部材31に設けた規制部31aは、後部クッション部材14aの前方側への、潰れ、変形を抑制することができ、クッション部材14による乗員の保護を安定させることができる。
【0045】
また、シートバック3の製作時、運搬時などにおいても、シートバック3に後方からの過大な外力が作用したときにも、第2規制部材31の規制部31aは、シートバックフレーム20よりも後方側の後部クッション部材14aが、その前方側へ変形して侵入するのを抑止することができる。
【0046】
図2〜7、11に示すように、シートバックフレーム20内には、シートクッション上に着座する乗員Mの上半身、すなわちその胸部および腰部を支持する、受圧部材40が、その四方に間隙をあけて配設されている。この受圧部材40は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂製の板材により、前後方向からみて四角形状に形成されており、シートフバックフレーム20に、上部連結部材としての上部連結ワイヤ41および下部連結部材としての下部連結ワイヤ42を介して前後方向に撓むように弾性支持されている。上部連結ワイヤ41は、下部連結ワイヤ42よりも軸方向の伸び量が大きく、これにより、受圧部材40は、その上部が、下部よりも前後方向の撓み量が大きくなるようにされている。
【0047】
図3,4に示すように、受圧部材40は、その上部が、その下部よりも車幅方向の横幅が広く、かつその上部の肉厚t2 が、その下部の肉厚t1 よりも肉薄に形成されている(図5参照)。受圧部材40の左右両側には、左右側部縦リブ40a,40aがその背面側に向けて膨出形成され、さらに、その下半部には、その略全域に亘り、複数の縦リブ40b…、それらとクロスする横リブ40c、他の複数の小リブ40d…がその背面側に向けて膨出形成されており、これらのリブは、受圧部材40の左右両側部および下半部を補強している。そして、受圧部材40に乗員Mからの荷重が作用したとき、その上部が、下部よりも弾性変形し易く、その沈み込み量が大きくなるようにされており、後述するように受圧部材40による乗員Mの保護効率を高めるようにしている。
【0048】
図3,4に示すように、受圧部材40の上部および下部は、上部および下部連結ワイヤ41,42によって、前後方向に撓むように弾性変形可能に支持される。
【0049】
受圧部材40の背面の上方角部には、下向きに開放した鉤状の左右上部支持片40e,40eがそれぞれ一体に形成され、また、その上方中央部には上向きに開放した鉤状の上部中央支持片40fが一体に形成され、さらに、それらの支持片40fよりも下方において、左右上部支持片40e,40eと上部中央支持片40fとの間には、下向きに開放した鉤状の左右中間支持片40g,40gがそれぞれ一体に形成されている。
【0050】
一方、上部連結ワイヤ41は、上下方向に角波状の屈曲形成されて、その両端41e,41eがシートバックフレーム20の左右サイドフレーム21,21に連結されている。受圧部材40の左右上部支持片40e,40eは、上部連結ワイヤ41の横方向に延びる左右上部分41a,41aにそれぞれ横方向に摺動可能に支持され、また、その上部中央支持片40fは、上部連結ワイヤ41の横方向に延びる上部分41bに支持され、さらに、その左右中間支持片40g,40gは、上部連結ワイヤ41の横方向に延びる左右下部分41c,41cにそれぞれ横方向に摺動可能に支持される。
【0051】
また、図3,4,8に示すように、受圧部材40の、左右上部には、前記上部連結ワイヤ41に当接して受圧部材40の撓み量を制限する左右一対の当接部材40h,40hが一体に設けられる。すなわち、受圧部材40の左右側部縦リブ40a,40aの上部には、その受圧部材40の背面との間に間隙を存して内方に向けて折り曲げられる、折曲部を有する当接部材40h,40hが一体に形成されている。前記当接部材40h,40hと受圧部材40の背面との間に上部連結ワイヤ41の左右側部41d,41dを受け入れる受入空間c,c(図8,12参照)が形成される。そして、その受入空間c,cに進入した上部連結部材41の左右側部41d,41dは、前記当接部材40h,40hにそれぞれ当接して受圧部材40の後方への変移が抑制され、これにより、受圧部材40の後方への撓み量(沈込み量)を規制することができる。
【0052】
受圧部材40の下部は、下部連結ワイヤ42によって、後方に移動可能に支持される。図3,4に示すように、受圧部材40の背面の下方左右には、下向きに開放した鉤状の左右下部支持片40i,40iがそれぞれ一体に形成され、またその中央部には上向きに開放した鉤状の下部中央支持片40jが一体に形成されている。
【0053】
一方、下部連結ワイヤ42は、上下方向に屈曲形成されて、その両端42e,42eがシートバックフレーム20の左右サイドフレーム21,21に、それぞれ回動部材44および引張ばね46を介して連結されている。
【0054】
図9に示すように、回動部材44はサイドフレーム21に前後方向に回動自在に軸支45され、この回動部材44の下端と、サイドフレーム21間には引張バネ46が張架されており、この引張バネ46の引張力は、回動部材44を上方(図9時計方向)に回動するように付勢している。また、下部連結ワイヤ42の端部42eは、回動部材44の下端に連結されている。したがって、受圧部材40に後方への負荷が作用すれば、該受圧部材40の下部は、回動部材44および引張バネ46を介して後方に向けて撓むようにされる。回動部材44には、ストッパ片44aが一体に設けられ、このストッパ片44aがサイドフレーム21の縁部に係合して、受圧部材40の下部の後方への撓み量が規制される。
【0055】
しかして、上部連結ワイヤ41および下部連結ワイヤ42によってシートバックフレーム20に支持される受圧部材40は、そこに乗員Mから後方への負荷が作用したとき、主として乗員Mの胸部を支持する上部が、主として乗員の腰部を支持する下部よりも撓み量が大きく、すなわちその沈み込み量を大きくなるように設定される。
【0056】
ところで、シートバックフレーム20には、第1規制部材30と、第2規制部材31とが上下に間隔をあけて架設され、第1規制部材30は、バックボード16との間で後部クッション部材14aを挟持し、また第2規制部材31は、シートバックフレーム20のアッパフレーム22と第1規制部材30との間に位置して、クッション部材14の前方への変形を抑制するので、自動車の急加速時、後面衝突時など、シートバック3に過大な外力が作用したき、第1規制部材30と第2規制部材31との協働により、クッション部材14の前方への変形を規制して、クッション部材14がシートバックフレーム20の前方へと侵入するのを抑制することができ、シートバックのクッション性を高めて、乗員の座り心地を向上させることができる。
【0057】
また、第1規制部材30の前面および後面と、シートバックフレーム20のアッパフレーム22前面および後面とをそれぞれ結ぶ前後仮想線l1 、l2 内に、第2規制部材31の規制部31aが配置されることにより、アッパフレーム22下の特に変形し易い後部クッション部材14aの変形を効率よく抑制することができる。
【0058】
第2規制部材31の規制部31aは、シートバックフレーム20の後方に位置する後部クッション部材の14aの前面に当接していることで、第2規制部材31によりクッション部材の変形を素早く抑制して、後部クッション部材14aの変形抑制効果を一層高めることができる。
【0059】
第2規制部材31と対面する後部クッション部材14aの前面は、前方に向けて凸の湾曲面に形成されているので、後部クッション部材14aの前面を第2規制部材31に近づけることができ、第2規制部材31により後部クッション部材14aの変形を素早く抑制して、その変形抑制効果を一層高めることができる。
【0060】
第2規制部材31は、後部クッション部材14aに対面する上部が後方に傾斜しているので、後部クッション部材14aの前面を第2規制部材に近づけることができ、第2規制部材31により後部クッション部材14aの変形を素早く抑制して、その変形抑制効果を一層高めることができる。
【0061】
第2規制部材31の、後部クッション部材14aの前方への変形を規制する規制部31aはシートバックフレーム20のアッパフレーム22に設けたヘッドレスト4の支持部11,11の間に設けられるので、ヘッドレスト4の支持部11,11に干渉することなく、後部クッション部材14aの前方への変形を抑制することができる。
【0062】
前記第2規制部材31の前記規制部31aの上端は、ヘッドレスト4の支持部11,11の下端よりも上方に延長されているので、ヘッドレスト4の支持部11,11に近い後部クッション部材14aの前方への変形を抑制することができる。
【0063】
第2規制部材31の前記規制部31aは、前方から見たときに、第1規制部材30と交差して、その上方に位置しているので、第1規制部材30と第2規制部材31との協働による後部クッション部材14aの前方への変形抑制作用を一層高めることができる。
【0064】
また、シートバック3の製作時、運搬時などにおいても、シートバック3に後方からの過大な外力が作用したときにも、第2規制部材31の規制部31aは、シートバックフレーム20よりも後方側の後部クッション部材14aが、その前方側へ変形して侵入するのを抑止することができる。
【0065】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0066】
たとえば、前記実施態様では、本発明乗物用座席シートを、自動車用に実施した場合について説明したが、これを、鉄道車両、船舶などの他の乗物にも実施できることは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
2・・・・シートクッション
3・・・・シートバック
11・・・・ヘッドレスト支持部
14・・・・クッション部材
14a・・・後部クッション部材
15・・・・表皮
20・・・・シートバックフレーム
22・・・・アッパフレーム
30・・・・第1規制部材
31・・・・第2規制部材
31a・・・規制部
1 ・・・前仮想
2 ・・・後仮想線
M・・・・・・乗員
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図12