【実施例】
【0121】
[00210] 実施例
[00211] 実施例I:miR-221およびmiR-222はPTEN 3’UTRおよびTIMP3 3’UTRを直接的に標的とする
[00212] 推定miR-221およびmiR標的を同定するため、バイオインフォマティックス検索(Targetscan, Pictar, RNhybrid)を行った。候補標的の中で、ヒトPTENの3’ UTR(ヌクレオチド200〜207、NM_000314)およびヒトTIMP3の3’ UTR(ヌクレオチド2443〜2449、NM_000362)が、hsa miR-221およびhsa miR-222のシード配列とマッチした領域を含有した(
図1A)。PTENおよびTIMP3がmiR-221およびmiR-222の標的に対するものであるかどうかを確認するため、miR-221/miR-222結合部位を含有するPTEN 3’UTRおよびTIMP3 3’UTRを、ルシフェラーゼのオープンリーディングフレームの下流にクローニングした。これらのリポーター構造物を使用して、MEG01細胞をトランスフェクトし、それらは非常に低レベルのmiR-221およびmiR-222を発現し(
図1B)、そして非常にトランスフェクト性が高かった(Freson et al., 2005)。トランスフェクションに際したこれらのmiRの発現の増加は、qRT-PCRにより確認し(
図1B)、ルシフェラーゼ発現に顕著に影響し、ルシフェラーゼ活性として測定された(
図1C)。逆に、ルシフェラーゼアッセイをPTEN mRNAの3’ UTRおよびTIMP3 mRNAの3’ UTRを有するプラスミドを使用して行った場合、miR-221およびmiR-222に対する結合部位が部位特異的変異生成により不活性化された場合、miR-221およびmiR-222阻害作用の一貫した減少が観察された(
図1C)。これらのマイクロRNAがH460細胞環境においてPTEN発現およびTIMP3発現に影響を及ぼすか謳歌を確認するため、H460細胞中での異所性miR-221およびmiR-222の発現の結果を解析した。トランスフェクションに際したこれらのmiRの発現の増加は、qRT-PCRにより確認され(
図1D)、そしてその後PTENおよびTIMP3の内在性レベルに対する作用を、ウェスタンブロットにより解析した(
図1E);miR-221およびmiR-222の過剰発現は、スクランブル化pre-miRでトランフェクトされたH460細胞と比較して、PTENおよびTIMP3の内在性レベルが顕著に減少した。逆に、2’-O me抗miR-221および2’-O me抗miR-222によるmiR-221およびmiR-222のノックダウンは、高レベルの内在性miR-221およびmiR-222を有するCalu-1肺由来細胞中でqRT-PCR(
図1F)により確認され、PTENおよびTIMP3のタンパク質レベルを増加した(
図1G)。興味深いことに、定量的RT-PCRにより、PTEN mRNAレベルは、miR-221およびmiR-222トランスフェクト細胞(
図1H)中で強力に減少したが、TIMP3 mRNAレベルは減少せず、このことはmiR-221およびmiR-222がPTEN mRNAの分解を誘導したが、TIMP3はこれらのマイクロRNAにより転写レベルのみが制御されていることを示唆していることを見出した。PTEN 3’UTRおよびTIMP3 3’UTRは、したがって、miR-221およびmiR-222の標的に向けられている。
【0122】
[00213] 実施例II:miR-221およびmiR-222は、NSCLCおよびHCCにおけるPTEN発現およびTIMP3発現と逆相関している
[00214] miR-221およびmiR-222の内在性レベルを、正常の対応物と比較して、初代NSCLCおよびHCCの大きなパネルにおいて、ノーザンブロットにより評価した。miR-221およびmiR-222発現は、正常な肺細胞および肝臓細胞においてはほとんど検出不可能であったが、腫瘍細胞株の大半で非常に発現している。さらに、ウェスタンブロットにより評価する場合、miR-221およびmiR-222 RNAの発現とPTENおよびTIMP3のタンパク質発現との間の逆相関が、解析された殆どの細胞株において見い出され(
図2A)、qRT-PCRによっても確認された(
図2B)。強制的なmiR-221およびmiR-222発現の後のTIMP3 mRNAの下方制御が観察されなかったため、TIMP3 mRNA発現レベルは試験しなかった(
図1H)。これらの結果は、miR-221およびmiR-222の高発現がNSCLCおよびHCCにおいてPTENおよびTIMP3を負に制御するように作用するメカニズムの一つであることが示唆される。
【0123】
[00215] これらのマイクロRNAがHCCにおいてもPTENおよびTIMP3の内在性レベルに影響を与えるかどうかを確認するため、低レベルのmiR-221およびmiR-222を発現するSk-Hep1細胞株中でのmiR-221およびmiR-222の異所性発現の作用の解析を行った。
図3Aにおいて示されるように、PTENおよびTIMP3タンパク質は、miR-221およびmiR-222の過剰発現に際して、Sk-Hep1細胞において減少された。逆に、高レベルの内在性miR-221およびmiR-222を発現するSnu-387細胞における2'-O me抗miR-221および2'-O me抗miR-222によるmiR-221およびmiR-222のノックダウンは、PTENおよびTIMP3のタンパク質レベルを増加した(
図3A)。
【0124】
[00216] miR-221およびmiR-222が培養におけるNSCLCおよびHCC由来細胞の両方共においてPTENおよびTIMP3発現を下方制御することに注目して、in vivoでの制御を研究した。この質問に回答するため、PTEN mRNAおよびmiR-221 & miR-222発現を、正常ヒト肺組織サンプルと比較して、初代肺腫瘍試料におけるqRT-PCRにより研究した。miR-221およびmiR-222は、正常ヒト肺サンプルにおいてほとんど検出不能であり、そして解析されたすべての腫瘍サンプルにおいて非常に発現されていた。調べられた22個の初代肺腫瘍のうち、実際に全てがPTENの下方制御を示し、そしてmiR-221およびmiR-222の発現を超えたていた(
図3B)。これらのデータはさらに、PTENがin vivoにおいてもmiR-221およびmiR-222の直接的な標的であるとの知見を支持している。
【0125】
[00217] これらの知見を裏付けるため、5’-dig標識LNAプローブを使用して、肝細胞癌および正常肝臓組織に対してin situハイブリダイゼーション解析を行い、その後PTENおよびTIMP3に対する免疫組織化学を行った(
図3C)。miR-221/ miR-222およびPTEN/TIMP3発現は、肝臓癌および隣接する正常肝臓組織/肝硬変の肝臓組織において、逆相関していた。肝臓癌細胞は、miR-221/miR-222の高発現を示し、そしてPTENまたはTIMP3を稀に発現したが(
図3CG-H-K-L)、一方で隣接する非悪性肝臓はPTENおよびTIMP3を広く発現し、そして検出可能なmiR-221/miR-222シグナルは稀にしか示さなかった(
図3CA-B-E-F)。miR-221/ miR-222およびPTEN/TIMP3発現は、肺癌および隣接する正常肺組織においても逆相関した(
図9)。癌細胞の大半は、miR-221およびmiR-222について陽性であり、そしてPTENについて陰性であり(
図9F-9G)、そしてTIMP3について陰性である(
図9I-9J)。
図9I〜9Jにおいて、miRNA発現が癌細胞において明らかとなり、そしてTIMP3発現が周囲細胞において明らかになった。強力なmiR-222シグナル(大きな矢印)が、隣接する線維化肺組織中に浸潤している腫瘍細胞病巣中で見出された(
図9K〜9L)。
【0126】
[00218] 実施例III:MiR 221およびmiR-222は、PTENおよびTIMP3を標的化することにより、NSCLCおよびHCC中でTRAIL抵抗性を誘導する
[00219] miR-221およびmiR-222および/またはPTEN-TIMP3サイレンシングの、NSCLCおよびHCCの両方の細胞生存およびTRAIL抵抗性に対する作用を、研究した。まず、5つのHCC由来細胞株に対して増殖アッセイを行い、それらのうちの3つ(HepG2、Sk-Hep1およびHuh 7)で低いmiR-221 / miR-222発現が、そして2つ(PLC/PRF-5およびSnu-387)で高いmiR-221 / miR-222発現レベルが、見出された(
図4A)。細胞を24時間にわたりTRAILに暴露し、その後細胞増殖をMTTアッセイを使用して評価した。興味深いことに、低レベルのmiR-221およびmiR-222を発現する細胞は、TRAIL誘導性の細胞死を生じ、これら非常に低い増殖速度を意味しており、一方でmiR-221およびmiR-222を過剰発現する細胞は、可溶性TRAILに暴露した場合に感受性を示さなかった(
図4A)。
【0127】
[00220] さらに、TRAIL感受性細胞株Sk-Hep1細胞(
図4B-4C)、HepG2およびHuh7(
図10A-10B)に対するAnnexin-FITCおよびカスパーゼ3/7アッセイにより、miR-221およびmiR-222過剰発現の後に、並びにPTEN siRNAおよびTIMP3 siRNAによるPTENおよびTIMP3サイレンシングの後に、約30〜40%のTRAIL抵抗性の増加が示された。カスパーゼ3/7活性(
図4D)およびAnnexin-FITCアッセイ(
図4E)により決定されたように、TRAIL感受性 H460細胞はまた、PTENおよびTIMP3ノックダウンの後にTRAIL誘導性アポトーシスにより抵抗性となったが、PTENサイレンシングはTIMP3と比較してより効率的であった。
【0128】
[00221] さらに、これらの標的のTRAIL誘導性アポトーシスに対する寄与をさらに評価するため、PTENおよびTIMP3配列をpCruz-HAプラスミド(Santa Cruz)中にクローニングし、そして使用してCalu-1 TRAIL抵抗性細胞をトランスフェクトした。カスパーゼ3/7活性(
図4D)およびAnnexin-FITC染色(
図11A-11B)により決定されたように、Calu-1細胞は、PTENおよびTIMP3の回復後、単独でまたは組み合わせて、TRAIL誘導性アポトーシスに対してより感受性になった。TRAIL誘導性アポトーシスにおけるTIMP3の役割をさらに調べるため、カスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、poly-ADPリボースポリメラーゼ(PARP)、およびTRAILシグナル伝達径路に関連するいくつかの分子の発現を、Calu-1細胞株中でのTIMP3過剰発現の後に、ウェスタンブロットにより試験した(
図11C)。興味深いことに、切断断片の出現により評価した場合、PARPおよびカスパーゼカスケードの活性化が観察された。さらに、チトクロームc発現が増加する一方で、Mcl-1発現が下方制御された(
図11C)。
【0129】
[00222] これらの結果をすべてまとめると、外的なおよび内的なアポトーシス径路の両方にTIMP3が関与することが示唆され、そしてTRAIL誘導性アポトーシスにおけるその役割が強調される。Snu-387細胞におけるTIMP3の回復の後に、同一の結果が得られた(データは示さず)。
【0130】
[00223] さらに、H460細胞におけるmiR-221およびmiR-222の強制的な発現の後、またはSnu-387細胞におけるmiR-221/miR-222サイレンシングの後、PI3K/AKT径路に関与するいくつかのタンパク質の発現および/または活性化が行われた。
図5Aに示されるように、PI3K、AKTおよびそのリン酸化基質である、ホスホグリコーゲン合成酵素キナーゼ3、の発現レベルを、miR-221およびmiR-222の異所性発現により評価し、そして対照的に、Snu-387細胞におけるmiR-221およびmiR-222のノックダウンにより減少し、このことは、miR-221およびmiR-222が、PTEN/AKT径路を標的化することを示唆している(
図5B)。
【0131】
[00224] これらのタンパク質の活性化および発現レベルのさらなる検討をお行った。対照miRでトランスフェクトされたH460細胞と比較して、ERKリン酸化およびPAK1発現の増加が見出された(
図5C)。興味深いことに、TIMP3下方制御の結果の可能性として、メタロペプチダーゼ3およびメタロペプチダーゼ9の発現の増加も見出された(
図5A〜5C)。以前のタンパク質の活性化が、PTENおよび/またはTIMP3依存的であったかどうかを試験するため、PTENおよびTIMP3をH460細胞中でサイレンシングした。
図5Dおよび
図5Eにおいて示されるように、ERKおよびPAK1の活性化は、両方共PTENおよびTIMP3依存的であり、一方AKTリン酸化はPTEN依存的であり、そしてMMP3およびMMP9は、TIMP3ノックダウンの後に亢進制御される。
【0132】
[00225] 最後に、AKT阻害がmiR-221 & miR-222-誘導性細胞生存およびTRAIL抵抗性よりも重要であるかどうかと関連しているため、AKT阻害を研究した。Calu-1およびSnu-387を、2’-Oメチル(2’-O me)抗miR-221およびmiR-222オリゴリボヌクレオチドによりトランスフェクトした。2'-O meスクランブル化miRでトランスフェクトした細胞を対照として使用した。カスパーゼ3/7アッセイにより評価する場合、miR-221およびmiR-222の発現のブロックにより、これらの細胞をTRAIL誘導性アポトーシスに対してかなり感作した(
図5〜5G)。さらに、Calu-1およびSnu-387細胞をTRAILとともにまたはTRAILなしで、特異的AKT阻害剤、API-2/トリシリビン、により、処置した。
図5Fおよび5Gに示されるように、API-2は、miR-221 & miR-222活性化AKTを無効化し、そしてmiR-221およびmiR-222-誘導性細胞生存およびTRAIL抵抗性を顕著に阻害した。
【0133】
[00226] 次に、PTENおよびTIMP3の有り無しで腫瘍の増殖を直接的に比較するため、ノックダウン遺伝子発現用に設計された短いヘアピンRNA(shRNA)構造物を使用して、H460細胞中のPTENおよびTIMP3をサイレンシングした。いずれかの公知の細胞mRNAの特異的な分解を生じないスクランブル化shRNA配列をコードするshRNAプラスミドを、対照として使用した。PTENおよびTIMP3破壊の腫瘍増殖およびTRAIL抵抗性に対する結果は、H460 PTENおよびTIMP3ノックダウン細胞をヌード・マウスの右背部に移植することにより、in vivoで評価した。TRAIL治療を、肺癌が定着した5日後に開始した。PTENおよびTIMP3の喪失(
図12A)は、顕著な腫瘍増殖効果だけでなく、対照腫瘍を超えるTRAIL誘導性アポトーシスへの抵抗性をもたらした(
図124B-12C-12D-2E-12F-12G)。
【0134】
[00227] 結論として、PTENおよびTIMP3は、TRAIL抵抗性における重要な標的であり、そしてNSCLCおよびHCC細胞における腫瘍形成において重要な役割を果たしている。
[00228] 実施例IV:miR-221およびmiR-222によるPTENおよびTIMP3の下方制御は、NSCLCおよびHCC細胞における遊走および浸潤を誘導する
[00229] 腫瘍形成におけるmiR-221/miR-222の機能的役割を直接的に試験するため、H460およびSk-Hep1細胞においてこれらの2種のマイクロRNAを過剰発現させ、またはPTENおよびTIMP3をサイレンシングした。ついで、細胞周期解析により、miR-221およびmiR-222およびPTEN siRNA H460トランスフェクト細胞は、G1期の減少およびS期およびG2-M期の対応する増加を示した(
図6A)。72時間のトランスフェクションの後、解析により、miR-221およびmiR-222またはPTENノックダウンにより誘導されるより初期のDNA合成の開始が示され、これがG1期細胞の素早い減少と並行しており、増殖効果に寄与することが示された(
図6A)。同一の変化がSk-Hep1細胞において観察された(
図13A)。
【0135】
[00230] 次に、本発明の発明者らは、miR-221およびmiR-222の過剰発現のNSCLCおよびHCC細胞の細胞遊走および浸潤に対する作用を解析した。興味深いことに、miR-221およびmiR-222過剰発現の後並びにPTENおよびTIMP3の下方制御の後に、H460およびSk-Hep1(
図113B)細胞の遊走性(
図6B〜6C)および浸潤性(
図6D)能力に対する顕著な増加が観察された。逆に、miR-221およびmiR-222が2'-O me抗miR-221およびmiR-222によるトランスフェクションにより下方制御された場合、Calu-1およびSnu-387細胞の両方において、細胞の遊走および浸潤の減少が観察された(
図14A〜14B)。
【0136】
[00231] 実施例V:METは、AP-1転写因子を介してmiR-221およびmiR-222の活性化を調節する
[00232] METは、Calu-1およびSnu-387細胞において、そしてDNA増幅のためMETオンコジーンを過剰発現することが以前に報告された(Giordano et al., 1989)胃細胞株(GTL16)において、siRNAを使用することによりサイレンシングした。最初に、miR-221 & miR-222発現レベルを、qRT-PCRにより評価した。METノックダウンの後、miR-221およびmiR-222の発現により、解析したすべての細胞株において下方制御された(
図7A-7B-7C)。同一の結果が、GTL16細胞をMET阻害剤、SU11274で処置することにより、得られた(
図15A)。
【0137】
[00233] 次に、免疫染色により、MET下方制御または阻害の後にPTENおよびTIMP3発現レベルの増加が観察され、このことは、METがmiR-221およびmiR-222の活性化に関与していることを示している(
図7D-7E-7F)。
【0138】
[00234] 次に、バイオインフォマティックス検索により(TESSデータベース:http://www.cbil.upenn.edu/cgi bin/tess/tess)、miR-221/miR-222プロモータに結合しそして転写的に活性化することが予測されるMET径路に関与する唯一の転写因子が、AP-1であったことが見出された。AP-1は、JunおよびFosのサブファミリーに属する、二量体の塩基性領域ロイシンジッパータンパク質である。c-Junは、そのグループの中では、最も強力な転写活性化因子である。
【0139】
[00235] AP-1ファミリーに属する因子のどれがmiR-221/miR-222転写活性化に関与しているのかを同定するため、4種の異なる細胞株(H460、Calu-1、Huh7およびSnu-387)中でのmiR-221およびmiR-222発現とc-Junおよびc-Fos タンパク質レベルとの間の相関性を、研究した(
図S7B)。c-Junおよびc-Fosを高度に発現するCalu-1を、MET siRNA、c-Jun siRNAまたはc-Fos siRNAとコトランスフェクトした。続くqRT-PCR増幅により、陰性対照と比較して、METおよびc-Junの下方制御により、miR-221およびmiR-222発現レベルの約45〜50%の減少を生じたが、c-Fosノックダウンによっては生じなかったことが示された(
図S7C)。
【0140】
[00236] これらの結果をさらに確認するため、ルシフェラーゼアッセイを行った。以前の研究において、本発明の発明者らは、miR-221およびmiR-222が2.1 kb RNAの単一種で転写され、そしてその転写がmiR-222ヘアピン構造の5'末端から-150 bp/ 50 bpに位置する上流配列により制御されていることを見出した。以前に同定したmiR-221およびmiR-222のプロモータ領域がMET/AP1により影響を受けるかどうかを決定するため、+3〜-150、+3〜-600、+3〜-1000(+1の位置がmiR-222ヘアピンの5’末端に対応する)をカバーするフラグメントをプロモータを含まずにルシフェラーゼ遺伝子を保有するpGL3basicベクター(Di Leva et al., 未公開データ)中に含有するリポータープラスミドを使用して、ルシフェラーゼアッセイを行った(
図7G)。pGL3b、-150、-600および-1000 pGL3bを、MET siRNA、c-Jun siRNAまたはc-Fos siRNAとともにCalu-1細胞中にコトランスフェクトした(
図15D-15E)。
【0141】
[00237] 続くルシフェラーゼアッセイは、pGL3b空ベクターによるトランスフェクションにより決定される基準活性と比較して、METおよびc-Junの下方制御が、ルシフェラーゼ活性の約45%の減少を生じることを示した;本発明の発明者らc-Fos siRNAトランスフェクションの後に、の後に、ルシフェラーゼ活性の減少を観察しなかった(
図15D-15E)。
【0142】
[00238] これらのデータは、c-JunはMET径路に関与する転写因子であるが、c-Fosは異なり、これがNSCLCおよびHCC細胞におけるmiR-221およびmiR-222の活性化の原因となるこを示す。
【0143】
[00239] プロモータ領域は、c-Jun修飾に対して反応性であり、c-JunのmiR-221およびmiR-222プロモータに対する直接的な結合を確認するため、クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイを行った。最初に、バイオインフォマティックス解析により、唯一のAP-1推定結合部位が、pre-miR-222の5’末端の約130 bp上流に位置していることを見出した。予想AP-1結合部位を考慮して、全部で2つのクロマチン領域を解析した(
図7G):1つはAP-1結合部位をカバーし、そして2つめは陰性対照として、pre-miR-222の5’末端の約1700 nt上流であり、この後者では本発明の発明者らは、AP-1に対する予想結合部位は、いずれも見出さなかった。c-Jun陽性Calu-1およびSnu-387細胞のChIPアッセイは、プロモータの近接するChIP解析領域2への顕著なAP-1結合を示した(
図7H-7I)。c-Jun ChIPによるクロマチン濃縮は、c-Jun陰性H460細胞において何も観察されず、このことは、ChIPアッセイの特異性を証明する。
【0144】
[00240] 最終的に、低レベルのmiR-221 & miR-222を示すHuh7細胞を、JNKキナーゼを活性化することができる抗生物質であるアニソマイシン、およびAP-1、miR-221およびmiR-222およびPTEN-TIMP3発現レベルを確認した。qRT-PCRにより確認されたところでは、アニソマイシンによるc-Jun活性化の後(
図7M)、miR-221およびmiR-222発現が増加し(miR-221:80%、miR-222:40%)(
図7L)、一方PTENおよびTIMP3発現レベルは劇的に減少した(
図7M)。JNKがc-Metとc-Junの中間のシグナル伝達因子であることをさらに証明するため、そしてc-JunノックダウンがPTENおよびTIMP3発現の増加を引き起こすことをさらに証明するため、Calu-1細胞においてc-Metおよびc-Junを研究し、そしてJNK1/2リン酸化およびPTENおよびTIMP3発現をそれぞれ解析した。
図S7Fにおいて示されるように、METノックダウンにより、JNK1/2リン酸化が減少し、一方miR-221およびmiR-222の下方調節の結果として、c-JunサイレンシングがPTEN/TIMP3発現を増加する。
【0145】
[00241] METとPTEN/TIMP3とのin vivoでの直接的に関連性が存在するかどうかを調べるため、免疫組織化学解析を、肺癌および肝臓癌および正常サンプルに対して行った。MET/PTEN正常細胞において広く発現しており、METが存在せず、そしてc-Metが癌細胞において限定的に表現される(
図16)。これらのデータは、少なくとも部分的にはJNK、AP-1を介して、そして特にc-Jun転写因子を介して、METがmiR-221およびmiR-222の制御に関連していることが確認される。
【0146】
[00242] 実施例VI:実験手順
[00243]
ルシフェラーゼアッセイ
[00244] ヒトPTENおよびTIMP3遺伝子の3’ UTRを、以下のプライマー:
PTEN Fw 5'-TCT AGA GAC TCT GAT CCA GAG AAT GAA CC-3'[SEQ ID No: 1]、および
PTEN Rw 5'-TCT AGA GTT GCC ACA AGT GCA AAG GGG TAG GAT GTG-3'[SEQ ID No: 2];
TIMP3 Fw 5'-TCT AGA CTG GGC AAA GAA GGG TCT TTC GCA AAG C-3’[SEQ ID No: 3]、および
TIMP3 Rw 5’-TCT AGA TTC CAA TAG GGA GGA GGC TGG AGG AGT CTC-3’[SEQ ID No: 4];
を使用してPCR増幅し、そしてRenillaルシフェラーゼ停止コドンpGL3対照ベクター(Promega)の下流にクローニングし、p3’UTR-PTENプラスミドおよびp3’UTR-TIMP3プラスミド作製した。
【0147】
[00245] これらの構造物を使用して、逆PCRにより、p3’-UTRmut-PTENプラスミド-プライマー:
Fw:5'-GTT GAA AAA AGG TTG GGG GCG GGT GTC ATG TAT ATA C-3'[SEQ ID No: 5];
Rw:5'-GTA TAT ACA TGA CAC CCG CCC CCA ACC TTT TTT CAA C-3'[SEQ ID No: 6];
p3’-UTRmut-TIMP3プラスミド-プライマー:
Fw:5'-GTA TAA TTT AAA ATC ATT GGG CGG CGG GAG ACA CTT CTG TAT TTC-3'[SEQ ID No: 7];
Rw:5'-GAA ATA CAG AAG TGT CTC CCG CCG CCC AAT GAT TTT AAA TTA TAC-3'[SEQ ID No: 8]
を生成した。
【0148】
[00246] MeG01細胞を、1μgのp3’UTR-PTENまたはp3’UTR-TIMP3、およびp3’UTRmut-PTENプラスミドまたはp3’UTR-TIMP3プラスミド、そして1μgのRenillaルシフェラーゼ発現構造物pRL-TK(Promega)を、リポフェクトアミン2000(Invitrogen)を使用して、コトランスフェクトした。細胞をトランスフェクション後24時間後に回収し、そして製造者の指示書に従ってDualルシフェラーゼアッセイ(Promega)によりアッセイした。3回の独立した実験を三重にして行った。
【0149】
[00247]
肺癌および肝臓癌サンプルおよび細胞株
[00248] 全部で、32個の瞬間凍結正常肺組織および悪性肺組織(19人の男性および13人の女性、中央値年齢:70.0、幅:55〜82)および60個の瞬間凍結した正常肝臓組織と60個の悪性肝臓組織を、Ohio State University Medical Center(Columbus, OH)にて採取した。その他の72個の癌肺組織および正常(24)肺組織を、US Biomax, Incから購入した。すべてのヒト組織を、Ohio State Institutional Review Boardにより承認されたプロトコルに従って得た。
【0150】
[00249]
In vivo実験
[00250] 動物実験は、研究所のガイドラインに従って行った。NCI H460細胞は、shPTENおよびTIMP3プラスミド(Santa Cruz)を使用して安定的にトランスフェクトした;Calu-1細胞を、shMETを使用して安定的にトランスフェクトした。ピューロマイシン中で10日間選択した後、5×10
6(H460)または7×10
6(Calu-1)の生存細胞を、6週齢のオスヌードマウス(Charles RiverBreeding Laboratories, Wilmington,MA)の右脇腹の皮下に注射した。治療は、腫瘍細胞接種の5日後(H460異種移植の場合)または10日後(Calu-1異種移植の場合)に、TRAIL/Apo2(10 mg/kg/d)またはビヒクル(PBS)の腹腔内注射を毎日行うことにより開始し、5日のサイクルを2回行った。腫瘍のサイズは、デジタルキャリパーにより5日ごとに評価した。腫瘍体積は、長さ(l)および幅(w)を測定することによりそして体積を算出することにより(V=lw2/2)、測定した。注射の35日後、マウスを犠死させ、そして腫瘍サンプルを、PTEN、TIMP3およびMETの発現に関してウェスタンブロットにより解析した。対照と処置動物のあいだで統計的に有意であることを、Studentのt試験を使用して評価した。動物実験を、Ohio State Universityの研究所の動物ケアおよび使用についての委員会の承認の後に行った。
【0151】
[00251]
統計解析
[00252] Studentのt試験および一方向性ANOVA解析を使用して、優位性を決定した。すべてのエラーバーは、平均の標準誤差を示す。Pearsonの相関係数を計算して、正常vs腫瘍のクラスで、miR-221/miR-222とPTENとの間の関連性を試験した。P値を算出することにより評価するすべての試験についての統計的優位性は、P<0.05であった。
【0152】
[00253]
ウェスタンブロット解析
[00254] NSCLCおよびHCC細胞由来の全タンパク質を、放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)バッファー(0.15 mM NaCl、0.05 mM Tris-HCl、pH 7.5、1% Triton、0.1% SDS、0.1%デオキシコール酸ナトリウム、および1% Nonidet P40)を用いて抽出した。サンプル抽出物(50μg)を、ミニゲル装置(Bio-Rad Laboratories)を使用して7.5〜12%のSDS-ポリアクリルアミドゲル(PAGE)上で分離し、Hybond-C extraニトロセルロースに転写した。メンブレンを、0.05% Tween 20を含有するTris-緩衝化塩類溶液中の5%無脂肪ドライミルクを使用して1時間ブロッキングし、一次抗体とともに一晩インキュベートし、洗浄し、そして二次抗体とともにインキュベートし、そして化学蛍光発光により可視化した。以下の一次抗体を使用した:抗-PTEN、抗-c-Jun、抗-p-c-Jun、抗-Fos、抗-p-JNK、抗-MMP3、抗-Mcl 1(Santa Cruz)、抗-TIMP3(Millipore)、抗-PI3K(BD Biosciences)、抗-ERK、抗-リン酸化ERK、抗-AKT、抗-p-AKT、抗-GSK3b、抗-p-GSK3b(Ser9)、抗-PAK1、抗-カスパーゼ8、3および9、抗-PARP、抗-チトクロームc(Cell signaling)、及ぼい抗- MMP9、抗-FADD(Abcam)、抗-アクチン抗体(Sigma)。二次抗-ウサギまたは抗-マウス免疫グロブリンG(IgG)抗体ペルオキシダーゼ複合体(Chemicon)を使用した。
【0153】
[00255]
ルシフェラーゼアッセイ
[00256] miR-222/ 221の上流の推定制御領域(+1〜-150 nt、+1〜-600、+1〜-1000(+1の位置は、miR-222ヘアピンの5’末端に対応する)を含有するDNAフラグメントを、増幅し、そしてpGL3basic(Promega)中にクローニングした。Meg01細胞を、Lipofectamine 2000(Invitrogen)、1.0 gのpGL3basic空ベクターまたは上述のゲノムフラグメントを含有する1.0 gのpGL3、200 ngのRenillaルシフェラーゼ発現構造物pRL-TK(Promega)およびMET、c-Jun、c-Fos siRNAを用いてトランスフェクトした。48時間後、4この細胞を溶解し、そして製造者の指示書に従ってDualルシフェラーゼアッセイ(Promega)によりアッセイした。3回の独立した実験を三重にして行った。クローニングに使用したプライマーは、以下のもの:
-1000pGL3b Forw:5'-gctagccctagccaccttatcgaaaatagcattcc-3'[SEQ ID No: 9];
-600 pGL3b Forw:5'-gctagcctgacatgctagtgagcacctgc-3'[SEQ ID No: 10];
-150 pGL3b Forw:5'-gctagcccagaggttgtttaaaattacgta 3'[SEQ ID No: 11];
miR-222 pGL3b Rev:5'-ctcgagagctgggtgatcctttgccttctg-3'[SEQ ID No: 12]
であった。
【0154】
[00257]
リアルタイムPCR
[00258] リアルタイムPCRを、標準的TaqMan PCR KitプロトコルをApplied Biosystems 7900HT配列検出システム(Applied Biosystems)上で使用して行った。10μlのPCR反応物には、0.67μlのRT生成物、1μlのTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)、0.2 mMのTaqManプローブ、1.5 mMのフォワードプライマーおよび0.7 mMのリバースプライマーが含まれた。反応物を、96ウェルプレート中で95℃にて10分間インキュベートし、ついで95℃にて15秒および60℃にて1分のサイクルを40サイクル行った。すべての反応を、三重にして行った。閾値サイクル(CT)を、蛍光が固定閾値を超えた画分サイクル数として定義する。遺伝子発現の相対的定量のための比較CT方法(Applied Biosystems)を使用して、miRNA発現レベルを決定した。y軸は、2(-CT)を示し、または異なるmiRの相対的発現を示す。miRs発現は、U44およびU48 rRNAと比較して計算され、そして10
4をかけたものである。実験を各データ点について三重にして行い、そしてデータ解析をソフトウェア(Bio-Rad)を使用して行った。
【0155】
[00259]
RNA抽出およびノザンブロッティング
[00260] 全RNAを TRIzol溶液(Invitrogen)を製造者の指示書に従って用いて抽出し、そしてRNAの完全性をAgilent BioAnalizer 2100(Agilent, Palo Alto, CA, USA)を用いて評価した。ノザンブロッティングをCalin et al., 2002により記載されるように行った。プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA(miRNA登録)の相補的配列であった:
miR-221、5’-GAAACCCAGCAGACAATGTAGCT-3’[SEQ ID No: 13]、
miR-222、5’-GAGACCCAGTAGCCAGATGTAGCT-3’[SEQ ID No: 14]。
【0156】
[00261]
miRNA発現のアンチセンス阻害
[00262] 2’-Oメチル(2’-O me)オリゴリボヌクレオチドを、Fidelityにより合成した。2'-O me抗miR-221および2'-O me抗miR-222の配列は、以下のとおりである:
5'-gaaacccagcagacaauguagcu[SEQ ID No: 15]および
5'-gagacccagtagccagatgtagct[SEQ ID No: 16]。
2'-O me GFP miR(5'-aaggcaagcugacccugaagu[SEQ ID No: 17])を対照として使用した。細胞を6ウェルプレート中で24時間増殖させ(ウェル当たり1.7×10
6)、そして100 nmoli/L/wellの2'-O me-オリゴリボヌクレオチドをリポフェクトアミン2000によりトランスフェクトした。RNAおよびタンパク質を、トランスフェクションの72時間後に抽出した。
【0157】
[00263]
細胞死および細胞増殖の定量化
[00264] 細胞を96ウェルプレートに三重にしてまき、そして37℃にて5% CO
2インキュベーター中でインキュベートした。Super Killer TRAIL(Alexis Biochemicals)を24〜48時間、400 ng/mlで使用した。細胞生存率を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)-Cell Titer 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)を、製造者のプロトコルに従って試験した。代謝的に活性な細胞を、20 plのMTTを各ウェルに添加することにより検出した。1時間のインキュベーションの後、プレートをMultilabel Counter(Bio-Rad Laboratories)中で解析した。アポトーシスを、Annexin V-FITCアポトーシス検出キットの後に、フローサイトメトリー解析およびカスパーゼ3/7活性化をおこなうことにより、評価した。細胞を、100 mmディッシュ当たり1.8×10
6細胞でまき、10% FBS/RPMI中で一晩増殖させ、リン酸緩衝化塩類溶液(PBS)で洗浄し、その後400 ng/mlのTRAILを用いて、24時間処置した。インキュベーションの後、細胞を冷PBSにより洗浄し、そしてトリプシン処置によりプレートから取り出した。再懸濁した細胞を冷PBSにより洗浄し、そしてFITC結合アネキシン-V抗体(Roche Applied Science)を製造者の指示に従って使用して染色した。ついで、細胞(サンプル当たり5×10
5)をフローサイトメトリー解析に供した。フローサイトメトリー解析を、記載として取り扱われる(Garofalo et al., 2007)。TRAILで処置したH460細胞の画分は、アポトーシス細胞集団として取り扱われる。示されるアポトーシスの割合は、対応する非処置対照において見出されたバックグラウンドレベルに対して補正した。統計的解析を、2サンプルt試験を使用し行い、均等な分散であると考えられ、そしてP値を2テール試験に基づいて計算した。カスパーゼ3/7活性の検出のため、細胞を96ウェルプレート中で培養し、400 ng/mlのTRAILにより処置し、そしてカスパーゼGlo 3/7 Assayキット(Promega)を製造者の指示に従って使用して解析した。連続的な変数を、平均値±標準偏差(s.d.)として表す。
【0158】
[00265]
クロマチン免疫沈降
[00266] クロマチン免疫沈降を、de Belle et al., 2000により記載される方法を若干変更して行った。H460、Calu-1およびSnu-387細胞株由来の細胞(5×10
6)を、1%ホルムアルデヒド中で37℃にて10分間固定した。細胞を氷冷1 PBSにより洗浄し、1×PBS+プロテアーゼ阻害剤中でスクレーピングし、そして遠心分離により回収した。細胞溶解バッファー[50 mmol/L Tris HCl(pH 8.0)、10 mmol/L EDTA、および1% SDS]+プロテアーゼ阻害剤中に再懸濁した細胞ペレットを、超音波処理した。DNA-タンパク質複合体を、5 gの抗c-Jun抗体(Santa Cruz)またはウサギポリクローナルIgG対照(Zymed)を使用して、免疫沈降した。
【0159】
[00267] 免疫沈降されたクロマチンにおける架橋を、プロテアーゼKとともに65℃にて一晩加熱することにより取り除き、そしてDNAをMinElute Reaction Cleanupカラム(Qiagen)により精製し、そして水に再懸濁した。精製されたクロマチンを、PCRに供し、そして生成物を2%アガロースを使用するゲル電気泳動により解析した。以下のプライマーを使用した:
[00268] 領域1F:5'-GATGTGGAGAATAGATACCTTTGAG-3'[SEQ ID No: 18]
[00269] 領域1R:5'-GGCACTGCCTACAAACCAGAGCATA-3'[SEQ ID No: 19]
[00270] 領域2F:5'-GTCACTCAGTCAGTATCTGTTGGA-3'[SEQ ID No: 20]
[00271] 領域2R:5'-GTGTGTAATTCAAGGTAAAGTTTTC-3'[SEQ ID No: 21]。
【0160】
[00272] 抗PTEN siRNAおよび抗TIMP3 siRNAsトランスフェクション
[00273] 細胞を、80%コンフルエントになるまで培養し、そして遺伝子発現をノックダウンするために設計された4つの標的特異的20〜25 nt siRNAのプールである、100 nMの抗PTEN SMARTpool siRNAまたは100 nMの抗TIMP3 SMARTpool siRNAまたは対照siRNA(Dharmacon)とともにリポフェクトアミン2000を使用して一過性にトランスフェクトした。
【0161】
[00274] ホルマリン固定、パラフィン包埋組織切片の、miRNAロック化核酸in situハイブリダイゼーション
[00275] In situハイブリダイゼーション(ISH)を、ペプシン(1.3 mg/ml)中にて30分間消化することが含まれる、以前に記載されたプロトコル(Nuovo et al., 2009)を使用して、脱パラフィン化ヒト肺組織および肝臓組織上で行った。5'末端にジゴキシゲニンが結合されている、6箇所に分散されたロック化核酸(LNA)修飾塩基を含有するプローブの配列は、以下のものである:
miR-221、5'-GAAACCCAGCAGACAATGTAGCT [SEQ ID No: 13]、
miR-222、5’-GAGACCCAGTAGCCAGATGTAGCT [SEQ ID No: 14]。
【0162】
[00276] プローブカクテルおよび組織miRNAを、60℃にて5分間同時に変性し、その後37℃にて一晩かけてハイブリダイゼーションを行いそして0.2×SSCおよび2%ウシ血清アルブミン中4℃にて10分間、低ストリンジェントな洗浄を行った。クロモーゲンニトロブルーテトラゾリウムおよびブロモクロロインドリルホスフェート(NBT/BCIP)上で、アルカリホスファターゼの作用により、プローブ標的複合体を見た。陰性対照には、プローブの使用が含まれ、それによりそのような組織中で陰性の結果が得られるはずである。PTENタンパク質、TIMP3タンパク質およびMETタンパク質の同時標識を促進するためのカウンター染色は使用しなかった。miRNAについてのin situハイブリダイゼーションの後、以前に記載されたように(Nuovo et al., 2009)、スライドを、PTEN(1:800、30分間の細胞調製)、TIMP3(1:1300、30分間の細胞調製)およびMET(1:20、、30分間の細胞調製)についての最適条件を使用して、免疫組織化学用に解析した。免疫組織化学、本発明の発明者らは、Ventana Medical Systemsに由来するUltrasensitive Universal Fast Redシステムを使用した。本発明の発明者らは、正常な肝臓組織および肺組織を、これらのタンパク質についての対照として使用した。次に、PTEN、TIMP3およびmiR-221およびmiR-222を発現する腫瘍細胞の割合を、それぞれの標的の共局在化(miR-221またはmiR-222およびPTENまたはTIMP3のいずれか)について強調しつつ解析した。
【0163】
[00277]
材料
[00278] 細胞培養用の培養液、血清および抗生物質は、Life Technologies, Inc.(Grand Island, NY, USA)より購入した。タンパク質電気泳動試薬は、Bio-Rad Laboratoriesから購入し(Richmond, VA, USA)、ウェスタンブロット試薬およびECL試薬は、GE Healthcare(Piscataway, NJ, USA)から購入した。その他のすべての化学物質は、Sigma(St Louis, MO, USA)から購入した。
【0164】
[00279]
肺癌および肝臓癌サンプルおよび細胞株
[00280] ヒトCalu-1およびA549細胞株を、10%加熱非働化ウシ胎児血清(FBS)および2 mM L-グルタミンおよび100 U/mlペニシリン-ストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地中で増殖させた。Hel299細胞株、H460細胞株、A459細胞株、H1975細胞株、H1299細胞株、H1573細胞株、H23細胞株、PLCRF15細胞株、SNU-387細胞株、Snu-423細胞株、Snu-475細胞株を、10%加熱非働化FBSおよび2mM L-グルタミンおよび100 U/mlペニシリン-ストレプトマイシンを含有するRPMI中で増殖させた。Sk-hepl、Hep-G2、HepG2C3A、Hep3B、Huh7を、10%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミンおよび100 U/mlペニシリン-ストレプトマイシンを添加したMEM中で増殖させた。正常な肝臓細胞を、10%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミン、1%の肝細胞増殖サプリメント(HGS)および100 U/mlのペニシリン-ストレプトマイシンを添加した肝細胞増殖培地(Sciencell)中で増殖させた。
【0165】
[00281]
遊走アッセイ
[00282] 8μm多孔性メンブレン(Greiner bio-one)を有するトランスウェル挿入チャンバーを、アッセイのために使用した。細胞をPBSを用いて3回洗浄し、そして血清不含培養液中で上部チャンバーに添加された。底部チャンバーには、10% FBSを含有する培養液を充填した。細胞を、37℃にて24時間、5% CO2加湿インキュベーター中でインキュベートした。遊走性細胞を定量するため、上部チャンバー上の細胞を、綿棒ぬぐいを使用して取り出し、そして遊走した細胞を、PBS中、25%グルタルアルデヒドで固定し、そしてCrystal Violet染色により染色し、位相差顕微鏡のもとで可視化し、そして撮像した。Cristal violet染色された細胞を、酢酸およびメタノール(1:1)中でさらに可溶化し、吸光度を595 nmで測定した。結果は、3回の独立した実験の平均±S.Dである。
【0166】
[00283]
浸潤アッセイ
[00284] H460およびSK-Hep-1細胞を、300 Lの血清不含ダルベッコ改変イーグル培地中、三重にして、8μm多孔性を含有するメンブレンを有するBD Falcon HTS FluoroBlokインサート(BD Biosciences)の上部チャンバー中に、配置した。インサートを、ダルベッコ改変イーグル培地およびウシ胎児血清(10%)を化学誘引物質として含有する24-ウェルプレートの底部チャンバーウェル中に、配置した。メンブレンのポアを通過して底部チャンバーに遊走した細胞を、リン酸緩衝化塩類溶液(PBS)中37℃にて30分間、8 g/mLのカルセインAM(Molecular Probes, Eugene, OR)により標識化した。遊走細胞の蛍光を、485 nmの励起波長および530 nmの放出波長で蛍光光度計を使用して定量し、そして任意蛍光単位として記述した。データは、4回の別個の測定の平均±標準誤差として表される。
【0167】
[00285]
PTENおよびTIMP3プラスミド
[00286] PTEN cDNAおよびTIMP3 cDNAを、1工程RT-PCRキット(Invitrogen)を製造者の指示書に従って使用することにより、H460細胞RNAから得た。PCRフラグメントは、以下のプライマー:
NotI-TIMP3 HA:5' gcggccgcatgaccccttggctcgggctcatcgtgct 3'[SEQ ID No: 22]
BglII-TIMP3 HA:5' agatctcagggtctggcgctcaggggtctgt 3'[SEQ ID No: 23]
NotI-PTEN HA:5' gcggccgcatgacagccatcatcaaagagatcgttag 3'[SEQ ID No: 24]
XbaI-PTEN HA:5' tctagaggtgttttatccctcttgataaaaaaaaattca 3'[SEQ ID No: 25]
[00287] を使用することにより増幅し、その後NotI-XbaI(PTEN)またはNotI-BglII(TIMP3)を用いて消化した後、pCRUZ-HA(Santa Cruz)中にクローニングした。すべてのベクターは、配列決定により調節した。
【0168】
[00288]
標的解析
[00289] バイオインフォマティックス解析を、これらの具体的なプログラムにより行われた:Targetscan(1)、Pictar(2)およびRNhybrid(3)。(1)http://www.targetscan.org/、(2)http://pictar.bio.nyu.edu/、そして(3)http://bibiserv.techfak.unibielefeld.de/。
【0169】
[00290] 実施例VII:HCC腫瘍サンプル中のTRAILの発現パターンのTRAIL感受性を示す、患者におけるHCCを治療する方法
[00291] 本実施例は、治療としてのTRAIL治療に対して好ましい反応を有する可能性がある。
【0170】
[00292] あるHCC患者に関して、TRAIL療法は、生存を長期化することができる(Sun et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol., 132(7):458-465, 2006)。しかし、TRAIL療法から最も利益を得ると考えられる患者を、治療を開始する前に同定することは、利点である。
【0171】
[00293] 対照(同一の患者から得られた非癌性肝臓組織など)と比較して、腫瘍サンプル中でTRAIL感受性のTRAILの発現パターンを発現するHCC患者の予後診断は、TRAILでの治療語に顕著に改善されることが、本明細書中で開示される。対照的に、腫瘍サンプル中でTRAIL抵抗性TRAILの発現パターンを発現する患者は、TRAIL治療の後に生存の顕著な増加を示さず、そしてしたがってそのような補助的治療に対する良好な候補ではない。
【0172】
[00294] HCCと診断された患者は、治癒を目指して、肝臓切除を最初に受ける。HCC腫瘍サンプルおよび非癌性組織サンプルを、患者から取り出した肝臓組織の一部から得る。ついで、TRIZOL
TMを使用する等の当該技術分野において周知の低分子RNAの抽出のためのいずれかの適切な方法を使用して、RNAを組織サンプルから単離する。ついで、精製されたRNAを、c-JunおよびmiR-221およびmiR-222に対して特異的なプライマーを、場合によってPTENおよび/またはTIMP3と組み合わせて使用して、RT-PCRに供する。アッセイを、c-Junなしで、miR-221およびmiR-222およびPTENおよび/またはTIMP3とともに行うこともできる。これらのアッセイを行なって、腫瘍組織中および非癌性組織中の関連するRNAの発現レベルを決定する。TRAIL感受性発現パターンは、非癌性組織と比較して腫瘍組織中で見られ、患者は、TRAIL補助療法の候補である。
【0173】
[00295] したがって、患者を、当該技術分野において公知の方法に従って、治療有効量のTRAIL αにより治療する。TRAILの容量および投与処方は、患者の健康状態やHCCの病期などの様々な因子により変動するものである。典型的には、TRAILを、時間をかけて多数回投与する。
【0174】
[00296] 実施例VIII:低発現のmiR-26によるHCC患者についての代替処方方法
[00297] 本実施例は、肝臓切除を行わずに、HCCと診断された患者を治療するための方法を記載する。HCCと診断された患者がTRAIL療法のための良い候補であるかどうかを決定するため、HCC腫瘍サンプルを、非癌性肝臓組織サンプルとともに、肝臓切除を行わない患者から得る。組織サンプルを、当該技術分野において公知のいずれかの方法にしたがって得ることができる。例えば、組織サンプルを、皮下注射ばりを使用するバイオプシー手順を行なって所望の組織を取り出すことにより得ることができる。
【0175】
[00298] ついで、TRIZOL
TMを使用する等の当該技術分野において周知の低分子RNAの抽出のためのいずれかの適切な方法を使用して、RNAを組織サンプルから単離する。ついで、精製されたRNAを、miR-26に対して特異的なプライマーを使用して、RT-PCRに供し、腫瘍組織および非癌性組織におけるmiR-26の発現レベルを決定する。TRAIL感受性のTRAIL発現パターンは、非癌性組織と比較して腫瘍組織中で見られる場合、患者は、療法の候補である。
【0176】
[00299] したがって、患者を、当該技術分野において公知の方法に従って、治療有効量の治療剤により治療する。容量および投与処方は、患者の健康状態やHCCの病期などの様々な因子により変動するものである。典型的には、治療を、時間をかけて多数回投与する。
【0177】
[00300] 実施例IV:HCC腫瘍サンプルにおいて、TRAIL抵抗性のTRAILの発現パターンを示す患者におけるHCCを治療する方法
[00301] 本実施例は、患者が、HCC腫瘍中で、TRAIL抵抗性のTRAILの発現パターンを示す場合に、HCCと診断された患者を治療する方法を記載する。
【0178】
[00302] HCCと診断された患者は、治癒を目指して、肝臓切除を最初に受ける。HCC腫瘍サンプルおよび非癌性組織サンプルを、患者から取り出された肝臓組織の部分から得る。ついで、TRIZOL
TMを使用する等の当該技術分野において周知の低分子RNAの抽出のためのいずれかの適切な方法を使用して、RNAを組織サンプルから単離する。ついで、精製されたRNAを、miR-26に対して特異的なプライマーを使用して、RT-PCRに供し、腫瘍組織および非癌性組織におけるmiR-26の発現レベルを決定する。TRAIL抵抗性のTRAILの発現パターンが、非癌性組織と比較して、腫瘍組織中で見出される場合、患者は、TRAIL補助療法に好ましいようには反応しないようである。したがって、患者は、TRAIL療法を受けないが、しかしその他の治療様式が、TRAIL感受性に変換すると考えられる。あるいは、患者は、疾患再発の手術後の兆候についてモニタリングされる。
【0179】
[00303] 実施例IX:HCC患者を診断する方法
[00304] 一つの特定の側面において、被験体が肝細胞癌(HCC)を有するかまたはそれを発症することのリスクを有するかどうかを診断するための方法が、本明細書中に提示される。この方法には、一般に、被験体から得られた試験サンプル中のTRAILの発現パターンを測定することが含まれ、そして対照サンプル中のTRAILの発現パターンのレベルと比較して試験サンプル中のTRAILの発現パターンが逸脱するかどうかを決定することが、HCCを有するかまたは発症するリスクを有するかの被験体の指標である。特定の態様において、少なくとも1個の遺伝子生成物のレベルは、ノザンブロット解析を使用して測定する。同様に、特定の態様において、試験サンプル中の少なくとも1個の遺伝子生成物のレベルが、対照サンプル中の対応するmiR遺伝子生成物のレベルよりも少なく、および/または試験サンプル中の少なくとも1個のmiR遺伝子生成物のレベルが、対照サンプル中の対応するmiR遺伝子生成物のレベルよりも多い。
【0180】
[00305] 実施例X:miR遺伝子生成物の測定
[00306] 少なくとも1個のmiR遺伝子生成物のレベルを、被験体から得た試験サンプル由来のRNAを逆転写することにより測定し、標的オリゴデオキシヌクレオチドのセットを提供することができる;標的オリゴデオキシヌクレオチドの、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイに対するハイブリダイズにより、試験サンプルについてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供する;そして、試験サンプルハイブリダイゼーションプロファイルを、対照サンプルから生成されたハイブリダイゼーションプロファイルと比較する。少なくとも1個のmiRNAのシグナルにおける変化は、HCCを有するか、またはHCCを発症するリスクを有するかのいずれかが、被験体の指標である。
【0181】
[00307] 実施例XI:診断用途および治療用途
[00308] 別の側面において、被験体におけるHCCを治療する方法であって、少なくとも1個のmiRNAのシグナルが、対照サンプルから生成されたシグナルと比較して、脱制御されている(例えば、下方制御されるかおよび/または亢進制御される)。
【0182】
[00309] 被験体から得られた試験サンプルからRNAを逆転写し、標的オリゴデオキシヌクレオチドのセットを提供することにより、被験体が、1またはそれ以上の不都合な被験体内のマーカーと関連したHCCを有するかまたHCCを発症するリスクを有するか、を診断する方法も提供する;標的オリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイとハイブリダイズさせて、試験サンプルについてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供する;そして、試験サンプルハイブリダイゼーションプロファイルを、対照サンプルから生成されるハイブリダイゼーションプロファイルと比較する。シグナルの変化は、被験体が癌を有するか、または癌を発症するリスクを有することの指標である。
【0183】
[00310] TRAILの発現パターン遺伝子の少なくとも2個の遺伝子生成物が、対照細胞と比較して、被験体の癌細胞中で下方制御されているかまたは亢進制御されている、HCCを有する被験体のHCCを治療する方法もまた、提供される。少なくとも2個の遺伝子生成物が癌細胞中で下方制御される場合、この方法は、被験体に対して有効量の少なくとも2個の単離された遺伝子生成物を投与し、それにより被験体内での癌細胞の増殖を阻害することを含む。2つまたはそれ以上の遺伝子生成物が癌細胞中で亢進制御される場合、この方法は、被験体に対して少なくとも1個の遺伝子生成物の発現を阻害するための有効量の少なくとも1個の化合物を投与し、それにより被験体における癌細胞の増殖を阻害することを含む。被験体におけるHCCを治療する方法もまた、本明細書中で提供され、この方法は、以下の工程:対照細胞と比較して、HCC細胞中で、少なくとも2個のTRAIL発現遺伝子生成物の量を決定する工程;そして、以下の工程:癌細胞中で発現される遺伝子生成物の量が、対照細胞中で発現される遺伝子生成物の量よりも少ない場合に、被験体に対して有効量の少なくとも2個の遺伝子生成物を投与すること;または癌細胞中で発現される遺伝子生成物の量が対照細胞中で発現される遺伝子生成物の量よりも多い場合に、被験体に対して有効量の少なくとも2個の遺伝子生成物の発現を阻害するための少なくとも1個の化合物を投与して、それにより被験体における癌細胞の増殖を阻害すること;により、HCC細胞により発現される遺伝子生成物の量を変化させる工程;を含む。
【0184】
[00311] 実施例XII:組成物
[00312] 少なくとも2個の単離されたTRAILの発現パターンの遺伝子生成物および医薬的に許容可能なキャリアを含む、TRAIL抵抗性癌を治療するためのもまた、提供される。特定の態様において、医薬組成物は、適切な対照細胞と比較して、HCC細胞注で下方制御される遺伝子生成物に対応する遺伝子生成物を含む。
【0185】
[00313] 別の特定の態様において、医薬組成物は、少なくとも1個の発現レギュレーター(例えば、阻害剤)化合物及び医薬的に許容可能なキャリアを含む。
[00314] 適切な対照細胞と比較して、HCC細胞において亢進制御されるかまたは下方制御される遺伝子生成物に対して特異的な少なくとも1個の発現レギュレーター化合物を含む医薬組成物もまた、提供される。
【0186】
[00315] 実施例XIII:キット
[00316] 本明細書注で記載される組成物のいずれも、キットに含まれていてもよい。非限定的な事例において、miRNAを単離するための試薬、miRNAを標識するための試薬、および/またはアレイを使用してmiRNA集団を評価するための試薬が、キット中に含まれる。このキットには、miRNAプローブを生成しまたは合成するための試薬がさらに含まれていてもよい。このキットは、適切な容器手段中に、標識ヌクレオチドまたは実質的に標識されている非標識ヌクレオチドを取り込むことにより、miRNAを標識するための酵素が含まれていてもよい。反応バッファー、標識バッファー、洗浄バッファー、またはハイブリダイゼーションバッファー、などの1またはそれ以上のバッファー、miRNAプローブを調製するための化合物、およびmiRNAを単離するための構成成分が含まれていてもよい。その他のキットには、miRNAに対して相補的なオリゴヌクレオチドを含む核酸アレイを製造するための構成成分が含まれていてもよく、そしてしたがって、例えば、固相支持体を含んでいてもよい。
【0187】
[00317] アレイを含めいずれかのキットの態様に関して、本明細書中のいずれかの配列のすべてまたは一部に対して同一なまたは相補的な配列を含有する核酸分子であってもよい。
【0188】
[00318] キットの構成成分は、水性媒体または凍結乾燥形状のいずれかでパッケージすることができる。このキットの容器手段には、一般的に少なくとも1個のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたはその他の容器手段が一般的に含まれており、その中に構成成分を配置し、そして好ましくは適切に分注することができる。キット中に1以上の構成成分が存在する場合(標識試薬および標識が一緒にパッケージングされていてもよい)、キットは、第2、第3またはその他の追加の容器を一般的に含有してもよく、その中に追加の構成成分を別個に配置してもよい。しかしながら、構成成分の様々な組み合わせは、バイアル中に含まれていてもよい。本発明のキットには、典型的には核酸を含有するための手段および、商業的販売のために厳重に密封されたいずれかその他の試薬容器が含まれていてもよい。その様な容器には、インジェクション成型されたプラスチック容器またはブロー成型されたプラスチック容器が含まれていてもよく、その中に所望のバイアルを保持してもよい。
【0189】
[00319] キットの構成成分が、1および/またはそれ以上の液体溶液中で提供される場合、液体溶液は、1つの好ましい溶液である滅菌水溶液を含む水溶液である。キット中に含まれていてもよいその他の溶液は、混合サンプル由来のmiRNAを単離しおよび/または濃縮することが関連する溶液である。
【0190】
[00320] しかしながら、キットの構成成分は、乾燥粉末として提供されてもよい。試薬および/または構成成分が、乾燥粉末として提供される場合、粉末は、適切な溶媒を添加することにより再構成することができる。溶媒が別の容器手段において提供されてもよいことが想定される。キットには、標識miRNAの単離を促進する構成成分が含まれてもよい。miRNAを保持しまたは維持する構成成分またはその分解から保護する構成成分が含まれていてもよい。構成成分は、RNAse不含であってもよく、またはRNAseに対して保護するものであってもよい。
【0191】
[00321] 同様に、このキットは、一般に、適切な手段で、それぞれの個別の試薬または溶液のための別個の容器を一般的に含んでもよい。キットには、キット構成成分の使用およびキットに含まれないいずれかその他の試薬の使用についてのための説明書が含まれていてもよい。説明書には、実施することができるバリエーションが含まれていてもよい。その様な試薬は、本発明のキットの態様であることが企図される。同様に、キットは、上述した特定のアイテムに限定されず、そしてmiRNAの操作または特性決定のために使用されるいずれかの試薬が含まれていてもよい。
【0192】
[00322] miRNAアレイの文脈において検討された態様のいずれかは、本発明のスクリーニングまたはプロファイリング方法またはキットにおいてより一般的に使用することができることもまた、企図される。言い換えると、特定のアレイにおいて含まれていてもよいことを記述するいずれかの態様は、miRNAプロファイリングの文脈においてより一般的に実施することができ、そしてアレイ自体が関与する必要はない。
【0193】
[00323] いずれかのキット、アレイまたはその他の検出技術またはツール、またはいずれかの方法は、これらのmiRNAのいずれかをプロファイリングすることに関連していてもよいこともまた、企図される。同様に、miRNAアレイの文脈において検討されたいずれかの態様は、本発明の方法におけるアレイフォーマットによりまたはそれによらずに、実施することができることが企図される;言い換えると、miRNAアレイ中のいずれかのmiRNAを、当業者にとって公知の技術にしたがって本発明方法のいずれかにおいてスクリーニングまたは評価することができる。アレイフォーマットは、実施すべきスクリーニング方法および診断方法に必要とはされない。
【0194】
[00324] 治療用途、予後診断用途、または診断用途のためにmiRNAアレイを使用するためのキットおよびその様な使用は、本発明の発明者らにより本明細書中で企図される。このキットには、miRNAアレイ、並びにアレイ上のmiRNAについての標準的または正規化miRNAプロファイルに関する情報が含まれていてもよい。同様に、特定の態様において、対照RNAまたはDNAは、キット中に含まれていてもよい。対照RNAは、標識および/またはアレイ解析のための陽性対照として使用することができるmiRNAであってもよい。
【0195】
[00325] 現在の技術の方法およびキットは、幅広くそして抽象的に本明細書中で記載される。より狭い種の概念および抽象的な開示に含まれる中位の抽象的な群のぞれぞれが、現在の技術の一部をも形成する。このことには、現在の技術の抽象的な記載が含まれるが、ただし切断される物質が具体的に本明細書中で記載されたものであるかどうかに関わらず、抽象的なものからいずれかの主題を取り出すことの条件または負の限定となる。
【0196】
[00326] 実施例XIV:アレイ調製およびスクリーニング
[00327] miRNAアレイの調製および使用もまた、本明細書中で提示され、そのようなアレイは、核酸分子の配置されたマクロアレイまたはマイクロアレイ(プローブ)であり、それが複数のmiRNA分子または前駆体miRNA分子と完全にまたはほぼ相補的であるかまたは複数のmiRNA分子または前駆体miRNA分子と同一であり、そして空間的に分離された組織中に支持体物質上に配置される。マクロアレイは、典型的にはニトロセルロースまたはナイロンのシートであり、その上にプローブをスポッティングする。マイクロアレイは、核酸プローブをより高密度で配置し、それにより10,000個までの核酸分子を典型的には1〜4 cm
2の領域中に固定化することができる。
【0197】
[00328] 核酸分子、たとえば、遺伝子、オリゴヌクレオチド、などを、基質上にスポッティングし、またはオリゴヌクレオチド配列をin situで基質上に固定化することにより、マイクロアレイを製造することができる。スポッティングされたまたは固定化された核酸分子は、1 cm
2あたり約30個またはそれ以上、1 cm
2あたり、約100個まで、またはさらに1000個、の非同一核酸分子の、高密度のマトリクスパターンで適用することができる。マイクロアレイは、典型的には、フィルターアレイのニトロセルロースに基づく材料とは対照的に、コーティングしたガラスを固体支持体として使用した。核酸サンプルに相補的なmiRNAの配列したアレイを有することにより、各サンプルの位置をトラッキングし、そして元のサンプルと関連づけることができる。
【0198】
[00329] 複数の異なる核酸プローブが安定的に固体支持体の表面に結合している様々な異なるアレイデバイスは、当業者に公知である。アレイ用の有用な基質には、ナイロン、ガラスおよびシリコンが含まれる。アレイは、平均プローブ長さ、プローブの配列またはタイプ、プローブとアレイ表面およびアレイ表面等とのあいだの共有結合または非共有結合を含む結合の性質など、を含む、多数の異なる方法で変化させることができる。本明細書中で記載される標識方法およびスクリーニング方法およびアレイは、プローブがmiRNAを検出すること以外のいずれかのパラメータに関するその有用性には限定されない;結果的に、方法および組成物は、様々な種類のmiRNAアレイを使用することができる。
【0199】
[00330] 本発明の原理を適用することができる多数の可能性のある態様を考慮して、説明される態様は、本発明の単なる好ましい実施例であり、そして本発明の範囲を限定することを目的とされるべきではないことが理解される。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって規定される。本願出願人は、したがって、本発明を、これらの請求項の範囲および思想の中に含める。