(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1個又は隣接する複数個の電池セルである単位電池(Cij;i=1,2:j=1〜N)の直列接続体としての組電池(10,20)を複数備える電力供給システムに適用され、
電気エネルギを蓄える蓄電手段(40,40a,40b)を有し、該蓄電手段及び前記単位電池の間で電荷を移動させる充放電回路(Spij,Snij,Lα,Lβ)と、
複数の前記組電池のうち少なくとも2つを直列接続又は並列接続させるべく、複数の前記組電池の接続状態を切り替える切替手段(R1〜R4)と、
前記切替手段によって前記組電池を並列接続に切り替えるに先立ち、該並列接続に切り替える前記組電池同士の端子間電圧を前記蓄電手段を介して均等化する組電池均等化手段と、
を備え、
前記充放電回路は、
前記蓄電手段の一端に接続された第1の電気経路(Lα)と、
前記蓄電手段の他端に接続された第2の電気経路(Lβ)と、
前記組電池を構成する前記単位電池のそれぞれの正極端子と前記第1の電気経路との間を開閉する正極側開閉手段(Spij)と、
前記組電池を構成する前記単位電池のそれぞれの負極端子と前記第2の電気経路との間を開閉する負極側開閉手段(Snij)と、
を有し、
前記組電池均等化手段による均等化を開始するに先立ち、前記並列接続に切り替える前記組電池のうち前記蓄電手段を充電する組電池を構成する前記単位電池の前記蓄電手段に対する接続数を、前記蓄電手段を充電する組電池に対応する前記正極側開閉手段及び前記負極側開閉手段を開閉操作することによって漸増させる漸増手段を備えることを特徴とする電力供給装置。
前記組電池均等化手段による均等化の完了後、前記蓄電手段に対する前記最低の組電池を構成する前記単位電池の接続数を漸減させる漸減手段を更に備えることを特徴とする請求項2又は3記載の電力供給装置。
複数の前記組電池のそれぞれについて、該組電池を構成する複数の前記単位電池の中から、電力供給元の単位電池と、電力供給先の単位電池とを選択する単位電池選択手段を更に備え、
前記充放電回路は、前記単位電池選択手段によって選択された前記電力供給元の単位電池から前記電力供給先の単位電池へと前記蓄電手段を介して電荷を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力供給装置。
前記充放電回路は、前記電力供給元の単位電池から前記電力供給先の単位電池へと前記蓄電手段を介して電荷を移動させることで、前記組電池を構成する複数の前記単位電池同士の端子間電圧を均等化することを特徴とする請求項5記載の電力供給装置。
複数の前記組電池を直列接続する場合において、複数の該組電池のうち最も高電位側の組電池(10)の正極端子は、第1の接続点(TL1)に接続され、前記最も高電位側の組電池の負極端子は、第2の接続点(TL2)に接続され、
前記切替手段は、
複数の前記組電池を直列接続する場合において、隣接する対となる該組電池の負極端子及び正極端子の間を開閉する第1の開閉手段(R1)と、
複数の前記組電池を直列接続する場合において、複数の該組電池のうち最も高電位側の組電池以外の組電池(20)の正極端子と前記第1の接続点との間を開閉する第2の開閉手段(R2)と、
複数の前記組電池を直列接続する場合において、複数の該組電池のうち最も低電位側の組電池(20)の負極端子と前記第2の接続点との間を開閉する第3の開閉手段(R3)と、
複数の前記組電池を直列接続する場合において、複数の該組電池のうち最も低電位側の組電池以外の組電池(10)の負極端子と前記第2の接続点との間を開閉する第4の開閉手段(R4)と、
前記第1の接続点及び前記第2の接続点を一対の端子として複数の前記組電池の接続状態を直列接続に切り替えるべく、前記第1の開閉手段及び前記第3の開閉手段を閉操作してかつ、前記第2の開閉手段及び前記第4の開閉手段を開操作する第1の操作手段と、
前記第1の接続点及び前記第2の接続点を一対の端子として複数の前記組電池の接続状態を並列接続に切り替えるべく、前記第1の開閉手段を開操作してかつ、前記第2の開閉手段、前記第3の開閉手段及び前記第4の開閉手段を閉操作する第2の操作手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる電力供給装置を車載主機として回転機のみを備える電気自動車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1に示すように、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20は、メインリレーSMR及び平滑コンデンサ30を介してインバータ32(3相インバータ)に電気的に接続可能とされている。ここで、インバータ32は、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20から供給される直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ34(3相回転機)に供給する機能を有する。また、メインリレーSMRは、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20とインバータ32との間を電気的に開閉する機能を有する。メインリレーSMRは、例えば、車両のユーザによってイグニッションスイッチがオンされることで閉操作(オン操作)される。ちなみに、モータジェネレータ34の回転子は、駆動輪36に連結されている。
【0012】
第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20は、車載高電圧システムを構成し、モータジェネレータ34等の電源となる組電池である。第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20は、隣接する複数個の単電池(電池セル)の直列接続体であり、その端子間電圧は、所定の高電圧(例えば数百V)となる。ここで、1つの電池セルの端子間電圧は、例えば数Vである。また、第2のバッテリ20の負極端子は、接地部位(例えば、車体電位を有する部位)に接続されている。なお、本実施形態では、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20のそれぞれを構成する電池セルの数が互いに等しく設定されることで、これらバッテリ10,20の端子間電圧が互いに等しく設定されている。また、本実施形態では、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20として、リチウムイオン2次電池を用いている。
【0013】
ちなみに、本実施形態では、以降、第1のバッテリ10を構成する電池セルを第1jの電池セル(j=1〜N)と称し、第2のバッテリ20を構成する電池セルを第2jの電池セルと称すこととする。
【0014】
電力供給装置は、充放電回路を備えている。充放電回路は、「蓄電手段」としてのコンデンサ40、第1の電気経路Lα、第2の電気経路Lβ、「正極側開閉手段」としてのp側スイッチング素子Spij(i=1,2)、及び「負極側開閉手段」としてのn側スイッチング素子Snijを備えている。詳しくは、コンデンサ40の一端には、第1の電気経路Lαが接続され、他端には、第2の電気経路Lβが接続されている。また、第ijの電池セルCijの正極端子と第1の電気経路Lαとを接続する経路には、この経路を開閉する第ijのp側スイッチング素子Spijが設けられ、第ijの電池セルCijの負極端子と第2の電気経路Lβとを接続する経路には、この経路を開閉する第ijのn側スイッチング素子Snijが設けられている。ちなみに、コンデンサ40の静電容量は、コンデンサ40の充電電圧が第1のバッテリ10又は第2のバッテリ20の正常時の端子間電圧に一致する際、第1のバッテリ10又は第2のバッテリ20よりも充電エネルギ量が非常に小さくなるように設定されている。
【0015】
なお、本実施形態では、これらスイッチング素子Spij,Snijとして、互いにソース同士が短絡された一対のNチャネルMOSFETを用いている。ここで、ソース同士を短絡させたのは、一対のNチャネルMOSFETのオン操作又は開操作(オフ操作)を容易とするための設定である。つまり、NチャネルMOSFETは、ソースに対するゲートの電位によってオンオフ操作されるため、ソース同士を短絡させることで、一対のNチャネルMOSFETのソースの電位を同一とすることができ、ひいてはオンオフ操作を単一の開閉操作信号(電圧信号)によって行うことができる。
【0016】
第ijの電池セルCijの正極端子には、信号線Li(j+1)が接続され、第ijの電池セルCijの負極端子には、信号線Lijが接続されている。すなわち、信号線Li1,LiNを除いて、互いに隣接する電池セルのうちの高電位側の電池セルの負極端子側の信号線と低電位側の電池セルの正極端子側の信号線とは共有化されている。なお、第ijの電池セルCijの電圧は、信号線Lij,Li(j+1)を介して制御回路38に取り込まれる。
【0017】
続いて、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の接続状態を切り替えるための構成について説明する。
【0018】
本実施形態では、メインリレーSMRの両端のうちインバータ32とは反対側に一対の接続点(以下、第1の接続点TL1,第2の接続点TL2)を設けている。そして、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を直列接続する場合において、最も高電位側の組電池である第1のバッテリ10の正極端子は、第1の接続点TL1に接続され、第1のバッテリ10の負極端子は、後述する第4のリレーR4を介して第2の接続点TL2に接続されている。また、隣接する対となる第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20について、第1のバッテリ10の負極端子及び第2のバッテリ20の正極端子の間は、「第1の開閉手段」としての第1のリレーR1によって開閉される。
【0019】
第2のバッテリ20の正極端子と第1の接続点TL1との間は、「第2の開閉手段」としての第2のリレーR2によって開閉される。また、第2のバッテリ20の負極端子と第2の接続点TL2との間は、「第3の開閉手段」としての第3のリレーR3によって開閉される。さらに、第1のバッテリ10の負極端子と第2の接続点TL2との間は、「第4の開閉手段」としての上記第4のリレーR4によって開閉される。
【0020】
制御回路38は、マイクロコンピュータを主体として構成され、第ijのp側スイッチング素子Spij、第ijのn側スイッチング素子Snij、第1〜第4のリレーR1〜R4、及びメインリレーSMRをオンオフ操作する。
【0021】
次に、
図2を用いて、本実施形態にかかるセル電圧均等化処理について説明する。この処理は、車両の航続距離を拡大すべく、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20のそれぞれを構成するN個の電池セルの端子間電圧のばらつきを低減する処理である。
【0022】
図2に、セル電圧均等化処理の手順を示す。この処理は、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20のそれぞれについて異なる期間に、制御回路38によって例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0023】
この一連の処理では、まずステップS10において、N個の電池セルCi1〜CiNのそれぞれの電圧Vi1〜ViNを検出する。
【0024】
続くステップS12では、上記ステップS10における検出値に基づき、N個の電池セルCi1〜CiNの中から、端子間電圧が最高の電池セル(以下、最高電圧セルCmax)と、端子間電圧が最低の電池セル(以下、最低電圧セルCmin)とを選択する。
【0025】
続くステップS14では、最高電圧セルCmaxの端子間電圧Vmax及び最低電圧セルCminの端子間電圧Vminの電位差が規定値Ve(>0)を超えたか否かを判断する。この処理は、電池セルの端子間電圧のばらつきが小さく、セル電圧均等化処理を実行する必要がない状況下においてこの処理が実行されることで、電池セルの端子間電圧が変動する現象(ハンチング)の発生を抑制するための処理である。
【0026】
ステップS14において肯定判断された場合には、ステップS16に進み、最高電圧セルCmaxを含む電力供給元の電池セルCdisを複数選択する。本実施形態では、電力供給元の電池セルCdisとして、最高電圧セルCmaxを含む3つの電池セルを選択する。具体的には、最高電圧セルCmaxをCir(r=1,2,…,N)とすると、基本的には、最高電圧セルCirと、最高電圧セルCirに隣接する一対の電池セルCi(r−1),Ci(r+1)とを電力供給元の電池セルCdisとして選択する。ただし、「r=1」(最高電圧セルCmaxがCi1)の場合、最高電圧セルCmaxの負極端子側に隣接する電池セルが存在しないことから、電力供給元の電池セルCdisとして、電池セルCi1〜Ci3を選択する。また、「r=N」(最高電圧セルCmaxがCiN)の場合、最高電圧セルCmaxの正極端子側に隣接する電池セルが存在しないことから、電力供給元の電池セルCdisとして、電池セルCi(N−2)〜CiNを選択する。なお、本実施形態において、本ステップ及び上記ステップS12の処理が「単位電池選択手段」を構成する。
【0027】
本ステップにおいて電力供給元の電池セルCdisを複数選択することで、後述する放電処理時において、コンデンサ40から電力供給先の電池セルへ供給される充電電流を大きくすることができ、電池セルの端子間電圧の均等化に要する時間を短縮できる。
【0028】
続くステップS18では、コンデンサ40の充電処理を開始する。ここで、充電処理は、選択された電力供給元の電池セルの直列接続体の両端のうち正極端子に接続されるp側スイッチング素子と、負極端子に接続されるn側スイッチング素子とをオン操作する処理となる。ここで、例えば、最高電圧セルCmaxが電池セルCi(N−1)となる場合の充電処理は、第iNのp側スイッチング素子SpiNと、第i(N−2)のn側スイッチング素子Sni(N−2)とをオン操作する処理となる。これにより、電池セルCi(N−2)〜CiNの直列接続体、第iNのp側スイッチング素子SpiN、第1の電気経路Lα、コンデンサ40、第2の電気経路Lβ及び第i(N−2)のn側スイッチング素子Sni(N−2)からなる閉回路が形成されてコンデンサ40の充電が開始される。
【0029】
続くステップS20では、上記ステップS18の充電処理が開始されてから第1の規定時間T1が経過するまで待機する。ここで、第1の規定時間T1は、電力供給元の電池セルCdisの電気エネルギによってコンデンサ40の充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、以下に説明する手法によって設定することができる。
【0030】
コンデンサ40の端子間電圧V(t)は、下式(eq1)によって表すことができ、また、コンデンサ40の充電電流i(t)は、下式(eq2)によって表すことができる。
【0032】
【数2】
上式(eq1),(eq2)において、「V0」はコンデンサ40の端子間電圧の初期値を示し、「E」は電力供給元の電池セルCdisの端子間電圧を示し、「t」はコンデンサ40の充電処理が開始されてからの経過時間を示し、「R」は充電処理時に形成される上記閉回路の抵抗(電力供給元の電池セルCdisの内部抵抗、スイッチング素子SpiN,Sni(N−2)のオン抵抗、配線抵抗及びコンデンサ40のESRを含む抵抗)を示し、「C」はコンデンサ40の静電容量を示す。
【0033】
ここで、上式(eq1),(eq2)によれば、充電処理が開始されてからのコンデンサ40の端子間電圧v(t)及びコンデンサ40の充電電流i(t)の推移を把握することができる。このため、例えば、時定数「RC」に基づき第1の規定時間T1を設定(より具体的には、例えば、第1の規定時間T1を時定数「RC」に設定)することができる。また、例えば、上式(eq2)において、「i(t)=0」なる条件を課して算出された時間を第1の規定時間T1として設定することもできる。
【0034】
続くステップS22では、上記ステップS18の処理においてオン操作されたスイッチング素子をオフ操作に切り替えることでコンデンサ40の充電処理を終了する。
【0035】
続くステップS24では、コンデンサ40の放電処理を開始する。本実施形態では、電力供給先の電池セルを最低電圧セルCminのみとする。そして、放電処理は、電力供給先の最低電圧セルCminをCiq(q=1,2,…,N)とすると、第iqのp側スイッチング素子Spiq及び第iqのn側スイッチング素子Sniqをオン操作する処理となる。ここで、例えば、最低電圧セルCminが電池セルCi1となる場合の放電処理は、第i1のp側スイッチング素子Spi1及び第i1のn側スイッチング素子Sni1をオン操作する処理となる。これにより、コンデンサ40、第1の電気経路Lα、第i1のp側スイッチング素子Spi1、電池セルCi1、第i1のn側スイッチング素子Sni1及び第2の電気経路Lβからなる閉回路が形成され、コンデンサ40に蓄えられた電気エネルギが放電されて電池セルCi1が充電される。
【0036】
ちなみに、放電処理において、電力供給先の電池セルは、電力供給元の電池セルCdisのうち一部の電池セルと重複し得る。
【0037】
続くステップS26では、上記ステップS24の放電処理が開始されてから第2の規定時間T2が経過するまで待機する。ここで、第2の規定時間T2は、コンデンサ40に蓄えられた電気エネルギによって最低電圧セルCminの充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、第2の規定時間T2は、先のステップS20の処理において説明した手法と同様の手法で設定することができる。ここでは、上式(eq1),(eq2)において、コンデンサ40の端子間電圧の初期値「V0」と、電池セルの端子間電圧「E」とを入れ替えることとなる。
【0038】
続くステップS28では、上記ステップS24の処理でオン操作されたスイッチング素子をオフ操作に切り替えることで放電処理を終了する。
【0039】
なお、上記ステップS14において否定判断された場合や、ステップS28の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0040】
ちなみに、セル電圧均等化処理は、実際には、隣接する複数個の電池セルの直列接続体であるモジュール同士の端子間電圧のばらつきを低減させる処理と、これらモジュールのそれぞれを構成する電池セル同士の端子間電圧のばらつきを低減させる処理とからなる。このため、本実施形態では、電池セル又はモジュールが「単位電池」に相当する。ここで、モジュール同士の端子間電圧の均等化は、電池セル同士の端子間電圧の均等化と同じ手法によって行われることから、その詳細な説明を省略した。
【0041】
次に、本実施形態にかかる接続状態切替処理について説明する。
【0042】
この処理は、モータジェネレータ34の要求出力に応じて、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の接続状態を直列接続から並列接続、又は並列接続から直列接続に切り替えるべく、第1〜第4のリレーR1〜R4等をオンオフ操作する処理である。
【0043】
まず、
図3を用いて、接続状態切替処理のうち第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続から直列接続に切り替える直列接続切替処理について説明する。
図3は、上記処理の手順を示すフローチャートである。なお、この処理は、制御回路38によって例えば所定周期で繰り返し実行される。また、この処理が実行される状況は、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20が並列接続された状況である。ここで、これらバッテリ10,20が並列接続された状況とは、第1のリレーR1がオフ操作されてかつ、第2〜第4のリレーR2〜R4がオン操作された状況である。
【0044】
この一連の処理では、まずステップS30において、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の直列接続要求があるか否かを判断する。ここで、直列接続要求があるか否かは、例えば、モータジェネレータ34の要求出力が第1の所定出力以上であるか否かで判断すればよい。
【0045】
ステップS30において肯定判断された場合には、ステップS32に進み、メインリレーSMRをオフ操作する。
【0046】
続くステップS34では、第2のリレーR2及び第4のリレーR4をオフ操作する。そして、ステップS36では、第1のリレーR1をオン操作する。これにより、第1のリレーR1及び第3のリレーR3がオン操作されてかつ、第2のリレーR2及び第4のリレーR4がオフ操作され、第1の接続点TL1及び第2の接続点TL2を一対の端子として第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の接続状態が並列接続から直列接続に切り替えられる。ちなみに、本実施形態において、ステップS34,S36の処理が「第1の操作手段」を構成する。
【0047】
続くステップS38では、メインリレーSMRをオン操作する。
【0048】
なお、上記ステップS30において否定判断された場合や、ステップS38の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0049】
続いて、接続状態切替処理のうち第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を直列接続から並列接続に切り替える並列接続切替処理と、直列接続から並列接続に切り替えるに先立ち実行されるバッテリ電圧均等化処理とについて説明する。バッテリ電圧均等化処理は、第1のバッテリ10の端子間電圧及び第2のバッテリ20の端子間電圧の差の絶対値が閾値電圧を超えることを条件として、これらバッテリ10,20同士の端子間電圧のばらつきを低減するための処理である。この処理は、これらバッテリ10,20の接続状態を直列接続から並列接続に切り替えた場合にこれらバッテリ10,20を含む閉回路に大電流が流れることを回避するための処理である。
【0050】
図4に、並列接続切替処理とバッテリ電圧均等化処理との手順を示す。この処理は、制御回路38によって例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0051】
この一連の処理では、まずステップS40において、並列接続要求があるか否かを判断する。ここで、並列接続要求があるか否かは、例えば、モータジェネレータ34の要求出力が第2の所定出力未満であるか否かで判断すればよい。なお、第2の所定出力と上記第1の所定出力とを同じ値に設定してもよいし、第2の所定出力を第1の所定出力よりもやや低い値に設定してもよい。
【0052】
ステップS40において肯定判断された場合には、ステップS42に進み、メインリレーSMRをオフ操作する。そして、ステップS44では、第1のリレーR1及び第3のリレーR3をオフ操作する。
【0053】
続くステップS46では、第1のバッテリ10の端子間電圧V1(第11の電池セルC11の負極端子と第1Nの電池セルC1Nの正極端子との電位差)、及び第2のバッテリ20の端子間電圧V2(第21の電池セルC21の負極端子と第2Nの電池セルC2Nの正極端子との電位差)を検出するとともに、これら端子間電圧の差ΔVの絶対値が閾値電圧Vthを上回るか否かを判断する。ここで、閾値電圧Vthは、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の接続状態を並列接続に切り替えた場合にこれらバッテリ10,20間に流れる電流が十分に小さくなるとの観点から設定され、具体的には例えば、1個の電池セルの端子間電圧程度に設定されている。
【0054】
ステップS46において肯定判断された場合には、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の端子間電圧のばらつきが大きいと判断し、ステップS47に進む。ステップS47では、上記端子間電圧の差ΔVの符号に基づき、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の中から、端子間電圧が最高の組電池(以下、高電圧バッテリ)と、端子間電圧が最低の組電池(以下、低電圧バッテリ)とを選択する。なお、本実施形態において、本ステップの処理が「組電池選択手段」を構成する。
【0055】
続くステップS48では、判定フラグFの値が「0」であるか否かを判断する。ここで、判定フラグFは、「0」によって後述する充電電圧漸増処理が未だ実行されていないことを示し、「1」によって充電電圧漸増処理が完了したことを示す。
【0056】
ステップS48において肯定判断された場合には、ステップS50に進み、充電電圧漸増処理を行う。この処理は、バッテリ電圧均等化処理に先立ち、コンデンサ40に対する高電圧バッテリを構成する電池セルの接続数を漸増させる処理である。この処理は、高電圧バッテリによってコンデンサ40を充電する場合において、高電圧バッテリ及びコンデンサ40を含む閉回路に過剰な電流が流れることを回避するための処理である。つまり、例えば、高電圧バッテリの正極端子に接続されたp側スイッチング素子及び負極端子に接続されたn側スイッチング素子をオン操作すると、高電圧バッテリの端子間電圧及びコンデンサ40の端子間電圧の差が大きいことから、これらスイッチング素子、高電圧バッテリ及びコンデンサ40を含む閉回路に過剰な電流が流れる懸念がある。これを回避すべく、充電電圧漸増処理を行う。
【0057】
図5に、充電電圧漸増処理の手順を示す。この処理は、制御回路38によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、本実施形態において、この処理が「漸増手段」を構成する。
【0058】
この一連の処理では、まずステップS100において、高電圧バッテリを構成する最も低電位側の電池セルの正極端子に接続されるp側スイッチング素子Spd1と、上記電池セルの負極端子に接続されるn側スイッチング素子Snd1とをオン操作する。
【0059】
続くステップS102ではパラメータkを「2」とする。そして、ステップS104では、パラメータkが高電圧バッテリを構成する電池セルの数である「N」を超えたか否かを判断する。
【0060】
ステップS104において否定判断された場合には、ステップS106に進み、高電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も低電位側から「k−1」番目の電池セルの正極端子に接続されるp側スイッチング素子Spd(k−1)をオフ操作する。そして、ステップS108では、高電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も低電位側からk番目の電池セルの正極端子に接続されるp側スイッチング素子Spdkをオン操作する。
【0061】
続くステップS110では、上記ステップS108の処理によってp側スイッチング素子Spdkのオン操作が開始されてから第3の規定時間T3が経過するまで待機する。ここで、第3の規定時間T3は、高電圧バッテリを構成する電池セルのうち低電位側からk個の電池セルの直列接続体の電気エネルギによってコンデンサ40の充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、第3の規定時間T3は、先の
図2のステップS20の処理において説明した手法と同様の手法で設定することができる。
【0062】
続くステップS112では、パラメータkを1インクリメントし、上記ステップS104に戻る。
【0063】
上記ステップS104において肯定判断された場合には、ステップS114に進み、高電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も高電位側の電池セルの正極端子に接続されるp側スイッチング素子SpdNと、最も低電位側の電池セルの負極端子に接続されるn側スイッチング素子Snd1とをオフ操作する。
【0064】
なお、ステップS114の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0065】
先の
図4の説明に戻り、ステップS50において、充電電圧漸増処理の完了後、判定フラグFの値を「1」とする。
【0066】
続くステップS52では、低電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も高電位側の電池セルの正極端子に接続されたp側スイッチング素子SpcNと、最も低電位側の電池セルの負極端子に接続されたn側スイッチング素子Snc1とをオン操作する。
【0067】
続くステップS54では、上記ステップS52の処理によってスイッチング素子SpcN,Snc1のオン操作が開始されてから第4の規定時間T4が経過するまで待機する。ここで、第4の規定時間T4は、コンデンサ40に蓄えられた電気エネルギによって低電圧バッテリの充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、第4の規定時間T4は、先の
図2のステップS26の処理において説明した手法と同様の手法で設定することができる。
【0068】
続くステップS56では、上記ステップS52の処理においてオン操作されたスイッチング素子SpcN,Snc1をオフ操作する。その後、上記ステップS46に戻る。
【0069】
一方、上記ステップS48において充電電圧漸増処理が完了していると判断された場合には、ステップS58に進み、高電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も高電位側の電池セルの正極端子に接続されたp側スイッチング素子SpdNと、最も低電位側の電池セルの負極端子に接続されたn側スイッチング素子Snd1とをオン操作する。
【0070】
続くステップS60では、上記ステップS58の処理によってスイッチング素子SpdN,Snd1のオン操作が開始されてから第5の規定時間T5が経過するまで待機する。ここで、第5の規定時間T5は、高電圧バッテリの電気エネルギによってコンデンサ40の充電が完了したと想定される時間に設定される。具体的には、第5の規定時間T5は、先の
図2のステップS20の処理において説明した手法と同様の手法で設定することができる。
【0071】
続くステップS62では、上記ステップS58の処理においてオン操作されたスイッチング素子SpdN,Snd1をオフ操作する。その後、上記ステップS52に移行する。
【0072】
一方、上記ステップS46において否定判断された場合には、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の端子間電圧の均等化が完了したと判断するとともに、判定フラグFの値を「0」としてステップS64に進む。ステップS64では、充電電圧漸減処理を行う。この処理は、バッテリ電圧均等化処理の完了後、コンデンサ40に対する低電圧バッテリを構成する電池セルの接続数を漸減させる処理である。この処理は、その後実行されるセル電圧均等化処理に備えてコンデンサ40の端子間電圧を低下させる場合において、コンデンサ40を含む閉回路に過剰な電流が流れることを回避するための処理である。
【0073】
つまり、コンデンサ40の電圧を低下させるに際し、例えば、低電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も低電位側の電池セルの正極端子及び負極端子に接続されたスイッチング素子Spc1,Snc1をオン操作すると、この電池セルの端子間電圧及びコンデンサ40の端子間電圧の差が大きいことから、上記電池セル、これらスイッチング素子及びコンデンサ40を含む閉回路に大電流が流れる懸念がある。これを回避すべく、充電電圧漸減処理を行う。
【0074】
図6に、充電電圧漸減処理の手順を示す。この処理は、制御回路38によって例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、本実施形態において、この処理が「漸減手段」を構成する。
【0075】
この一連の処理では、まずステップS200において、低電圧バッテリの負極端子に接続されるn側スイッチング素子Snc1をオン操作する。
【0076】
続くステップS202ではパラメータkを「N」とする。そして、ステップS204では、パラメータkが「1」であるか否かを判断する。
【0077】
ステップS204において否定判断された場合には、ステップS206に進み、低電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も低電位側からk番目の電池セルの正極端子に接続されたp側スイッチング素子Spckをオフ操作し、その後ステップS208において、上記最も低電位側から「k−1」番目の電池セルの正極端子に接続されるp側スイッチング素子Spc(k−1)をオン操作する。
【0078】
続くステップS210では、上記ステップS208の処理によってp側スイッチング素子Spc(k−1)のオン操作が開始されてから第6の規定時間T6が経過するまで待機する。ここで、第6の規定時間T6は、コンデンサ40の端子間電圧が、低電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も低電位側から「k−1」個の電池セルの直列接続体の端子間電圧まで低下したと想定される時間に設定される。
【0079】
続くステップS212では、パラメータkを1デクリメントし、上記ステップS204に戻る。
【0080】
上記ステップS204において肯定判断された場合には、ステップS214に進み、低電圧バッテリを構成する電池セルのうち最も低電位側の電池セルの正極端子に接続されたp側スイッチング素子Spc1と、最も低電位側の電池セルの負極端子に接続されたn側スイッチング素子Snc1とをオフ操作する。
【0081】
なお、ステップS214の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0082】
先の
図4の説明に戻り、続くステップS66では、第2〜第4のリレーR2〜R4をオン操作する。これにより、第1のリレーR1がオフ操作されてかつ、第2〜第4のリレーR2〜R4がオン操作され、第1の接続点TL1及び第2の接続点TL2を一対の端子として第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の接続状態が並列接続に切り替えられる。なお、本実施形態において、本ステップ及び上記ステップS44の処理が「第2の操作手段」を構成する。
【0083】
続くステップS68では、メインリレーSMRをオン操作する。
【0084】
なお、上記ステップS40において否定判断された場合や、ステップS68の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0085】
ちなみに、本実施形態において、上記ステップS46〜S48,S52〜S62の処理が、p側スイッチング素子Spij及びn側スイッチング素子Snijをオンオフ操作することで高電圧バッテリから低電圧バッテリへとコンデンサ40を介して電荷を移動させ、これによって第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20同士の端子間電圧を均等化する「組電池均等化手段」を構成する。
【0086】
次に、
図7及び
図8に、本実施形態にかかるバッテリ電圧均等化処理等の一例を示す。ここで、
図7は、バッテリ電圧均等化処理等が行われる場合におけるコンデンサ40の端子間電圧Vcの推移を示し、
図8は、バッテリ電圧均等化処理が行われる場合における第1のバッテリ10の端子間電圧V1及び第2のバッテリ20の端子間電圧V2の推移を示す。なお、
図7及び
図8では、高電圧バッテリを第1のバッテリ10とし、低電圧バッテリを第2のバッテリ20としている。
【0087】
図7に示すように、バッテリ電圧均等化処理に先立ち、時刻t1において充電電圧漸増処理が開始される。これにより、コンデンサ40の端子間電圧Vcが漸増し、その後時刻t2において、コンデンサ40の端子間電圧Vcが第1のバッテリ10の端子間電圧V1まで上昇する。
【0088】
そして、時刻t2において、バッテリ電圧均等化処理が開始される。その後、第1のバッテリ10の端子間電圧V1及び第2のバッテリ20の端子間電圧V2の差ΔVの絶対値が閾値電圧Vth以下になると判断される時刻t3において(
図8参照)、バッテリ電圧均等化処理が完了し、充電電圧漸減処理を開始する。これにより、コンデンサ40の端子間電圧Vcが漸減し、その後時刻t4において、第2のバッテリ20を構成する1個の電池セルの端子間電圧C0までコンデンサ40の端子間電圧Vcが低下する。
【0089】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0090】
(1)第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えるに先立ち、バッテリ電圧均等化処理を行った。このため、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えた場合にこれらバッテリ10,20間に大電流が流れることを回避でき、ひいてはこれらバッテリ10,20の信頼性の低下を回避できる。
【0091】
さらに、本実施形態では、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20同士の端子間電圧の均等化をセル電圧均等化処理で用いる充放電回路を流用して行った。このため、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20同士の端子間電圧を均等化するための電力供給装置の追加部品数を低減させることもできる。
【0092】
(2)充電電圧漸増処理を行った。この処理によれば、コンデンサ40に対する高電圧バッテリを構成する電池セルの接続数を1個ずつ増加させることができるため、コンデンサ40の端子間電圧を漸増させることができる。これにより、過剰な電流を流すことなく第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20同士の端子間電圧を均等化することができ、ひいては均等化に伴う電力損失を低減させることなどができる。
【0093】
(3)充電電圧漸減処理を行った。この処理によれば、コンデンサ40の端子間電圧を低下させる場合にコンデンサ40に接続される電池セル数の急減を回避でき、コンデンサ40の端子間電圧の急減を回避できる。これにより、過剰な電流を流すことなくコンデンサ40の端子間電圧を低下させることができる。
【0094】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0095】
上記第1の実施形態では、セル電圧均等化処理で用いられるコンデンサ40を第1のバッテリ10と第2のバッテリ20とで共通とした。本実施形態では、上記処理で用いられるコンデンサを第1のバッテリ10と第2のバッテリ20とで個別に設けることとする。
【0096】
図9に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、
図9において、先の
図1に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
【0097】
図示されるように、本実施形態では、セル電圧均等化処理で用いられるコンデンサとして、第1のコンデンサ40a及び第2のコンデンサ40bが設けられている。ここで、第1のコンデンサ40aは、第1のバッテリ10に対応して設けられ、第2のコンデンサ40bは、第2のバッテリ20に対応して設けられている。
【0098】
第1の電気経路Lαのうち第11のp側スイッチング素子Sp11の接続点及び第2Nのp側スイッチング素子Sp2Nの接続点の間は、第5のリレーR5によって開閉される。また、第2の電気経路Lβのうち第11のn側スイッチング素子Sn11の接続点及び第2Nのn側スイッチング素子Sn2Nの接続点の間は、第6のリレーR6によって開閉される。第5のリレーR5及び第6のリレーR6は、制御回路38によってオンオフ操作される。
【0099】
第1の電気経路Lαのうち第5のリレーR5よりも第1jのp側スイッチング素子Sp1j側には、第1のコンデンサ40aの一端が接続され、第2の電気経路Lβのうち第6のリレーR6よりも第1jのn側スイッチング素子Sn1j側には、第1のコンデンサ40aの他端が接続されている。また、第1の電気経路Lαのうち第5のリレーR5よりも第2jのp側スイッチング素子Sp2j側には、第2のコンデンサ40bの一端が接続され、第2の電気経路Lβのうち第6のリレーR6よりも第2jのn側スイッチング素子Sn2j側には、第2のコンデンサ40bの他端が接続されている。
【0100】
続いて、本実施形態にかかるセル電圧均等化処理について説明する。
【0101】
本実施形態では、第1のバッテリ10については、第1のコンデンサ40aを用いてセル電圧均等化処理を行い、第2のバッテリ20については、第2のコンデンサ40bを用いてセル電圧均等化処理を行う。本実施形態では、第5のリレーR5及び第6のリレーR6をオフ操作することで、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20のそれぞれのセル電圧均等化処理を同時に行う。こうした構成によれば、これらバッテリ10,20のそれぞれを構成する電池セル同士の端子間電圧の均等化を迅速に完了させることができる。
【0102】
なお、本実施形態において、バッテリ電圧均等化処理は、例えば、第5のリレーR5及び第6のリレーR6をオン操作する状況下において行えばよい。
【0103】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られた効果に加えて、セル電圧均等化処理を迅速に完了できるといった効果を得ることができる。
【0104】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0105】
本実施形態では、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えた場合に第1のバッテリ10の負極端子から接地部位へと流れる地絡電流の抑制を図る。
【0106】
図10に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、
図10において、先の
図1に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
【0107】
図示されるように、本実施形態では、コンデンサ40の両端のうち第2の電気経路Lβ側と接地部位とを「第5の開閉手段」としてのスイッチング素子42を介して接続する。スイッチング素子42は、制御回路38によってオンオフ操作される。なお、本実施形態では、スイッチング素子42として、互いにソース同士が短絡された一対のNチャネルMOSFETを用いている。
【0108】
続いて、本実施形態にかかる地絡電流抑制処理について説明する。
【0109】
第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20が並列接続に切り替えられるに先立ち、第1〜第4のリレーR1〜R4がオフ操作される状況下(例えば先の
図4のステップS44の処理の完了後)において、接地部位の電位に対する第1のバッテリ10の負極端子の電位(対地電圧)が高くなることがある。この場合、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えるべく、第3のリレーR3をオン操作すると、第1のバッテリ10の負極端子から接地部位へと地絡電流が流れるおそれがある。こうした問題に対処すべく、地絡電流抑制処理を行う。なお、本実施形態において、この処理が「処理手段」を構成する。
【0110】
本実施形態では、上記処理として、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えるに先立ち(例えば先の
図4のステップS44の完了後)、スイッチング素子42を断続的にオン操作する処理を行う。
【0111】
図11に、本実施形態にかかる地絡電流抑制処理を示す。ここで、
図11(a)は、第11のn側スイッチング素子Sn11の操作状態の推移を示し、
図11(b)は、スイッチング素子42の操作状態の推移を示す。
【0112】
並列接続に切り替えるに先立ち、図示されるように、時刻t1〜t2において、第11のn側スイッチング素子Sn11をオン操作するとともに、スイッチング素子42を断続的にオン操作する。スイッチング素子42の断続的なオン操作によれば、第1のバッテリ10の負極端子側からスイッチング素子42を介して接地部位に流れる電流を低減させつつ、上記負極端子の対地電圧を低下させることができる。このため、その後時刻t3において、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えた場合に地絡電流が流れることを抑制できる。
【0113】
なお、スイッチング素子42を断続的にオン操作する時間は、固定時間としてもよいし、制御回路38によって検出された対地電圧が所定値未満となったと判断されるまでの時間としてもよい。また、スイッチング素子42を断続的にオン操作する場合のスイッチング素子42のゲート電圧は、スイッチング素子42を構成するMOSFETのドレイン及びソース間電圧の上昇に伴ってドレイン電流が増大する非飽和領域でMOSFETを駆動させる電圧に設定されている。すなわち、スイッチング素子42がオン操作される場合のこの素子のオン抵抗は略0とされる。
【0114】
ちなみに、本実施形態では、スイッチング素子42をオフ操作に戻した後、バッテリ電圧均等化処理を行う。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られた効果に加えて、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えた場合に地絡電流が流れることを抑制できるといった効果を得ることができる。
【0116】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0117】
本実施形態では、電力供給装置を車載主機として回転機及び内燃機関を備えるハイブリッド車に適用する。
【0118】
図12に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、
図12において、先の
図1に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。また、本実施形態において、メインリレーSMRを第1のメインリレーSMR1と称すこととする。
【0119】
図示されるように、本実施形態では、車載主機として、モータジェネレータ34に加えてエンジン43が備えられている。モータジェネレータ34の回転子及びエンジン43のクランク軸は、動力分割機構44を介して駆動輪36に連結されている。
【0120】
本実施形態では、モータジェネレータ34の電源として、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20に加えて、これらバッテリ10,20とは別の主蓄電池(以下、メインバッテリ46)が備えられている。本実施形態では、モータジェネレータ34の電源として、基本的にはメインバッテリ46を用いる構成であり、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20は、車両の航続距離の拡大を狙って備えられる。なお、メインバッテリ46は、例えば、リチウムイオン2次電池であってもよいし、ニッケル水素2次電池であってもよい。
【0121】
メインバッテリ46は、昇圧コンバータ50及びインバータ32を介してモータジェネレータ34に接続されている。ここで、昇圧コンバータ50は、上記平滑コンデンサ30、平滑コンデンサ30に並列接続された一対のスイッチング素子Scp,Scn(IGBT)、及び一対のスイッチング素子Scp,Scnの接続点とメインバッテリ46の正極端子とを接続するリアクトル52を備えている。詳しくは、昇圧コンバータ50は、スイッチング素子Scp,Scnのオンオフ操作によって、メインバッテリ46の出力電圧(例えば「288V」)を所定の電圧(例えば「666V」)を上限として昇圧する機能を有する。昇圧コンバータ50の出力電圧(平滑コンデンサ30の端子間電圧)は、電圧センサ54によって検出される。電圧センサ54の検出値は、制御回路38に入力される。
【0122】
なお、スイッチング素子Scp,Scnにはそれぞれ、フリーホイールダイオードDcp,Dcnが逆並列に接続されている。また、メインバッテリ46と昇圧コンバータ50との間は、第2のメインリレーSMR2によって開閉される。第2のメインリレーSMR2は、例えば、車両のユーザによってイグニッションスイッチがオンされることでオン操作される。
【0123】
ちなみに、本実施形態において、スイッチング素子Scp,Scn、第2のメインリレーSMR2は、制御回路38によってオンオフ操作されるものとする。ただし、これに限らず、スイッチング素子Scp,Scn、第2のメインリレーSMR2は、制御回路38とは別の制御回路によって操作されてもよい。
【0124】
続いて、
図13を用いて、出力電圧調節処理について説明する。ここで、
図13は、出力電圧調節処理を含む車両制御処理の手順を示すフローチャートである。上記処理は、制御回路38によって例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0125】
この一連の処理では、まずステップS70において、車両をモータジェネレータ34のみによって走行(以下、EV走行)させるか否かを判断する。
【0126】
ステップS70において否定判断された場合には、モータジェネレータ34及びエンジン43の双方を走行動力源として走行(以下、HV走行)させると判断し、ステップS72に進む。ステップS72では、モータジェネレータ34の電源をメインバッテリ46のみとすべく、第1のメインリレーSMR1をオフ操作する。
【0127】
一方、上記ステップS70において肯定判断された場合には、EV走行させると判断し、ステップS74に進む。ステップS74では、モータジェネレータ34の電源をメインバッテリ46と、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20とすべく、第1のメインリレーSMR1をオン操作する。
【0128】
続くステップS76では、上記出力電圧調節処理を行う。この処理は、直列接続又は並列接続された第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の出力電圧Vsと、電圧センサ54によって検出された昇圧コンバータ50の出力電圧Vmとの差の絶対値が所定値γ以下となるように昇圧コンバータ50を操作する処理である。この処理は、昇圧コンバータ50の出力電圧と第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20の出力電圧との差が大きくなることで、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20と、メインバッテリ46とのうち一方から他方へと電流が流れることを回避するための処理である。なお、本実施形態において、本ステップの処理が「電圧操作手段」を構成する。
【0129】
なお、ステップS72、S76の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0130】
ちなみに、メインバッテリ46が備えられる本実施形態によれば、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を直列接続又は並列接続に切り替える場合に第1のメインリレーSMR1が一時的にオフ操作されても、メインバッテリ46を電源としてモータジェネレータ34を駆動させて車両を走行させることができる。
【0131】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果が得られるようになる。
【0132】
(4)出力電圧調節処理を行った。このため、EV走行時において、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20と、メインバッテリ46とのうち一方から他方へと電流が流れることを回避することができる。
【0133】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0134】
・「切替手段」としては、電力供給システムに備えられる複数の組電池の全てを直列接続又は並列接続させるべく、複数の組電池の接続状態を切り替えるものに限らない。例えば、組電池が3つ以上備えられる電力供給システムにおいて、複数の組電池のうち一部であってかつ2つ以上を直列接続又は並列接続させるべく、複数の組電池の接続状態を切り替えるものであってもよい。
【0135】
・「単位電池選択手段」としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、電力供給元の単位電池として、複数の単位電池の平均電圧よりも高い単位電池を選択してかつ、電力供給先の単位電池として、上記平均電圧よりも低い単位電池を選択してもよい。
【0136】
また、「単位電池選択手段」によって選択される電力供給元及び電力供給先のそれぞれの数を、固定せずに可変設定してもよい。具体的には例えば、充電処理及び放電処理の一対の処理の一周期における電力供給先の単位電池への充電電流を大きくしたいほど、電力供給元の単位電池の数と電力供給先の単位電池の数の差の絶対値が大きくなるように、これら単位電池の数を可変設定すればよい。
【0137】
・「単位電池選択手段」によって選択される電力供給元の単位電池の数としては、3つに限らず、それ以外であってもよい。また、電力供給先の単位電池の数としては、1つに限らず複数であってもよい。さらに、電力供給先の単位電池の数を電力供給元の単位電池の数よりも多くしてもよい。
【0138】
・「充放電回路」の用途としては、組電池を構成する電池セル同士の端子間電圧の均等化に限らない。例えば、組電池の温度が低い場合、電池セル間やモジュール間で充放電処理を繰り返すことで組電池の温度を上昇させる用途に用いてもよい。この場合、充放電電流が大きいほど、電池セルの内部抵抗による発熱量が大きくなって温度上昇速度が高くなる。このため、組電池の温度が低いほど、電力供給元の電池セルの数を多くしたり、電力供給先の電池セルの数を少なくしたりしてもよい。
【0139】
また、「充放電回路」の用途としては、電力供給元の単位電池から電力供給先の単位電池へと蓄電手段を介して電荷を移動させるものに限らない。例えば、蓄電手段に交流電圧が印加されるようにp側,n側スイッチング素子Spij,Snijを開閉操作する処理が行われるものであってもよい。この処理によれば、組電池の直流電圧を交流電圧に変換し、変換された交流電圧を蓄電手段を介して外部に出力することができる。
【0140】
・「組電池均等化手段」としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、3つ以上組電池を備える電力供給システムにおいては、これら組電池の中から端子間電圧が最高の組電池を高電圧バッテリとし、端子間電圧が最低の組電池を低電圧バッテリとしてバッテリ電圧均等化処理を行えばよい。ここでは、3つ以上の組電池のうち高電圧バッテリの端子間電圧及び低電圧バッテリの端子間電圧の差が閾値電圧Vth以下になったと判断されることをもって、これら組電池同士の端子間電圧の均等化が完了したと判断すればよい。
【0141】
・「充放電回路」としては、バッテリを構成する複数の電池セルCijのそれぞれの正極端子にp側スイッチング素子Spijが接続されてかつ、複数の電池セルCijのそれぞれの負極端子にn側スイッチング素子Snijが接続されるものに限らない。例えば、特願2012−231554の
図2等に示されているように、p側スイッチング素子spij及びn側スイッチング素子Snijの数を低減させることを狙った充放電回路であってもよい。
【0142】
・「処理手段」としては、上記第3の実施形態に例示したものに限らない。例えば、並列接続に切り替えるに先立ち、スイッチング素子42をオン操作しつつスイッチング素子42の抵抗値を増大させる処理を行うものであってもよい。これは、スイッチング素子42のゲート電圧を、飽和領域でスイッチング素子42を駆動させる電圧に設定することで実現できる。ここで、飽和領域とは、スイッチング素子42を構成するMOSFETのドレイン及びソース間電圧の大きさにかかわらずドレイン電流が一定となる領域である。
【0143】
また、「処理手段」としては、並列接続に切り替える毎に地絡電流抑制処理を行うものに限らない。例えば、第1のバッテリ10及び第2のバッテリ20を並列接続に切り替えるに先立ち、第1のバッテリ10の負極端子及び第2のバッテリ20の負極端子の電位差を制御回路38によって検出し、検出された電位差(対地電圧)が所定以上であると判断された場合にのみ地絡電流抑制処理を行うものであってもよい。
【0144】
・上記第3の実施形態において、第1のバッテリ10の負極端子を接地部位に接続してもよい。この場合、例えば、第2のバッテリ20の負極端子を、第21のn側スイッチング素子Sn21及びスイッチング素子42を介して接地部位に接続すればよい。
【0145】
また、上記第3の実施形態において、組電池が3つ以上備えられる場合、複数の組電池のうち負極端子が接地部位に接続された組電池以外の組電池のそれぞれの負極端子と接地部位との間を、地絡電流抑制用のスイッチング素子によって開閉する構成を採用すればよい。
【0146】
・上記第4の実施形態において、EV走行時にサブバッテリのみを用いてもよい。この場合、出力電圧調節処理は不要となる。
【0147】
・「蓄電手段」としては、コンデンサに限らず、これと同様な機能を有するものであれば、他の手段であってもよい。
【0148】
・「組電池」としては、リチウムイオン等の2次電池に限らず、例えば燃料電池であってもよい。