特許 5960085 かご台車

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5960085

(24)【登録日】2016年7月1日

(45)【発行日】2016年8月2日

(54)【発明の名称】かご台車

(51)【国際特許分類】

   B62B 3/02 20060101AFI20160719BHJP

【ＦＩ】

   B62B3/02 B

【請求項の数】3

【全頁数】11

(21)【出願番号】特願2013-73751(P2013-73751)

(22)【出願日】2013年3月29日

(65)【公開番号】特開2014-198492(P2014-198492A)

(43)【公開日】2014年10月23日

【審査請求日】2015年10月13日

(73)【特許権者】

【識別番号】500295298

【氏名又は名称】株式会社サイバーシステムズ

(74)【代理人】

【識別番号】100086759

【弁理士】

【氏名又は名称】渡邊 喜平

(74)【代理人】

【識別番号】100109128

【弁理士】

【氏名又は名称】岡野 功

(72)【発明者】

【氏名】井上 保彦

【審査官】 森本 哲也

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１４−４９０９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−１９２９１６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１１−１８３９３２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ６２Ｂ １／００− ５／０６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

後枠、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠、及び、前記側枠の折り畳み状態を維持する施錠手段を備えたかご台車であって、
前記施錠手段が、
前記側枠が折り畳まれると、前記側枠の筒状部材に形成された開口部に係入するロック部材と、
このロック部材を、前記開口部の方向に付勢する付勢手段と、
係入した前記ロック部材を前記開口部と反対の方向に移動させ、前記ロック部材の係入を解除する錠と、
前記後枠と前記折り畳み可能な側枠とを連結させ、前記ロック部材、付勢手段及び錠を収容する一対のカバー体と
を有することを特徴とするかご台車。

【請求項2】

前記カバー体が、左右両側に湾曲部を有する板状部材であり、前記一対のカバー体の対向する前記湾曲部が前記後枠の筒状部材及び折り畳み可能な前記側枠の筒状部材を挟んだ状態で、前記施錠手段が取り付けられたことを特徴とする請求項１に記載のかご台車。

【請求項3】

前記施錠手段が、折り畳み可能な側枠を回動可能に取り付けるヒンジとして用いられることを特徴とする請求項１又は２に記載のかご台車。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、かご台車に関し、特に、折畳み式のかご台車に、側枠が折り畳まれた状態を維持する施錠手段を設けて、かご台車の使い回しの防止などを図ることができるかご台車に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、トラック輸送などにおいて、かご台車が広く用いられており、近年では、保管する際などの省スペース化を図るために、折畳み式のかご台車が普及している。
この折畳み式のかご台車は、通常、底板、後枠、一対の側枠、及び、四つのキャスターなどを有しており、底板及び一方の側枠が折り畳まれる構成としてある。折り畳まれたかご台車は、上方から見るとほぼＬ字形状となり、容易に倒れない安定性を有している。さらに、折畳み式のかご台車は、たとえば、第一のかご台車の他方の側枠と第二のかご台車の他方の側枠とがほぼ接触する状態、かつ、第一のかご台車の折り畳まれた一方の側枠と第二のかご台車の後枠とがほぼ接触する状態で保管などを行うことができ、折り畳むことができないかご台車と比べると、大幅な省スペース化を図ることができる。

【0003】

また、本発明に関連する様々な技術が提案されており、たとえば、特許文献１には、保管する際などにおいて、底板及び可動側枠を、後部枠と重なるように順に折り畳む運搬用かご台車の技術が開示されている。

【0004】

また、特許文献２には、前端壁、後端壁、開閉側壁、施錠装置、折曲可能壁、底壁及び車輪を備え、折り畳む際に、前端壁と後端壁が平行な状態で接近し折りたたまれる折りたたみ可能な荷物運搬用有輪パレットの技術が開示されている。
さらに、この特許文献には、折りたたんだ状態を維持するための引掛具が記載されている。

【0005】

また、特許文献３には、左右の側板部、内側に折り曲げ可能な背板部および扉部と、付け外し又は折り畳み可能な床板と、前記床板の左右両端部を載置して位置決めされる左右一対の台車と、前記床板を取り外し又は折り畳んで、前記背板部を内側に折り曲げ、前記左右一対の台車を中央部に引き寄せて全体を折り畳む際に、前記扉部を２７０°開いて前記側板部外側に係止する係止具とを有するロールボックスパレットの技術が開示されている。
さらに、この特許文献には、左右の扉部はそれぞれ施錠部材を有し、これらの施錠部材は、前記左右の扉部を閉じて相互に重ね合わせると嵌合し合うそれぞれの嵌合部と、前記施錠部材の前記重なりが外れないように前記施錠部材間をロックするロック部材とを有するロールボックスパレットの技術も開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【特許文献1】特開２０１１−１８３９３２号公報

【特許文献2】実開平５−７８９４号公報

【特許文献3】特開平８−２１７０７３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

ところで、スーパーなどに食料品などを納入する各業者は、通常、自前で用意したかご台車を使用しており、自社のかご台車の数量などを管理している。また、鶏卵などの輸送に用いるかご台車については、定期的に消毒が必要であることから、消毒日などをも管理している。
たとえば、納入先などによっては、かご台車に食料品を積んだ状態で納品し、後日新たに納品する際、食料品が降ろされ折り畳まれたかご台車を回収する場合がある。このようにすると、スーパーなどの納入先の作業者は、受入れ場所から売り場までかご台車を移動させ、食料品を降ろした後、空になったかご台車をかご台車置き場に移動させ、さらに、かご台車を折り畳み、上述したように、複数のかご台車を重ねるようにして保管することができる。
すなわち、このシステムは、納品する業者にとっては、かご台車からの荷降ろし作業を回避でき、納入先においては、省スペース化などを図ることができ、両者にとって有益なシステムである。

【0008】

しかしながら、かご台車置き場などのスペースに余裕がない納入先によっては、各業者のかご台車を使い回しする場合がある。すなわち、Ａ社の空のかご台車（識別用のマークなどが付されたかご台車）が、かご台車置き場の奥側にあり、かつ、かご台車置き場のスペースに余裕がない場合には、Ａ社の作業員は、手前のＢ社のかご台車を回収することができる。
ただし、Ｂ社のかご台車が、鶏卵などの輸送に用いるかご台車の場合、Ａ社の作業員が、先にＢ社のかご台車（鶏卵などの輸送に用いる消毒済みのかご台車）を回収すると、後から回収に来たＢ社の作業員は、Ａ社やＣ社などの消毒していないかご台車を回収しても使用できないので、回収しないでもどり、予備の消毒済みのかご台車を用いて、次回納品することとなる。
すなわち、Ｂ社にとっては、消毒済みのかご台車と消毒を必要としない通常のかご台車とを区別しないで使い回しされると、不足、あるいは、紛失した分のかご台車を補充しなければならず、経済的に大きな負担となることから、効果的な対策を講じる必要があった。

【0009】

また、上述した場合とは異なるが、たとえば、回収できるかご台車の台数が２台なのに、３台以上のかご台車を回収しようとする不心得な業者に対しては、かご台車の盗難防止対策を施すことも要望されていた。
さらに、上記の使い回しや盗難の防止対策として、市販のチェーン錠やワイヤー錠などを用いることも考えられるが、納入先の作業者が、空になったかご台車を折り畳む場合などにおいては、市販のチェーン錠やワイヤー錠などをかけるといった面倒な作業を伴うことなく、かご台車の盗難防止対策を施すことが要望されていた。
なお、上述した特許文献１〜３の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記課題を解決することはできなかった。

【0010】

本発明は、上記事情に鑑み提案されたものであり、特殊なかご台車に対して使い回しを効果的に防止し、あるいは、かご台車の盗難などを防止することによって、経済的な負担を回避できるかご台車の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

上記目的を達成するため、本発明のかご台車は、後枠、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠、及び、前記側枠の折り畳み状態を維持する施錠手段を備えたかご台車であって、前記施錠手段が、前記側枠が折り畳まれると、前記側枠の筒状部材に形成された開口部に係入するロック部材と、このロック部材を、前記開口部の方向に付勢する付勢手段と、係入した前記ロック部材を前記開口部と反対の方向に移動させ、前記ロック部材の係入を解除する錠と、前記後枠と前記折り畳み可能な側枠とを連結させ、前記ロック部材、付勢手段及び錠を収容する一対のカバー体とを有する構成としてある。

【発明の効果】

【0012】

本発明のかご台車によれば、錠と対応する鍵がなければ、側枠の折り畳み状態を解除できないので、他社の作業者が勝手にかご台車を利用するといった不具合を回避することができ、消毒などを必要とする特殊なかご台車に対して使い回しを効果的に防止し、また、かご台車の盗難などをも防止することができる。
さらに、回動可能な側枠が折り畳まれると、自動的に施錠されるので、従来と同様に折り畳むことができ、折り畳む際、余分な作業が発生するといった不具合を回避することができる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】図１は、本発明の実施形態にかかるかご台車を説明するための概略斜視図を示している。

【図2】図２は、本発明の実施形態にかかるかご台車の施錠手段の概略図であり、（ａ）は上面図を示しており、（ｂ）は正面図を示している。

【図3】図３は、本発明の実施形態にかかるかご台車の施錠手段の内部構造を説明するための要部の概略図であり、（ａ）は分解図を示しており、（ｂ）はＡ−Ａ矢視図を示している。

【図4】図４は、本発明の実施形態にかかるかご台車の施錠手段を開ける際の内部構造を説明するための要部の概略分解図を示している。

【発明を実施するための形態】

【0014】

［実施形態］
図１は、本発明の実施形態にかかるかご台車を説明するための概略斜視図を示している。
図１において、本実施形態のかご台車１は、折り畳み可能な底板１１、後枠１２、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠（すなわち、本実施形態では、固定側枠１３と可動側枠１４）、四つのキャスター１５、及び、可動側枠１４の折り畳み状態を維持する施錠手段２などを備えた構成としてある。
また、後枠１２、固定側枠１３及び可動側枠１４は、ほぼコ字形状の筒状部材、並びに、格子状に配設された棒状部材及び細長い板状部材などを有している。

【0015】

かご台車１は、図１に示す状態で使用され、使用されないときは、図示してないが、底板１１及び可動側枠１４が折り畳まれる。
すなわち、かご台車１は、底板１１が、後枠１２の側の端部付近を回動中心として、後枠１２と重なるように折り畳まれ、次に、可動側枠１４が、施錠手段２及びヒンジ１４１を回動中心として、底板１１と重なるように折り畳まれる。これにより、折り畳まれたかご台車１は、上方から見るとほぼＬ字形状となり、容易に倒れない安定性を有するとともに、上述したように、省スペース化を図ることができる。
また、後枠１２と固定側枠１３とは、ほぼ直角となる状態で、連結金具１３１によって連結されている。

【0016】

図２は、本発明の実施形態にかかるかご台車の施錠手段の概略図であり、（ａ）は上面図を示しており、（ｂ）は正面図を示している。
また、図３は、本発明の実施形態にかかるかご台車の施錠手段の内部構造を説明するための要部の概略図であり、（ａ）は分解図を示しており、（ｂ）はＡ−Ａ矢視図を示している。
図２、３において、施錠手段２は、ロック部材２１、引っ張りばね２２、錠２３、基部２４、及び、カバー体２５、２６などを有している。
なお、図３（ａ）は、カバー体２６を取り外し、カバー体２６の側からカバー体２５などを見た概略分解図である。また、図２、３において、施錠手段２は、施錠された状態である。

【0017】

ロック部材２１は、ほぼ矩形状の金属板であり、上部の可動側枠１４の側に、折り曲げ部２１０がカバー体２６の側に突き出るように成形されており、この折り曲げ部２１０の端部側が、係入部２１１である。また、ロック部材２１は、下部の後枠１２の側に、被係合部２１２が下方に突き出るように成形されており、この被係合部２１２は、後述するように、錠２３の係合部材２３１と係合する。また、下部のほぼ中央に、ばね取付部２１３がカバー体２６の側に突き出るように成形されており、引っ張りばね２２の一方の端部がばね取付部２１３に取り付けられる。

【0018】

さらに、ロック部材２１は、水平方向に沿ってガイド溝２１４が形成されており、ガイド溝２１４に一対のガイド部２４８が係入することによって、ロック部材２１は、水平方向にスムースに往復移動できるようにガイドされる。
なお、ガイド溝２１４は、ガイド部２４８が貫入される一対の幅広の部分（図示せず）を有しており、この幅広の部分を介して、ガイド溝２１４に一対のガイド部２４８を係入させることができる。

【0019】

上記ロック部材２１は、後述するように、可動側枠１４が折り畳まれると、可動側枠１４の筒状部材に形成された係入部用開口部１４２に係入部２１１が係入し、可動側枠１４が回動しないようにロックする。
すなわち、可動側枠１４が折り畳まれ、係入部用開口部１４２に係入部２１１が係入すると、後述するように、鍵を用いてこの係入状態を解除しないかぎり、折り畳まれた可動側枠１４を開く方向に回動させることはできない。

【0020】

引っ張りばね２２は、ロック部材２１を可動側枠１４の係入部用開口部１４２の方向に付勢する付勢手段としてある。この引っ張りばね２２は、一端がばね取付部２１３に取り付けられ、他端が基部２４のばね取付部２４７に取り付けられる。
これにより、作業者が可動側枠１４を折り畳むために回動させ、係入部用開口部１４２が係入部２１１と対応する位置にまで回動すると、付勢されたロック部材２１は、可動側枠１４の方向に自動的に移動し、係入部２１１が係入部用開口部１４２に係入し、この係入状態が維持される。

【0021】

錠２３は、係入部２１１が係入部用開口部１４２に係入したロック部材２１を、可動側枠１４の係入部用開口部１４２と反対の方向（すなわち、本実施形態では、後枠１２の方向）に移動させ、ロック部材２１の係入部２１１の係入を解除する。
すなわち、錠２３は、カバー体２５に取り付けられており、錠２３の鍵（図示せず）と連動する係合部材２３１を有している。作業者は、可動側枠１４の折り畳まれた状態を解除する際、図２（ｂ）に示す錠２３に鍵を挿入し、時計回り方向に回すと、図４に示すように、係合部材２３１は、反時計回り方向に回転する。そして、係合部材２３１が被係合部２１２を押すことにより、ロック部材２１は、後枠１２の方向に移動し、係入部２１１が係入部用開口部１４２から抜け出る。この状態で、可動側枠１４を開くと、鍵を離しても、係入部２１１は、可動側枠１４の筒状部材の表面（係入部用開口部１４２と対応しない表面）と当接した状態となり、作業者は、自由に可動側枠１４を開くことができる。続いて、作業者は、錠２３に鍵を挿入し回した動作を戻ることによって、錠２３から鍵を抜き取る。

【0022】

基部２４は、ほぼ矩形状の金属板であり、上部に、折り曲げられた上板２４１がカバー体２６の側に突き出るように成形されており、下部に、折り曲げられた下板２４２がカバー体２６の側に突き出るように成形されており、後枠１２の側の端部に、折り曲げられた側板２４３がカバー体２６の側に突き出るように成形されている。
側板２４３は、上部及び下部にねじ２４９を締め込むための雌ねじが切られており、締め込まれたねじ２４９の先端が、後枠１２の筒状部材に形成されたねじ用孔１２１に係入する。これにより、可動側枠１４が折り畳まれた際、係入部２１１と係入部用開口部１４２とが対応するように、後枠１２に対する施錠手段２の角度位置及び高さ位置を位置決めする。

【0023】

基部２４は、錠２３が装入される錠用孔２４４、係合部材２３１の先端部分が入る係合部材用開口部２４５、及び、ボルト２５４が挿入されるボルト用孔２４６が成形されている。また、可動側枠１４の側の端部には、ばね取付部２４７がカバー体２６の側に突き出るように成形されており、引っ張りばね２２の他方の端部がばね取付部２４７に取り付けられる。さらに、ロック部材２１のガイド溝２１４と対応する位置には、一対のガイド部２４８がカバー体２６の側に突き出るように成形されており、一対のガイド部２４８は、ロック部材２１のガイド溝２１４に係入し、ロック部材２１が水平方向にスムースに往復移動できるようにガイドする。

【0024】

なお、本実施形態では、基部２４を設けて、基部２４にロック部材２１及び引っ張りばね２２などを取り付けているが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、基部２４を設けずカバー体２５に、上板２４１、下板２４２、側板２４３、ばね取付部２４７及びガイド部２４８などを形成してもよい。
また、ロック部材２１をガイドする構造は、上記の構造に限定されるものではなく、図示してないが、他の構造でもよい。

【0025】

カバー体２５、２６は、ほぼ矩形状の金属板であり、上部に、内側に折り曲げられた上板２５２、２６２が成形されており、下部に、内側に折り曲げられた下板２５３及びカバー体２６の下板（図示せず）が成形されている。また、カバー体２５、２６は、一方の対角線上の両側付近に、ボルト２５４が挿入される一対のボルト用孔（図示せず）がそれぞれ形成されており、さらに、カバー体２５には、錠用孔２５５が形成されている。
このカバー体２５、２６は、後枠１２と折り畳み可能な可動側枠１４とを連結させ、ロック部材２１、引っ張りばね２２、錠２３及び基部２４を収容する。

【0026】

ここで、好ましくは、カバー体２５は、左右両側に湾曲部２５１を有する板状部材であり、カバー体２６も、左右両側に湾曲部２６１を有する板状部材であり、図２に示すカバー体２５、２６の左側の対向する湾曲部２５１、２６１が折り畳み可能な可動側枠１４の筒状部材を回動可能に挟み、右側の対向する湾曲部２５１、２６１が後枠１２の筒状部材を固定するように挟み、この状態で、施錠手段２が取り付けられるとよい。
このようにすると、施錠手段２を後枠１２及び可動側枠１４に容易に取り付けることができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。

【0027】

また、好ましくは、施錠手段２が、折り畳み可能な可動側枠１４を回動可能に取り付けるヒンジとして用いられるとよい。すなわち、本実施形態のかご台車１は、三つの連結金具１３１と、一つの施錠手段２及び二つのヒンジ１４１とが設けられており、施錠手段２は、ヒンジ１４１としての機能をも有している。このようにすると、一つのヒンジ１４１の代わりに、施錠手段２を設けることができ、一つのヒンジ１４１に相当する製造原価のコストダウンを図ることができる。

【0028】

なお、既存のかご台車（すなわち、施錠手段２を備えていないかご台車）に対して、後枠１２の筒状部材へのねじ用孔１２１の追加工、及び、可動側枠１４の筒状部材への係入部用開口部１４２の追加工などを施すことによって、施錠手段２を容易に取り付けることができる。したがって、施錠手段２は、かご台車用の施錠手段の発明としても有益である。

【0029】

次に、施錠手段２の組立手順などについて説明する。
施錠手段２は、まず、カバー体２５に、基部２４が位置決めされた状態で載置され、錠２３が取り付けられ、さらに、係合部材２３１が螺着される。
次に、ガイド部２４８をガイド溝２１４に係入しつつ、ロック部材２１を基部２４に取り付け、続いて、引っ張りばね２２を取り付ける。

【0030】

次に、錠２３などが取り付けられたカバー体２５を、各湾曲部２５１が後枠１２及び可動側枠１４の筒状部材と接触するように、位置決めし、続いて、ねじ２４９を締め込み、ねじ２４９の先端部をねじ用孔１２１に係入させる。
次に、カバー体２６を、各湾曲部２６１が後枠１２及び可動側枠１４の筒状部材と接触するように、位置決めし、続いて、ボルト２５４及びナット２６３を用いて、カバー体２５とカバー体２６とを螺着する。そして、施錠手段２が分解されないように、ボルト２５４のねじ部先端とナット２６３とを溶接などによって接合する。

【0031】

また、後枠１２は、施錠手段２に対して固定され、可動側枠１４は、施錠手段２に対して、回動可能に取り付けられる。したがって、通常、後枠１２の側のボルト２５４及びナット２６３は、湾曲部２５１、２６１がほぼ全面的に後枠１２の筒状部材と接触するように強く締め付けられ、また、可動側枠１４の側のボルト２５４及びナット２６３は、湾曲部２５１、２６１と可動側枠１４の筒状部材との間に微小隙間（たとえば、０．数ｍｍの隙間）が形成されるように弱く締め付けられる。このようにすると、可動側枠１４をスムースに回動させることができる。

【0032】

次に、上記構成のかご台車１の使用方法や動作などについて説明する。
Ｂ社の作業者は、図１に示す使用可能な状態のかご台車１に、たとえば、鶏卵を積み込み、スーパーなどの納入先に搬送する。このとき、鶏卵はかご台車１に積み込まれた状態にあり、納入先では、このかご台車１を店内に移動し、客は、かご台車１に積まれた鶏卵をかごに入れる。なお、Ｂ社は、かご台車１に対して定期的に消毒処理などを施している。

【0033】

鶏卵が売り切れそうになると、納入先では、次の鶏卵が積み込まれたかご台車１を店内に移動し、空になったかご台車１をかご台車置き場に移動させる。
次に、納入先の作業者は、かご台車１の底板１１を後枠１２と重なるように折り畳み、続いて、可動側枠１４を底板１１と重なるように折り畳み、他社のかご台車とともに保管する。

【0034】

ここで、かご台車１は、可動側枠１４が折り畳まれると、図３に示すように、引っ張りばね２２によって付勢されたロック部材２１が自動的に可動側枠１４の側に移動し、係入部２１１が可動側枠１４の係入部用開口部１４２に係入する。これにより、かご台車１は、可動側枠１４が折り畳まれた状態が維持され、いわゆる鍵をかけた状態となる。また、納入先の作業者は、他社のかご台車と全く同じ動作で、底板１１と可動側枠１４を折り畳むことができるので、かご台車１を採用することによって、納入先の作業者に余計な作業が発生するといった不具合を回避することができる。
なお、折り畳まれた他社のかご台車及びかご台車１は、上方から見るとほぼＬ字形状となり、重ねた状態でかご台車置き場に保管される。

【0035】

次に、Ａ社の作業者は、かご台車を回収する際、仮に、Ｂ社のかご台車１がかご台車置き場の先頭にあったとしても、かご台車１に施錠手段２が設けられていることを知っているので、かご台車１をわきに寄せて、次のかご台車を回収する。すなわち、Ｂ社にとっては、消毒処理を必要とするかご台車１を、通常のかご台車の使い回しのシステムから効果的に保護することができ、不足、あるいは、紛失した分のかご台車を補充しなくてもすむので、経済的に大きな負担を回避することができる。

【0036】

次に、Ｂ社の作業者は、かご台車１を回収する際、かご台車１がかご台車置き場の先頭にある場合、かご台車１を容易に回収でき、仮に、かご台車１がかご台車置き場の先頭にない場合には、他社のかご台車をわきに寄せて、かご台車１を回収する。
そして、Ｂ社の作業者は、回収してきたかご台車１に鶏卵を積み込む際、施錠手段２の鍵穴に鍵を差し込み、図２（ｂ）において時計回り方向に回すと、図４に示すように、係合部材２３１が反時計回り方向に回転し、被係合部２１２と接触し、ロック部材２１を後枠１２の方向に移動させ、係入部２１１が係入部用開口部１４２から抜け出る。すなわち、鍵が開けられた状態となり、作業者は、可動側枠１４及び底板１１を開いて、かご台車１を使用可能な状態とすることができる。
なお、鍵は、係入部２１１が係入部用開口部１４２から抜け出た後、錠２３から取り外される。

【0037】

以上説明したように、本実施形態のかご台車１によれば、錠２３と対応する鍵がなければ、可動側枠１４の折り畳み状態を解除できないので、他社の作業者が勝手にかご台車１を利用するといった不具合を回避することができる。すなわち、消毒などを必要とする特殊なかご台車１に対して使い回しを効果的に防止し、また、かご台車１の盗難などをも防止することができる。
また、かご台車１は、回動可能な可動側枠１４が折り畳まれると、自動的に施錠されるので、従来と同様に折り畳むことができ、折り畳む際、余分な作業が発生するといった不具合を回避することができる。

【0038】

以上、本発明のかご台車について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るかご台車は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、折り畳み可能な底板１１を使用しているが、これに限定されるものではなく、取り外し可能な底板を使用してもよい。
また、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠として、固定側枠１３と可動側枠１４を使用しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、固定側枠１３の代わりに、折り畳み可能な側枠を使用してもよい。

【0039】

さらに、上述したかご台車１は、鶏卵の輸送などに用いられるために消毒などを必要とする特殊なかご台車としてあるが、通常のかご台車の使い回しのシステムから効果的に保護するための要件は、消毒に限定されるものではなく、様々な要件であってもよい。

【符号の説明】

【0040】

１ かご台車
２ 施錠手段
１１ 底板
１２ 後枠
１３ 固定側枠
１４ 可動側枠
１５ キャスター
２１ ロック部材
２２ 引っ張りばね
２３ 錠
２４ 基部
２５ カバー体
２６ カバー体
１２１ ねじ用孔
１３１ 連結金具
１４１ ヒンジ
１４２ 係入部用開口部
２１０ 折り曲げ部
２１１ 係入部
２１２ 被係合部
２１３ ばね取付部
２１４ ガイド溝
２３１ 係合部材
２４１ 上板
２４２ 下板
２４３ 側板
２２４ 錠用孔
２４５ 係合部材用開口部
２４６ ボルト用孔
２４７ ばね取付部
２４８ ガイド部
２４９ ねじ
２５１ 湾曲部
２５２ 上板
２５３ 下板
２５４ ボルト
２５５ 錠用孔
２６１ 湾曲部
２６２ 上板
２６３ ナット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】