【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用のインパクトビーム10の斜視図で、
図2はインパクトビーム10の裏面側すなわち接合部18側から見た斜視図である。また、
図3は、
図1におけるIII −III 矢視部分であるパイプ部12の拡大断面図で、
図4は、
図1におけるIV−IV矢視部分である取付部14の拡大断面図で、車両の取付対象20に固定された状態である。このインパクトビーム10はパイプ状補強部材に相当し、例えば
図5に示すように車両用サイドドア22の内部に配設されて、側面衝突時等に車両の外側から加えられる衝撃荷重で車両用サイドドア22が車室内側へ変形することを抑制するためのものである。車両用サイドドア22は、インナーパネル24およびアウターパネル26を備えており、インパクトビーム10は、窓ガラス28が一点鎖線で示すように下げられた場合でも干渉しないように、アウターパネル26側に車両の前後方向(
図5の紙面の表裏方向)に沿って配設される。
図4の取付対象20は、例えば補強すべきアウターパネル26そのもの、或いはそのアウターパネル26が取り付けられるドアフレームなどである。
【0020】
インパクトビーム10は、一枚の金属板材に曲げ加工、絞り加工等のプレス加工を行って一体に成形したもので、金属板材を丸めて閉じ合わせた円筒形状のパイプ部12を主体として構成されている。パイプ部12の閉じ合わせ部分では、金属板材の側端部が
図3に示すように内側へ曲げられて突き合わされているとともに、アーク溶接による接合部18によって長手方向に連続的にまたは断続的に接合されている。
図5の車両用サイドドア22に対しては、その接合部18側すなわちパイプ部12の閉じ合わせ側が車両の外側向きになる姿勢で配設される。
【0021】
上記パイプ部12の長手方向の両端には、それぞれその長手方向に延び出すように一対の取付部14、16がパイプ部12と一体に設けられている。これ等の取付部14、16は、パイプ部12を挟んで対称的に構成されており、それぞれ中央に締結穴30が設けられた円板形状の平坦な取付座32を備えている。取付座32は、パイプ部12の中心線Oと平行で且つ中心線Oと接合部18とを結ぶ直線に対して略直角になる姿勢、すなわち
図4において略左右方向になる姿勢で設けられている。また、その接合部18側の面すなわち
図4における下側の面が着座面32fとされている。すなわち、その着座面32fが取付対象20に面接触するように密着させられた状態で、締結ねじ34が締結穴30内を挿通させられて取付対象20のナット36に螺合されることにより、インパクトビーム10が取付対象20に強固に一体的に固定される。
【0022】
取付座32はまた、パイプ部12が取付対象20等と干渉することなく取付対象20に固定できるように、パイプ部12側を含む周辺部から半円以上の部分円筒形状の筒状部38を介して着座面32f側、すなわち接合部18側へ突き出すように設けられている。筒状部38は略半円筒形状で、プレスによる絞り加工等によって成形されており、一定の径寸法でも良いが、先端側すなわち取付座32側程小径となる截頭円錐形状とすることもできる。また、パイプ部12の中心線Oから着座面32fまでの寸法tは、中心線Oからパイプ部12の外周面までの寸法、すなわちパイプ部12の半径寸法よりも大きく、着座面32fがパイプ部12の外周面よりも外側、この実施例では接合部18よりも外側へ突き出している。
【0023】
一方、取付部14、16の上記筒状部38の両側に位置する両側端部には、筒状部38と同じく着座面32f側へ突き出すように一対の側部フランジ40、42が設けられている。これ等の側部フランジ40、42は、着座面32f側すなわち
図4における下方側へ略直角に折り曲げられているとともに、その突出寸法は筒状部38よりも低く、取付対象20との間に空間が形成される。また、筒状部38の両側に位置する部分では、パイプ部12の中心線Oと略平行に直線状に設けられているが、パイプ部12側へ向かうに従って徐々に丸められ、そのままパイプ部12へ滑らかに移行するように構成されている。そして、このように筒状部38の両側に側部フランジ40、42が設けられることにより、パイプ部12の中心線Oに対して直角な断面である
図4において、前記取付座32の両側には、筒状部38および側部フランジ40、42によって着座面32fと反対側へU字状に凹んだ回曲部44、46が形成される。
【0024】
このような本実施例のインパクトビーム10においては、取付座32が筒状部38を介して着座面32f側へ突き出すように設けられているため、取付対象20に対してその着座面32fが密着するように配設して強固に固定することができる。また、筒状部38の両側に位置する両側端部にはそれぞれ側部フランジ40、42が設けられており、パイプ部12の中心線Oに対して直角な断面において取付座32の両側には、それ等の筒状部38および側部フランジ40、42によって着座面32fと反対側へU字状に凹んだ回曲部44、46が形成されているため、パイプ部12の長手方向の成分を有する外力に対する剛性が高められ、取付部14、16の座屈が抑制されてパイプ部12による補強性能が安定して得られるようになる。
【0025】
また、取付座32がパイプ部12の中心線Oと平行で且つ中心線Oと接合部18とを結ぶ直線に対して略直角になる姿勢で設けられており、その接合部18側が車両の外側向きになる姿勢で車両用サイドドア22等に配設されるため、車両の外側から加えられる衝撃荷重に対してパイプ部12による補強性能が適切に得られる。
【0026】
また、取付座32が円板形状で、筒状部38が半円以上の部分円筒形状を成しているため、その筒状部38の両側の側部フランジ40、42と相まって取付部14、16の剛性が適切に高められる。
【0027】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。