【文献】
WOLBERG M. et al.,BIOCATALYTIC REDUCTION OF BETA-DELTA-DIKETO ESTERS: A HIGHLY STEREOSELECTIVE APPROACH TO ALL FOUR STEREOISOMERS OF A CHLORINATED BETA,DELTA-DIHYDROXY HEXANOATE,CHEMISTRY - A EUROPEAN JOURNAL ,2001年,Vol.7, No.21,p.4562-71
【文献】
Greenberg, William A. et al.,Development of an efficient, scalable, aldolase-catalyzed process for enantioselective synthesis of statin intermediates,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,2004年,Vol.101, No.16,p.5788-93
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜9の一項以上に記載の方法(B)であって、反応(C)を溶媒(C)中で行い、溶媒(C)がヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される方法(B)。
【発明の開示】
【0001】
本発明は、メルドラム酸誘導体からtert−ブチル 6−クロロ−3,5−ジオキソヘキサノエートを製造する方法、およびtert−ブチル (4R,6S)−(6−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)アセテート(BHA)、ロスバスタチンならびにアトルバスタチンを製造するためのその使用を開示する。
【0002】
BHAは、高コレステロールおよび関連する状態を治療するため、ならびに心血管疾患を予防するためのそれぞれの薬物に使用される有効医薬成分であるロスバスタチンおよびアトルバスタチンの製造における中間体である。BHAは、3,5−ジオキソヘキサン酸エステルから製造される。
【0003】
EP1024139Bは、酢酸エステルをヒドロキシ酪酸誘導体と反応させて中間体3,5−ジオキソヘキサン酸エステルを得ることを含む、BHAを製造する方法を開示している。
【0004】
Tetrahedron 55(1999)4783〜4792は、メルドラム酸の助けを借りた3,6−および5,6−ジアルキル−4−ヒドロキシ−2−ピロンの合成を開示している。
【0005】
WO01/72706Aは、BHAを製造するための多工程の方法を開示しており、β−ケト酪酸誘導体とメルドラム酸との縮合物である前駆体を暗に開示している。その加水分解により、それぞれの3,5−ジオキソヘキサン酸誘導体、BHAの前駆体が提供される。WO01/72706Aに開示されている方法と比べた本発明の利点を以下に論じる。
【0006】
BHAの製造に使用される中間体3,5−ジオキソヘキサン酸エステルを製造するための既知の方法は、例えば、リチウムまたはマグネシウム由来の金属含有塩基を伴う多工程の手順である。必要とする工程が少なく、マグネシウムまたはリチウム由来の金属含有塩基を使用せず、単純な方法で単離することができるより高収率でより純粋な生成物を提供する、中間体3,5−ジオキソヘキサン酸エステルを製造するための単純化された方法が必要とされていた。驚くべきことに、メルドラム酸中間体を使用して、効率的な方法が見出された。
【0007】
特に明言しない限り、以下の略語を使用する。
【0008】
以下の本文中、特に明示しない限り、ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはCl、BrまたはI、より好ましくはClまたはBrを意味し、アルキルは直鎖および分枝鎖アルキルを意味する。
【0009】
本発明の主題は、式(II)の化合物を製造する方法(B)であって;
【化1】
【0010】
R1はCl、BrおよびCNである;
方法(B)は工程(C)および工程(B)を含み;
工程(B)は工程(C)の後に行われ;
工程(C)は、式(VI)の化合物との化合物(C)の反応(C)を含み式(IV)の化合物を与え;
【化2】
【0011】
化合物(C)はCl
2、Br
2およびClBrからなる群から選択される;
工程(B)は、塩基(B)の存在下での、工程(C)で製造された式(IV)の化合物と式(V)との化合物の反応(B)を含む方法である。
【化3】
【0012】
R1−IVおよびR3は同一または異なり、互いに独立にClまたはBrであり;
塩基(B)は、N(R4)(R5)R6、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチルジシラジド、Na、KまたはLiのC
1〜4アルコキシド塩、C
1〜10カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩またはリン酸二水素塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、NaNH
2、KNH
2、NaH、KH、CaH
2、ピリジン、メチル、エチルおよびN(R14)R15からなる群から互いに独立に選択される1または2個の同一または異なる置換基で置換されたピリジン;モルホリン、メチルモルホリン、メチルピペリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、ピコリン、CsCO
3、NaOH、KOH、Ca(OH)
2、n−ブチルリチウム(BuLi)、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、メチルリチウムならびにこれらの混合物からなる群から選択され;
R4、R5、R6は同一または異なり、H、C
1〜15アルキル、C
5〜6シクロアルキル、(C(R16)R17)
mN(R12)R13およびフェニルからなる群から互いに独立に選択され、但し、残基R4、R5またはR6の少なくとも1つはHではなく;
R12およびR13は同一または異なり、互いに独立にHまたはC
1〜15アルキルであり;
mは2、3、4、5または6であり;
R14およびR15は同一または異なり、互いに独立にメチルまたはエチルであり;
R16およびR17は同一または異なり、H、メチルおよびエチルからなる群から互いに独立に選択され;
但し、式(II)のR1がCNである場合、
工程(B)は、反応(B)の反応生成物と化合物(B)との反応(B−add)をさらに含み、反応(B−add)は反応(B)の後に行われ;
化合物(B)はNaCN、KCN、Si(R9)(R10)(R11)CN、HCN、テトラブチルアンモニウムシアニド、1−シアノベンゾトリアゾールおよびトリセレニウムジシアニドならびにこれらの混合物からなる群から選択され;
R9、R10およびR11は同一または異なり、C
1〜4アルキルおよびフェニルからなる群から互いに独立に選択される。
【0013】
式(IV)は式(IV)の化合物の全ての可能な互変異性型を含む。
【0014】
式(V)は式(V)の化合物の全ての可能な互変異性型を含む。
【0015】
塩基(B)、式(IV)の化合物および式(V)の化合物は、任意の順序で添加することができる。
【0016】
好ましくは、塩基(B)を使用して式(V)の化合物のCH
2部分を脱プロトン化する。
【0017】
好ましくは、式(V)の脱プロトン化化合物を式(IV)の化合物に添加する、またはその逆を行う。
【0018】
反応(B)の反応生成物(これは反応(B)の後の工程(B)の反応(B−add)中に化合物(B)と反応する)は、式(II−R1−IV)の化合物である;
【化4】
【0019】
(式中、R1−IVは上述のように定義され、全てのその好ましい態様でも同様である)。
【0020】
式(II−R1−IV)は、式(II−R1−IV)の化合物の全ての可能な互変異性型を含む。
【0021】
式(IV)および(V)の化合物は既知の化合物であり、既知の方法により製造することができる。
【0022】
好ましくは、R1−IVおよびR3は同一であり、ClまたはBrである。
【0023】
好ましくは、R1−IVおよびR3はClである。
【0024】
好ましくは、R4、R5、R6は同一または異なり、シクロヘキシル、フェニル、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルおよび(CH
2)
mN(R12)R13からなる群から互いに独立に選択され;
R12およびR13は同一または異なり、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルからなる群から互いに独立に選択され;
mは2、3または4であり;
R14およびR15はメチルである。
【0025】
より好ましくは、R4、R5、R6は同一または異なり、シクロヘキシル、フェニル、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピルおよび(CH
2)
mN(R12)R13からなる群から互いに独立に選択され;
R12およびR13は同一または異なり、H、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソ−プロピルからなる群から互いに独立に選択され;
mは2、3または4であり;
R14およびR15はメチルである。
【0026】
さらにより好ましくは、R4、R5、R6はシクロヘキシル、フェニル、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピルおよび(CH
2)
mN(R12)R13からなる群から選択され;
R12およびR13はH、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソ−プロピルからなる群から選択され;
mは2であり;
R14およびR15はメチルである。
【0027】
特に、R4、R5、R6はメチルまたはエチルおよび(CH
2)
mN(R12)R13であり;
R12およびR13はH、メチルまたはエチルであり;
mは2であり;
R14およびR15はメチルである。
【0028】
塩基(B)は、式(V)の化合物のCH
2部分を脱プロトン化する能力を有さなければならない。好ましくは、塩基(B)の対応するプロトン化型のpKa値は5〜40、より好ましくは6〜18、さらにより好ましくは6〜13である。
【0029】
好ましくは、塩基(B)は、N(R4)(R5)R6、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチルジシラジド、Na、KまたはLiのC
1〜4アルコキシド塩、C
1〜10カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩またはリン酸二水素塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、NaNH
2、KNH
2、NaH、KH、CaH
2、ピリジン、1または2個の独立に選択された同一または異なるC
1〜2アルキル残基で置換されたピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−メチルピペリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、ピコリン、CsCO
3、NaOH、KOH、Ca(OH)
2、ならびにこれらの混合物からなる群から選択され;
R4、R5およびR6は本明細書に定義される通りであり、全てのその好ましい態様でも同様である。
【0030】
より好ましくは、塩基(B)は、N(R4)(R5)R6、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチルジシラジド、Na、KまたはLiのC
1〜4アルコキシド塩、C
1〜10カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩またはリン酸二水素塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、1または2個の独立に選択された同一または異なるC
1〜2アルキル残基で置換されたピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−メチルピペリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、ピコリン、NaOH、KOH、Ca(OH)
2、ならびにこれらの混合物からなる群から選択され;
R4、R5、R6はメチルまたはエチルおよび(CH
2)
mN(R12)R13であり;
R12およびR13はH、メチルまたはエチルであり;
mは2であり;
R14およびR15はメチルである。
【0031】
さらにより好ましくは、塩基(B)は、は、N(R4)(R5)R6、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチルジシラジド、Na、KまたはLiのC
1〜4アルコキシド塩、C
1〜10カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩またはリン酸二水素塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、1または2個の独立に選択された同一または異なるC
1〜2アルキル残基で置換されたピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン、モルホリン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、ピコリン、NaOH、KOH、Ca(OH)
2、ならびにこれらの混合物からなる群から選択され;
R4、R5、R6はメチルまたはエチルおよび(CH
2)
mN(R12)R13であり;
R12およびR13はH、メチルまたはエチルであり;
mは2であり;
R14およびR15はメチルである。
【0032】
特に、塩基(B)は、NEt
3、テトラメチルエチレンジアミンならびにN,N−ジメチル−4−ピリジンアミンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
好ましくは、R9、R10およびR11は同一であり、C
1〜4アルキルからなる群から選択される。
【0034】
より好ましくは、R9、R10およびR11はメチルである。
【0035】
化合物(B)について列挙したものの同等物として作用する他のCN源も使用することができる。
【0036】
好ましくは、化合物(B)はNaCNまたはKCNである。
【0037】
反応(B)を溶媒(B)中で行うことができる。好ましくは、溶媒(B)は、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
好ましくは、溶媒(B)はジクロロメタンである。
【0039】
好ましくは、反応(B)の反応温度は−78〜100℃、より好ましくは−50℃〜50℃、さらにより好ましくは−25℃〜25℃、特に−15℃〜25℃である。
【0040】
好ましくは、反応(B)を大気圧〜60バール、より好ましくは大気圧〜10バール、さらにより好ましくは大気圧〜2バール、特に大気圧の圧力で行う。
【0041】
好ましくは、反応(B)の反応時間は5分〜24時間、より好ましくは5分〜12時間、さらにより好ましくは1時間〜5時間、特に2時間〜3時間である。
【0042】
好ましくは、式(V)の化合物の量は、式(IV)の化合物のmolの0.5〜10mol当量、より好ましくは0.9〜5mol当量、さらにより好ましくは0.95〜1.25mol当量、特に0.98〜1.05mol当量である。
【0043】
好ましくは、溶媒(B)の量は、式(IV)の化合物の重量の1〜100倍、より好ましくは5〜50倍、さらにより好ましくは5〜20倍、特に5〜15倍である。
【0044】
好ましくは、塩基(B)のモル量は、式(V)の化合物のモル量の0.5〜10倍、より好ましくは0.95〜3倍である。
【0045】
好ましくは、反応(B)を不活性雰囲気下で行う。
【0046】
反応(B)の後、式(II)の化合物を、酸性化、濾過、揮発性成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留およびこれらの任意の組み合わせなどの当業者に既知の標準的方法により、反応(B)から得られた反応混合物から単離することができる。
【0047】
任意に、有機相を、好ましくは硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いて乾燥させることができる。
【0048】
任意に、式(II)の化合物を、酸(B)を添加することにより反応混合物から分離することができる。
【0049】
それゆえ、本発明のさらなる主題は方法(B)であり、工程(ACID)をさらに含み;
工程(ACID)は工程(B)の後に行われ;
工程(ACID)は、工程(B)で製造された反応混合物を酸(B)と組み合わせることを含む。
【0050】
工程(ACID)では、工程(B)で製造された反応混合物を酸(B)に添加することができる、またはその逆を行うことができる。
【0051】
酸(B)は、ポリマースルホン酸樹脂、トルエンスルホン酸、HCl、H
2SO
4、クエン酸、酒石酸、酢酸、塩化アンモニウム、シュウ酸、リン酸およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、酸(B)はポリマースルホン酸樹脂である。
【0052】
好ましくは、酸(B)を工程(B)の反応混合物に添加する場合、酸(B)は水なしで、または少なくとも極少量の水との混合物として、例えば、HClの場合は気体として、例えば、クエン酸もしくは酒石酸の場合には結晶水なしで、または硫酸の場合には濃H
2SO
4として使用する。
【0053】
この場合、酸(B)の水分含量は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2.5重量%、さらにより好ましくは0〜2重量%であり、重量%は酸(B)の総重量に基づく。
【0054】
工程(B)の反応混合物を酸(B)に添加する場合、酸(B)を好ましくは水との混合物として使用し、酸(B)の水分含量は好ましくは0.5〜99重量%である。
【0055】
好ましくは、工程(B)で水を添加しない。工程(ACID)で水を添加しない場合、水または酸(B)と水との混合物を工程(ACID)の後に添加することができる。
【0056】
好ましくは、酸(B)がポリマースルホン酸樹脂でない場合、酸(B)の量は0.5〜10、より好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1.2〜2mol当量である一方で、酸(B)がポリマースルホン酸樹脂である場合、酸(B)を酸(B)のスルホン酸基の0.5〜10、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1.3〜2mol当量の量で使用し、mol当量は塩基(B)のモル量に基づく。
【0057】
好ましくは、酸(B)を、pHが0〜7、より好ましくは0.5〜7、さらにより好ましくは1〜7、特に1〜4、さらに特に1〜2に調整される量添加する。
【0058】
ポリマースルホン酸樹脂は、好ましくは酸性陽イオン交換樹脂、より好ましくは強酸性陽イオン交換樹脂、例えば不均一酸触媒反応に使用されるものなどである。
【0059】
好ましくは、ポリマースルホン酸樹脂は、1000〜1000000Dの平均分子量;および/または
樹脂1kg当たり好ましくは1〜15、より好ましくは1〜11.6、さらにより好ましくは1〜10、特に1〜8、さらに特に1〜7当量の酸性部位の濃度;および/または
好ましくは1〜650、より好ましくは1〜560、さらにより好ましくは1〜450、特に1〜350、さらに特に50〜650、なおさらに特に1〜560、特に50〜450、さらに特に50〜350の酸価;および/または
好ましくは4〜800メッシュ、より好ましくは4〜400メッシュの粒径
を有する。
【0060】
酸性部位の濃度は、the Master Test Method MTM 0232、Edition 1.4、(著作権)Rohm and Haas Company、1998により決定し、CATALYST VOLATILESはthe Master Test Method MTM 0126、Edition 1.6、(著作権)Rohm and Haas Company、2000により決定する。
【0061】
酸価は、DIN EN ISO 3682に従って決定する。酸価についてのさらなる説明および酸性部位の濃度との関係については、「BASF Handbuch Lackiertechnik」、Artur Goldschmidt and Hans−Joachim Streitberger、Vincentz Verlag、2002、ISBN 3−87870−324−4、chapter 2.3.2.2(272〜273頁)を参照されたい。この文献中の教示によると、1kg当たり1当量の酸性部位の濃度は、56の酸価に等しいので、1kg当たり4.7当量の酸性部位の濃度は263の酸価に等しい。
【0062】
特に、ポリマースルホン酸樹脂は、スルホン化ポリスチレン樹脂、ジビニルベンゼンおよびポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)と華僑したスルホン化ポリスチレン樹脂からなる群から選択される。
【0063】
ジビニルベンゼンと架橋したスルホン化ポリスチレン樹脂を、ジビニルベンゼン−スチレンスルホン酸共重合体とも呼ぶ。
【0064】
ポリマースルホン酸樹脂の1つの例は、Amberlyst(登録商標)15DRYである。
【0065】
酸(B)を添加した後、混合物を濾過することができる。
【0066】
好ましくは、反応混合物の任意の揮発性成分を減圧下での蒸発により除去する。
【0067】
任意の濃縮は好ましくは、蒸留により、好ましくは減圧下で行う。
【0068】
さらにより好ましくは、反応混合物を酸性化し、有機相を分離および濃縮する。
【0069】
特に、酸(B)はポリマースルホン酸樹脂であり、溶媒(B)を酸(B)が溶媒(B)に不溶性となるように選択する。それによって、ポリマースルホン酸樹脂の添加による酸性化後、反応混合物を濾過し、それによって樹脂を濾過して取り除くことができ、化合物を溶媒(B)の蒸発により単離する。それによって、水を添加する必要がなくなる。
【0070】
式(II)の化合物は、当業者に既知の標準的方法、好ましくは結晶化または減圧下での蒸留により精製することができる。
【0071】
式(VI)の化合物は既知の化合物であり、既知の方法により製造することができる。
【0072】
好ましくは、化合物(C)はCl
2またはBr
2、より好ましくはCl
2である。
【0073】
さらにより好ましくは、化合物(C)はCl
2であり、R1−IVおよびR3はClであり、R1はClまたはCNである。
【0074】
反応(C)を溶媒(C)中で行うことができる。好ましくは、溶媒(C)は、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0075】
好ましくは、溶媒(C)はジクロロメタンである。
【0076】
好ましくは、反応(C)の反応温度は、−78〜100℃、より好ましくは−40〜40℃、さらにより好ましくは−25〜25℃、特に−20〜20℃である。
【0077】
好ましくは、反応(C)を大気圧〜60バール、より好ましくは大気圧〜10バール、さらにより好ましくは大気圧〜2バール、特に大気圧の圧力で行う。
【0078】
好ましくは、反応(C)の反応時間は、1分〜24時間、より好ましくは1分〜12時間、さらにより好ましくは1分〜6時間、特に10分〜2時間である。
【0079】
好ましくは、化合物(C)の量は、式(VI)の化合物のmolの0.9〜10mol当量、より好ましくは0.95〜2mol当量、さらにより好ましくは0.98〜1.05mol当量である。
【0080】
好ましくは、溶媒(C)の量は、式(VI)の化合物の重量の1〜100倍、より好ましくは5〜50倍、さらにより好ましくは5〜20倍、特に5〜15倍である。
【0081】
好ましくは、反応(C)を不活性雰囲気下で行う。
【0082】
反応(C)の後、式(IV)の化合物を、酸性化、濾過、揮発性成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留およびこれらの任意の組み合わせなどの当業者に既知の標準的方法により、反応(C)から得られた反応混合物から単離することができる。
【0083】
式(IV)の化合物を単離しないこともできるが、単離せずに次の反応のために直接使用することもできる。
【0084】
任意選択により、任意の有機相を、好ましくは硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いて乾燥させることができる。
【0085】
好ましくは、方法(B)は、工程(A)をさらに含み、方法(B)は本明細書に定義される通りであり、全てのその好ましい態様でも同様であり;
工程(A)は工程(B)の後に行われ;
工程(A)は、式(III)の化合物との式(II)の化合物(これは工程(B)で製造されたものである)の反応(A)を含み、式(I)の化合物を与える;
【化5】
【0087】
式(I)は式(I)の化合物の全ての可能な互変異性型を含む。
【0088】
式(II)は式(II)の化合物の全ての可能な互変異性型を含む。
【0089】
式(I)の化合物の可能な互変異性体は特に式(I−a)の化合物、式(I−b)の化合物および式(I−c)の化合物である。
【化6】
【0090】
式(II)の化合物の可能な互変異性体は、特に式(II−a)の化合物、式(II−b)の化合物および式(II−c)の化合物である。
【化7】
【0091】
好ましくは、R1はClまたはCNである。
【0092】
より好ましくは、化合物(C)はCl
2であり、R1−IVおよびR3はClであり、R1はClまたはCNである。
【0093】
好ましくは、R2は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルからなる群から選択され;
より好ましくは、R2はエチルまたはtert−ブチルであり;
さらにより好ましくは、R2はtert−ブチルである。
【0094】
特に、R1はClまたはCNであり、R2はtert−ブチルである。
【0095】
さらに特に、R1はClまたはCNであり、R2はtert−ブチルであり、化合物(C)はCl
2であり、R1−IVおよびR3はClである。
【0096】
反応(A)を溶媒(A)中で行うことができる。反応に干渉せず、好ましくは50℃以上の沸点を有する任意の溶媒を、原則として使用することができる。
【0097】
好ましくは、溶媒(A)は、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、N,N−ジ−C
1〜4アルキルC
1〜4モノカルボキサミド、ジ−C
1〜2アルキルスルホキシドおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0098】
好ましくは、式(III)の化合物が溶媒(A)としても働く。
【0099】
好ましくは、式(III)の化合物が溶媒(A)としても働き、さらなる溶媒(A)を使用しない。
【0100】
好ましくは、反応(A)の反応温度は−40〜180℃、より好ましくは20〜100℃、さらにより好ましくは20〜150℃、特に30〜90℃、さらに特に40〜85℃である。
【0101】
好ましくは、反応(A)を大気圧〜60バール、より好ましくは大気圧〜10バール、さらにより好ましくは大気圧〜2バール、特に大気圧の圧力で行う。
【0102】
好ましくは、反応(A)の反応時間は、5分〜48時間、より好ましくは5分〜24時間、より好ましくは1時間〜8時間、さらにより好ましくは1時間〜3時間である。
【0103】
好ましくは、式(III)の化合物の量は、式(II)の化合物のmolの1〜200mol当量、より好ましくは1〜100mol当量、さらにより好ましくは1〜50mol当量である。
【0104】
好ましくは、溶媒(A)の量は、式(II)の化合物の重量の0.1〜100倍、より好ましくは0.1〜50倍、さらにより好ましくは0.1〜20倍、特に0.1〜10倍である。
【0105】
通常、溶媒(A)の量は、式(II)の化合物の重量の少なくとも2または5倍であり、そのため、さらなる可能な範囲は式(II)の化合物の重量の好ましくは2〜100倍、より好ましくは2〜50倍、さらにより好ましくは2〜20倍、特に2〜10倍であり;または
式(II)の化合物の重量の好ましくは5〜100倍、より好ましくは5〜50倍、さらにより好ましくは5〜20倍、特に5〜10倍である。
【0106】
式(III)の化合物を溶媒として使用しない場合、好ましくは式(III)の化合物の量は、式(II)の化合物のmolの1〜2mol当量、より好ましくは1〜1.5mol当量、さらにより好ましくは1.1〜1.5mol当量である。
【0107】
反応(A)を酸(A)の存在下で行うことができる。
【0108】
好ましくは、酸(A)は、ポリマースルホン酸樹脂、トルエンスルホン酸、HCl、H
2SO
4、クエン酸、酒石酸、酢酸、塩化アンモニウム、シュウ酸、リン酸およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、酸(A)はHClである。
【0109】
好ましくは、酸(A)の量は、式(II)の化合物の重量の0.1〜100倍、より好ましくは0.1〜50倍、さらにより好ましくは0.1〜20倍、特に0.1〜10倍である。
【0110】
酸(A)は、水なしでまたは水との混合物として、例えばHCl水溶液またはH
2SO
4水溶液または濃H
2SO
4として使用する。
【0111】
酸(A)の水分含量は、好ましくは0〜99重量%であり、重量%は酸(A)の総重量に基づく。
【0112】
好ましくは、反応(A)を不活性雰囲気下で行う。
【0113】
反応(A)の後、式(I)の化合物を、濾過、揮発性成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留およびこれらの任意の組み合わせなどの当業者に既知の標準的方法により、反応(A)から得られた反応混合物から単離することができる。
【0114】
任意に、着色不純物を従来知られている木炭による処理、例えば反応(B)および/または反応(A)からの反応混合物の木炭による処理により除去することができる。
【0115】
任意選択により、任意の有機相を、好ましくは硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いて乾燥させることができる。
【0116】
好ましくは、反応混合物の任意の揮発性成分を減圧下での蒸発により除去する。
【0117】
任意の濃縮は好ましくは、蒸留により、好ましくは減圧下で行う。
【0118】
式(I)の化合物を、好ましくは結晶化または減圧下での蒸留により精製することができる。
【0119】
工程(ACID)を工程(B)の後および工程(A)の前に行う。
【0120】
好ましくは、工程(B)、任意に工程(ACID)、その後工程(A)を、式(II)の化合物を単離せずに継続的に行う。
【0121】
好ましくは、任意の溶媒(B)および任意の溶媒(A)は同一である。
【0122】
より好ましくは、工程(B)および工程(A)をワンポット(one pot)で行い、任意の溶媒(B)および任意の溶媒(A)は同一である。
【0123】
好ましくは、工程(C)および工程(B)を、式(IV)の化合物を単離せずに継続的に行う。
【0124】
好ましくは、任意の溶媒(C)および任意の溶媒(B)は同一である。
【0125】
より好ましくは、工程(C)および工程(B)をワンポットで行い、任意の溶媒(C)および任意の溶媒(B)は同一である。
【0126】
好ましくは、工程(C)、工程(B)および工程(A)を、式(IV)および(II)の化合物を単離せずに継続的に行う。
【0127】
好ましくは、任意の溶媒(C)、任意の溶媒(B)および任意の溶媒(A)は同一である。
【0128】
より好ましくは、工程(C)、工程(B)および工程(A)をワンポットで行い、任意の溶媒(C)、任意の溶媒(B)および任意の溶媒(A)は同一である。
【0129】
別の好ましい態様では、工程(ACID)を工程(B)の後に行い、式(II)の化合物を単離し、次いで工程(A)を行い、溶媒(A)は式(III)の化合物であり;より好ましくは、酸(B)はポリマースルホン酸樹脂であり、溶媒(B)を、酸(B)が溶媒(B)に不溶性となるよう選択する。
【0130】
工程(C)、(B)、(A)の各々および任意の工程(ACID)を、フロー反応器中で連続的に行うことができる。工程(C)および(B)、または工程(C)、(B)、(A)および任意の工程(ACID)も任意の中間体を単離せずに、フロー反応器中で継続的かつ連続的に行うことができる。
【0131】
適切なフロー反応器は当技術分野で既知であり、工程(C)、(B)または(A)の何れかを連続的に行うのに適したフロー反応器についての特定の要件はない。
【0132】
本発明のさらなる主題は、式(X)の化合物、式(XI)の化合物、式(XII)の化合物、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンからなる群から選択される化合物を製造する方法(PREP)である;
【化8】
【0133】
方法(PREP)は工程(C)および工程(B)を含み;
工程(C)、工程(B)およびR1は本明細書に定義される通りであり、全てのその好ましい態様についても同様であり;
R2は本明細書に定義される通りであり、全てのその好ましい態様についても同様であり;
R7はO−C(O)CH
3、OHまたはCH
2−NH
2である、
1つの好ましい側面では、方法(PREP)は工程(ACID)も含む。
【0134】
別の好ましい側面では、方法(PREP)は工程(A)も含む。
【0135】
別の好ましい側面では、方法(PREP)は工程(ACID)および工程(A)も含む。
【0136】
式(X)の化合物、式(XI)の化合物、式(XII)の化合物、式(XIII)の化合物、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンは既知の化合物である。
【0137】
中間体として式(II)の化合物を使用する式(X)の化合物、式(XI)の化合物、式(XII)の化合物、式(XIII)の化合物、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンを製造する方法は既知である。
【0138】
本発明の方法は、金属由来塩基の使用を強制的には必要としない。この方法は、式(I)および(II)の化合物を高収率および高純度で提供し、化合物は明るい白色を有する。式(II)の化合物は、容易な方法で反応後に単離することができ、特に、有機および水相の混合物が速く明白に2つの相に分離し、単離をかなり促進する。化合物を単離する別の容易な方法は、酸、好ましくは不溶性ポリマースルホン酸樹脂の添加、濾過および溶媒の蒸発であり、それによって水の使用を省略することができる。
【0139】
本方法は環境的に安全(uncritical)である。この方法は毒性物質を使用しない。
【0140】
さらなる利点は、開示されている方法を、従来の方法(式(I)の化合物のC6骨格が例えばアルドール縮合および類似の反応により、C4前駆体と酢酸エステル誘導体の反応から形成される)で使用されている−78℃より、はるかに高い温度で行うことができることである。
【0141】
反応(A)のさらなる利点は副産物である。副産物として二酸化炭素およびアセトンしか生成しないので、反応(A)は環境に優しい方法である。アセトンは単離し、他の目的に使用することさえ可能である。
【0142】
WO01/72706Aは、例1.4および1.5で、6つの工程(出発C2構成単位から計算した場合)を含む方法を開示しており、式(I)の化合物(これはBHAの前駆体である)の製造に適用することができるであろう:1.クロロ酢酸をその酸塩化物に転換する、2.次いで、メルドラム酸と反応させる、3.次いで、加水分解によりそれぞれの酪酸誘導体に変換する、4.次いで、再度酸塩化物に変換する、5.再度メルドラム酸と反応させる、6.最後にエステル化により式(I)の化合物のそれぞれの誘導体に変換する。2当量のメルドラム酸、塩素、塩基およびアルコールの各々が必要である。
【0143】
本発明の方法により、4工程のプロセスで、化合物(これはBHAの前駆体である)を製造することが可能になる:1.酢酸をジケテンに変換する、2.ジケテンを、Cl
2を用いて塩素化酪酸クロリド誘導体に変換する、3.次いで、メルドラム酸と反応させる、4.最後にエステル化により式(I)の化合物に変換する。1当量のメルドラム酸、塩素、塩基およびアルコールのみが必要である。
【0144】
さらに、WO01/72706Aのスキーム2または請求項8の工程b)による方法の場合のようにマグネシウムまたはリチウム由来塩基が必要とされない。
【0145】
さらに、本発明の塩素化剤はCl
2であり、これは、可能な塩素化剤としてWO01/72706Aの8頁に開示されている塩化オキサリル、塩化チオニルまたはPCl
5と比べて安価である。塩素を前駆体に導入する場合、廃棄物も副産物、例えばCO
2、CO、SO
2、SO
3または燐光体誘導体も工程で生成しない。
【0146】
本発明の方法により、式(IV)の中間体化合物を単離せずに反応(C)および反応(B)を継続的に行うことが可能になり、2つの反応を同じ溶媒中で、またワンポットでさえ行うことができる。
【0147】
連続反応モードを容易に適用することができる。
【0148】
本発明の方法は、明るい白色固体を高収率で提供し、固体が良好な濾過挙動を示す懸濁液として得られる。
【0149】
WO01/72706Aと比べると、自然に高められた水への溶解度を有し、そのために反応に使用する有機相からの単離を困難にする中間体としての遊離酸が生じない。例1.4および1.5ならびにスキーム1で開示されているWO01/72706の方法は、遊離C2−カルボン酸で始まり、さらなる遊離C4カルボン酸が中間体として単離される。
【0150】
[実施例]
略語および原材料のリスト
Amberlyst 15(登録商標)DRY CAS39389−20−3;ジビニルベンゼン−スチレンスルホン酸共重合体、不均一酸触媒として使用される強酸性陽イオン交換樹脂;非水性触媒に適切であり、少なくとも4.7eq/kgの酸性部位濃度を有する。Amberlyst 15(登録商標)DRYは、Rohm and Haasの製品であり、2005年8月の規格で使用した。
【0151】
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DMAP N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン
TMEDA テトラメチルエチレンジアミン
eq 当量
例1a
−15℃の式(VI)の化合物(5.25g、62.4mmol)のジクロロメタン(50mL)中溶液に、Cl
2(4.43g、62.4mmol)を−15℃で30分間添加した。式(I)の化合物の溶液が生成された。
【化9】
【0152】
次いで、式(I)の化合物のこの溶液を、45分以内に−15℃の式(V)の化合物(9g、62.4mmol)、NEt
3(12.65g、124.9mmol)およびジクロロメタン(50mL)からなる混合物に添加した。生じた反応混合物を、0℃で2時間攪拌した。Amberlyst(登録商標)15DRY(18g)を添加し、反応混合物をもはや冷却せずに室温に加温させた。Amberlyst(登録商標)15DRYを濾過して取り除き、HCl水溶液(1M、100mL)を濾液に添加した。相を分離し、有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濾過および濃縮して固体(15.1g、92%)として式(2)の化合物を得た。
【化10】
【0153】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 1.75(s,6H),4.26(s,2H),4.29(s,2H),14.8(s,1H)
例1b
−15℃の式(VI)の化合物(17.5g、0.21mol)のジクロロメタン(90mL)中溶液に、Cl
2(14.76g、0.21mol)を120分間添加した。反応混合物を−10℃で45分間攪拌した。式(I)の化合物の溶液が生成された。次いで、式(I)の化合物のこの溶液に、60分以内に−15℃の式(V)の化合物(30g、0.21mol)、NEt
3(42.13g、0.42mol)およびジクロロメタン(100mL)からなる混合物を添加した。結果として生じた反応混合物を、0℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温でHCl(1M、100mL)により酸性化して、暗褐色の混合物を得た。2つの相を明白には観察することができなかったので、予想される相の計算された予想される体積に基づいて相分離を行った。相を分離し、有機相を3回抽出し、Na
2SO
4上で乾燥させた。固体を濾過して取り除き、濾過は緩速とした。残っている溶媒を真空中で除去して、暗褐色固体(52.2g、96%)として式(2)の化合物を得た。
【0154】
例1c
−15℃の式(VI)の化合物(5.25g、62.4mmol)のジクロロメタン(50mL)中溶液に、Cl
2(4.43g、62.4mmol)を35分間添加した。式(I)の化合物の溶液が生成された。次いで、式(I)の化合物のこの溶液を、60分以内に−15℃の式(V)の化合物(9g、62.4mmol)、NEt
3(12.65g、124.9mmol)およびジクロロメタン(54mL)からなる混合物に添加した。結果として生じる反応混合物を、0℃で2.5時間攪拌した。Amberlyst(登録商標)15DRY(18g)を添加し、攪拌を30分間継続した。次いで、反応混合物を室温に加温させた。Amberlyst(登録商標)15DRYを濾過して取り除き、反応混合物をCelite(登録商標)上で濾過し、最後に濃縮乾固して固体(14.2g、87%)として式(2)の化合物を得た。
【0155】
例1d
−20℃の式(VI)の化合物(10.5g、0.13mol)のジクロロメタン(108mL)中溶液に、Cl
2(8.86g、0.13mol)を105分間添加した。式(I)の化合物の溶液が生成された。次いで、式(I)の化合物のこの溶液を、90分以内に−15℃の式(V)の化合物(18g、0.13mol)、NEt
3(25.28g、0.25mol)およびジクロロメタン(110mL)からなる混合物に添加した。結果として生じる反応混合物を、−10℃で2.5時間攪拌した。Amberlyst(登録商標)15DRY(32g)を添加し、攪拌を0℃で30分間継続した。次いで、反応混合物をシリカ上で濾過し、次いで2℃でHCl(1M、150mL)により酸性化した。相を分離し、水相をジクロロメタン(100mL)で抽出し、合わせた有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濾過および濃縮して固体(28.3g、86%)として式(2)の化合物を得た。
【0156】
例1e
−15℃の式(VI)の化合物(7.87g、0.09mol)のジクロロメタン(77mL)中溶液に、Cl
2(6.44g、0.09mol)を60分間添加した。反応混合物を−10℃で75分間攪拌した。式(I)の化合物の溶液が生成された。次いで、式(I)の化合物のこの溶液に、60分以内に−15℃の式(V)の化合物(10.8g、0.07mol)、NEt
3(16.68g、0.16mol)およびジクロロメタン(80mL)からなる混合物を添加した。結果として生じる反応混合物を、−10℃で16時間攪拌した。反応混合物を5℃で気体HCl(6g)によりpH1に酸性化して、褐色がかった黄色反応混合物を得た。水(120mL)を添加し、相を分離し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を真空中で除去して黄色固体(19.7g、80%)として式(2)の化合物を得た。
【0157】
例1f
−15℃の式(VI)の化合物(7.87g、0.09mol)のジクロロメタン(77mL)中溶液に、Cl
2(6.44g、0.09mol)を60分間添加した。反応混合物を−10℃で75分間攪拌した。式(I)の化合物の溶液が生成された。次いで、式(I)の化合物のこの溶液に、60分以内に−15℃の式(V)の化合物(10.8g、0.07mol)、NEt
3(16.68g、0.16mol)およびジクロロメタン(80mL)からなる混合物を添加した。結果として生じる反応混合物を、−10℃で16時間攪拌した。反応混合物を5℃で濃H
2SO
4(13.3g)によりpH1に酸性化して、褐色がかった黄色反応混合物を得た。水(120mL)を添加し、相を分離し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を真空中で除去して茶色固体(16.3g、66%)として式(2)の化合物を得た。
【0158】
例1g
−15℃の式(VI)の化合物(39.4g、0.469mol)のジクロロメタン(340mL)中溶液に、Cl
2(33.3g、469mol)を120分間添加した。反応混合物を−10℃で180分間攪拌した。式(I)の化合物の溶液が生成された。次いで、式(I)の化合物のこの溶液に、120分以内に−5℃の式(V)の化合物(52g、0.361mol)、TMEDA(83.9g、0.722mol)およびジクロロメタン(340mL)からなる混合物を添加した。結果として生じる反応混合物を−5℃で4時間攪拌した。反応混合物を5℃でHCl水溶液(HCl水溶液の総重量基準で5重量%のHCl、658g)中に移して、pH2未満の褐色がかった黄色混合物を得た。相を分離した後、溶媒を真空中で除去して80%の純度を有する茶色固体(101g、86%収率)として式(2)の化合物を得た。
【0159】
例2a
例1により製造された式(2)の化合物(7.5g、28.3mmol)とtert−ブタノール(75mL、0.81mol)との混合物を還流状態で2.5時間攪拌した。結果として生じる反応混合物をシリカ上で濾過して、減圧下で濃縮して式(3)の化合物(6.4g、96%)を得た。
【化11】
【0160】
1H NMR(400MHz,CDCl
3):エノール型(−ef)/ケト型(−kf)の比=86:14(面積比:面積比);δ 1.48(s,9H−ef),1.49(s,9H−kf),3.31(s,2H−ef),3.49(s,2H−kf),3.92(s,2H−kf),4.06(s,2H−ef),4.20(s,2H−kf),5.97(s,1H−ef)
例2b
例1により製造された式(2)の化合物(5.2g、19.8mmol)とtert−ブタノール(52mL、0.55mol)との混合物を、還流状態で2.5時間攪拌した。結果として生じる反応混合物を減圧下で濃縮して、式(3)の化合物(4.5g、97%)を得た。
【0161】
例2c
例1により製造された式(2)の化合物(20g、76mmol)とtert−ブタノール(56g、0.76mol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(0.66g、4mmol)との混合物を。50℃で3.5時間攪拌した。結果として生じる反応混合物をDCM(150ml)に溶解し、水(150ml)で洗浄した。有機相を水(150ml)と混合し、pHが8.0〜9.0になるまでNaOH水溶液(25%w/w)を添加し、相分離の後、pHが2.5〜3.5になるまで0.5N HCl水溶液を添加し、混合物を減圧下で濃縮して式(3)の化合物(14g、63%の収率)を得た。