(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960148
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】有益薬品分配器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/28 20060101AFI20160719BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20160719BHJP
A61M 5/19 20060101ALI20160719BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
A61M5/28 520
A61M5/28 532
A61M5/24 530
A61M5/24 542
A61M5/19
A61J1/05 351A
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-538833(P2013-538833)
(86)(22)【出願日】2011年11月8日
(65)【公表番号】特表2013-543759(P2013-543759A)
(43)【公表日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】US2011059807
(87)【国際公開番号】WO2012064761
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/432,217
(32)【優先日】2011年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/410,940
(32)【優先日】2010年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510178286
【氏名又は名称】アクティヴパック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゲノサール, アミール
【審査官】
藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−299912(JP,A)
【文献】
特開2004−236962(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0137832(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0171311(US,A1)
【文献】
特開2007−014632(JP,A)
【文献】
特開2008−212552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 − 5/52
A61J 1/00 − 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配パッケージと、分配器と、アクチュエータとを備える、有益薬品と共に使用するための分配装置であって、
前記分配パッケージが、
管状壁を備えるシールされた第1の管状区画室と、前記第1の管状区画室の一端を囲繞する少なくとも1つの分離可能な障壁と、を備える長尺な少なくとも部分的に可撓性の部材と、
前記第1の管状区画室内に収容される前記有益薬品または前記有益薬品の成分のうちの一方と
を備え、
分配器が、前記パッケージの分配端部に配置され、
前記アクチュエータが、前記管状壁の少なくとも一部を受けるように構成されている圧力チャンバを備え、前記圧力チャンバ内の圧力の上昇が前記第1の管状区画室からの前記有益薬品の放出をもたらすようになっている、分配装置。
【請求項2】
前記分離可能な障壁が、互いに挟圧されてシールされた前記第1の管状区画室の対向する複数の壁を備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記分離可能な障壁が、前記第1の管状区画室の先端を画定する、請求項1に記載の分配装置。
【請求項4】
前記分離可能な障壁が前記第1の管状区画室の基端を画定する、請求項1に記載の分配装置。
【請求項5】
前記第1の管状区画室が、前記有益薬品の第1の成分を格納し、
当該分配装置は、前記有益薬品の第2の成分を格納する少なくとも第2の管状区画室を更に備え、
前記分離可能な障壁が前記第1の管状区画室と前記第2の管状区画室との間に配置される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項6】
前記分離可能な障壁が、前記第1の管状区画室と前記分配端部との間に配置される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項7】
前記管状壁が、多層材料を備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項8】
前記分配端部が分配ポートを含み、前記管状壁が、前記分配ポートを無菌状態で取り囲むように延びる、請求項1に記載の分配装置。
【請求項9】
前記第1の管状区画室および前記第2の管状区画室の少なくとも一方を周囲環境から実質的に保護する剥離可能なホイルを更に備える、請求項5に記載の分配装置。
【請求項10】
前記剥離可能なホイルが、前記分離可能な障壁に取り付けられる、請求項9に記載の分配装置。
【請求項11】
前記分配端部が分配ポートを含み、前記管状壁が、前記分配ポートを無菌状態で取り囲むように延び、
前記剥離可能なホイルが、前記分配ポートの無菌筐体を形成するように延びる、請求項10に記載の分配装置。
【請求項12】
前記分配器が、注射針、微小注射針、皮内注射針、皮下注射針、筋肉内注射針、IVカテーテル、噴射注入ノズル、カテーテル、チューブ、ホース、局所アプリケータ、鼻アプリケータ、耳の分配器、眼の分配器、点滴器、アダプタ、または、以上のうちの1つへのコネクタから成るグループから選択される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項13】
前記管状壁の少なくとも一部を取り囲むハウジングを更に備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項14】
前記ハウジングが、前記ハウジングの先端へ向かう前記管状壁の移動を制限する、請求項13に記載の分配装置。
【請求項15】
前記管状壁が、前記分配器を少なくとも部分的に前記ハウジング内へ引き込むために前記ハウジングの基端へ向けて移動できる、請求項14に記載の分配装置。
【請求項16】
前記分配器が分配ポートを含み、前記分配器の少なくとも一部が、前記分配ポートの少なくとも一部を隠すために前記管状壁の基端へ向けて移動できる、請求項1に記載の分配装置。
【請求項17】
前記アクチュエータの移動により、前記第1の成分および前記第2の成分が混合され、その後に前記分配器を通じて放出される、請求項5に記載の分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、好ましくは、しかし限定を伴うことなく、一般に、事前に充填された使い捨ての1回分量分配装置に関する。より具体的には、本開示は、有益薬品(beneficial agent)、すなわち、薬剤(medication)の投与のための分配パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの市販の1回分量の分配パッケージは、シール面を備えるプランジャを備えたピストンが、その先端に分配ポートを備えるバレルの基端で導入されるシリンジの形態を成しており、前記ピストンは、前記プランジャおよびバレルの軸線に沿って移動可能な態様で配置される。プランジャは、分配可能製品のためのチャンバを形成するためにバレルの内壁に対してシールし、また、その構成は、前記製品チャンバの容積を減少させて、それにより、製品を、分配ポートを通じて分配させるために、ピストンおよびプランジャがバレルの前記分配ポートへ向けて移動できるようになっている。そのようなシリンジバレルは、一般に透明なプラスチックまたはガラスから形成され、また、プランジャは、一般に化学的に安定なゴムから形成される。
【0003】
薬物送出用途において、シリンジ製品を用いた最も一般的な方法は、シリンジが使用時に(一般には介護人によって)充填されることである。幾つかの薬物送出用途では、シリンジが事前に充填されて、所定の継続時間にわたって特定の状態でシリンジが分配可能製品のための主要な容器としての役目を果たすことが望ましく、その場合、製品の組成または特性に影響を及ぼす場合がある主要なパッケージ材料と製品との間の相互作用を制限することが必要とされる。また、分配可能製品またはその要素がパッケージから外へ移動するのを制限する、あるいは、パッケージの壁からあるいはパッケージの壁(すなわち、プランジャ、バレルなど)を通じて分配可能製品へ移動する材料を制限することも望ましい。これらの製品安定性要件は、製薬産業を含む幾つかの産業において課題を提示する。成形プラスチック・シリンジ・バレル、特にポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)は、比較的高い水分および酸素の移動可能性を弱点とする。近年、環状オレフィン共重合体(COC)およびシクロオレフィンポリマー(COP)などの新たな市販の成形可能なプラスチック材料は、より高い水分障壁およびガス障壁を与えるが、それらの障壁特性は、一般に製薬産業で長い保管寿命にわたって主要なパッケージとして使用されるガラスまたは高障壁性フィルムと比べて制限される。一方で、ガラス・シリンジ・バレルは、主要な容器として他の課題を提示する。一例としては、近年、ガラスを形成するために使用される工具の摩耗に起因するバレル中のタングステンの残留物が、特定の製品の安定性に関して問題を与えることがより明らかになってきている。また、分配中におけるゴムプランジャとガラスバレルとの間の摩擦が高く、この摩擦は、一般に、産業界では、バレルの内面に潤滑剤(一般には、シリコーン潤滑剤)をコーティングすることによって対処されるが、潤滑剤は、特定の製品の安定性にも影響を及ぼし、特に、幾つかのタンパク質系の薬剤の有効性に影響を与えるタンパク質凝集を引き起こすことが分かってきた。潤滑剤は、ガラスシリンジに関する滑り力の問題を完全に解決せず、そのため、ガラスシリンジの望ましくない特性が残る。幾つかの製薬用途において、特に安定性および保管寿命の目的で、分配直前に分配可能製品を形成するために、使用時に混合される別個の物質として分配可能製品を格納することが望ましい。1つの例として、特定の薬剤またはワクチンは、それらの保管寿命を延ばしてそれらの熱感度を低下させるために乾燥形態で保存され、また、患者へ注入する直前に希釈剤と混合される。これらの用途を扱うために、幾つかの事前充填シリンジが開発されてきており、この事前充填シリンジは、2つの物質(一般には、一方の物質が乾燥薬剤またはワクチンに関するものであり、他方の物質が希釈剤に関するものである)のための2つの格納区画室を有する主容器を設ける。これらのシリンジは、注入ステップの前にシリンジの特定の操作によって2つの物質が混合されるように構成され、注入ステップは、通常のシリンジを用いた注入手続きに非常に類似している。これらのシリンジは、一般にガラスまたはCOC/COPから形成され、また、市販の製品がVetter(Ravensburg,Germany)から商業的に入手できる。
【0004】
米国特許第6,817,987号明細書は、溶媒と可溶性成分とを保持する混合皮下注射シリンジを教示しており、このシリンジは、その前端および後端にバイパスを伴って形成される管状体と、管状体内で軸方向に摺動できるプランジャと、プランジャから延びて管状体から後方に軸方向で突出するステムとを有する。カバーが管状体の前端上に嵌合し、このカバーは耐密であり、そのため、前端からの漏れを伴うことなく、大気圧を超える圧力まで前側区画室を加圧することができる。プランジャよりも前方の管状体内で摺動できる自由ピストンが、プランジャよりも前方の管状体を、可溶性成分を保持する管状体前端の前側区画室と、プランジャとピストンとの間にあって溶媒を保持する後側区画室とに分ける。自由ピストンがバイパスと同じ位置にあって区画室間でバイパスを通じた流れを許容するときに、自由ピストンを捕捉するためのストッパが設けられる。しかしながら、この手法に関しては幾つかの欠点が存在する。すなわち、(a)バレルが前述した問題を与えるガラスまたは成形プラスチックから形成されている、(b)更なるピストンが、製品を複雑にするとともに、その材料コストおよび製造コストを増大させる、(c)余分なピストンが、2つの区画室間を混合して均一な分配可能製品を形成できる能力を制限する、(d)医療分野ではより一般的な要件になってきている針刺し防止機能および使用後無能化機能を与えない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、好ましくはパッケージとして形成されて、ユーザがパッケージの内容物を、分配器とも称される流体輸送装置を通じて制御された態様で分配できるようにする、低コストで、単純で、使用が容易な分配装置を提供するによって従来技術の不都合および制限を克服するものである。本明細書中で使用される「流体輸送装置」という用語は、一般に、製品を導入するための少なくとも1つの入口ポートと、製品を分配するための少なくとも1つの出口ポートとを有する、流動性の製品を輸送するための任意の手段を指す。流体輸送装置の例としては、スパウト、コネクタ、取付具、ルアースリップコネクタ/取付具、ルアーロックコネクタ、注射針、皮下注射針、小型注射針、一組の小型注射針、微小注射針、微小注射針の配列、チューブまたはパイプ、スプレーヘッド、経口点滴器、経鼻点滴器または経鼻噴霧器、経眼点滴器または経眼噴霧器、局所アプリケータ、噴射注入器、以上のうちのいずれかのアダプタ、吸収材料のアダプタ(例えば、スポンジ、織パッドまたは不織パッド、または、物質を皮膚などの表面へ塗布するために使用されてもよい布)が挙げられる。流体輸送装置は、パッケージからの多用量分配を可能にするために使用されてもよい、出口ポートをシールするためのキャップ、バルブ、隔膜、ストッパ、または、タップを更に備えてもよい。装置の再充填および再使用を回避するために一方向バルブ(逆止弁)が流体輸送装置内に形成されてもよい。
【0006】
本開示によれば、ここでは、分配可能製品(または「製品」)の少なくとも1つの区画室を部分的に画定する管状壁を備える長尺部材(時として「バレル」と称される)を備える、皮下注射シリンジの形態にほぼ似る分配装置が存在する。バレルは基端と先端とを備え、前記先端は流体輸送装置と関連付けられる。製品区画室を操作して、製品区画室の容積を減少させ、製品をバレル内で押し進ませることができる。バレルの管状壁の少なくとも1つの部分は、薄い押し潰し可能な壁を備え、この壁は、典型的な皮下注射シリンジの壁よりもかなり薄い。薄壁は、前記区画室の壁を画定する分離可能な障壁を形成するために特定の領域で挟圧される。管状壁は、高障壁性材料から形成されてもよい。1つの構成では、管状壁は、多層プラスチック材料から形成される。高障壁性の層は、AclarまたはCOCとしてHoneywellによって商業的に商標が付けられたポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)から形成することができる。1つの構成では、管状壁材料の内層が接着材料から形成されており、そのため、この内層を変形させて(挟圧させて)それ自体に対してあるいは第2の構成要素に対してシールすることにより障壁を形成することができる。1つの構成において、前記接着材料は、閾値温度の存在下で管状壁の挟圧セクションを結合させる熱接着剤である。Bemis(Oshkosh,WI)が提供しているEasyPeel(商標)などのオレフィンイオノマー混合物を含む多くのオレフィンポリマーが、管状壁の熱接着内層をもたらすことができる。管状壁は、フィルム材料の押出し、共押出し、成形、または、圧延を含む当該技術分野において知られる様々な方法によって形成することができる。管状壁の内側接着層は、管状壁の他の層との共押出し、管状壁の内側の薄いスリーブから吹き出されるコーティング等を含む当該技術分野において知られる方法のうちのいずれかによって形成することができる。接着層を管状壁の内面の全体にわたって塗布することができ、あるいは、接着層を管状壁の内面上の選択セクションに塗布することができる。バレル内でのプランジャの摺動を高めるために潤滑成分を内層に混入させることができる。1つの構成において、管状壁は、以下のステップを含むプロセスによって製造される。すなわち、(a)高障壁性フィルムがロールから繰り出され、(b)高障壁性フィルムの長手方向の末端同士が位置合わせするあるいは僅かに重なり合うように前記高障壁性フィルムの先端が押出しヘッドの周囲に巻回され、(c)長手方向巻回フィルムがカレンダーへ供給されて、押出しヘッドが高障壁性の巻回フィルムに結合される内部円筒層を押し出すことにより、チューブを形成し、(d)チューブが冷却されて、その後、チューブが複数のセクションに切断される。幾つかの構成では、高障壁性フィルムが印刷されあるいは他の方法で視覚情報と共にマーキングされる。幾つかの構成では、外側チューブ層が巻回シート上へ押し出され、それにより、高障壁性フィルムが内側管状押出し層と外側押出し層との間に閉じ込められる。別の構成において、管状壁は、巻回フィルムまたは巻回ホイルから形成される高障壁層と、巻回層上へ押し出されてこの巻回層に結合される内層とを備え、前記結合は、巻回層の少なくとも1つのセクションを押出し層から剥離できるようになっている。別の構成において、管状壁は、高障壁性のフィルムまたはホイルの一部分をその長手方向の末端が位置合わせされあるいは僅かに重なり合うようにプラスチック射出成形金型の雌側へ挿入するとともに、射出成形の技術分野において良く知られるイン・モールド・ラベリング・プロセスと同様の態様で管状の高障壁性部分に結合される内側管状層を成形することによって製造される。管状セクションの成形部は、フィンガフランジやチップなどの細部を更に含んでもよい。巻回された高障壁性部分は、印刷されあるいは他の方法で視覚情報と共にマーキングされてもよい。同様のプロセスがブロー成形またはブロー・フィル・シール・プロセスと共に実施されてもよく、その場合、成形材料は、金型内へ挿入される高障壁性のフィルムまたはホイルの巻回部の内面上へ吹き出される。
【0007】
管状壁に沿う挟圧セクションの1つまたは複数の障壁は、区画室内の閾値圧の存在時にそれらが破れるように形成される。1つの構成において、管状壁の挟圧セクションは、製品区画室とバレルの先端の流体輸送装置との間に障壁を形成する。1つの構成において、管状壁の挟圧セクションは、製品区画室とバレルの基端との間に障壁を形成する。1つの構成において、管状壁の挟圧セクションは、バレルに沿って第1の物質区画室と第2の物質区画室との間に障壁を形成する。障壁が破られると、第1の物質および第2の物質を混合させて分配可能製品を形成できる。幾つかの構成では、混合されると分配可能製品を形成する異なる物質を保持する3つ以上の区画室がバレルに沿って形成される。バレルに沿う障壁を破るために必要とされる閾値圧は、同様であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。これを達成するために使用できる様々なアクチュエータが存在する。1つの構成において、1つまたは複数の区画室の容積は、プランジャを区画室に沿って軸方向に押し進めることによって低減される。1つの構成において、1つまたは複数の区画室の容積は、管状壁を圧縮することによって低減される。1つの構成では、管状壁が圧縮パネルによって圧縮される。別の構成では、管状壁はローラによって圧縮される。区画室の容積減少は、(a)バレルの基端と第1の区画室の間の障壁の破れ、(b)第1の区画室と第2の区画室との間の障壁の破れ、(c)区画室と流体輸送装置との間の障壁の破れ、(d)流体輸送装置を通じたバレルからの流体の分配のうちの少なくとも1つを引き起こす。分配可能製品は、区画室と流体輸送装置との間の障壁が破られた後に区画室容積を減少させるように装置を操作することによって分配される。幾つかの構成では、区画室の容積減少を引き起こす軸方向操作を容易にするためのステムが設けられる。フィンガフランジがバレルの基端と関連付けられてもよい。前記フィンガフランジは、成形プラスチックから形成されるとともに、接着を含む当該技術分野において知られる手段のうちの1つ、熱溶着法のうちの1つによって、あるいは、機械的なロックによってバレルに取り付けられてもよい。1つの構成において、管状壁の基端は、フィンガフランジとの係合のための略径方向の表面を与えるように口が広げられる。流体輸送装置は、バレルの先端と係合するための成形プラスチック接合部を有してもよい。この係合は、接着、熱溶着、または、機械的係合、例えば管状壁と流体輸送装置の円筒接合部との間の耐密環状相互嵌合を含む当該技術分野において知られる方法のうちの1つによって達成されてもよい。
【0008】
幾つかの構成において、バレルは、バレルの基端と先端との間でバレルの軸線に沿ってほぼ延びる硬質シースによって更に支持される。1つの構成では、シースが流体輸送装置を支持する。1つの構成では、シースがフィンガフランジを与える。シースは、機械的嵌合、接着、または、熱溶着を含む当該技術分野において知られる方法のうちの1つによってバレルと係合される。1つの構成において、装置は、針刺し防止機能を備える皮下注射シリンジである。1つの構成において、注射針は、ばねによってバレルの基端へ向けて付勢されるとともに、プランジャがバレルの先端に達するまでその位置で戻り止め機能部により捕捉され、プランジャがバレルの先端に達した時点で、注射針がバレル内へ引き込むように解放され、それにより、注射針の鋭利な尖端が保護され、装置の通常の使用過程で人が注射針の鋭利な尖端に達することができない。別の構成では、プランジャがバレルの基端に達するときに注射針アセンブリがプランジャに固着し、それにより、プランジャが引き込まれると、注射針が保護位置へ向けてバレル内に引き込まれる。また、この動作は、シリンジをその後に使用できないようにする。他の針刺し防止機能および使用後無能化機能を本開示の装置に適用できる。幾つかの構成では、1つの区画室が可溶性物質を収容し、第2の区画室が希釈剤を収容する。流体輸送装置を覆ってシールして、該装置の無菌性および/または水分・酸素障壁を使用まで維持するために、無菌キャップが配置されてもよい。幾つかの構成において、製品は、その無菌性を維持するために無菌パッケージ内に詰められる。1つの構成において、装置パッケージは、可溶性物質の区画室に侵入し得る水分を更に制限するために、乾燥力のある材料などの乾燥材を更に収容する。
【0009】
以下、本開示の二重区画室再構成シリンジに0.5mlの希釈剤および0.2mlの活性粉末を充填するための1つの好ましい方法について説明する。
【0010】
ステップ1:EasyPeel(商標)から形成される内層と、Aclar(商標)から形成される中間層と、PETから形成される外層とを備える多層チューブとして管状壁が押し出され、これらの層は共に150ミクロン厚の壁を形成し、また、一般に、この用量に関しては、3.5mm〜4.5mmの内径が好ましい;
ステップ2:押し出されたチューブが所望の管状壁長さにカットされ、また、一般に、この用量に関しては、50mm〜65mmの長さが好ましい;
ステップ3:管状壁が、挟圧されて、クリンプ(crimp)位置で約3mmに沿って熱溶着され、それにより、管状壁は、それぞれが管状壁の両端へ向けて開放される2つのセクションに分けられる。典型的には、良好なシールを形成するが弱い剥離力を伴うように、EasyPeel接着剤に関しては140℃の温度が望ましい;
ステップ4: H■fliger Harro Verpackungsmaschinen GmbH (Allmersbach i.T.) Drum Fillerなど、この産業界で知られる粉末充填方法のうちの1つにより、管状壁の先端を通じて、アリコート粉末用量を垂直に充填する;
ステップ5:管状壁の先端と粉末用量との間をクリンプしてシールすることにより、シールされた粉末の区画室を形成する;
ステップ6:計量用量ポンプを用いて管状壁の基端開放端を通じて希釈用量のアリコートを垂直に充填する;
ステップ7:管状壁の基端と粉末用量との間をクリンプして熱シールすることにより、シールされた希釈剤区画室を形成する;
ステップ8:ステンレス鋼注射針、円筒状の成形プラスチック注射針ハブ、および、注射針保護キャップを含む注射針アセンブリを、注射針ハブの基端を耐密嵌合態様で環状壁の先端内へ挿入することによって導入する;
ステップ9:プランジャを管状壁の基端内へ導入する;
ステップ10:管状壁を注射針ハブに熱溶着する;
ステップ11:管状壁の基端の口を広げる;
ステップ12:管状壁上にわたってシースを軸方向で導入する;
ステップ13:管状壁の口広がり部をシースの基端の相反する表面に熱溶着する;
ステップ14:ステムをプランジャと係合させる;および
ステップ15:無菌ポーチ内にシールする。
【0011】
このプロセスのステップのうちの一部は、構成要素が最終的な殺菌を回避するように事前に殺菌された状態で、無菌環境内で行なわれてもよい。他のケースでは、装置が最終的な滅菌に耐えることができれば、無菌環境が回避されてもよい。幾つか構成では、ステップ5が回避されてもよく、また、(ステップ8の場合のように)粉末区画室のみが注射針アセンブリによってシールされてもよい。幾つかの構成では、ステップ7が回避されてもよく、また、(ステップ9の場合のように)希釈剤区画室のみがプランジャによってシールされてもよい。幾つかの構成では、ステップ1〜7が実際された後、ステップ15が実施され、それにより、その後の段階で送出装置へ導入されるべき無菌カートリッジが形成される。1つの構成では、この後の段階は異なる製造ライン上で達成される。別の構成では、この後の段階は、ユーザによって達成される。幾つかの構成では、ステップ1〜8が実際された後、ステップ15が実施され、それにより、その後の段階で送出装置へ導入されるべき無菌カートリッジが形成される。1つの構成では、この後の段階が異なる製造ライン上で達成される。別の構成では、この後の段階がユーザによって達成される。幾つかの構成では、ステップ1〜9が実際された後、ステップ15が実施され、それにより、その後の段階で送出装置へ導入されるべき無菌カートリッジが形成される。1つの構成では、この後の段階が異なる製造ラインで達成される。別の構成では、この後の段階がユーザによって達成される。幾つかの構成では、ステップ1〜13が実施された後に、ステップ15が実施され、その場合、全体の輸送体積を減少させるために、ステムがバレルアセンブリと一緒に無菌ポーチ内にパッケージングされる。ステムは、ユーザによってプランジャへ導入されてもよい。
【0012】
別の好ましい製造方法では、第1の物質、第2の物質、流体輸送装置、または、プランジャのうちの少なくとも1つが、管状壁の押出しライン上の管状壁へ導入される。米国特許第5,111,996号明細書および米国特許第4,824,025号明細書などの幾つかの特許および市販製品は、チューブ押出し中に所望の構成要素を押出しチューブ内へ導入するための方法を使用する。この方法の一般的な例は、参照することにより本願に組み入れられる米国特許第6,896,758号明細書および米国特許第5,271,786号明細書によって教示される。この製造手法によれば、所望の構成要素が、押し出し機ヘッドにおける押出し金型の中心コアへ導入される。1つの構成では、管状壁が押出しヘッドから出る際に第1のクリンプが管状壁に形成され、その後、粉末用量が金型コアの開口を通じて第1のクリンプへ押し進められた後、粉末チャンバをシールするために第2のクリンプが行なわれる。同様の方法を液体充填に適用できる。このプロセスの少なくとも一部を垂直方向で行なって、用量を第1のクリンプに隣接した状態に維持することができる。
【0013】
別の好ましい製造方法では、第1の物質区画室と第2の物質区画室との間に障壁を形成する前にあるいは後に、少なくとも1つの物質がバレル内で凍結乾燥される。1つの構成では、装置が筋肉内ワクチン接種を目的とする。1つの構成では、装置が皮内ワクチン接種を目的とし、その場合、流体輸送装置は、微小注射針、または、限られた皮膚侵入深さを有する注射針であってもよい。皮内注入は、一般に、0.1〜0.15mlの範囲内の小さい注入可能容積において設定され、したがって、管状壁直径およびバレルの区画室長さは、0.5ml用量に関しては、先に提案された寸法よりも小さい。
【0014】
1つの構成において、装置は、皮内投与、皮下投与、または、筋肉内投与のための皮膚への無針噴射注入を目的としており、その場合、流体輸送装置は、被検者の皮膚との装置の接触面に配置される噴射注入ノズルである。1つの構成では、管状セクションは実質的に圧力チャンバ内に受け入れられ、この圧力チャンバは、注入ポイントで圧力が印加されるアクチュエータとしての機能を果たすとともに、分配可能製品が噴射ノズルを通じて押し進められる際に管状壁が潰れるようにする。あるいは、分配可能製品をピストンまたはローラによって押し進めることができる。
【0015】
本発明の分配装置は、通常のシリンジと同じ態様でユーザにより手動で操作されてもよい。1つの構成において、分配装置は、ステムを内側へ操作する器具によって動作される。別の構成では、装置が器具によって動作され、この器具は、少なくとも1つの製品区画室または物質区画室の容積を減少させるためのステムまたは他の物体を与える。1つの構成では、分配装置の少なくとも一部が分配器具の圧力チャンバ内に配置され、それにより、圧力チャンバ内で圧力が上昇されると、管状壁が潰れて製品を分配する。1つの構成では、分配装置は分配器具のためのカートリッジとしての機能を果たす。1つの構成において、装置は、分配器具に自動取り込みするための少なくとも1つの同様の装置と関連付けられる。1つの構成では、1つの装置が少なくとも1つの同様の装置と結び付けられる。別の構成では、多くの装置がマガジンの状態に編成される。
【0016】
1つの構成において、管状壁は、アルミニウム酸化物またはシリコーン酸化物などの金属酸化物から形成される少なくとも1つの層を備える。金属酸化物層は、積層、蒸着によって、あるいは、当該技術分野において知られる手段のうちの1つによって付着してもよい。
【0017】
本発明の用途は、ここで一例として与えられる薬剤送出に限定されず、また、本明細書中に記載される教示内容は、接着剤分配、化学物質分配などの事前充填シリンジの他の用途に適用できる。
【0018】
本開示は、これを達成するための様々な形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】様々な形態に合わせて使用され得るシリンジ・バレル・アセンブリを示している。
【
図2】注射針アセンブリとプランジャとを備えるシリンジバレルの1つの構成を示している。
【
図3】注射針アセンブリが分配可能製品をシールするバレルの一構成を示している。
【
図4】プランジャが分配可能製品をシールするバレルの一構成を示している。
【
図5】1つの物質区画室を備える再構成シリンジアセンブリを示している。
【
図6】本開示の再構成シリンジの一構成の動作ステップを示している。
【
図7】針刺し防止機構を含む、更なる好ましい構成を示している。
【
図8】シリンジのその後の使用を防止するために別の針刺し防止機構および無能化機構を使用する、更なる好ましい構成を示している。
【
図9】分配可能製品を送出するためにバレルがローラによって圧縮される、更なる好ましい構成を示している。
【
図10】装置が、ばね力により与えられる圧力によって動作される無針噴射注入器である、好ましい構成を示している。
【
図11】装置が、化学反応により与えられる圧力によって動作される無針噴射注入器である、好ましい構成を示している。
【
図12】バレルがローラによって圧縮されて、ステムが引き込まれるときに再構成が起こる、別の好ましい構成を示している。
【
図13】注入装置の先端および基端の無菌カバーをもたらすように管状壁が延びる別の構成を示している。
【
図14】管状壁が硬質シリンジバレルの外径に取り付けられて、注入中にシリンジのプランジャが粉末区画室内に押し進む、別の構成を示している。
【
図15】管状壁が硬質シリンジバレルの内径に取り付けられて、注入中にシリンジのプランジャが粉末区画室内に押し進む、別の構成を示している。
【
図16】注入中にプランジャが粉末区画室内に押し進む、シリンジの別の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1aは、先端12と基端13とを有する管状壁セクション11を備えるバレルアセンブリ10を示している。管状壁は、先端12に隣接する先端クリンプ14と、基端13に隣接する基端クリンプ15とを備え、これらのクリンプ間に密閉容積空間を形成する。
【0021】
図1bは、管状壁の軸線に沿う
図1cの断面図線を記したバレルアセンブリ10の平面図を示している。
【0022】
図1cは、
図1bの断面線にしたがってバレルアセンブリ10の断面図を示している。先端クリンプ14および基端クリンプ15は、管状壁11に沿って障壁を形成し、これにより、障壁間には、分配可能な所定用量の製品を密閉シールする区画室16が画定される。この構成で示されるバレルアセンブリは、使い捨て可能なシリンジなどの分配装置のサブアセンブリを設けてもよい。この構成で示されるバレルアセンブリは、使い捨て不可能な分配装置のためのカートリッジとしての機能を果たしてもよい。管状壁は、多層チューブの共押出しによって形成される。多層押出し材料の1つの利点は、各層が壁性能全体にとって重要な様々な特性を与えることができるという点である。1つの層は、AclarまたはCOCを用いて達成され得る酸素または水分に対する高い障壁を形成してもよい。別の層は、管状壁11の構造的な安定性および強度を形成してもよく、また、ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成されてもよい。管状壁の内層は、挟圧セクションでシールを形成することができる接着層であってもよい。共押出しチューブ壁の1つの利点は、例えば非常に厚い壁厚を有する成形プラスチック壁を用いて達成できなかった重要な特性の組み合わせを非常に薄い壁厚で達成できるという点である。挟圧セクションでの流体密の障壁は、ヒート・ステーク・シールを含む当該技術分野において知られる手段のうちの1つによって達成され得る。管状壁11の内層がEasyPeelという商標名の製品などのオレフィンイオノマーである場合、140℃〜170℃で良好なシールを達成できる。
【0023】
1つの構成において、管状セクションの区画室16または更なる区画室は、前記区画室の周囲にシールされた筐体を画定するために互いに接着される第1の側面および第2の側面を備える高障壁ホイルラップによって包覆される。少なくとも1つの挟圧セクション(14,15または他)において、包覆体の第1の側面および包覆体の第2の側面は、前記区画室の周囲に一体のシールを完成させるために挟圧セクションに接着される。包覆体は、管状セクションまたはその内容物の視覚検査を可能にするために除去され得る。
【0024】
1つの構成において、管状セクションの区画室16または更なる区画室は、前記区画室の周囲にシールされた筐体を形成するために区画室の周囲に巻回される接着ホイルによって包覆される。包覆体は、管状セクションまたはその内容物の視覚検査を可能にするために除去され得る。
【0025】
図2は本発明のバレルアセンブリの別の好ましい構成を示しており、この構成では、筋肉内(IM)皮下注射針アセンブリ21の形態を成す流体輸送装置が、バレルアセンブリの先端12に配置され、プランジャ25がバレルアセンブリの基端13に配置される。注射針アセンブリ21は、注射針ハブ23に同軸的に取り付けられる注射針と、前記注射針ハブ23と係合される注射針キャップ24とを備える。注射針22は、接着、圧力嵌合、または、熱シールを含む当該技術分野において知られる手段のうちの1つによって注射針ハブに取り付けられてもよい。注射針は、ステンレス鋼316から形成されてもよい。注射針ハブ23は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、COC、および、COPを含む成形プラスチック材料から形成されてもよい。注射針ハブ23は、流体密のシールを形成するために管状壁11の先端12に嵌まり込む円筒状の外径を備える。管状壁11に対する注射針ハブ23のシールは、熱シール、接着、圧力嵌合、管状壁11を注射針ハブ23に対して締め付ける外部クランプ、または、前者の組み合わせを含む当該技術分野において知られる手段のうちの1つによって達成されてもよい。注射針キャップ24は、注射針ハブ23と圧力嵌合するとともに、引き抜き作用またはねじ切り作用によって使用時に除去される。1つの構成では、分配装置の事前の不正開封に気付くことができるように、注射針キャップ24が除去されるときに不正開封防止機能部がその形状を不可逆的に変える。1つの構成では、注射針22を無菌状態に維持するために注射針キャップが注射針ハブ24に対して無菌シールする。1つの構成において、注射針キャップ24は、バレル内の分配可能製品または物質に対して水分障壁または酸素障壁を形成する。注射針キャップは、PP、PE、COC、COP、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)または当該技術分野において知られる他の材料などの成形プラスチックから形成されてもよい。分配装置の特定の用途に役立つように、先に挙げた例などの他の流体輸送装置がバレルと合体されてもよい。プランジャ25は、管状壁11の基端13に流体密の態様で配置される。プランジャは、PEなどの半硬質成形プラスチック材料、または、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)、ブロモブチルゴム(BIIR)、イソプレンゴムなどのゴム材料、または、当該技術分野において知られる他の材料から形成され得る。
【0026】
図3は、分配可能製品16が基端クリンプ15と注射針アセンブリ21との間で管状壁11内に閉じ込められる点を除いて
図2のバレル構成20に殆ど類似するバレルアセンブリ30の別の好ましい構成を示している。注射針キャップ24は、分配可能製品16に対する水分障壁または酸素障壁を形成する。
【0027】
図4は、分配可能製品16が先端クリンプ14とプランジャ25との間で管状壁11内に閉じ込められる点を除いて
図2のバレル構成20に殆ど類似したバレルアセンブリ40の別の好ましい構成を示している。プランジャ25は、分配可能製品16に対する水分障壁または酸素障壁を形成する。
【0028】
図5は、本発明の分配装置の好ましい構成50を示している。バレルアセンブリ56の管状壁部分11は、先端クリンプ14と、基端クリンプ15と、第1の物質を保持する基端区画室57および第2の物質を保持する先端区画室51を画定する中間クリンプ52とを備える。以下の図に示されるように、プランジャ25を操作するために、ステム54がバレル56の基端でプランジャ25と関連付けられる。管状壁の基端13は、広げられてフレア55を形成する。フレア55は、熱間金型を用いた圧縮を含む当該技術分野において知られる手段のうちの1つによって形成され得る。フィンガフランジ53が、管状壁11上にわたって装着する管状の先端部と、その基端から延びる2つの側方突出部と、フィンガフランジ53をフレア55に取り付けるためにフレア55に追従する形状を有する中間セクションとを備える。フィンガフランジ53および管状壁は、接着、熱溶着などを含む当該技術分野において知られる手段のうちの1つによって取り付けられ得る。分配装置50を操作するための1つの方法は、ユーザが自分の人差し指および中指をフィンガフランジ上に配置して親指でステムをバレルの方へ押圧することである。分配装置50を操作するための別の方法は、ユーザが親指と中指との間でフィンガフランジを保持して人差し指でステムをバレルの方へ押圧することである。ステムを分配装置によって操作することができる。
【0029】
次に、
図6aを参照すると、フィンガフランジがバレルアセンブリ56と同軸にバレルアセンブリの基端13からその先端12へシース61の形態を成して延びる点を除いて、
図5の構成50に殆ど類似する更なる好ましい構成60が示されている。シースは、構造的要素を分配装置60に対して与える。シースは、
図5のフィンガフィンガ53の取り付け形態と同じ形態で管状壁の基端に取り付けられる。シース61は、先端で管状壁11および注射針ハブ23に対して圧力嵌合することによりバレル56に取り付けられる。この圧力嵌合は、管状壁11と注射針ハブ23との間のシールに寄与してもよい。
【0030】
図6bは、プランジャ25が、ステム54によって先端へ向けてステムと共に増分距離だけ押し進められる分配装置60を示している。プランジャ25が基端挟圧セクション15を押し通り、それにより、シールが破れて、挟圧セクションがその管状の形状を回復させた。
【0031】
図6cは、プランジャ25がステム54と共に更なる増分ステップだけバレルの先端へ向けて更に押し進められる分配装置60を示している。プランジャ25が先端へ向けて移動すると、第1の物質57の圧力が増大し、それにより、中間挟圧セクション52でのシールが破れ、中間挟圧セクション52がその管状の形状を回復する。第1の物質および第2の物質は、混合して分配可能製品63を形成することができる。
【0032】
図6dは、プランジャ25がステムと共に更なる増分ステップだけバレルの先端へ向けて更に押し進められる分配装置60を示している。プランジャ25が前進するにつれて、製品63の圧力が増大し、それにより、先端挟圧セクション14でのシールが分離し、先端クリンプ14がその管状の形状を回復する。製品63と注射針22との間で流体連通が確立される。
【0033】
図6eは、プランジャ25がステムによってバレルの先端へ押し進められて製品が分配される分配装置60を示している。
【0034】
図7aは、針刺し防止機構を備える別の好ましい構成70を示している。ステム74はその先端にシールグランドを備え、該シールグランドには、管状壁11の基端に対して流体密のシールを与える環状シール75が配置される。ステム74は、その先端に、戻り止め機能部77を更に備える。バレルアセンブリ79がシース71内に移動可能に配置される。バレルアセンブリ79の先端とシース71の内側突出壁との間には、バレルアセンブリ79をシース71の基端側へ向けて付勢するばね72が配置される。戻り止め機構(図示せず)が、バレルアセンブリ79がシース71の基端へ向けて移動するのを防止する。
【0035】
次に、
図7bを参照すると、ステム74がバレルアセンブリ79の先端へ押し進められて製品16を分配するときの装置70が示されている。このとき、戻り止め機能部77は、注射針ハブ76の円形突起78と係合される。ステム74は、バレルアセンブリをばね72に抗して僅かに押圧し、それにより、バレルアセンブリ79をシース71から解放する。
【0036】
次に、
図7cを参照すると、ステム74に作用する内向きの力が解放されると、ばねがバレルアセンブリを引き込んで、注射針22がシース71内へ消えうせ、それにより、注射針の先による想定し得る負傷が防止される。バレルアセンブリ79は、ばねを必要とすることなくステム74を引き戻すことによって引き込まれてもよい。
【0037】
図8aは、分配装置80の事後の使用を防止する自動無能化機構を備える別の好ましい構成80を示している。ばね84がステム85内に配置され、このばねは、グリッパ部83をステム内に付勢している。グリッパ83はステム85の内壁の凹部に係合され、それにより、グリッパ83をステム85内へ引き込むことが防止される。ステムは、管状壁11に対してシールする側方突出部を更に備え、それにより、専用の弾性シール部品を伴うことなく流体密のシールが形成される。バレルの先端では、結合ユニット82が管状壁11に対してシールされる。注射針ハブ81が、流体密なシール態様を成して、注射針ハブ81からの突出部を受ける結合ユニットの円形溝88を介して、結合ユニット82と機械的に係合される。
【0038】
図8bを参照すると、ステムがバレルの基端へ向けて進められて製品87が分配される装置80が示されている。このとき、グリッパ部83が注射針ハブの相反特徴形態部と係合される。
【0039】
図8cを参照すると、ステムがバレル内へ更に押し込まれ、それにより、注射針ハブ81が結合ユニット82から外れるとともに、グリッパ部83がステム85の戻り止め溝89から外れ、その結果、ばねがグリッパ83を注射針22および注射針ハブ81と共にステム85内へ引き込むことができる。この位置では、装置を再び使用することができない。
【0040】
次に、
図9aを参照すると、分配装置の更なる構成90が示されている。分配装置90は、フレーム91内に囲まれるバレルアセンブリ56を備え、前記フレーム91は、ステム92がフレーム91およびバレルアセンブリ56に沿って軸方向に移動するように案内する。2つのローラ93’がステム92の先端内に受け入れられ、また、他のローラは示されていない。
【0041】
図9bは、バレルアセンブリの軸線に沿う
図9cにおける断面線を示している。
図9cは、
図9bで与えられる断面線に沿う分配装置90の断面図を示している。ローラ93’,93”のシャフトは、それらがバレル56の軸線に沿って一緒に移動するようにステム92と通じる。ステム92が押し進められるにつれて、管状壁11が2つのローラ93’とローラ93”との間で圧縮され、それにより、プランジャがバレル内で進むときに
図6に示されるのと同様な一連の事象が引き起こされる。この構成の1つの利点は、バレルアセンブリの基端がシールされたままであり、それにより、汚染の危険が低減されるという点である。この構成の別の利点は、それがバレル内でのゴムプランジャの摩擦を回避するという点である。
【0042】
図10aは噴射注入形態を示している。噴射注入のため、非常に短い時間でかなりの圧力が生み出される必要がある。装置100は、圧力チャンバ108内に囲まれたバレルアセンブリ56を備える。圧力チャンバ108の先端で、ピストン106が、ばねによってチャンバ108の先端へ向けて付勢されるとともに、注入時間までこの位置で戻り止め機構(図示せず)によって戻り止めされる。
【0043】
図10bは、噴射ノズル102をその中心に備える流体輸送装置101の詳細図を示している。流体輸送装置101の基端が管状壁11に対してシールされる。流体輸送装置101の中心で、小孔が噴射ノズル102を形成する。ノズル102は、使用時までカバー103によって覆われる。
【0044】
図10cは、管状壁11のクリンプ14が注入可能な製品16をノズルから分離する噴射注入器100の1つの形態を示している。使用前に、管状壁を押圧して製品16を加圧するべくバレルがアクセスされ、それにより、バレルが挟圧セクション14で破れ、製品16とノズル102との間で流体連通が確立される。
【0045】
図10dは、カバー103が除去された後の装置100を示しており、ばね107がピストンをバレル56の方へ移動させることができるようにピストン106が解放されてしまっており、それにより、圧力チャンバ108内で圧力が瞬間的に増大する。見返りとして、チャンバ108内の圧力によって管状壁が潰れ、それにより、加圧された製品16がノズル102を通じて薄い噴射形態109で送出される。
【0046】
図11は、第2の圧力チャンバ112内で生み出される圧力によってピストンが前方へ押し進められる点を除いて、
図10の構成100にかなり類似する噴射注入器の更なる好ましい構成を示している。点火モジュール111がその後端のボタン113を押すことによって起動され、それにより、
図10で説明した噴射注入を引き起こすために圧力を瞬時に増大させてピストン106を前方へ押し進める小さい爆発が生み出される。1つの構成では、ピストンが排除され、モジュール111により生み出される圧力が管状壁に直接に印加される。
【0047】
図12aは、
図9の場合と同様に管状壁が、ステムと関連付けられるローラの結合によって潰される本発明の好ましい構成を示している。図は、ステム121がバレルアセンブリ56の先端へ押し進められる使用前位置における組み付けられた装置120を示している。フレーム122がバレルに沿って配置されてステム121を案内する。
【0048】
図12bは、
図12aの場合と同じ使用前位置における装置120の分解図を示している。2つの圧縮ローラ93’,93”が、上側および下側の片持梁の端部で、ステム121の側壁の孔に挿通される。ローラ93’,93”のシャフト123’,123”がステム121の壁を貫通して延びる。シャフト123’,123”はフレーム122の側壁の案内リブ124に係合し、それにより、ステムがバレル56およびフレーム122の軸線に沿って操作されると、ローラは、それらがバレルの軸線に沿って移動するにつれて、互いの方へまたは互いに離れるように径方向に移動する。ステム121の片持梁は、ローラが径方向に移動するにつれて屈曲する。バレルアセンブリ56は、バレル56の基端12および先端13を強固に保持するフレーム122内に配置される。バレルは、2つの物質区画室−基端挟圧セクション15と中間挟圧セクション52との間の基端区画室と、先端挟圧セクション14と中間挟圧セクション52との間の先端区画室とに分離される。
【0049】
図12cは、使用前の分配装置120の断面図を示している。この位置では、ステムがバレルアセンブリ56の先端13の方へ押し進められる。ローラ93’,93”が先端挟圧セクション14の領域に配置される。バレル56は、流体物質57を伴う先端物質区画室と、第2の物質51を伴う基端区画室とを備え、分配可能な混合物または製品を形成するために2つの物質が混合される必要がある。この構成120の1つの利点は、使用前のパッケージング形態でのそのコンパクトなサイズである。これは、ステム121がパッケージングされた体積に大きく寄与しないように押し進められるからである。
【0050】
図12dは、ステム120が漸進的に引き出された後の装置120を明らかにしており、この場合、ローラが先端区画室を僅かに圧縮し、それにより、流体物質157が中間クリンプセクション52のシールを加圧して破り、その結果、流体物質が第2の製品51と混合されて分配可能製品63を形成できるようになっている。流体物質57は、液体、ゲル、ペースト、スラリー、ガス、懸濁液、混合物、溶液、流動性粉末、または、以上の組み合わせを含む当該技術分野において知られる任意の形態を成してもよい。第2の物質51は、液体、ゲル、ペースト、スラリー、ガス、懸濁液、混合物、溶液、流動性粉末、固体、圧縮粉末顆粒、ケーキ、凍結乾燥ケーキ、または、以上の組み合わせを含む当該技術分野において知られる任意の形態を成してもよい。分配可能製品63は、第1および第2の物質51,57の化学反応の生成物、混合物、溶液、懸濁液、液体、ゲル、ペースト、スラリー、ガス、流動性粉末、または、以上の組み合わせであってもよい。
【0051】
図12eは、ステム121が更なる増分距離だけ引き込まれた後の装置120を示している。フレーム122のガイド(図示せず)は、ローラ93’,93”がステム121と共に軸方向に移動するにつれてローラシャフト123’,123”を互いから離れるように側方にそらし、それにより、ローラ93’,93”およびステム121の片持梁が離間する。この位置では、ローラがもはや管状壁11を圧縮しない。
【0052】
次に、
図12fを参照すると、ステム121が完全に引き込まれた後の注入待機位置にある装置120が示されており、そのため、このとき、ローラ93’,93”は、いつでも管状壁11を流体輸送装置21へ向けて圧搾してそのプロセスで製品63を絞り出すことができるように製品区画室の背後に配置される。ローラは、それらが離間された状態でこの位置まで引き込まれ、また、フレーム122の壁のガイドによってローラはこの位置で近接位置に戻ることができた。ステムが注入のために押し込まれると、ガイドは、ローラ93’,93”を互いの方へ押圧される状態に維持し、それにより、製品63の効率的な絞り出しを行なうことができる。当業者であれば分かるように、針刺し防止機能と自動無能化機能とが装置120に組み込まれてもよい。不正開封防止機能が装置120に組み込まれてもよい。
【0053】
図13を参照すると、管状壁11は、その先端12が延出されて、注射針アセンブリ(図示せず−先の図の21)を覆い隠す先端延出部131を形成している。延出部131の基端12は、挟圧されてシールされ、それにより、注射針アセンブリの無菌筐体を形成して注射針アセンブリの無菌性を確保する。延出部分131は、機械的な保護を注射針に対して与えてもよく、また、先の図に示されるような注射針シールドの必要性を排除してもよい。先端延出部131は、流体輸送装置を露出させるように除去されてもよい。1つの構成では、先端延出部131がそれをねじり切ることによって除去される。数字133が指し示す脆弱部分は、先端延出部131の破断領域を画定する。管状壁は、その基端も延出して、その基端13が挟圧されてシールされる基端延出部132を形成し、それにより、先の図に示されるピストンの無菌筐体が形成される。基端延出部は、注入前位置と注入位置との間で軸方向に移動できるベローズの形態の波形を成しており、それにより、ピストンの操作で送出装置130を操作できる。
【0054】
次に、
図14を参照すると、管状壁11は、挟圧およびシールセクション14,52によって画定される物質区画室51を形成する。管状壁11の基端13は、流動性物質145が予め満たされたシリンジの硬質バレル141の外径に取り付けられる。環状の第2のプランジャ144が基端障壁52と硬質バレル141との間に同軸的に配置され、管状壁11の先端12へ向けて軸方向に移動できる。第1のプランジャ25が、硬質バレル141の基端に配置されて、ステム54と共にバレル141の軸線に沿って移動できる。この構成は、第1のプランジャ25が装置140の先端へ向けて押し進められると、それにより、第1の物質145が基端障壁52を加圧して破り、その結果、第1の物質145と第2の物質51とが混合して分配可能製品を形成できるようになっている。プランジャ25を装置140の先端へ向けて更に押し進めると、製品が先端障壁14を加圧して破り、したがって、製品と流体輸送装置21との間の連通が確立される。プランジャが硬質バレル141内で更に押し進められると、製品が流体輸送装置21を通じて装置140から絞り出される。第1のプランジャ25が硬質バレル141の先端に達すると、第1のプランジャが第2のプランジャ144とシール態様で係合し、この時点から、ステム54が硬質バレル141内へ更に操作されると、2つのプランジャが一緒に前進し、それにより、残りの用量が管状壁部分11から絞り出される。第2のプランジャ144は第1のプランジャ25よりも大きい直径を有し、それにより、管状壁11に対して流体密のシールがもたらされる。2つのプランジャが係合してその領域で製品の残留物を排除するときには、第1のプランジャ25の軸方向突出部143が第2のプランジャ144の環状孔と嵌合する。Sullivanの米国特許第7,850,663号明細書は、再構成された粉末状の薬剤の皮内送出のための方法および装置を教示する。装置は、微小デバイス、例えば微小研磨器、または、1つ以上の微小注射針と流体連通するチャンバを含む。粉末状薬剤を収容するカートリッジが前記チャンバ内に配置されてもよい。少なくとも1つの破裂可能な膜がハウジング内の粉末状薬剤を保持する。方法は、患者の皮膚上の送出部位に装置を位置決めするステップと、希釈剤源から入口ポートを通じて希釈剤を分配することにより、膜を破って、粉末状薬剤を再構成するとともに、その再構成された薬剤を、微小デバイスを通じて皮膚の真皮領域に送出することによって薬剤を経皮的に投与するステップとを伴う。
図14の構成140とは異なり、また、Sullivanの
図5Dに示されるように、送出された製品のかなりの残留物が、時として「デッドスペース」と称される粉末区画室内の注入端部に残存する。これは、本開示の
図14では、分配可能製品を第2のプランジャ144の孔から排出する突出部143を第1のプランジャに設けることによって対処される。Sullivanの米国特許出願公開第20060276755号明細書はバルブ付きの薬剤送出装置を教示しており、この薬剤送出装置は、同軸に位置合わせされる入口および出口を含むチャンバを有するハウジングと、チャンバ内に配置され、貫通して設けられる通路、および該通路をシールして10気圧未満の破裂圧を有する膜を有する薬剤カートリッジと、チャンバと流体連通する出口を有する手動で作動できる流体送出装置と、手動で作動されるバルブであって、流体送出装置の出口と加圧下で流体をバルブへ送出するためのチャンバ入口との間に配置されるバルブとを含む。この発明の薬剤送出装置は、最初にバルブの上流側の圧力送出装置内の圧力チャンバを加圧し、その後、バルブを開くことにより膜を開放してチャンバ出口を通じて薬剤を絞り出すことによって、制御された単位用量の薬剤を要求に応じて送出するために利用されてもよい。Sullivanの出願の
図3および
図4は、粉末物質と水との間に障壁を形成するホイルを示している。この構成は、ホイルを通じた多大な水分移動をもたらして、粉末物質を損傷させる場合がある。この不都合は、管状壁が2つの物質間の障壁を構成しないため、本開示の
図14およびこの開示の他の構成で対処される。代わりに、かなり幅広いシール部分52が、乾燥物質へ水分が移動する危険を排除する障壁を第1の物質と第2の物質との間で構成する。硬質バレル141がポリプロピレンから形成されてもよく、また、管状セクション11が、熱溶着によってあるいは当該技術分野において知られる任意の他の方法によって硬質バレルに取り付けられてもよい。1つの構成において、硬質バレル141は、硬質バレル141を管状壁11上にオーバーモールド(インサート成形)することによって管状壁11に取り付けられる。
【0055】
図15を参照すると、管状壁11は、挟圧シールセクション14,52によって画定される物質区画室51を形成する。管状壁11の基端13は、流動性物質155で予め満たされたシリンジの硬質バレル151の内径の凹状セクション153に取り付けられる。プランジャ25が、硬質バレル151の基端に配置されて、ステム54の操作によりバレル141の軸線に沿って移動できる。この構成は、プランジャ25が装置150の先端へ向けて押し進められると、それにより、第1の物質155が基端障壁52を加圧して破り、その結果、第1の物質155と第2の物質51とが混合して分配可能製品を形成できるようになっている。プランジャ25を装置150の先端へ向けて更に押し進めると、製品が先端障壁14を加圧して破り、したがって、製品と流体輸送装置21との間の連通が確立される。プランジャ25が硬質バレル141内で更に押し進められると、製品が流体輸送装置21を通じて装置140から絞り出される。硬質バレル151はポリプロピレンから形成されてもよく、また、管状セクション11は、熱溶着によってあるいは当該技術分野において知られる任意の他の方法によって硬質バレルに取り付けられてもよい。1つの構成において、硬質バレル151は、硬質バレル151を管状壁11上にオーバーモールド(インサート成形)することによって管状壁11に取り付けられる。管状壁11が取り付けられる硬質バレル151の凹状セクション153は、硬質バレル151と管状壁11との間で均一な内径を維持でき、それにより、プランジャ25との確実な流体密のシールをその移動の全体にわたって確保する。
【0056】
図16は、シリンジバレル13を備えるシリンジ構成を示しており、シリンジバレルは、バレル13の基端のプランジャ25とバレル13の先端の破裂可能な膜164との間に第1の成分区画室153を画定する。注射針アセンブリ168が、注射針169に取り付けられる注射針ハブ161を備える。注射針ハブ161は、膜164によってシールされる第2の成分のための区画室162を更に画定する。第2の区画室162は注射針の基端と流体連通し、また、第2の成分162を無菌シールして収容するために注射針169の先端が注射針ストッパ167を用いてシールされる。注射針ハブ165の基端は、接着剤、圧力嵌合、および、耐密螺合により、ヒートステーク溶着、スピン溶着、超音波溶着、RF溶着を含む当該技術分野において知られる取付方法のうちの1つによって流体密の態様でバレル13に取り付けられる。1つの構成では、膜164は注射針アセンブリ168に取り付けられ、それにより、シリンジバレル13との一体化の前に、第2の成分を無菌シール状態に維持する。1つの構成では、膜164は注射針アセンブリ168に取り付けられ、それにより、シリンジバレル13との一体化の前に、第2の成分を無菌シール状態に維持する。1つの構成において、膜164は、注射針ハブ161に取り付けられる第1の層と、注射針アセンブリ168およびバレル13の組み付け前にシリンジのバレル13に取り付けられる第2の層とから成る。この構成において、第1の膜層は、バレルとの組み付け前に第2の成分を無菌シール状態に維持し、また、第2の層は、注射針アセンブリ168との一体化の前に第1の成分を無菌シール状態に維持する。この場合、シリンジバレル13と注射針アセンブリ168との一体化は、製造プロセスにおいて、または、注入直前の現場で、あるいは、他の場所で行なわれてもよい。前述した膜または膜層を保護するために、保護キャップが配置されてもよい。注入のため、シリンジのプランジャ25およびピストン54が押し進められ、それにより、第1の成分153が加圧されて、膜164が破られ、第1および第2の成分が融合できる。注射針キャップが除去された状態で、プランジャ25を更に押し進めると、融合された第1および第2の成分153,164が注射針を通じて絞り出される。注入プロセスの終わりに、プランジャ25の突出部166が、第2の区画室162に少なくとも部分的に侵入してシリンジ内の製品残留物を減少させる。第1の成分153が加圧される際の膜の破裂を容易にするために、破断部材が膜164と関連付けられてもよい。膜164が複数の層から成る前述した構成では、破断部材がこれらの層間に受け入れられてもよい。
【0057】
以上、本発明をその例示的な構成に向けられるある程度の特殊性をもって説明してきた。しかしながら、本発明は、本明細書中に含まれる発明概念から逸脱することなく本発明の例示的な構成に対して改良または変更が成されてもよいように従来技術に照らして解釈される以下の請求項によって規定されることは言うまでもない。