【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1に係る石炭焚きボイラを表す概略構成図、
図2は、実施例1の石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図、
図3は、燃焼バーナ及び微粉炭供給管を表す概略図、
図4は、ガイド部材の斜視図、
図5は、微粉炭供給管に設けられたガイド部材の断面図、
図6は、微粉炭供給管に設けられたガイド部材の正面図である。
【0028】
実施例1のボイラは、石炭(瀝青炭、亜瀝青炭など)を粉砕した微粉炭を微粉燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能な微粉炭焚きボイラである。
【0029】
この実施例1において、
図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁が伝熱管により構成されている。
【0030】
燃焼装置12は、この火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)の下部に設けられている。この燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。なお、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施例に限定されるものではない。
【0031】
そして、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して微粉炭機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0032】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。更に、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方にアディショナル空気ノズル39が設けられており、このアディショナル空気ノズル39に空気ダクト37から分岐した分岐空気ダクト40の端部が連結されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(2次空気)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができると共に、送風機38により送られた燃焼用空気(3次空気)を分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給することができる。
【0033】
そのため、燃焼装置12にて、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と1次空気とを混合した微粉燃料混合気(燃料ガス)を火炉11内に吹き込み可能であると共に、2次空気を火炉11内に吹き込み可能となっている。また、アディショナル空気ノズル39は、3次空気を火炉11内に吹き込み可能となっている。そして、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。
【0034】
なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、油燃料を火炉11内に噴射して火炎を形成している。
【0035】
また、燃焼バーナの形態は、上述したものに限定されるものではない。即ち、燃焼バーナの取付位置は、火炉11の隅部ではなく、火炉11の壁部であってもよい。また、燃焼バーナは、火炎旋回流を形成する方式ではなく、火炎対向流を形成する方式であってもよく、火炉11の壁部だけに設けたものであってもよい。
【0036】
火炉11は、上部に煙道50が連結されており、この煙道50に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)51,52、再熱器53,54、節炭器(エコノマイザ)55,56,57が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0037】
煙道50は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管58が連結されている。この排ガス管58は、空気ダクト37との間にエアヒータ59が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、排ガス管58を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0038】
なお、排ガス管58は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0039】
従って、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給されると共に、分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。また、アディショナル空気ノズル39は、追加空気を火炉11に吹き込み、燃焼制御を行うことができる。この火炉11では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道50に排出される。
【0040】
このとき、火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、3次空気(アディショナルエア)が追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。即ち、火炉11は、燃焼バーナ21とアディショナル空気ノズル39との間にNOx還元領域Aが形成される。
【0041】
そして、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器55,56,57によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器51,52に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器51,52で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器53,54に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0042】
その後、煙道50の節炭器55,56,57を通過した排ガスは、排ガス管58にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。
【0043】
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、ほぼ同様の構成をなしていることから、最上段に位置する燃焼バーナ21についてのみ説明する。
【0044】
燃焼バーナ21は、
図2に示すように、火炉11における4つの角部に設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、微粉炭供給管26から分岐した各分岐管26a,26b,26c,26dが連結されると共に、空気ダクト37から分岐した各分岐管37a,37b,37c,37dが連結されている。
【0045】
従って、火炉11の各角部にある各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、火炉11に対して、微粉炭と搬送用空気が混合した微粉燃料混合気を吹き込むと共に、その微粉燃料混合気の外側に燃焼用空気を吹き込む。そして、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dからの微粉燃料混合気に着火することで、4つの火炎F1,F2,F3,F4を形成することができ、この火炎F1,F2,F3,F4は、火炉11の上方から見て(
図2にて)反時計周り方向に旋回する火炎旋回流となる。
【0046】
ところで、
図1に示すように、このような石炭焚きボイラ10にて、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭器31,32,33,34,35から微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して微粉炭と搬送用空気との混合燃料が送られ、この混合燃料とその外側の1次空気を火炉11内に吹き込むことで火炎を形成している。この場合、微粉炭供給管26,27,28,29,30は、屈曲して配置されていることから、微粉炭供給管26,27,28,29,30の内部を流れる微粉炭は、その通路断面内で濃度偏差を生じる。特に、燃焼バーナ21,22,23,24,25に至る直前で微粉炭供給管26,27,28,29,30が屈曲していると、微粉炭は、屈曲した方向またはその逆方向に集まり、燃焼バーナ21,22,23,24,25による混合燃料の噴射に偏りが発生し、燃焼が不安定となってしまう。
【0047】
そのため、実施例1では、微粉炭供給管(燃料ガス供給通路)26,27,28,29,30を流れる微粉炭(固体燃料)を燃焼バーナ21,22,23,24,25における中心部側に誘導するガイド部材を設けている。
【0048】
以下、このガイド部材について詳細に説明するが、このガイド部材は、各微粉炭供給管26,27,28,29,30に設けられ、同様の構成をなすことから、燃焼バーナ21に混合燃料を供給する微粉炭供給管26に設けられたガイド部材についてのみ説明する。
【0049】
実施例1にて、
図3に示すように、燃焼バーナ21は、火炉11の火炉壁11aに設けられており、先端部が火炉11内に向き、基端部に微粉炭供給管26が連結されている。この微粉炭供給管26は、基端部に微粉炭機31(
図1参照)が連結され、先端部に燃焼バーナ21が連結されている。微粉炭供給管26は、第1直線部61と屈曲部62と第2直線部63が連続して設けられており、第2直線部63に燃焼バーナ21が連結されている。
【0050】
また、燃焼バーナ21は、微粉炭と搬送用空気とを混合した混合燃料を吹き込み可能な第1ノズル71と、この第1ノズル71の外側から燃焼用空気を吹き込み可能な第2ノズル72とから構成されている。第1ノズル71は、基端部が微粉炭供給管26に連結され、第2ノズル72は、基端部が風箱36に連結されている。
【0051】
そして、微粉炭供給管26は、第2直線部63における屈曲部62側にキッカ64が固定されている。このキッカ64は、屈曲部62の外周部の下流側における第2直線部63の内面に固定されている。微粉炭供給管26を流れる混合燃料は、微粉炭機31から微粉炭供給管26における第1直線部61と屈曲部62と第2直線部63を通って燃焼バーナ21に供給される。このとき、混合燃料に含まれる微粉炭は、屈曲部62を通るとき、その遠心力により屈曲部62の外周側に誘導される。そのため、屈曲部62の外周側を流れる微粉炭が第2直線部63に至ると、第2直線部63における屈曲部62の下流側の内面が磨耗してしまう。そのため、ここにキッカ64を設けることで、第2直線部63における内面の磨耗を抑制すると共に、第2直線部63におけるキッカ64側の内面を流れる微粉炭を第2直線部63の中心部側に誘導するようにしている。
【0052】
また、微粉炭供給管26は、第2直線部63にガイド部材81が設けられており、このガイド部材81は、キッカ64よりも下流側に配置されている。このガイド部材81は、微粉炭供給管26を流れる微粉炭を燃焼バーナ21における中心部側に誘導するものである。
【0053】
ガイド部材81は、
図3から
図6に示すように、燃焼バーナ21に向けて先細となる円筒形状をなすガイド本体82を有し、このガイド本体82は、先端側の小径部82aに対して基端側の大径部82bが設けられている。そして、ガイド本体82は、内側に中央通過開口部83が設けられ、内周面が微粉炭を燃焼バーナ21における中心部側に誘導する傾斜面84となっている。また、ガイド本体82は、大径部82bの外径が微粉炭供給管26の内径より小さく設定されていることで、外周部と微粉炭供給管26の内面との間に外側通過開口部85が設けられている。
【0054】
ガイド本体82は、小径部82aから中央通過開口部83の中心に向けて延出する複数の突起部86が設けられている。この複数の突起部86は、小径部82aにおける中央通過開口部83側に固定され、周方向に所定間隔(好ましくは、等間隔)で配置されている。各突起部86は、微粉炭供給管26内を流れる混合燃料の流動方向にほぼ直交する方向に沿って配置されている。なお、この配置に限らず、各突起部86は、先端部が微粉炭供給管26内を流れる混合燃料の流動方向における下流側に傾斜して配置されていてもよい。
【0055】
また、外側通過開口部85は、リング形状をなし、この外側通過開口部85に、ガイド本体82における大径部82bと微粉炭供給管26の内面とを連結する複数の連結部87が設けられている。この複数の連結部87は、一端部が大径部82bにおける外側通過開口部85側に固定され、他端部が微粉炭供給管26の内面に固定され、周方向に所定間隔(好ましくは、等間隔)で配置されている。各連結部87は、微粉炭供給管26内を流れる混合燃料の流動方向にほぼ直交する方向に沿って配置されている。なお、この配置に限らず、各連結部87は、微粉炭供給管26内を流れる混合燃料の流動方向に傾斜して配置されていてもよい。
【0056】
この場合、中央通過開口部85に位置する複数の突起部86と、外側通過開口部85に位置する複数の連結部87とは、周方向にずれた位置に設けられている。具体的に、複数の突起部86と複数の連結部87は、同数設けられ、周方向に交互に配置されている。
【0057】
従って、微粉炭と搬送用空気とを混合した混合燃料は、微粉炭供給管26を通って燃焼バーナ21の第1ノズル71に供給される。また、燃焼用空気は、風箱36から燃焼バーナ21の第2ノズル72に供給される。
【0058】
微粉炭供給管26を流れる混合燃料は、第1直線部61、屈曲部62、第2直線部63を通って燃焼バーナ21に供給される。このとき、屈曲部62から第2直線部63を通る混合燃料は、その遠心力により屈曲部62の外周側に誘導されるが、キッカ64により第2直線部63の中心部側に誘導される。
【0059】
また、微粉炭供給管26を流れる混合燃料は、キッカ64を通過した後にガイド部材81により微粉炭が燃焼バーナ21における中心部側に誘導される。即ち、混合燃料は、微粉炭がガイド部材81における傾斜面84により微粉炭供給管26の中心部側に誘導されることで、微粉炭供給管26を流れる混合燃料は、中心部側における微粉炭濃度が高くなる。
【0060】
また、混合燃料は、中央通過開口部83を通過するとき、複数の突起部86に衝突することで流れに乱れが発生する。そのため、中央通過開口部83を通過した混合燃料は、この領域で固体燃料と空気との混合が促進されると共に、微粉炭濃度分布が一様化される。一方、混合燃料は、外側通過開口部85を通過するとき、複数の連結部87に衝突することで流れに乱れが発生する。そのため、外側通過開口部85を通過した混合燃料は、この領域で微粉炭と空気との混合が促進されると共に、微粉炭濃度分布が一様化される。この場合、中央通過開口部83における各突起部86と外側通過開口部85における各連結部87とが周方向にずれていることから、固体燃料と空気との混合が更に促進される。
【0061】
その後、燃焼バーナ21にて、第1ノズル71は、微粉炭供給管26から供給された微粉炭と搬送用空気とが混合した混合燃料を火炉11に吹き込む一方、第2ノズル72は、風箱36から供給された燃焼用空気を火炉11に吹き込む。そして、各ノズル71,72は、火炉11の出口付近で火炎となる。このとき、火炉11に吹き込まれた混合燃料に対して、その外側に空気が囲繞するように吹き込まれることから、失火のおそれがない適正な火炎を形成する。
【0062】
このように実施例1のボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、微粉炭と搬送用空気を混合した混合燃料を供給可能な微粉炭供給管26と、微粉炭供給管26により供給された混合燃料を火炉11内に向けて吹き込むことで火炎を形成可能な燃焼バーナ21と、微粉炭供給管26を流れる微粉炭を燃焼バーナ21における中心部側に誘導するガイド部材81を設けている。
【0063】
従って、混合燃料は、微粉炭供給管26を通って燃焼バーナ21に供給され、燃焼バーナ21は、この混合燃料を火炉11内に向けて吹き込むことで火炎を形成することができ、このとき、ガイド部材81は、微粉炭供給管26を流れる微粉炭を燃焼バーナ21における中心部側に誘導するため、燃焼バーナ21が噴射する混合燃料の噴流は、中心部側で微粉炭濃度が高くなり、噴流の中心部で安定した火炎を形成することができると共に、微粉炭供給管26における摩耗の発生を抑制することができる。
【0064】
実施例1のボイラでは、ガイド部材81に微粉炭を燃焼バーナ21における中心部側に誘導する傾斜面84を設けている。従って、混合燃料が微粉炭供給管26を通って燃焼バーナ21に供給されるとき、微粉炭は、傾斜面84により燃焼バーナ21における中心部側に誘導されることとなり、簡単な構成で容易に中心部側における微粉炭濃度が高い噴流を形成することができる。
【0065】
実施例1のボイラでは、燃焼バーナ21に向けて先細となる円筒形状をなして内部に傾斜面84を有するガイド本体82を設け、中央通過開口部83を設けると共に、微粉炭供給管26の内周面との間に外側通過開口部85を設けている。従って、ガイド部材81の内側に中央通過開口部83を設け、外側に外側通過開口部85を設けることで、混合燃料中の微粉炭がガイド本体82の小径部82aや大径部82bに堆積することはなく、微粉炭供給管26における混合燃料の安定した流れを確保することができる。
【0066】
実施例1のボイラでは、外側通過開口部85をリング形状とし、ガイド本体82と微粉炭供給管26の内周面とを連結する連結部87を周方向に所定間隔で複数設けている。従って、混合燃料が外側通過開口部85を流れるとき、複数の連結部87によりその流れが乱されることで、微粉炭と空気との混合が促進されると共に、混合燃料中の微粉炭が外周部で分散され、ガイド本体82の外側における微紛紛の濃度分布が均一化されることとなり、安定した着火を可能とすることができる。また、有害物質(NOx)の発生を抑制することができる。
【0067】
実施例1のボイラでは、ガイド本体82から中央通過開口部83に向けて延出する突起部86を周方向に所定間隔で複数設けている。従って、混合燃料が中央通過開口部83を流れるとき、複数の突起部86によりその流れが乱されることで、微粉炭と空気との混合が促進されると共に、混合燃料の微粉炭が分散され、ガイド本体82の内側における微粉炭の濃度分布が均一化されることとなり、安定した着火を可能とすることができる。
【0068】
実施例1のボイラでは、複数の連結部87と複数の突起部86とを周方向にずれた位置に設けている。従って、外側通過開口部85で分散された混合燃料と中央通過開口部83で分散された混合燃料は、それぞれ微粉炭と空気との混合が促進され、安定した着火を可能とすることができる。
【実施例2】
【0069】
図7は、本発明の実施例2に係る石炭焚きボイラにおける微粉炭供給管に設けられたガイド部材の側面図、
図8は、微粉炭供給管に設けられたガイド部材の断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
実施例2にて、
図7及び
図8に示すように、微粉炭供給管26は、燃焼バーナより上流側にガイド部材91が設けられており、このガイド部材91は、微粉炭供給管26を流れる微粉炭を燃焼バーナにおける中心部側に誘導するものである。
【0071】
ガイド部材91は、燃焼バーナに向けて(
図7の左側に向けて)先細となる円筒形状をなすガイド本体92を有し、このガイド本体92は、先端側の小径部92aに対して基端側の大径部92bが設けられている。そして、ガイド本体92は、内側に中央通過開口部93が設けられ、内周面が傾斜面94となっている。また、ガイド本体92は、大径部92bの外径が微粉炭供給管26の内径より小さく設定されていることで、外周部と微粉炭供給管26の内面との間に外側通過開口部95が設けられている。
【0072】
ガイド本体92は、小径部92aから中央通過開口部95の中心に向けて延出する複数の突起部96が設けられている。この複数の突起部96は、小径部92aにおける中央通過開口部93側に固定され、周方向に所定間隔(好ましくは、等間隔)で配置されている。各突起部86は、微粉炭供給管26内を流れる混合燃料の流動方向にほぼ直交する方向に沿って配置されている。
【0073】
また、外側通過開口部95は、リング形状をなし、この外側通過開口部95に、ガイド本体92における大径部92bと微粉炭供給管26の内面とを連結する複数の連結部97が設けられている。この複数の連結部97は、一端部が大径部92bにおける外側通過開口部95側に固定され、他端部が微粉炭供給管26の内面に固定され、周方向に所定間隔(好ましくは、等間隔)で配置されている。各連結部97は、微粉炭供給管26内を流れる混合燃料の流動方向にほぼ直交する方向に沿って配置されている。
【0074】
そして、各突起部96は、混合燃料の流れ方向とは反対方向に向けた先細形状となっている。また、各連結部97は、混合燃料の流れ方向とは反対方向に向けた先細形状となっている。即ち、各突起部96及び各連結部97は、混合燃料の流れ方向における上流側に向けて先細となる四角柱形状ないし、流動の上流部が先細となった形状となっている。
【0075】
従って、微粉炭供給管26を流れる混合燃料は、ガイド部材91により微粉炭が燃焼バーナにおける中心部側に誘導される。即ち、混合燃料は、微粉炭がガイド部材91における傾斜面94により微粉炭供給管26の中心部側に誘導されることで、微粉炭供給管26を流れる混合燃料は、中心部側における微粉炭濃度が高くなる。
【0076】
また、混合燃料は、中央通過開口部93を通過するとき、複数の突起部96に衝突することで流れに乱れが発生する。そのため、中央通過開口部93を通過した混合燃料は、この領域で固体燃料と空気との混合が促進されると共に、微粉炭濃度分布が一様化される。一方、混合燃料は、外側通過開口部95を通過するとき、複数の連結部97に衝突することで流れに乱れが発生する。そのため、外側通過開口部95を通過した混合燃料は、この領域で微粉炭と空気との混合が促進されると共に、微粉炭濃度分布が一様化される。
【0077】
このように実施例2のボイラにあっては、微粉炭供給管26を流れる微粉炭を燃焼バーナにおける中心部側に誘導するガイド部材91を設けている。従って、燃焼バーナが噴射する混合燃料の噴流は、中心部側で微粉炭濃度が高くなり、噴流の中心部で安定した火炎を形成することができると共に、安定した着火を可能とすることができる。
【0078】
実施例2のボイラでは、各突起部96及び各連結部97を混合燃料の流れ方向における上流側に向けて先細となる四角柱形状としている。従って、混合燃料が各突起部96や各連結部97に衝突したとき、微粉炭がこの突起部96や連結部97に堆積することはなく、混合燃料の適正な流れを確保することができる。また、各突起部96及び各連結部97が混合燃料の流れ方向に向けて先細形状であることから、微粉炭の衝突による磨耗を抑制することができる。
【0079】
なお、上述した実施例では、円筒の微粉炭供給管に対して円筒のガイド部材としたが、角筒の微粉炭供給管に対して角筒のガイド部材としてもよく、円筒の微粉炭供給管に対して角筒のガイド部材としてもよい。また、ガイド部材を周方向に連続した円筒形状としたが、周方向に複数に分割した湾曲板や平坦板としてもよい。
【0080】
また、上述した実施例では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、燃料としては、バイオマスや石油コークスを使用するボイラであってもよい。