(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
区画に設けられた貫通孔を長尺体が挿通している構造に対し、前記貫通孔の内部と前記長尺体との間に複数の熱膨張性耐火ブロックを設置する際に、熱膨張性耐火ブロック支持体を使用する施工方法であって、
前記熱膨張性耐火ブロック支持体が、本体部と、本体部から一方向に突き出た第一の支持部と、本体部から前記第一の支持部とは反対側に突き出た第二の支持部と、を有し、
(1)前記熱膨張性耐火ブロック支持体の第一の支持部を、前記貫通孔外部の区画または熱膨張性耐火ブロックに掛ける工程と、
(2)前記熱膨張性耐火ブロック支持体の第二の支持部を、工程(1)に使用した熱膨張性耐火ブロックとは異なる熱膨張性耐火ブロックに掛ける工程と、
を少なくとも有する、防火区画貫通部構造の施工方法。
前記複数の熱膨張性耐火ブロックの間に、前記熱膨張性耐火ブロック支持体の本体部を挟んだ後に、前記複数の熱膨張性耐火ブロックを前記貫通孔の内部に設置する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法。
前記熱膨張性耐火ブロック支持体の第一の支持部および第二の支持部の少なくとも一方を、二以上の熱膨張性耐火ブロックに掛ける工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法。
前記複数の熱膨張性耐火ブロックの間に、二以上の前記熱膨張性耐火ブロック支持体の本体部を挟む工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法。
前記熱膨張性耐火ブロックが、熱膨張性耐火シート、不燃材、可燃材および包装材からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法。
前記熱膨張性耐火ブロックが、熱膨張性耐火シート、不燃材および可燃材からなる群より選ばれる少なくとも一つを、包装材により包装してなる、請求項8または9に記載の防火区画貫通部構造の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが本発明者が検討したところ、従来の防火区画貫通部構造は以下の問題点があることが分かった。
図16および
図17は、本発明者が検討した防火区画貫通部構造の問題点を説明するための模式断面図である。
図16に示されるように、建築物の床、天井等の防火区画を画成する仕切部が水平区画である床30の場合は、前記床30に設けられた貫通孔10の内部に前記柔軟性のある耐火性ブロック50を設置することが簡単ではない。貫通孔の内部に前記柔軟性のある耐火性ブロック50を設置する際に、下階へ前記柔軟性のある耐火性ブロック50を落下させてしまう可能性があるためである。
下階へ前記柔軟性のある耐火性ブロック50を落下させる事故を防止するために、通常は
図17に示されるように、従来の防火区画貫通部構造501では前記貫通孔10の内部に貫通孔の外径に合致する筒状の支持枠体60を設置し、この筒状の支持枠体60の底部に網状支持体61を設置する。
前記網状支持体61が前記貫通孔10の内部に設置される柔軟性のある耐火性ブロック50を支持するため、下階へ前記柔軟性のある耐火性ブロック50を落下させる事故を防止することができる。
しかし実際の施工現場では床30に設けられた貫通孔10は多数あり、しかも前記貫通孔10の形状、大きさは一定ではない場合がある。この場合には、それぞれの施工現場毎に、形状、大きさの異なる筒状の支持枠体60、網状支持体61等を設置する必要があり、施工に手間が掛かる問題があった。
また形状、大きさの異なる筒状の支持枠体60、網状支持体61等を準備するためには防火区画貫通部構造501の施工に要する費用を押し上げる結果になることから、施工現場ではより簡単かつ安価に施工することのできる防火区画貫通部構造の登場が期待されている。
【0007】
図18は、本発明者が検討した防火区画貫通部構造の問題点を説明するための模式断面図である。
図18に示されるように、建築物の壁等の防火区画を画成する仕切部が垂直区画である壁40の場合は、前記壁40に設けられた貫通孔10の内部に柔軟性のある耐火性ブロック50を設置した際に、それぞれの柔軟性のある耐火性ブロック50が突き出たり、窪んだりする場合がある。
前記壁40の一方の側に前記柔軟性のある耐火性ブロック50が突き出ている場合には、その突き出ている前記柔軟性のある耐火性ブロック50を反対側へ押し込むことは、耐火性ブロック50が柔軟であるために難しい。
また仮に突き出ている前記柔軟性のある耐火性ブロック50を反対側へ押し込むことができたとしても、突き出ている前記柔軟性のある耐火性ブロック50の上下の前記柔軟性のある耐火性ブロック50が、突き出ている前記柔軟性のある耐火性ブロック50の動きに合わせて移動する。このため前記柔軟性のある耐火性ブロック50の全ての端面を前記貫通孔10の内部で揃えることは難しい。
この様に、それぞれの柔軟性のある耐火性ブロック50が突き出たり、窪んだりしている状態を解消することは簡単ではない問題がある。
【0008】
本発明の目的は、施工が簡単で、熱膨張性耐火ブロックを均等に設置することができる防火区画貫通部構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討した結果、区画に設けられた貫通孔を長尺体が挿通している構造に対し、前記貫通孔の内部と前記長尺体との間に複数の熱膨張性耐火ブロックを設置する際に、熱膨張性耐火ブロック支持体を使用する施工方法が、本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
[1]区画に設けられた貫通孔を長尺体が挿通している構造に対し、前記貫通孔の内部と前記長尺体との間に複数の熱膨張性耐火ブロックを設置する際に、熱膨張性耐火ブロック支持体を使用する施工方法であって、
前記熱膨張性耐火ブロック支持体が、本体部と、本体部から一方向に突き出た第一の支持部と、本体部から前記第一の支持部とは反対側に突き出た第二の支持部と、を有し、
(1)前記熱膨張性耐火ブロック支持体の第一の支持部を、前記貫通孔外部の区画または熱膨張性耐火ブロックに掛ける工程と、
(2)前記熱膨張性耐火ブロック支持体の第二の支持部を、工程(1)に使用した熱膨張性耐火ブロックとは異なる熱膨張性耐火ブロックに掛ける工程と、
を少なくとも有する、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0011】
また本発明の一つは、
[2]前記熱膨張性耐火ブロック支持体が、前記本体部の一端に第一の支持部を備え、前記本体部の他端に第二の支持部を備え、前記第一の支持部と第二の支持部が平行であり、
前記複数の熱膨張性耐火ブロックの全てが、前記区画の垂直方向を基準として、前記貫通孔の長さと略同じ長さを有し、かつ前記区画の水平方向を基準として、前記区画と水平の両端面を有し、
前記複数の熱膨張性耐火ブロックの全てのそれぞれの端面を、前記区画のそれぞれの表面と略同一平面上に設置する工程を含む、上記[1]に記載の防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0012】
また本発明の一つは、
[3]前記長尺体と前記熱膨張性耐火ブロックとの隙間に、充填補助材を挿入する工程を含む、上記[1]または[2]に記載の、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0013】
また本発明の一つは、
[4]前記複数の熱膨張性耐火ブロックの間に、前記熱膨張性耐火ブロック支持体の本体部を挟んだ後に、前記複数の熱膨張性耐火ブロックを前記貫通孔の内部に設置する工程を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0014】
また本発明の一つは、
[5]区画の一方の側から、前記複数の熱膨張性耐火ブロックを前記貫通孔の内部に設置する工程を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0015】
また本発明の一つは、
[6]前記熱膨張性耐火ブロック支持体の第一の支持部および第二の支持部の少なくとも一方を、二以上の熱膨張性耐火ブロックに掛ける工程を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0016】
また本発明の一つは、
[7]前記複数の熱膨張性耐火ブロックの間に、二以上の前記熱膨張性耐火ブロック支持体の本体部を挟む工程を含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0017】
また本発明の一つは、
[8]前記熱膨張性耐火ブロックが、熱膨張性耐火シート、不燃材、可燃材および包装材からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0018】
また本発明の一つは、
[9]前記不燃材が、無機繊維マットおよび熱膨張性樹脂組成物を分散させた無機繊維マットの少なくとも一方である、上記[8]に記載の、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0019】
また本発明の一つは、
[10]前記熱膨張性耐火ブロックが、熱膨張性耐火シート、不燃材および可燃材からなる群より選ばれる少なくとも一つを、包装材により包装してなる、上記[8]または[9]に記載の、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【0020】
また本発明の一つは、
[11]前記包装材が、紙、布および合成樹脂フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一つである、上記[8]〜[10]のいずれかに記載の、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る防火区画貫通部構造の施工方法は、熱膨張性耐火ブロック支持体を使用して前記貫通孔の内部に熱膨張性耐火ブロックを設置することにより得られるから、簡単に施工することができる。
【0022】
また前記熱膨張性耐火ブロック支持体を使用することにより、前記熱膨張性耐火ブロックを貫通孔の内部に均等に設置することができ、各熱膨張性耐火ブロックが突き出たり、窪んだりすることを防ぐことができる。
【0023】
また本発明に係る防火区画貫通部構造の施工方法によれば、区画の一方の側から施工することが可能であるから、簡単に施工することができる。
【0024】
さらに本発明に係る防火区画貫通部構造の施工方法は、区画に設けられた貫通孔に支持枠体、網状支持体等を事前に設置しておく必要がなく、短時間で安価に施工することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照しつつ、本発明に係る第一の実施形態について説明する。
最初に本発明に使用する長尺体、建築物に設けられた区画、および前記区画に形成された貫通孔との関係について説明する。
図1は、本発明に使用する長尺体および区画に形成された貫通孔との関係を説明するための模式要部断面図である。
【0027】
本発明に使用される区画としては、例えば、外壁、内壁等の垂直区画、床、天井等の水平区画等が挙げられる。第一の実施形態に係る防火区画貫通部構造1では、区画として、水平区画である床30が使用されている。
図1に例示される床30は、例えば、コンクリート、不燃性ボード、鋼板等が挙げられる。
前記不燃性ボードとしては、例えば、無機繊維を成形した無機繊維ボード、耐熱パネル等が挙げられる。
【0028】
前記無機繊維ボードとしては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等の無機繊維を焼結剤、熱可塑性樹脂、接着剤等を使用して成形して得られるボード等が挙げられる。
【0029】
また前記耐熱パネルとしては、例えば、セメント系パネル、無機セラミック系パネル等が挙げられる。
前記セメント系パネルとしては、例えば、硬質木片セメント板、無機繊維含有スレート板、軽量気泡コンクリート板、モルタル板、プレキャストコンクリート板等が挙げられる。
前記無機セラミック系パネルとしては、例えば、石膏ボード、けい酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、ミネラルウール板、窯業系板等が挙げられる。
【0030】
ここで前記石膏ボードとしては、具体的には焼石膏に鋸屑やパーライト等の軽量材を混入し、両面に厚紙を貼って成形したもので、例えば、普通石膏ボード(JIS A6901準拠:GB−R)、化粧石膏ボード(JIS A6911準拠:GB−D)、防水石膏ボード(JIS A6912準拠:GB−S)、強化石膏ボード(JIS A6913準拠:GB−F)、吸音石膏ボード(JIS A6301準拠:GB−P)等が挙げられる。
【0031】
前記床30に使用される素材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0032】
また本発明に使用する床30に限定はなく、通常区画に使用されるものを適宜選択して使用することができる。
【0033】
図1では、床30として厚さ20cmのコンクリート構造の床が使用されている。
また前記床30には、前記床30を垂直方向に貫通する貫通孔10が形成されている。前記貫通孔10は、その内部に長尺体20を挿入できる形状を有する。
図1に例示される前記貫通孔10は矩形状に形成されていて、前記貫通孔10を長尺体20が貫通している。
【0034】
本発明に使用する長尺体20としては、例えば、各種配管、ケーブル等を挙げることができる。
前記各種配管としては、例えば、給排水管、吸排気管、水道管、ガス管、冷暖房用媒体移送管等を挙げることができる。
また前記ケーブルとしては、例えば、CVケーブル、単心ケーブルを2本束ねたCVDケーブル、単心ケーブルを3本束ねたCVTケーブル等の他、他の電源ケーブル、信号ケーブル等を挙げることができる。
例えば、絶縁体として架橋ポリエチレンを使用したCVケーブルで、その公称断面積が250mm
2のケーブルの場合、導体の外径が約19mmで、その外周の絶縁体の厚さが2.5mm程度、さらに外側のシース厚さが約1.8mmであり、単線の直径は30mm弱程度となっている。
【0035】
前記長尺体20は、吊りボルト等により天井面から吊下げて支持されたり、壁面から支持されたりして、前記貫通孔10の一定の位置に固定することができる。
【0036】
また前記長尺体20として、各種配管、ケーブル等を内部に設置するケーブルラック等を使用することもできる。前記ケーブルラック等により、各種配管、ケーブル等を支持することができる。
特に図示してはいないが、本発明に使用できるケーブルラックの具体例としては、例えば、亜鉛鉄板等を折り曲げ形成した金属板材や、アルミニウム押出し材等から梯子状に形成され、左右の縦片を構成する一対の親桁材と、前記親桁材を所定の間隔で連結する多数の横材とを少なくとも備えるもの等を挙げることができる。
前記ケーブルラックの内部に各種配管、ケーブル等を載置することができる構造となっている。ケーブルラックを使用する場合には、前記ケーブルラックは吊りボルト等により天井面から吊下げて支持されたり、壁面から支持されたりして、前記貫通孔10の一定の位置に固定することができる。
【0037】
図2は、熱膨張性耐火ブロック支持体を使用して、熱膨張性耐火ブロックを区画に形成された貫通孔の内部に設置した構造を説明するための模式要部断面図である。
また
図3は、本発明に使用する熱膨張性耐火ブロック支持体の構造を説明するための模式斜視図である。
前記熱膨張性耐火ブロック支持体100は、本体部101、本体部101から一方向に突き出た第一の支持部102、および本体部101から前記第一の支持部102とは反対側に突き出た第二の支持部103を有する。
本発明に係る第一の実施形態に使用した前記熱膨張性耐火ブロック200の形状は直方体である。
なお前記熱膨張性耐火ブロック200の形状は直方体以外に、例えば、断面が正方形、三角形、六角形、平行四辺形等の多角柱形状等を使用することもできる。
【0038】
なお前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の表面の一部または全部には粘着層を設けることができる。前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の表面に粘着層を設ける方法としては、例えば、両面粘着テープを前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の表面に貼付する方法、粘着剤を前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の表面に塗布する方法等が挙げられる。
【0039】
前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の本体部101は、前記貫通孔10の内面11と前記熱膨張性耐火ブロック200の側面201とに接して設置されるものがあり、また前記熱膨張性耐火ブロック200の側面202と前記熱膨張性耐火ブロック200の側面201とに挟まれて設置されているものがある。
前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第一の支持部102は、前記床30の上側の表面または前記熱膨張性耐火ブロックの端面203に掛けられている。
また前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第二の支持部103は、前記床30の下側の表面または前記熱膨張性耐火ブロック200の端面204に掛けられている。
【0040】
図2に示されるように、本発明に係る防火区画貫通部構造1は、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100を使用して複数の熱膨張性耐火ブロック200が互いに支え合うことができる構造となっている。
前記熱膨張性耐火ブロック支持体100は第一の支持部102と第二の支持部103により隣接する前記熱膨張性耐火ブロック200を支えることができるため、前記熱膨張性耐火ブロック200が落下することを防止できる。
【0041】
また
図3に示される前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の素材としては、例えば、不燃材、可燃材等を挙げることができる。
前記不燃材としては、例えば、金属、無機材等を挙げることができる。
【0042】
前記金属としては、例えば、鋼、鉄、銅、アルミの一種もしくは二種以上が挙げられる。前記金属は合金であってもよく、前記の素材に、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、錫等の金属を含有するものであってもよい。
前記合金は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0043】
前記無機材としては、例えば、ガラス、セラミック等を挙げることができる。前記無機材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0044】
前記可燃材としては、例えば、合成樹脂板、段ボール、厚紙等が挙げられる。
本発明に使用する合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記段ボール、厚紙等に使用される紙としては、クラフト紙、和紙、Kライナー紙、離型基材等が挙げられる。
前記可燃材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0045】
図4は、床30の表面に対する垂直方向から第一の実施形態に係る防火区画貫通部構造1を観察した構造を例示した模式図である。
前記長尺体20と前記熱膨張性耐火ブロック200との隙間には複数の充填補助材600が挿入されている。
図4に示されるように、前記長尺体と前記貫通孔10の内部との隙間は、前記熱膨張性耐火ブロック200および前記充填補助材600により隙間なく充填されている。
【0046】
次に本発明に使用する熱膨張性耐火ブロック支持体の変形例について説明する。
図5は、本発明に使用する熱膨張性耐火ブロック支持体の変形例を例示した模式斜視図である。
本発明に使用する熱膨張性耐火ブロック支持体は、先の
図3に例示した熱膨張性耐火ブロック支持体100の形状に限定されず、例えば
図5(a)に例示されるように、本体部111が複数ある熱膨張性耐火ブロック支持体110の形状であってもよいし、
図5(b)に例示されるように、本体部121、第一の支持部122、および第二の支持部123がそれぞれ複数ある熱膨張性耐火ブロック支持体120の形状であってもよい。
【0047】
次に本発明に使用する熱膨張性耐火ブロックについて説明する。
本発明に使用する熱膨張性耐火ブロックは、例えば、板状体を含むもの等を挙げることができる。
前記板状体に使用される素材としては、例えば、熱膨張性耐火材、不燃材、可燃材、包装材等が挙げられる。
【0048】
前記熱膨張性耐火材としては、例えば、エポキシ樹脂、ブチルゴム、ウレタン樹脂フォーム等の熱硬化性発泡樹脂等の樹脂成分、熱膨張性黒鉛、リン化合物、無機充填材等を配合した熱膨張性樹脂組成物を、3〜20mmの厚みに成形した熱膨張性耐火シート、
無機繊維を使用して前記熱膨張性樹脂組成物を分散した水中で前記無機繊維を膠着させる操作を繰り返して得られる、熱膨張性樹脂組成物が分散した無機繊維マット、
無機繊維マットを使用して前記熱膨張性樹脂組成物を分散した有機溶剤中で前記無機繊維マットを含浸させる操作を繰り返して得られる、熱膨張性樹脂組成物が分散した無機繊維マット等を挙げることができる。
前記熱膨張性耐火シートは市販品を適宜選択して使用することができる。この様な市販品としては、例えば、積水化学工業社製のフィブロック(登録商標。エポキシ樹脂やゴムと、熱膨張性黒鉛等を含有する樹脂組成物を含むシート材料)、住友スリーエム社製のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社製のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)等が挙げられる。
【0049】
前記不燃材としては、例えば、無機繊維マット、無機パネル、金属板、金属網等が挙げられる。
本発明に使用する無機繊維としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
前記無機繊維は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0050】
また無機パネルは、先の区画に説明した場合と同様のものを使用することができる。
前記無機パネルは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0051】
また前記金属板、金属網等に使用される金属としては、例えば、鋼、鉄、銅、アルミの一種もしくは二種以上が挙げられる。前記金属は合金であってもよく、前記の素材に、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、錫等の金属を含有するものであってもよい。
前記合金は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0052】
前記可燃材としては、例えば、合成樹脂板、段ボール、厚紙等が挙げられる。
本発明に使用する合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記段ボール、厚紙等に使用される紙としては、クラフト紙、和紙、Kライナー紙、離型基材等が挙げられる。
前記可燃材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0053】
前記包装材としては、例えば、紙、布、合成樹脂フィルム等を挙げることができる。
前記紙は、先の段ボール、厚紙の場合と同様である。
前記布としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。織布、不織布等に使用する繊維としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、セルロース繊維等を挙げることができる。
前記合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン、アクリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を原料とするフィルムを挙げることができる。
前記包装材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0054】
次に本発明に使用する熱膨張性耐火ブロックの具体例について説明する。
図6は、本発明に使用する熱膨張性耐火ブロックを説明するための模式斜視図である。
図6(a)に例示される熱膨張性耐火ブロック210は、熱膨張性耐火シート70と無機繊維マット80との積層体である。
図6(b)に例示される熱膨張性耐火ブロック220は、熱膨張性耐火シート70を二つの無機繊維マット80によりはさんだ積層体である。
【0055】
図6(a)および
図6(b)にそれぞれ示される前記熱膨張性耐火ブロック210および前記熱膨張性耐火ブロック220の場合は、前記熱膨張性耐火シート70が板状体である。そして前記無機繊維マット80が前記熱膨張性耐火シート70を支えることにより、高い強度を発揮することができる。
前記熱膨張性耐火ブロック210および前記熱膨張性耐火ブロック220の強度を高めるためには、例えば、前記熱膨張性耐火シート70として厚いものを選択すればよい。前記熱膨張性耐火シート70は一枚のものを使用してもよいし、薄いものを複数重ねて使用してもよい。
前記熱膨張性耐火シート70の厚みは、複数重ねて使用する場合も含めて3〜50mmの範囲であることが好ましい。
また前記無機繊維マット80として硬質のものを使用することによっても前記熱膨張性耐火ブロック210および前記熱膨張性耐火ブロック220の強度を高めることができる。
【0056】
図6(c)に例示される熱膨張性耐火ブロック230は、熱膨張性樹脂組成物が分散された無機繊維マット81からなる。
前記熱膨張性耐火ブロック230の場合は、前記熱膨張性樹脂組成物が分散された無機繊維マット81が前記熱膨張性耐火ブロック230の強度を高める。
前記熱膨張性耐火ブロック230の強度を高めるためには、例えば、前記熱膨張性樹脂組成物に含まれる樹脂成分が、無機繊維マットに分散されたときに強度を高めるものを選択すればよい。この様な樹脂成分としては、例えば、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
また前記熱膨張性樹脂組成物が分散された無機繊維マット81として硬質のものを使用することによっても前記熱膨張性耐火ブロック230の強度を高めることができる。
【0057】
図6(d)に例示される熱膨張性耐火ブロック240は、熱膨張性耐火シート70、無機繊維マット80、および合成樹脂板82との積層体である。
図6(e)に例示される熱膨張性耐火ブロック250は、熱膨張性耐火シート70、無機繊維マット80、および金属網83との積層体である。
図6(f)に例示される熱膨張性耐火ブロック260は、熱膨張性耐火シート70、無機繊維マット80、および段ボール84との積層体である。
【0058】
図6(d)、
図6(e)および
図6(f)にそれぞれ示される前記熱膨張性耐火ブロック240〜260の場合は、それぞれ前記合成樹脂板82、前記金属網83および前記段ボール84が剛性板である。
使用する前記合成樹脂板82、前記金属網83および前記段ボール84の強度に応じて厚みを調整することにより、それぞれの熱膨張性耐火ブロック240〜260の強度を調整することができる。
【0059】
図6(g)に例示される熱膨張性耐火ブロック270は、前記熱膨張性耐火ブロック210〜260のいずれか一つを包装材90により包装したものである。
前記包装材90の底面に、例えば段ボール等の強度のある紙等を設置することにより、前記包装材90の強度を高めることもできる。
【0060】
次に本発明に使用する充填補助材について説明する。
前記充填補助材は、本発明に係る防火区画貫通部構造に使用される長尺体と熱膨張性防火ブロックとの隙間、熱膨張性防火ブロック同士の隙間、熱膨張性耐火ブロックと貫通孔に挿入されて使用される。
前記充填補助材の具体例としては、例えば、パテ材、棒状の熱膨張性樹脂組成物成形体、無機繊維これらを合成樹脂袋等に封入した袋体等が挙げられる。
前記パテ材としては、例えば、JIS A5758により規定されている建築用シーリング材、JIS A6914により規定されている石膏ボード用目地処理材、モルタル等が挙げられる。
前記パテ材は、クロロプレンゴム等のゴムやシリコーン等に充填材、難燃剤等を配合してなるパテ、コーキング等であれば好ましい。
【0061】
以下に実施例により、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0062】
図7は、実施例1に係る防火区画貫通部構造2に使用する熱膨張性耐火ブロック支持体を説明するための模式斜視図である。
実施例1に使用した熱膨張性耐火ブロック支持体100は、本体部101の垂直方向の長さが105mm、第一の支持部102および第二の支持部103の水平方向の長さが30mmおよび60mmである。
また前記熱膨張性耐火ブロック支持体100は鋼製である。
【0063】
図8は、実施例1に係る防火区画貫通部構造2に使用する熱膨張性耐火ブロックを説明するための模式斜視図である。
実施例1に係る防火区画貫通部構造2に使用する熱膨張性耐火ブロック270は、熱膨張性耐火シート70と無機繊維マット80とが積層されている。
前記熱膨張性耐火シート70は、ブチルゴム、熱膨張性黒鉛等を含む熱膨張性樹脂組成物を成形して得られるものであり(登録商標フィブロック。積水化学工業社製)、厚さが4mmである。
また無機繊維マット80は密度が120kg/m
3、厚さが50mmのロックウールからなる。
前記熱膨張性耐火シート70を上にし、前記無機繊維マット80を下にして、前記熱膨張性耐火シート70および前記無機繊維マット80をポリエステル不織布からなる包装材90により包装し、市販の接着剤にて前記包装材90を固定した。
前記熱膨張性耐火ブロック270として、奥行、幅、厚さがそれぞれ異なる4つのものを準備した。具体的には下記の(1)〜(4)の四種類である。
(1)100mm×50mm×50mm
(2)100mm×100mm×50mm
(3)100mm×150mm×50mm
(4)100mm×150mm×50mm
【0064】
図9〜11は、実施例1に係る防火区画貫通部構造2の施工方法を説明するための模式断面図である。
図8〜10に示すように、端部にある熱膨張性耐火ブロック270の側面271に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の本体部101を設置し、前記熱膨張性耐火ブロック270の端面273に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第二の支持部103を掛けた。また熱膨張性耐火ブロック270,270の間に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の本体部101を挟んだ状態で、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第一の支持部102を一つの熱膨張性耐火ブロック270に掛け、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第二の支持部103を別の隣接する熱膨張性耐火ブロック270に掛けた。
この状態を維持したまま、複数の熱膨張性耐火ブロック270と複数の熱膨張性耐火ブロック支持体100とを、貫通孔10の内部に設置した。
【0065】
図11に示されるように、実施例1に使用する前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第一の支持部102同士は、床30の一方の側に設置されるが、それぞれの第一の支持部102は同じ方向にそろえて設置してもよいし、延長すれば互いに交わる方向に設置してもよい。
また実施例1に使用する前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第一の支持部102は、単一の熱膨張性耐火ブロック270に掛けられてもよいし、複数の熱膨張性耐火ブロック270に掛けられてもよい。
さらに一つの熱膨張性耐火ブロック270に対して複数の第一の支持部102が掛けられてもよい。
これらの点は、実施例1に使用する前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第二の支持部103の場合も同様である。
【0066】
次に、
図11に示されるように、熱膨張性耐火ブロック270と長尺体20との隙間に充填補助材600を挿入した。
実施例1に使用した充填補助材600は、熱膨張性樹脂組成物を棒状に成形したものを、ポリエチレンからなる合成樹脂袋により封入した袋体からなる。
前記充填補助材600を前記長尺体20と前記熱膨張性耐火ブロック270との隙間に挿入することにより、前記貫通孔10の内部を隙間なく閉塞することができる。
【0067】
上記の通り、実施例1に係る防火区画貫通部構造2は、簡単に施工することができる。
また前記熱膨張性耐火ブロック支持体100を使用することにより、前記熱膨張性耐火ブロック270を貫通孔の内部に均等に設置することができるから、各熱膨張性耐火ブロック270が前記貫通孔10の内部から外部に突き出たり、窪んだりすることを防ぐことができる。
【0068】
また実施例1に係る防火区画貫通部構造2の施工方法によれば、区画の一方の側から施工することが可能であるから、簡単に施工することができる。
【0069】
実施例1により得られる防火区画貫通部構造2は、火災等の熱にさらされると前記熱膨張性耐火ブロック270に含まれる熱膨張性耐火シート70が膨張して膨張残渣を形成する。
この膨張残渣が前記貫通孔10の内部を閉塞することから、前記防火区画貫通部構造2は耐火性に優れる。
【0070】
実施例1の場合は、床30として床、天井等に使用される水平区画の場合を例にとって説明した。これに対し、床30に代えて、外壁、内壁等の壁等の垂直区画を使用した場合にも、同様の手順により、垂直区画の一方の側から防火区画貫通部構造を得ることができる。この点は以下の実施例の場合も同様である。
【実施例2】
【0071】
図12は実施例2に係る防火区画貫通部構造3の施工方法を説明するための模式断面図である。
実施例1の場合は、先に複数の熱膨張性耐火ブロック270に対して複数の熱膨張性耐火ブロック支持体100を設置してから、複数の熱膨張性耐火ブロック270と複数の熱膨張性耐火ブロック支持体100とを、貫通孔10の内部にまとめて設置した。
これに対して実施例2の場合には、交互に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100と前記熱膨張性耐火ブロック270とを設置した点が異なる。
まず前記床30の貫通孔10の内面に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の本体部101を接触させて、前記貫通孔10の外の床30の表面に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第一の支持部102を掛ける。
次に貫通孔10の内部に熱膨張性耐火ブロック270を挿入し、前記熱膨張性耐火ブロック270の端面274に、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第二の支持部103を掛ける。
次に前記熱膨張性耐火ブロック270の側面272に、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の本体部101を接触させて、前記熱膨張性耐火ブロック270の端面274に、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100の第二の支持部103を掛ける。
この工程を繰り返すことによっても、実施例1の場合と同様の防火区画貫通部構造3を得ることができる。
なお、交互に前記熱膨張性耐火ブロック支持体100と前記熱膨張性耐火ブロック270とを設置する際に、接着剤、粘着テープ、両面粘着テープ等を使用して、前記熱膨張性耐火ブロック支持体100と前記熱膨張性耐火ブロック270とを固定しながら施工を進めることもできる。
【実施例3】
【0072】
実施例3は、実施例1に使用した前記熱膨張性耐火ブロック270に代えて、熱膨張性耐火ブロック280を使用した他は、実施例1との場合と同様である。
図13は、実施例3に使用する熱膨張性耐火ブロック280を説明するための模式斜視図である。
図13に示されるように、密度が120kg/m
3、厚さが50mmのロックウールからなる二枚の無機繊維マット80により、厚さが4mmであり、ブチルゴム、熱膨張性黒鉛等を含む熱膨張性樹脂組成物を成形して得られる熱膨張性耐火シート70(登録商標フィブロック。積水化学工業社製)を間にはさんで積層した。
次に前記無機繊維マット80−前記熱膨張性耐火シート70−前記無機繊維マット80からなる積層体を、ポリエステル不織布からなる包装材90により包装し、市販の接着剤にて前記包装材90を固定して、熱膨張性耐火ブロック280を得た。
次に実施例1の場合と同様に、前記熱膨張性耐火ブロック280を、前記熱膨張性耐火シート70がある面を前記長尺体20と水平方向となるようにして、前記床30の貫通孔10内部に設置した。
実施例3の場合も実施例1の場合と同様、簡単に防火区画貫通部構造4を得ることができる。
【実施例4】
【0073】
実施例4は、実施例1に使用した前記熱膨張性耐火ブロック270に代えて、熱膨張性耐火ブロック281を使用した他は、実施例1との場合と同様である。
図14は、実施例4に使用する熱膨張性耐火ブロック281を説明するための模式斜視図である。
ロックウールに、ブチルゴム、熱膨張性黒鉛等を含む熱膨張性樹脂組成物を分散させて無機繊維マット81を得た。使用した熱膨張性樹脂組成物の組成は、実施例1に使用した熱膨張性耐火シート70と同じである。また前記ロックウールの密度は120kg/m
3、厚さが50mmである。
次に熱膨張性樹脂組成物を分散させた無機繊維マット81を、ポリエステル不織布からなる包装材90により包装し、市販の接着剤にて前記包装材90を固定して、熱膨張性耐火ブロック281を得た。
得られる熱膨張性耐火ブロック281は実施例1に使用した熱膨張性耐火ブロック281よりも均等に熱膨張性樹脂組成物が存在している。このため前記熱膨張性耐火ブロック281は、床30の表面の上下方向のみならず左右方向、前後方向にも広がる性質を有するため、複雑な形状の貫通孔10に使用するのに適している。
【0074】
次に実施例1の場合と同様に、前記熱膨張性耐火ブロック281を、前記床30の貫通孔10内部に設置した。
実施例4の場合も実施例1の場合と同様、簡単に防火区画貫通部構造5を得ることができる。
【実施例5】
【0075】
実施例5は、実施例1に使用した前記熱膨張性耐火ブロック270に代えて、熱膨張性耐火ブロック282を使用した他は、実施例1との場合と同様である。
図15は、実施例5に係る防火区画貫通部構造6に使用する熱膨張性耐火ブロックを説明するための模式斜視図である。
まず表1に示した配合に従い、熱膨張性樹脂フォーム85をA成分とB成分とに分けて、それぞれの成分を遊星式攪拌機を用いて攪拌した。
具体的には前記熱膨張性樹脂フォームとしてウレタン樹脂フォームを使用した。A成分の樹脂成分としてウレタン樹脂フォームの硬化剤であるポリエーテルポリオールを用い、B成分の樹脂成分としてウレタン樹脂フォームの主剤であるポリイソシアネート化合物を用いた。
前記ウレタン樹脂フォームの主剤であるポリイソシアネート化合物と硬化剤であるポリエーテルポリオールとを、ポリオール化合物中の活性水素基(OH)とポリイソシアネート化合物中の活性イソシアネート基(NCO)の割合(NCO/OH)が当量比で、1.64:1となる様に調整した。
【0076】
次にA成分とB成分との粘度を測定した。粘度測定にはB型回転式粘度計(ビスコテック社製)を用いて25℃における粘度を測定した。測定の際のB型回転式粘度計の回転数は10rpmとし、R5のスピンドルを使用した。
得られたA成分とB成分とのそれぞれの粘度を、A成分とB成分との重量比の割合で加算して全体粘度を得た。この値を表1に示す。
【0077】
前記A成分とB成分とを金型に注入し、前記A成分とB成分とが発泡しながら硬化した。硬化物を金型から取り出して、ウレタン樹脂フォームからなる熱膨張性樹脂フォーム85を得た。
実施例5に使用した熱膨張性耐火ブロック282は、熱膨張性樹脂フォーム85からなる。実施例5では前記熱膨張性耐火ブロック282はウレタン樹脂フォームブロックである。
【0078】
次に実施例1の場合と同様に、前記熱膨張性耐火ブロック282を、前記床30の貫通孔10内部に設置した。
実施例5の場合も実施例1の場合と同様、簡単に防火区画貫通部構造6を得ることができる。
【0079】
【表1】