(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のバッテリセルと、矩形の壁部の周りに枠部が一体的に形成されてなる複数の仕切り部材とを、交互に積層し、隣接する仕切り部材にてバッテリセルを挟圧保持せしめて、一体的に組み付けてなると共に、かかる仕切り部材の壁部の少なくとも一方の面に設けた複数のリブによって、挟圧されるバッテリセルとの間に複数の空気通路を形成して、該空気通路を流通せしめられる空気によってバッテリセルが冷却されるように構成した電池パック構造において、
前記仕切り部材の各々に、その枠部の外側に位置して、前記積層方向に延びる短筒形状の通気路形成部を一体的に形成して、前記バッテリセルとの積層時において、隣接する仕切り部材の通気路形成部同士を嵌合、連結せしめることによって、該積層方向に延びる外側通気集約路を形成すると共に、各仕切り部材の前記通気路形成部の筒壁に、前記空気通路に連通する開口部をそれぞれ設け、該開口部を通じて、前記外側通気集約路に対して、各仕切り部材において形成される空気通路が連通せしめられるように構成したことを特徴とする電池パック構造。
前記外側通気集約路が、前記仕切り部材の上側の枠部に対して設けられて、各仕切り部材において形成される空気通路を流通せしめられた空気が該外側通気集約路に導かれて、外部に排出されるようになっている請求項1に記載の電池パック構造。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、ハイブリッド自動車や電気自動車が注目を受けているが、そのような自動車の電源装置等として用いるべく、特開2009−277471号公報や特開2012−238603号公報、特開2012−129043号公報等においては、バッテリセルとホルダ部材とが交互に配列された状態で拘束、一体化されてなる構造の電池パックが、明らかにされている。また、そのような電池パックとして、出力電圧を高くして、更に出力電力を大きくするために、複数のバッテリセルを直列に接続したものが、明らかにされている。而して、かかる電池パックにおいては、大電流で充放電されることとなるところから、電池パック(バッテリセル)の温度が上昇することや、極めて高温な環境でも使用されることから、その性能の低下を防止するために、バッテリセルを強制的に冷却する必要がある。
【0003】
このため、バッテリセルを冷却するための構造として、例えば、特開2012−238603号公報にも示される如く、複数のバッテリセルと複数のセパレータ(仕切り部材)とを交互に積層し、隣接するセパレータにてバッテリセルを挟圧保持せしめて、一体的に組み付けてなると共に、バッテリセルの積層方向に沿って設けた外側通気路と、バッテリセル同士の間に配置されるセパレータの壁部の少なくとも一方の面に設けた複数のスリットによって、バッテリセルとの間に形成される複数の空気通路とを有するものが、知られている。そして、そこでは、ファン等によって強制的に外側通気路に送風された冷却用の空気が、各空気通路に流通せしめられて、バッテリセルが冷却された後、かかる冷却後の空気が別の外側通気路に導かれて、外部に排出されるようになっている。
【0004】
ところで、このような構造を有する電池パックにおいては、外側通気路から冷却用の空気が漏れることによる冷却効率の低下や、バッテリセル冷却後の熱い空気が漏れ出すことによる周辺部品へ悪影響、更にはモヤツキ感等の不快感の発生を回避するために、外側通気路のシール性を確保する必要がある。そして、そのために、例えば、特開2012−129043号公報における
図5に明らかにされているようなシール材を用いたシール構造が、採用されてきているのである。
【0005】
すなわち、かかる
図5では、仕切り部材とその上下に配設される金属製のアッパーケース及びロアーケースとの間において、それぞれ、外側通気路としての吸気通路及び排気通路が形成されている。そして、アッパーケース及びロアーケースに、それぞれシール部材が貼り付けられる等して、かかるシール部材が、仕切り部材とアッパーケース及びロアーケースとの間に挟み込まれるようになっている。これによって、単に、仕切り部材とアッパーケース及びロアーケースとを突き合わせる際に不可避的に生じる隙間を閉塞せしめ、以て、吸気通路及び排気通路のシール性が確保されるようになっているのである。
【0006】
しかしながら、そのような構造の電池パックにあっては、高価なシール部材が用いられると共に、かかるシール部材を貼り付けるための工程が必要となるところから、部品点数及び工数が増加し、以て電池パックの製造コストが高騰するという問題を生じるものであった。また、仕切り部材が上下の板金部材によって挟まれるような構造において、空気漏れを惹起する隙間が生じないように、各部材の寸法バラツキを考慮して、シール部材を大きめに設計(ラップ設計)しているため、板金部材がシール部材の反力を受けて変形してしまい、板金部材の組付性が悪化するという問題をも内在するものであった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0015】
先ず、
図1には、本発明に従う構造を有する電池パックの一例が示されており、そこでは、電池パック10が、板金部材であるロアーケース12に取り付けられた状態で、アッパーケース(14)を省略した斜視説明図の形態において、示されている。そして、そこにおいて、電池パック10は、リチウムイオン電池である複数のバッテリセル16(
図7参照)と、複数の仕切り部材18とが、交互に積層され、更にその積層方向の両端に一対のブラケット20及び一対のエンドプレート22が配設されて、それらが一体的に組み付けられてなる構造を有している。具体的には、4本の金属製のバンド24、24、24、24が、仕切り部材18に設けられた4つの挿通孔26、26、26、26を貫通するように、それぞれ挿通される(
図8参照)と共に、エンドプレート22の両端から積層方向の内方へ所定の荷重がかけられた状態で、かかるバンド24が、エンドプレート22に一体的に設けられた一対のカシメ板28、28に挟まれて、かしめ固定されている。これによって、隣接する仕切り部材18、18にて、バッテリセル16が、両側から挟圧保持せしめられるようになっている。また、ロアーケース12には、ここでは、シール部材としてのシールスポンジ30が貼り付けられ、仕切り部材18とロアーケース12との間にシールスポンジ30が介装された状態で、ブラケット20が、ロアーケース12に対して、ボルト及びナットを用いて締結されている。
【0016】
そして、このような電池パック10において用いられている仕切り部材18は、単品の状態では、
図2乃至
図5に示される如き正面形態及び断面形態を呈しているのである。
【0017】
すなわち、仕切り部材18は、樹脂製であって、
図2や
図4、
図5に示される如く、その長手矩形状の壁部32の周縁には、積層方向(
図2における紙面垂直方向、
図3及び
図4における左右方向、
図5における上下方向。以下同じ。)に、換言すれば壁面に垂直な方向に、所定高さで両側に延びる枠部34が、かかる壁部32を取り囲むように、一体的に形成されている。そして、その壁部32の一方の面には、上下方向(
図2乃至
図4における上下方向、
図5における紙面垂直方向。以下同じ。)に直線状に延びる、所定高さの複数のリブ36が、それぞれ互いに平行に設けられており、それらのリブ36によって、後に詳述するように、バッテリセル16と仕切り部材18との間に、複数の空気通路37が形成されるようになっている。なお、壁部32の他方の面は、ここでは、平坦な面で構成されている。
【0018】
また、壁部32の壁面から両側に突出する形態となる枠部34は、上枠部34aと、下枠部34bと、それら上枠部34a及び下枠部34bの両端部をそれぞれ連結する側枠部34c、34cとから構成されており、その下枠部34bに対して、下方に延びるように、2つの下部バンド収容部38、38が一体的に形成されていると共に、仕切り部材18の上側の枠部である上枠部34aに対しては、上方に延びるように、2つの上部バンド収容部40が、かかる2つの下部バンド収容部38、38に対応した位置に一体的に形成されている。
【0019】
ここで、
図2及び
図3から明らかなように、各下部バンド収容部38は、バンド24の挿通孔26としての空間を内側に有する縦長角筒形状の小径部38aと、かかる小径部38aの外形と同一乃至は僅かに大きな内形を有する縦長矩形角筒形状の大径部38bとが一体的に連結されてなる、外周面段付の角筒形状を呈している。また、これと同様に、上部バンド収容部40も、バンド24の挿通孔26としての空間を内側に有する縦長矩形角筒形状の小径部40aと、かかる小径部40aの外形と同一乃至は僅かに大きな内形を有する縦長角筒形状の大径部40bとが一体的に連結されてなる、外周面段付の角筒形状を呈している。
【0020】
そして、それら2つの下部バンド収容部38、38の間においては、下枠部34bが矩形状に切り欠かれており、その切欠き部が、開口部としての空気導入口42とされている。また、2つの上部バンド収容部40、40の間においては、上枠部34aが矩形状に切り欠かれており、その切欠き部が、開口部としての空気排出口44とされている。そして、これら空気導入口42及び空気排出口44は、後述する空気通路37に対して連通せしめられることとなるのである。
【0021】
ところで、本実施形態における仕切り部材18には、
図2及び
図4に示されるように、仕切り部材18の上枠部34aに対して、積層方向に延びる短筒形状の通気路形成部46が、一体的に形成されている。即ち、そのような通気路形成部46は、2つの上部バンド収容部40、40の対向する側壁部を利用して、それらの間に一体的に形成されているのであって、具体的には、上部バンド収容部40、40の間に位置する上枠部34aからなる下壁部46bと、かかる下壁部46bの両端から上方に延びる、2つの上部バンド収容部40、40のそれぞれの大径部40b、40bが互いに対向する方向の内側の壁部でもある、側壁部46c、46cと、かかる側壁部46c、46cの上端部を連結するように形成される上壁部46aとから、一体的に構成されている。また、通気路形成部46においては、
図4から明らかなように、上壁部46aから積層方向の一方側に向かって、矩形平板形状のシール片50が延び出している。
【0022】
加えて、上枠部34aにおいて、上部バンド収容部40の両側方には、バッテリセル16の電極(図示せず)を露出させるための切欠き52が、壁部32を挟んで、2つずつ設けられている。これらは、仕切り部材18を積層させた際に、電極露出口54を形成することとなる(
図1参照)。そして、そこから、バッテリセル16の電極が露出せしめられると共に、かかる電極にバスバー等が接続されて、バッテリセル16の充放電が行なわれるようになっているのである。
【0023】
さらに、隣り合う2つの仕切り部材18、18を積層させる際には、
図6に示される如く、一方の仕切り部材18の上部バンド収容部40及び下部バンド収容部38の小径部40a、38aを、他方の仕切り部材18の上部バンド収容部40及び下部バンド収容部38の大径部40b、38bに、それぞれ差し込んで嵌合させることにより、隣り合う2つの仕切り部材18、18を容易に接続することが出来ることとなるのである。
【0024】
ここで、一方の仕切り部材18のシール片50は、その上面が、他方の仕切り部材18の通気路形成部46の上壁部46aの下面に接触するように差し込まれる。これによって、通気路形成部46、46同士の接触面積を増加させて、シール性を有利に向上させることが出来る特徴を発揮する。また、上記のようにして、小径部40a、38aと大径部40b、38bとを、それぞれ嵌合させることにより、上部バンド収容部40及び下部バンド収容部38同士の接触面積を増加させることが出来るため、上部バンド収容部40及び下部バンド収容部38の接続部分のシール性を有利に向上させることも出来る。
【0025】
ここにおいて、上述せる如き電池パック10について、その全体の構造を明らかにしつつ、併せて、冷却用の空気の流れを、
図7及び
図8に基づいて、以下に説明することとする。
【0026】
先ず、それらの図に示される電池パック10においては、上述の如き仕切り部材18が用いられて、複数のバッテリセル16と複数の仕切り部材18とが交互に積層され、隣接する仕切り部材18、18にて、バッテリセル16が挟圧、保持せしめられている。ここで、仕切り部材18の壁部32の一方の面に設けられた複数のリブ36によって、バッテリセル16と仕切り部材18との間には、複数の空気通路37が形成される。更に、バッテリセル16は、両側面(積層方向に直交する面)が仕切り部材18の壁部32に対応する長手矩形状とされた箱形形状を呈しており、隣接する仕切り部材18、18に挟圧されると同時に、バッテリセル16の周囲の面(前記した両側面ではない4つの面)が、仕切り部材18の枠部34に押し付けられている。これによって、隣接する仕切り部材18、18の枠部34、34の突合せ部の隙間から、空気通路37を流通せしめられる冷却用の空気が漏れることが有利に防止されると共に、電極露出口54も、その周囲の上枠部34aにバッテリセル16が押し付けられることによって、閉塞されているのである。
【0027】
また、仕切り部材18の下部においては、2つの下部バンド収容部38、38が脚部としてロアーケース12に当接、支持されて、それらロアーケース12と下部バンド収容部38、38とによって、外側通気路56が形成されている。ここで、ロアーケース12と下部バンド収容部38、38との間にはシールスポンジ30が所定量潰された状態で介装されて、かかる外側通気路56のシール性が確保されている。なお、外側通気路56の冷却用の空気の出入口側とは反対側(
図7における左側)の端に位置する仕切り部材18においては、2つの下部バンド収容部38、38に跨るように、第一の閉塞板58が一体的に設けられており、外側通気路56の冷却用の空気の出入口側(
図7における右側)の端に位置する仕切り部材18においては、外側通気路56に連通する筒状形状の吸気口59が、一体的に設けられている。
【0028】
そして、仕切り部材18の上部においては、隣接する仕切り部材18、18の短筒形状の通気路形成部46、46同士を、
図6に示される如く嵌合、連結せしめることによって、積層方向に延びる外側通気集約路60が、外部から仕切られた形態において形成されているのである。ここで、前述したように、隣接する仕切り部材18、18を積層させた際には、一方の仕切り部材18のシール片50の上面が、角筒形状の通気路形成部46の上壁部46aの内面(下面)に接触せしめられることによって、通気路形成部46同士の接続部分のシール性を有利に向上させることが出来ることとなる。また、通気路形成部46と一体的に形成された上部バンド収容部40において、その小径部40aと大径部40bとが、それぞれ嵌合させられていることから、側壁部46cにおける通気路形成部46同士の接続部分のシール性も向上せしめられて、外側通気集約路60全体のシール性が有利に高められているのである。
【0029】
なお、外側通気集約路60の冷却用の空気の出入口側とは反対側(
図7における左側)の端に位置する仕切り部材18においては、角筒形状の通気路形成部46を閉塞するように第二の閉塞板62が一体的に設けられており、また外側通気集約路60の冷却用の空気の出入口側(
図7における右側)の端に位置する仕切り部材18においては、外側通気集約路60に連通する筒状形状の排気口63が一体的に設けられている。
【0030】
従って、このような構造を有する電池パック10において、冷却用の空気は、
図7及び
図8に矢印にて示されるように、下から上へ、所謂Uフローの形態で流通せしめられることとなるのである。即ち、上記した吸気口59には、例えば、図示しないファン等の冷却用空気送出機構が吸気ダクト64を介して接続されており、そこから、外側通気路56に冷却用の空気が導入され、そして外側通気路56に導入された冷却用の空気は、空気導入口42を通じて、空気通路37に導入されるようになる。ここで、冷却用の空気が、各仕切り部材18に形成される複数の空気通路37を下から上へ向かってそれぞれ流通せしめられることによって、各バッテリセル16は側面から冷却されることとなるのである。その後、各バッテリセル16を冷却した後の空気は、各仕切り部材18に設けられている空気排出口44を通じて、各仕切り部材18の上部に設けられた外側通気集約路60に導入されて、集められた後、上記した排気口63に接続された排気ダクト66を介して、電池パック10の外部に排出されることとなるのである。
【0031】
このように、本実施形態に従う電池パック10にあっては、各バッテリセル16を冷却した後の空気を排気ダクト66に導くための外側通気集約路60が、各仕切り部材18に一体的に設けられた通気路形成部46によって形成されるのである。そのため、従来から採用されている構造、即ち本実施形態においても仕切り部材18の下部に外側通気路56を設けるために採用される構造に対し、かかる外側通気集約路60のシール性を確保するためのシール部材(シールスポンジ30)の採用が不要となるのであり、また、そのようなシール部材をケース(アッパーケース14)に貼り付けるための工程も不要となるところから、電池パック10の製造コストを有利に低減することが出来るのである。
【0032】
しかも、本実施形態に従う電池パック10にあっては、仕切り部材18とアッパーケース14とが接触していない。このため、電池パック10の組み付けに際して、アッパーケース14が変形して、組付性が悪化するようなことがないという特徴も発揮することとなるのである。
【0033】
以上、本発明の代表的な実施形態ついて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0034】
例えば、前述の実施形態においては、仕切り部材18の上側の枠部である上枠部34aに、通気路形成部46が一体的に設けられて、外側通気集約路60が、かかる仕切り部材18の上側の枠部の外側に形成されるようになっているが、通気路形成部を、仕切り部材18の下側の枠部である下枠部34bに一体的に形成して、そのような外側通気集約路が、かかる仕切り部材18の下側の枠部の外側に形成されるようにすることも可能である。但し、前述の実施形態の如く、冷却用の空気の流れを下側から上側へのUフローとした場合、冷却用の空気の漏れを防止して冷却効率を高めるために、冷却用の空気の吸気側(下側)の通路においては、比較的高いシール性が要求されること、及びアッパーケース(14)と仕切り部材(18)とを非接触状態として、組付性を向上させるとの観点から、外側通気集約路(60)は、少なくとも、仕切り部材(18)の上側の枠部(34a)に対して設けられることが望ましい。
【0035】
また、
図9には、本発明に従う構造を有する電池パックの他の実施形態が、
図8に対応する断面説明図の形態において、示されている。そこに示される電池パック70においては、上枠部34a及び下枠部34bに、それぞれ、通気路形成部46、72が一体的に形成されて、仕切り部材18の上側及び下側の枠部の外側に、それぞれ、外側通気集約路60、74が設けられている。下枠部34bに設けられた通気路形成部72は、先の実施形態において上枠部34aに一体的に設けられた通気路形成部46と同様な構造を有するものであって、2つの下部バンド収容部38、38の間の下枠部34bからなる上壁部72aと、かかる上壁部72aの両端から下方に延びる、2つの下部バンド収容部38、38のそれぞれの大径部38b、38bが互いに対向する方向の内側の壁部でもある、側壁部72c、72cと、かかる側壁部72c、72cの下端部を連結するように形成される下壁部72bとから構成されると共に、下壁部72bに対して、シール片76が設けられることとなる。
【0036】
そして、このような構造を有する電池パック70にあっては、外側通気集約路60、74のシール性を確保するためのシール部材(シールスポンジ30)の採用が不要となるのであり、また、そのようなシール部材をケース(ロアーケース12及びアッパーケース14)に貼り付けるための工程も不要となるところから、電池パック70の製造コストを更に有利に低減することが出来るのである。
【0037】
さらに、このような構造を有する電池パック70にあっては、外側通気集約路60、74のどちらか一方が吸気ダクト64と接続されると共に、他方が排気ダクト66と接続されることとなる。なお、本実施形態の電池パック70に関しては、前記した実施形態に係る電池パック10と同様な構造とされた部位及び部材については、
図1乃至
図8に示される実施形態のものと同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略している。
【0038】
さらに、本発明に従う構造を有する別の実施形態として、
図10に示される如く、隣接する仕切り部材18、18の通気路形成部46、46の間のシール性を更に向上させるために、通気路形成部46に薄肉で可撓性を有するシールリップ78を設けることも出来る。これにより、隣接する仕切り部材18、18を積層した際に、一方の通気路形成部46に設けられたシールリップ78が、他方の通気路形成部46に密着することとなり、通気路形成部46、46の間のシール性、換言すれば外側通気集約路60のシール性が有利に向上せしめられることとなる。
【0039】
また、前述せる如き実施形態においては、通気路形成部46と上部バンド収容部40とが側壁部46cを共有するような形態で一体的に設けられていたが、これらを、離隔した状態で、それぞれ独立して設けることも可能である。なお、前述せる如き実施形態においては、複数の仕切り部材18及びバッテリセル16を、上部バンド収容部40及び下部バンド収容部38の挿通孔26に挿通したバンド24を用いて拘束しているが、このような手法によらず、他の公知の拘束手法を用いることも出来る。その場合、上部バンド収容部40及び下部バンド収容部38に挿通孔26を設ける必要はなく、更に場合によっては、上部バンド収容部40自体を設ける必要もない。
【0040】
更にまた、通気路形成部46は、仕切り部材18に一体的に形成されるものであるが、これらは、必ずしも同一の材質からなるものでなくてもよい。例えば、仕切り部材18を樹脂製、通気路形成部46をエラストマ製として、二色成形によって、仕切り部材18と通気路形成部46とを一体的に形成することも可能である。このようにして、通気路形成部46が比較的柔軟なエラストマ製とされることで、隣接する仕切り部材18、18の通気路形成部46、46同士の密着性が向上し、通気路形成部46、46の間のシール性、換言すれば外側通気集約路60のシール性が有利に向上せしめられることとなるのである。なお、冷却用の空気の供給側となる通路については、バッテリセル16の冷却効率を高めるために、比較的高いシール性が要求されるのであるが、このように、通気路形成部をエラストマ製とすることで、かかる冷却用の空気の供給側となる通路を、本発明に従う外側通気集約路とすることも、有利に採用されるところである。
【0041】
また、上記実施形態においては、冷却用の空気を、下側から上側に向かって流れると共に、吸気と排気を、仕切り部材18及びバッテリセル16の積層方向において同一の端部側から行なうUフローとしたが、上下を逆にして、上側から下側に向かってのUフローとしてもよく、更に吸気と排気を、仕切り部材18及びバッテリセル16の積層方向において異なる端部から行なう、所謂Zフローとすることも可能である。
【0042】
さらに、上記実施形態においては、仕切り部材18の壁部32の一方の面にのみ、リブ36が設けられていたが、かかる壁部32の両面に、リブ36をそれぞれ設けるようにしてもよい。これにより、バッテリセル18の両側面に空気通路37をそれぞれ形成することが出来、両側面から、バッテリセル16を効果的に冷却することが出来る。
【0043】
なお、バッテリセル16及び仕切り部材18の積層個数については、上記実施形態の数量に限られるものではなく、要求される電池パック10の性能(出力電圧、出力電力等)に応じて、適宜変更されるものである。更に、上記実施形態においては、バッテリセル16及び仕切り部材18が一列に積層されているが、必要に応じて、これらを複数列に積層、配置して、直列又は並列に接続して用いることも可能である。
【0044】
また、例示の実施形態においては、バッテリセル16としてリチウムイオン電池を用いたが、これに代えて、ニッケル水素電池等の公知の二次電池を適宜用いることも、可能である。その他、バッテリセル16として、ニッケル電池等の一次電池を用いてもよいし、また、電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることも、可能である。
【0045】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。