特許第5960180号(P5960180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960180
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】取水口
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   E02B5/08 101A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-46807(P2014-46807)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-169052(P2015-169052A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】石森 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉原 聡
(72)【発明者】
【氏名】入江 彰
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−002263(JP,A)
【文献】 実開平02−006731(JP,U)
【文献】 特開2006−299755(JP,A)
【文献】 特開平08−199674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/08
E02B 9/04
E03F 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に沿う方向を長手方向とする長尺部材であって、深さ方向に並べて配置される複数のスクリーン部材と、
前記スクリーン部材を貫通する棒状部材である縦軸と、前記縦軸に交差する棒状部材である横軸と、が交互に接続された部材であって、前記複数のスクリーン部材を連結する複数のクランク回転軸と、
前記クランク回転軸を回転させる駆動装置と、
前記スクリーン部材の長手方向の両側に位置しており、前記スクリーン部材の長手方向に突出する複数の凸部を備える側壁と、
を備え、
前記複数の凸部は、前記横軸に対向する位置に、前記複数のスクリーン部材が並べられる間隔と同じ間隔で並べられる
ことを特徴とする取水口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥を捕捉するためのスクリーン装置および取水口に関する。
【背景技術】
【0002】
河川等から取水するために設けられる取水口には、河川等の水中に含まれる草木またはゴミ等の塵芥を捕捉するためにスクリーン装置が設けられる。スクリーンに捕捉された塵芥が多量になると、塵芥で水の流れが遮られるので、単位時間当たりに取水できる量が減少する可能性がある。このため、スクリーンに付着した塵芥は、多量に堆積する前に排除される必要がある。これに対して、特許文献1には、固定スクリーン素子および可動スクリーン素子が交互に配置され、固定スクリーン素子および可動スクリーン素子の下流側の端部がクランク機構により連結されているスクリーン装置が記載されている。特許文献1には、当該クランク機構を回転させることで、可動スクリーン素子を長軸方向に往復運動させると同時に、スクリーン装置を通過する流体の流れの方向にも往復運動させることにより、捕捉された塵芥が徐々に下流側に移動させられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−2263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術を用いた場合、固定スクリーン素子および可動スクリーン素子が交互に配置されているため、塵芥が固定スクリーン素子にのみに接触している状態では、塵芥を下流側に移動させる力が塵芥に作用しにくくなる可能性がある。また、クランク機構は下流側に1つ設けられているだけであるため、可動スクリーン素子における河川の上流側の部分の動作が小さくなり、塵芥に作用する力が小さくなる可能性がある。このため、従来技術においては、スクリーン装置全体のうち塵芥が捕捉されている位置によって、塵芥が河川の下流側に移動しにくくなる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、捕捉した塵芥に対して河川の下流側に移動させる力を加えることができ、位置による当該力の大きさのバラつきを抑制することができるスクリーン装置および取水口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスクリーン装置は、水平面に沿う方向を長手方向とする長尺部材であって、深さ方向に並べて配置される複数のスクリーン部材と、前記スクリーン部材を貫通する棒状部材である縦軸と、前記縦軸に交差する棒状部材である横軸と、が交互に接続された部材であって、前記複数のスクリーン部材を連結する複数のクランク回転軸と、前記クランク回転軸を回転させる駆動装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、クランク回転軸が回転している間、平面視で移動する複数のスクリーン部材のうち少なくとも1つが塵芥に接触し、河川の下流側へと移動させる力を加えている。また、上述した特許文献1においては、クランク機構が1つであったために河川の上流側の部分の動作が小さくなる可能性があったのに対して、本発明に係るスクリーン装置は、複数のクランク回転軸を用いてスクリーン部材を連結し回転させている。これにより、スクリーン部材は、河川の流れ方向の位置に関わらず、平面視で縦軸が移動する距離に応じた大きさの動作を行うことができる。これにより、スクリーン装置は、捕捉した塵芥に対して河川の下流側に移動させる力を加えることができ、位置による当該力の大きさのバラつきを抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係る取水口は、水平面に沿う方向を長手方向とする長尺部材であって、深さ方向に並べて配置される複数のスクリーン部材と、前記スクリーン部材を貫通する棒状部材である縦軸と、前記縦軸に交差する棒状部材である横軸と、が交互に接続された部材であって、前記複数のスクリーン部材を連結する複数のクランク回転軸と、前記クランク回転軸を回転させる駆動装置と、前記スクリーン部材の長手方向の両側に位置しており、前記スクリーン部材の長手方向に突出する複数の凸部を備える側壁と、を備え、前記複数の凸部は、前記横軸に対向する位置に、前記複数のスクリーン部材が並べられる間隔と同じ間隔で並べられることを特徴とする。
【0009】
このようにすることで、本発明に係る取水口は、スクリーン部材の長手方向の両側に生じる隙間の一部を凸部が埋める。また、凸部は、深さ方向において横軸に対向する位置に配置されているため、スクリーン部材の動作範囲とは異なる位置に配置されている。これにより、取水口は、スクリーン部材の動作を妨げず、スクリーン部材の長手方向の両側に生じる隙間を比較的小さくすることができる。このため、取水口は、スクリーン部材の長手方向の両側に生じる隙間を塵芥がすり抜ける可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、捕捉した塵芥に対して河川の下流側に移動させる力を加えることができ、位置による当該力の大きさのバラつきを抑制することができるスクリーン装置および取水口を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、スクリーン装置が配置される位置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、スクリーン装置の構成を示す平面図である。
図3図3は、スクリーン装置の構成を示す正面図である。
図4図4は、図3におけるA−A’断面を示す図である。
図5図5は、スクリーン部材の端部を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、図2に示す時点からクランク回転軸が平面視で90°回転した時点でのスクリーン装置を示す平面図である。
図7図7は、図3に示す時点からクランク回転軸が平面視で90°回転した時点でのスクリーン装置を示す正面図である。
図8図8は、図7におけるB−B’断面を示す図である。
図9図9は、図2に示す時点からクランク回転軸が平面視で180°回転した時点でのスクリーン装置を示す平面図である。
図10図10は、図2に示す時点からクランク回転軸が平面視で270°回転した時点でのスクリーン装置を示す平面図である。
図11図11は、比較例に係る取水口を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
(実施形態)
図1は、スクリーン装置が配置される位置を模式的に示す平面図である。図1に示すように、河川100から取水するために、河川100の一部に取水口10が設けられている。取水口10は、河川100に交差するように設けられる側壁9を備える。取水口10は、河川100を流れる水のうち一部を取り入れ、例えば水力発電所等に水を供給する。河川100の水中には、草木またはゴミ等の塵芥が含まれている。このような塵芥が水力発電所等に導かれることを抑制するために、取水口10は、対向する側壁9の間にスクリーン装置1を備える。
【0014】
図2は、スクリーン装置の構成を示す平面図である。図3は、スクリーン装置の構成を示す正面図である。図4は、図3におけるA−A’断面を示す図である。図5は、スクリーン部材の端部を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、スクリーン装置1は、複数のスクリーン部材2を備える。
【0015】
スクリーン部材2は、水平面を沿う方向を長手方向とする長尺部材である。例えば本実施形態において、スクリーン部材2は板状部材である。複数のスクリーン部材2は、深さ方向に並べて配置されている。例えば本実施形態において、複数のスクリーン部材2は、鉛直方向に等間隔に並べて配置されている。なお、スクリーン部材2は、棒状部材等の他の形状の部材であってもよいし、複数のスクリーン部材2は、鉛直方向に対して角度を有する方向に向かって並べて配置されていてもよい。
【0016】
図3に示すように、スクリーン装置1は、複数のスクリーン部材2を連結するクランク回転軸3を備える。クランク回転軸3は、複数であり、例えば本実施形態においては2つである。2つのクランク回転軸3は、スクリーン部材2の長手方向の両端部に配置されている。クランク回転軸3は、スクリーン部材2を貫通する棒状部材である縦軸31と、縦軸31に交差する棒状部材である横軸32と、が交互に接続された部材である。例えば、縦軸31は、鉛直方向に平行な円柱状であって、横軸は、水平方向に平行な円柱状である。このため、縦軸31は、図3に示すように鉛直方向に平行な軸Z2上または鉛直方向に平行な軸Z3上に配置されている。
【0017】
図5に示すように、縦軸31は、スクリーン部材2に設けられた貫通孔22を貫通している。貫通孔22の内側には軸受21が備えられている。例えば、軸受21は玉軸受である。軸受21の外輪が貫通孔22の内側に圧入等で固定されており、縦軸31が軸受21の内輪を貫通している。これにより、縦軸31は、スクリーン部材2を相対回転可能な状態で支持している。また、縦軸31は、外周面に固定されたストッパー33を備える。例えば本実施形態において、ストッパー33は、スラスト玉軸受である。これにより、縦軸31は、スクリーン部材2の深さ方向の位置を規制している。
【0018】
クランク回転軸3は、鉛直方向の端部に配置される縦軸31に接続される棒状部材である端部横軸32eと、端部横軸32eに接続される棒状部材である端部縦軸31eと、を備える。例えば、端部横軸32eは、水平方向に平行な円柱状であって、横軸32の半分の長さである。端部縦軸31eは、鉛直方向に平行な円柱状である。このため、端部縦軸31eは、図3に示すように鉛直方向に平行な軸Z1上に配置されている。軸Z1は、軸Z2および軸Z3から、端部横軸32eの長さに略等しい距離L1離れている。
【0019】
また、鉛直方向下側の端部に配置される端部縦軸31eは、軸受34を介して取水口10の底に支持される。例えば、軸受34は、スラスト玉軸受である。また、鉛直方向上側の端部に配置される端部縦軸31eは、駆動装置4に接続される。なお、鉛直方向上側の端部に配置される端部縦軸31eは、鉛直方向下側の端部に配置される部材と異なる部材であってもよい。
【0020】
駆動装置4は、クランク回転軸3を回転させる装置である。駆動装置4は、例えば電動モータ等であり、図3に示すように側壁9に配置されている。駆動装置4が回転駆動することにより発生したトルクは、ベルト等の伝達手段によって2つのクランク回転軸3の端部縦軸31eに伝達され、軸Z1を中心にしてクランク回転軸3を回転させる。図2、3に示すように、駆動装置4は、クランク回転軸3を平面視で反時計回りに回転させる。また、2つのクランク回転軸3は、互いに同位相になるように回転させられる。これにより、2つのクランク回転軸3において、軸Z2および軸Z3が、180°ずれた位置関係を保ちながら平面視で軸Z1を中心とした円周C上を移動する。クランク回転軸3が回転すると、縦軸31の移動に応じてスクリーン部材2が移動する。2つのクランク回転軸3が互いに同位相で回転しているため、スクリーン部材2は、平面視での長手方向の向きを一定にしたまま往復運動を行う。なお、駆動装置4は、必ずしも全てのクランク回転軸3に接続されていなくてもよく、少なくとも1つのクランク回転軸3に接続されていれば足りる。また、駆動装置4は、河川100の流れを利用した水車等であってもよい。
【0021】
図2、3、4に示す時点において、軸Z1、軸Z2、および軸Z3は、図2に示す河川100の流れF1方向に沿って軸Z2、軸Z1、軸Z3の順で並んでいる。このため、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2が、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2よりも、流れF1方向で上流側に位置している。一方、図2に示すスクリーン装置1を通過する流れF2方向において、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2は、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2と同じ位置にある。
【0022】
図6は、図2に示す時点からクランク回転軸が平面視で90°回転した時点でのスクリーン装置を示す平面図である。図7は、図3に示す時点からクランク回転軸が平面視で90°回転した時点でのスクリーン装置を示す正面図である。図8は、図3におけるB−B’断面を示す図である。
【0023】
図6、7、8に示す時点において、軸Z1、軸Z2、および軸Z3は、図6に示すスクリーン装置1を通過する流れF2方向に沿って軸Z2、軸Z1、軸Z3の順で並んでいる。このため、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2が、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2よりも、流れF2方向で上流側に位置している。一方、図6に示す河川100の流れF1方向において、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2は、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2と同じ位置にある。
【0024】
図9は、図2に示す時点からクランク回転軸が平面視で180°回転した時点でのスクリーン装置を示す平面図である。図10は、図2に示す時点からクランク回転軸が平面視で270°回転した時点でのスクリーン装置を示す平面図である。
【0025】
図9に示す時点において、軸Z1、軸Z2、および軸Z3は、流れF1方向に沿って軸Z3、軸Z1、軸Z2の順で並んでいる。このため、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2が、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2よりも、流れF1方向で下流側に位置している。一方、流れF2方向において、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2は、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2と同じ位置にある。
【0026】
図10に示す時点において、軸Z1、軸Z2、および軸Z3は、流れF2方向に沿って軸Z3、軸Z1、軸Z2の順で並んでいる。このため、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2が、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2よりも、流れF2方向で下流側に位置している。一方、流れF1方向において、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2は、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2と同じ位置にある。
【0027】
上述したように、クランク回転軸3が回転している間、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2と、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2と、の相対的な位置関係が変化していく。また、クランク回転軸3が回転している間、クランク回転軸3に連結される全てのスクリーン部材2が平面視で移動している。
【0028】
このようなスクリーン部材2の動作によって、スクリーン装置1が捕捉した塵芥が流れF1方向の下流側へ移動させられる。以下において、例えば図2に示す時点で隣接する2つのスクリーン部材2に塵芥が接触している状態を前提として、塵芥がどのように移動させられるのかを、図2、6、9、10を用いて説明する。
【0029】
図2に示す時点から図6に示す時点を経て図9に示す時点に至るまでの間、複数のスクリーン部材2のうち流れF2方向において上流側に位置するのは、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2である。このため、塵芥は、軸Z2上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2に接触している。また、当該スクリーン部材2は、流れF1方向において上流から下流に向かって移動している。このため、塵芥と当該スクリーン部材2との間に発生する摩擦力により、塵芥が流れF1方向の下流へと移動させられる。そして、図9に示す時点で、塵芥は隣接する2つのスクリーン部材2に接触する。
【0030】
図9に示す時点から図10に示す時点を経て図2に示す時点に至るまでの間、複数のスクリーン部材2のうち流れF2方向において上流側に位置するのは、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2である。このため、塵芥は、軸Z3上に配置される縦軸31に支持されるスクリーン部材2に接触している。また、当該スクリーン部材2は、流れF1方向において上流から下流に向かって移動している。このため、塵芥と当該スクリーン部材2との間に発生する摩擦力により、塵芥が流れF1方向の下流へと移動させられる。
【0031】
これにより、クランク回転軸3が回転している間、平面視で移動する複数のスクリーン部材2のうち少なくとも1つが塵芥に接触し、河川100の下流側へと移動させる力を加えている。また、上述した特許文献1においては、クランク機構が1つであったために河川の上流側の部分の動作が小さくなる可能性があったのに対して、本実施形態に係るスクリーン装置1は、複数のクランク回転軸3を用いてスクリーン部材2を連結し回転させている。これにより、スクリーン部材2は、流れF1方向の位置に関わらず、平面視で縦軸31が移動する距離に応じた大きさの動作を行うことができる。これにより、スクリーン装置1は、捕捉した塵芥に対して河川100の下流側に移動させる力を加えることができ、位置による当該力の大きさのバラつきを抑制することができる。
【0032】
また、スクリーン装置1において、スクリーン部材2の流れF1方向の位置が変化するため、取水口10の側壁9からスクリーン部材2までの距離が変化する。このため、スクリーン部材2の長手方向の両側に隙間が生じやすくなり、塵芥が当該隙間をすり抜ける可能性がある。そこで、本実施形態に係る取水口10の側壁9は、図3、7に示すように、スクリーン部材2の長手方向に突出する複数の凸部91を備える。また、複数の凸部91は、クランク回転軸3の横軸32に対向する位置に、複数のスクリーン部材2が並べられる間隔と同じ間隔で並べられる。凸部91は、例えば側壁9から直方体状に突出している。スクリーン部材2の長手方向における凸部91の長さは、例えば、距離L1以上である。また、凸部91は、例えば側壁9の一部を切り欠くことで形成されている。なお、凸部91は、側壁9とは異なる部材を側壁9に固定することで形成されていてもよい。
【0033】
図11は、比較例に係る取水口を示す正面図である。比較例に係る取水口10Cの側壁9Cは、例えば鉛直方向に沿った平坦な表面を有している。このような側壁9Cを備える取水口10Cに、スクリーン装置1が設けられた場合、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間が大きくなるため、塵芥が当該隙間をすり抜ける可能性が高くなる。
【0034】
本実施形態に係る取水口10は、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間の一部を凸部91が埋める。また、凸部91は、深さ方向において横軸32に対向する位置に配置されているため、スクリーン部材2の動作範囲とは異なる位置に配置されている。これにより、上述した比較例と比べて、本実施形態に係る取水口10は、スクリーン部材2の動作を妨げず、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間を比較的小さくすることができる。このため、取水口10は、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間を塵芥がすり抜ける可能性を低減することができる。
【0035】
以上述べたように、本実施形態に係るスクリーン装置1は、水平面に沿う方向を長手方向とする長尺部材であって、深さ方向に並べて配置される複数のスクリーン部材2を備える。スクリーン装置1は、スクリーン部材2を貫通する棒状部材である縦軸31と、縦軸31に交差する棒状部材である横軸32と、が交互に接続された部材であって、複数のスクリーン部材2を連結する複数のクランク回転軸3と、クランク回転軸3を回転させる駆動装置4を備える。
【0036】
これにより、クランク回転軸3が回転している間、平面視で移動する複数のスクリーン部材2のうち少なくとも1つが塵芥に接触し、河川100の下流側へと移動させる力を加えている。また、上述した特許文献1においては、クランク機構が1つであったために河川の上流側の部分の動作が小さくなる可能性があったのに対して、本実施形態に係るスクリーン装置1は、複数のクランク回転軸3を用いてスクリーン部材2を連結し回転させている。これにより、スクリーン部材2は、流れF1方向の位置に関わらず、平面視で縦軸31が移動する距離に応じた大きさの動作を行うことができる。これにより、スクリーン装置1は、捕捉した塵芥に対して河川100の下流側に移動させる力を加えることができ、位置による当該力の大きさのバラつきを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る取水口10は、水平面に沿う方向を長手方向とする長尺部材であって、深さ方向に並べて配置される複数のスクリーン部材2を備える。取水口10は、スクリーン部材2を貫通する棒状部材である縦軸31と、縦軸31に交差する棒状部材である横軸32と、が交互に接続された部材であって、複数のスクリーン部材2を連結する複数のクランク回転軸3と、クランク回転軸3を回転させる駆動装置4を備える。また、取水口10は、スクリーン部材2の長手方向の両側に位置しており、スクリーン部材2の長手方向に突出する複数の凸部91を備える側壁9を備える。複数の凸部91は、横軸32に対向する位置に、複数のスクリーン部材2が並べられる間隔と同じ間隔で並べられる。
【0038】
このようにすることで、本実施形態に係る取水口10は、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間の一部を凸部91が埋める。また、凸部91は、深さ方向において横軸32に対向する位置に配置されているため、スクリーン部材2の動作範囲とは異なる位置に配置されている。これにより、取水口10は、スクリーン部材2の動作を妨げず、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間を比較的小さくすることができる。このため、取水口10は、スクリーン部材2の長手方向の両側に生じる隙間を塵芥がすり抜ける可能性を低減することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 スクリーン装置
10、10C 取水口
100 河川
2 スクリーン部材
21 軸受
22 貫通孔
3 クランク回転軸
31 縦軸
31e 端部縦軸
32 横軸
32e 端部横軸
33 ストッパー
34 軸受
4 駆動装置
9、9C 側壁
91 凸部
C 円周
F1、F2 流れ
Z1、Z2、Z3 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11