特許第5960122号(P5960122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960122
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】マルチチャンネル高周波発生器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/20 20060101AFI20160719BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20160719BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20160719BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20160719BHJP
   H03G 3/20 20060101ALI20160719BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H03F3/20
   H01L21/302 101G
   H01L21/31 C
   H03F3/68 Z
   H03G3/20 B
   H05H1/46 R
【請求項の数】29
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-502571(P2013-502571)
(86)(22)【出願日】2011年1月17日
(65)【公表番号】特表2013-528969(P2013-528969A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】US2011021447
(87)【国際公開番号】WO2011123184
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2013年3月13日
【審判番号】不服2015-6019(P2015-6019/J1)
【審判請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】12/760,771
(32)【優先日】2010年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/320,450
(32)【優先日】2010年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フィスク,ラリー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】サピオ,アドリアン
【合議体】
【審判長】 森川 幸俊
【審判官】 関谷 隆一
【審判官】 井上 信一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−532028(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1750366(EP,A2)
【文献】 米国特許第5155547(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F3/21,3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールであって、
N個の高周波チャンネルをそれぞれ生成するN個の電力増幅器と、
M個のドライバ制御信号にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器を駆動するM個のドライバと、
交流(AC)入力電力を受電し、L個のレール電圧設定値にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器へL個のレール電圧を入力する電力供給モジュールと、
上記L個のレール電圧設定値およびM個のドライバ制御信号を設定する制御モジュールとを備え、
Nは1より大きい整数であり、LおよびMは0より大きい整数であり、かつN以下であることを特徴とするマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項2】
L、M、およびNは、2に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項3】
LおよびMの一方が2に等しく、LおよびMのもう一方が1に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項4】
N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記N個の反射係数にそれぞれ基づき、上記M個のドライバ制御信号を決定し、
MはNに等しいことを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項5】
上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールと、
分配モジュールとをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記N個の反射係数のうちの最大のものに基づき、一つのドライバ制御信号を決定し、
Mは1に等しく、上記一つのドライバ制御信号に基づき、一つのドライバが一つのドライバ信号を生成し、
上記分配モジュールは、上記一つのドライバ信号からN個のドライバ信号を生成し、上記N個のドライバ信号にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器を駆動することを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項6】
上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の実効的な入射電力およびN個の反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記N個の実効的な入射電力にそれぞれ基づき、上記L個のレール電圧設定値を設定し、
LはNに等しいことを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項7】
上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の実効的な入射電力をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールと、
上記N個の実効的な入射電力に基づき、上記マルチチャンネル高周波発生器モジュールの全入射電力を決定するフィードバックモジュールとをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記全入射電力に基づき、上記L個のレール電圧設定値を設定することを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項8】
上記パラメータ決定モジュールは、上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をさらにそれぞれ決定し、
上記フィードバックモジュールは、上記N個の実効的な入射電力と上記N個の反射係数の関数に基づき、上記全入射電力を決定することを特徴とする、請求項7に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項9】
上記フィードバックモジュールは、上記全入射電力を、上記N個の実効的な入射電力の平均に等しく設定することを特徴とする、請求項7に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項10】
上記パラメータ決定モジュールは、上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をさらにそれぞれ決定し、
上記フィードバックモジュールは、上記N個の高周波チャンネルのうちの一つの反射係数の第一の絶対値が、上記N個の高周波チャンネルのうちの別の反射係数の第二の絶対値に比べて大きいとき、上記全入射電力を、上記N個の高周波チャンネルのうちの一つと関連するN個の入射電力のうちの一つと等しく設定することを特徴とする、請求項7に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項11】
上記パラメータ決定モジュールは、上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をさらにそれぞれ決定し、
上記フィードバックモジュールは、上記全入射電力を、
【数1】
に等しく設定し、
Nは2に等しく、ΓNは上記N個の反射係数のうちのN番目のものであり、PFwdNは上記N個の実効的な入射電力のうちのN番目のものであることを特徴とする、請求項7
に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項12】
上記パラメータ決定モジュールは、上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をさらにそれぞれ決定し、
上記フィードバックモジュールは、上記全入射電力を、
【数2】
に等しく設定し、
Nは2に等しく、ΓNは上記N個の反射係数のうちのN番目のものであり、PFwdは上記N個の実効的な入射電力の内のN番目のものであることを特徴とする、請求項7に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項13】
マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールであって、
N個の高周波チャンネルをそれぞれ生成するN個の電力増幅器と、
M個のドライバ制御信号にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器を駆動するM個のドライバと、
交流(AC)入力電力を受電し、L個のレール電圧設定値にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器へL個のレール電圧を入力する電力供給モジュールと、
上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の実効的な入射電力をそれぞれ決定し、かつ、上記N個の高周波チャンネルに応じたN個の反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールと、
上記N個の実効的な入射電力および上記N個の反射係数に基づき、上記マルチチャンネル高周波発生器モジュールの全入射電力を決定するフィードバックモジュールと、
上記全入射電力に基づき、上記L個のレール電圧設定値を制御する制御モジュールとを備え、
Nは1より大きい整数であり、LおよびMの一方は1より大きい整数であり、LおよびMのもう一方は1に等しいことを特徴とするマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項14】
上記フィードバックモジュールは、上記全入射電力を、上記N個の実効的な入射電力の平均に等しく設定することを特徴とする、請求項13に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項15】
上記フィードバックモジュールは、上記N個の高周波チャンネルのうちの一つの反射係数の第一の絶対値が、上記N個の高周波チャンネルのうちの別の反射係数の第二の絶対値に比べて大きいとき、上記全入射電力を、上記N個の高周波チャンネルのうちの一つと関連する上記N個の実効的な入射電力のうちの一つと等しく設定することを特徴とする、請求項13に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項16】
上記フィードバックモジュールは、上記全入射電力を、
【数3】
に等しく設定し、
Nは2に等しく、ΓNは上記N個の反射係数のうちのN番目のものであり、PFwdは上記N個の実効的な入射電力のうちのN番目のものであることを特徴とする、請求項13に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項17】
上記フィードバックモジュールは、上記全入射電力を、
【数4】
に等しく設定し、
Nは2に等しく、ΓNは上記N個の反射係数のうちのN番目のものであり、PFwdは上記N個の実効的な入射電力のうちのN番目のものであることを特徴とする、請求項13に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項18】
分配モジュールをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記N個の反射係数のうちの最大のものに基づき、一つのドライバ制御信号を生成し、
Mは1に等しく、上記一つのドライバ制御信号に基づき、一つのドライバが一つのドライバ信号を生成し、
上記分配モジュールは、上記一つのドライバ信号からN個のドライバ信号を生成し、上記N個のドライバ信号にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器を駆動することを特徴とする、請求項13に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項19】
マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールであって、
高周波チャンネルをそれぞれ生成する少なくとも二つの電力増幅器と、
少なくとも一つのドライバ制御信号に基づき、上記電力増幅器を駆動する少なくとも一つのドライバと、
交流(AC)入力電力を受電し、少なくとも一つのレール電圧設定値に基づき、上記電力増幅器へ少なくとも一つのレール電圧を入力する電力供給モジュールと、
上記少なくとも一つのレール電圧設定値を設定し、かつ、上記少なくとも一つのドライバ制御信号を設定する制御モジュールとを備えることを特徴とするマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項20】
上記少なくとも二つの電力増幅器は二つの電力増幅器を備え、上記少なくとも一つのドライバは二つのドライバを備え、上記少なくとも一つのレール電圧は二つのレール電圧を含むことを特徴とする、請求項19に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項21】
上記少なくとも二つの電力増幅器の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記反射係数に基づき、上記少なくとも一つのドライバ制御信号を設定することを特徴とする、請求項19に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項22】
上記少なくとも二つの電力増幅器の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールと、
分配モジュールとをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記反射係数のうちの最大のものに基づき、一つのドライバ制御信号のみを決定し、
上記少なくとも一つのドライバは一つのドライバのみを備え、上記ドライバは、上記一つのドライバ制御信号に基づき、一つのドライバ信号を生成し、
上記分配モジュールは、上記一つのドライバ信号から少なくとも二つのドライバ信号を生成し、上記少なくとも二つのドライバ信号にそれぞれ基づき、上記少なくとも二つの電力増幅器を駆動することを特徴とする、請求項19に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項23】
上記少なくとも二つの電力増幅器の高周波チャンネルに応じた、少なくとも二つの実効的な入射電力および少なくとも二つの反射係数をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記実効的な入射電力に基づき、上記少なくとも一つのレール電圧設定値を設定することを特徴とする、請求項19に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項24】
上記少なくとも二つの電力増幅器の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの実効的な入射電力をそれぞれ決定するパラメータ決定モジュールと、
上記少なくとも二つの実効的な入射電力に基づき、上記マルチチャンネル高周波発生器モジュールの全入射電力を決定するフィードバックモジュールとをさらに備え、
上記制御モジュールは、上記全入射電力に基づき、上記少なくとも一つのレール電圧設定値を設定することを特徴とする、請求項19に記載のマルチチャンネル高周波発生器モジュール。
【請求項25】
マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールであって、
高周波チャンネルをそれぞれ生成するための少なくとも二つの電力増幅手段と、
少なくとも一つのドライバ制御信号に基づき、上記電力増幅手段を駆動するための少なくともつのドライバ手段と、
交流(AC)入力電力を受電し、少なくとも一つのレール電圧設定値に基づき、上記電力増幅手段へ少なくともつのレール電圧を入力するための電力供給手段と、
上記少なくとも一つのレール電圧設定値を設定し、かつ、上記少なくとも一つのドライバ制御信号を設定するための制御手段とを備えることを特徴とするマルチチャンネル高周波発生器。
【請求項26】
上記少なくとも二つの電力増幅手段の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの反射係数をそれぞれ決定するための決定手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記反射係数にそれぞれ基づき、上記少なくとも一つのドライバ制御信号を設定するためのものであることを特徴とする、請求項25に記載のマルチチャンネル高周波発生器。
【請求項27】
上記少なくとも二つの電力増幅手段の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの反射係数をそれぞれ決定するための決定手段と、
分配手段とをさらに備え、
上記制御手段は、上記反射係数のうちの最大のものに基づき、一つのドライバ制御信号のみを決定するためのものであり、
上記少なくとも一つのドライバ手段は、上記一つのドライバ制御信号に基づき、一つのドライバ信号のみを生成するための一つのドライバ手段のみを備え、
上記分配手段は、上記一つのドライバ信号から少なくとも二つのドライバ信号を生成し、上記少なくとも二つのドライバ信号にそれぞれ基づき、上記少なくとも二つの電力増幅手段を駆動するためのものであることを特徴とする、請求項25に記載のマルチチャンネル高周波発生器。
【請求項28】
上記少なくとも二つの電力増幅手段の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの実効的な入射電力および少なくとも二つの反射係数を決定するための決定手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記実効的な入射電力に基づき、上記少なくとも一つのレール電圧設定値を設定するためのものであることを特徴とする、請求項25に記載のマルチチャンネル高周波発生器。
【請求項29】
上記少なくとも二つの電力増幅手段の高周波チャンネルに応じた少なくとも二つの実効的な入射電力をそれぞれ決定するための決定手段と、
上記少なくとも二つの実効的な入射電力に基づき、上記マルチチャンネル高周波発生器の全入射電力を決定するためのフィードバック手段とをさらに備え、
上記制御手段は、上記全入射電力に基づき、上記少なくとも一つのレール電圧設定値を設定するためのものであることを特徴とする、請求項25に記載のマルチチャンネル高周波発生器。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2010年4月2日に出願された米国の仮出願番号61/320,450号の権利を主張している、2010年4月15日に出願された米国の出願番号12/760,771号に対して、優先権を主張する。上記出願の開示全体は、本明細書に参照として組み入れられる。
【0002】
[分野]
本開示は、プラズマチャンバおよび高周波(RF)発生器に関する。
【0003】
[背景]
ここで記述される背景の説明は、本開示の背景を一般的に示すためのものである。現在名前を挙げられている発明者の業績は、本背景部分で記述される範囲において、出願時に先行技術とはみなされない本明細書の様態と同様に、明示的にも黙示的にも、本開示に対する先行技術としては認められない。
【0004】
高周波(RF)発生器は、交流(AC)入力電力を受電し、高周波出力を生成する。上記高周波出力は、例えば、プラズマチャンバのプラズマ電極に入力されてよい。しかし、ある場合には、プラズマチャンバは複数のプラズマ電極を備えていてよい。例えば、ソーラーパネルの製造に使用されるプラズマチャンバの場合、一つのプラズマ電極が作用する面積に比べ、処理を受ける表面積が大きいため、一つより多くのプラズマ電極が必要とされることがある。典型的なシステムは、マルチカソードの薄膜蒸着システムや、多周波数の薄膜エッチング/蒸着システムと呼ばれる。
【0005】
従って、一つより多くの特定の高周波発生器が、いくつかの場合において使用される。上記高周波発生器のそれぞれは高周波出力を生成し、上記高周波出力を上記プラズマ電極のうちの一つに入力する。上記高周波発生器は、特定の高周波出力を生成するために、電気的に接続されていてよい。
【0006】
[概要]
マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールは、N個の電力増幅器と、M個のドライバと、電力供給モジュールと、制御モジュールとを備えている。上記N個の電力増幅器は、N個の高周波出力をそれぞれ生成する。上記M個のドライバは、M個のドライバ制御信号にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器を駆動する。上記電力供給モジュールは、交流(AC)入力電力を受電し、L個のレール電圧設定値にそれぞれ基づき、L個のレール電圧を上記N個の電力増幅器に入力する。上記制御モジュールは、上記L個のレール電圧設定値および上記M個のドライバ制御信号を設定する。Nは1より大きい整数である。LおよびMは0より大きい整数であり、かつN以下である。
【0007】
他の形態において、マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールは、N個の電力増幅器と、M個のドライバと、電力供給モジュールと、パラメータ決定モジュールと、フィードバックモジュールと、制御モジュールとを備えている。上記N個の電力増幅器は、N個の高周波出力をそれぞれ生成する。上記M個のドライバは、M個のドライバ制御信号にそれぞれ基づき、上記N個の電力増幅器を駆動する。上記電力供給モジュールは、交流(AC)入力電力を受電し、L個のレール電圧設定値にそれぞれ基づき、L個のレール電圧を上記N個の電力増幅器に入力する。上記パラメータ決定モジュールは、上記N個の高周波出力に応じたN個の実効的な入射電力をそれぞれ決定し、かつ、上記N個の高周波出力に応じたN個の反射係数をそれぞれ決定する。上記フィードバックモジュールは、上記N個の実効的な入射電力および上記N個の反射係数に基づき、上記マルチチャンネル高周波発生器モジュールの全入射電力を決定する。上記制御モジュールは、上記全入射電力に基づき、上記L個のレール電圧設定値を制御する。Nは1より大きい整数である。LおよびMは0より大きい整数であり、かつN以下である。
【0008】
さらに他の形態において、マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュールは、それぞれ高周波出力を生成する少なくとも二つの電力増幅器と、少なくとも一つのドライバ制御信号に基づき、上記電力増幅器を駆動する少なくとも一つのドライバと、交流(AC)入力電力を受電し、少なくとも一つのレール電圧設定値に基づき、少なくとも一つのレール電圧を上記電力増幅器に入力する電力供給モジュールと、上記少なくとも一つのレール電圧設定値および上記少なくとも一つのドライバ制御信号を設定する制御モジュールとを備えている。
【0009】
他の形態において、マルチチャンネル高周波(RF)発生器は、それぞれ高周波出力を生成するための少なくとも二つの電力増幅手段と、少なくとも一つのドライバ信号に基づき、上記電力増幅手段を駆動するための少なくとも一つのドライバ手段と、交流(AC)入力電力を受電し、少なくとも一つのレール電圧設定値に基づき、少なくとも一つのレール電圧を上記電力増幅手段に入力するための電力供給手段と、上記少なくとも一つのレール電圧設定値および上記少なくとも一つのドライバ信号を設定するための制御手段とを備えている。
【0010】
さらに他の形態において、上述のシステムは、一つ以上のプロセッサで実行されるコンピュータプログラムによって実現される。上記コンピュータプログラムは、メモリに限らず、不揮発性データストレージ、および/または、他の好適な有形的な記憶媒体といった、有形的なコンピュータ可読媒体に保存されてよい。
【0011】
本開示のさらなる適用可能範囲が、以降の詳細な説明によって明らかになる。詳細な説明および特定の実施例は、例証を意図したものであり、本開示の範囲を制限することを意図したものではないことが理解されるであろう。
【0012】
[図面の簡単な説明]
詳細な説明および以下の添付図面から、本開示がさらに十分に理解されるであろう。
【0013】
図1は、本開示の原則に基づいた、典型的なマルチチャンネル高周波(RF)プラズマチャンバシステムの機能ブロック図である。
【0014】
図2は、本開示の原則に基づいた、典型的なシングルドライブ、シングルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
【0015】
図3は、本開示の原則に基づいた、典型的なシングルドライブ、デュアルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
【0016】
図4は、本開示の原則に基づいた、典型的なデュアルドライブ、シングルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
【0017】
図5は、本開示の原則に基づいた、典型的なデュアルドライブ、デュアルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
【0018】
図6および図7は、本開示の原則に基づいた、典型的な制御モジュールの機能ブロック図である。
【0019】
[詳細な説明]
以下の記載は、本質的には単に例を示すだけのものであり、その開示、出願、使用を制限する意図は決してない。明瞭化のために、同一の参照番号は、同一の部材を特定するために、図面中で使用される。ここで用いられる、A、B、Cのうちの少なくとも一つという語句は、非排他的論理和(or)による論理式(A or B or C)を意味するものと解釈される。ある方法におけるステップは、本開示の原則を変更することなく、異なった順序で実行されてよいことが理解される。
【0020】
ここで用いられる、モジュールという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電気回路、一つ以上のソフトウェアまたはファームウェアのプログラムを実行するプロセッサ(共有プロセッサ、専用プロセッサ、グループプロセッサ)およびメモリ、組み合わせ論理回路、および/または、上述の機能を実現する他の好適な構成要素を指す。
【0021】
ここで、図1を見ると、典型的なマルチチャンネル高周波(RF)プラズマチャンバシステム100を実現する機能ブロック図が示されている。図1はデュアルチャンネル高周波プラズマチャンバシステムを示しているが、本開示の原則は二つ以上のチャンネルを備えた高周波発生器システムに適用される。
【0022】
マルチチャンネル高周波(RF)発生器モジュール102は、交流(AC)入力電力を受電し、上記交流入力電力を用いて高周波出力を生成する。例えば、上記交流入力電力は、約480Vの交流(VAC)または別の好適な電圧の三相交流電力であってよい。議論のために、マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、二つの高周波出力を生成するものとして以降記述される(つまり、デュアルチャンネル高周波発生器モジュールである)。しかし、マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、より多くの数の高周波出力を生成してよい。例えば、マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、プラズマチャンバ106のような、一つ以上のプラズマチャンバの中に備えられたプラズマ電極ごとに、高周波出力を生成してよい。
【0023】
マルチチャンネル高周波発生器モジュール102のような、一つのマルチチャンネル高周波発生器モジュールを用いて、複数の高周波出力を生成することにより、上記高周波出力の調整が可能となる。さらに具体的に言うと、一つのマルチチャンネル高周波発生器モジュールを用いて、上記複数の高周波出力を生成することにより、上記高周波出力の周波数、位相、および/または大きさを、ほぼ等しくすることができる。
【0024】
一つの高周波発生器は、通常一つの高周波出力を生成するので、複数の高周波出力を利用するシステムにおいて使用される構成要素(つまり部品)の数は、マルチチャンネル高周波発生器モジュール102のような、マルチチャンネル高周波発生器を用いることによって低減することができる。部品数の増加に伴い、システム信頼性は一般的に低下するので、マルチチャンネル高周波発生器を使用することによって、信頼性を向上させることができる。さらに、マルチチャンネル高周波発生器のコストは、同数の高周波出力を生成するために必要なシングルチャンネル高周波増幅器分のコストよりも低い。
【0025】
整合モジュール110は、上記高周波出力を受信し、上記高周波出力をプラズマチャンバ106に入力するのに先立ち、各高周波出力のインピーダンス整合を行う。マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、整合モジュール110を制御してよい。さらに具体的に言うと、マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、整合モジュール110がインピーダンス整合を行う範囲を制御してよい。
【0026】
整合モジュール110は、上記高周波出力を、プラズマチャンバ106内に備えられたプラズマ電極にそれぞれ入力する(図2図5を参照)。上記プラズマ電極への上記高周波出力の入力は、例えば、薄膜蒸着システム、薄膜エッチングシステム、および他の好適なシステムにおいて行われる。高周波出力は、他の好適なシステムにおいて使用されてもよい。
【0027】
マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、出力制御モジュール140と、ユーザインターフェースモジュール144と、共通励起(CEX)モジュール148と、高周波生成モジュール152とを備えていてよい。マルチチャンネル高周波発生器モジュール102は、第一センサモジュール156と、第二センサモジュール160と、整合制御モジュール164とを備えていてもよい。
【0028】
出力制御モジュール140は、高周波生成モジュール152によって生成される高周波出力に応じた入力電力設定値(P Set)を受信する。この高周波出力はプラズマ電極に供給される。上記入力電力設定値は、例えば、ユーザインターフェースモジュール144または別の好適なソースによって供給されてよい。上記入力電力設定値の別の好適なソースは、例えば、ユニバーサルスタンダード(US)232接続、イーサネット(登録商標)接続、ワイヤレス接続、またはフロントパネル入力によって供給される、診断入力またはユーザ入力を備えていてよい。外部ソース(図示せず)は、出力制御モジュール140で使用可能な高周波信号(CEX In)を入力してもよい。上記高周波信号は、出力されるか、CEXモジュール148による入力または出力(CEX Out)に対して利用されてもよい。例えば、上記高周波信号は、一つ以上の他のプラズマチャンバ(図示せず)向けの高周波出力を生成する、一つ以上の他のマルチチャンネル高周波発生器モジュールへ出力されてよい。
【0029】
第一センサモジュール156および第二センサモジュール160は、高周波生成モジュール152によって生成された、第一高周波出力および第二高周波出力の電圧および電流をそれぞれ測定することができる。第一センサモジュール156および第二センサモジュール160は、出力制御モジュール140へ、上記電圧および電流を示す信号をそれぞれ入力することができる。例えば、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160は、高周波カプラ、プローブ、または別の好適なタイプのセンサをそれぞれ備えていてよい。他の形態において、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160は、上記第一高周波出力および第二高周波出力に関連した、第一入射電力/第二入射電力と第一反射電力/第二反射電力とを示す信号をそれぞれ出力することができる。入射電力は、供給される電力の合計と言える。反射電力は、反射される電力の合計と言える。第一センサモジュール156および第二センサモジュール160の上記出力は、フィードバック信号と言える。上記フィードバック信号は、デジタル信号またはアナログ信号であってよい。
【0030】
第一センサモジュール156からの上記フィードバック信号のうちの一つ以上に基づき、出力制御モジュール140は、上記第一高周波出力に応じた第一入射電力を決定することができる。出力制御モジュール140は、第二センサモジュール160からの上記フィードバック信号のうちの一つ以上に基づき、上記第二高周波出力に応じた第二入射電力を決定することができる。出力制御モジュール140は、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160からそれぞれ出力されるフィードバック信号のうちの一つ以上に基づき、第一反射係数および第二反射係数を決定することができる。
【0031】
出力制御モジュール140は、第一入射電力/第二入射電力と第一反射係数/第二反射係数とにそれぞれ基づいたフィードバックアプローチを用いて、第一高周波出力および第二高周波出力の生成を制御する。さらに具体的に言うと、出力制御モジュール140は、一つ以上のレール電圧設定値、および/または一つ以上のドライバ制御信号を、高周波生成モジュール152へ入力する。高周波生成モジュール152は、上記レール電圧設定値に基づき、一つ以上のレール電圧(つまり、電力増幅器へ入力される電圧)を制御し、上記ドライバ制御信号に基づき、電力増幅器の駆動を制御する。
【0032】
ここで、図2を見ると、典型的なシングルレール、シングルドライブ、デュアルチャンネルの高周波発生器システム200の機能ブロック図が示されている。電力供給モジュール202は、上記交流入力電力を受電する。電力供給モジュール202は、レール電圧設定値(Rail Set)に基づき、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208へ入力されるレール電圧(Rail)を調整する。本開示の目的に関して、レール電圧は所定の電力増幅器に入力される電圧と言える。
【0033】
分配モジュール214は、ドライバ信号(Driver)を受信し、上記ドライバ信号から、第一ドライバ信号および第二ドライバ信号(Driver1およびDriver2)を生成する。ドライバ210は分配モジュール214へドライバ信号を入力する。ドライバ210は、前置増幅器を備えていてもよい。分配モジュール214は、第一ドライバ信号および第二ドライバ信号を、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208へそれぞれ入力する。
【0034】
上記第一ドライバ信号および第二ドライバ信号は、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208をそれぞれ駆動する。第一電力増幅器206および第二電力増幅器208は、各電力増幅器に入力される上記ドライバ信号および上記レール電圧に基づき、高周波出力をそれぞれ生成する。例えば、図2の典型的な実施形態において、第一電力増幅器206は、上記第一ドライバ信号および上記レール電圧に基づき、第一高周波出力を生成し、第二電力増幅器208は、上記第二ドライバ信号および上記レール電圧に基づき、第二高周波出力を生成する。
【0035】
第一センサモジュール156は、上記第一高周波出力の電圧および電流(V1およびI1)を測定し、その測定結果を出力制御モジュール140へ入力することができる。第二センサモジュール160は、上記第二高周波出力の電圧および電流(V2およびI2)を測定し、その測定結果を出力制御モジュール140へ入力することができる。上記第一高周波出力および第二高周波出力は、プラズマチャンバ106の第一プラズマ電極220および第二プラズマ電極224へ、それぞれ入力される。上記第一高周波出力および第二高周波出力は、第一プラズマ電極220および第二プラズマ電極224へ入力されるのに先立ち、図1の整合モジュール110へ入力されてよい。
【0036】
出力制御モジュール140は、パラメータ決定モジュール240と、フィードバックモジュール244と、最大選択モジュール248と、制御モジュール252とを備えていてよい。図示されていないが、パラメータ決定モジュール240は、アナログ・デジタル(A/D)コンバータと、マルチプレクサと、決定モジュールとを備えていてよい。図示されていないが、上記A/Dコンバータおよび上記マルチプレクサは、あるいは、パラメータ決定モジュール240の外部に設けられてよい。
【0037】
上記A/Dコンバータは、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160からの上記フィードバック信号を、上記測定されたパラメータに応じたデジタル値へとそれぞれ変換することができる。上記A/Dコンバータは、上記フィードバック信号がデジタル信号である場合には、省略可能である。上記マルチプレクサは、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160のうちの一方の測定結果に関連するチャンネルを選択し、そのデジタル値を処理または格納することができる。上記マルチプレクサは、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160のうちのもう一方に関連するチャンネルを選択し、それらのデジタル値を処理または格納することができる。上記マルチプレクサは、全てのチャンネルの値が処理または格納されるまで、このプロセスを継続することができる。例えば、上記マルチプレクサは、時分割マルチプレクサ(TDM)、周波数分割マルチプレクサ(FDM)、または別の好適なマルチプレクサを備えていてよい。
【0038】
パラメータ決定モジュール240は、上記第一高周波出力に応じた第一反射係数(Γ1)を決定する。パラメータ決定モジュール240は、上記第二高周波出力に応じた第二反射係数(Γ2)を決定する。パラメータ決定モジュール240は、第一センサモジュール156および第二センサモジュール160からの上記フィードバック信号のうちの一つ以上に基づき、上記第一反射係数および上記第二反射係数をそれぞれ決定することができる。パラメータ決定モジュール240は、上記第一高周波出力の第一入射電力(PFwd1)、および上記第二高周波出力の第二入射電力(PFwd2)をもそれぞれ決定する。上記第一入射電力および上記第二入射電力は、それぞれ、第一供給電力および第二供給電力とも言える。様々な形態において、パラメータ決定モジュール240は、上記第一高周波出力および上記第二高周波出力のそれぞれに応じた反射電力をも決定することができる。
【0039】
フィードバックモジュール244は、上記第一入射電力および上記第二入射電力に基づき、全入射電力(PFwd)を決定する。例として、フィードバックモジュール244は、以下の関係式を用いて、上記全入射電力を決定することができる。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、PFwdは上記全入射電力である。PFwdは、N番目の高周波出力による入射電力である。Γは、上記N番目の高周波出力に応じて決定される反射係数である。Nは1より大きい整数である。
【0042】
別の例として、フィードバックモジュール244は、上記第一入射電力と上記第二入射電力の平均に基づき、上記全入射電力を決定することができる。例えば、二つの高周波出力を備えたシステムに対して、フィードバックモジュール244は、以下の等式を用いて、上記全入射電力を決定することができる。
【0043】
【数2】
【0044】
別の例として、フィードバックモジュール244は、以下の関係式を用いて、上記全入射電力を決定することができる。
【0045】
【数3】
【0046】
別の例として、フィードバックモジュール244は、二つの高周波出力を備えたシステムに対して、以下の等式を用いて、上記全入射電力を決定することができる。
【0047】
【数4】
【0048】
別の例として、フィードバックモジュール244は、二つの高周波出力を備えたシステムに対して、以下の等式を用いて、上記全入射電力を決定することができる。
【0049】
【数5】
【0050】
最大選択モジュール248は、上記第一反射係数および上記第二反射係数を受信する。最大選択モジュール248は、上記第一反射係数と上記第二反射係数とを比較し、それらのうちの大きい方を決定する。最大選択モジュール248は、上記第一反射係数および上記第二反射係数のうちの上記大きい方を、最大反射係数(ΓMax)として出力する。これにより、出力制御モジュール140は、より高い反射係数を備えたチャンネルに対する反応性が良くなる。
【0051】
制御モジュール252は、上記レール電圧設定値を決定し、ドライバ制御信号(Driver Set)を生成する。制御モジュール252は、上記最大反射係数に基づき、上記ドライバ制御信号を生成することができる(図6の実線を参照)。制御モジュール252は、上記第一反射係数および上記第二反射係数に基づき、第一ドライバ制御信号および第二ドライバ制御信号を生成し、上記第一ドライバ信号と上記第二ドライバ信号とを組み合わせ、ドライバ制御信号とすることができる(図6の点線を参照)。ドライバ210は、上記ドライバ制御信号に基づき、上記ドライバ信号を生成する。
【0052】
制御モジュール252は、上記入力電力設定値(P set)および上記最大反射係数に基づき、入射電力設定値を決定する。制御モジュール252は、上記入射電力設定値と上記入射電力(PFwd)との差に基づき、誤差を決定する。制御モジュール252は、上記誤差に基づき、上記レール電圧設定値(Rail Set)を決定する。
【0053】
ここで、図3を見ると、典型的なデュアルレール、シングルドライブ、デュアルチャンネルの高周波発生器システム300の機能ブロック図が示されている。電力供給モジュール302は、上記交流入力電力を受電する。電力供給モジュール302は、第一レール電圧設定値および第二レール電圧設定値(Rail 1 SetおよびRail 2 Set)にそれぞれ基づき、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208へ入力される第一レール電圧および第二レール電圧(Rail 1およびRail 2)を調整する。
【0054】
制御モジュール352は、ドライバ210へドライバ制御信号(Driver Set)を入力し、電力供給モジュール302へ上記第一レール電圧設定値および第二レール電圧設定値を入力する。図3の制御モジュール352は、図2の制御モジュール252と類似の方法、または同一の方法で、上記ドライバ制御信号を生成することができる。制御モジュール352(図7を参照)は、上記第一反射係数および上記第二反射係数にそれぞれ基づき、上記第一高周波出力および上記第二高周波出力に応じた、第一高周波出力設定値および第二高周波出力設定値を決定する。制御モジュール352は、上記電力設定値(PFwd)にさらに基づき、第一入射電力設定値および第二入射電力設定値を決定する。
【0055】
制御モジュール352は、上記第一入射電力設定値と上記第一入射電力との差に基づき、上記第一高周波出力に応じた第一誤差を決定する。制御モジュール352は、上記第二入射電力設定値と上記第二入射電力との差に基づき、上記第二高周波出力に応じた第二誤差を決定する。制御モジュール352は、上記第一誤差および上記第二誤差にそれぞれ基づき、上記第一レール電圧設定値および第二レール電圧設定値を決定する。
【0056】
ここで、図4を見ると、典型的なシングルレール、デュアルドライブ、デュアルチャンネルの高周波発生器システム400の機能ブロック図が示されている。第一電力増幅器206および第二電力増幅器208は、自身に入力される上記ドライバ信号および上記レール電圧に基づき、高周波出力をそれぞれ生成する。例えば、図4の典型的な実施形態において、第一電力増幅器206は、第一ドライバ信号(Driver 1)および上記レール電圧に基づき、第一高周波出力を生成する。第二電力増幅器208は、第二ドライバ信号(Driver 2)および上記レール電圧に基づき、第二高周波出力を生成する。
【0057】
制御モジュール452は、電力供給モジュール202へ、レール電圧設定値(Rail Set)を入力する。制御モジュール452は、第一ドライバ211および第二ドライバ212へ、第一ドライバ制御信号および第二ドライバ制御信号(Driver 1 SetおよびDriver 2 Set)をそれぞれ入力する。制御モジュール452は、図2の制御モジュール252と類似の方法、または同一の方法で、上記レール電圧設定値を決定することができる。制御モジュール452は、第一反射係数および上記第二反射係数にそれぞれ基づき、上記第一ドライバ制御信号および上記第二ドライバ制御信号を生成する。
【0058】
ここで、図5を見ると、典型的なデュアルレール、デュアルドライブ、デュアルチャンネルの高周波発生器システム500の機能ブロック図が示されている。電力供給モジュール502は、上記交流入力電力を受電する。電力供給モジュール502は、第一レール電圧設定値および第二レール電圧設定値(Rail 1 SetおよびRail 2 Set)に基づき、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208へ入力される第一レール電圧および第二レール電圧(Rail 1およびRail 2)を調整する。
【0059】
第一電力増幅器206および第二電力増幅器208は、自身に入力される上記ドライバ制御信号および上記レール電圧に基づき、高周波出力をそれぞれ生成する。例えば、図5の典型的な実施形態において、第一電力増幅器206は、第一ドライバ信号(Driver 1)および上記第一レール電圧に基づき、第一高周波出力を生成する。第二高周波増幅器208は、第二ドライバ信号(Driver 2)および上記第二レール電圧に基づき、第二高周波出力を生成する。
【0060】
制御モジュール552は、第一ドライバ211および第二ドライバ212へ、第一ドライバ制御信号および第二ドライバ制御信号(Driver 1 SetおよびDriver 2 Set)をそれぞれ入力する。第一ドライバ211および第二ドライバ212は、上記第一ドライバ制御信号および上記第二ドライバ制御信号にそれぞれ基づき、上記第一ドライバ信号および上記第二ドライバ信号を生成する。制御モジュール552は、電力供給モジュール502へ、上記第一レール電圧設定値および上記第二レール電圧設定値をも入力する。制御モジュール552は、図3の制御モジュール352と類似の方法、または同一の方法で、上記第一レール電圧設定値および上記第二レール電圧設定値を決定することができる。制御モジュール552は、図4の制御モジュール452と類似の方法、または同一の方法で、上記第一ドライバ制御信号および上記第二ドライバ制御信号を決定することができる。
【0061】
ここで、図6を見ると、典型的な制御モジュール652の機能ブロック図が示されている。図2の制御モジュール252および図4の制御モジュール452は、制御モジュール652と類似または同一のものであってよく、あるいは、制御モジュール652と類似の方法、または同一の方法で動作してよい。制御モジュール652は、シングルレール、および/またはシングルドライブ、マルチチャンネルの高周波発生器システムを制御することができる。シングルレール、デュアルドライブ、マルチチャンネルの高周波発生器システム、または、デュアルレール、シングルドライブ、マルチチャンネルの高周波発生器システムの場合、制御モジュール652の一部は、制御モジュール752の一部に組み込まれてもよい。制御モジュール752は、図7の典型的な実施形態に関連して以下で議論される。制御モジュール652は、ドライバ制御モジュール602と、絶対値モジュール606と、電力制限モジュール610と、誤差モジュール614と、レール電圧制御モジュール618とを備えていてよい。
【0062】
ドライバ制御モジュール602は、上記最大反射係数および上記入力電力設定値に基づき、ドライバ制御信号(Driver Set)を生成する。他の形態において、ドライバ制御モジュール602は、上記最大反射係数および上記レール電圧設定値に基づき、上記ドライバ制御信号を生成することができる。上記ドライバ制御信号は、ドライバ210のような、ドライバまたはドライバ/前置増幅器へ入力されてよい。上記ドライバは、上記ドライバ制御信号に基づき、ドライバ信号を生成する。分配モジュール214のようなスプリッタは、上記ドライバ信号から、第一ドライバ信号および第二ドライバ信号を生成し、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208のような、第一電力増幅器および第二電力増幅器へ、上記第一ドライバ信号および上記第二ドライバ信号を入力する。
【0063】
絶対値モジュール606は、上記最大反射係数の大きさ(つまり絶対値)(|ΓMax|)を決定することができる。電力制限モジュール610は、上記入力電力設定値および上記最大反射係数の絶対値に基づき、入射電力設定値(PFwd Set)を決定する。他の形態において、絶対値モジュール606は省略可能であり、電力制限モジュール610は、上記最大反射係数(複素数形式)および上記入力電力設定値に基づき、上記入射電力設定値を決定することができる。
【0064】
誤差モジュール614は、上記入射電力設定値および入射電力(PFwd)に基づき、入射電力誤差(PFwd Error)を決定する。さらに具体的に言うと、誤差モジュール614は、上記入射電力設定値と上記入射電力の差に基づき、上記入射電力誤差を決定する。上記入射電力は、フィードバックモジュール244によって供給されてよい。
【0065】
レール電圧制御モジュール618は、上記入射電力誤差に基づき、レール電圧設定値(Rail Set)を決定する。例えば、レール電圧制御モジュール618は、上記入射電力誤差を上記レール電圧設定値に関係付ける関数または写像に基づき、上記レール電圧設定値を決定することができる。
【0066】
別の様々な形態において、制御モジュール652は、第一ドライバ制御モジュール622と、第二ドライバ制御モジュール626と、結合器モジュール630とを備えていてよい。第一ドライバ制御モジュール622は、上記第一反射係数および上記入力電力設定値に基づき、第一ドライバ制御信号(Driver 1 Set)を決定することができる。第二ドライバ制御モジュール626は、上記第二反射係数および上記入力電力設定値に基づき、第二ドライバ制御信号(Driver 2 Set)を決定することができる。他の形態において、第一ドライバ制御モジュール622および第二ドライバ制御モジュール626は、上記第一反射係数と上記第二反射係数のそれぞれ、および上記レール電圧設定値に基づき、上記第一ドライバ制御信号および上記第二ドライバ制御信号を決定することができる。
【0067】
結合器モジュール630は、上記第一ドライバ制御信号、および/または上記第二ドライバ制御信号に基づき、ドライバ制御信号(Driver Set)を決定することができる。例えば、結合器モジュール630は、上記ドライバ制御信号を上記第一ドライバ制御信号と上記第二ドライバ制御信号のうちの小さい方に設定する、上記第一ドライバ制御信号と上記第二ドライバ制御信号との可変の線形結合に基づき上記ドライバ制御信号を決定する、または別の好適な方法で上記ドライバ制御信号を決定することができる。
【0068】
ここで、図7を見ると、制御モジュール752の典型的な形態の機能ブロック図が示されている。図3の制御モジュール352および図5の制御モジュール552は、制御モジュール752と類似または同一のものであってよい。制御モジュール752は、デュアルレール、および/またはデュアルドライブ、マルチチャンネルの高周波発生器システムを制御することができる。
【0069】
制御モジュール752は、第一ドライバ制御モジュール702と、第二ドライバ制御モジュール706と、絶対値モジュール710と、第一電力制限モジュール714と、第二電力制限モジュール718と、第一誤差モジュール722と、第二誤差モジュール726と、第一レール電圧制御モジュール730と、第二レール電圧制御モジュール734とを備えていてよい。第一ドライバ制御モジュール702および第二ドライバ制御モジュール706は、上記第一反射係数と上記第二反射係数のそれぞれ、および上記入力電力設定値に基づき、第一ドライバ制御信号および第二ドライバ制御信号(Driver 1 SetおよびDriver 2 Set)を決定することができる。上記第一ドライバ制御信号および上記第二ドライバ制御信号は、第一ドライバ211および第二ドライバ212のような、第一ドライバおよび第二ドライバへ入力されてよい。第一ドライバおよび第二ドライバは、上記第一ドライバ制御信号および上記第二ドライバ制御信号に基づきドライバ信号を生成し、第一電力増幅器206および第二電力増幅器208のような、第一電力増幅器および第二電力増幅器へ、上記第一ドライバ信号および上記第二ドライバ信号を入力する。
【0070】
絶対値モジュール710は、上記第一反射係数および上記第二反射係数の絶対値(|Γ1|および|Γ2|)を決定することができる。第一電力制限モジュール714および第二電力制限モジュール718は、上記第一反射係数の絶対値および上記第二反射係数の絶対値にそれぞれ基づき、第一入射電力設定値および第二入射電力設定値(PFwd1 SetおよびPFwd2 Set)を決定する。第一電力制限モジュール714および第二電力制限モジュール718は、上記入力電力設定値にさらに基づき、上記第一入射電力設定値および上記第二入射電力設定値を決定することができる。他の形態において、絶対値モジュール710は省略可能であり、第一電力制限モジュール714および第二電力制限モジュール718は、上記第一反射係数および上記第二反射係数(複素数形式)にそれぞれ基づき、上記第一入射電力設定値および上記第二入射電力設定値を決定することができる。
【0071】
第一誤差モジュール722および第二誤差モジュール726は、上記第一入射電力設定値と上記第二入射電力設定値、および第一入射電力と第二入射電力(PFwd1とPFwd2)にそれぞれ基づき、第一入射電力誤差と第二入射電力誤差(PFwd1 ErrorとPFwd2 Error)を決定する。さらに具体的に言うと、第一誤差モジュール722および第二誤差モジュール726は、上記第一入射電力設定値と上記第一入射電力との差、および上記第二入射電力設定値と上記第二入射電力との差にそれぞれ基づき、上記第一入射電力誤差および上記第二入射電力誤差を決定する。上記入射電力は、パラメータ決定モジュール240によって供給されてよい。
【0072】
第一レール電圧制御モジュール730および第二レール電圧制御モジュール734は、上記第一入射電力誤差および上記第二入射電力誤差にそれぞれ基づき、第一レール電圧設定値および第二レール電圧設定値(Rail 1 SetおよびRail 2 Set)を決定する。例えば、第一レール電圧設定モジュール730および第二レール電圧設定モジュール734は、上記第一入射電力誤差を上記第一レール電圧設定値に、上記第二入射電力誤差を上記第二レール電圧設定値に、それぞれ関係付ける関数または写像に基づき、上記第一レール電圧設定値および上記第二レール電圧設定値を決定する。
【0073】
本開示の幅広い説明は、様々な形でなされてよい。従って、当業者にとっては、図面、本明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すれば、他の変更は明白なものとなるから、本開示は特定の実施例を含んでいるが、本開示の正確な範囲は制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本開示の原則に基づいた、典型的なマルチチャンネル高周波(RF)プラズマチャンバシステムの機能ブロック図である。
図2】本開示の原則に基づいた、典型的なシングルドライブ、シングルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
図3】本開示の原則に基づいた、典型的なシングルドライブ、デュアルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
図4】本開示の原則に基づいた、典型的なデュアルドライブ、シングルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
図5】本開示の原則に基づいた、典型的なデュアルドライブ、デュアルレール、デュアルチャンネルの高周波発生器システムの機能ブロック図である。
図6】本開示の原則に基づいた、典型的な制御モジュールの機能ブロック図である。
図7】本開示の原則に基づいた、典型的な制御モジュールの機能ブロック図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7