特許第5960126号(P5960126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5960126水素結合を生成する連結基をともに有するポリシロキサンおよびポリマーを含む化粧料組成物、ならびに美容処置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960126
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】水素結合を生成する連結基をともに有するポリシロキサンおよびポリマーを含む化粧料組成物、ならびに美容処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/89 20060101AFI20160719BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A61K8/89
   A61K8/81
   A61Q1/10
   A61Q1/06
   A61Q1/12
   A61Q1/02
   A61Q3/02
   A61Q5/06
   A61Q17/04
   A61Q5/00
【請求項の数】11
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2013-511603(P2013-511603)
(86)(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公表番号】特表2013-526593(P2013-526593A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2011057785
(87)【国際公開番号】WO2011147697
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/352,914
(32)【優先日】2010年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10/02227
(32)【優先日】2010年5月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サンドリン・コドロウスキー−キメ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ヴィシック
(72)【発明者】
【氏名】ジョスラン・ヴァスケス
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−510750(JP,A)
【文献】 特表2005−520777(JP,A)
【文献】 特表2005−511528(JP,A)
【文献】 特表2011−514880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容される媒体中に、
a)以下の式(IIa):
【化1】
[式中、
- R基は、同一でも異なっていてもよく、O、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有してもよい線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、芳香族のまたは芳香族でない、一価C1〜C20炭化水素ベースの基を表し、
- Q1、Q2およびQ3基は、同一でも異なっていてもよく、一価であり、上で定義したR基、または少なくとも3個のH(水素)結合を形成することができる連結基を表し、
連結基Q1〜Q3が、少なくとも1個の式(Ia)の一価単位:
【化2】
[式中
- R1は、(i)線状もしくは分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される二価炭素ベースの基を表し、前記基は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1〜8個のヘテロ原子を含または含まず、および/または、エステルもしくはアミド官能基またはC1〜C12アルキル基で置換され、または置換されず
- R2およびR4は、互いに独立して、水素原子、またはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含むことができる線状、分枝状もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、芳香族のもしくは芳香族でない、C1〜C32炭素ベースの基を表す]を含み、
- nは、2から1000の間の整数であり、
- mは、0から300の間の整数であり、
mおよびnは、官能化ポリシロキサン(IIa)の数平均分子量(Mn)が500から100000の間となるような数である]
のうちの1つに対応する、連結基を有する少なくとも1種のポリシロキサンと、
b)少なくとも1個の反応性官能基により官能化されている少なくとも1種のポリアルケンポリマーと、官能化ポリアルケンポリマーが有している反応性基と反応することができる少なくとも1個の反応性基により官能化されている少なくとも1個の連結基との反応から得ることができ、前記連結基が少なくとも3個のH(水素)結合を形成することができる、少なくとも1種のポリアルケンベースの超分子ポリマーと
を含み、
前記官能化ポリアルケンポリマーが、式HX-P-X'H[式中、
- XHおよびX'Hは、反応性官能基であり、XおよびX'は、Oを示し、
- Pは、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、水素化ポリブタジエンまたはそれらのコポリマーを表す]
のものであり、
前記官能化ポリアルケンポリマーと反応することができる官能化連結基が、式(III):
【化3】
[式中、
- Lは、単結合、あるいは1〜4個のNおよび/またはOヘテロ原子を含または含まない、線状、環状および/または分枝状の、飽和または不飽和の、またはさらには芳香族の二価C1〜C20炭素ベースのアルキレン基であり、
- R'2は、単結合、C1〜C6アルキレンタイプの二価基、あるいは水素原子、または1個もしくは複数のO、SもしくはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、芳香族のもしくは芳香族でない、一価C1〜C30炭化水素ベースの基から選択される一価基を表し、
- R'3は、水素原子、あるいは1個または複数のO、SまたはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、芳香族のまたは芳香族でない、一価C1〜C30炭化水素ベースの基を表す]のものである、化粧料組成物。
【請求項2】
a)式(Ia)において、
R1=-イソホロン-、R2=メチルおよびR4=Hであり、または
R1=-(CH2)6-、R2=メチルおよびR4=Hであり、または
R1=-(CH2)6-、R2=イソプロピルおよびR4=Hであり、または
R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、R2=メチルおよびR4=H
である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
反応性官能基を有する連結基が、式:
【化4】
[式中
- R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンもしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、および/または
- R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは-CH(C2H5)(C4H9)を表す]
のものである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
連結基を含むポリシロキサンが、単独でまたは混合物として、組成物の総重量に対して、0.1重量%〜50重量%の比率で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記官能化ポリアルケンポリマーが、1000から8000の間の数平均分子量(Mn)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記官能化ポリアルケンポリマーが、ジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンホモポリマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
官能化ポリアルケンポリマーと反応することができる官能化連結基が、式(IV):
【化5】
[式中、Lは、単結合、あるいは1〜4個のNおよび/またはOヘテロ原子を含または含まない、線状、環状および/または分枝状の、飽和または不飽和の、またはさらには芳香族の、二価C1〜C20炭素ベースのアルキレン基である]のものである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記超分子ポリマーが、式:
【化6】
[式中、
- L'およびL"は、互いに独立して、1〜4個のNおよび/またはOヘテロ原子を含または含まない、線状、環状および/または分枝状の、飽和または不飽和の、またはさらには芳香族の、二価C1〜C20炭素ベースのアルキレン基であり、
- X=X'=Oであり、
- Pは、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、水素化ポリブタジエンまたはそれらのコポリマーを表す]に対応する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記超分子ポリマーが、式:
【化7】
のものであり、nの値が、前記ポリマーの数平均分子量(Mn)が1000から8000の間となるような数である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記超分子ポリマーが、最終化粧料組成物の重量に対して、0.1重量%から99重量%の間の量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質用の美容処置方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧料組成物の前記物質への塗布を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H結合を生成するポリマーの混合物を含む新規の化粧料組成物、および化粧品産業、特にメイクアップ分野におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、女性がメイクアップ製品を使用する場合、女性は、この製品が、塗布後に、ケラチン物質、特に皮膚および/または唇上で良好な持続性、特に脂肪分および摩耗に対する良好な耐性、ならびに有利には良好な色移りしない性質を示すことを望んでいる。
【0003】
この期待に関して、特に改善された持続性のこれらの性質を長時間にわたって提供することを目的とした1種または複数のポリマーが、このタイプの組成物に一般に導入されている。
【0004】
これらのポリマーの例として、特に、ポリアクリレートおよびラテックスを挙げることができる。しかし残念ながら、持続性の観点から有利な上述のポリマーにより、それらを含有する化粧品の塗布の間(広げることが困難、粘着性)および/または塗布後(つっぱり感、マスク作用)に不快感が生じる可能性がある。
【0005】
一方、出願EP 2189151およびFR 2938758に記載のものなどの超分子ポリマーは、快適で良好な持続性も有する付着物を皮膚の上に形成することを可能にすることが知られている。しかし、そのような超分子ポリマーを組み込んでいるガレヌス製剤を使用して形成される付着物は、十分な機械的強度を有していない可能性がある(衣類の汚れに反映されることがある)。さらに、それらを脂肪性物質、例えば食用油と接触させると、また口紅の場合は唇に塗布すると、それらの完全性に影響を与える可能性がある。したがって、超分子ポリマーベースのガレヌス製剤に関しては、これらの欠点を克服することが依然として必要とされている。
【0006】
さらに、ケラチン物質への塗布後に、付着したフィルムに光沢があることが望ましい化粧料組成物が多く存在している。例えば、口紅またはマニキュア液を挙げることができる。そのような結果を得るために、特定の出発原料、特にラノリンを、「光沢を有する(glossy)」油と組み合わせることが可能である。
【0007】
付着したフィルムの長時間にわたる光沢および持続性を改善するために、US 5 707 612に記載されているように、イソホロンジイソシアネート(IPDI)により官能化されているトリグリセリドタイプの油、この場合はヒマシ油を使用することも提案されてきた。IPDIによる官能化により、ヒマシ油の持続性および光沢が実質的に改善され、このように架橋された油は、特に口紅の分野において用途が見出されている。
【0008】
出願EP2140858も、基材上に均一なフィルム形成付着物を得ることを可能にする化粧料組成物を提案しており、前記フィルムは、組成物の光沢、光沢堅牢性および持続性を合わせて提供する一方、同時に、比較的非粘着性である。これらの効果は、求核性および/または求電子性の反応性官能基を有する油と、1個または複数のパートナー連結基と水素結合を確立することができる連結基との間の反応により得ることができる、一般に固体の官能化された油の使用を通して得られ、前記連結基は、油が有している反応性官能基と反応することができる反応性官能基を有し、ウレイドピリミドンタイプの単位も含む。
【0009】
この出願において例示されている通り、これらの官能化された油により、指に移らず、特に光沢があり、前記光沢が長時間にわたって維持される、凝集性で均一なフィルムまたは付着物を形成することが可能となる。しかし、これらの官能化された油により得られる付着物が、多少粘着性であり、摩耗に対してある程度の脆性を示す可能性があることが指摘されており、さらに、これらの付着物が、それらの粘着性に加えて、脂肪性物質に対するかなりの感受性を特に長時間にわたって示すことが見出された。
【0010】
出願WO2004/052963から、H(水素)結合を生成する基を有し、化粧品分野において中程度の増粘剤として使用することができるポリシロキサンも知られている。しかし、この文書は、これらのポリシロキサンの使用に関連した美容上の利点については全く触れていない。
【0011】
現在、外部の侵蝕、特に脂肪性物質、例えば食用油または皮脂による「侵蝕」に対して良好な耐性、したがってかなりの持続性を示し、同時に好ましくはそれらの光沢を保持する付着物を生成することができるポリマーまたは非ポリマー物質が、特にメイクアップ分野において探求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP 2189151
【特許文献2】FR 2938758
【特許文献3】US 5 707 612
【特許文献4】EP2140858
【特許文献5】WO2004/052963
【特許文献6】FR2782723
【特許文献7】WO 2005/042641
【特許文献8】US 5538793
【特許文献9】EP-A-295886
【特許文献10】EP 242 219
【特許文献11】EP 285 886
【特許文献12】EP 765 656
【特許文献13】JP-A-61-194009
【特許文献14】US 5236986
【特許文献15】US 5412004
【特許文献16】US 5837793
【特許文献17】US 5811487
【特許文献18】FR 0953625
【特許文献19】WO03/045337
【特許文献20】EP 963751
【特許文献21】WO 04/055081
【特許文献22】PCT/FR2009/052388
【特許文献23】FR0954344
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】The Journal of the American Chemical Society」、vol. 60、309頁、1938年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、これらの欠点を克服すること、および良好な化粧料性質、例えば、支持材(特に皮膚、唇または髪)への良好な接着性、したがって組成物の良好な持続性、場合により良好な光沢などを得ることを可能にし、同時に、あまり粘着性ではないかまたは全く粘着性ではなく、特に脂肪性物質(油、食事、皮脂)による外部からの侵蝕、さらには摩擦に耐性を示す(それ故、付着物が磨り減る程度が低下する)付着物も生じる化粧料組成物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の主題は、化粧品として許容される媒体中に、
a)以下の式(IIa)および(IIb):
【0016】
【化1】
【0017】
[式中、
- R基は、同一でも異なっていてもよく、O、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有してもよい線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C20炭化水素ベースの(特にアルキル)基を表し、
- Q1、Q2およびQ3基は、同一でも異なっていてもよく、一価であり、上で定義したR基、または少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、さらに良好には4個のH結合を形成することができる連結基を表し、
式(IIa)においてQ1〜Q3基のうちの少なくとも1個がR以外であることが理解され、
- 二価Q4基は、少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、さらに良好には4個のH結合を形成することができる連結基を表し、
- nは、2から1000の間の整数であり、
- mは、0から300の間の整数であり、
- cは、1から300の間の整数であり、
m、nおよびcは、官能化ポリシロキサン(IIa)または(IIb)の数平均分子量(Mn)が500から100000の間となるような数である]
のうちの1つに対応する連結基を有する少なくとも1種のポリシロキサンと、
b)少なくとも1個の反応性官能基により官能化されている少なくとも1種のポリアルケンポリマーと、官能化ポリアルケンポリマーが有している反応性基と反応することができる少なくとも1個の反応性基により官能化されている少なくとも1個の連結基との反応、特に縮合から得ることができ、前記連結基が少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を形成することができる、少なくとも1種のポリアルケンベースの超分子ポリマーと
を含む化粧料組成物である。
【0018】
本発明によって、快適性が改善された組成物が得られ、それらにより、比較的非粘着性であり、場合により光沢を有することができ、同時に脂肪性物質および機械的摩耗に耐性を示す付着物を得ることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の状況において使用するポリマーは、最初は互いに相溶性ではない可能性があり、通常の化粧料媒体、特に通常の溶媒または油状の化粧料媒体、例えば、炭素ベースの油、脂肪族アルコール、脂肪族もしくは短鎖エステル、アルカンまたはシリコーン油などに容易に担持されない可能性があることが指摘されている。
【0020】
超分子化学により、超分子相互作用を通して、異なる化学的性質の(ポリマーまたは非ポリマー)化合物を混合して、混合前に使用した化合物のものとは異なる独創的な性質を得ることが可能となる。
【0021】
したがって、本発明の状況においては、それら自体はあまり摩耗に耐性を示さないおよび/または脂肪性物質に対する感受性が高くない他のポリマーとの混合物として所与のポリマーを製剤化することにより、所与のポリマーの摩耗に対する耐性および脂肪性物質に対する感受性を、該ポリマー単独の他の性質、例えばそれらの光沢性を保持する性質を変更することなく改善可能な場合もあることを示している。さらに、色移りしない性質の改善および粘着性の低減を証明することが可能である。
【0022】
したがって、本発明の化粧料組成物は、官能化ポリシロキサン、すなわち、少なくとも1個の連結基を有するポリシロキサンを含む。前記ポリシロキサンは、H(水素)結合を生成することができる。
【0023】
官能化ポリシロキサン
本発明の官能化ポリシロキサンは、特に、特許出願WO2004/052963に記載されている。
【0024】
それらは、好ましくは、以下の式(IIa)および(IIb):
【0025】
【化2】
【0026】
[式中、
- R基は、同一でも異なっていてもよく、O、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有してもよい線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C20炭化水素ベースの(特にアルキル)基を表し、
- Q1、Q2およびQ3基は、同一でも異なっていてもよく、一価であり、上で定義したR基、または少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、さらに良好には4個のH結合を形成することができる連結基を表し、
式(IIa)においてQ1〜Q3基のうちの少なくとも1個がR以外であることが理解され、
- 二価Q4基は、少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、さらに良好には4個のH結合を形成することができる連結基を表し、
- nは、2から1000の間の整数であり、
- mは、0から300の間の整数であり、
- cは、1から300の間の整数であり、
m、nおよびcは、官能化ポリシロキサン(IIa)または(IIb)の数平均分子量(Mn)が500から100000の間となるような数である]
のうちの1つに対応する。
【0027】
上記式において、Q1〜Q4基が、ケイ素-炭素結合を介してポリシロキサン主鎖(または鎖)に接続されていることが明らかであり、前記結合は、以下に説明する通り、直接結合でもR1などのリンカーを介していてもよい。
【0028】
好ましくは、m、nおよびcは、官能化ポリシロキサン(IIa)または(IIb)の数平均分子量が500から100000の間、特に1000から50000の間、またはさらには2000から25000の間、さらに良好には3000から15000の間となるように選択される。
【0029】
好ましくは、mは、1から50、またはさらには2から20、さらに良好には3から15の間である。
【0030】
好ましくは、nは、3から700、特に5から400、またはさらには10から200、さらに良好には20から100の間である。
【0031】
好ましくは、cは、2から150の間、より良好には3から80の間、さらに良好には4から20の間である。
【0032】
好ましくは、R基は、C1〜C20、特に線状C1〜C12アルキル基、C3〜C20、特に分枝状C3〜C12アルキル基、C4〜C20、特にC4〜C10シクロアルキル基、C4〜C20、特にC4〜C10アリール基、C5〜C20、特にC5〜C10アリールアルキル基とすることができ、これらの基は、NH2および/またはOH官能基で場合により置換されている。R基は、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、ベンジル、フェニルエチル、トリルまたはキシリル基から選択することができる。好ましくは、全てのR基は同一であり、優先的には、Rはメチル基である。
【0033】
本発明の目的のために、「連結基」という用語は、H結合供与または受容基を含み、同一であってもなくてもよいパートナー連結基と少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を確立することができる任意の基を意味することを意図したものである。これらの連結基は、ポリマー骨格の側方(側枝)に位置していてもよく、および/またはポリマー骨格の端が有していてもよく、および/またはポリマー骨格を形成する鎖内に位置してもよい。連結基は、ランダムにまたは制御された様式で分布することができる。少なくとも3個のH結合を形成することができる官能化連結基は、
【0034】
【化3】
【0035】
から選択される少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個の官能基を含み得る。
【0036】
これらの官能基は、2つのカテゴリー:
- H結合を供与する官能基:
【0037】
【化4】
【0038】
- H結合を受容する官能基:
【0039】
【化5】
【0040】
に分類することができる。
【0041】
好ましくは、連結基は、同一の(または自己相補的)パートナー基と4個のH結合を確立することができ、それらのうち、2つはドナー結合(例えばNH)であり、2つはアクセプター結合(例えばCOおよび-C=N-)である。
【0042】
好ましくは、連結基Q1〜Q4は、少なくとも1個の式(Ia)の一価単位および/または少なくとも1個の式(Ib)の二価単位:
【0043】
【化6】
【0044】
[式中、
- R1およびR3は、同一でも異なっていてもよく、(i)線状または分枝状のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される二価炭素ベースの基を表し、前記基は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1〜8個のヘテロ原子を場合により含み、および/または、エステルもしくはアミド官能基またはC1〜C12アルキル基で場合により置換されており、
- R2およびR4は、互いに独立して、水素原子、またはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含むことができる線状、分枝状もしくは環状の、飽和もしく不飽和の、場合により芳香族の、C1〜C32炭素ベースの、特に炭化水素ベースの(アルキル)基を表す]を含む。
【0045】
好ましくは、連結基は、少なくとも1個の式(Ia)の一価単位を含む。
【0046】
R1基は、特に、
- 線状または分枝状の二価C2〜C12アルキレン基、特に1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)または1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)基、
- 特に以下の基:-イソホロン-、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、4,4-ビスフェニレンメチレンから選択される二価C4〜C12シクロアルキレンまたはアリーレン基とすることができるか、または構造:
【0047】
【化7】
【0048】
を有する。
【0049】
「-イソホロン-」という用語は、構造:
【0050】
【化8】
【0051】
を有する二価基を意味することを意図したものである。
【0052】
優先的には、R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-または4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンを表す。
【0053】
特に、R2またはR4基は、互いに独立して、H、あるいは、
- C1〜C32、特にC1〜C16、またはさらにはC1〜C10アルキル基、
- C4〜C12シクロアルキル基、
- C4〜C12アリール基、
- (C4〜C12)アリール(C1〜C18)アルキル基、
- C1〜C4アルコキシ基、
- アリールアルコキシ基、特に(C1〜C4)アリールアルコキシ基、
- C4〜C12複素環、
またはこれらの基の組合せとすることができ、これは、アミノ、エステルおよび/またはヒドロキシル官能基で場合により置換されていてもよい。
【0054】
好ましくは、R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、あるいは-CH(C2H5)(C4H9)を表す。
【0055】
好ましくは、R4=Hである。
【0056】
好ましくは、R3は、二価基-R'3-O-C(O)-NH-R'4-(式中、R'3およびR'4は、同一でも異なっていてもよく、線状もしくは分枝状のC1〜C32アルキル基またはC4〜C16シクロアルキル基またはC4〜C16アリール基、あるいはそれらの混合物から選択される二価炭素ベースの基を表す)を表す。
【0057】
特に、R'3およびR'4は、メチレン、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-ビスフェニレンメチレン、1,2-トリレン、1,4-トリレン、2,4-トリレン、2,6-トリレン、1,5-ナフチレン、テトラメチルキシリレンまたはイソホロンを表すことができる。
【0058】
最も具体的には、R'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表すことができる。
【0059】
好ましくは、R'4は、イソホロンに由来する二価基を表すことができる。
【0060】
最も具体的には、R3は、構造:
【0061】
【化9】
【0062】
を有し得る。
【0063】
特に好ましくは、式(Ia)において、
- R1=-イソホロン-、R2=メチルおよびR4=Hであり、結果として、式:
【0064】
【化10】
【0065】
の単位となり、
- R1=-(CH2)6-、R2=メチルおよびR4=Hであり、結果として、式:
【0066】
【化11】
【0067】
の単位となり、
- R1=-(CH2)6-、R2=イソプロピルおよびR4=Hであり、結果として、式:
【0068】
【化12】
【0069】
の単位となり、
- R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、R2=メチルおよびR4=Hであり、結果として、式:
【0070】
【化13】
【0071】
の単位となる
ようにすることが可能である。
【0072】
特に好ましくは、式(Ib)において、R1は、基-イソホロン-を表し、R2=メチルおよびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロン-であり、結果として、式
【0073】
【化14】
【0074】
の二価単位となる。
【0075】
本発明の官能化ポリシロキサンは、少なくとも1個の反応性官能基、例えばOHまたはNH2を有する少なくとも1種のポリシロキサンと、ポリシロキサンの反応性官能基と反応することができる少なくとも1個の反応性官能基を有する少なくとも1個の連結基との反応、特に重縮合から生じ得る。
【0076】
好ましくは、本発明の官能化ポリシロキサンのポリマー骨格の全てまたは一部を形成することができる少なくとも1個の反応性官能基を有するポリシロキサンは、式HX-P-X'H[式中、
- XHおよびX'Hは、反応性基であり、XおよびX'は、同一でも異なっていてもよく、O、SH、NHまたはNRaから選択され、Raは、C1〜C6アルキル基を表し、好ましくは、Xおよび/またはX'は、Oを示し、優先的には、XおよびX'は、Oを示し、
- Pは、ポリシロキサンタイプのホモポリマーまたはコポリマー、優先的には線状または環状ポリジメチルシロキサンを表す]
のものである。
【0077】
前記ポリシロキサンは、特に、少なくとも2個の反応性官能基を有することができ、それらは、鎖の末端に位置し得る。そのため、テレケリックポリマーという用語を使用する。前記反応性官能基は、リンカー、好ましくは線状もしくは分枝状のC1〜C4アルキレン基を介して、または直接単結合を介してポリシロキサンに付着することができる。反応性官能基としては、OH、NH2、NHR、SHまたはNCO官能基を挙げることができる。
【0078】
反応性官能基は、また、ポリマー骨格上にペンダント基として存在することができる。
【0079】
反応性官能基を有するポリシロキサンとしては、特に、
- テレケリックポリシロキサン(鎖の末端に反応性官能基)、例えば、ヒドリド官能基を有するもの、特にGelestによりDMS-H21、DMS-H25およびDMS-H31という商品名で販売されているもの;アミノ官能基を有するもの、特にGelestによりDMS-A12、DMS-A15、DMS-A21およびDMS-A32という商品名で販売されているもの、またはShin-EtsuによりX-22-161BまたはKF-8012という商品名で販売されているもの;OH官能基を有するもの、特にShin-EtsuによりKF-6001、KF-6002、KF-6003およびX-22-176-DXという商品名で販売されているもの、またはGoldschmidtによりTEGO-IS4181およびTEGO IS4480Pという商品名で販売されているものなど、
- ペンダント反応性官能基を含むポリシロキサン、例えば、ヒドリド官能基を有するもの、特にGelestによりHMS-064、HMS-071、HES-992およびHAM-303という商品名で販売されているもの;アミノ官能基を有するもの、特にGelestによりAMS-152およびAMS-162という商品名で販売されているもの、またはShin-EtsuによりKF-864またはKF 868という商品名で販売されているもの;OH官能基を有するもの、特にOH官能化ジメチコーンコポリオール;あるいはアミノメチコンなど、
- 鎖の末端の少なくとも1個の反応性官能基および少なくとも1個のペンダント反応性官能基を有するポリシロキサン、例えば、GelestによりHDP-111またはHPM-502という商品名で販売されているヒドリド官能基を有するもの、アミノおよびアルコキシ官能基を有するもの、例えば、Shin-EtsuのKF857またはKF-862など
を挙げることができる。
【0080】
本発明の官能化ポリシロキサンを形成するために、ポリシロキサンの反応性官能基、特にOHおよび/またはNH2(NH2はイミダゾールの場合のみ)と反応することができる少なくとも1個の反応性官能基、特にイソシアネートまたはイミダゾールを有する連結基Qを使用して、前記ポリシロキサンと前記連結基との間に特にウレタンタイプの共有結合を形成することができる。
【0081】
上述の通り、連結基は、好ましくは、以下の二価基:フェニレン、1,4-ニトロフェニル、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、-イソホロン-、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4-ビスフェニレンメチレン、好ましくは、-イソホロン-、-(CH2)2、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレンから選択されるリンカーによりポリシロキサン主鎖に接続することができる。
【0082】
単一のイソシアネート官能基を有する連結基は、式:
【0083】
【化15】
【0084】
[式中、R1およびR2は、上で定義した通りであり、特に、
- R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンまたは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、および/または
- R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、あるいは-CH(C2H5)(C4H9)を表す]
のものとすることができる。
【0085】
好ましくは、イソシアネート官能基を有する連結基は、以下の基:
【0086】
【化16】
【0087】
から選択することができる。
【0088】
2個のイソシアネート官能基を有する連結基は、式:
【0089】
【化17】
【0090】
[式中、R1、R2およびR3は、上で定義した通りであり、特に、
- R1は、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロ-ヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレンを表し、および/または
- R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、あるいは-CH(C2H5)(C4H9)を表し、および/または
- R3は、二価基-R'3-O-C(O)-NH-R'4-(式中、R'3およびR'4は、同一でも異なっていてもよく、線状もしくは分枝状のC1〜C30アルキル基またはC4〜C12シクロアルキル基またはC4〜C12アリール基、あるいはそれらの混合物から選択される二価炭素ベースの基を表し、特にR'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表し、R'4は、イソホロンに由来する二価基を表す)を表す]のものとすることができる。
【0091】
極めて好ましい連結基は、式:
【0092】
【化18】
【0093】
のものである。
【0094】
イミダゾール基を有する連結基の中で、以下の化合物:
【0095】
【化19】
【0096】
を挙げることができる。
【0097】
好ましくは、連結基を有するポリシロキサンは、500から100000の間、特に1000から50000の間、またはさらには2000から25000の間、さらに良好には3000から15000の間の数平均分子量(Mn)を有する。
【0098】
好ましくは、本発明の連結基を有するポリシロキサンは、以下の式:
【0099】
【化20】
【0100】
に対応する。
【0101】
この式において、末端基は、統計的なものであり、プロセス次第である可能性があるので、示していない。
【0102】
好ましくは、この式において、aは、2から1000、より良好には3から700、特に5から400、またはさらには10から200、さらに良好には20から100の間であり、好ましくは、bは、1から300、より良好には2から150の間、より良好には3から80の間、さらに良好には4から20の間である。
【0103】
本発明の特定の一実施形態において、連結基は、イソシアネートまたはイミダゾールによる連結基の官能化を介してポリシロキサン主鎖に付着することができる。
【0104】
別の実施形態において、ポリシロキサンをジイソシアネートで予め官能化することにより逆反応を実施することが可能である。
【0105】
連結基を含むポリシロキサンポリマーは、単独でまたは混合物として、本発明の化粧料組成物中に、組成物の総重量に対して、0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.2重量%〜40重量%、優先的には0.5重量%〜15重量%、またはさらには1重量%〜10重量%の比率で存在し得る。
【0106】
超分子ポリマー
したがって、本発明の化粧料組成物は、ポリアルケンベースの(すなわち、ポリオレフィンベースの)超分子ポリマーを含む。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本発明の目的のために、「ポリアルケンベースの超分子ポリマー」という用語は、少なくとも1個の反応性基により官能化されている少なくとも1種のポリアルケンポリマーと、官能化ポリアルケンポリマーの反応性基と反応することができる少なくとも1個の反応性基により官能化されている少なくとも1個の連結基との反応、特に縮合から得られ、前記連結基が、少なくとも3個のH(水素)結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を形成することができるポリマーを意味することを意図したものである。
【0108】
好ましくは、前記官能化ポリアルケンは、水素化されている。
【0109】
「ポリアルケン」または「ポリオレフィン」という用語は、エチレン性不飽和を含む少なくとも1種のアルケンタイプのモノマーの重合から得られるポリマーを意味することを意図したものであり、前記モノマーは、ペンダントであるか、または前記ポリマー主鎖内に位置することができる。「ポリアルケン」または「ポリオレフィン」という用語は、したがって、二重結合を場合により含むことができるポリマーを包含する。好ましくは、本発明において使用する超分子ポリマーは、少なくとも2個のエチレン性不飽和を含むアルケンの重合から得られるポリマーから調製される。
【0110】
本発明の超分子ポリマーは、前記本発明のポリマーと、少なくとも1種の他の同一であるかまたは異なっている本発明のポリマーとの(自己)集合により超分子ポリマー鎖またはネットワークを形成することができ、各集合は、本発明のポリマーの各々が有している、同一であるかまたは異なっている一致した連結基の少なくとも1個のペアを含んでいる。
【0111】
「連結基」という用語は、本発明の目的のために、H結合を供与または受容する基を含み、同一であるかまたは異なっているパートナー連結基と少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を確立することができる任意の基を意味することを意図したものである。これらの連結基は、ポリマー骨格の側方(側枝)に位置していてもよく、および/またはポリマー骨格の端が有していてもよく、および/またはポリマー骨格を形成する鎖内に位置してもよい。連結基は、ランダムにまたは制御された様式で分布することができる。
【0112】
官能化ポリアルケン
ポリアルケンポリマーは、少なくとも1個の反応性基、好ましくは少なくとも2個の反応性基により官能化される。官能化は、鎖の末端で実施することが好ましい。そのため、テレケリックポリマーという用語を使用する。
【0113】
官能化基、または反応性基は、リンカー、好ましくは線状もしくは分枝状のC1〜C4アルキレン基を介して、または直接単結合を介してポリアルケンポリマーに付着することができる。
【0114】
好ましくは、官能化ポリアルケンポリマーは、1000から8000の間の数平均分子量(Mn)を有する。
【0115】
より好ましくは、それらは、1000から5000の間、またはさらには1500から4500の間の数平均分子量を有する。
【0116】
より好ましくは、それらは、2000から4000の間の数平均分子量を有する。
【0117】
特に、本発明の超分子ポリマーのポリマー骨格の全てまたは一部を形成することができる官能化ポリアルケンポリマー(該ポリマーの主鎖全体を形成することが好ましい)は、式HX-P-X'H[式中、
- XHおよびX'Hは、反応性官能基であり、XおよびX'は、同一でも異なっていてもよく、O、S、NH、NCOまたはNRaから選択され、Raは、C1〜C6アルキル基を表し、好ましくは、Xおよび/またはX'は、Oを示し、優先的には、XおよびX'は、Oを示し、
- Pは、1種または複数の線状、環状および/または分枝状の、一不飽和または多不飽和のC2〜C10、好ましくはC2〜C4アルケンの重合により得ることができるホモポリマーまたはコポリマーを表し、Pは、好ましくは、1種または複数の一不飽和の線状または分枝状のC2〜C4アルケンの重合により得ることができるホモポリマーまたはコポリマーを表す]のものである。
【0118】
好ましくは、本発明の超分子ポリマーのポリマー骨格の全てまたは一部を形成することができる官能化ポリアルケンポリマー(該ポリマーの主鎖全体を形成することが好ましい)は、式HO-P-OHのものであり、式中、Pは、1種または複数の線状、環状および/または分枝状の、多不飽和(好ましくは二不飽和)C2〜C10、好ましくはC2〜C4アルケンの重合により得ることができるホモポリマーまたはコポリマーを表す。
【0119】
Pは、好ましくは、1種または複数の二不飽和の、線状または分枝状のC2〜C4アルケンの重合により得ることができるホモポリマーまたはコポリマーを表す。
【0120】
より好ましくは、Pは、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリブタジエン(1,4-ポリブタジエンまたは1,2-ポリブタジエンなど)、ポリイソプレン、ポリ(1,3-ペンタジエン)、ポリイソブチレンから選択されるポリマー、およびそれらのコポリマー、特にポリ(エチレン/ブチレン)を表す。
【0121】
好ましい一実施形態において、Pは、ポリ(エチレン/ブチレン)コポリマーを表す。
【0122】
好ましいポリ(エチレン/ブチレン)は、1-ブテンおよびエチレンのコポリマーである。それらは、以下の単位:[-CH2-CH2-]および[-CH2CH(CH2-CH3)-]の配列により図式的に表すことができる。
【0123】
第2の好ましい実施形態において、Pは、好ましくは1,4-ポリブタジエンまたは1,2-ポリブタジエンから選択されるポリブタジエンホモポリマーである。
【0124】
ポリブタジエンは、1,4-ポリブタジエンまたは1,2-ポリブタジエンとすることができ、それらは、それぞれ、以下の単位:
[-CH2-CH=CH-CH2-](1,4-ポリブタジエン)
[-CH2-CH(CH=CH2)-](1,2-ポリブタジエン)
の配列により図式的に表すことができる。
【0125】
好ましくは、ポリブタジエンは、1,2-ポリブタジエンである。好ましくは、Pは、1,2-ポリブタジエンホモポリマーである。
【0126】
別の実施形態において、Pは、ポリイソプレンである。ポリイソプレンは、以下の単位:
【0127】
【化21】
【0128】
の配列により図式的に表すことができる
【0129】
コポリマーを形成するために上記単位の混合物も使用可能であることは非常に明確である。
【0130】
官能化ポリアルケンポリマーは、架橋結合のリスクを回避するために、水素化、特に完全水素化することができる。好ましくは、本発明の組成物において使用する官能化ポリアルケンポリマーは、水素化されている。
【0131】
超分子ポリマーは、それらの構造内に、他のモノマーに由来する他の単位も含み得る。コモノマーとしては、特に、スチレンまたはエポキシ基を有するモノマーを挙げることができる。好ましい一実施形態において、超分子ポリマーは、他の単位を含まず、したがって、ポリアルケンポリマーのみ(100%)からなって、ポリマー骨格を形成する。特に、超分子ポリマーは、上で定義したポリアルケンPのみから調製され、Pは、好ましくは、1種または複数の一不飽和の線状または分枝状のC2〜C4アルケンの重合により得ることができるホモポリマーまたはコポリマーを表し、Pは、より好ましくはポリエチレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(1,3-ペンタジエン)、ポリイソブチレンから選択されるポリマー、およびそれらのコポリマー、優先的には、ポリ(エチレン/ブチレン)を表す。
【0132】
ポリアルケンポリマーは、少なくとも1個の反応性基、好ましくは少なくとも2個の反応性基により官能化されている。官能化は、鎖の末端で実施することが好ましい。そのため、テレケリックポリマーという用語を使用する。反応性基は、リンカー、好ましくは線状もしくは分枝状のC1〜C4アルキレン基を介して、または直接単結合を介してポリアルケンポリマーに付着することができる。反応性基としては、OH、NH2、NHR、SHまたはNCO官能基を挙げることができる。好ましくは、ポリアルケンポリマーは、OH基により、好ましくは鎖の末端で官能化することができる。好ましくは、それらは、ヒドロキシル末端に対して、1.8〜3、好ましくは約2の官能性を示す。
【0133】
好ましくは、ポリアルケンポリマーは、水素化され、上で定義した少なくとも2個の反応性基XおよびX'により官能化されており、Xおよび/またはX'は、Oを示している。好ましくは、XおよびX'は、Oを示す。
【0134】
好ましい官能化ポリアルケンポリマーの中で、ポリジエン、好ましくはヒドロキシル官能基、好ましくはヒドロキシル末端を含む水素化ポリジエン、およびヒドロキシル末端を含むポリオレフィンを挙げることができ、特にポリブタジエン、ポリイソプレンおよびポリ(1,3-ペンタジエン)のホモポリマーおよびコポリマーから選択することができる。
【0135】
ヒドロキシル末端を含むポリジエンは、特に、例えば、FR2782723において定義されている。それらは、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびポリ(1,3-ペンタジエン)のホモポリマーおよびコポリマーから選択することができる。特に、Sartomer社により販売されているヒドロキシル化ポリブタジエン、例えば、Krasol(登録商標)樹脂およびPoly bd(登録商標)樹脂などを挙げることができる。
【0136】
好ましくは、それらは、ジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンホモポリマー、例えば、Nisso社により販売されているNisso-PB I、GI3000、GI2000およびGI1000の範囲などであり、これらは、以下の式:
【0137】
【化22】
【0138】
により図式的に表すことができる。
【0139】
好ましくは、「n」は、14から105の間、好ましくは20から85の間である。これらのポリマーは、以下の数平均分子量:GI3000はMn=4700、GI2000はMn3300およびGI1000はMn=1500を有する。これらの値は、以下の手順に従ってGPCにより測定した。
【0140】
超分子ポリマーの分子量をGPCにより求めるための手順
ポリスチレン等価物における、数平均(Mn)および重量平均(Mw)分子量、さらには多分散性指数PI=Mw/Mnの決定。
【0141】
校正液の調製
Varianのキット(ref:PS-H(PL2010-0200))を使用してポリスチレン標準物質を調製する。
標準物質の重量は、以下の通りである。
PS 6035000-PS 3053000-PS 915000-PS 483000-PS 184900-PS 60450-PS 19720-PS 8450-PS 3370-PS 1260-PS 580。
各溶液を100μlずつ、校正するカラムに注入する。
【0142】
試料の調製:
乾燥物質の0.5%の溶液をTHF中で調製する。
溶液は、注入の約24h前に調製する。
溶液は、Millex FHフィルター(0.45μm)を通して濾過する。
溶液をカラムに注入する。
【0143】
クロマトグラフィー条件:
カラム:Polymer LabsのPL Rapid M(バッチ5M-Poly-008-15)
Polymer LabsのPL-gel HTS-D(バッチ5M-MD-72-2)
Polymer LabsのPL-gel HTS-F(10M-2-169B-25)
Polymer LabsのPL-Rapid-F(6M-0L1-011-6)
長さ:150mm-内径:7.5mm
ポンプ:WatersのアイソクラチックM1515
溶離液:THF
流速:1ml/min
温度:周囲温度
注入:溶離液中でAMの0.5%で100μl
検出:RI 64mV(Waters 2424屈折計)
温度:45℃
0.1ODで254nmでのUV(Waters 2487 UV検出器)
積算器:EmpowerのオプションのGPC
【0144】
分子量の決定
平均分子量は、校正曲線:log分子量=f(RI検出ピークのトップでの溶出体積)をプロットし、WatersのEmpowerのオプションのGPCソフトウェアを使用することにより求める。
【0145】
ヒドロキシル末端を含むポリオレフィンの中で、α,ω-ヒドロキシル末端を含むホモポリマーまたはコポリマーであるポリオレフィン、例えば、α,ω-ヒドロキシル末端を含むポリイソブチレンなど、および式:
【0146】
【化23】
【0147】
のコポリマー、特にPolytailという商標でMitsubishiにより販売されているものを優先的に挙げることができる。
【0148】
連結基
本発明の超分子ポリマーは、それらの構造内に、少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合を形成することができる連結基の少なくとも1個の残基も有し、前記連結基は、最初に少なくとも1個の反応性基により官能化されている。
【0149】
別段の指定のない限り、「連結基」という用語は、本明細書において、その反応性官能基を有していない基を意味することを意図したものである。
【0150】
反応性基は、リンカーLを介して、または直接単結合を介して連結基に付着している。
【0151】
好ましくは、リンカー(L)は、飽和または不飽和の二価C1〜C20炭素ベースの基であり、特に線状または分枝状のC1〜C20アルキレン、C5〜C20(アルキル)シクロアルキレンアルキレン(好ましくはシクロヘキシレンメチレン)、C11〜C20アルキレン-ビスシクロアルキレン(好ましくはアルキレン-ビスシクロヘキシレン)、C6〜C20(アルキル)アリーレンおよびアルキレン-ビスアリーレン(好ましくはアルキレン-ビスフェニレン)から選択され、リンカーLは、少なくとも1個のアルキル基で置換されていてもよく、および/または、特にNO2置換基の形態の1〜4個のヘテロ原子Nおよび/またはOを場合により含んでいてもよい。
【0152】
好ましくは、リンカーは、フェニレン、1,4-ニトロフェニル、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、-イソホロン-、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレンまたは4,4-ビフェニレンメチレン基から選択される。
【0153】
好ましくは、リンカーは、基:
- C5〜C20(アルキル)シクロアルキレンアルキレン、例えば、イソホロンなど、
C11〜C15アルキレン-ビスシクロアルキレン、例えば、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンなど、
C1〜C20アルキレン、例えば、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2など、および
C6〜C20(アルキル)フェニレン、例えば、2-メチル-1,3-フェニレンなど
から選択される。
【0154】
好ましくは、Lは、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンおよび2-メチル-1,3-フェニレンから選択される。
【0155】
特に好ましい一実施形態において、リンカーは、アルキルシクロアルキレンアルキレンである。
【0156】
好ましくは、この実施形態において、リンカーは、イソホロン基である。「イソホロン」という用語は、以下の基:
【0157】
【化24】
【0158】
を意味することを意図したものである。
【0159】
連結基を官能化する前記反応性基は、官能化ポリアルケンが有している反応性基、特に-OH基と反応することができるはずである。
【0160】
反応性基としては、イソシアネート(-N=C=O)またはチオイソシアネート(-N=C=S)基を挙げることができる。反応性基は、好ましくは-N=C=O(イソシアネート)基である。
【0161】
少なくとも3個のH結合を形成することができる官能化連結基は、
【0162】
【化25】
【0163】
から選択され、好ましくは、
【0164】
【化26】
【0165】
から選択される少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個の同一であるかまたは異なっている官能基を含み得る。
【0166】
これらの官能基は、2つのカテゴリー:
- H結合を供与する官能基:
【0167】
【化27】
【0168】
好ましくは
【0169】
【化28】
【0170】
- H結合を受容する官能基:
【0171】
【化29】
【0172】
好ましくは
【0173】
【化30】
【0174】
に分類することができる。
【0175】
少なくとも3個のH結合を形成することができる連結基は、H結合を確立することができる少なくとも3個の官能基、好ましくは少なくとも4個の官能基、より優先的には4個の官能基を含むベース構造要素を形成する。H結合を確立することができる前記ベース構造要素は、以下の様式:
【0176】
【化31】
【0177】
で図式的に表すことができ、ここで、Xiは、H結合を受容する官能基(同一でも異なっていてもよい)であり、Yiは、H結合を供与する官能基(同一でも異なっていてもよい)である。
【0178】
したがって、各構造要素は、同一の(すなわち、自己相補的)または異なる1つまたは複数のパートナー構造要素とH結合を確立することができなければならず、その結果、少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、より優先的には4個のH結合の形成により2つのパートナー構造要素のペアが各々発生する。
【0179】
プロトンXのアクセプターは、プロトンYのドナーとペアとなる。したがって、複数の可能性があり、例えば、
XXXXとYYYY、
XXXYとYYYX、
XXYXとYYXY、
XYYXとYXXY、
XXYYとYYXX(場合により自己相補的)、
XYXYとYXYX(場合により自己相補的)
というペアとなる。
【0180】
好ましくは、連結基は、同一の(または自己相補的)パートナー基と4個のH結合を確立することができ、それらのうち、2つはドナー結合(例えばNH)であり、2つはアクセプター結合(例えばCOおよび-C=N-)である。
【0181】
好ましくは、少なくとも3個、またはさらには少なくとも4個のH結合を形成することができる連結基は、以下のファミリー、
- 式
【0182】
【化32】
【0183】
のウレイドピリミドンから選択され、全ての互変異性型が含まれることが理解される。
【0184】
この式において、各基の意味は、以下の通りである。
- R'1は、単結合、水素原子、ハロゲン原子、あるいは1個または複数のO、S、またはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C30炭素ベースの(特にアルキル)基を表す。
【0185】
R'1基は、特に、アミノ、チオおよび/またはヒドロキシル官能基で場合により置換されている、C4〜C12シクロアルキル基、線状もしくは分枝状のC1〜C30アルキル基またはC4〜C12アリール基とすることができる。
【0186】
好ましくは、R'1は、C4H9、フェニル、1,4-ニトロフェニル、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、-イソホロン-、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレンもしくは4,4-ビスフェニレンメチレン基、または単結合である。
【0187】
優先的には、R'1は、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレン、または単結合を表す。
- R'2は、単結合、C1〜C6アルキレンタイプの二価基、あるいは水素原子、または1個もしくは複数のO、SもしくはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C30炭化水素ベースの基から選択される一価基を表す。
【0188】
好ましくは、R'2は、単結合、あるいはH、C1〜C30アルキル基、C4〜C12シクロアルキル基、C4〜C12アリール基、(C4〜C12)アリール(C1〜C12)アルキル基とすることができ、これらの基は、アミノ、チオおよび/またはヒドロキシル官能基で場合により置換されている。優先的には、R'2は、H、CH3、CH2OH、(CH2)2-OH、C13H27、C7H15もしくはフェニル、または単結合を表す。
【0189】
R'3は、水素原子、あるいは1個または複数のO、SまたはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C30炭化水素ベースの基を表す。
【0190】
好ましくは、R'3は、アミノ、チオおよび/またはヒドロキシル基で場合により置換されている、C4〜C12シクロアルキル基、線状もしくは分枝状のC1〜C30アルキル基またはC4〜C12アリール基とすることができ、優先的には、R'3は、H、CH3、CH2OHまたは(CH2)2-OH、さらに良好にはメチルを表す。
【0191】
R'1およびR'2基の少なくとも1個、特に1個または2個が単結合であることが理解される。
【0192】
好ましくは、
- R'1基(あるいはR'1およびR'2基)は、グラフトの残部に少なくとも3(好ましくは4)個のH結合を形成することができる連結基のリンカーへの付着点を構成する単結合である。好ましくは、前記付着点は、単結合であるR'1のみが有しており、
- R'2基は、単結合、またはC1〜C6アルキレンから選択される二価基、あるいは単結合、水素原子、または1個もしくは複数のO、S、もしくはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状もしくは分枝状の一価飽和C1〜C10炭化水素ベースの基から選択される一価基を表し、これらの基は、ヒドロキシル、アミノおよび/またはチオ官能基で場合により置換されている。
【0193】
好ましくは、R'2基は、単結合、あるいはH、CH2OH、(CH2)2-OHおよびCH3から選択される一価基とすることができる。
【0194】
特に好ましい一実施形態において、R'2はHであり、
- R'3基は、二価または一価基を表し、特に、R'3は、水素原子、または1個もしくは複数のO、SもしくはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状もしくは分枝状の一価飽和C1〜C10炭化水素ベースの基から選択され、前記炭化水素ベースの基は、ヒドロキシル、アミノおよび/またはチオ官能基で場合により置換されている。
【0195】
好ましくは、R'3基は、H、CH2OH、(CH2)2-OHおよびCH3から選択される一価基とすることができる。
【0196】
特に好ましい実施形態において、R'3は、メチル基である。
【0197】
好ましい一実施形態において、連結基は、2-ウレイドピリミドンおよび6-メチル、2-ウレイドピリミドンから選択される。
【0198】
好ましくは、好ましい連結基は、6-メチル-2-ウレイドピリミドンである。
【0199】
連結基、特にウレイドピリミドン連結基は、超分子ポリマーの調製プロセスの間に直接付加するか、あるいはin situで形成することができる。以下に記載の第1および第2の調製モードは、それぞれ、これらの2つの代替を例示するものである。
【0200】
特に、官能化ポリアルケンポリマーと反応して、本発明の超分子ポリマーを生じることができる官能化連結基は、好ましくは、式(III)、優先的には式(IV):
【0201】
【化33】
【0202】
のものであり、
式中、
Lは、単結合、あるいは上で定義したリンカーであり、
【0203】
特に、Lは、特にNO2置換基の形態の1〜4個のNおよび/またはOヘテロ原子を場合により含む、線状、環状および/または分枝状の、飽和または不飽和の、またはさらには芳香族の、二価C1〜C20炭素ベースの(アルキレン)基、特にフェニレン、1,4-ニトロフェニル、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、-イソホロン-、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、または4,4-ビスフェニレンメチレン基である。好ましくは、Lは、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンまたは2-メチル-1,3-フェニレン、より良好にはイソホロンであり、
- R'2は、単結合、C1〜C6アルキレンタイプの二価基、あるいは水素原子、または1個もしくは複数のO、SもしくはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C30炭化水素ベースの基から選択される一価基を表す。
【0204】
好ましくは、R'2は、単結合、あるいはH、C1〜C30アルキル基、C4〜C12シクロアルキル基、C4〜C12アリール基、(C4〜C12)アリール(C1〜C12)アルキル基とすることができ、これらの基は、アミノ、エステルおよび/またはヒドロキシル官能基で場合により置換されている。優先的には、R'2は、H、CH3、CH2OH、(CH2)2-OH、C13H27、C7H15もしくはフェニル、または単結合を表し、
- R'3は、水素原子、あるいは1個または複数のO、SまたはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状、分枝状および/または環状の、飽和または不飽和の、場合により芳香族の、一価C1〜C30炭化水素ベースの基を表す。
【0205】
好ましくは、R'3は、アミノ、エステルおよび/またはヒドロキシル官能基で場合により置換されている、C4〜C12シクロアルキル基、線状もしくは分枝状のC1〜C30アルキル基またはC4〜C12アリール基とすることができ、優先的には、R'3は、H、CH3、CH2OHまたは(CH2)2-OH、さらに良好にはメチルを表す。
【0206】
好ましくは、R'2基は、単結合、またはC1〜C6アルキレンから選択される二価基、あるいは1個または複数のO、SまたはNなどのヘテロ原子を含有することができる単結合、水素原子、または線状もしくは分枝状の一価飽和C1〜C10炭化水素ベースの基から選択される一価基を表し、これらの基は、ヒドロキシル、アミノおよび/またはチオ官能基で場合により置換されている。
【0207】
好ましくは、R'2基は、単結合、あるいはH、CH2OH、(CH2)2-OHおよびCH3から選択される一価基とすることができる。
【0208】
特に好ましい一実施形態において、R'2は、Hである。
【0209】
好ましくは、R'3基は、二価または一価基を表し、特にR'3は、水素原子、または1個もしくは複数のO、SもしくはNなどのヘテロ原子を含有することができる線状もしくは分枝状の飽和一価C1〜C10炭化水素ベースの基から選択され、前記炭化水素ベースの基は、ヒドロキシル、アミノおよび/またはチオ官能基で場合により置換されている。
【0210】
好ましくは、R'3基は、H、CH2OH、(CH2)2OHおよびCH3から選択される一価基とすることができる。
【0211】
特に好ましい一実施形態において、R'3は、メチル基である。
【0212】
好ましくは、Lは、基:
- C5〜C20(アルキル)シクロアルキレンアルキレン、例えば、イソホロンなど、
- C11〜C25アルキレン-ビスシクロアルキレン、例えば、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンなど、
- C1〜C20アルキレン、例えば、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2など、および
- C6〜C20(アルキル)フェニレン、例えば、2-メチル-1,3-フェニレンなど
から選択される。
【0213】
好ましくは、Lは、-イソホロン-、-(CH2)6-および4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンから選択される。
【0214】
特に好ましい一実施形態において、連結基は、式:
【0215】
【化34】
【0216】
のものであり、式中、Lはイソホロンである。
【0217】
特に好ましい一実施形態において、本発明の超分子ポリマーは、式:
【0218】
【化35】
【0219】
[式中、
- L'およびL"は、互いに独立して、上でLに関して示した意味を有し、
- X、X'=Oであり、Pは、上で官能化ポリアルケンポリマーに関して示した意味を有する]に対応する。
【0220】
好ましくは、L'およびL"は、飽和または不飽和の、線状、環状および/または分枝状の二価C1〜C20炭素ベースの(アルキレン)基を表す。好ましくは、L'およびL"は、線状または分枝状のC1〜C20アルキレン、C5〜C20(アルキル)シクロアルキレン、アルキレン-ビスシクロアルキレンおよびC6〜C20(アルキル)アリーレンから選択される。好ましくは、L'およびL"は、-イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C-(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンまたは2-メチル-1,3-フェニレン基を表す。
【0221】
好ましくは、L'およびL"は、同一である。
【0222】
好ましくは、L'およびL"は、イソホロン基である。
【0223】
好ましくは、Pは、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(1,3-ペンタジエン)、ポリイソブチレン、またはそれらのコポリマーのうちの1種、特にポリ(エチレン/ブチレン)を表し、好ましくは水素化されている。
【0224】
好ましくは、Pは、水素化ポリブタジエン、好ましくは水素化1,2-ポリブタジエンである。
【0225】
特に好ましい一実施形態において、本発明の超分子ポリマーは、式:
【0226】
【化36】
【0227】
に対応する。
【0228】
好ましくは、nは、前記ポリマーの数平均分子量(Mn)が1000から8000の間、特に1000から5000の間、またはさらには1500から4500の間、さらに良好には2000から4000の間となるような数である。
【0229】
調製プロセス
本発明のポリマーは、特にポリアルケンの遊離OH官能基と連結基が有しているイソシアネート官能基との間にウレタン結合を形成するために当業者により通常採用されるプロセスにより調製することができる。
【0230】
非限定的な例として、第1の一般的調製プロセスとは、
- 場合により、官能化されるポリマーが残留水を含まないことを確認すること、
- 少なくとも1個の反応性官能基、特に2個の反応性官能基、特にOHを含む前記ポリマーを、60℃から140℃の間とすることができる温度まで加熱すること(該ポリマーのヒドロキシル価は、反応の進行状態を測定するための基準としての機能を果たすことができる)、
- 特許WO 2005/042641に記載のものなどの、反応性官能基、特にイソシアネート反応性官能基を有する連結基、特にウレイドピリミドン基;特にcas番号32093-85-9および709028-42-2の連結基などを、好ましくは直接付加すること、
- 場合により、制御雰囲気下、約90〜130℃の温度で、1〜24時間、混合物を撹拌すること、
- 場合により、赤外分光法により、イソシアネートの帯域特性(2500から2800cm-1の間)の消失をモニタリングして、ピークが完全に消失した時点で反応を停止させ、次いで、最終製品を周囲温度に戻すこと
である。
【0231】
該反応は、ヒドロキシル官能基の定量によりモニターすることもでき、残留するイソシアネート官能基を完全に消失させるためにエタノールを添加することも可能である。
【0232】
該反応は、溶媒、特にメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、トルエン、炭酸プロピレンまたは酢酸ブチルの存在下で実施することができる。ウレタン結合の形成に関して通例の触媒を添加することも可能である。一例として、ジブチル錫ジラウレートを挙げることができる。最後に、該ポリマーは、当業者の一般的知識に従って洗浄および乾燥すること、またはさらには精製することができる。
【0233】
好ましい調製の第2の方法において、反応は、以下のステップを含むことができる。
(i)反応スキームに従った、好ましくは予め乾燥させたポリマーのジイソシアネートによる官能化:
OH-ポリマー-OH(1eq.)+NCO-X-NCO(1eq.)→OCN-X-NH-(O)CO-ポリマー-OC(O)-NH-X-NCO
ジイソシアネートは、場合により、該ポリマーに対して過剰な量とすることができる。この第1のステップは、溶媒の存在下、20℃から100℃の間の温度で実施することができる。この第1のステップの後に、制御雰囲気下で、1〜24時間の撹拌の期間を設けることができる。混合物は、場合により、加熱することができる。この第1のステップの進行状態は、ヒドロキシル官能基の定量によりモニターすることができ、次いで、
(ii)上で得たプレポリマーと、式:
【0234】
【化37】
【0235】
の6-メチルイソシトシンとの反応。
【0236】
この第2のステップは、場合により、共溶剤、例えば、トルエン、酢酸ブチルまたは炭酸プロピレンなどの存在下で実施することができる。反応混合物は、80℃から140℃の間で1から24時間の間の変動する期間、加熱することができる。触媒、特にジブチル錫ジラウレートの存在により、所望の最終製品の製造を促進することができる。
【0237】
該反応は、イソシアネートの特徴である2200から2300cm-1の間のピークの消失をモニタリングすることにより、赤外分光法によりモニターすることができる。該反応の最後に、存在し得る残留イソシアネート官能基を中和するために、エタノールを反応媒体に添加することができる。反応混合物は、場合により濾過することができる。該ポリマーは、化粧料用溶媒中で直接分離することもできる。
【0238】
特定の一実施形態において、前記超分子ポリマーは、炭化水素ベースの、好ましくは揮発性油、特にイソドデカンに可溶化される。
【0239】
したがって、本発明の組成物は、特に超分子ポリマーの溶解により提供される、少なくとも1種の炭化水素ベースの、好ましくは揮発性油、特に少なくともイソドデカンを含む。
【0240】
特に、超分子ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、0.1乾燥物質重量%〜99乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0241】
特に、超分子ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、1乾燥物質重量%〜80乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0242】
好ましい一変形例において、超分子ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、2乾燥物質重量%〜70乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0243】
さらにより好ましい変形例において、超分子ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、3乾燥物質重量%〜60乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0244】
さらにより好ましい変形例において、超分子ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、4乾燥物質重量%〜50乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0245】
さらにより好ましい変形例において、超分子ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、5乾燥物質重量%〜40乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0246】
本発明の特定の一実施形態において、皮膚、特に顔の皮膚、または唇用の組成物の形態のメイクアップ組成物を提供し、超分子ポリマーは、その中に、組成物の総重量に対して、2.5乾燥物質重量%〜60乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0247】
さらにより好ましい変形例において、皮膚、特に顔の皮膚、または唇用の組成物の形態のメイクアップ組成物を提供し、超分子ポリマーは、その中に、組成物の総重量に対して、2.5乾燥物質重量%〜40乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0248】
さらにより好ましい変形例において、皮膚、特に顔の皮膚、または唇用の組成物の形態のメイクアップ組成物を提供し、超分子ポリマーは、その中に、組成物の総重量に対して、3乾燥物質重量%〜30乾燥物質重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0249】
有利には、本発明の組成物は、特に皮膚および/または唇用のメイクアップ組成物の場合、少なくとも1種の超分子ポリマーおよび少なくとも1種の官能化ポリシロキサンを、0.01から50の間の超分子ポリマー/官能化ポリシロキサン重量比で含む。
【0250】
好ましくは、それらは、0.1から30の間の重量比で存在する。さらにより好ましくは、それらは、0.5から20の間の重量比で存在する。
【0251】
有利には、本発明の組成物は、特に皮膚および/または唇用のメイクアップ組成物の場合、揮発性化合物を除いた組成物の重量に対して(特に揮発性油、例えば、イソドデカンなどを除いた組成物の重量に対して)、5乾燥物質重量%から99乾燥物質重量%の間の超分子ポリマーの含量を含む。
【0252】
この含量は、特にケラチン物質、例えば、皮膚および/または唇などに、例えば、揮発性化合物の蒸発後に、本発明の組成物により生成された付着物中に得られる超分子ポリマーの含量を反映している。
【0253】
好ましくは、本発明の組成物は、特にメイクアップ組成物の場合、揮発性化合物を除いた組成物の重量に対して、10乾燥物質重量%から90乾燥物質重量%の間、好ましくは15乾燥物質重量%から80乾燥物質重量%の間の超分子ポリマーの含量を含む。
【0254】
液体脂肪相
本発明の化粧料組成物は、さらに、化粧品として許容される媒体、すなわち、ケラチン物質、例えば、顔または身体の皮膚、睫毛、眉毛、唇および爪などと相溶性である媒体を含む。
【0255】
前記媒体は、鉱物、動物、植物または合成由来の揮発性または不揮発性の炭素ベース、炭化水素ベースおよび/またはシリコーンおよび/またはフルオロ油および/または溶媒から選択される少なくとも1種の化合物(ただし、それらは、均一で安定性の混合物を形成し、意図した用途に適応する)を、単独でまたは混合物として含み得る液体脂肪相を含むことができる。
【0256】
好ましい一実施形態において、特にケラチン物質、特に唇または皮膚用などのメイクアップおよび/またはケア組成物の場合、本発明の組成物は、少なくとも1種の揮発性または不揮発性油を含む。
【0257】
「油」という用語は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である水不混和性の非水化合物を意味することを意図したものである。
【0258】
本発明の目的のために、「揮発性」という用語は、ケラチン物質、または唇と接触すると、1時間以内に、周囲温度(25℃)および大気圧(1atm)で蒸発することができる任意の化合物を意味することを意図したものである。特に、この揮発性化合物は、周囲温度および大気圧で、特に0.13Pa〜40000Paの範囲、特に1.3Pa〜13000Paの範囲の、より具体的には1.3Pa〜1300Paの範囲の非ゼロ蒸気圧を有する。対照的に、「不揮発性」という用語は、周囲温度および大気圧で少なくとも1時間、ケラチン物質または唇上に残り、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する化合物を意味することを意図したものである。
【0259】
好ましくは、本発明の組成物の生理学的に許容される媒体は、液体脂肪相中に、単独でまたは混合物として、以下から選択することができる少なくとも1種の油および/または1種の溶媒を含み得る。
1/モノカルボン酸とモノアルコールおよびポリアルコールとのエステル;有利には、前記エステルは、C12〜C15安息香酸アルキルであるか、または次の式:R'1-COO-R'2に対応し、式中、
R'1は、1個または複数のエチレン性二重結合を場合により含む、1〜40個の炭素原子、好ましくは7〜19個の炭素原子の線状または分枝状のアルキル基を表し、これは、場合により置換されており、その炭化水素ベースの鎖は、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子および/または1個もしくは複数のカルボニル官能基で中断されていてもよく、
R'2は、1個または複数のエチレン性二重結合を場合により含む、1〜40個の炭素原子、好ましくは3〜30個の炭素原子、より良好には3〜20個の炭素原子の線状または分枝状のアルキル基を表し、これは、場合により置換されており、その炭化水素ベースの鎖は、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子および/または1個もしくは複数のカルボニル官能基で中断されていてもよい。
【0260】
「場合により置換された」という用語は、R'1および/またはR'2が、例えば、Oおよび/またはNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む基、例えば、アミノ、アミン、アルコキシおよびヒドロキシルなどから選択される1個または複数の置換基を有し得ることを意味する。
【0261】
基R'1の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オレオステアリン酸、アラキドン酸およびエルカ酸により形成される基、ならびにそれらの混合物から選択される、脂肪酸、好ましくは高級脂肪酸に由来するものである。
【0262】
好ましくは、R'1は、4〜14個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子の分枝状の非置換アルキル基であり、R'2は、5〜15個の炭素原子、好ましくは9〜11個の炭素原子の分枝状の非置換アルキル基である。
【0263】
特に、好ましくは、それらの炭化水素ベースの鎖内にNおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子および/または1個もしくは複数のカルボニル官能基を場合により組み込んでいるC8〜C48エステル;より具体的にはピュアセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、C12〜C15安息香酸アルキル、ラウリン酸ヘキシルまたはアジピン酸ジイソプロピル;ならびにアルコールまたはポリアルコール、例えば脂肪族アルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエートまたはリシノレエート、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、さらにはイソプロピルN-ラウロイルサルコシネート(特にAjinomotoのEldew-205SL);ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリルまたはリンゴ酸ジイソステアリル;ならびにペンタエリスリトールエステル;分枝状のC8〜C16エステル、特にネオペンタン酸イソヘキシルを挙げることができる。
【0264】
2/グリセロールの脂肪酸エステルから形成される、高トリグリセリド含量を有する炭化水素ベースの植物油(脂肪酸は、C4〜C24の多様な鎖長を有することができ、これらの鎖は、線状または分枝状、および飽和または不飽和とすることができる)、これらの油は、特に、バクガ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア油、ヒマシ油、甘扁桃油、マカダミア油、キョウニン油、ダイズ油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ種子油、マロー油、アボカド油、ハシバミ油、ブドウ種子油、クロフサスグリ種子油、マツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、オリーブ油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油、ホホバ油、パーム油またはテリハボク油;あるいはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearinerie Dubois社により販売されているもの、またはDynamit Nobel社によりMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)という商品名で販売されているものである。
【0265】
3/アルコール、特にC6〜C32、特にC12〜C26モノアルコール、例えばオレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノールおよびオクチルドデカノール、
4/合成または鉱物由来の、線状または分枝状の揮発性または不揮発性炭化水素ベースの油(5〜100個の炭素原子を含有する炭化水素ベースの油、特に石油ゼリー、ポリデセン、Parleamなどの水素化ポリイソブテン、スクアランおよびペルヒドロスクアレン、ならびにそれらの混合物から選択することができる)。
【0266】
より具体的には、線状、分枝状および/または環状のC5〜C48アルカン、優先的には分枝状のC8〜C16アルカン、例えば石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、特にデカン、ヘプタン、ドデカンおよびシクロヘキサン、さらにはイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンを挙げることができる。
【0267】
5/揮発性または不揮発性シリコーン油;
挙げることができる揮発性シリコーン油には、線状または環状の揮発性シリコーン油、特に2〜10ケイ素原子を含有し、特に粘度が8センチストーク未満のもの(これらのシリコーンは、1〜22個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシ基を場合により含む)、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびメチルヘキシルジメチルシロキサン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0268】
本発明において使用することができる不揮発性シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキルまたはアルコキシ基(ペンダントであり、および/またはシリコーン鎖の末端に位置し、各々が2〜24個の炭素原子を含有する)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートとすることができる。
【0269】
優先的には、本発明の組成物の生理学的に許容される媒体は、液体脂肪相中に、単独でまたは混合物として、イソドデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコン、C12〜C15安息香酸アルキル、ブチルおよび酢酸エチル、ならびに/あるいはD5(デカメチルシクロペンタシロキサン)から選択される少なくとも1種の油ならびに/あるいは1種の溶媒を含む。
【0270】
液体脂肪相は、単独でまたは混合物として、
- フルオロ油、例えば、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルカン、例えばペルフルオロデカリン、ペルフルオロアダマンタン、ペルフルオロアルキルホスフェートのモノエステル、ジエステルおよびトリエステルならびにフルオロエステル油など、
- 動物由来の油、
- C6〜C40、特にC10〜C40エーテル;室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなど、
- C8〜C32脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸またはリノレン酸、およびそれらの混合物、
- エステルおよび/またはアミドから選択される2個の官能基を含み、6〜30個の炭素原子、特に8〜28個の炭素原子、さらに良好には10〜24個の炭素原子、ならびにOおよびNから選択される4個のヘテロ原子を含有する二官能性油(好ましくは、アミドおよびエステル官能基は、鎖内に位置している)、
- 室温(25℃)で液体であるケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンおよびアセトンなど、
- 室温で液体であるアルデヒド、例えば、ベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒドなど
から選択することができるさらなる油および/または溶媒も含み得る。
【0271】
液体脂肪相は、組成物の総重量に対して組成物の1重量%〜90重量%、特に5重量%〜75重量%、特に10重量%〜60重量%、またはさらには25重量%〜55重量%を占め得る。
【0272】
シリコーン化合物
好ましい一実施形態において、特にメイクアップ組成物、特に皮膚および/または唇用の場合、本発明の組成物は、25℃で10,000,000cSt未満の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン化合物を含む。そのような化合物は、有利には、シリコーンガム、揮発性シリコーン油および不揮発性シリコーン油から選択される。
【0273】
特定の一実施形態において、皮膚および/または唇用のケアおよび/またはメイクアップ組成物は、少なくとも1種のシリコーン化合物を含む。
【0274】
本発明の組成物中にそのような化合物が存在することにより、ケラチン物質、特に皮膚および/または唇上のその付着物があまり粘着性ではない、または全く粘着性ではない組成物を得ることが可能となる。
【0275】
その存在により、付着物の色移り耐性、および/または侵蝕、特に摩擦に対する耐性の性質を改善することも可能となる。付着物の色堅牢度(摩擦に対する耐性)も改善することができ、形成される付着物の快適性および化粧性(軟らかさ、形成される付着物の手触りの滑らかさ)も改善することができる。
【0276】
特に、本発明において検討中のシリコーン化合物は、3センチストーク(cSt)(3×10-6m2/s)から800000センチストーク(cSt)(800000×10-6m2/s)の間の粘度を有するシリコーン油とすることができる。
【0277】
好ましくは、本発明において検討中のシリコーン化合物は、9センチストーク(cSt)(3×10-6m2/s)から600000センチストーク(cSt)(600000×10-6m2/s)の間の粘度を有する不揮発性シリコーン油とすることができる。
【0278】
シリコーン油
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1個のSi-O基を含む油を意味することを意図したものである。
【0279】
特に、本発明において使用することができる揮発性または不揮発性シリコーン油は、25℃で800000cSt未満、好ましくは600000cSt以下、好ましくは500000cSt以下の粘度を有することが好ましい。これらのシリコーン油の粘度は、標準ASTM D-445に従って測定することができる。
【0280】
当然のことながら、本発明の組成物または本発明の方法において検討中の組成物は、部分的にそのような油でできているシリコーン油の混合物を含有することができる。
【0281】
本発明の組成物において使用することができるシリコーン油は、揮発性および/または不揮発性とすることができる。
【0282】
揮発性シリコーン油
第1の実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油を含む。
【0283】
本発明において使用することができる揮発性シリコーン油は、特に粘度≦8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s)を有するシリコーン油から選択することができる。
【0284】
さらに、本発明において使用することができる揮発性シリコーン油は、好ましくは40℃〜102℃の範囲の引火点を有する、好ましくは55℃超および95℃以下、優先的には65℃〜95℃の範囲の引火点を有するシリコーン油から選択することができる。
【0285】
揮発性シリコーン油として、以下のものを挙げることができる。
- 線状または環状揮発性シリコーン油、特に粘度≦8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s、25℃で)を有し、特に2〜10個のケイ素原子、特に2〜7個のケイ素原子を有するもの(これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を場合により含む)。
【0286】
より具体的には、揮発性シリコーン油は、非環状であり、特に以下のものから選択される。
- 式(I):
R3SiO-(R2SiO)n-SiR3
[式中、Rは、同一でも異なっていてもよく、
- 1個もしくは複数のフッ素原子または1個もしくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されている、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素ベースの基、あるいは
- ヒドロキシル基
を示し、R基のうちの1個は、フェニル基とすることができ、nは、0〜8の範囲、好ましくは2〜6の範囲、さらに良好には3〜5の範囲の整数である]の非環状の線状シリコーン(式(I)のシリコーン化合物は、最大で15個の炭素原子を含有する)、
- 以下の式(II)または(III):
R3SiO-[(R3SiO)RSiO]-(R2SiO)x-SiR3(II)
[R3SiO]4Si(III)
[式中、Rは、同一でも異なっていてもよく、
- 場合により1個もしくは複数のフッ素原子または1個もしくは複数のヒドロキシル基で置換された、1〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素ベースの基、あるいは
- ヒドロキシル基
を示し、R基のうちの1個は、フェニル基とすることができ、xは、0〜8の範囲の整数である]の分枝状のシリコーン(式(II)または(III)のシリコーン化合物は、最大で15個の炭素原子を含有する)。
【0287】
好ましくは、式(I)、(II)および(III)の化合物に関して、炭素原子の数とケイ素原子の数との間の比は、2.25から4.33の間である。
【0288】
式(I)〜(III)のシリコーンは、シリコーン化合物を合成するための知られているプロセスに従って調製することができる。
【0289】
式(I)のシリコーンの中で、以下のものを挙げることができる。
- 次のジシロキサン:特にDow Corning社によりDC 200 Fluid 0.65 cStという商品名で販売されているヘキサメチルジシロキサン(表面張力=15.9mN/m)、1,3-ジ-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジプロピル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ヘプチルペンタメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3,3-トリメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(2-メチルプロピル)ジシロキサン、ペンタメチルオクチルジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3,3-トリス(1-メチルエチル)ジシロキサン、1-ブチル-3-エチル-1,1,3-トリメチル-3-プロピルジシロキサン、ペンタメチルペンチルジシロキサン、1-ブチル-1,1,3,3-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)ジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(1-メチルプロピル)ジシロキサン、1,1,3-トリエチル-1,3,3-トリプロピルジシロキサン、(3,3-ジメチルブチル)ペンタメチルジシロキサン、(3-メチルブチル)ペンタメチルジシロキサン、(3-メチルペンチル)ペンタメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3-ジメチル-3-プロピルジシロキサン、1-(1,1-ジメチルエチル)-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3,3-トリプロピルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,1,3,3-テトラキス(1-メチルエチル)ジシロキサン、1,1-ジブチル-1,3,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(1-メチルエチル)ジシロキサン、1,1,1,3-テトラメチル-3,3-ビス(1-メチルエチル)ジシロキサン、1,1,1,3-テトラメチル-3,3-ジプロピルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メチルブチル)ジシロキサン、ブチルペンタメチルジシロキサン、ペンタエチルメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジペンチルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,1,3,3-テトラプロピルジシロキサン、1,1,1,3-テトラエチル-3,3-ジメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3,3-トリプロピルジシロキサン、1,3-ジブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンおよびヘキシルペンタメチルジシロキサン、
- 次のトリシロキサン:特にDow Corning社によりDC 200 Fluid 1 cStという商品名で販売されているオクタメチルトリシロキサン(表面張力=17.4mN/m)、3-ペンチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1-ヘキシル-1,1,3,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチル-5-オクチルトリシロキサン、特にOSI社によりSilsoft 034という商品名で販売されている1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-オクチルトリシロキサン、特にDow Corning社によりDC 2-1731という商品名で販売されている1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ヘキシルトリシロキサン(表面張力=20.5mN/m)、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ジプロピルトリシロキサン; 3-(1-エチルブチル)-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(1-メチルペンチル)トリシロキサン; 1,5-ジエチル-1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン; 1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(1-メチルプロピル)トリシロキサン; 3-(1,1-ジメチルエチル)-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,1,1-5,5,5-ヘキサメチル-3,3-ビス(1-メチルエチル)トリシロキサン; 1,1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(1-メチルプロピル)トリシロキサン; 1,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン; 3-(3,3-ジメチルブチル)-1,1,1-3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(3-メチルブチル)トリシロキサン; 1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(3-メチルペンチル)トリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(2-メチルプロピル)-トリシロキサン; 1-ブチル-1,1,3,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-プロピルトリシロキサン; 3-イソヘキシル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,3,5-トリエチル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン; 3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 3-tert-ペンチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3,3-ジプロピルトリシロキサン; 3,3-ジエチル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン; 1,5-ジブチル-1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン; 1,1,1,5,5,5-ヘキサエチル-3,3-ジメチルトリシロキサン; 3,3-ジブチル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン; 3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-トリシロキサン; 3-ヘプチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンおよび1-エチル-1,1,3,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、
- 次のテトラシロキサン:特にDow Corning社によりDC 200 Fluid 1.5 cStという商品名で販売されているデカメチルテトラシロキサン(表面張力=18mN/m)、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチル-1,7-ジプロピルテトラシロキサン; 1,1,1,3,3,5,7,7,7-ノナメチル-5-(1-メチルエチル)テトラシロキサン、1-ブチル-1,1,3,3,5,5,7,7,7-ノナメチルテトラシロキサン; 3,5-ジエチル-1,1,1,3,5,7,7,7-オクタメチル-テトラシロキサン; 1,3,5,7-テトラエチル-1,1,3,5,7,7-ヘキサ-メチルテトラシロキサン; 3,3,5,5-テトラエチル-1,1,1,7,7,7-ヘキサメチルテトラシロキサン; 1,1,1,3,3,5,5,7,7-ノナメチル-7-フェニルテトラシロキサン; 3,3-ジエチル-1,1,1,5,5,7,7,7-オクタメチルテトラシロキサン; 1,1,1,3,3,5,7,7,7-ノナメチル-5-フェニルテトラシロキサン;
- 次のペンタシロキサン:特にDow Corning社によりDC 200 Fluid 2 cStという商品名で販売されているドデカメチルペンタシロキサン(表面張力=18.7mN/m)、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチル-1,9-ジプロピルペンタシロキサン; 3,3,5,5,7,7-ヘキサエチル-1,1,1,9,9,9-ヘキサメチルペンタシロキサン; 1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9-ウンデカ-メチル-5-フェニルペンタシロキサン; 1-ブチル-1,1,3,3,5,5,7,7,-9,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン; 3,3-ジエチル-1,1,1,5,5-7,7,9,9,9-デカメチルペンタシロキサン; 1,3,5,7,9-ペンタエチル-1,1,3,5,7,9,9,-ヘプタメチルペンタシロキサン; 3,5,7-トリエチル-1,1,1,3,5,7,9,9,9-ノナメチルペンタシロキサンおよび1,1,1-トリエチル-3,3,5,5,7,7,9,9,9-ノナメチルペンタシロキサン、
- 次のヘキサシロキサン:1-ブチル-1,1,3,3,5,5,7,7-9,9,11,11,11-トリデカメチルヘキサシロキサン、3,5,7,9-テトラエチル-1,1,1,3,5,7,9,11,11,11-デカメチルヘキサシロキサンおよびテトラデカメチルヘキサシロキサン、
- ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、
- オクタデカメチルオクタシロキサン、
- エイコサメチルノナシロキサン。
【0290】
式(II)のシリコーンの中で、以下のものを挙げることができる。
- 次のテトラシロキサン: 2-[3,3,3-トリメチル-1,1-ビス[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]エチル; 1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-(2-メチルプロピル)-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 3-(1,1-ジメチルエチル)-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 3-ブチル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-プロピル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 3-エチル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 1,1,1-トリエチル-3,5,5,5-テトラメチル-3-(トリメチルシロキシ)トリシロキサン; 3-メチル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]-トリシロキサン; 3-[(ジメチルフェニルシリル)オキシ]-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン; 1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-(2-メチルペンチル)-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-(4-メチルペンチル)-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン; 3-ヘキシル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサンおよび1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、
- 次のペンタシロキサン:1,1,1,3,5,5,7,7,7-ノナメチル-3-(トリメチルシロキシ)テトラシロキサンおよび1,1,1,3,3,7,7,7-オクタメチル-5-フェニル-5-[(トリメチルシリル)オキシ]テトラシロキサン、
- 次のヘプタシロキサン:1,1,1,3,5,5,7,7,9,9,11,11,11-トリデカメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]ヘキサシロキサン。
【0291】
式(III)のシリコーンの中で、以下のものを挙げることができる。
- 1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3,3-ビス(トリメチルシロキシ)トリシロキサン。
【0292】
以下のものから選択される他の揮発性シリコーン油も使用することができる。
- 次のテトラシロキサン:2,2,8,8-テトラメチル-5-[(ペンタメチルジシロキサニル)メチル]-3,7-ジオキサ-2,8-ジシラノナン、2,2,5,8,8-ペンタメチル-5-[(トリメチルシリル)メトキシ]-4,6-ジオキサ-2,5,8-トリシラノナン、1,3-ジメチル-1,3-ビス[(トリメチルシリル)メチル]-1,3-ジシロキサンジオール、3-エチル-1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-[3-(トリメチルシロキシ)プロピル]トリシロキサンおよび1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-フェニル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン(Dow 556 Fluid)、
- 次のペンタシロキサン:2,2,7,7,9,9,11,11,16,16-デカメチル-3,8,10,15-テトラオキサ-2,7,9,11,16-ペンタシラヘプタデカンおよびケイ酸テトラキス[(トリメチルシリル)メチル]エステル、
- 次のヘキサシロキサン:3,5-ジエチル-1,1,1,7,7,7-ヘキサメチル-3,5-ビス[(トリメチルシリル)オキシ]テトラシロキサンおよび1,1,1,3,5,7,7,7-オクタメチル-3,5-ビス[(トリメチルシリル)オキシ]テトラシロキサン、
- ヘプタシロキサン:1,1,1,3,7,7,7-ヘプタメチル-3,5,5-トリス[(トリメチルシリル)オキシ]テトラシロキサン、
- 次のオクタシロキサン:1,1,1,3,5,5,9,9,9-ノナメチル-3,7,7-トリス[(トリメチルシリル)オキシ]ペンタシロキサン、1,1,1,3,5,7,9,9,9-ノナメチル-3,5,7-トリス[(トリメチルシリル)オキシ]ペンタシロキサンおよび1,1,1,7,7,7-ヘキサメチル-3,3,5,5-テトラキス[(トリメチルシリル)オキシ]テトラシロキサン。
【0293】
揮発性シリコーン油として、より具体的には、特にDow Corning社によりDC-245という商品名で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、特にDow Corning社によりDC-246という商品名で販売されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にDow Corning社によりDC-200 Fluid 1 cStという商品名で販売されているオクタメチルトリシロキサン、特にDow Corning社によりDC-200 Fluid 1.5 cStという商品名で販売されているデカメチルテトラシロキサン、およびDow Corning社により販売されているDC-200 Fluid 5cst、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0294】
上述の油の中で、線状油が特に有益であることが判明していることに留意されたい。
【0295】
不揮発性シリコーン油
第2の実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含む。
【0296】
本発明において使用することができる不揮発性シリコーン油は、25℃で9センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)以上および800000cSt未満、好ましくは50から600000cStの間、好ましくは100から500000cStの間の粘度を有するシリコーン油から選択することができる。このシリコーンの粘度は、標準ASTM D-445に従って測定することができる。
【0297】
これらのシリコーン油の中で、2つのタイプの油は、フェニル油であるかどうかに従って区別することができる。
【0298】
これらの不揮発性の線状シリコーン油の代表として、ポリジメチルシロキサン、アルキルジメチコーン、ビニルメチルメチコン、さらには場合によりフッ素化した脂肪族基、または官能基、例えば、ヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン基などで改質されたシリコーンを挙げることができる。
【0299】
したがって、非フェニル、不揮発性シリコーン油として、以下のものを挙げることができる。
- ペンダントであり、および/またはシリコーン鎖の末端に位置しているアルキルまたはアルコキシ基(各々が2〜24個の炭素原子を有する)を含むPDMS、
- 脂肪族基、または官能基、例えば、ヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン基などを含むPDMS、
- 場合によりフルオロ基で置換されたポリアルキルメチルシロキサン、例えば、ポリメチルトリフルオロプロピルジメチルシロキサンなど、
- 官能基、例えば、ヒドロキシル、チオおよび/またはアミン基などで置換されたポリアルキルメチルシロキサン、
- 脂肪酸、脂肪族アルコールまたはポリオキシアルキレン、およびそれらの混合物で改質されたポリシロキサン。
【0300】
一実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1種の非フェニル線状シリコーン油を含有する。
【0301】
非フェニル線状シリコーン油は、特に、式:
【0302】
【化38】
【0303】
[式中、
R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは別個に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒にまたは別個に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ビニル基、アミン基またはヒドロキシル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基またはアミン基であり、
nおよびpは、流体の化合物を得るように選択される整数である]
のシリコーンから選択することができる。
【0304】
本発明において使用することができる不揮発性シリコーン油として、
- 置換基R1〜R6およびXがメチル基を表し、pおよびnが、粘度が500,000cstとなるような数であるもの、例えば、General Electric社によりSE30という商品名で販売されている製品、Wacker社によりAK 500000という商品名で販売されている製品、Bluestar社によりMirasil DM 500,000という商品名で販売されている製品およびDow Corning社によりDow Corning 200 Fluid 500,000 cStという商品名で販売されている製品など、
- 置換基R1〜R6およびXがメチル基を表し、pおよびnが、粘度が60,000cstとなるような数であるもの、例えば、Dow Corning社によりDow Corning 200 Fluid 60000 CSという商品名で販売されている製品およびWacker社によりWacker Belsil DM 60,000という商品名で販売されている製品など、
- 置換基R1〜R6およびXがメチル基を表し、pおよびnが、粘度が350cstとなるような数であるもの、例えば、Dow Corning社によりDow Corning 200 Fluid 350 CSという商品名で販売されている製品など、
- 置換基R1〜R6がメチル基を表し、基Xがヒドロキシル基を表し、nおよびpが、粘度が700cstとなるような数であるもの、例えば、Momentive社によりBaysilone Fluid T0.7という商品名で販売されている製品など
を挙げることができる。
【0305】
一変形実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1種のフェニルシリコーン油を含有する。
【0306】
これらの不揮発性フェニルシリコーン油の代表として、以下のものを挙げることができる。
- 以下の式:
【0307】
【化39】
【0308】
(式中、R基は、互いに独立して、メチルまたはフェニルを表し、ただし、少なくとも1個のR基は、フェニルを表す)に対応するフェニルシリコーン油。好ましくは、この式において、フェニルシリコーン油は、少なくとも3個、例えば少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個のフェニル基を含む。
- 以下の式:
【0309】
【化40】
【0310】
(式中、R基は、互いに独立して、メチルまたはフェニルを表し、ただし、少なくとも1個のR基は、フェニルを表す)に対応するフェニルシリコーン油。好ましくはこの式において、前記オルガノポリシロキサンは、少なくとも3個、例えば少なくとも4個、または少なくとも5個のフェニル基を含む。上記のフェニルオルガノポリシロキサンの混合物を使用することができる。例えば、トリフェニル、テトラフェニルまたはペンタフェニルオルガノポリシロキサンの混合物を挙げることができる。
- 以下の式:
【0311】
【化41】
【0312】
(式中、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表す)に対応するフェニルシリコーン油。そのようなフェニルシリコーンは、特に、Dow CorningによりPH-1555 HRIあるいはDown Corning 555 Cosmetic Fluidという参照名で製造されている(化学名:1,3,5-トリメチル1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)。参照名Dow Corning 554 Cosmetic Fluidも使用することがでできる。
- 以下の式:
【0313】
【化42】
【0314】
(式中、Meはメチルを表し、yは1から1000の間であり、Xは-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す)に対応するフェニルシリコーン油。
- 以下の式(V):
【0315】
【化43】
【0316】
(式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、OR'は-OSiMe3基を表し、yは0または1から1000の間の範囲であり、zは1から1000の間の範囲であり、その結果、化合物(V)が不揮発性油となる)に対応するフェニルシリコーン油。
【0317】
第1の実施形態において、yは、1から1000の間の範囲である。例えば、特にWacker社によりBelsil PDM 1000という参照名で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコーンを使用することができる。
【0318】
第2の実施形態において、yは、0に等しい。例えば、特にDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidという参照名で販売されているフェニルトリメチルシロキシトリシロキサンを使用することができる。
- 以下の式(VI)、
【0319】
【化44】
【0320】
[式中、
- R1〜R10は、互いに独立して、飽和または不飽和の、線状、環状または分枝状のC1〜C30炭化水素ベースの基であり、
- m、n、pおよびqは、互いに独立して、0から900の間の整数であり、ただし、合計「m+n+q」は、0以外である]
に対応するフェニルシリコーン油およびそれらの混合物。
【0321】
好ましくは、合計「m+n+q」は、1から100の間である。好ましくは、合計「m+n+p+q」は、1から900の間、さらに良好には1から800の間である。好ましくは、qは0に等しい。
- 以下の式(VII)、
【0322】
【化45】
【0323】
[式中、
- R1〜R6は、互いに独立して、飽和または不飽和の、線状、環状または分枝状のC1〜C30炭化水素ベースの基であり、
- m、nおよびpは、互いに独立して、0から100の間の整数であり、ただし、合計「n+m」は、1から100の間である]に対応するフェニルシリコーン油およびそれらの混合物。
【0324】
好ましくは、R1〜R6は、互いに独立して、飽和、線状または分枝状のC1〜C30、特にC1〜C12炭化水素ベースの基、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチル基を表す。
【0325】
特に、R1〜R6は、同一でもよく、さらにメチル基とすることができる。
【0326】
好ましくは、式(VII)において、m=1または2または3、ならびに/あるいはn=0および/またはp=0もしくは1を有することが可能である。
- 式(VIII)、
【0327】
【化46】
【0328】
[式中、
- Rは、C1〜C30アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、
- nは、0〜100の範囲の整数であり、
- mは、0〜100の範囲の整数であり、ただし、合計n+mは、1〜100の範囲である]に対応するフェニルシリコーン油およびそれらの混合物。
【0329】
特に、式(VIII)のR基、および上で定義したR1〜R10は、各々が、線状または分枝状の飽和または不飽和の、特にC2〜C20、特にC3〜C16、より具体的にはC4〜C10アルキル基、あるいはC6〜C14、特にC10〜C13単環状または多環状アリール基、あるいはアラルキル基を表すことができ、そのアリールおよびアルキル残基は、上で定義した通りである。
【0330】
好ましくは、式(VIII)のRおよびR1〜R10は、各々が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、デシル、ドデシルまたはオクタデシル基、あるいはフェニル、トリル、ベンジルまたはフェネチル基を表すことができる。
【0331】
一実施形態において、25℃で5から1500mm2/sの間(すなわち、5〜1500cSt)の粘度を有する、好ましくは5から1000mm2/sの間(すなわち、5〜1000cSt)の粘度を有する式(VIII)のフェニルシリコーン油を使用することができる。
【0332】
式(VIII)のフェニルシリコーン油として、特に、フェニルトリメチコン、例えば、Dow CorningのDC556(22.5cSt)もしくはRhone PoulencのSilbione 70663V30油(28cSt)など、またはジフェニルジメチコーン、例えば、WackerのBelsil油、特にBelsil PDM1000(1000cSt)、Belsil PDM 200(200cSt)およびBelsil PDM 20(20cSt)などを使用することができる。括弧の間の値は、25℃での粘度を表す。
- 以下の式、
【0333】
【化47】
【0334】
[式中、
R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは別個に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒にまたは別個に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、またはアリール基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基またはビニル基であり、
nおよびpは、該油の重量平均分子量が200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満となるように選択される]に対応するフェニルシリコーン油およびそれらの混合物。
【0335】
本発明により具体的に適したフェニルシリコーンは、上の式(II)(特に式(III))、および(V)に対応するものである。
【0336】
より具体的には、フェニルシリコーンは、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、ならびにそれらの混合物から選択されることが多い。
【0337】
好ましくは、本発明の不揮発性フェニルシリコーン油の重量平均分子量は、500〜10000g/molの範囲である。
【0338】
シリコーンガム
別の変形実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1種のシリコーンガムを含有する。
【0339】
本発明において使用することができるシリコーンガムは、25℃で800,000センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)超、特に800,000から10,000,000cStの間、好ましくは1,000,000から5,000,000cStの間、好ましくは1,000,000から2,500,000cStの間の粘度を有するシリコーンガムから選択することができる。このシリコーンの粘度は、標準ASTM D-445に従って測定することができる。
【0340】
シリコーンガムの分子量は、一般に、350,000g/mol超、350,000から800,000g/molの間、好ましくは450,000〜700,000g/molである。
【0341】
シリコーンガムは、特に、式:
【0342】
【化48】
【0343】
[式中、
R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは別個に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒にまたは別個に、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ビニル基、アミン基またはヒドロキシル基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基またはアミン基であり、
nおよびpは、該化合物の粘度が800,000cSt超となるように選択される整数である]のシリコーンから選択することができる。
【0344】
本発明において使用することができるシリコーンガムとして、
- 置換基R1〜R6がメチル基を表し、基Xがメチル基を表し、nおよびpが、該ポリマーの分子量が600000g/molとなるような数である、例えば、Bluestar社によりMirasil C-DPDMという商品名で販売されている製品など、
- 置換基R1〜R6がメチル基を表し、基Xがヒドロキシル基を表し、nおよびpが、該ポリマーの分子量が600000g/molとなるような数である、例えば、Dow Corning社によりSGM 36という商品名で販売されている製品など、
- (ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)タイプのジメチコーン、例えば、GE Bayer Siliconesにより販売されているSE63、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ならびにそれらの混合物など
を挙げることができる。
【0345】
有利には、本発明の組成物は、本発明のシリコーン化合物を、組成物の総重量に対して0.1重量%〜60重量%含み得る。
【0346】
特に、本発明の組成物は、本発明のシリコーン化合物を、組成物の総重量に対して0.2重量%〜50重量%含み得る。
【0347】
より具体的には、本発明の組成物は、本発明のシリコーン化合物を、組成物の総重量に対して0.5重量%〜40重量%含み得る。
【0348】
固体の脂肪性物質
本発明の組成物は、特にワックスおよび/またはペースト状の脂肪性物質から選択される少なくとも1種の固体の脂肪性物質も含み得る。
【0349】
好ましくは、本発明のメイクアップおよび/またはケア組成物中のペースト状物質の量は、組成物の総重量に対して、0.5重量%から50重量%の間、特に1重量%〜40重量%、またはさらには2重量%〜30重量%である。
【0350】
ワックス
第1の実施形態において、組成物は、ワックスを含まない。
【0351】
第2の実施形態において、組成物は、少なくとも1種のワックスを含む。
【0352】
この実施形態において、本発明のメイクアップおよび/またはケア組成物中のワックスの量は、組成物の総重量に対して、好ましくは0.1重量%〜70重量%、好ましくは1重量%〜40重量%、さらに良好には5重量%〜30重量%の範囲とすることができる。
【0353】
好ましくは、特に皮膚および/または唇用のメイクアップ組成物の場合、ワックス含量は、組成物の総重量に対して、0.5重量%から30重量%の間、特に1重量%〜20重量%、またはさらには2重量%〜15重量%である。
【0354】
「ワックス」という用語は、周囲温度(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的な状態変化を示し、30℃以上の融点(最大で200℃とすることができる)を有する親油性化合物を意味することを意図したものである。ワックスは、動物、植物、鉱物または合成由来のワックスおよびそれらの混合物から選択することができる。特に、炭化水素ベースのワックス、例えばミツロウ、ラノリンワックスおよびシナロウ;コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリキュリーワックス、エスパルトワックス、ベリーワックス、セラックワックス、モクロウおよびウルシロウ;モンタンワックス、オレンジワックスおよびレモンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンおよびオゾケライト;ポリエチレンワックス、Fischer-Tropsch合成により得られるワックスおよびワックス状のコポリマー、さらにはそれらのエステルを挙げることができる。線状または分枝状のC8〜C32脂肪族鎖を有する動物または植物油の触媒水素化により得られるワックスも挙げることができる。これらの中で、特に、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ヤシ油、水素化ラノリン油およびビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレートを挙げることができる。シリコーンワックスおよびフルオロワックスも挙げることができる。セチルアルコールでエステル化したヒマシ油の水素化により得られるワックスも使用することができる。
【0355】
有利には、本発明の組成物は、特に炭化水素ベースの少なくとも1種のワックスを含み得る。
【0356】
ペースト状の脂肪性物質
第1の実施形態において、組成物は、ペースト状の脂肪性物質を含まない。
【0357】
第2の実施形態において、組成物は、少なくとも1種のペースト状の脂肪性物質を含む。この実施形態において、本発明のメイクアップおよび/またはケア組成物中のペースト状の脂肪性物質の量は、組成物の総重量に対して、好ましくは0.5重量%から30重量%の間、特に1重量%〜20重量%、またはさらには2重量%〜15重量%である。
【0358】
「ペースト状の脂肪性物質」という用語は、可逆的な固体/液体の状態変化を示し、23℃の温度で液体画分および固体画分を含む親油性の脂肪族化合物を意味することを意図したものである。ペースト状化合物は、好ましくは、20℃で0.001〜0.5MPa、好ましくは0.002〜0.4MPaの範囲の硬度を有する。ペースト状化合物は、好ましくは、合成化合物および植物由来の化合物から選択される。ペースト状化合物は、植物由来の出発生成物からの合成により得ることができる。特に、以下のものを、単独でまたは混合物として、挙げることができる。
- ラノリンおよびその誘導体、例えば、ラノリンアルコール、オキシエチレン化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンエステル、例えば、ラノリン脂肪酸イソプロピルなど、またはオキシプロピレン化ラノリンなど、
- 25℃で10,000,000cSt超の粘度を有するポリマーまたは非ポリマーシリコーン化合物、例えば高分子量ポリジメチルシロキサン、8〜24個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシタイプの側鎖を有するポリジメチルシロキサン、特にステアリルジメチコーン、
- ポリマーまたは非ポリマーフルオロ化合物、
- ビニルポリマー、特にオレフィンホモポリマー、オレフィンコポリマー、水素化ジエンホモポリマーおよびコポリマー、好ましくはC8〜C30アルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレートの線状または分枝状のホモポリマーまたはコポリマーオリゴマー、C8〜C30アルキル基を含有するビニルエステルのホモポリマーおよびコポリマーオリゴマー、C8〜C30アルキル基を含有するビニルエーテルのホモポリマーおよびコポリマーオリゴマー、
- 1個または複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオールの間のポリエーテル化から得られる脂溶性ポリエーテル、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとC6〜C30長鎖アルキレンオキシドのコポリマー(より好ましくは、コポリマー中のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとアルキレンオキシドとの重量比が5:95〜70:30となる)、
- ペンタエリスリトールおよびポリアルキレングリコールのエーテル、脂肪族アルコールおよび糖のエーテル、ならびにそれらの混合物から選択されるポリオールエーテル、5個のオキシエチレン(5OE)単位を含むペンタエリスリトールおよびポリエチレングリコールのエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリトールエーテル)、ならびに5個のオキシプロピレン(5OP)単位を含むペンタエリスリトールおよびポリプロピレングリコールのエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリトールエーテル)、ならびにそれらの混合物、
- エステルおよびポリエステル、特に(i)グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、特にアジピン酸およびグリセロールの縮合物(グリセロールのヒドロキシル基の一部が脂肪酸、例えば、ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸、および12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応している)、(ii)植物ステロールエステル、(iii)ペンタエリスリトールエステル、(iv)少なくとも1種のアルコール(アルコールのうちの少なくとも1種はGuerbetアルコールである)および少なくとも1種の不飽和脂肪酸から形成される二酸ダイマーから形成されるエステル、(v)線状または分枝状のC4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸およびC2〜C50ジオールまたはポリオールの間の重縮合から得られる非架橋ポリエステル、(vi)ポリカルボン酸による脂肪族ヒドロキシカルボン酸のエステルのエステル化から得られるポリエステル、(vii)特に4〜30個の炭素原子を含有する脂肪族カルボン酸による脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルのエステル化から得られるエステルの脂肪族エステル(脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、有利には、2〜40個の炭素原子および1〜20個のヒドロキシル基を含有するヒドロキシル化脂肪族カルボン酸に由来する)、(viii)イソステアリン酸による水素化ヒマシ油のエステル化反応から得られるエステルから選択されるエステルの脂肪族エステル(水素化ヒマシ油モノイソステアレート、ジイソステアレートまたはトリイソステアレート)。
【0359】
ペースト状化合物は、植物由来のものとすることもできる。特に、異性化ホホバ油、例えば、trans-異性化、部分水素化ホホバ油など、オレンジワックス、シアバター、部分水素化オリーブ油、カカオバターおよびマンゴー油を挙げることができる。
【0360】
染料
本発明の組成物は、粉末状化合物、例えば顔料、真珠光沢剤およびグリッターフレーク、ならびに/あるいは脂溶性または水溶性の染料から選択される1種または複数の染料も含み得る。染料、特に粉末状染料は、組成物中に、組成物の重量に対して、0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜40重量%、またはさらには1重量%〜30重量%の含量で存在し得る。
【0361】
「顔料」という用語は、生理学的媒体に不溶性であり、該組成物を着色することを意図したものである、白色のまたは着色された、任意の形状の無機または有機粒子を意味するものと理解すべきである。「真珠光沢剤」という用語は、特に特定の軟体動物によりそれらの殻で生成される、あるいは合成される、任意の形状の真珠光沢の粒子を意味するものと理解すべきである。
【0362】
顔料は、白色のまたは着色された、無機および/または有機、ならびに干渉または非干渉のものとすることができる。無機顔料の中で、二酸化チタン、場合により表面処理された酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、さらには酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、群青色、水酸化クロムおよびフェリックブルーを挙げることができる。有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、およびコチニールカーマインまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムに基づくレーキを挙げることができる。
【0363】
真珠光沢顔料は、白色の真珠光沢顔料、例えば、チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母、着色された真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされたチタニウムマイカ、特にフェリックブルーまたは酸化クロムでコーティングされたチタニウムマイカ、上述のタイプの有機顔料でコーティングされたチタニウムマイカなど、さらにはオキシ塩化ビスマスに基づいた真珠光沢顔料などから選択することができる。
【0364】
水溶性の染料は、例えば、ビートルートジュースおよびメチレンブルーであり、組成物の合計重量の0.01%〜6%を占めることができる。
【0365】
好ましくは、特にメイクアップ組成物の場合、組成物は、少なくとも1種の染料を含む。
【0366】
染料は、特に、有機または無機染料、特に化粧料組成物において従来使用されているタイプの顔料または真珠光沢剤、脂溶性もしくは水溶性の染料、特定の光学的効果を有する材料、およびそれらの混合物から選択される。
【0367】
好ましくは、特にメイクアップ組成物の場合の本発明の組成物中の染料の量は、組成物の合計重量の0.01重量%から40重量%、特に0.1重量%から30重量%、またはさらには1重量%から20重量%の間である。
【0368】
充填剤
別の特定の実施形態において、本発明の組成物、特に皮膚および/または唇用のケアおよび/またはメイクアップ組成物は、少なくとも1種の有機または無機充填剤を含む。好ましくは、充填剤は、皮膚用のメイクアップ組成物の場合は皮脂を吸収する充填剤であり、または特に唇用のメイクアップ組成物の場合はシリコーン充填剤である。そのような充填剤が存在することにより、特に付着物を塗布したとき、および付着物を摩耗させている間の粘着を低減することが可能となる。
【0369】
この特定の実施形態は、特に、ケラチン物質、特に唇および/または皮膚上の付着物が、均一である、および/またはあまり粘着性ではない、または全く粘着性ではない組成物、特にメイクアップ組成物を得ることを可能にする。そのような付着物は、特に、摩耗されている間に快適な感覚(軟らかさ、形成される付着物の滑らかさの性質)をもたらすことができる。
【0370】
さらに、そのような組成物は、付着物の色移り耐性、さらには色堅牢度(付着物が脆くない、または分裂せず、均一なままとなり、摩擦に対して耐性である)、および脂肪分に対する持続性の性質を有し得る。
【0371】
上で指定した通り、本発明の組成物は、少なくとも1種の有機または無機充填剤も含み得る。
【0372】
したがって、組成物は、その合計重量に対して0.01重量%〜35重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%の充填剤を含み得る。
【0373】
これらの充填剤の例として、タルク、雲母、シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ナイロン粉末(特にOrgasol)およびポリエチレン粉末、Teflon、デンプン、窒化ホウ素、コポリマーミクロスフェア例えば、Expancel(Nobel Industrie)など、さらにはそれらの混合物を挙げることができる。
【0374】
一変形実施形態において、本発明の組成物は、油を吸収することができる少なくとも1種の充填剤を含有する。
【0375】
特に、本発明の組成物は、油または液体脂肪性物質、例えば、(皮膚の)皮脂などを吸収および/または吸着する能力を有する少なくとも1種の充填剤を含む。
【0376】
この油を吸収する充填剤は、有利には、300m2/g以上、好ましくは500m2/g超、優先的には600m2/g超、特に1500m2/g未満のBET比表面積も有し得る。
【0377】
「BET比表面積」は、「The Journal of the American Chemical Society」、vol. 60、309頁、1938年2月に記載されており、国際標準ISO 5794/1(付属文書D)に対応するBET(Brunauer-Emmet-Teller)法に従って求める。BET比表面積は、粉末の合計比表面積に対応する(したがって微細孔を含む)。
【0378】
本発明において検討中の充填剤は、したがって、1ml/g以上、特に1ml/g〜20ml/gの範囲、またはさらには1.5ml/g〜15ml/gの範囲の油吸収量を有することを特徴とする。好ましくは、充填剤は、2ml/g以上、特に2ml/g〜20ml/gの範囲、またはさらには2ml/g〜15ml/gの範囲の油吸収量を有する。
【0379】
充填剤により吸収および/または吸着される油の量に対応するこの油吸収量は、以下に記載の方法に従って湿潤点を測定することにより特徴付けることができる。
【0380】
粉末状材料の油吸収量の測定方法:
粉末の油吸収量は、標準NF T 30-022に記載されている粉末の油吸収量を求める方法に従って測定する。粉末の油吸収量は、湿潤点の測定による、粉末状材料の利用可能な表面に吸着される油の量に対応する。
【0381】
約0.5gから5gの間のある量m(グラム単位)の粉末(この量は、粉末の密度に左右される)をガラスプレートに置き、次いで、イソノナン酸イソノニルを滴下添加する。
【0382】
4〜5滴のイソノナン酸イソノニルの添加後、スパチュラを使用してイソノナン酸イソノニルを充填剤に練り込み、イソノナン酸イソノニルと粉末の集合体が形成するまでイソノナン酸イソノニルを添加し続ける。集合体が形成した瞬間から、イソノナン酸イソノニルを1滴ずつ添加し、次いで、混合物をスパチュラで磨りつぶす。滑らかな堅いペーストが得られたらイソノナン酸イソノニルの添加を中止する。このペーストは、ひびが生じるか、または塊を形成することなくガラスプレートに広げることができなければならない。次いで、使用したイソノナン酸イソノニルの体積Vs(mlで表す)を書き留める。
【0383】
油吸収量は、Vs/m比に対応する。
【0384】
この油を吸収する充填剤は、無機粉末または有機粉末とすることができ、シリカ、ポリアミド(ナイロン(登録商標))粉末、アクリルベースのポリマー、特にポリメチルメタクリレート、またはポリメチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート、ポリアリルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーの粉末、特に、それぞれがケイ素原子に結合した少なくとも2個の水素原子を有するオルガノポリシロキサンと少なくとも2個のエチレン性不飽和基(特に2個のビニル基)を含むオルガノポリシロキサンの白金触媒の存在下での重合により得られるシリコーンエラストマー粉末から選択することができる。
【0385】
油を吸収する充填剤は、疎水性処理剤でコーティングされた粉末とすることができる。
【0386】
1.5ml/g以上の油吸収量を有する充填剤の例は、以下に記載しており、それらの油吸収量の値は、上で定義した手順に従って測定した。
【0387】
シリカ粉末として、以下のものを挙げることができる。
- 多孔質シリカミクロスフェア、特に、Asahi Glass社によりSunsphere(登録商標)H53、Sunsphere(登録商標)H33(油吸収量は3.70ml/gに等しい)、Kobo社によりMSS-500-3H、Myoshi社によりSilica Beads SB-700という商品名で販売されているもの、
- ポリジメチルシロキサンでコーティングされた非晶質のシリカミクロスフェア、特にSA Sunsphere(登録商標)H 33という商品名で販売されているもの(油吸収量は2.43ml/gに等しい)、
- シリル化シリカ粉末、特にDow Corning社によりDow Corning VM-2270 Aerogel Fine Particlesという商品名で販売されているもの(油吸収量は10.40ml/gに等しい)、
- 中空の非晶質シリカ粒子、特にKobo社によりSilica Shellsという商品名で販売されているもの(油吸収量は5.50ml/gに等しい)、
- 無機ワックスで表面処理された沈降シリカ粉末、例えば、ポリエチレンワックスで処理された沈降シリカなど、特にEvonik Degussa社によりAcematt OR 412という商品名で販売されているもの(油吸収量は3.98ml/gに等しい)。
【0388】
アクリルベースのポリマー粉末として、以下のものを挙げることができる。
- Cardinal Health technologies社によりMicrosponge 5640(油吸収量は1.55ml/gに等しい)、Ganz Chemical社によりGanzpearl(登録商標)GMP-0820という商品名で販売されているポリメチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレートの多孔質スフェア、
- エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーの粉末、特にDow Corning社からPolytrap(登録商標)6603という商品名で販売されているもの(油吸収量は6.56ml/gに等しい)、
- Wackherr社によりCovabead(登録商標)LH85という商品名で販売されているポリメチルメタクリレート粉末、
- Amcol社によりPoly-Pore(登録商標)L200、Poly-Pore(登録商標)E200という商品名で販売されているポリアリルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレートの粉末。
【0389】
ポリアミド粉末として、以下のものを挙げることができる。
- Atochem社によりOrgasol(登録商標)4000という商品名で販売されているナイロン粉末、
- ナイロン-6粉末、特にUbe Industries社によりPomp610という商品名で販売されている製品(油吸収量は2.02ml/gに等しい)。
【0390】
パーライト粉末として、特に、World Minerals社によりOptimat 1430 ORという商品名で販売されている製品を挙げることができる(油吸収量は2.4ml/gに等しい)。
【0391】
炭酸マグネシウム粉末として、特に、Buschle & Lepper社によりTipo Carbomagelという商品名で販売されている製品を挙げることができる(油吸収量は2.14ml/gに等しい)。
【0392】
特に好ましい油を吸収する充填剤は、シリカ粉末であり、より具体的には、少なくとも3.70ml/gに等しい油吸収量を有するシリカ粉末、特にAsahi Glass社によりSunsphere(登録商標)H 33という商品名で、およびDow Corning社によりDow Corning VM-2270 Aerogel Fine Particlesという商品名で販売されているものである。
【0393】
特に油を吸収することができる充填剤は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、0.5重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、さらに良好には1重量%〜15重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0394】
本発明の組成物は、1超、好ましくは1.5超、さらに良好には2超のポリマー/油を吸収する充填剤の重量比で、少なくとも1種の充填剤および少なくとも1種の超分子ポリマーを使用し得る。
【0395】
一変形実施形態において、本発明の組成物は、1.5ml/g以上の油吸収量を有する少なくとも1種の充填剤を含有する。
【0396】
シリコーン充填剤
本発明の組成物は、少なくとも1種のシリコーン充填剤を含み得る。
【0397】
シリコーン充填剤は、シリコーン樹脂でコーティングされたオルガノポリシロキサン粉末およびポリメチルシルセスキオキサン粉末、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0398】
オルガノポリシロキサン粉末は、特に、例えば、特許US 5538793に記載されているシルセスキオキサン樹脂でコーティングされたものとすることができる。そのようなエラストマー粉末は、Shin Etsu社によりKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104およびKSP-105という商品名で販売されており、ビニルジメチコーン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーというINCI名を有する。
【0399】
ポリメチルシルセスキオキサン粉末として、特に、シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えば、Momentive Performance Materials社によりTospearlという商品名で、特にTospearl 145 Aという参照名で販売されているものなど、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0400】
特に、本発明の組成物は、シリコーン樹脂でコーティングされたオルガノポリシロキサン粉末およびポリメチルシルセスキオキサン粉末から選択されるシリコーン充填剤を含み得る。
【0401】
シリコーンエラストマー
別の変形実施形態において、本発明の組成物、特に皮膚および/または唇用のメイクアップ組成物は、別名オルガノポリシロキサンエラストマーとして知られている少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含み得る。
【0402】
「オルガノポリシロキサンエラストマー」という用語は、粘弾性、特にスポンジまたは柔軟なスフェアの粘稠度を有する柔軟で変形可能なオルガノポリシロキサンを意味することを意図したものである。その弾性係数は、この材料が変形に耐え、伸長および収縮能力が制限されるようなものである。この材料は、延伸された後にその本来の形状を回復することができる。
【0403】
それは、より具体的には架橋オルガノポリシロキサンエラストマーである。
【0404】
好ましくは、オルガノポリシロキサンエラストマーは、例えば、出願EP-A-295886に記載されている、(A)各々がケイ素に結合した少なくとも2個の水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、(B)ケイ素に結合した少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するジオルガノシロキサンの、特に(C)白金触媒の存在下での架橋付加反応により得られる。
【0405】
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサンと、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルハイドロジェンポリシロキサンの白金触媒の存在下での反応により得ることができる。
【0406】
化合物(A)は、特に、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマーおよびジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン環状コポリマーから選択することができる。
【0407】
オルガノポリシロキサン(B)は、特に、メチルビニルポリシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するメチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、およびジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーから選択することができる。
【0408】
化合物(A)は、化合物(A)におけるケイ素原子に結合した水素原子の総量と化合物(B)における全てのエチレン性不飽和基の総量の間の分子比が1.5/1〜20/1の範囲内となるような量で添加することが有益である。
【0409】
化合物(C)は、架橋反応用の触媒であり、特に、塩化白金酸、塩化白金酸-オレフィン複合体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン複合体、塩化白金酸-ジケトン複合体、白金黒または担体担持白金である。
【0410】
触媒Cは、好ましくは、化合物(A)および(B)の総量1000重量部当たり、0.1〜1000重量部、さらに良好には1〜100重量部で、平らな白金金属として添加する。
【0411】
該エラストマーは、有利には非乳化エラストマーである。
【0412】
「非乳化」という用語は、任意の親水性鎖を含有していないオルガノポリシロキサンエラストマー、特に任意のポリオキシアルキレン単位(特にポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン)、または任意のポリグリセリル単位を含有していないものを定義する。
【0413】
オルガノポリシロキサンエラストマー粒子は、少なくとも1種の炭化水素ベースの油および/または1種のシリコーン油に含まれる弾性オルガノポリシロキサンからなるゲルの形態で運搬される。これらのゲル中で、オルガノポリシロキサン粒子は、非球形粒子であることが多い。
【0414】
非乳化エラストマーは、特に、特許EP 242 219、EP 285 886およびEP 765 656ならびにその内容を参照として組み込む出願JP-A-61-194009に記載されている。
【0415】
使用することができる球形の非乳化エラストマーとしては、Dow Corning社によりDC 9040、DC 9041、DC 9509、DC 9505およびDC 9506という商品名で販売されているものが挙げられる。
【0416】
本発明の組成物において、MQ基を有するオルガノポリシロキサンエラストマー、例えば、Wacker社によりBelsil RG100、Belsil RPG33、優先的にはRG80という商品名で販売されているものなども使用することができる。該エラストマーは、乳化エラストマーとすることもできる。
【0417】
「乳化オルガノポリシロキサンエラストマー」という用語は、少なくとも1個の親水性鎖を含むオルガノポリシロキサンエラストマー、例えば、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーおよびポリグリセロール化シリコーンエラストマーなどを意味することを意図したものである。
【0418】
乳化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーから選択することができる。
【0419】
ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ケイ素に結合した少なくとも1個の水素を含有するジオルガノポリシロキサンと少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含有するポリオキシアルキレンの架橋付加反応により得ることができる架橋オルガノポリシロキサンエラストマーである。有利には、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ジビニル化合物、特にポリシロキサンのSi-H結合と反応する少なくとも2個のビニル基を含有するポリオキシアルキレンから形成することができる。
【0420】
ポリオキシアルケニル化エラストマーは、特に、その内容を参照として組み込む特許US 5236986、US 5412004、US 5837793およびUS 5811487に記載されている。
【0421】
使用することができるポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーとしては、Shin Etsu社によりKSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-210、KSG-310、KSG-320、KSG-330およびKSG-340、ならびにDow Corning社によりDC9010およびDC9011という商品名で販売されているものが挙げられる。
【0422】
乳化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーから選択することもできる。
【0423】
本発明のポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ケイ素に結合した少なくとも1個の水素を含有するジオルガノポリシロキサンとエチレン性不飽和基を有するポリグリセロール化化合物の、特に白金触媒の存在下での架橋付加反応により得ることができるオルガノポリシロキサンエラストマーである。
【0424】
本発明のポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーは、少なくとも1種の炭化水素ベースの油および/または1種のシリコーン油中のゲルの形態で運搬される。これらのゲル中で、ポリグリセロール化エラストマーは、非球形粒子の形態であることが多い。
【0425】
使用することができるポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーとしては、Shin Etsu社によりKSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830およびKSG-840という商品名で販売されているものが挙げられる。
【0426】
より具体的には、使用することができる非乳化エラストマーとしては、Shin Etsu社によりKSG-6、KSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-41、KSG-42、KSG-43およびKSG-44、Dow Corning社によりDC9040およびDC9041、ならびにGeneral Electric社によりSFE 839という商品名で販売されているものが挙げられる。
【0427】
より具体的には、使用することができる乳化エラストマーとしては、Shin-Etsu社によりKSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-210およびKSG-710という商品名で販売されているものが挙げられる。
【0428】
有利には、本発明において検討中のオルガノポリシロキサンエラストマーは、球形の非乳化オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーおよびポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーから選択される。
【0429】
それは、より具体的にはポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーである。
【0430】
本発明の組成物は、オルガノポリシロキサンエラストマーを、単独でまたは混合物として、0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.2重量%〜15重量%、さらにより好ましくは0.5重量%〜12重量%の範囲の含量で含み得る。
【0431】
組成物は、化粧料組成物において一般に使用される他の成分も含み得る。そのような成分は、水、親水性溶媒、酸化防止剤、芳香剤、精油、防腐剤、化粧用活性剤、モイスチャライザー、ビタミン、セラミド、日焼け止め、界面活性剤、ゲル化剤、増粘剤、展延剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、中和剤、安定剤、ポリマー、特にフィルム形成ポリマー、およびそれらの混合物から選択することができる。当然のことながら、当業者は、組成物の有利な性質が、想定される成分の添加により全くまたは実質的に全く損なわれないように、このまたはこれらの任意選択のさらなる成分およびそれらの量を注意深く選択する。
【0432】
特に、フィルム形成ポリマーとして、特にポリアミドシリコーンブロックポリマー、ブロックエチレン系ポリマー、少なくとも1種のカルボシロキサンデンドリマー誘導体を含むビニルポリマー、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー、ポリマーの粒子の非水分散体の形態のシリコーン樹脂および脂肪分散性ポリマー、ならびにそれらの混合物から選択されるフィルム形成ポリマーを特に使用することができる。
【0433】
好ましくは、フィルム形成ポリマーは、以下のものを含む群から選択することができる。
- 40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有し、完全にまたは部分的に(これらのモノマーから調製されるホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するような)1種または複数の第1のモノマーに由来する少なくとも1個の第1のブロックと、20℃以下のガラス転移温度を有し、完全にまたは部分的に(これらのモノマーから調製されるホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するような)1種または複数の第2のモノマーに由来する少なくとも1個の第2のブロックとを含有する(ブロックエチレン系ポリマーとも呼ばれる)ブロックエチレン系コポリマー(前記第1のブロックおよび前記第2のブロックは、第1のブロックの前記第1の成分モノマーのうちの少なくとも1種と第2のブロックの前記第2の成分モノマーのうちの少なくとも1種とを含むランダム中間体セグメントを介して互いに接続され、前記ブロックコポリマーは、参照として組み込むFR 0953625に記載の通り2超の多分散性指数Iを有する)、
- Dow Corning社の出願WO03/045337およびEP 963751に記載のカルボシロキサンデンドリマーに由来する少なくとも1個の単位を含むビニルポリマー、
- 出願WO 04/055081に記載の、前記液体脂肪相に分散しているアクリルまたはビニル基ホモポリマーまたはコポリマーの粒子の分散体、
- 式(III)または(IV):
【0434】
【化49】
【0435】
[式中、
1)R4、R5、R6およびR7は、同一でも異なっていてもよく、
- それらの鎖内に、1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有することができ、部分的にまたは完全にフッ素原子で置換されていてもよい、線状、分枝状または環状の、飽和または不飽和のC1〜C40炭化水素ベースの基、
- 場合により1個または複数のC1〜C4アルキル基で置換されたC6〜C10アリール基、
- 場合により1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有するポリオルガノシロキサン鎖
から選択される基を表し、
2)Xは、同一でも異なっていてもよく、その鎖内に、1個または複数の酸素および/または窒素原子を含有することができる線状または分枝状のC1〜C30アルキレンジイル基を表し、
3)Yは、C1〜C50飽和もしくは不飽和のアリールアルキレン、アルキルアリーレン、シクロアルキレン、アリーレンまたは線状もしくは分枝状のアルキレン二価基であり、これは、1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含むことができ、ならびに/あるいは、置換基として、次の原子または原子の群:フッ素、ヒドロキシル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C40アルキル、C5〜C10アリール、1〜3個のC1〜C3アルキル基で場合により置換されているフェニル、C1〜C3ヒドロキシアルキルおよびC1〜C6アミノアルキルのうちの1個を有することができ、あるいは
4)Yは、式:
【0436】
【化50】
【0437】
に対応する基を表し、式中、
- Tは、ポリオルガノシロキサン鎖で場合により置換されている、線状または分枝状の、飽和または不飽和の三価または四価C3〜C24炭化水素ベースの基を表し、これは、O、NおよびSから選択される1個または複数の原子を含有することができ、あるいはTは、N、PおよびAlから選択される三価原子を表し、
- R8は、該ポリマーの別の鎖と関連があるかもしれない1種または複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、尿素、チオ尿素および/またはスルホンアミド基を含むことができる、線状もしくは分枝状のC1〜C50アルキル基、またはポリオルガノシロキサン鎖を表し、
nは、参照として組み込む出願PCT/FR2009/052388に記載の通り、2〜500、好ましくは2〜200の範囲の整数であり、mは、50〜1000、好ましくは50〜700、さらに良好には50〜200の範囲の整数である]
の少なくとも1個の単位を含むポリアミドシリコーンブロックコポリマー(シリコーンポリアミドとしても知られている)、
- 参照として組み込む出願FR0954344に記載の通り、特にポリメチルシルセスキオキサン、シロキシシリケート樹脂、特にトリメチルシロキシシリケート樹脂から選択されるシリコーン樹脂、
- 特にアクリル酸およびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルアクリレートのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマー、アクリル酸およびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含むメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびステアリルメタクリレートのコポリマーから選択される、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー、
- ならびにそれらの混合物。
【0438】
本発明の組成物中にフィルム形成ポリマーが存在することにより、特に、これらの組成物を用いてケラチン物質、特に皮膚および/または唇などの上に形成される付着物の脂肪分耐性(脂肪分に対する持続性)を改善すること、付着物の持続性、特に摩擦に対する耐性を改善することが可能となり得、あまり粘着性ではない、または全く粘着性ではない付着物を得ることが可能となる。
【0439】
本発明の組成物は、許容され、化粧料組成物について通例の任意の形態とすることができる。したがって、本発明の組成物は、懸濁液、分散体、特に小胞による水中油、または油中水の分散体;場合により増粘され、またはさらにはゲル化された水性の有機または油状溶液;水中油、油中水または多相エマルジョン;ゲル、特に水性の油状または乳化ゲル;フォーム;小胞、特に脂質小胞の分散体;二相または多相ローション;スプレー;ローション、クリーム、軟膏、軟質ペースト、膏薬、特にスティックとしてもしくは皿の中で注型もしくは成型された固体、または圧縮された固体の形態とすることができる。当業者は、彼らの一般的知識に基づいて、第1に、使用する成分の性質、特にそれらの支持材への溶解度、および第2に意図した組成物の用途を考慮に入れながら、適切なガレヌスの形態、さらにはそれを調製する方法を選択することができる。
【0440】
水性相
本発明の組成物は、組成物の合計重量の1重量%〜80重量%、特に2重量%〜70重量%、またはさらには3重量%〜60重量%を占め得る水性相も含み得る。この水性相は、本質的に水からなることができるか、または水、特に1〜5個の炭素原子を含有するモノアルコール、例えば、エタノールまたはイソプロパノールなど、2〜8個の炭素原子を含有するグリコール、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコールもしくはジプロピレングリコールなど、C3〜C4ケトン、C2〜C4アルデヒド、ならびにそれらの混合物から選択される水混和性溶媒(25℃で水に50重量%超混和性)の混合物を含み得る。
【0441】
しかし、上で指定した通り、本発明の組成物は、有利には無水である。
【0442】
特定の一実施形態において、特に唇または顔のケアおよび/またはメイクアップを目的とした組成物の場合、本発明において使用する組成物は、無水であるか、または組成物の総重量に対して3重量%未満の水、好ましくは1重量%未満の水を含有する。唇用のメイクアップ組成物の場合、組成物は、好ましくは無水である。
【0443】
「無水」という用語は、特に、水が、組成物に意図的に添加されていないことが好ましいが、組成物において使用する様々な化合物中に極微量存在し得ることを意味することを意図したものである。
【0444】
本発明の組成物は、ケラチン物質、例えば、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇、髪などをケアまたはメイクアップするために、より具体的には唇、髪、睫毛および/または顔をメイクアップするために使用することができる。
【0445】
それらは、したがって、有利にはメイクアップ組成物、特にマスカラ、アイライナー、口紅、リップグロス、フェイスパウダー、アイシャドウ、ファンデーション、マニキュア液またはヘアマスカラ組成物の形態である、身体もしくは顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、髪または爪用のケアおよび/またはメイクアップ製品;日焼け防止またはセルフタンニング製品;あるいはヘア製品の形態とすることができる。
【0446】
特に、口紅の場合、組成物は、液体(グロス)または固形形態、例えばスティックの形態または皿に注型された口紅などとすることができる。
【0447】
一般に、本発明の組成物は、20℃で固体または液体の形態とすることができる。
【0448】
本発明の目的のために、「固体」という用語は、20℃の温度での組成物の状態を特徴付けるものである。特に、本発明の固体組成物は、20℃の温度および大気圧(760mmHg)で、30Nm-1超、好ましくは40Nm-1超の硬度を有する。
【0449】
硬度を測定する手順:
組成物、特に口紅のスティックなどの硬度は、以下の手順に従って測定する。
【0450】
スティックは、硬度を測定する前に20℃で24時間貯蔵する。
【0451】
硬度は、20℃で「チーズワイヤー」法を介して測定することができ、この方法とは、直径250μmの硬いタングステンワイヤーを用いて、該ワイヤーをスティックに対して100mm/minの速度で動かすことにより、好ましくは円柱の製品の棒を横方向に切断することである。
【0452】
Nm-1で表す本発明の組成物の試料の硬度は、Indelco-Chatillon社により販売されているDFGS2引張試験機により測定する。
【0453】
この測定を3回再現し、次いで、平均する。上述の引張試験機を使用して読み取ったYで示す3つの値の平均は、グラムで示す。この平均をニュートンに変換し、次いで、ワイヤーが通過した最長の距離を表すLで除算する。円柱形の棒の場合、Lは直径に等しい(メートル単位)。
【0454】
硬度は、以下の反応式によりNm-1に変換する。
(Y×10-3×9.8)/L
【0455】
異なる温度での測定のために、スティックを測定の前にこの新しい温度で24時間貯蔵する。
【0456】
測定のこの方法において、本発明の固体組成物は、20℃で30Nm-1以上、好ましくは40Nm-1超、好ましくは50Nm-1超の硬度を有する。
【0457】
好ましくは、本発明の組成物は、特に、20℃で500Nm-1未満、特に400Nm-1未満、好ましくは300Nm-1未満の硬度を有する。
【0458】
特に、その硬度が30Nm-1超である組成物は、20℃および大気圧(760mmHg)で「固体」組成物である。
【0459】
本発明の組成物は、特に脂肪分(皮脂および食品脂肪分)に対する感受性が高い組成物である口紅およびファンデーションの分野において最も具体的な用途が見出されている。
【0460】
本発明の組成物は、皮膚および/または唇用、特に顔または身体の皮膚用のメイクアップ組成物の形態とすることができ、顔の色つやのための製品、例えば、ファンデーション、フェイスパウダーまたはアイシャドウなど;唇用製品、例えば、口紅またはリップケア製品など;コンシーラー製品;ブラッシャー、アイライナー;唇またはアイペンシル;ボディメイクアップ製品;グロス(リップグロス)とすることができる。
【0461】
本発明の第1の有利な実施形態において、本発明の組成物は、皮膚のメイクアップを目的とし、したがって、より具体的には、ファンデーション、フェイスパウダーもしくはアイシャドウ、またはボディメイクアップ製品である。
【0462】
本発明の第2の有利な実施形態において、本発明の組成物は、唇のメイクアップを目的とし、したがって、より具体的には、口紅(スティックの形態)またはリップグロス(液体口紅)である。
【0463】
本発明の主題は、ケラチン物質、特に身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、睫毛および/または髪のための美容処置方法でもあり、この方法は、上で定義した化粧料組成物の前記物質への塗布を含む。
【0464】
特定の一態様において、本発明は、皮膚および/または唇のメイクアップおよび/またはケアの方法に関し、この方法は、上で定義した組成物の前記皮膚および/または前記唇への塗布を少なくとも含む。
【0465】
本発明のこの方法により、本発明の組成物、特に口紅、ファンデーション、睫毛マスカラまたはヘアマスカラ組成物の塗布による、特に前記ケラチン物質、特に唇、髪、顔および/または睫毛のケアまたはメイクアップが可能となる。
【0466】
本発明を、非限定的な様式で、以下の実施例においてより詳細に例示する。
【実施例】
【0467】
実施例1
ウレイドピリミドン官能化PDMS
1リットル反応器において、296gのShin Etsu社製の参照名KF6002のシリコーンポリマーおよび49.3gのイソホロンジイソシアネートを、20℃、不活性雰囲気下で混ぜ合わせる。反応媒体を40℃まで加熱し、次いで、触媒(ジブチル錫ジラウレート、25マイクロリットル)を添加する。加熱を45分間維持する。
【0468】
炭酸プロピレン(140ml)に、予め分散させた14.9gの以下の構造の連結基(SupraPolix):
【0469】
【化51】
【0470】
を添加し、次いで、280mlの酢酸ブチルを添加する。反応媒体を140℃で1h加熱する。エタノールを70℃で3時間、次いで、周囲温度で一晩添加することによりイソシアネートを中和する。反応媒体を1300mlのメチルテトラヒドロフランに希釈し、その後、わずかな減圧下(800mbar)で濾過する。溶媒の蒸発後、イソドデカンによるストリッピングを行う。
【0471】
GPCにより特性評価した、乾燥抽出物が20%の所望のポリマーが得られる。
【0472】
実施例2
20.93gのシリコーンポリマー(DMS A21)をアルゴン下で100mlの酢酸エチルに溶解し、次いで、0.478gの以下の化合物を添加する。
【0473】
【化52】
【0474】
アルゴン下で5時間、イソシアネートの消失を検証しながら混合物を70℃で加熱する。
【0475】
GPCにより特性評価した所望のポリマーが得られる。
【0476】
実施例3
ポリアルケンベースのポリマー(ポリマー1)の合成
100gのジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンポリマー(Nisso社製のGI3000)を、80℃、減圧下で、一晩乾燥させる。このポリマーを400mlの無水トルエンに溶解する。25μlの触媒(ジブチル錫ジラウレート)を添加し、均一な溶液が得られるまで混合物を撹拌しながら80℃で加熱する。300mlの無水トルエン溶液中の、以下の構造:
【0477】
【化53】
【0478】
を有する15gのイソシアネート官能化分子を、制御雰囲気下、40℃で添加する。反応混合物を100℃まで加熱し、この温度で4時間撹拌する。2260cm-1でのイソシアネートのピーク特性の完全消失をモニタリングしながら、赤外分光法により反応をモニターする。反応の最後に、残留するイソシアネートの痕跡を全て除去するために100mlのエタノールを添加し、次いで、溶液の粘度を低下させるためにイソドデカンを添加した後に混合物を濾過する。ポリマー溶液を、次いで、直接イソドデカンでストリッピングする。
【0479】
乾燥抽出物が21%の最終ポリマーのイソドデカン溶液が得られ、ポリマーをGPC(Mn=6400および多分散性指数=1.85)および1H NMR(期待していたものと一致したスペクトル)により特性評価した。
【0480】
実施例4
ポリアルケンベースのポリマー(ポリマー2)の合成
ウレイドピリミドン二官能化GI2000ポリマーの合成
【0481】
【化54】
【0482】
106.1gのジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンポリマー(Nisso製のGI2000、先に記載した手順に従ってGPCにより測定したMn=3300)を、22mgの触媒(ジブチル錫ジラウレート)の存在下、80℃、減圧下で、2時間加熱する。混合物の温度をアルゴン下で20℃まで低下させ、その後、10mlのイソドデカンおよび19.3gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を添加する。混合物を20℃、制御雰囲気下で16時間撹拌し、次いで、120℃まで加熱し、その後、25mlの炭酸プロピレンを添加する。12gの6-メチルイソシトシンを添加すると、均一な白色の懸濁液が生じる。この懸濁液を140℃まで加熱し、この温度で6時間撹拌する。イソシアネートのピーク特性が完全消失(2250cm-1)するまで赤外分光法により反応をモニターする。次いで、セライトを通す濾過の前に混合物を30℃に戻し、400mlのヘプタン、200mlのTHFおよび50mlのエタノールをそこへ添加する。次いで、混合物をイソドデカンでストリッピングする。
【0483】
最後に、乾燥抽出物が25%のポリマーのイソドデカン溶液が得られ、ポリマーをGPCにより特性評価する(Mn=7000および多分散性指数=2.05)。
【0484】
実施例5
ポリアルケンベースのポリマー(ポリマー3)の合成
99gのジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンポリマー(Nisso製のGI3000)を、22mgの触媒(ジブチル錫ジラウレート)の存在下、80℃、減圧下で、2時間加熱する。混合物の温度をアルゴン下で20℃まで低下させ、その後、30mlのイソドデカンおよび11gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を添加する。混合物を20℃、制御雰囲気下で16時間撹拌し、次いで、120℃まで加熱し、その後、25mlの炭酸プロピレンを添加する。8.1gの6-メチルイソシトシンを添加すると、均一な白色の懸濁液が生じる。この懸濁液を140℃まで加熱し、この温度で6時間撹拌する。イソシアネートのピーク特性が完全消失(2250cm-1)するまで赤外分光法により反応をモニターする。次いで、セライトを通す濾過の前に混合物を30℃に戻し、1リットルのヘプタンをそこへ添加する。次いで、混合物をイソドデカンでストリッピングする。
【0485】
最後に、乾燥抽出物が20%のポリマーのイソドデカン溶液が得られ、ポリマーをGPCにより特性評価する(Mn=4200および多分散性指数=2.34)。
【0486】
実施例6
ポリアルケンベースのポリマー(ポリマー4)の合成
89gのジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンポリマー(Nisso製のGI3000)を、22mgの触媒(ジブチル錫ジラウレート)の存在下、80℃、減圧下で、2時間加熱する。混合物の温度をアルゴン下で20℃まで低下させ、その後、60mlのイソドデカンおよび11.6gの4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを添加する。混合物を20℃、制御雰囲気下で16時間撹拌し、次いで、120℃まで加熱し、その後、40mlの炭酸プロピレンを添加する。6.64gの6-メチルイソシトシンを添加すると、均一な白色の懸濁液が生じる。この懸濁液を140℃まで加熱し、この温度で8時間撹拌する。イソシアネートのピーク特性が完全消失(2250cm-1)するまで赤外分光法により反応をモニターする。次いで、セライトを通す濾過の前に混合物を30℃に戻し、250mlのイソドデカンおよび500mlのヘプタンをそこへ添加する。次いで、混合物をイソドデカンでストリッピングする。
【0487】
最後に、乾燥抽出物が22%のポリマーのイソドデカン溶液が得られ、ポリマーをGPCにより特性評価する(Mn=10700および多分散性指数=2.26)。
【0488】
実施例7
ポリアルケンベースのポリマー(ポリマー5)の合成
143.1gのジヒドロキシル化水素化1,2-ポリブタジエンポリマー(Nisso製のGI2000)を、33mgの触媒(ジブチル錫ジラウレート)の存在下、80℃、減圧下で、2時間加熱する。混合物の温度をアルゴン下で20℃まで低下させ、その後、85mlのイソドデカンおよび30.8gの4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを添加する。混合物を20℃、制御雰囲気下で16時間撹拌し、次いで、120℃まで加熱し、その後、70mlの炭酸プロピレンを添加する。22.6gの6-メチルイソシトシンを添加すると、均一な白色の懸濁液が生じる。この懸濁液を140℃まで加熱し、この温度で8時間撹拌する。イソシアネートのピーク特性が完全消失(2250cm-1)するまで赤外分光法により反応をモニターする。次いで、セライトを通す濾過の前に混合物を20℃に戻し、700mlのイソドデカンおよび500mlのヘプタンをそこへ添加する。次いで、混合物をイソドデカンでストリッピングする。
【0489】
最後に、乾燥抽出物が20%のポリマーのイソドデカン溶液が得られ、ポリマーをGPCにより特性評価する(Mn=8400および多分散性指数=2.00)。
【0490】
実施例8
A/ポリマーの乾燥付着物で光沢計を使用して測定した光沢
イソドデカン中で10%の、試験する化合物/混合物の200μmの厚さのコートを、自動スプレッダーを使用してPA-2810 Byko-Chartコントラストカードに広げる。コートは、少なくともカードの黒色の背景を覆う。付着物を24時間、23℃の温度で乾燥させ、次いで、Byk Gardner Micro-Tri-Gloss光沢計を使用して、黒色の背景上で20°での光沢を測定する。50より高い20°での測定値は、許容されると見なされる光沢に等しく、測定値が60より高い場合、光沢は非常に満足なものと見なされる。
【0491】
B/摩耗耐性の測定
イソドデカン中で10%の、試験する化合物/混合物の200μmの厚さのコートを、自動スプレッダーを使用してPA-2810 Byko-Chartコントラストカードに広げる。コートは、少なくともカードの黒色の背景を覆う。付着物を24時間、23℃の温度で乾燥させる。ピンオンディスクタイプの摩擦計を使用して、形成したフィルムの摩耗耐性を評価する。基材+フィルム試料は回転させられ、直径が5から10mmの間の剛球である摩擦デバイスと接触している。負荷は0.25から3Nの間であり、移動速度は10から50mm/sの間である。フィルムを完全に摩耗させるために必要な、摩擦デバイスが同じ場所を通過する回数を測定する。この回数が多いほど、フィルムの摩耗耐性は高い。
以下の結果が得られる。
【0492】
【表1】
【0493】
したがって、摩耗耐性を示さない(<10回転)シリコーンポリマーと混合することにより、フィルム形成ポリマーの摩耗耐性を改善し、同時にフィルム形成剤の光沢に近い光沢を維持することが可能である。
【0494】
実施例9
重量%で以下のもの(AM=ポリマーの活性物質または乾燥物質)を含む本発明のファンデーション配合物(式1)および本発明外の比較ファンデーション配合物(式2)を調製した。
【0495】
【表2】
【0496】
相A2の成分を秤量した。混合物を3本ロール練り機に通した。相A1の成分を秤量して主ビーカーに入れ、Rayneriミキサーに入れた。次いで、相A2を添加した。10分間の混合後、相Bを加えた。
【0497】
A/色移り耐性
次いで、以下に記載の手順に従って、得られた製剤の各々を色移り耐性の観点から評価する。
【0498】
非油脂性メイクアップリムーバー(Lancome製のEffacilタイプ)で、次いで、水に浸した脱脂綿で、前腕のメイクアップを除去する。5分後、ファンデーション配合物を指で前腕に塗布する。塗布する量は、5cm×5cmの面積に0.05gである。
【0499】
塗布の10分後、ティッシュペーパーで前腕を5回撫でる(ティッシュペーパーを4つに折り、皮膚のファンデーションの端の一方にかなり強い圧力で当て、次いで、他方の端に向かって前腕の上をゆっくりと移動させる)。次いで、ティッシュペーパーに移ったファンデーションの量を以下の方法で評価する。
+ ハンカチに着色なし(非常に良好な色移り耐性)
++ ハンカチがごくわずかに着色されている(良好な色移り耐性)
+++ ハンカチがわずかに着色されている
++++ ハンカチが着色されている
と見なす。
【0500】
以下の結果が得られる。
【0501】
【表3】
【0502】
本発明の組成物の色移りの能力が比較組成物と比較してかなり低下していることを記している。
【0503】
さらに、本発明の組成物により、塗布後の粘着が低下している(乾燥相の間)。
【0504】
B/粘着
組成物の塗布の完了後に指を前腕に1分間当てることにより粘着性を評価する。
【0505】
実施した測定について、
+ 乾燥の間に粘着なし
++ 乾燥の間にわずかな粘着作用
+++ 乾燥の間に中程度の粘着作用
++++ 乾燥の間に高い粘着作用
+++++ 乾燥の間に非常に高い粘着作用
と見なす。
【0506】
以下の結果が得られる。
【0507】
【表4】
【0508】
本発明の組成物の乾燥の間に粘着性となる能力が比較組成物と比較してかなり低いことを記している。
【0509】
さらに、本発明の組成物は、脂肪分に対する感受性が低い。