【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するため、本発明の固定炭素製造装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の固定炭素製造装置は、固定炭素を捕集するクエンチチャンバーと、前記クエンチチャンバーに立設固定された乾留炉と、前記乾留炉内の水平方向断面上を隔壁によって矩形又は多角形に鉛直方向に上部から下部まで区切られた乾留ユニットと、前記乾留ユニット内に水平方向断面上を仕切りによって矩形又は多角形に鉛直方向に上部から下部まで区切られたミニ乾留炉と、前記乾留ユニットの前記隔壁と前記ミニ乾留炉の仕切りに配設された加熱の為のパイプ状の加熱手段と、原料炭を前記乾留ユニットの上部から投入しそれぞれの前記ミニ乾留炉内で前記パイプ状の加熱手段によって乾留されクエンチチャンバーに製造された固定炭素を捕集する捕集路と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ミニ乾留炉がパイプ状の加熱手段をそれぞれ備えているので、高温熱媒体による間接加熱が可能で、乾留炉内で熱勾配を生じることなく略均一に加熱することが容易で、固定炭素の収率に優れる。また、このミニ乾留炉を多列に備える乾留ユニットを多列に備えているので、大量生産性に優れる。
また、従来、大量生産の為に、炉内の内容積を単純に大きくした場合、炉内の温度を均一にすることは困難で、部分的に乾留が進み易い場所が出来るなど、高品質な固定炭素の収率が低いが、乾留炉内を細分化し各細分化した流路に加熱手段を備えているので乾留効率を大幅に向上出来る。
(2)ミニ乾留炉を多列に形成する乾留ユニットやそれを多列に形成して乾留炉が構成されているので、剛性が高く、乾留炉内で揮発成分の発生や、乾留炉内での原料炭の膨張によって炉内に圧力がかかる時でも変形することがなく、操業安定性に優れる。
(3)低石炭化度炭は乾留炉内に入ると水分により膨張するので、未反応のままスルーすることを防止することができ、品質の安定性に優れる。
(4)クエンチチャンバーに払い出し中の固定炭素が貯まるのでそこでトラップして反応が進むことができ、品質の安定性に優れる。
(5)加熱手段をパイプ状に形成しているので、蒸気等の高温熱媒体によって安定的に加熱を行うことが出来る為、操業の安定性に優れる。
(6)固定炭素を捕集するクエンチチャンバーを乾留炉の下部に有しているので、乾留炉で改質された固定炭素を冷却することが出来る。
(7)固定炭素製造装置で発生する炭化水素ガスを用いて発電を行う複合システムの場合、炭化水素ガスの燃焼熱を発電用の蒸気の加熱とともに低石炭化度炭の乾燥、熱分解、ガス化、固定炭素製造に利用する。
(8)加熱手段はボイラーの排熱を有効利用することが出来るので、省資源性に優れる。また、油分等の副資材を加えない為、重量が軽く、運搬に掛る費用が安く、生産地以外で利用が困難な含水量が高い亜瀝青炭や褐炭などを産炭地以外で利用できる。
(9)パイプ状の加熱手段を有しているので、乾留炉の熱交換媒体として、燃焼炉の排ガスを供給する直接加熱とは異なり、間接加熱を用いることで発生する揮発分の単位体積当たりの熱量を最大限活用することができ、省エネルギー性に優れる。
【0009】
ここで、乾留炉の例としては、例えば縦方向略4500mm×横方向略4500mmで高さが略5000mmのサイズのもの等が好適に用いられる。この中にひとつの乾留ユニットが縦方向略1500mm×横方向略1500mmで高さが略5000mmになる様に隔壁を設け、乾留炉内に乾留ユニットが3列×3列出来るようにし、更に、この乾留ユニット内に断面積が縦方向略500mm×横方向略500mmで高さが略5000mmになる様に仕切り板を設け、乾留ユニット内にミニ乾留炉が3列×3列出来るようにしたもの等が好適に用いられる。乾留炉の断面形状は、矩形に限らず、三角形や、五角形、六角形等の多角形も適宜使用可能である。また、ミニ乾留炉を1つの乾留炉としてテストを行うことが可能で、小型設備から大型設備まで設計の自在性と拡張性に優れる。
【0010】
隔壁、仕切り板としては、各乾留ユニット、各ミニ乾留炉を上部から下部まで仕切るようにして配設され、区切られた内部の温度を制御する為の加熱手段を備えた構造のものを好適に用いる。また、加熱手段は上部から順に複数段階に分けるように仕切り板に配設することもできる。複数段階に加熱手段を分けた場合、各段階の温度を調整して乾留工程で乾留速度を急激にしたり、緩やかにする、などの加温パターンを制御し、高品位炭を高効率で得るため
の条件設定が容易になり、生産性に優れる。
【0011】
固定炭素を捕集するクエンチチャンバーとしては、常温以下の温度で冷却することが好ましい。これにより、固定炭素の酸化を防止することが出来る。また、クエンチチャンバーの構造としては、固定炭素を密閉状態で受け入れる構造が好ましい。この中に不活性ガスを充填することで、乾留炭の酸化を防止すると共に、容器内に設置された水冷伝熱管により間接的に乾留炭を常温まで冷却することで固定炭素を得る。密閉状態で受け入れる構造としては、乾留炉からの受け入れ側、固定炭素の取出し口側共にロータリーバルブのように乾留炉、冷却槽、共にシールするような構造の弁を設けることが好ましい。この様に、間接加熱で冷却槽を密閉状態にすることができ、不活性ガス雰囲気にすることができるので、発火等の事故を防止することができ好ましい。
固定炭素を捕集するクエンチチャンバーの底部としては、底部の角度が安息角以上であるものが好適に用いられる。安息角以下になるにつれてクエンチチャンバー内に固定炭素のブリッジが発生し易く、下部の固定炭素取り出し口においてスムーズに固定炭素が取り出せなくなる傾向にあり好ましくない。
【0012】
パイプ状の加熱手段としては、フィン付きの蒸気配管が好適に用いることができる。これにより熱交換効率が良く、炉内を効率よく加熱することができる。また、パイプ状の加熱手段の配設方法としては、隔壁や仕切り板に固定、溶接するだけでなく、パイプ状の加熱手段を隔壁や仕切りに直接加工しても良い。こうすることで壁面を通して均一に炉内に温度を伝熱出来るだけでなく、隔壁や、仕切り板の補強になり、全体として剛性を高めることができる。
【0013】
また、パイプ状の加熱手段としては、水蒸気等の熱媒体を用いて間接加熱を行うが、隔壁や仕切りに対して平行になるように取り付けることも出来るし、仕切り板や隔壁を貫くように直交して取り付けることが出来る、直交して取り付けた場合はそれ自体が邪魔板の役目を果たし、乾燥炭を自然に流下するとともに乾留する際に適度にトラップすることができ、乾留の際の品質向上に繋がるため好ましい。
【0014】
原料炭としては、褐炭を乾燥したものが好適に用いられる。褐炭の他には亜炭、亜瀝青炭
等も同様にして用いることが出来る。また、褐炭には、ビクトリア炭、ノースダコタ炭、ベルガ炭等が存在するが同様にして用いることが出来る。これらの石炭は、低灰分、低硫黄という好ましい性質があるが、多孔質なので高含水率になる傾向があり、水分が多く含まれているので、カロリーが低くなり、低品位炭として取り扱われている。これら多孔質で高い含水量を有するものを同様にして用いることが出来る。(以後これらの石炭を総称して低石炭化度炭という。また、乾燥する高含水率の低石炭化度炭としては、含水量が約20%を越えるものであれば、その名称、産地は特に問わない。)
【0015】
乾留温度としては、300℃〜900℃、好ましくは300℃〜800℃が好適に用いられる。これにより炉材の材料が高温に耐える特殊材料の
使用を減らすことができる。乾燥炭を乾留炉の炉頂から挿入され乾燥炭の粒子群が膨張した後収縮し重力によって順次落下する間に、粒子と向流あるいは並流する高温の水蒸気や窒素ガスあるいは炭酸ガスと連続的に接触し乾留が行われ固定炭素を得ることができる。また、炉内に投入されるガスは広い範囲の流速が利用出来る。一般に層内温度の均一化が困難であるが、本発明は、乾留炉内に、乾留ユニット、ミニ乾留炉を持ち、それぞれの壁面にパイプ状の加熱手段を備えているので各層内の温度均一化が可能で固定炭素の収率を高くすることが出来る。
【0016】
固定炭素製造装置で製造した炭化水素ガス又は固定炭素を燃料とした燃焼手段を持つ場合、燃焼手段としては、流動層燃焼炉や炭化水素ガス・固定炭素燃焼ボイラーが好適に用いられる。
流動層燃焼炉としては、流動媒体として石灰石、ドロマイト等が用いられる。助燃剤としては、酸素と酸素濃度を調節(希釈)する炭酸ガスの混合ガスが好ましい。燃料は乾燥部で乾燥された低石炭化度炭の乾燥炭や改質器で改質された低石炭化度炭の改質後石炭やチャーが用いられる。
また、流動層燃焼炉の燃焼温度は800〜900℃に調節される。これにより炉材の材料が高温に耐える特殊材料の使用を減らすことができ、さらに流動層内での灰熔解などの障害を防ぐことができる。
触媒改質装置は、低石炭化度炭から得られた揮発成分や炉ガス(燃焼排ガス)のCO
2やCO,H
2Oと触媒を接触させ改質を行うもので、FT合成ガスやメタノール合成ガス,アンモニア合成ガス,水素ガス,合成天然ガス等を得ることができる。
更に、生成タール成分を改質して低分子の炭化水素、一酸化炭素、水素を連続して得ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の固定炭素製造装置であって、前記乾留
炉の加熱温度が350℃〜500℃である構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)350℃〜500℃の低温で乾留を行うので、炭化水素ガス(揮発分)が抜け、高品位の石炭への転換が進むことができ、燃料比2以上の高品位炭を得ることが出来る。
(2)低温で乾留を行うことが出来るので、装置自体のコスト及び、投入熱量において省コスト性に優れる。
(3)また、熱分解温度が低い為、固定炭素製造装置前後も含め設備を構成する材料の制約が少なく安全性や装置の設計自由度に優れる。
(4)さらに、熱分解温度が低く、タール等の重質油成分を保持したまま乾留することが出来るので重質油成分による障害(固着やコーキング、リアクターの閉塞など)問題を解決することができるので操業安定性、安全性に優れる。
【0018】
ここで、乾留
炉の加熱温度としては、350℃〜500℃が好適に用いられる。好ましくは350℃〜450℃が好適に用いられる。加熱温度が350℃を下回ると燃料
比が低くなり好ましくなく、450℃を超えると、投入熱量に対する効果が小さくなる傾向にあり好ましくない。また、加熱温度が高くなるにつれ乾留により抜ける炭化水素ガス(揮発分)が多くなるが、それに伴い、重質油分が多くなる、これにより、リアクターの閉塞等の問題が多くなる傾向にあり同様に好ましくない。よって350℃〜450℃の範囲で温度管理を行うことで、固定炭素内に重質油を保持したまま乾留を行うことが出来るのでリアクターの閉塞等の問題が起こらず、安定操業に大きく寄与することができる。また、一般に低石炭化度炭は500℃を超えて加熱すると亀裂が増え微粉が発生し未燃炭が増加し、熱分解ガスは、酸素濃度が高いと易燃焼成分の着火や、微粉炭の爆発の危険があるので、酸素濃度の制御やスチームの添加等装置の運転制御が困難で安全性や運転性に欠ける。
【0019】
また、炭化水素ガス(揮発分)が抜けることで高品位の石炭へ転化が進むが、100℃〜300℃の範囲でも炭化水素ガス成分が抜けることが分かっており、略400℃において高品質なニューランズの燃料比2を越えることから現在市場に流通する高品位炭レベルの固定炭素を製造することが出来ることが分かる。
更に、従来一般的な高温での乾留に比べ、350℃〜500℃という遥かに低温なので、省エネルギー性、省力性に優れる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の固定炭素製造装置であって、前記ミニ乾留炉内に邪魔板や金属メッシュ、穴の開けた金属板を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)邪魔板や金属メッシュ、多数の穴をあけた金属板等(以後邪魔板等という)をミニ乾留炉内に配設しているので、邪魔板等をミニ乾留炉ごとの原料炭の流速を調整する為に適宜配置することができ、製品ムラや固定炭素の収率を安定させることが可能で製品収率に優れる。
(2)乾留炉内に邪魔板等を配置しているので炉内にいて補強部材の役目を果たすので強度に優れる。
(3)また、これらの邪魔板等が温められることで、乾留炉内の温度均一化に貢献できるので製品収率に優れる。
(4)邪魔板
等があるので、上部から投入された原料炭が乾留炉をスルーしてしまう心配が無く品質の安定性に優れる。
【0021】
ここで、邪魔板等としては、乾留炉において固定炭素の落下方向に対して角度をつけて配置することもできる。また、金属メッシュや、多数の穴をあけた金属板はミニ乾留炉内に全面に設置しても良いし、部分的に設置しても良い。この場合も同様に角度をつけて配置することもできる。また、これらの邪魔板の応用として、邪魔板の替わりに炉内にパイプ状の加熱手段を設けても良い。そうすることで、より層内の温度の均一化が容易で、固定炭素の製品収率に優れる。多数穴をあけた金属板を備える場合、乾留される乾燥炭は金属板
上で滞留し、
向流で流される乾留ガスによってそこで撹拌されながら落下するので炉内での反応時間を長くすることが可能で固定炭素の製品収率に優れる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の固定炭素製造装置であって、前記邪魔板が安息角以上の角度をつけた穴空き構造である構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)邪魔板が安息角以上の角度をつけているので、邪魔板に固定炭素が留まることが無く、安定して固定炭素を製造することができる。
【0023】
ここで、邪魔板としては、山形形状のそれぞれが安息角以上の角度で取り付けられているものであっても構わない。邪魔板の太さ、配置数は適宜選択できる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の固定炭素製造装置であって、前記クエンチチャンバーの底部の固定炭素取出し口にロータリーバルブと、高温の水蒸気または炭酸ガス、窒素ガス等のキャリアーガス送気手段と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)クエンチチャンバー下部の固定炭素取出し口にロータリーバルブを備える構成を有しているので、取出し口からのガスの漏れを気にせずに乾留炉内にガスを送り込む場所を適宜選択できるので装置の多様性に優れる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の固定炭素製造装置であって、前記ロータリーバルブの羽根に孔を備えた構成を有している。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)クエンチチャンバー下部の固定炭素取出し口のロータリーバルブの羽根に孔を備える構成を有しているので、取出し口からガスを導入することが可能で、またクエンチチャンバーの底部でガスによって固定炭素が撹拌されるので下部での詰まり防止になり操業安定性に優れる。
(2)ロータリーバルブの羽根に孔を備えた構成を有しているので、乾留ガスを固定炭素取出し口側から導入した場合、下部で固定炭素が流動し反応を促進できるので固定炭素の収率に優れる。
【0026】
ここで、ロータリーバルブの羽根の孔は、固定炭素が通りぬけない程度の大きさを適宜選択することができる。また、孔はガスを通すためのものであれば良く、孔の数に限定されるものではなく、羽根に多孔質材料を用いたものでも良い。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の固定炭素製造装置であって、前記原料炭が低石炭化度炭を含水率20質量%以下まで乾燥した乾燥炭である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)低石炭化度炭を含水率20質量%以下まで乾燥した乾燥炭を乾留するので、投入熱量を少なくすることが出来るのでエネルギー効率に優れる。
(2)乾燥することで比重が軽くなり、水分を蒸発する熱量も含め、乾留炉をコンパクトに設計できるため、省資源性に優れる。また、乾留炉の乾留ガス回収設備などをコンパクトにすることができるので省資源性に優れる。
(3)含水率を20wt%以下にするので、乾留炉での水分による膨張の影響が少なく装置の変形や破損を防ぐことができる。
【0028】
ここで、乾燥させる低石炭化度炭の乾燥条件としては、この含水率が約20%を越える低石炭化度炭を低温(30℃〜80℃)で低湿度(RH70〜0%)の窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、乾留に用いられる低石炭化度炭の水分は20質量%以下とすることができる。使用する石炭が全て低石炭化度炭である必要はなく、含水量が約20質量%未満の高石炭化度炭を添加しても良い。実験では16質量%まで下げることができた。これにより、低石炭化度炭の含水量を1/3以下にすることで、輸送効率を大幅に改善できる。更に、乾留を行い固定炭素とすることにより自然発火を防ぎ安全性を向上できる。(以後、20質量%以下の乾留に用いられる低石炭化度炭を乾燥炭という。)
【0029】
不活性ガスとしては、窒素ガスが好適に用いられる。窒素ガスは、
酸素分離器で分離された窒素ガスをもちいてもよい。窒素ガスは復水器の熱水で加熱された空気予熱器で加熱されるようにしてもよい。この場合、酸素濃度が低いので、自然酸化し昇温し易く発火し易い低石炭化度炭の発火を防ぎ、より高い温度で乾燥することができる。また、酸素分離器で分離された窒素ガスは相対湿度が低いので、乾燥効率を大きくすることができる。更に、廃熱を利用し、別途熱エネルギーを要しないので、環境に優しく省エネルギー性に優れる。また、乾燥によって排出される高湿度排ガスから清浄水を回収でき水の有効利用が図れる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の固定炭素製造装置であって、前段に前記原料炭を粉砕する粉砕工程を備えており、原料炭の粒子径が0.1μm〜5mmに調整されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)0.1μm〜5mmの粒径に粉砕することにより、乾燥時間を短縮化できるのでエネルギー効率に優れる。
(2)また、粒子径が安定することで最終製品の固定炭素の品質も同様に安定させることができ、製品収率に優れる。
【0031】
ここで、低石炭化度炭としては、乾燥される前に前処理として粗粉砕して粒径が0.1μm〜5mmに調整される。0.1μm〜5mmの粒径に粉砕することにより、乾燥を簡略化し、乾燥時間を短縮化できる。粒径が0.1μmより小さくなると微粉化が進み固定炭素の収率が下がる傾向にあり好ましくない。また、粒径が5mmより大きくなるに従って、乾燥時間の短縮の効果が低下する為、好ましくない。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の内いずれか1項に記載の固定炭素製造装置であって、前記原料炭を乾留することで得られる炭化水素ガス及び固定炭素の少なくとも一部を燃焼させる燃焼手段を備え、前記加熱手段が、燃焼手段の排ガスや廃熱を利用する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至8の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)燃焼手段で得られる排ガスや廃熱を用いるのでエネルギー効率に優れる。
(2)燃焼手段の排ガスを乾留炉にガス化ガスとして用いることで、エネルギー効率に優れる。また、酸素量の少ない排ガスを用いる為、乾留が安全に行うことが可能で安全性に優れる。
【0033】
ここで、燃焼手段としては、乾留炉で得られる炭化水素ガス・固定炭素を燃料として用いる燃焼ボイラーが好適に用いられる。また、燃焼炉の燃焼温度は800〜900℃に調節される。これにより炉材の材料として使用する高温に耐える特殊材料の使用量を減らすことができる。燃焼炉を持つ場合、この排ガスを乾留炉のガス化ガスとして用いることもできる。燃焼炉が発電装置のタービンを回すためのボイラーである場合この蒸気を乾留炉の加熱手段に供給することもできる為、熱効率に優れたシステムを構築できる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明の固定炭素製造装置及びそれを備えた燃焼システムによれば、以下の有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)高温熱媒体による間接加熱が可能で、乾留炉内を均一の温度にすることが容易で、固定炭素の収率に優れる。また、このミニ乾留炉を多列に備える乾留ユニット、乾留ユニットを多列に備える乾留炉を備えているので、大量生産性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
(2)乾留炉の熱交換媒体として、燃焼炉の排ガスを供給する直接加熱とは異なり、間接加熱を用いることで発生する揮発分の単位体積当たりの熱量を最大限活用することができる省エネルギー性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0035】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)炭化水素ガス(揮発分)が抜け、高品位の石炭への転換が進むことができ、燃料比2以上の高品位炭を得ることが出来る、装置自体のコスト及び、投入熱量において省コスト性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
(2)重質油を保持したまま乾留が出来るのでリアクターの閉塞等の問題が起こらないので操業安定性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0036】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)邪魔板等をミニ乾留炉ごとの流れやすさを調整する為に適宜配置することができ、製品ムラや固定炭素の収率を安定させることが可能で製品収率に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
(2)炉内にいて補強部材の役目を果たすので強度に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0037】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)邪魔板に固定炭素が留まることが無く、固定炭素の製造安定性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0038】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)取出し口からのガスの漏れを気にせずに乾留炉内にガスを送り込む場所を適宜選択できるので装置の多様性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0039】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)取出し口からガスを導入することが可能で、またクエンチチャンバーの底部でガスによって固定炭素が撹拌されるので下部での詰まり防止になり操業安定性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
(2)下部で固定炭素が流動し反応を促進できるので固定炭素の収率に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0040】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)投入熱量を少なくすることが出来るエネルギー効率に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
(2)乾燥することで比重が軽くなり、水分を蒸発する熱量も含め、乾留炉をコンパクトに設計できる省資源性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。また、乾留炉の乾留ガス回収設備などをコンパクトにすることができる省資源性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0041】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)乾燥時間を短縮化できるエネルギー効率に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
(2)粒子径が安定することで製品の固定炭素の品質も同様に安定させることができる製品収率に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。
【0042】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至8の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)エネルギー効率に優れ、乾留を安全に行うことができる安全性に優れた固定炭素製造装置を提供することができる。