(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、図中に示した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向を定義する。
【0032】
まず、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る潤滑油供給機構を具備するエンジン1の構成について説明する。
【0033】
本実施形態に係るエンジン1は、直列4気筒16バルブのDOHCガソリンエンジンである。エンジン1は、吸気側及び排気側の構造がそれぞれ略同一に構成される。以下では説明の便宜上、主として排気側の構造(
図1に示す左側の構造)について説明し、吸気側の構造(
図1に示す右側の構造)については適宜省略するものとする。
エンジン1は、主としてシリンダヘッド10、シリンダヘッドカバー20、動弁機構30、カムキャップ40及び給油部材100を具備する。
【0034】
シリンダヘッド10は、シリンダブロック(不図示)と共にエンジン1の主たる構造体となるものである。シリンダヘッド10は、前記シリンダブロックの上部に固定される。シリンダヘッド10は、主としてシリンダヘッド側軸受部11及びオイルギャラリー12を具備する。
【0035】
シリンダヘッド側軸受部11は、後述する排気側カムシャフト34Aを下方から回転可能に支持するものである。シリンダヘッド側軸受部11は、正面視において上方が開放された半円状の凹部となるように、シリンダヘッド10の左部に形成される。
【0036】
オイルギャラリー12は、エンジン1の各部(例えば、エンジン1の潤滑部や、後述するラッシュアジャスタ33等の油圧機器)へと潤滑油を供給するための油路である。オイルギャラリー12は、シリンダヘッド10の左側壁を前後方向に通るように形成される。
【0037】
シリンダヘッドカバー20は、シリンダヘッド10の上部を覆うものである。シリンダヘッドカバー20は、下側が開口された碗状に形成される。シリンダヘッドカバー20は、シリンダヘッド10の上部に載置され、ボルト等によって適宜固定される。シリンダヘッドカバー20の内側には、バッフルプレート(本実施形態においては、後述する給油部材100)が取り付けられ、オイルセパレータ室21が区画される。オイルセパレータ室21は、ブローバイガスを蓄積し、オイル落としを行った後に吸気系へと還流させることができる。
【0038】
動弁機構30は、エンジン1の排気ポート(不図示)を所定のタイミングで開閉させるためのものである。動弁機構30は、主として排気バルブ31A、ロッカアーム32、ラッシュアジャスタ33及び排気側カムシャフト34Aを具備する。
【0039】
排気バルブ31Aは、エンジン1の排気ポート(不図示)を開閉するものである。排気バルブ31Aは、その長手方向を略上下方向に向けて配置される。排気バルブ31Aの下端は、前記排気ポートまで延設される。排気バルブ31Aの上下中途部は、シリンダヘッド10に摺動可能に挿通される。
【0040】
ロッカアーム32は、排気バルブ31Aを開閉駆動させるためのものである。ロッカアーム32の一端は、それぞれ排気バルブ31Aの上端に上方から当接される。ロッカアーム32には、前後方向に向けた軸線を中心として回転可能なローラ35が設けられる。
【0041】
ラッシュアジャスタ33は、バルブクリアランスを調整するためのものである。ラッシュアジャスタ33は、ロッカアーム32の他端に下方から当接される。
【0042】
なお、図示を省略しているが、排気バルブ31Aは1つの気筒に対して前後方向に並べて2つ設けられる。すなわち、本実施形態においては、合計8つの排気バルブ31Aが設けられる。また、合計8つの排気バルブ31Aに対応するように、それぞれ合計8つのロッカアーム32、ローラ35及びラッシュアジャスタ33が設けられる。
【0043】
排気側カムシャフト34Aは、ロッカアーム32を所定のタイミングで揺動させることで、排気バルブ31Aを開閉駆動させるためのものである。排気側カムシャフト34Aは、その長手方向を前後方向に向けた状態で、シリンダヘッド10のシリンダヘッド側軸受部11に載置される。排気側カムシャフト34Aは、主としてカム36を具備する。
【0044】
カム36は、回転中心(排気側カムシャフト34Aの中心)から外周までの距離が一定でない板状に形成された部分である。カム36は、前後方向において各気筒に対応する位置に配置される。カム36は、ロッカアーム32のローラ35に上方から当接される。本実施形態においては、合計8つのカム36が設けられ、それぞれ対応するローラ35に上方から当接される。
【0045】
カムキャップ40は、シリンダヘッド10の上部に固定され、当該シリンダヘッド10との間で排気側カムシャフト34Aを保持するものである。カムキャップ40は、長手方向を左右方向に向けた略直方体状に形成される。カムキャップ40は、主としてカムキャップ側軸受部41を具備する。
【0046】
カムキャップ側軸受部41は、排気側カムシャフト34Aを上方から回転可能に支持するものである。カムキャップ側軸受部41は、正面視において下方が開放された半円状の凹部となるように、カムキャップ40の左部に形成される。カムキャップ側軸受部41は、シリンダヘッド10のシリンダヘッド側軸受部11と対向する位置に形成され、当該シリンダヘッド側軸受部11と共に排気側カムシャフト34Aを回動可能に支持する。
【0047】
給油部材100は、所定の油路を介して供給されたオイルギャラリー12からの潤滑油を、所定の潤滑部(本実施形態においては、排気側カムシャフト34Aのカム36)へと供給するための部材である。給油部材100は、シリンダヘッドカバー20の内側に取り付けられる。
なお、給油部材100の構成についての詳細な説明は後述する。
【0048】
なお、具体的な説明は省略したが、上述の如き構成のエンジン1においては、吸気側の構造(
図1に示す右側の構造)として、エンジン1の吸気ポート(不図示)を所定のタイミングで開閉させるための(吸気側の)動弁機構30を具備する。吸気側の動弁機構30は、
図1に示すように、排気側の動弁機構30と同様に、主として吸気バルブ31B、ロッカアーム32、ラッシュアジャスタ33及び吸気側カムシャフト34Bを具備する。
【0049】
以下では、
図1から
図8を用いて、給油部材100の構成について詳細に説明する。
【0050】
図1から
図8までに示す給油部材100は、細長い平板状に形成される。給油部材100は、シリンダヘッドカバー20の内側に取り付けられる。給油部材100は、長手方向を前後方向とすると共に、その板面を上下方向へ向けて配置される。
図1に示すように、給油部材100は、排気側カムシャフト34A及び吸気側カムシャフト34Bと上下に対向して配置される。
【0051】
図1に示すように、給油部材100は、シリンダヘッドカバー20の内側において、上側壁との間に所定の空間(オイルセパレータ室21)を区画する。このように、給油部材100は、排気側カムシャフト34Aのカム36へと潤滑油を供給する機能を有すると共に、オイルセパレータ室21を区画するためのバッフルプレートとしての機能を有する(バッフルプレートを兼ねる)。このような構成によって、部品の配置スペースが比較的小さい動弁機構30の上方の空間において、部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
図2に示すように、給油部材100は、一対の板材(具体的には、上側板材110及び下側板材120)を上下に重ね合わせる(貼り合せる)ことにより形成される。上側板材110及び下側板材120は、かしめや溶接が適宜施されることによって、互いに当接した状態で保持される。上側板材110及び下側板材120の重ね合わせ(内側)面には、外側へ向けて凹んだ細長い凹部(具体的には、後述する上側導入凹部111等)が形成される。前記凹部は、上側板材110及び下側板材120が互いに当接することにより、潤滑油が流通可能な油路として構成される。
【0053】
給油部材100は、主として開口部101、給油油路102、給油口103及び吐出口104を具備する。
【0054】
図3及び
図4に示す開口部101は、図示せぬ点火プラグを通すための孔である。開口部101は、給油部材100(上側板材110及び下側板材120)を上下方向に貫通する。開口部101は、平面視で略円状に形成される。開口部101は、複数(本実施形態においては、4つ)設けられる。4つの開口部101は、給油部材100の左右略中央部において、前後方向に適宜の間隔をあけて配置される。
【0055】
図3から
図8までに示す給油油路102は、給油部材100の給油口103に供給された潤滑油を後述する吐出口104へと案内するものである。給油油路102には、導入油路130、分配油路140、根幹油路150及び派生油路160が含まれる。
【0056】
導入油路130は、給油油路102において最も上流側に形成される油路である。導入油路130は、
図3、
図4及び
図5(b)に示すように、上側板材110に形成された上側導入凹部111と、下側板材120の上側面と、により構成される。上側導入凹部111は、上側板材110の下側面が外側(上側)へ向けて凹んだ細長い凹部である。こうして、上側導入凹部111及び下側板材120の上側面が互いに当接されることにより、導入油路130が形成される。導入油路130は、給油部材100へと供給された潤滑油を、内部(分配油路140)へと導き入れる(案内する)。
【0057】
導入油路130の流動面積は、後述する分配油路140及び派生油路160の流動面積と略同一となるように形成される。また、導入油路130の流動面積は、
図5(b)に示すように、後述する根幹油路150の流動面積よりも小さくなるように形成される。ここで「流動面積」とは、潤滑油の流通方向に対して直交する油路内の面積(油孔の大きさ)を指す。
【0058】
導入油路130は、長手方向を概ね前後方向へ向け、給油部材100の左前部に配置される。導入油路130の前側端部は、給油部材100の左前端部近傍に配置される。導入油路130の後側端部は、給油部材100の略中央部に配置される。
【0059】
分配油路140は、給油油路102において導入油路130よりも下流側に形成される油路である。分配油路140は、
図3、
図4及び
図5(a)に示すように、上側板材110に形成された上側分配凹部112と、下側板材120の上側面と、により構成される。上側分配凹部112は、上側板材110の下側面が外側(上側)へ向けて凹んだ細長い凹部である。こうして、上側分配凹部112及び下側板材120の上側面が互いに当接されることにより、分配油路140が形成される。分配油路140は、導入油路130から供給された潤滑油を、左側(排気バルブ31A側)の根幹油路150及び右側(吸気バルブ31B側)の根幹油路150に分配して案内する。
【0060】
分配油路140は、長手方向を左右方向へ向け、給油部材100の略前後中央部に配置される。分配油路140の左側端部は、給油部材100の左側端部近傍に配置される。分配油路140の右側端部は、給油部材100の右側端部近傍に配置される。なお、分配油路140の長手方向の略中央部は、導入油路130の後側端部に接続される。こうして、分配油路140は、導入油路130と連通される。
【0061】
根幹油路150は、給油油路102において分配油路140よりも下流側に形成される油路である。なお、根幹油路150は、給油部材100の左側(排気バルブ31A側)及び右側(吸気バルブ31B側)にそれぞれ形成される。ここで、
図3及び
図4に示すように、左側及び右側の根幹油路150の構成は、左右方向に略対称である。したがって、以下の説明では、左側及び右側の根幹油路150のうち、左側の根幹油路150の構成について説明し、右側の根幹油路150の構成についての説明は適宜省略する。
なお、本実施形態においては、左側及び右側の根幹油路150の構成は左右方向に略対称であるが、左右方向に非対称であってもよい。
【0062】
根幹油路150は、
図3、
図4及び
図5(b)に示すように、上側板材110に形成された上側根幹凹部113と、下側板材120に形成された下側根幹凹部123と、により構成される。上側根幹凹部113は、上側板材110の下側面が外側(上側)へ向けて凹んだ細長い凹部である。下側根幹凹部123は、下側板材120の上側面が外側(下側)へ向けて凹んだ細長い凹部である。上側根幹凹部113及び下側根幹凹部123は、平面視で重複するように、互いに同一の形状及び大きさに形成される。こうして、上側根幹凹部113及び下側根幹凹部123が互いに当接されることにより、根幹油路150が形成される。根幹油路150は、分配油路140から供給された潤滑油を、派生油路160に案内(分配)する。
【0063】
根幹油路150は、長手方向を前後方向へ向け、給油部材100の左側端部近傍に配置される。根幹油路150の前側端部は、給油部材100の前側端部近傍に配置される。根幹油路150の後側端部は、給油部材100の後側端部近傍に配置される。なお、根幹油路150の長手方向の中央部から若干後側の部分は、分配油路140の左側端部に接続される。こうして、根幹油路150は、導入油路130と連通される。
【0064】
派生油路160は、給油油路102において根幹油路150よりも下流側(最も下流側)に形成される油路である。なお、派生油路160は、根幹油路150と同様に、給油部材100の左側(排気バルブ31A側)及び右側(吸気バルブ31B側)にそれぞれ形成される。ここで、
図3及び
図4に示すように、左側及び右側の派生油路160の構成は、左右方向に略対称である。したがって、以下の説明では、左側及び右側の派生油路160のうち、左側の派生油路160の構成について説明し、右側の派生油路160の構成についての説明は適宜省略する。
なお、本実施形態においては、左側及び右側の派生油路160の構成は左右方向に略対称であるが、左右方向に非対称であってもよい。
【0065】
派生油路160は、
図3、
図4及び
図5(a)に示すように、上側板材110に形成された上側派生凹部114と、下側板材120の上側面と、により構成される。上側派生凹部114は、上側板材110の下側面が外側(上側)へ向けて凹んだ細長い凹部である。こうして、上側派生凹部114及び下側板材120の上側面が互いに当接されることにより、派生油路160が形成される。派生油路160は、根幹油路150から供給された潤滑油を、後述する吐出口104に案内する。
【0066】
なお、派生油路160は、根幹油路150から枝分かれするように、複数(本実施形態においては、7つ)設けられる。以下では、前記7つの派生油路160を、後側から順番に、第一派生油路161、第二派生油路162、第三派生油路163、第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167と、それぞれ称する。
【0067】
図8に示す第一派生油路161は、その右側端部が根幹油路150の後側端部に接続される。第一派生油路161の左側端部は、左方へ向けて延出される。こうして、第一派生油路161は、平面視で略直線状に形成される。第一派生油路161は、根幹油路150と連通される。
【0068】
図8に示す第二派生油路162は、第一派生油路161よりも前側に配置される。第二派生油路162の右側端部は、根幹油路150の後側端部近傍(第一派生油路161と根幹油路150との接続部よりも前方)に接続される。第二派生油路162の左側端部は、左方へ延出された後、前方へ向けて延出される。こうして、第二派生油路162は、平面視で略L字状に形成される。第二派生油路162は、第一派生油路161よりも長さが長くなるように形成される。第二派生油路162は、根幹油路150と連通される。
【0069】
図8に示す第三派生油路163は、第二派生油路162よりも前側に配置される。第三派生油路163の右側端部は、根幹油路150の後部(第二派生油路162と根幹油路150との接続部よりも前方)に接続される。第三派生油路163の左側端部は、左方へ延出された後、前方へ向けて延出される。こうして、第三派生油路163は、平面視で略L字状に形成される。第三派生油路163は、第二派生油路162よりも長さが長くなるように形成される。第三派生油路163は、根幹油路150と連通される。
【0070】
図8に示す第四派生油路164は、第三派生油路163よりも前側に配置される。第四派生油路164の右側端部は、根幹油路150の略前後中央部(第三派生油路163と根幹油路150との接続部よりも前方)に接続される。第四派生油路164の左側端部は、左方へ延出された後、後方へ向けて延出される。こうして、第四派生油路164は、平面視で略L字状に形成される。第四派生油路164は、後述する第五派生油路165よりも長さが長くなるように形成される。第四派生油路164は、根幹油路150と連通される。
【0071】
図8に示す第五派生油路165は、第四派生油路164よりも前側に配置される。第五派生油路165の右側端部は、根幹油路150の前後中央部近傍(第四派生油路164と根幹油路150との接続部よりも前方)に接続される。第五派生油路165の左側端部は、左方へ延出された後、後方へ向けて延出される。こうして、第五派生油路165は、平面視で略L字状に形成される。第五派生油路165は、後述する第六派生油路166よりも長さが長くなるように形成される。第五派生油路165は、根幹油路150と連通される。
【0072】
図8に示す第六派生油路166は、第五派生油路165よりも前側に配置される。第六派生油路166の右側端部は、根幹油路150の前部(第五派生油路165と根幹油路150との接続部よりも前方)に接続される。第六派生油路166の左側端部は、左方へ延出された後、後方へ向けて延出される。こうして、第六派生油路166は、平面視で略L字状に形成される。第六派生油路166は、後述する第七派生油路167よりも長さが長くなるように形成される。第六派生油路166は、根幹油路150と連通される。
【0073】
図8に示す第七派生油路167は、第六派生油路166よりも前側に配置される。第七派生油路167の右側端部は、根幹油路150の前部(第六派生油路166と根幹油路150との接続部よりも前方)に接続される。第七派生油路167の左側端部は、左方へ向けて延出される。こうして、第七派生油路167は、平面視で略直線状に形成される。第七派生油路167は、根幹油路150と連通される。
【0074】
図2から
図4まで、及び
図7に示す給油口103は、給油部材100の外部から内部の給油油路102へと潤滑油が供給されてくる孔である。給油口103は、下側板材120を平面視で略円状となるように上下方向に貫通して形成される。給油口103は、平面視で導入油路130の前側端部(すなわち、給油油路102の上流側端部)と重複する位置に形成される。給油口103は、所定の油路を介してオイルギャラリー12と連通される。こうして、給油口103は、オイルギャラリー12からの潤滑油を給油油路102(より詳細には、導入油路130)へと案内することができる。
【0075】
図2から
図6まで、及び
図8に示す吐出口104は、動弁機構30の潤滑部としての排気側カムシャフト34Aのカム36に上方から潤滑油を供給(吐出)する孔である。
図5に示すように、吐出口104は、下側板材120が外側(下側)へ向けて凹んだ凹部を、平面視で略円状となるように上下方向に貫通して形成される。吐出口104は、給油部材100の左側(排気バルブ31A側)において複数(本実施形態においては、8つ)設けられる。
【0076】
図3及び
図8に示すように、8つの吐出口104のうち7つの吐出口104は、平面視で派生油路160(第一派生油路161、第二派生油路162、第三派生油路163、第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167)の左側端部と重複する位置に形成される。こうして、第一派生油路161、第二派生油路162、第三派生油路163、第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167に案内される潤滑油は、それぞれの左側端部で吐出口104から給油部材100の外部(下方)へと吐出される。このように、派生油路160の左側端部は、給油油路102の下流側端部となる。
【0077】
また、8つの吐出口104のうち残りの1つの吐出口104は、平面視で根幹油路150の前側端部と重複する位置に形成される。こうして、根幹油路150の前側へと案内された潤滑油は、その前側端部で吐出口104から給油部材100の外部(下方)へと吐出される。このように、根幹油路150の前側端部は、給油油路102の下流側端部となる。
【0078】
なお、8つの吐出口104は、排気側カムシャフト34Aの8つのカム36と対応するように配置される。こうして、8つの吐出口104は、吐出された潤滑油を8つのカム36に供給することができる。本実施形態においては、8つの吐出口104は、平面視で8つのカム36とそれぞれ重複する位置に配置される(不図示)。
【0079】
なお、
図3に示すように、具体的な説明は省略したが、吐出口104は、給油部材100の右側(吸気バルブ31B側)においても、左側(排気バルブ31A側)の構成と同様に、8つ設けられる。
【0080】
上述の如き構成の給油油路102においては、給油口103からの潤滑油が、導入油路130、分配油路140、根幹油路150、複数の派生油路160(第一派生油路161、第二派生油路162、第三派生油路163、第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167)へと順番に案内される。そして、複数の派生油路160の左側端部及び根幹油路150の前側端部に供給された潤滑油は、それぞれの吐出口104を介して下方に吐出される。こうして、
図6に示すように、給油部材100は、動弁機構30の排気側カムシャフト34Aのカム36へと潤滑油を供給することができる。
【0081】
以下では、複数の派生油路160の長さ(潤滑油の流通経路)の構成について、詳細に説明する。
【0082】
前述したように、第二派生油路162は、第一派生油路161よりも長さが長くなるように形成される。また、第三派生油路163は、第二派生油路162よりも長さが長くなるように形成される。ここで、第一派生油路161、第二派生油路162及び第三派生油路163は、根幹油路150と分配油路140との接続部へ向かって後側から前側に順番に配置される。こうして、第一派生油路161、第二派生油路162及び第三派生油路163は、分配油路140と根幹油路150との接続部(ひいては、給油口103)に近い派生油路ほど潤滑油の流通経路が長くなるように形成される。
【0083】
また、前述したように、第四派生油路164は、第五派生油路165よりも長さが長くなるように形成される。また、第五派生油路165は、第六派生油路166よりも長さが長くなるように形成される。また、第六派生油路166は、第七派生油路167よりも長さが長くなるように形成される。ここで、第七派生油路167、第六派生油路166、第五派生油路165及び第四派生油路164は、根幹油路150と分配油路140との接続部に向かって前側から後側に順番に配置される。こうして、第七派生油路167、第六派生油路166、第五派生油路165及び第四派生油路164は、給油口103に近い派生油路ほど潤滑油の流通経路が長くなるように形成される。
【0084】
なお、全ての派生油路(第一派生油路161、第二派生油路162及び第三派生油路163、並びに第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167)を比較した場合においても、分配油路140と根幹油路150との接続部(ひいては、給油口103)に近い派生油路ほど潤滑油の流通経路が長くなるように形成されている。
【0085】
ここで、根幹油路150の分配油路140との接続部から前方及び後方へ向けて流通する潤滑油には、圧力損失が生じている。すなわち、根幹油路150の分配油路140との接続部から遠くなるほど潤滑油の圧力損失が大きいため、当該接続部に近い派生油路に比べて遠い派生油路に分配される潤滑油の量が少なくなると考えられる。
【0086】
しかしながら、本実施形態においては、第一派生油路161、第二派生油路162及び第三派生油路163は、給油口103に近い派生油路ほど潤滑油の流通経路が長くなるように形成される。また、第七派生油路167、第六派生油路166、第五派生油路165及び第四派生油路164は、給油口103に近い派生油路ほど潤滑油の流通経路が長くなるように形成される。したがって、根幹油路150における圧力損失の影響を低減させることができる。
【0087】
具体的には、例えば根幹油路150から分配される潤滑油の圧力損失が小さい第三派生油路163は、その長さ(潤滑油の流通経路)を長く確保することによって、当該第三派生油路163を流通する潤滑油の圧力損失を大きくする。一方、根幹油路150から分配される潤滑油の圧力損失が大きい第一派生油路161は、その長さ(潤滑油の流通経路)を短くすることによって、当該第一派生油路161を流通する潤滑油の圧力損失を小さくする。
【0088】
なお、根幹油路150の分配油路140との接続部から(8つの吐出口104のうち)最も遠くに配置される吐出口104に関しては、圧力損失が非常に大きいと考えられるため、派生油路が設けられていない(吐出口104が根幹油路150に直接設けられている)。
【0089】
このような構成により、複数の派生油路160(第一派生油路161、第二派生油路162、第三派生油路163、第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167)に設けられた吐出口104、及び根幹油路150の前側端部に設けられた吐出口104から吐出される潤滑油の量の均等化を図ることができる。
【0090】
以下では、
図7を用いて、導入油路130の形状の構成について、詳細に説明する。
【0091】
導入油路130は、長手方向を概ね前後方向へ向けて配置され、複数の屈曲部により適宜に屈曲された形状に形成される。導入油路130には、導入第一油路131、導入第二油路132、導入第三油路133及び導入第四油路134が含まれる。また、前記複数の屈曲部には、第一屈曲部131a、第二屈曲部132a及び第三屈曲部133aが含まれる。
【0092】
導入第一油路131は、導入油路130の上流側端部(平面視で給油口103と重複する位置)から左前方へ向けて直線状に延出される。導入第一油路131の前記延出された端部には、第一屈曲部131aが配置される。導入第一油路131は、延出される方向が第一屈曲部131aにて左前方から右後方へと変更(屈曲)される。第一屈曲部131aは、平面視で略V字状に形成される。ここで、第一屈曲部131aの屈曲角度(
図7示す角度α)によって導入油路130の圧力損失が調整される。本実施形態において、第一屈曲部131aの屈曲角度は、約45度となるように設定される。
【0093】
導入第二油路132は、第一屈曲部131aから右後方へ向けて直線状に延出される。導入第二油路132の前記延出された端部には、第二屈曲部132aが配置される。導入第二油路132は、延出される方向が第二屈曲部132aにて右後方から真後方へと変更(屈曲)される。
【0094】
導入第三油路133は、第二屈曲部132aから真後方へ向けて直線状に延出される。導入第三油路133の前記延出された端部には、第三屈曲部133aが配置される。導入第三油路133は、延出される方向が第三屈曲部133aにて真後方から右後方へと変更(屈曲)される。第三屈曲部133aは、平面視で略円弧状に形成される。
【0095】
導入第四油路134は、第三屈曲部133aから右後方へ向けて直線状に延出される。導入第四油路134の前記延出された端部は、分配油路140に接続される。こうして、導入第四油路134は、分配油路140の長手方向(左右方向)に対して傾斜した角度(本実施形態においては、約60度)を成すように当該分配油路140と接続される(
図7に示す角度β参照)。
【0096】
このように、導入油路130は、複数の屈曲部(第一屈曲部131a、第二屈曲部132a及び第三屈曲部133a)を具備し、適宜に延出される方向を変更するため、当該導入油路130の長さを長くすることができる。したがって、導入油路130において潤滑油の圧力損失を大きくすることができる。
【0097】
また、導入油路130は、複数の屈曲部(第一屈曲部131a、第二屈曲部132a及び第三屈曲部133a)により、潤滑油に圧力損失を付与し、導入油路130において潤滑油の圧力損失を調整することができる。なお、複数の屈曲部のうち第一屈曲部131aは、屈曲角度が鋭角となるように設定される。これによって、導入油路130において潤滑油の圧力損失を、(屈曲角度が鋭角となるように設定された屈曲部が無い場合と比べて)より一層大きくすることができる。
【0098】
こうして、導入油路130においては、潤滑油の圧力損失を大きくしながら調整することができ、給油部材100の給油油路102を流通する潤滑油の量が過剰となるのを防止することができる。すなわち、給油部材100の給油油路102を流通する潤滑油の量を、適切とすることができる。したがって、オイルギャラリー12からの潤滑油が(間欠的にではなく)連続的に給油部材100に供給される場合であっても、給油部材100から排気側カムシャフト34Aのカム36へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0099】
また、前述したように、導入油路130の流動面積は、根幹油路150の流動面積よりも小さくなるように形成される。すなわち、(吐出口104が配置される)複数の派生油路160と接続される根幹油路150には十分な潤滑油の量を確保しつつ、導入油路130を流通する潤滑油の量を抑制することができる。したがって、オイルギャラリー12からの潤滑油が(間欠的にではなく)連続的に給油部材100に供給される場合であっても、給油部材100から排気側カムシャフト34Aのカム36へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0100】
以上のように、本発明の一実施形態に係る給油部材100は、エンジン1の吸気バルブ31B及び排気バルブ31Aを開閉させる動弁機構30の潤滑部へと潤滑油を供給する給油部材であって、互いに重ね合わされる上側板材110及び下側板材120(一対の板材)と、前記上側板材110及び下側板材120(一対の板材)の重ね合わせ面を凹ませることにより形成される給油油路102(油路)と、を具備し、前記給油油路102(油路)は、下流側に形成される根幹油路150(下流側油路)と、上流側に形成され、前記根幹油路150(下流側油路)よりも潤滑油の流動面積が小さい導入油路130(上流側油路)と、を含むものである。
【0101】
このような構成により、給油部材100から動弁機構30の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0102】
また、給油部材100においては、前記導入油路130(上流側油路)は、潤滑油に圧力損失を付与するために屈曲された第一屈曲部131a、第二屈曲部132a及び第三屈曲部133aを具備するものである。
【0103】
このような構成により、給油部材100から動弁機構30の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0104】
また、給油部材100においては、前記屈曲部は、鋭角で屈曲する鋭角屈曲部(第一屈曲部131a)を含むものである。
【0105】
このような構成により、給油部材100から動弁機構30の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0106】
また、給油部材100においては、前記給油油路102(油路)の上流側端部に形成され、潤滑油が供給されてくる給油口103と、前記給油油路102(油路)の下流側端部に形成され、前記潤滑部へと上方から潤滑油を吐出する複数の吐出口104と、前記根幹油路150(下流側油路)から枝分かれして形成され、前記根幹油路150(下流側油路)からの潤滑油を前記複数の吐出口104までそれぞれ案内する複数の派生油路160(第一派生油路161、第二派生油路162、第三派生油路163、第四派生油路164、第五派生油路165、第六派生油路166及び第七派生油路167)と、をさらに具備し、前記複数の派生油路160は、前記給油口103から派生部分(派生油路160と根幹油路150との接続部)までの潤滑油の流通経路が短い派生油路ほど、当該派生油路における潤滑油の流通経路が長くなるように形成されるものである。
【0107】
このような構成により、複数の吐出口104から吐出される潤滑油の量の均等化を図ることができる。
【0108】
また、給油部材100においては、前記複数の派生油路160は、前記根幹油路150(下流側油路)よりも潤滑油の流動面積が小さいものである。
【0109】
このような構成により、給油部材100から動弁機構30の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0110】
また、給油部材100においては、前記エンジン1のシリンダヘッド10のシリンダヘッドカバー20に取り付けられ、ブローバイガスからオイルを分離するオイルセパレータ室21を区画するためのバッフルプレートを兼ねるものである。
【0111】
このような構成により、部品点数の削減を図ることができる。
【0112】
また、給油部材100においては、前記根幹油路150(下流側油路)、前記複数の派生油路160及び前記複数の吐出口104は、前記吸気バルブ31B側及び前記排気バルブ31A側それぞれに設けられるものである。
【0113】
このような構成により、1つの部材(給油部材100)により吸気バルブ31B側及び排気バルブ31A側の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油を供給することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0114】
また、給油部材100においては、前記給油油路102(油路)は、前記導入油路130(上流側油路)からの潤滑油を、前記吸気バルブ31B側及び前記排気バルブ31A側それぞれの根幹油路150(下流側油路)に分配して案内するための分配油路140を含むものである。
【0115】
このような構成により、1つの油路(導入油路130)からの潤滑油を分配油路140によって吸気バルブ31B側及び排気バルブ31A側それぞれの根幹油路150に分配して案内することができるため、簡易な構成で、吸気バルブ31B側及び排気バルブ31A側の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油を供給することができる。
【0116】
また、本発明に係るエンジン1の潤滑油供給機構は、前記給油部材100を具備するものである。
【0117】
このような構成により、給油部材100から動弁機構30の潤滑部(吸気側カムシャフト34Bのカム36及び排気側カムシャフト34Aのカム36)へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0118】
なお、本実施形態に係るエンジン1は、直列4気筒16バルブのDOHCガソリンエンジンであるものとして説明したが、本発明を適用することが可能なエンジンはこれに限るものではない。
【0119】
なお、本実施形態に係る導入油路130は、本発明に係る「上流側油路」の一実施形態である。本発明に係る「上流側油路」の構成(例えば、形状)は、導入油路130の構成に限定するものではない。
【0120】
また、本実施形態に係る第一屈曲部131a、第二屈曲部132a及び第三屈曲部133aは、本発明に係る「屈曲部」の一実施形態である。本発明に係る「屈曲部」の構成は、第一屈曲部131a等の構成に限定するものではない。例えば、本発明に係る「屈曲部」は、3つではなく、1つや2つ、又は4つ以上設けてもよい。
【0121】
また、本実施形態に係る第一屈曲部131aは、本発明に係る「鋭角屈曲部」の一実施形態である。本発明に係る「鋭角屈曲部」の構成は、第一屈曲部131aの構成に限定するものではない。本発明に係る「鋭角屈曲部」は、1つではなく、2つ以上設けてもよい。
【0122】
図9においては、本発明に係る「給油部材」の別実施形態である給油部材200を示している。
給油部材200においては、導入油路230が、平面視で略直角に屈曲される屈曲部を連続して配置することによりジグザグ状に形成される。このような構成により、潤滑油に圧力損失を付与し、導入油路230において潤滑油の圧力損失を大きくすることができるため、給油部材100から排気側カムシャフト34Aのカム36へと潤滑油が過剰に供給されるのを防止することができる。
なお、
図9においては、給油部材200に分配油路が設けられてない構成、すなわち左側及び右側の根幹油路150に対してそれぞれ導入油路230が設けられる構成(2つの導入油路230が設けられる構成)としたが、分配油路を設けて、導入油路230を1つとすることも可能である。
【0123】
また、本発明に係る「給油部材」を形成するための板材(すなわち、本発明に係る「一対の板材」)の材料は、金属だけでなく、樹脂を使用することもできる。このように、本発明に係る「給油部材」を形成するための板材の材料として樹脂を使用した場合には、当該「給油部材」の軽量化を図ることができる。
【0124】
このように、給油部材100においては、前記上側板材110及び下側板材120(一対の板材)は、樹脂により形成されるものである。
このような構成により、給油部材100は、軽量化を図ることができる。