(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサは、前記内視鏡システムが設置されている処置室の扉に配置されており、人の入室を感知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内視鏡システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、術者がメモリカードを紛失あるいは所持し忘れてしまったような場合には、内視鏡システムの各種設定を手動で行わなければならず、また、内視鏡システムのカードスロットへの挿入や内視鏡システムによるデータ読み込み等の作業を行う必要があるため、依然として煩雑な設定作業を要する。また、手技中に術者が交代するような場合にも、別の術者が処置室に入室したときに、改めて設定変更を行う必要が生じる。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、術者の手を煩わすことなく、術者の好みに応じて画像処理の設定を変更することができる内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、被写体を撮像する撮像素子を有する内視鏡と、術者が所望する画像処理の設定パラメータが記録され、術者に携帯されるRFID(Radio Frequency Identification)タグと、撮像素子が出力する画像信号に画像処理を行う画像処理部と、画像処理部の画像処理を制御する画像処理制御部と、RFIDタグと無線通信を行う無線モジュールとを有し、画像処理部により生成された画像を出力する画像処理装置と、人の存在を感知するセンサとを備え、センサが人の存在を感知すると、無線モジュールはRFIDタグとの無線通信を試み、RFIDタグとの間で通信が確立されたとき、画像処理制御部は無線モジュールがRFIDタグから受信した設定パラメータに基づいて画像処理の設定を変更する内視鏡システムが提供される。
【0007】
また、本発明の一実施形態によれば、被写体を撮像する撮像素子を有する内視鏡と、術者の識別情報が記録され、該術者に携帯されるRFIDタグと、撮像素子が出力する画像信号に画像処理を行う画像処理部と、画像処理部の画像処理を制御する画像処理制御部と、RFIDタグと無線通信を行う無線モジュールと、術者が所望する画像処理の設定パラメータが記憶されている設定パラメータ記憶部とを有し、画像処理部により生成された画像を出力する画像処理装置と、人の存在を感知するセンサとを備え、センサが人の存在を感知すると、無線モジュールはRFIDタグとの無線通信を試み、RFIDタグとの間で通信が確立されたとき、画像処理制御部は、無線モジュールがRFIDタグから受信した術者の識別情報に対応する設定パラメータを設定パラメータ記憶部から取得し、設定パラメータに基づいて画像処理の設定を変更する内視鏡システムが提供される。
【0008】
上記の構成によれば、術者が処置室に入室すると自動的に好みの画像処理設定が内視鏡システムに反映されるため、術者は内視鏡システムを使用した手技をより効率よく行うことができる。
【0009】
また、センサは画像処理装置に設けられていてもよい。また、センサは内視鏡に設けられていてもよい。あるいは、センサは、内視鏡システムが設置されている処置室の扉に配置されており、人の入室を感知するように構成してもよい。これにより、内視鏡システムの運用環境に応じて、無線モジュールとRFIDタグとの無線通信を行うタイミングを変更することができる。
【0010】
また、設定パラメータは内視鏡の観察対象ごとに異なるパラメータを有し、内視鏡は、該内視鏡による観察対象を特定する内視鏡識別情報を記憶する識別情報記憶部を有し、画像処理制御部は、識別情報記憶部から内視鏡識別情報を取得し、設定パラメータのうち、該内視鏡識別情報が示す観察対象に対応する設定パラメータに基づいて画像処理の設定を変更するように構成してもよい。
【0011】
また、設定パラメータは内視鏡の観察対象ごとに異なるパラメータを有し、画像処理装置は、内視鏡によって手技を行う患者の観察対象を特定する患者情報を入力する患者情報入力部と、該入力された患者情報を記憶する患者情報記憶部とを有し、画像処理制御部は、患者情報記憶部から患者情報を取得し、設定パラメータのうち、該患者情報が示す観察対象に対応する設定パラメータに基づいて画像処理の設定を変更するように構成してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、内視鏡の識別情報あるいは患者情報に基づいて観察対象ごとに術者の好みの画像処理設定を内視鏡システムに反映させることができるため、術者のより精確な診断に資する観察画像を生成することができる。
【0013】
さらに、RFIDタグが複数あり、無線モジュールは、複数のRFIDタグとの間で通信を確立したとき、各RFIDタグと通信を確立したときのそれぞれの電波の送信出力の強度に基づいて無線モジュールと各RFIDタグとの距離を推定し、無線モジュールとの距離が最も短いRFIDタグのみを選択して通信するように構成してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、術者が手技担当を交代する場合等、処置室に複数の術者がいる場合でも、無線モジュールにより近い術者、すなわち内視鏡等を使用する術者の好みに応じた画像処理設定を内視鏡システムに反映させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、術者の手を煩わすことなく画像処理の各種設定を行うことができる内視鏡システムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る内視鏡システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態の内視鏡システム1が設置されている処置室500を示す概略図である。
図1に示すように、処置室500には、患者Kが横たわるベッドと、本実施形態の内視鏡システム1が配置されている。
図2は、内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態において、内視鏡システム1は、内視鏡100、プロセッサ200、人感センサ600、RFIDタグ700を備える構成となっている。内視鏡100の基端は、プロセッサ200に接続されている。プロセッサ200は、内視鏡100が出力する画像信号を処理して画像を生成する画像処理装置と、自然光の届かない体腔内を内視鏡100を介して照明する光源装置とを一体に備えた装置である。別の実施形態では、画像処理装置と光源装置とを別体で構成してもよい。
【0019】
図2に示すように、プロセッサ200は、システムコントローラ202、タイミングコントローラ204を有する。システムコントローラ202は、内視鏡システム1を構成する各要素を制御する。タイミングコントローラ204は、信号の処理タイミングを調整するクロックパルスを内視鏡システム1内の各種回路に出力する。
【0020】
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、照明光を放射する。ランプ208には、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが適している。ランプ208から放射された照明光は、集光レンズ210によって集光されつつ絞り212を介して適正な光量に調整されて、LCB(Light Carrying Bundle)102の入射端に入射する。
【0021】
絞り212には、図示省略されたアームやギヤ等の伝達機構を介してモータ214が機械的に連結している。モータ214は例えばDCモータであり、ドライバ216のドライブ制御下で駆動する。絞り212は、モニタ300に表示される映像を適正な明るさにするため、モータ214によって動作して開度が変化し、ランプ208から放射された照明光の光量を開度に応じて制限する。適正とされる映像の明るさの基準は、術者によるフロントパネル218の輝度調節操作に応じて設定変更される。なお、ドライバ216を制御して輝度調整を行う調光回路は周知の回路であり、本明細書においては説明を省略することとする。
【0022】
フロントパネル218の構成には種々の形態が想定される。フロントパネル218の具体的構成例には、プロセッサ200の正面に実装された機能ごとのハードウェアキーや、タッチパネル式GUI(Graphical User Interface)、ハードウェアキーとGUIとの組合せ等が想定される。
【0023】
LCB102の入射端に入射した照明光は、LCB102内で全反射を繰り返すことによって伝播する。LCB102内を伝播した照明光は、内視鏡100の先端に配されたLCB102の射出端から射出する。LCB102の射出端から射出された照明光は、配光レンズ104を介して被写体を照明する。被写体からの反射光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上の各画素で光学像を結ぶ。
【0024】
固体撮像素子108は、例えばベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであり、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの各色に応じた画像信号に変換する。変換された画像信号は、プリアンプ110による信号増幅後、ドライバ信号処理回路112を介して信号処理回路220に入力する。別の実施形態では、固体撮像素子108は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであってもよい。
【0025】
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給さるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0026】
ドライバ信号処理回路112は、メモリ114にアクセスして内視鏡100の識別情報を読み出す。内視鏡100の識別情報には、例えば固体撮像素子108の画素数や感度、対応可能なレート、型番等が含まれており、この識別情報に基づいて内視鏡100による観察対象等(上部消化管内視鏡観察と下部消化管内視鏡観察の区別等)も特定することができる。ドライバ信号処理回路112は、メモリ114から読み出した識別情報をシステムコントローラ202に出力する。
【0027】
また、内視鏡100の操作部(不図示)には操作ボタン120が設けられている。操作ボタン120の操作は、ドライバ信号処理回路112を介してシステムコントローラ202によって検出される。なお、操作ボタン120とドライバ信号処理回路112との間の結線の図示は省略する。術者である医師Dは、操作ボタン120の操作を通じて、内視鏡100の各種機能部の動作を制御しながら、患者の体腔内の対象物の撮像を行う。
【0028】
信号処理回路220は、画像処理回路222、色調整回路224、画像出力回路226を有する。信号処理回路220は、ドライバ信号処理回路112から出力される画像信号を画像処理回路222に入力する。画像処理回路222は、入力された画像信号に対してクランプ、ニー、ガンマ補正、補間処理、AGC(Auto Gain Control)、A/D変換、ノイズ除去、色変換等の画像処理を施す。各種画像処理が行われた画像信号は、色調整回路224に出力される。
【0029】
人感センサ600は、処置室500の自動ドア400の近傍に設けられている。本実施形態では、内視鏡100を用いた手技に先立って内視鏡システム1の電源がオンされており、人感センサ600は、自動ドア400から処置室500に入室する患者Kや医師Dを感知し、感知信号を内視鏡システム1の画像処理装置200に出力する。内視鏡システム1は、感知信号をトリガとして無線モジュール230によりRFIDタグ700との無線通信を試みる(詳細は後述)。
【0030】
本実施形態において、RFIDタグ700は動作用の電池を内蔵する必要がないパッシブタグであり、無線モジュール230からの電波をエネルギー源として動作する。また、無線モジュール230とRFIDタグ700との無線通信における電波の伝達方式は、無線モジュール230及びRFIDタグ700にコイルを配置し、互いのコイルを磁束結合させてエネルギーや信号を伝達する電磁誘導方式でもよいし、無線モジュール230及びRFIDタグ700にアンテナを設け、互いのアンテナによって電波をやり取りしてエネルギーや信号を伝達する電波方式でもよい。一般に、パッシブタグを用いる場合の通信可能距離は、電磁誘導方式では最大1m程度、電波方式では最大5m程度であるため、使用する伝達方式は内視鏡システム1の運用環境に応じて適宜選択すればよい。パッシブタグは周知のRFIDタグであるため、本明細書においては詳細な説明は省略する。
【0031】
RFIDタグ700は、無線モジュール230から出力された電波を受信すると、受信した電波をRFIDタグ700内の整流回路(図示せず)により直流に整流し、これを直流電源としてRFIDタグ700に内蔵されているIC(Integrated Circuit;図示せず)を起動する。また、RFIDタグ700は、受信した電波の一部を反射波として無線モジュール230に返す際に、その反射波にRFIDタグ700に記録されている画像処理に関する設定パラメータの情報を重畳する。
【0032】
ここで、本実施形態における無線モジュール230、人感センサ600、RFIDタグ700等により実行される処理の詳細について説明する。人感センサ600は、処置室500の自動ドア400を通り抜けた人を感知して、その感知信号をシステムコントローラ202に出力する。システムコントローラ202は、人感センサ600から感知信号が入力されると、無線モジュール230を制御してRFIDタグ700との無線通信を試行する。
【0033】
無線モジュール230は、図示しないアッテネータ等を用いて電波の送信出力の強度を段階的に変化させる。送信出力の強度が低下するとRFIDタグ700との通信可能な最大距離も短くなる。そこで、無線モジュール230は、電波の送信出力の強度に基づいてRFIDタグ700との通信可能の可否を判断し、RFIDタグ700と通信を確立できる最小の送信出力の強度に基づいて無線モジュール230とRFIDタグ700との距離を推定する。電波の送信出力の強度を段階的に変化させる際の強度の増減幅を狭くするほど、無線モジュール230とRFIDタグ700との距離の推定精度が向上する。なお、内視鏡システム1の各構成要素や機能の詳細については後述する。
【0034】
図3は、本実施形態におけるRFIDタグ700を使用した画像処理の設定変更を説明するブロック図である。
図3においては、RFIDタグ700、無線モジュール230、システムコントローラ202、メモリ228、色調整回路224のみを示し、その他の構成要素については図示及び説明を省略している。また、
図4は、本実施形態の内視鏡システム1において実行される色設定の変更処理のフローチャートである。本フローチャートは、システムコントローラ202が内視鏡システム1内の各構成要素を制御することによって実行される。なお、説明の便宜上、本明細書中の説明並びに図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0035】
図4に示すように、まずS101において、システムコントローラ202は、人感センサ600の感知信号を基に、自動ドア400を通り抜けた人がいるか否かを判断する。人感センサ600から感知信号が出力されない場合(S101:NO)、感知信号が出力されるまでS101を繰り返し行う。本実施形態においては、医師Dが自動ドア400を通り抜ける際に、人感センサ600は人を感知したことを通知する感知信号をシステムコントローラ202に出力する。システムコントローラ202は、人感センサ600からの感知信号を受け取ると(S101:YES)、S103に進み、無線モジュール230によるポーリング(無線モジュール230を用いたRFIDタグ700の探索)を開始する。次いで、S105に進む。
【0036】
S105では、通信試行回数パラメータiを「0」にリセットする。ここで、通信試行回数パラメータiは、後述するRFIDタグ700との通信試行処理(S107)の実行回数をカウントする変数である。次いで、処理はS107に進む。S107では、無線モジュール230がRFIDタグ700との無線通信を試行し、当該無線通信を確立できたか否かを判断する。無線モジュール230は、電波の送信出力の強度を段階的に変化させながらポーリングを行う。医師Dがプロセッサ200に近づいて、無線モジュール230と医師Dが携帯するRFIDタグ700とが無線通信を行うことが可能な領域(無線通信可能領域)内に移動すると、無線モジュール230はRFIDタグ700からの反射波を受信することで無線通信を確立することができる(S107:YES)。そして、無線モジュール230は、RFIDタグ700から取得した設定パラメータを、システムコントローラ202に出力する。次いで、処理はS109に進む。S109では、システムコントローラ202は、無線モジュール230が出力した設定パラメータをメモリ228に記憶する。次いで、処理はS111に進む。
【0037】
ここで、
図3に示すように、本実施形態においては、RFIDタグ700には、信号処理回路220における画像処理の設定変更を行うための設定パラメータとして、医師Dの氏名(「Dr.A」)、上部消化管内視鏡観察を行うときの好みの色設定(「上部:赤み+5 青み−5」)、下部消化管内視鏡観察を行うときの好みの色設定(「下部:赤味−3 青み+1」)が記録されている。また、システムコントローラ202は、内視鏡システム1の電源オン時に、内視鏡100のメモリ114に記憶されている内視鏡100の内視鏡識別情報をドライバ信号処理回路112を経由して取得する。そこで、S111では、システムコントローラ202は、内視鏡識別情報に基づいて医師Dによる手技の観察対象を特定し、メモリ228に記憶された設定パラメータから、当該観察対象に対応する色設定を選択して、色調整回路224における色調整処理の色設定を変更する。
【0038】
例えば、内視鏡識別情報から内視鏡100は上部消化管内視鏡観察に用いられるものであることを特定できる場合、システムコントローラ202は、メモリ228に記憶された設定パラメータのうち上部消化管内視鏡観察を行うときの色設定(「上部:赤み+5 青み−5」)を選択する。システムコントローラ202は、選択した設定パラメータを用いて色調整回路224の色設定を変更した後、本フローチャートを終了する。システムコントローラ202は、医師Dによる手技が完了するまでは本フローチャートを再度実行しない。このため、医師Dは、手技開始から完了まで、観察対象に応じた好みの色設定が反映された画像により観察を行うことができる。
【0039】
本フローチャートのS107において、医師Dが無線モジュール230の無線通信可能領域内にいない等の理由により無線モジュール230がRFIDタグ700と無線通信を確立できない場合は(S107:NO)、S113に進む。S113では、通信試行回数パラメータiを1だけインクリメントする。次いで、処理はS115に進む。S115では、通信試行回数パラメータiが所定の上限値に達したか否かが判断される。この上限値は、処置室500の広さや医師が無線モジュール230の無線通信可能領域内に移動するまでの目安の所要時間等を考慮して、内視鏡システム1の運用環境に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
通信試行回数パラメータiが上限値に達していない場合は(S115:NO)、S107に戻り、無線モジュール230によるRFIDタグ700との無線通信を再度試行する。無線モジュール230がRFIDタグ700との無線通信を確立できず、S107、S113、S115を繰り返すことにより通信試行回数パラメータiが上限値に達した場合は(S115:YES)、色調整回路224の色設定を変更せずに本フローチャートを終了する。このため、システムコントローラ202は、既定の色設定を使用して色調整回路224の設定を行う。以上が、本フローチャートの説明である。
【0041】
色調整回路224は、上記の通りに設定された色設定に基づいて画像処理回路222が出力した画像信号に対して色調整処理を行い、色調整した画像信号を画像出力回路226に出力する。画像出力回路226は、入力された画像信号を各色信号別にフレーム単位でR、G、Bの各色用のフレームメモリ(不図示)にバッファリングする。バッファリングされた各色信号は、タイミングコントローラ204によって制御されたタイミングでフレームメモリから掃き出されて、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換される。変換された映像信号がモニタ300に順次出力されることにより、被写体の画像がモニタ300の表示画面上に表示される。
【0042】
このように、本実施形態においては、医師Dが処置室500に入室すると、内視鏡システム1が観察対象に応じて医師Dの好みに応じた色設定を色調整回路224の色調整処理に自動的に反映するため、医師Dは内視鏡システム1を操作して色設定を変更する必要がない。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付し、図示及び説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、本実施形態では、最初に第1実施形態と同様に医師Dが患者Kの手技を行い、医師Dが患者Kの手技を行っている間に医師D’が処置室500に入室して、医師D’が医師Dと交代して手技にあたる場合を想定している。また、医師DはRFIDタグ710を、医師D’はRFIDタグ720をそれぞれ携帯している。なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様、RFIDタグ710、720はパッシブタグであるとする。
図6は、本実施形態におけるRFIDタグ710、720を使用した画像処理の設定変更を説明するブロック図である。また、
図7(a)、(b)は、本実施形態の内視鏡システム1’において実行される画像処理の設定変更のフローチャートである。S201〜S215の処理は、第1実施形態と同様、医師Dが患者Kの手技を行う際に実行される処理である。なお、S201〜S215(S209、S211を除く)の各処理内容は、第1実施形態のS101〜S115(S109、S111を除く)と同じであるため、説明は省略する。
【0045】
S209、S211における処理について
図6を参照しながら説明する。
図6においては、
図3と同様、RFIDタグ710、720、無線モジュール230、システムコントローラ202、メモリ232、色調整回路224のみを示し、その他の構成要素については図示及び説明を省略する。
図6に示すように、医師Dが携帯するRFIDタグ710には、画像処理の設定変更に使用する医師Dの識別情報(医師名「Dr.A」)が記録されている。また、医師D’が携帯するRFIDタグ720には、RFIDタグ710と同様、医師D’の識別情報(医師名「Dr.B」)が記録されている。また、システムコントローラ202のメモリ232には、医師D、D’の観察対象ごとの画像処理における好みの色設定が格納されたデータテーブルが予め記憶されている。なお、メモリ232には、医師D、D’に限らず、内視鏡システム1’を過去に使用したあるいは将来使用する予定がある他の医師の好みの色設定を予め記憶しておいてもよい。
【0046】
S209では、システムコントローラ202は、メモリ232のデータテーブルを参照し、内視鏡100のドライバ信号処理回路112を経由してメモリ114から取得した内視鏡識別情報と、RFIDタグ710から取得した識別情報「Dr.A」とに基づいて、観察対象に対応する医師Dの好みの色設定を選択する。例えば、内視鏡識別情報から内視鏡100が下部消化管内視鏡観察を行う内視鏡であると特定できる場合、システムコントローラ202は、メモリ232に記憶されている「Dr.A」の「下部:赤み−3 青み+1」の色設定を選択する。次いで、S211に進み、システムコントローラ202は、選択した色設定を使用して色調整回路224の色設定を変更し、本フローチャートを終了する。
【0047】
次に、医師Dによる手技中に医師D’が処置室500に入室した場合の色調整回路224の色設定の変更について、
図7(b)を参照しながら説明する。
図7(b)は、内視鏡システム1’の使用中に実行されるタイマ割り込みルーチンのフローチャートである。本実施形態においては、タイマ割り込みルーチンは、所定の時間間隔ごと(例えば、10秒ごと)に実行されるようになっている。医師D’が自動ドア400から処置室500に入室すると、処置室500内には2名の医師D及びD’が存在することとなるため、システムコントローラ202は、無線モジュール230を制御して、医師Dが携帯するRFIDタグ710と医師D’が携帯するRFIDタグ720の双方と通信し、いずれが手技を行っているかを特定する。
【0048】
本タイマ割り込みルーチンが開始されると、まず、S219が実行される。S219では、システムコントローラ202は、無線モジュール230を制御してRFIDタグ710、720との無線通信を行い、いずれのRFIDタグが無線モジュール230(すなわち、プロセッサ200)に近いかを判断し、無線モジュール230に近い側のRFIDタグを携帯する医師を手技中の医師として特定する。具体的には、無線モジュール230が電波の送信出力の強度を変化させながらRFIDタグ710、720との無線通信を試行し、RFIDタグ710、720のそれぞれと無線通信を確立したときの最小の送信出力の強度の値をシステムコントローラ202に出力する。そして、システムコントローラ202は、入力されるそれぞれの送信出力の強度の値に基づいて、無線モジュール230とRFIDタグ710、720それぞれとの距離を推定し、現在使用中(設定中)のRFIDタグが最も近い位置にあるか否かを判断する。
【0049】
上述したように、本実施形態においては、医師Dが先に処置室500に入室していることから、色調整回路224は、医師Dが携帯するRFIDタグ710の識別情報(「Dr.A」)に基づいて変更した色設定を使用して色調整処理を実行している(
図7(a))。従って、医師D’が処置室500に入室し、医師D’が携帯するRFIDタグ720と無線モジュール230との距離がRFIDタグ710と無線モジュール230との距離よりも短くなった判断した場合は(S219:NO)、医師D’に交代して手技が行われていると判断してS221に進み、RFIDタグ720と無線モジュール230との距離がRFIDタグ710と無線モジュール230との距離以上であると判断した場合は(S219:YES)、医師Dによって継続して手技が行われていると判断して、本タイマ割り込みルーチンを終了する。
【0050】
S221では、システムコントローラ202は、メモリ232のデータテーブルを参照し、内視鏡100の内視鏡識別情報と、無線モジュール230が出力するRFIDタグ720の識別情報(「Dr.B」)とに基づいて、観察対象に対応する医師D’の好みの色設定を選択する。例えば、内視鏡識別情報から内視鏡100が上部消化管内視鏡観察を行う内視鏡であると特定できる場合、システムコントローラ202は、メモリ232に記憶されている「Dr.B」の「上部:赤み+1 青み−1」の色設定を選択する。次いで、S223に進み、システムコントローラ202は、選択した色設定を使用して色調整回路224の色設定を変更し、本割り込みルーチンを終了する。これにより、モニタ300には、手技担当を交代した医師D’の好みに応じた色調整処理が施された観察画像が出力される。
【0051】
このように、本実施形態においては、無線モジュール230は、医師Dが携帯するRFIDタグ710と医師D’が携帯するRFIDタグ720の双方と通信し、いずれの医師が手技を行っているかを特定し、手技を行っていると特定された医師のRFIDタグの識別情報に基づいて色調整回路224の色設定が自動で変更される。従って、複数の医師が処置室500内にいる場合であっても、手技中の医師の好みに応じた色調整処理が施された観察画像が出力される。
【0052】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば、上記の説明では、RFIDタグをパッシブタグとしたが、RFIDタグに動作用の電池を内蔵するアクティブタグやセミアクティブタグを用いて、上記の通り無線モジュールにより各医師の距離関係を特定して色設定を変更するように構成することもできる。
【0053】
また、上記の説明では、信号処理回路112における各処理のうち色調整回路224の処理の設定を変更する構成としたが、上記設定パラメータの代わりにあるいは追加で、信号処理回路112の他の処理に関する設定パラメータをRFIDタグ又はメモリに記録して、画像処理における各種処理の設定を変更するように構成することもできる。
【0054】
また、上記の説明では、内視鏡100の内視鏡識別情報に基づいて観察対象を特定しているが、内視鏡100を用いて手技する患者Kの患者情報を、例えばフロントパネル218を操作して予めメモリ228に記憶しておき、内視鏡識別情報の代わりに当該患者情報を用いて観察対象を特定する構成とすることもできる。また、設定パラメータを観察対象ごとに設けず1種類のみとしてもよい。この場合、内視鏡100の識別情報を取得しなくとも、RFIDタグから取得した情報に基づいて色設定を適切に変更することができるため、上記のような内視鏡100の識別情報に基づく判断を省いて構成を簡易にしつつ本発明の効果を得ることができる。