特許第5960273号(P5960273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5960273-自動車用粘着テープ 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960273
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】自動車用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20160719BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20160719BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J153/02
   C09J11/06
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-535646(P2014-535646)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2014-534303(P2014-534303A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】KR2012008260
(87)【国際公開番号】WO2013055122
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0103502
(32)【優先日】2011年10月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】チャン・エジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・チャンスン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・スンミン
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/101738(WO,A1)
【文献】 特開平07−278509(JP,A)
【文献】 特開2004−075853(JP,A)
【文献】 特開2011−118102(JP,A)
【文献】 特表2010−512426(JP,A)
【文献】 特表平09−502213(JP,A)
【文献】 特開平4−359080(JP,A)
【文献】 特開2003−321662(JP,A)
【文献】 特表2010−502803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00− 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1ないし12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体85重量%ないし95重量%、およびアクリル酸5重量%ないし15重量%を含むアクリルフォーム層;および
前記アクリルフォーム層の両面に形成されたスチレン含量が20重量%ないし30重量%であるスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体を含む、50μm厚のゴム系接着剤層において300kGyないし500kGyの照射量を有する電子ビームが照射されて硬化されてなるゴム系接着剤層を含むが、
前記ゴム系接着剤層はゲル含量が40%以上であることを特徴とする感圧性接着テープ。
【請求項2】
前記アクリルフォーム層は、炭素数1ないし12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸を含む組成物の100重量部に対して、0.01重量部ないし1重量部の光開始剤、および0.1重量部ないし2重量部の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の感圧性接着テープ。
【請求項3】
前記ゴム系接着剤層は、粘着付与剤および可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の感圧性接着テープ。
【請求項4】
前記ゴム系接着剤層の全体組成物に対して、
前記スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体の含有量は10重量%ないし30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の感圧性接着テープ。
【請求項5】
前記ゴム系接着剤層のスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体100重量部に対して、
前記粘着付与剤の含有量は10重量部ないし150重量部であり、前記可塑剤の含有量は1重量部ないし10重量部であることを特徴とする請求項に記載の感圧性接着テープ。
【請求項6】
炭素数1ないし12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体85重量%ないし95重量%、およびアクリル酸5重量%ないし15重量%を含むアクリルフォーム層を製造する段階;
前記アクリルフォーム層の片面または両面にスチレン含量が20重量%ないし30重量%であるスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体を含む、50μm厚のゴム系接着剤層において300kGyないし500kGyの照射量を有する電子ビームが照射されて硬化されてなるゴム系接着剤層を形成させる段階;を含むが、
前記ゴム系接着剤層形成段階は、
スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体を製造する段階;
前記スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体に粘着付与剤および可塑剤を添加してゴム系接着剤層を形成する段階;および
前記ゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上にする段階を含むことを特徴とする感圧性接着剤層の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリルフォーム層および前記アクリルフォーム層の両面に形成されたゴム系接着剤層を含むが、前記ゴム系接着剤層は、ゲル含量が40%以上であることを特徴とする感圧性接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紫外線硬化型粘着組成物および粘着テープを開示している。しかし、紫外線硬化法は、瞬間硬化、低温硬化、無公害/安定、品質の均一化等の長所を有しているが、原料価格が高く、重合開始剤や増感剤が配合されているため、長時間保存すると重合が進んで変質するおそれがあることから、新たな硬化法が要求されている。
【0003】
また、特許文献2では、ゴム系感圧性接着剤を含んでいるコア層を有する感圧性接合テープを提供している。しかし、近年、自動車用粘着テープは、長時間UVと雨水等への露出環境に耐えるだけでなく、外部からの物理的な衝撃や振動等にも耐えなければならないためアクリル系フォームテープが適用されており、これにより、ゴム系粘着剤およびこれを含むアクリルフォームテープの発明を急いでいる実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2007−0041896号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2007−0004837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、衝撃吸収の面で優れたアクリルフォーム層と、表面エネルギーが低い基材にも優れた接着力を有するゴム系接着剤層を含む感圧性接着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、アクリルフォーム層;および前記アクリルフォーム層の両面に形成されたゴム系接着剤層を含むが、前記ゴム系接着剤層は、ゲル含量が40%以上であることを特徴とする感圧性接着テープを提供する。
【0007】
また、本発明の目的を達成するために、アクリルフォーム層を製造する段階;前記アクリルフォーム層の片面または両面にゴム系接着剤層を形成させる段階;を含むが、前記ゴム系接着剤層の形成段階は、スチレンブロック共重合体を製造する段階;前記スチレンブロック共重合体に粘着付与剤および可塑剤を添加してゴム系接着剤層を形成する段階;および前記ゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上にする段階を含むことを特徴とする感圧性接着剤層の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のゴム系接着剤層を含む感圧性接着テープは、衝撃吸収に優れ、特に、自動車用粘着において卓越した性能を有し、表面エネルギーが低い基材であっても接着性能に優れるという長所がある。
【0009】
本発明の感圧性接着テープの製造方法は、電子ビームを照射して硬化する段階を含むことにより、硬化時間が短縮され高い硬化度を有することで、環境的、生産的の面でその活用度が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例にかかる感圧性接着テープの構造を図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、併せて詳しく後述してある実施例を参照すれば明確になると考える。しかし、本発明は以下で開示してある実施例に限定されるのではなく、相違する多様な形態で具現でき、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書全体に亘り同一参照符号は、同一構成要素を指す。
【0012】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0013】
(感圧性接着テープ)
【0014】
本発明は、アクリルフォーム層および前記アクリルフォーム層の両面に形成されたゴム系接着剤層を含むことを特徴とする感圧性接着テープを提供する。
【0015】
(アクリルフォーム層)
【0016】
前記アクリルフォーム層は、アクリル系樹脂を含む。本発明で使用できるアクリル系樹脂は特に限定されないが、炭素数1ないし12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸を含むことができる。このとき、単量体に含まれるアルカリが過度に長鎖になると、粘着剤の凝集力が低下し、ガラス転移温度(Tg)や粘着性の調節が難しくなるおそれがあるため、炭素数が1ないし12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用することが好ましい。
【0017】
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体および前記アクリル酸の重量比は、目的とする効果を達成できる範囲で選択され、特に限定されはしないが、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体は85重量%ないし95重量%、および前記アクリル酸は5重量%ないし15重量%で使用することが好ましい。前記アクリル酸が5重量%未満だと粘着力が低下し、15重量%を超える場合は凝集力が低下する。
【0018】
前記において(メタ)アクリル酸エステル系単量体の種類は特に限定されなく、このような単量体の例としては、アルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびテトラデシル(メタ)アクリレートを挙げることができ、本発明では前記の1種または2種以上の混合を使用することができる。
【0019】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合可能なアクリル酸は、極性単量体であることを特徴とする。前記アクリル酸もやはり特に限定されるのではないが、特に、カルボキシル基含有単量体および/または窒素含有単量体が好ましい。前記においてカルボキシル基含有単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができ、窒素含有単量体の例としては、アクリルアミド、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムからなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができる。
【0020】
本発明のアクリルフォーム層は、炭素数1ないし12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸を含む組成物に光開始剤と架橋剤を更に含むことを特徴とする。
【0021】
前記の光開始剤は、アクリルフォーム層形成の過程で紫外線等の照射によって反応して前記組成物の硬化反応を開始させることができる。前記において光開始剤としては、本分野で通常使用されるものを使用でき、これは特に限定されない。
【0022】
前記光開始剤の例としては、ベンゾインメチルエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、α,α−メトキシ−α−ヒドロキシアセトフェノン、2−ベンゾイル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホニル)フェニル]−1−ブタノン、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンからなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができる。前記光開始剤は、前記組成物100重量部に対して0.01重量部ないし1重量部で添加することが好ましい。光開始剤が0.01重量部未満で添加されると架橋が十分に行われないだけでなく、凝集力の改善効果が得られなくなる場合があり、1重量部を超えて添加されると初期タック(Tuck)および粘着力が著しく低下するおそれがある。
【0023】
前記の架橋剤は、凝集力改善の観点において粘着物性を調節することができる。本発明で使用できる架橋剤の種類は特に限定されないが、紫外線等の照射によって反応に参与できる成分であることが好ましい。
【0024】
前記架橋剤の例としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、及び1,12−ドデカンジオールアクリレートのような多官能アクリレート系架橋剤;多官能イソシアネート系架橋剤;および多官能エポキシ系架橋剤からなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができるが、これに限定されるのではない。前記架橋剤は、前記組成物100重量部に対して、0.1重量部ないし2重量部で添加されることが好ましい。架橋剤が0.1重量部未満で添加される場合は粘着力が低下するおそれがあり、2重量部を超えて添加される場合は凝集力が低下するおそれがある。
【0025】
前記光開始剤および架橋剤以外に添加できるその他添加剤としては、多孔性フィラー、カップリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、粘着付与剤、および加工油等を挙げることができ、このような添加剤は、本分野の通常のものを使用し、本発明の目的を害さない範囲で適切に添加することができる。
【0026】
(ゴム系接着剤層)
【0027】
本発明は、ゴム系接着剤層のゲル含量が40%以上であることを特徴とする感圧性接着テープを提供する。特に、前記ゲル含量が40%ないし80%であることが、剥離強度および高温維持の面で好ましい。前記ゲル含量が40%未満だと高い熱によって変形したり変質せずに耐えられる耐熱性が低下し、高温維持力が低下する。より具体的には、ゲル含量が40%未満に低下すると、ゴム系接着剤層の架橋構造が緩くなり、これによって、外部からの外力、応力が負荷されると、そのずれが大きくなり変形し易くなってしまうため、高温、又は高温、高湿下で耐久性が非常に劣悪になる。逆に、ゲル含量が80%を超える場合は、ゴム系接着剤層が接着する基材との接着力が低下し得る。
【0028】
重量%で表したゲル含量は、粘着性付与反応後の溶媒内における不溶性のゴム系接着剤のパーセントを意味する。一般的に、ゲル含量は非常に高い精度で架橋された重合体に対して高く表れるが、この架橋の精度が高くなるとゲル含量が増加する。
【0029】
前記ゴム系接着剤層は、電子ビームが照射されて硬化することを特徴とする。前記電子ビームを照射することにより、ラジカルが発生して重合、固化するため、重合開始剤等が不要になり、変質のおそれが殆どない。また、UV硬化に比べてエネルギー利用効率が高く、硬化速度が速いため優れた生産性を期待することができる。
【0030】
また、前記電子ビームは、300kGyないし500kGyの照射量を有することを特徴とする。前記電子ビーム照射量が300kGy未満の場合は、硬化をさせる十分なエネルギーが供給されないためゲルが40%未満に低下して凝集力が不十分になるおそれがあり、500kGyを超える場合は、硬化度が高いため接着性が不十分になるだけでなく、強いエネルギービームによって製品が損傷するおそれがある。
【0031】
前記ゲル含量が40%以上のゴム系接着剤層を使用することにより、初期粘着力が一定の水準まで上がり、極性のあるアクリルフォーム層との相溶性を向上させることができる。また、ゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上に維持することにより、アクリル粘着剤層に比べて優れた接着力を有することができる。また、高い剥離強度と高温維持力を有することにより、金属を着色したプラスチック等の素材との接着も可能にする。
【0032】
また、本発明のゴム系接着剤層は、スチレンブロック共重合体を含み、粘着付与剤および可塑剤を更に含むことができる。
【0033】
前記スチレンブロック共重合体は、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体であることを特徴とする。前記SISブロック共重合体は、ゴム系接着剤の一種であり、A−B−A型重合体に属するもので、末端ブロックのAがポリスチレン、ゴム中間ブロックのBがポリイソプレンからなる分子構造モデルを有するスチレン系熱可塑性エラストマーである。
【0034】
本発明に使用されるSISブロック共重合体は特に限定されはしないが、通常、溶液粘度(MPa・s[cps],25℃)は約100ないし3000程度のものであればよく、ゴム系接着剤層の全体組成物に対して、前記SISブロック共重合体の含有量は10重量%ないし30重量%であることが好ましい。SISブロック共重合体の含有量が10重量%未満だと凝集力が不十分になるのに対し、30重量%を超えると接着性が不十分になるため好ましくない。
【0035】
特に、前記スチレンブロック共重合体のスチレン含量が15重量%ないし30重量%であることが最も好ましい。前記スチレンは、ハードセグメントであってスチレンの含量はゴム全体の物性に影響を及ぼし得、スチレンの量が増加するほどゴムは熱可塑性が増加する。
【0036】
本発明のスチレン含量が15重量%未満の場合は凝集力が不十分になるおそれがあり、30重量%を超えると接着性が不十分になるおそれがある。特に、スチレン含量が15重量%ないし25重量%のときが好ましい。
【0037】
前記粘着付与剤は特に限定されはしないが、例えば、置換式飽和炭化水素樹脂(合成石油樹脂)やロジンエステル誘導体、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂等が好ましい。さらに、置換式飽和炭化水素樹脂は特に限定されなく、本発明には前記の1種または2種以上が含有されるものであればよい。
【0038】
前記粘着付与剤の含有量は特に制限されないが、前記ゴム系接着剤層のスチレンブロック共重合体100重量部に対して10重量部ないし150重量部であることが好ましい。粘着付与剤の含有量が10重量部未満だと粘着力が不十分になるのに対し、粘着付与剤の含有量が150重量部を超えると、粘着力が強くなり過ぎて剥離の際に基材に異物を付与し得る。
【0039】
前記可塑剤は特に限定されはしないが、例えば、流動パラフィン、硬化油、硬化ヒマシ油、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スクアラン、スクアレン、ヒマシ油、液状ゴム(ポリブテン)、ミリスチン酸イソプロピルエステル等の脂肪酸エステル等を挙げることができる。本発明には前記の1種または2種以上が含有されるものであればよい。
【0040】
前記可塑剤の含有量は、前記ゴム系接着剤層のスチレンブロック共重合体100重量部に対して、1重量部ないし10重量部であることが好ましい。可塑剤の含有量が1重量部未満だと粘着剤層が過度に硬化されるため、粘着力が不十分になる。一方、可塑剤の含有量が10重量部を超えると粘着剤層が過度に軟化するため、べたつきが発生したり残り易くなる。
【0041】
前記ゴム系接着剤層に外被層をさらに含むことができる。前記外被層は、各種プラスチックフィルム、紙、不織布、ガラス、又は金属を使用することができ、前記のうちポリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチックフィルムを使用することが好ましいが、これに制限されるのではない。
【0042】
(感圧性接着テープの製造方法)
【0043】
本発明は、アクリルフォーム層を製造する段階;前記アクリルフォーム層の片面または両面にゴム系接着剤層を形成させる段階;を含むが、前記ゴム系接着剤層の形成段階は、スチレンブロック共重合体を製造する段階;前記スチレンブロック共重合体に粘着付与剤および可塑剤を添加してゴム系接着剤層を形成する段階;および前記ゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上にする段階を含むことを特徴とする感圧性接着剤層の製造方法を提供する。
【0044】
前記アクリルフォーム層を製造する段階は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸を熱重合して組成物を製造する段階;前記組成物に、光開始剤、架橋剤を添加して混合物を製造する段階;前記混合物に紫外線を照射して光重合させる段階;前記光重合物に熱を加えてアクリルフォーム層を製造する段階を含むことができる。
【0045】
また、前記のように製造されたアクリルフォーム層の片面または両面にゴム系接着剤層を形成させる段階を含むことができる。前記ゴム系接着剤層の形成段階は、スチレンブロック共重合体を製造する段階;前記スチレンブロック共重合体に粘着付与剤および可塑剤を添加してゴム系接着剤層を形成する段階;およびゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上にする段階を含むことができる。
【0046】
前記ゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上にする段階は、前記ゴム系接着剤層に電子ビームを照射して硬化することを特徴とすることができる。特に、電子ビーム硬化は、高エネルギーであって粘着剤の深さ方向に透過度が高いため厚い接着剤層にも適用でき、前記ゲル含量が40%以上のゴム系接着剤層を使用することにより、初期粘着力が一定水準まで上がり、極性のあるアクリルフォーム層との相溶性を向上させることができる(削除)。また、ゴム系接着剤層のゲル含量を40%以上に維持することにより、アクリル粘着剤に比べて優れた接着力を有することができる。また、高い剥離強度と高温維持力を有することにより、金属を着色したプラスチック等の素材との接着も可能にする。
【0047】
また、前記ゴム系接着層に照射する電子ビーム照射量は、300kGyないし500kGyにすることができる。前記電子ビーム照射量が300kGy未満の場合は、硬化をさせる十分なエネルギーが供給されないためゲル含量が40%未満に低下して凝集力が不十分になるおそれがあり、前記電子ビーム照射量が500kGyを超える場合は、硬化度が高いため接着性が不十分になるだけでなく、強いエネルギービームにより製品が損傷するおそれがある。
【0048】
前記ゴム系接着剤層の特徴になるスチレンブロック共重合体、粘着付与剤および可塑剤の具体的な例は前述の通りである。
【0049】
前記スチレンブロック共重合体に粘着付与剤および可塑剤を添加する前に、溶剤を乾燥させて組成物を製造することができる。前記溶剤の具体的な例としては、エチルアセテート、イソプロパノール、エタノール、ヘキサン、ヘプタンおよびトルエンがある。溶剤の目的は、組成物の粘度を減少させて一つの容器から他の容器に入れやすくするためである。また、溶剤の量は粘度を約100パスカル−セカンド(Pas)未満に減少させることができる程度であれば十分である。
【0050】
前記組成物において、固形分含量約20重量%ないし約40重量%を提供できる溶剤の量であれば十分である。40重量%を超過する固形分を含む組成物は粘度が高くなり得、約20重量%未満の固形分を含む組成物は粘度を作業し易い水準に減少させるのに十分な量を超える溶媒を含むことができる。好ましい特定粘度は、組成物が押出器に導入される方法、および使用される溶剤除去システムの類型に左右される。
【0051】
本発明の感圧性接着テープは、自動車、オートバイ、自転車、船舶(例:船、ヨット、ボートおよび個人用船舶)、航空機、およびその他類型の陸上、海上および航空車両のような基板の外部面に対する車体側面成形物、エンブレム、ピン−ストリッピング、およびその他目的物のような部品を結合させる際に特に有用である。
【0052】
前記感圧性接着テープは、一般的な基準で車両が直面し得るガソリンのような石油系物質、潤滑剤、洗剤のような水系物質、前面ガラス洗浄液、雨、塩水、およびこれらの混合物を含む基板の使用時に直面する成分に対する耐性を有する。また、前記感圧性接着テープは、物理力に対する耐性があるが、改善された剥離強度を有するため、衝撃、引っ掛り、破壊、または目的物が基板から除去されるようにするその他の力のような物理力による除去を防止する。
【0053】
以下、本発明を次の実施例によってより詳しく説明する。但し、下記実施例は、本発明の内容を例示するものであるだけで、発明の範囲が実施例によって限定されるのではない。
【0054】
<実施例1>
【0055】
(アクリルフォーム層の製造)
【0056】
2−エチルヘキシルアクリレート90部と極性モノマーアクリル酸10部を、1リットルのガラス反応器で熱重合させて粘度3500cPシロップを得た。得られたシロップ100重量部に対して光開始剤としてイルガキュア−651(α,α−メトキシ−α−ヒドロキシアセトフェノン)0.5重量部、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.35重量部を混合した後、十分に撹拌した。ここに、ガラスバブル5部、シリカ2部を混合して十分に均一になるまで撹拌した。この混合物を真空ポンプを用いて感圧脱泡した後、マイクロバーを用いて1.0mm厚のアクリルフォームテープを製造した。
【0057】
(ゴム系接着剤層の製造)
【0058】
スチレン含量が10%のSIS系線形ブロック共重合体を、トルエン溶剤を用いて固形分20%の組成物を製造する。前記組成物に粘着物性を高める粘着付与剤を前記SIS系線形ブロック共重合体の100重量部に対して150部添加して一時間撹拌し、常温で脱泡させてシリコン離型PETにコーティングした後、80度のオーブンで1分、110℃のオーブンで2分間乾燥させて50μm厚のゴム系接着剤層を製造し、多様な強さ(300、400、500kGy)の電子ビーム(EB)を照射して硬化した。
【0059】
(アクリルフォームテープの製造)
【0060】
前記のゴム系接着剤層を、アクリルフォーム層と5kgロールで合わせた後、アクリルフォームテープを製造する。
【0061】
<実施例2>
【0062】
前記ゴム系接着剤層の製造において、SIS系線形ブロック共重合体のスチレン含量が20%であることを除いては、前記実施例1と同様の方法でアクリルフォームテープを製造した。
【0063】
<実施例3>
【0064】
前記ゴム系接着剤層の製造において、SIS系線形ブロック共重合体のスチレン含量が30%であることを除いては、前記実施例1と同様の方法でアクリルフォームテープを製造した。
【0065】
<実施例4>
【0066】
前記ゴム系接着剤層の製造において、SIS系線形ブロック共重合体のスチレン含量が40%であることを除いては、前記実施例1と同様の方法でアクリルフォームテープを製造した。
【0067】
<比較例>
【0068】
比較例は前記実施例1でゴム系接着剤層を製造するにおいて、紫外線硬化(UV)を用いて重合開始剤を添加して硬化したことを除いては、同様に行った。
【0069】
<実験例1>ゲル含量の測定
【0070】
前記実施例1および比較例のゴム系接着剤層を60mm×60mmに切った後、重さを量り、PETボトルにトルエン溶剤を50ml入れた後、二日間常温で保管した。二日間full swelingされた粘着剤を、準備した130mm×130mmの200メッシュに濾した後、110℃のオーブンで4時間乾燥させた。最初の粘着剤の重さと後の粘着剤の重さの差を計算して最終ゲル含量を測定した。
【0071】
【表1】
【0072】
その結果、前記[表1]に示したように、EB照射量およびUV照射量が増加するほどゲル含量が大きくなることが分かった。さらに、前記電子ビーム硬化性ゴム系接着剤層を含む実施例1は、ゲル含量が40%以上であるのに対し、紫外線硬化性ゴム系接着剤層を含む比較例はゲル含量が40%以下であることが確認できた。
【0073】
<実験例2>180°剥離強度(N/m)の測定
【0074】
50mm幅および120mm長さのABS板と塗装板をイソプロピル溶液で洗浄して乾燥した。0.02mm厚および30mm幅のPETフィルムを、前記実施例1または比較例のゴム系接着剤層のいずれかの片面に表紙を形成するようにラミネーションした。製造された前記試片を、ABS板、塗装板にそれぞれ2Kgローラーで各方向に5回ずつローリングし、常温で約30分間放置した。その後、各試料を常温で300mm/分の速度で180°剥離強度を測定し、5個のサンプルの平均値を記録した。
【0075】
【表2】
【0076】
その結果、UV照射量およびEB照射量によって剥離強度が異なることが分かった。実施例1の場合、ゲル含量が一番少ない300kGyで最も高い粘着力を得、ABS板と塗装板を剥離するにおいて、アクリルフォームが破壊された。さらに、測定された剥離強度は、ゴム系粘着剤の粘着力ではないアクリルフォームだけのフォーム破壊力だが、アクリルフォームの破壊が起こらず前記板と接着剤層の分離が起こった場合は、より高い剥離強度を期待することができる。
【0077】
一方、比較例の場合、ゲル含量が一番少ない2100mJ/cmで最も高い粘着力を得た。これはゲル含量と初期粘着力と剥離強度という相関関係に置かれたためである。しかし、通常、ゲル含量が高いほど粘着高分子間の硬化が十分に起こって耐久性が高くなるが、相対的に硬くなるため、剥離強度が小さくなる。逆に、ゲル含量が低くなると硬化度が小さいため相対的に粘着高分子の剥離強度は上がるが、耐久性が低下し高温維持のような実験で低い高温維持力を見せる。
【0078】
そのため、実施例1の電子ビーム硬化されたゴム系接着剤層とABS板、または塗装板剥離時にアクリルフォームが破壊されることとは異なり、比較例の場合、前記板と接着剤層が分離されたため、これによって比較例のゴム系接着剤層の剥離強度が高くても、電子ビームを照射して硬化する段階を含むゴム系接着剤層の剥離強度がより優れることが分かった。
【0079】
<実験例3>90℃高温維持力の測定
【0080】
25mm幅および60mm長さの塗装板と塗装板をイソプロピル溶液で洗浄して乾燥した。前記実施例1または比較例のゴム系接着剤層の両面に、準備した塗装板をラミネーションする。製造された試片を5Kgローラーで5回ずつローリングする。製造された前記試片を常温で約30分間放置した。その後、各試料を90℃の高温で500gの錘を下げて粘着層と塗装板の分離される時間によって維持力を測定し、3個のサンプルの平均値を記録した。
【0081】
【表3】
【0082】
その結果、UV照射量またはEB照射量によって90°高温維持力が異なることが分かった。実施例1の場合、ゲル含量が一番少ない300kGyで最も高い90°高温維持力を得た。
【0083】
一方、比較例の場合、ゲル含量が一番多い6200mJ/cmで最も高い高温維持力を得はしたが、電子ビーム硬化されたゴム系接着剤層を含む実施例1に比べて高温維持力が全般的に低下することを確認できた。これによって、同じ組成のゴム系粘着層であっても、硬化する方法によって、つまり、電子ビームを照射して硬化する段階を含むゴム系接着剤層の高温維持力がより優れることが分かった。
【0084】
<実験例4>ゴム系接着剤層の180°剥離強度(N/m)の測定
【0085】
50mm幅および120mm長さのABS板をイソプロピル溶液で洗浄し乾燥した。0.02mm厚および30mm幅のPETフィルムを前記実施例1ないし実施例4のゴム系接着剤層のいずれか片面に表紙を形成するようにラミネーションした。このとき、前記ゴム系接着剤層は300kGyのEB照射によって硬化された。製造された前記試片をABS板にそれぞれ2Kgローラーで各方向に5回ずつローリングし、常温で約30分間放置した。その後、各試料を常温で300mm/分の速度で180°剥離強度を測定し、5個のサンプルの平均値を記録した。
【0086】
【表4】
【0087】
前記実施例1ないし4のゴム系接着剤層が含むSISブロック共重合体のスチレン含量が10重量%ないし40重量%のため、前記スチレン含量によって一定水準以上の剥離強度を維持していることを確認できた。SISブロック共重合体が含むスチレン含量は、高分子鎖で相対的に硬い性質を帯びているもので、ゴム系接着剤層の柔らかさ(Softness)を調節でき、スチレン含量が前記の範囲から外れる場合はゴム系接着剤層自体の弾性はあるが、基材に付着する際に濡れ性(Wetting)が不足し得る。
【0088】
具体的に、SISブロック共重合体のスチレン含量が20重量%、30重量%である前記実施例2ないし3は、剥離強度が約3700N/mと測定され、優れた剥離強度を維持することができた。また、SISブロック共重合体のスチレン含量が10重量%、40重量%である実施例1および実施例4は、剥離強度が約3200N/mであって実施例2および実施例3に比べて多少接着力が劣ることを確認できた。
図1