(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】一般的な無線通信ネットワークの構成要素を示す。
【
図1B】モバイル無線機器、及び複数の無線ネットワークに関する幾つかの重なり合う無線セクタ(セル)を示す。
【
図2】UMTS無線通信ネットワークの構成要素を示す。
【
図3】CDMA2000 1x無線通信ネットワークの構成要素を示す。
【
図4】LTE無線通信ネットワークの構成要素を示す。
【
図5】モバイル無線通信機器に関する幾つかの代表的なアーキテクチャを示す。
【
図6】UMTS無線ネットワーク及びGSM無線ネットワークに関する、モバイル無線通信機器に関する状態遷移図を示す。
【
図7】UMTS無線ネットワーク、LTE無線ネットワーク、及びGSM無線ネットワークに関する、モバイル無線通信機器に関する状態遷移図を示す。
【
図8】LTE無線ネットワーク及びCDMA2000 1x無線ネットワークに関する、モバイル無線通信機器に関する状態遷移図を示す。
【
図9】無線ネットワークの、異なる重なり合う無線セクタとの通信を試みる、2つのモバイル無線機器を示す。
【
図10】無線ネットワークの、異なる重なり合う無線セクタとの通信を試みる、2つのモバイル無線機器を示す。
【
図11】不成功の拒否された接続リクエストを伴う、モバイル無線機器と無線ネットワークの無線アクセスサブシステムとの間の、メッセージのシーケンスを示す。
【
図12】不成功の非応答接続リクエストを伴う、モバイル無線機器と無線ネットワークの無線アクセスサブシステムとの間の、メッセージのシーケンスを示す。
【
図13】モバイル無線機器と、2つの異なる無線ネットワークからの2つの異なる無線アクセスサブシステムとの間の、メッセージのシーケンスを示す。
【
図14】無線セクタ(セル)のセットに関する代表的なデータベースアレイ、及び遅延に関する代表的なデータベースアレイを示す。
【
図15】モバイル無線機器と無線ネットワーク内の1つ以上の拒否無線セクタ(セル)との間のシグナリングメッセージングを管理する代表的な方法を示す。
【
図16】モバイル無線機器と無線ネットワーク内の1つ以上の非応答無線セクタ(セル)との間のシグナリングメッセージングを管理する代表的な方法を示す。
【
図17】モバイル無線機器と無線ネットワーク内の1つ以上の拒否無線セクタ(セル)との間のシグナリングメッセージングを管理する別の代表的な方法を示す。
【
図18】モバイル無線機器と無線ネットワークとの間に接続を確立するか否かを判定する工程のセットを示す。
【
図19】モバイル無線機器と無線ネットワーク内の1つ以上の非応答無線セクタとの間のシグナリングメッセージングを管理する別の代表的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、説明される実施形態の根底をなす概念の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、説明される実施形態は、これらの具体的な詳細のうちのいくつか又は全てを使用せずとも実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の場合では、根底をなす概念を不必要に不明瞭化することを回避するために、周知のプロセス工程は、詳細に説明されていない。
【0012】
無線通信規格のそれぞれは、モバイル無線機器のユーザに、サービスのセットを提供し、より最近の世代の規格は、典型的には、より高速のアップリンク伝送速度及びダウンリンク伝送速度をサポートできる。モバイル無線機器は、古い世代の規格よりも、新しい世代の規格をサポートする無線ネットワークの無線セクタに、例えば、GSMよりもUMTSに、UMTSよりもLTEに、優先的に接続するように構成できる。
【0013】
以下に記載される実施例及び実施形態は、モバイル無線機器と無線ネットワークとの間のネットワークシグナリングを管理するための、様々な方法並びに装置を説明し、具体的には、輻輳したネットワーク条件又は低信号品質のネットワーク条件の間の電力消費を最小限に抑えるための、モバイル無線機器内のネットワークシグナリング管理を説明する。これらの方法及び装置の実装は、様々な無線ネットワーク内で使用されるモバイル無線機器に適用できる点を理解されたい。例えば、それらの同じ技術を、GSMネットワーク、UMTSネットワーク、LTEネットワーク、CDMA2000 1xネットワークに、又はモバイル無線機器によってサポートできるこれらのネットワークの任意の組み合わせに、適用できる。全般的に、本明細書で説明される教示は、無線アクセス技術に基づいてセルラー無線ネットワーク内で動作する、モバイル無線機器に適用できる。
【0014】
無線通信ネットワークの展開は、無線通信ネットワーク技術が進歩して、新たな無線通信プロトコル又は更新された無線通信プロトコルが標準化されると共に、進化し続けている。回線交換ネットワークは、音声サービスを提供し続けている一方で、パケット交換ネットワークは、データ指向サービスから、ビデオ及びパケット音声を含めた多様なサービスを含むまでに拡大している。モバイル無線機器もまた、マルチメディアインターネット接続性を使用して音声接続を補完するように、機能性を増大させ続けている。典型的な「スマートフォン」は、短距離無線、例えばブルートゥース、中距離無線、例えばWiFi、並びに長距離無線、例えばGSM、UMTS、CDMA2000、及びLTEを含めた、幾つかの異なるタイプの無線ネットワークを介して通信できる、無線回線を含み得る。モバイル無線機器は、特定のフォームファクタ、製造コストポイント、及び電力消費要件に沿って設計することができ、この電力消費要件は、利用可能な総バッテリ寿命を制限し得る、利用可能な集積回路のレベルに基づく。モバイル無線機器のユーザは、より最近の世代の無線プロトコルによって提供される向上した機能性(例えば、より高速のデータ転送速度)を選択すると共に、モバイル無線機器にバッテリ寿命の最大化(すなわち、電力消費の最小化)を同時に要求する場合がある。頻繁に繰り返される送信、例えば、接続を開始するためのシグナリングリクエストを生じさせる恐れがあるネットワーク条件を、モバイル無線機器によって認識して、所定の時間間隔内の送信の必要数を最小限に抑えるように、モバイル無線機器内の挙動を適応させることにより、電力消費を低減させ、それによりモバイル無線機器のバッテリ寿命を延長できる。
【0015】
モバイル機器が、登録プロセスの間に無線ネットワークと関連付けする場合、並びに、モバイル無線が、無線ネットワークを使用して位置更新を実行することを試みる場合、急速なバッテリ消耗が生じる恐れがある。モバイル無線機器を関連付けすることができる無線ネットワーク内の無線セクタは、モバイル無線機器と無線ネットワークとの間にシグナリング接続を確立するための要求などの、モバイル無線機器からのシグナリングメッセージに対して、否定的に応答するか、又は応答しない場合がある。モバイル無線機器が、登録及び/又は位置更新情報を無線ネットワークに通信するためには、シグナリング接続が必要であり得る。無線ネットワークから否定応答を受信するとき、その否定応答に付随する待ち時間の有無に関わらず、同じ無線セクタを使用し続けるように、モバイル無線機器をリダイレクトすることができる。モバイル無線機器は、引き続き、その無線ネットワークの同じ否定応答に(又は非応答無線セクタに)シグナリングメッセージを再送信することによって、シグナリング接続を確立するように再試行できる。シグナリングメッセージを送信し、否定応答を受信するか又は応答が受信されない、このサイクルは、比較的短い時間間隔で多くの回数繰り返される可能性があり、モバイル無線機器内の不必要なバッテリ消耗をもたらす恐れがある。
【0016】
モバイル無線機器は、無線ネットワークからの否定応答又は応答の欠如の理由がわからない場合がある。輻輳したネットワーク条件下では、無線ネットワークは、シグナリング接続に関するリクエストを承諾することが不可能となる場合があり、劣悪な無線周波数信号条件下では、無線ネットワークとの間のシグナリングメッセージは、送信中に喪失されるか又は破損される場合がある。しかしながら、モバイル無線機器は、関連付け及び接続するための無線セクタの中では、現在の無線セクタが最も高い優先度を有し得るため、例えば、接続を確立することを要求するために、シグナリングメッセージを送信し続けることができる。モバイル無線機器が、2G無線ネットワーク内の無線セクタなどの、より古い世代の無線通信プロトコルを使用する無線セクタに「引き下がる」ことができるときであっても、3G無線ネットワークは、2G無線ネットワークよりも好ましいものであり得るため、モバイル無線機器は、3G無線ネットワーク内の無線セクタに向けて再選択して、その3G無線セクタとシグナリングメッセージを交換するように再試行できる。不利なネットワーク条件下では、異なる無線ネットワークの優先順位付けにより、1つ以上の無線ネットワークの複数の無線セクタ間で、モバイル無線機器が「跳ね返される」ことにより、望ましくないバッテリ消耗がもたらされる恐れがある。
【0017】
ネットワーク条件を認識するために、モバイル無線機器は、そのモバイル無線機器が現在関連付けされている無線セクタ、及び以前関連付けされていた無線セクタに関する、接続性挙動についての情報を収容する、1つ以上のデータベースを維持できる。具体的には、モバイル無線機器は、送信された1つ以上のシグナリングメッセージが否定応答を返した無線セクタ、及び/又は応答が受信されなかった無線セクタの、データベースを維持できる。データベース内の各無線セクタに関しては、モバイル無線機器は、一意識別子、1つ以上の信号品質指標、及び連続的なシグナリングメッセージのエラー数を指示し得るエラーカウントなどの、無線セクタについての情報を含み得る。更には、モバイル無線機器は、そのエラーカウント値を時間遅延値に関連付ける、データベースを維持できる。それらの1つ以上のデータベースに、否定応答無線セクタ及び非応答無線セクタを追加することができ、肯定応答無線セクタは、それらの1つ以上のデータベースから削除できる。一実施形態では、否定応答無線セクタのデータベースは、非応答無線セクタのデータベースとは別個のものであり得る。別の実施形態では、否定応答無線セクタ及び非応答無線セクタの双方が、同じデータベース内にあり得る。一実施形態では、信号品質指標の各タイプは、関連する信号品質閾値を有し得る。
【0018】
モバイル無線機器は、特定の無線セクタに連続的に送信されるシグナリングメッセージの間の時間が、その特定の無線セクタの、観測及び/又は測定された1つ以上の特性に応じ得ることを確実にするように、構成できる。否定応答無線セクタ又は非応答無線セクタに関しては、モバイル無線機器は、連続的失敗の数が増大するにつれて、送信メッセージの間隔を更に離すことにより、所定の時間間隔内での送信の数を低減して、バッテリ電力を節約できる。モバイル無線機器はまた、特定の無線セクタに関する現在の無線周波数信号条件を、例えば、そのモバイル無線機器で測定される無線周波数信号品質を受信して、過去の測定値と比較することにより、その特定の無線セクタ内での、そのモバイル無線機器に関する無線周波数条件の変化が、発生するか否か、及びその変化がいつ発生するかを、判定することもできる。非応答無線セクタに関する無線周波数信号条件が改善されるとき、以前に喪失又は破損したシグナリングメッセージは、その改善された無線周波数信号条件下では、その無線セクタによって(及びモバイル無線機器によって)より成功裏に受信することが可能となり得るため、モバイル無線機器は、非応答無線セクタへの送信の頻度を増大させることができる。非応答無線セクタへの送信を制限することによって、モバイル無線機器のバッテリ寿命を改善できる。
【0019】
これらの実施形態及び他の実施形態が、
図1〜19を参照して以下で論じられる。しかしながら、これらの図に関して本明細書に記載される「発明を実施するための形態」は、説明を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈するべきではないことが、当業者には容易に理解されるであろう。
【0020】
図1Aは、無線アクセスネットワーク128によって提供される無線セクタ104に、無線リンク126によって接続される、複数のモバイル無線機器102を含み得る、代表的な一般的無線通信ネットワーク100を示す。各無線セクタ104は、選択された周波数の無線周波数搬送波を使用して、関連する無線ノード108から発出される、無線有効範囲の地理的エリアを表すことができる。無線セクタ104は、中心に設置された無線ノード108から、ほぼ円形若しくは六角形状に外向きに放射するか、又は偶角部に設置された無線ノード108から、指向性アンテナに関して円錐形状に外向きに放射するなどの、アンテナ構成に応じる異なる幾何学的形状を有し得る。無線セクタ104は、モバイル無線機器102が、2つ以上の無線セクタ104から同時に信号を受信できるように、地理的エリア有効範囲内で重なり合うことができる。各無線ノード108は、1つ以上の無線リンク126によってモバイル無線機器102が接続できる、1つ以上の無線セクタ104を生成できる。
【0021】
いくつかの無線ネットワーク100では、モバイル無線機器102は、2つ以上の無線セクタ104に同時に接続できる。モバイル無線機器102が接続される複数の無線セクタ104は、単一の無線ノード108経由か、又は、共通の無線コントローラ110を共有可能な別個の無線ノード108経由であり得る。関連する無線コントローラ110と併せた無線ノード108のグループは、無線アクセスサブシステム106と称される。典型的には、無線アクセスサブシステム106内の各無線ノード108は、アンテナ塔上に取り付けられた、無線周波数の送信装置及び受信装置のセットを含み得るものであり、無線ノード108に接続された無線コントローラ110は、送信及び受信される無線周波数信号を制御し、かつ処理するための、電子機器を含み得る。無線コントローラ110は、無線アクセスネットワーク128にモバイル無線機器102を接続する無線リンク126の、確立、維持、及び解放を管理できる。
【0022】
モバイル無線機器102に無線周波数のエアリンク接続を提供する、無線アクセスネットワーク128はまた、通常は音声トラヒックのために使用される回線交換ドメイン122と、通常はデータトラヒックのために使用されるパケット交換ドメイン124とを含み得る、コアネットワーク112にも接続する。無線アクセスネットワーク128の無線アクセスサブシステム106内の無線コントローラ110は、コアネットワーク112の、回線交換ドメイン122内の回線交換センター118、及びパケット交換ドメイン内のパケット交換ノード120の双方に、接続できる。回線交換センター118は、音声通話などの回線交換トラヒックを、公衆交換電話網(PSTN)114に経路指定することができる。パケット交換ノード120は、「コネクションレス」データパケットセットなどの、パケット交換トラヒックを、公衆データ網(PDN)116に経路指定することができる。
【0023】
図1Bは、2つ以上の無線周波数アクセス技術を使用できる無線ネットワーク130に関する、重なり合う無線セクタのセットを示す。(いくつかの無線技術では、無線セクタという用語は、地理的有効範囲のエリアを指示するための、セルという用語によって置き換えることができる。一般性を失うことなく、本出願では、一般的用語「無線セクタ」が使用される。)モバイル無線機器102は、サービス中の無線アクセスサブシステム134によって生成されるサービス中の無線セクタ132と関連付けできる。近隣無線ネットワークサブシステム138のための近隣無線セクタ140は、現在サービス中の無線アクセスサブシステム134よりも遠距離であっても、このモバイル無線機器の範囲内にあり得る。インターRAT無線アクセスサブシステム142によって生成される、「インターRAT(無線アクセス技術)」近隣無線セクタ144もまた、サービス中の無線セクタ132及び近隣無線セクタ140と重なり合うことができる。モバイル無線機器102は、無線セクタ132/140/144のそれぞれから受信される無線周波数信号を周期的に測定することができ、それらの測定された受信無線周波数信号及び1つ以上の無線セクタ選択基準に基づいて、現在のサービス中の無線セクタ132から、近隣無線セクタ140又はインターRAT近隣無線セクタのいずれかに、関連付けを変更するように選択できる。モバイル無線機器102は、より低い測定無線周波数信号品質を有する「より弱い」無線セクタよりも、より高い測定無線周波数信号品質を有する「より強い」無線セクタとの関連付けを選択するように、構成できる。モバイル無線機器102は、現在測定された無線周波数信号品質の値が、記憶された測定無線周波数信号品質の値を、信号品質閾値で超過するときに、「より弱い」無線セクタから「より強い」無線セクタに切り換えることを試みるように、構成できる。モバイル無線機器102はまた、より古い世代の無線通信プロトコル(例えば、GSMネットワーク)を使用する無線セクタよりも、より新しい世代の無線通信プロトコル(例えば、LTEネットワーク)を使用する無線セクタとの関連付けを選択するようにも、構成できる。
【0024】
許容可能なネットワーク条件、例えば、十分な無線周波数リソース、及び良好な無線周波数信号品質の下では、モバイル無線機器102は、異なる無線セクタ間で、途切れなく関連付けを移行させることができる。不利なネットワーク条件下では、モバイル無線機器は、好ましい無線セクタから、1つ以上のシグナリングメッセージに対する肯定応答を受信することが、不可能となる場合がある。例えば、モバイル無線機器102は、最初にサービス中の無線セクタ132と関連付けできるが、近隣無線セクタ140からの受信信号品質が、サービス中の無線セクタ140からの受信信号品質よりも、少なくとも信号品質閾値の差で高くなり得るため、近隣無線セクタ140と関連付けすることを選択する場合がある。しかしながら、近隣無線ネットワークサブシステム138は、ネットワーク輻輳などの、不特定の不利なネットワーク条件により、モバイル無線機器102からのシグナリングメッセージに、否定応答する場合がある。近隣無線ネットワークサブシステム138から受信される否定応答にも関わらず、モバイル無線機器102は、近隣無線セクタがサービス中の無線セクタ132よりも「高い優先度」を有し得るため、近隣無線セクタ140にシグナリングメッセージを送信することを継続する場合がある。シグナリングメッセージを送信し、否定応答を受信することが繰り返されることにより、限られたバッテリリソースが消耗する恐れがある。同様に、モバイル無線機器が、インターRAT無線セクタ144と関連付けすることを試みるとき(例えば、インターRAT近隣無線セクタが、好ましいネットワーク能力のセットを提供するとき)、モバイル無線機器102は、インターRAT近隣無線セクタ144から複数の否定応答を受信するか、又は応答が受信されないときであっても、インターRAT近隣無線セクタ144への再選択することを、繰り返し試みる恐れがある。以下で更に論じられるように、モバイル無線機器102は、不利なネットワーク条件を認識して、そのネットワーク条件が改善するまでシグナリングメッセージの送信を抑制することによって、そのバッテリ寿命を向上させることができる。
【0025】
図2は、コアネットワーク(CN)236に接続できるUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)242と通信できる、1つ以上のユーザ機器(UE)202を含み得る、代表的なUMTS無線通信ネットワーク200を示す。コアネットワーク236は、公衆交換電話網(PSTN)232にUE 202を接続できる回線交換ドメイン238、及びパケットデータネットワーク(PDN)234にUE 202を接続できるパケット交換ドメイン240を含み得る。UTRAN 242は、無線ネットワークコントローラ(RNC)208/212及び、対応するRNCによって管理される1つ以上のノードB(基地局)206/210/216をそれぞれが含み得る、1つ以上の無線ネットワークサブシステム(RNS)204/214を含み得る。UTRAN 242内部のRNC 208/212は、相互接続されることにより、制御情報を交換して、UE 202から受信されるパケット及びUE 202行きのパケットを管理できる。各RNC 208/212は、無線ネットワーク200にUE 202を接続させる、セル244に関する無線リソースの割り当て及び管理を処理することができ、コアネットワーク236に対する、UE 202のためのアクセスポイントとして動作することができる。(UMTSネットワーク200内のセル244は、一般的無線通信ネットワーク100内の無線セクタ104と等価であると見なすことができる。)ノードB 206/210/216は、アップリンクを通じてUE 202の物理層によって送信される情報を受信し、ダウンリンクを通じてUE 202にデータを送信することができ、UE 202のための、UTRAN 242のアクセスポイントとして動作することができる。UE 202と無線ネットワーク200内のRNS 204/214との間で交換されるシグナリングメッセージは、1つ以上のセル244を通じて、無線リンク220を使用して伝送することができる。無線リンク220のセットアップ及び切断は、RNS 204内のRNC 212の制御下に置くことができ、UE 202は、登録、位置更新、又は他の維持プロセスの間に、シグナリングメッセージを伝送するように、1つ以上の無線リンク220に要求できる。
【0026】
UTRAN 242は、UE 202とコアネットワーク236との間の通信のための無線アクセスベアラ(RAB)を、構築及び維持できる。特定のUE 202に提供されるサービスは、回線交換(CS)サービス及びパケット交換(PS)サービスを含み得る。例えば、一般的な音声会話は、回線交換サービスを通じて伝送することができ、その一方で、ウェブ閲覧アプリケーションは、パケット交換(PS)サービスとして分類できるインターネット接続を通じて、ワールドワイドウェブ(WWW)へのアクセスを提供できる。回線交換サービスをサポートするために、RNC 208/212は、コアネットワーク236の移動体通信交換局(MSC)228に接続することができ、MSC 228は、PSTN 232などの他のネットワークへの接続を管理できる、ゲートウェイ移動体通信交換局(GMSC)230に接続できる。パケット交換サービスをサポートするために、RNC 208/212はまた、コアネットワーク236のゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)226に接続可能な、サービス中の汎用パケット無線サービス(GPRS)サポートノード(SGSN)224にも接続できる。SGSN 224は、RNC 208/212とのパケット通信をサポートすることができ、GGSN 226は、PDN 234などの他のパケット交換ネットワークとの接続を管理できる。代表的なPDN 234は、「インターネット」であり得る。
【0027】
図3は、一般的無線ネットワーク100及びUMTS無線ネットワーク200に関して前述された要素と同等の要素を含み得る、代表的なCDMA2000無線ネットワーク300を示す。複数の移動局302は、無線周波数リンク326を通じて、1つ以上の無線セクタ304に接続できる。各無線セクタ304は、基地局コントローラ(BSC)310に接続して基地局サブシステム(BSS)306を共に形成することができる、無線基地局装置(BTS)308から、外向きに放射することができる。複数の基地局サブシステム306を統合して、無線アクセスネットワーク328を形成することができる。異なる基地局サブシステム306内の基地局コントローラ310は、相互接続することができる。基地局コントローラ310は、無線ネットワーク300に関するコアネットワーク312を共に形成することができる、複数の移動体通信交換局(MSC)318を使用する回線交換ドメイン322、及びパケットデータサービスノード(PDSN)320で形成されるパケット交換ドメイン324の双方に、接続できる。上述の他の無線ネットワーク100/200と同様に、コアネットワーク312の回線交換ドメイン322は、PSTN 114に相互接続することができ、その一方で、コアネットワーク312のパケット交換ドメイン324は、PDN 116と相互接続できる。一般的無線ネットワーク100及びUMTS無線ネットワーク200に関して上述したように、シグナリングメッセージは、1つ以上の無線セクタ304を通じて、無線リンク326を介して、移動局302と無線ネットワーク300内のBSS 306との間で交換できる。無線リンク326の確立及び解放は、BSS 306内のBSC 310の制御下に置くことができ、移動局302は、登録、位置更新、又は他の維持プロセスの間に、シグナリングメッセージを伝送するように、1つ以上の無線リンク326に要求できる。
【0028】
図4は、パケット交換ネットワークとして専用に設計された、代表的なロングタームエボリューション(LTE)無線ネットワーク400のアーキテクチャを示す。モバイル端末402は、進化型ノードB(eノードB)410から発出する無線セクタ404と関連付けされた、無線リンク426を通じて、進化型無線アクセスネットワーク422に接続できる。eノードB 410は、送信及び受信基地局の双方(一般的無線通信ネットワーク100内の無線ノード108、UMTSネットワーク200内のノードB 206、及びCDMA2000ネットワーク300内のBTS 308など)、並びに基地局無線コントローラ(一般的無線ネットワーク内の無線コントローラ110、UMTSネットワーク200内のRNC 212、及びCDMA2000ネットワーク300内のBSC 310など)の機能を含む。LTE無線ネットワーク400と同等なコアネットワークは、外部のインターネットプロトコル(IP)ネットワーク418に接続する公衆データ網(PDN)ゲートウェイ416に、進化型無線アクセスネットワーク422を相互接続する、サービス中のゲートウェイ412を含む、進化型パケットコアネットワーク420である。複数のeノードB 410は、一体にグループ化して、進化型UTRAN(eUTRAN)406を形成できる。eノードB 410はまた、モバイル端末402に関する接続に対する制御を提供できる、移動管理エンティティ(MME)414にも接続できる。シグナリングメッセージは、1つ以上の無線セクタ404を通じて、無線リンク426を介して、モバイル端末402と無線ネットワーク400内のeUTRAN 406との間で交換できる。eノードB 410は、無線リンク426の確立及び解放を制御できる。移動局302は、登録、位置更新、又は他の維持プロセスの間に、シグナリングメッセージを伝送するように、1つ以上の無線リンク426に要求できる。
【0029】
図5は、モバイル無線機器500の選択要素を示す。モバイル無線機器500は、1つ以上の無線通信プロトコルに従って信号を処理できる、送受信機504を含み得る。いくつかの実施形態では、モバイル無線機器500は、複数の送受信機(図示せず)を含み得る。送受信機504は、様々な常駐アプリケーションサービスに関する接続の確立及び解放を要求することなどの、上位層の機能を提供できる、アプリケーションプロセッサ(AP)502に接続できる。送受信機504は、アプリケーションプロセッサ502によって指示される上位層のサービスに関するデータの伝送をサポートできる、下位層の機能を提供できる。いくつかの実施形態では、AP 502及び送受信機504は、同じ集積回路の一部であり得て、他の実施形態では、AP 502及び送受信機504は、別個の機器であり得る。いくつかの実施形態では、AP 502と送受信機504との間での、上位層の機能及び下位層の機能の区分は、柔軟なものであり得る。いくつかの実施形態では、下位層の機能の少なくともいくつか、及び/又は下位層の機能の管理を、AP 502によって実行させ、送受信機504は、最下層(例えば、物理層)の機能専用にすることができる。送受信機502は、1つ以上の無線通信プロトコルに従って信号を送信及び受信できる、1つ以上のアンテナ506に接続できる。特定の無線通信プロトコルに関する複数のアンテナの使用により、単一のアンテナ構成と比較して、改善された性能(例えば、より高いデータレート、又はより良好な耐干渉性)を提供できる。
【0030】
図6は、UMTS及びGSM/GPRSの双方の無線通信プロトコルをサポートする無線ネットワーク内での、UE 202に関するプロトコルスタックの無線リソース制御(RRC)部分に関する幾つかの状態を有する、状態遷移
図600を示す。UE 202は、未接続のアイドル状態624、UTRA RRC接続状態610、又はGSM/GPRS接続状態616であり得る。アイドル状態624では、UE 202は、無線ネットワークとのシグナリング接続を確立することを要求できる。UE 202は、ネットワークに登録するか、又は位置更新を提供するときなどの、無線ネットワークとの通信のために、シグナリング接続を使用できる。一実施形態では、シグナリング接続は、RRC接続と称される。UE 202はまた、データがUE 202とUTRAN 242との間で交換するために利用可能であるときにはいつでも、無線ネットワークとの通信のための無線リソース(例えば、無線アクセスベアラ)を割り当てるために、RRC接続を確立するように要求することもできる。UE 202上のアプリケーションが、データを送信するか又はネットワークからデータを検索するための接続を必要とするとき、モバイル音声接続を開始するとき、及び外部データネットワークから利用可能なデータを指示する、UTRAN 242又はSGSN 224からの呼び出しチャネル上の呼び出しを受信した後に、UE 202に関する接続を終了するときに、RRC接続の確立が起こり得る。UE 202が、無線接続を確立するためにUTRAN 242にリクエストを送信した後、UTRAN 242は、RRC接続に関する状態を選択できる。UTRA RRC接続状態は、CELL_DCH状態606、CELL_FACH状態608、CELL_PCH状態604、及びURA_PCH状態602の、4つの別個の状態を含み得る。
【0031】
アイドル状態624内部のUTRAN「アイドル」状態612から、UE 202は、CELL_FACH状態608に遷移することができ、この状態で、初期データ転送を実施することができ、その後に、無線ネットワークは、継続するデータ転送のためにどのRRC接続状態を使用するかを、決定できる。無線ネットワークは、UE 202を、セル専用チャネル(CELL_DCH)状態606に移動させるか、又はセルフォワードアクセスチャネル(CELL_FACH)状態608内に維持できる。CELL_DCH状態606では、データを交換するために、アップリンク及びダウンリンクの双方のための専用チャネルを、UE 202に割り当てることができる。あるいは、CELL_DCH状態にUE 202を置くのではなく、UTRAN 242は、CELL_FACH状態608に、UE 202を維持できる。CELL_FACH状態608では、UE 202に専用チャネルを割り当てることができない。その代わりに、共通チャネルを使用することにより、比較的小さなデータバーストで、シグナリングを送信できる。
【0032】
UE 202は、インター無線アクセス技術(RAT)再選択622として既知のプロセスを通じて、UTRAN「アイドル」状態612とGSM/GPRS「アイドル」状態614との間で遷移できる。再選択622による、UTRANアイドル612からGSM/GPRSアイドル614への遷移は、無線ネットワークが、UMTS(3G)接続をサポートすることが不可能となる恐れがあり、かつGSM/GPRS(2G)接続がバックアップとしての役割を果たすことができるときに、実施できる。UE 202はまた、インターRATハンドオーバー618と称されるプロセスを通じて、UTRA「RRC接続」状態610とGSM/GPRS「接続」状態616との間でも遷移できる。特定の無線通信プロトコルに関しては、1つの無線通信技術を使用する1つの無線ネットワークと、異なる無線技術を使用する第2のネットワークとの間のハンドオーバーは、アクティブな接続を維持しながら起こり得る。他の無線通信プロトコルに関しては、ハンドオーバーは、アイドル状態でのみ可能で、すなわち、ハンドオーバーの際には、アクティブな接続を維持することができず、それゆえ、接続を解放及び確立すること(遷移620)が必要となる場合がある。データ/音声接続の確立及び解放(遷移620)を達成するために、また異なる無線通信プロトコル間での切り替え、例えば、アイドル状態でのインターRAT再選択622、及び接続状態でのインターRATハンドオーバー618のために、UE 202とUTRAN 242内のRNS 204/214との間のシグナリング接続が要求される場合がある。
【0033】
図7は、LTEネットワーク400に関する状態を含むように
図6の状態遷移図を拡張する、状態遷移
図700を示す。アクティブなE−UTRAN接続状態704と、GSM/UMTSネットワークの接続状態との間の遷移は、インターRATハンドオーバー618を通じて達成できる。E−UTRAN接続状態704と、E−UTRANアイドル状態702との間の遷移は、接続620を確立及び解放することによって達成できる。E−UTRANアイドル状態702と、GSM/GPRS/UMTSネットワークのアイドル状態との間の遷移は、インターRAT再選択622のプロセスを使用できる。接続状態間の遷移及びアイドル状態間の遷移に加えて、モバイル無線機器はまた、インターRAT再選択622によって、UTRA RRC接続状態610又はGSM/GPRS接続状態616から、E−UTRANアイドル状態702に遷移することもできる。モバイル無線機器はまた、以前に
図6で示し、
図7で繰り返すように、インターRATハンドオーバーによって、UTRA RRC接続状態610とGSM/GPRS接続状態616との間でも遷移できる。モバイル無線機器はまた、以前に
図6で示し、
図7で繰り返すように、インターRATハンドオーバーによって、UTRA RRC接続状態610とGSM/GPRS接続状態616との間でも遷移できる。
【0034】
図8は、LTEネットワーク400及びCDMA2000 1xネットワーク300内の状態間の、状態遷移
図800を示す。CDMA2000 1xネットワーク300内のモバイル無線機器は、1xRTT/EV−DOアイドル状態802であり得て、接続622を確立及び解放することにより、/EV−DOアイドル状態802と1xRTT/EV−DO接続状態804との間で遷移できる。/EV−DOアイドル状態802とE−UTRANアイドル状態702との間の遷移は、インターRAT再選択622のプロセスを通じて達成することができ、その一方で、1xRTT/EV−DO接続状態804との間の遷移は、インターRATハンドオーバー618の手順を使用して実現できる。インターRATハンドオーバー618は、2つの異なる無線通信プロトコルを使用する2つのネットワーク間で遷移しながら、現在のアクティブな接続を維持することを、可能にできる。インターRAT再選択622は、無線ネットワーク300/400の一方と関連付けされているが、アクティブに接続されていない間に、2つの異なる無線アクセス技術間で選択するための、メカニズムを提供できる。
【0035】
図6、7、及び
図8に示す状態遷移図のいずれに関しても、モバイル無線機器102は、無線ネットワークに登録するため(すなわち、最初にアイドル状態に入るため)、位置を更新するため、接続を確立するため、異なる無線アクセス技術間で再選択するため、及び他の機能のために、シグナリング接続を要求できる。更には、同じ無線アクセス技術を使用する無線セクタ間で再選択する場合、モバイル無線機器102はまた、その2つの無線セクタが、別個の位置付けエリア、ルーティングエリア、及び/又はトラッキングエリア内に位置するとき、その同じ無線ネットワーク内の無線セクタ間の遷移を達成するために、シグナリング接続を要求することもできる。無線ネットワーク100に関するロケーションエリアは、複数の無線ノード108、及び1つ以上の無線コントローラ110を含み得る。各ロケーションエリアは、固有のロケーションエリア識別子(LAI)を有し得る。ロケーションエリア内部の無線セクタ104間で切り換えるとき、更新が要求されない場合があるが、しかしながら、異なるロケーションエリア内に位置する無線セクタ104間で切り換えるとき、無線ネットワーク100に対する、モバイル無線機器102からのロケーションエリア更新が要求され得る。ロケーションエリアの境界を横断することは、モバイル無線機器102の移動に応じ得るものであり、この移動は、異なるモバイル無線機器102によって、かつ異なる時間によって、実質的に異なり得る。位置の変化によって引き起こされるロケーションエリア更新は、「ランダム」ロケーションエリア更新と称される。モバイル無線機器102はまた、設定された時間間隔の後、周期的に、その位置を無線ネットワーク100に更新することもでき、これらの更新は、「周期的」ロケーションエリア更新と称される。
【0036】
いくつかの無線ネットワークは、地理的有効範囲内に、「ロケーションエリア」とは異なり得る「ルーティングエリア」を含む場合があり、このルーティングエリアは、パケット交換データトラヒックのために使用され、ロケーションエリアは、回線交換音声トラヒックのために使用される。典型的には、ルーティングエリアは、ロケーションエリアよりも小さく、1つのロケーションエリアにつき複数のルーティングエリアを有する。モバイル無線機器102は、ロケーションエリア更新と同様の方式で、ルーティングエリア更新を実行できる。いくつかの無線ネットワークは、トラッキングエリア更新として、より一般的にこれらのロケーション更新と称し、本明細書の説明は、ロケーションエリア更新、ルーティングエリア更新、及び/又はトラッキングエリア更新を等しく称し得る。
【0037】
図9は、モバイル無線機器102が、3つの重なり合う無線セクタ104 A、B、及びCのセット内の、1つ以上の無線アクセスサブシステム106との通信を確立することを試みる、シナリオ900を示す。第1のモバイル無線機器102 Aは、3つの無線セクタ104 A、B、及びCの全てによってカバーされる領域内に位置し得るが、第2のモバイル無線機器102 Bは、1つの無線セクタ104 Cのみの範囲内に存在し得る。第1のモバイル無線機器102 Aは、最初は、いずれの無線セクタ104とも関連付けすることができず、1つ以上の無線セクタ104に登録するために、シグナリング接続を確立するための1つ以上のリクエスト(REQ)などの、1つ以上のシグナリングメッセージを送信できる。返信として、図示のような各無線アクセスサブシステム106は、モバイル無線機器102 Aに、シグナリング接続を確立するリクエストを拒否(REJ)するシグナリングメッセージを送信する場合がある。拒否は、1つ以上のネットワーク条件、例えば、ネットワーク輻輳、利用可能な無線リソースの優先順位付け、及びリクエストを受信する無線アクセスサブシステム106での干渉レベルに基づいて起こり得る。モバイル無線機器は、連続サイクルで、無線ネットワークにリクエストを送信し続ける場合があり、拒否を受信する場合があるが、このことによりバッテリ電力が急速に消耗する恐れがある。
【0038】
登録が成功した後であっても、アイドル状態にある間は、モバイル無線機器102は、急速なサイクルで、シグナリング接続のための一連のリクエストを送信し、拒否を受信する場合があるが、このことにより、モバイル無線機器102内に蓄積された、限られた利用可能エネルギーが消費される恐れがある。モバイル無線機器102 Aは、無線セクタのうちの1つ、例えば、無線アクセスサブシステム106から発出する無線セクタ104 Aと関連付けすることができ、別の無線セクタ104、例えば、無線セクタ104 B又は無線セクタ104 Cに再選択するために、シグナリング接続を要求できる。モバイル無線機器102 Aは、幾つかの無線セクタ104のうちの1つ、例えば、モバイル無線機器102 Aによって測定された最も強い信号品質を有する無線セクタ104を通じて、無線ネットワークに関連付け及び/又は接続することを、選択できる。モバイル無線機器102 Aは、繰り返されるリクエストに対して複数の拒否を受信するときであっても、現在の無線セクタ104よりも好ましい無線セクタ104とのシグナリング接続を、持続的に要求できる。このリクエスト及び拒否のサイクルは、シグナリングリクエストが繰り返し失敗するとき、限られたバッテリリソースを不必要に消耗させる恐れがある。同様に、バッテリ消耗は、無線ネットワーク内の1つ以上の無線アクセスサブシステムから否定応答を受信するとき、モバイル無線機器102から無線ネットワークに持続的に送信されるシグナリングメッセージの、いずれのシーケンスに関しても生じる恐れがある。
【0039】
図10は、モバイル無線機器102が、1つ以上の無線アクセスサブシステム106から応答を受信することができない、別のシナリオ1000を示す。モバイル無線機器102から無線アクセスサブシステム106へのシグナリングメッセージ、例えば、無線リソースのシグナリング接続を確立するリクエストは、送信中に「喪失」又は破損する恐れがあり、この場合、無線アクセスサブシステムは、送信されたシグナリングメッセージに対する応答を提供することができない。同様に、シグナリングメッセージに対する応答は、1つ以上の無線アクセスサブシステム106によって送信できるが、送信の間に破損及び/又は激しく減衰する場合があり、モバイル無線機器102による受信若しくは復号が不可能となる恐れがある。応答が受信されない場合には、モバイル無線機器102は、シグナリングメッセージ、例えば、シグナリング接続を確立するリクエスト、無線ネットワークにモバイル無線機器102を登録するリクエスト、データ接続若しくは音声接続をセットアップするリクエスト、又は無線ネットワーク内のモバイル無線機器102の現在位置を更新するリクエストを、再送信できる。非応答無線アクセスサブシステム106への、モバイル無線機器102によるシグナリングメッセージの送信の繰り返しは、望ましくない過度のバッテリ消耗をもたらす恐れがある。
【0040】
図11は、モバイル無線機器102と無線ネットワーク100の無線アクセスサブシステム106との間の、シグナリングメッセージ1100のシーケンスを示し、このシーケンスは、拒否された接続リクエストを含む。(最初は、モバイル無線機器102は無線ネットワーク100に接続することができない。)モバイル無線機器102は、無線アクセスサブシステム106に、無線リソース制御(RRC)接続リクエストシグナリングメッセージを送信できる。無線アクセスサブシステム106は、幾つかの異なる応答のうちの1つを使用して、このRRC接続リクエストシグナリングメッセージに応答できる。RRC接続リクエストに対する1つの応答では、無線アクセスサブシステム106は、無線アクセスサブシステム106の同じ無線セクタ104に、モバイル無線機器102に対するリダイレクトの指示を含み得るRRC接続拒否シグナリングメッセージを送信できる。バックオフ時間間隔の後に、モバイル無線機器102は、無線アクセスサブシステム106に、別のRRC接続リクエストシグナリングメッセージを再送信できる。RRC接続リクエストに対する別の応答では、無線アクセスサブシステム106は、待ち時間間隔を含み得るRRC接続拒否シグナリングメッセージを使用して応答できる。指定の待ち時間間隔にわたって送信を遅延させた後に、モバイル無線機器102は、RRC接続リクエストシグナリングメッセージを再送信できる。無線アクセスサブシステム106が、RRC接続リクエストシグナリングメッセージに対して無線リソースを割り当てないことを選択するとき、モバイル無線機器102は、多数のリクエストを送信して、同様に多数の拒否を受信する可能性がある。連続的に送信されるリクエストの間の、不規則なバックオフ時間間隔は、比較的短いものとすることができ、指定の待ち時間もまた、比較的短い時間間隔であり得るため、無線アクセスサブシステム106による持続的拒否は、モバイル無線機器102のバッテリを消耗させる恐れがある、比較的多数の送信RRC接続リクエストを生じさせる可能性がある。それゆえ、モバイル無線機器102が、この状況を認識して、急速なバッテリ消耗を回避するために、無線ネットワーク100の無線アクセスサブシステム106への送信を一時的に遅延させることが好ましい場合がある。
【0041】
図12は、一連のRRC接続リクエストが、モバイル無線機器102によって無線ネットワーク100の無線アクセスサブシステム106に送信され、モバイル無線機器102によって応答を受信することができないときに、急速なバッテリ消耗が生じ得る、異なるシナリオ1200を示す。一実施形態では、モバイル無線機器102は、無線アクセスサブシステム106からの応答が受信されない場合には、既定の最大数までのRRC接続リクエストを送信することができ、その既定の最大数は、無線ネットワーク100の無線アクセスサブシステム106によって指定できる。各リクエストは、無線アクセスサブシステム106から応答が受信されなかった後に、モバイル無線機器102によって送信できる。一連のRRC接続リクエストを送信した後に、モバイル無線機器102は、不規則なバックオフ期間で待機して、次いで再び、無線アクセスサブシステム106に、既定の最大数までのRRC接続リクエストを再送信できる。無線アクセスサブシステム106から応答が受信されないとき、RRC接続リクエストのバーストの連続的シーケンスが持続する可能性があり、モバイル無線機器102内で利用可能な限られたバッテリリソースの消耗の原因となる、電力消費をもたらす恐れがある。またしても、モバイル無線機器102が、この状況を認識して、急速なバッテリ消耗を回避するために、無線ネットワーク100の無線アクセスサブシステム106への送信を一時的に回避することが好ましい場合があり得る。
【0042】
図13は、急速なバッテリ消耗がモバイル無線機器102内で生じ得る別のシナリオ1300を示し、この場合、1つの無線アクセスサブシステム106が、別の無線アクセスサブシステム106よりも、モバイル無線機器102によって選択される可能性があるが、しかしながら、その好ましい無線アクセスサブシステム106は、モバイル無線機器102からのシグナリングメッセージに対して否定応答するか、又は応答しない場合がある。最初は、モバイル無線機器102は、より低い優先度を有し得る無線アクセスサブシステム106 A、又はより高い優先度を有し得る無線アクセスサブシステム106 Bのいずれにも、接続することができない。モバイル無線機器102内部での優先度は、測定される受信信号特性、又は無線アクセスサブシステム106によって一斉配信されるネットワークサービス情報などの、測定及び/又は受信された無線アクセスサブシステム106の特性に基づいて、決定できる。代表的な実施形態では、より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bは、より新しい世代の無線通信プロトコルを使用できるが、その一方で、より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aは、より古い世代の無線通信プロトコルを使用できる。提供されるサービス、例えば、より高速のデータ送信レート、又は特定の品質のサービス因子に基づいて、より古い世代の無線通信プロトコルよりも、より新しい世代の無線通信プロトコルを選択できる。別の代表的な実施形態では、モバイル無線機器102は、より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aからのより低い受信信号品質を、少なくとも信号品質の閾値で超える、より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bからのより高い受信信号品質を、測定できる。
【0043】
モバイル無線機器102は、最初に、より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bにシグナリングメッセージを送信して、RRC接続を要求できる。より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bは、このRRC接続リクエストを拒否するシグナリングメッセージを、応答として送信する場合があり、モバイル無線機器102は、代わりに、より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aに、RRC接続リクエストを送信できる。より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aは、RRC接続設定シグナリングメッセージを使用して肯定応答することができ、このシグナリングメッセージに対して、モバイル無線機器102は、RRC接続セットアップ完了シグナリングメッセージを使用して応答できる。次いで、モバイル無線機器102及びより低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aは、確立されたRRC接続を使用して、幾つかのシグナリングメッセージを交換することにより、より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aを通じて、無線ネットワークにモバイル無線機器102を登録できる。登録が完了した後、モバイル無線機器102は、より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aに、アイドル状態で接続できる。より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bは、依然としてモバイル無線機器102によって観測可能であり、再選択基準に基づいて、モバイル無線機器102は、より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bに再選択できる。次いで、モバイル無線機器102は、より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bを通じて無線ネットワークに登録する(またそれにより、再選択を完了する)ために、より高い優先度の無線アクセスサブシステム106 Bに、RRC接続リクエストを送信できる。不利なネットワーク条件が持続するとき、より高い無線アクセスサブシステム106 Bは、モバイル無線機器102にRRC接続拒否シグナリングメッセージを送信することによって、このRRC接続リクエストに対して再び否定応答できる。次いで、モバイル無線機器102は応答して、より低い優先度の無線アクセスサブシステム106 Aに再選択して戻り、登録プロセスを繰り返すことができる。この無線アクセスサブシステム106間での再選択及び登録のサイクルは、繰り返される可能性があり、それにより過度のバッテリ消耗が引き起こされる恐れがある。
【0044】
代表的な実施形態では、モバイル無線機器102は、モバイル無線機器102を拒否する、強いRFの3G無線セクタ104にキャンプオンするように試みることができる。次いで、モバイル無線機器102は、より低い優先度の2G無線セクタ104にキャンプオンするが、引き続き、強いRFの3G無線セクタ104に再選択できる。強いRFの3G無線セクタ104は、モバイル無線機器102を再び拒否する場合があり、この拒否及び再選択のサイクルは、繰り返される可能性がある。本明細書で更に説明されるように、モバイル無線機器102は、このシナリオ1300を認識することができ、モバイル無線機器102内の電力消費を低減するように、シグナリング接続を管理できる。
【0045】
モバイル無線機器102が、2つの異なる無線アクセスサブシステム106の2つの異なる無線セクタ104の間で再選択できる、
図13に示すシナリオ1300は、複数の無線セクタ104に拡張できる。代表的な実施形態では、モバイル無線機器102は、より高い優先度又はより強い無線周波数信号を有する無線セクタ104に、「キャンプオン」及び登録するように、試みることができる。より高い優先度又は「より強いRF」の無線セクタ104は、モバイル無線機器102を拒否する場合があり、モバイル無線機器102は次に、より低い優先度及び/又はより弱い無線周波数信号を有し得る他の無線セクタ104に、キャンプオン並びに登録できる。モバイル無線機器102が、より高い優先度及び/又はより強いRF信号の無線セクタ104を選択することにより、再選択のサイクルが生じる場合がある。代表的な実施形態では、モバイル無線機器102は、低品質のRF信号を有する3G無線セクタにキャンプオンするように、試みることができる。モバイル無線機器は、強いRF信号を有する、限定された範囲/サービスのタイプの無線セクタ104などの、別の無線セクタに再選択できる(例えば、モバイル無線機器102は、「フェムトセル」の範囲内にある場合がある)。この限定された範囲/サービスのタイプの無線セクタ104は、モバイル無線機器102が、無線セクタ104を通じて接続するための許可を有さないときなどに、モバイル無線機器102を拒否できる。この拒否に応答して、モバイル無線機器102は、より低い優先度の2G無線セクタ104に、再選択及び登録できる。より低い優先度の2G無線セクタ104にキャンプオンしつつも、モバイル無線機器は、その後、より強い信号の3G無線セクタ104又は限定された範囲/サービスのタイプの無線セクタ104のいずれかに再選択することができ、また再び、それらの「好ましい」無線セクタ104のいずれかによって拒否される場合がある。この再選択及び拒否のサイクルが繰り返されることにより、モバイル無線機器102内のバッテリリソースの消耗が引き起こされる恐れがある。
【0046】
図14は、モバイル無線機器102が内部に維持できる2つのデータベースアレイ1400/1410を示すものであり、モバイル無線機器102がシグナリングメッセージを送信した後に否定応答が受信されたか又は応答が受信されなかった、無線セクタ104の特性を識別できる。第1のデータベースアレイ1400内の、各無線セクタ104のエントリは、その同じ無線セクタ104に関する情報を検索するためにも使用できる番号によって、インデックス付けすることができる。無線セクタ104は、ロケーションエリア識別子(LAI)によって表すことができる。無線セクタ104は、送信されたシグナリングメッセージに対して否定応答が受信されるか、又は応答が受信されないときに、データベース1400に入力できる。データベース1400内のカウンタは、無線セクタ104から否定応答が受信されるか又は応答が受信されない連続回数ごとに、インクリメントすることができる。無線セクタ104は、送信されたシグナリングメッセージに対して肯定応答が受信されるときに、データベース1400から削除できる。
【0047】
一実施形態では、信号品質測定値、例えば、希望波受信電力(RSCP)及び/又は信号対雑音/干渉比(EcNo)を、非応答無線セクタ104に関して、周期的に記録し、かつ更新できる。それらの信号品質測定値のそれぞれに、信号品質閾値を関連付けることができる。特定の無線セクタ104に関するカウンタ値を使用して、その特定の無線セクタ104に対してモバイル無線機器102によって連続的に送信されるシグナリングメッセージ間の、最小時間遅延を決定できる。第2のデータベース1410は、時間遅延値と、カウンタ値に関する閾値とを相関させることができる。閾値Nを超過しない特定のカウンタ値(例えば、Cnt 2)を有する特定の無線セクタ104(例えば、無線セクタ2)に関しては、モバイル無線機器102は、その同じ無線セクタ104に連続的に送信されるシグナリングメッセージの間に、少なくともT時間単位が経過することを、確実にすることができる。特定のカウンタ値が、N+1〜2Nの範囲にあるとき、モバイル無線機器102は、連続的に送信されるシグナリングメッセージ間の時間遅延を、少なくとも2T時間単位に増大させることができる。データベース1410のエントリテーブルは、予め構成することができ、又は観測されるネットワーク条件に応じて動的に調整することもできる。
【0048】
一実施形態では、モバイル無線機器102は、1つ以上の現在の信号品質値、例えば、非応答無線セクタの現在のRSCP及び/又はEcNoを測定することができ、それらの現在の信号品質値と、その特定の非応答無線セクタ104に関して以前測定され、データベース1400に記憶された信号品質値とを、比較できる。それらの現在の信号品質値の少なくとも一方(又は双方)が、以前に記憶された信号品質値を、少なくとも関連する信号品質閾値で超過するとき、モバイル無線機器102は、その非応答無線セクタ104に、遅延なしでシグナリングメッセージを送信できる。異なる信号品質メトリックは、異なる信号品質閾値と関連付けることができる。一実施形態では、信号品質閾値は、予め決定できる。現在の信号品質値の少なくとも一方(又は双方)が、以前に記憶された信号品質値を、少なくとも関連する信号品質閾値で超過しないとき、モバイル無線機器102は、その非応答無線セクタ104への最終シグナリングメッセージが送信されてから、少なくとも、その非応答無線セクタ104に関するカウンタ値に基づいて第2のデータベース1410内に指示される時間遅延が経過するまで、シグナリングメッセージを遅延させるように、構成できる。
【0049】
図15は、モバイル無線機器102内のバッテリ電力を節約するためのシグナリング接続管理に関する、代表的な方法1500を示す。工程1502では、モバイル無線機器102は、モバイル無線機器102によって送信されたシグナリングメッセージに対して否定応答を送信する無線セクタ104の、データベース1400を維持する。工程1504では、モバイル無線機器102は、無線ネットワーク100内の無線セクタ104にシグナリングメッセージを送信するための、トリガを受信する。工程1506では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104が、無線セクタデータベース1400内にあるか否かを判定する。無線セクタ104が、無線セクタデータベース1400内にあるとき、モバイル無線機器102は、工程1508で、時間遅延値を決定する。一実施形態では、時間遅延値は、無線セクタ104の測定された特性(例えば、以前に送信されたシグナリングメッセージに対する否定応答又は非応答のカウント)に応じる。工程1510では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104に直近に送信されたシグナリングメッセージからの経過時間と、決定された時間遅延値とを比較する。経過時間が、この時間遅延値を超過しないとき、シグナリングメッセージは、工程1512で、モバイル無線機器102を破棄する。無線セクタ104が、否定応答データベース1400内にないとき、又は経過時間が時間遅延値を超過するとき、モバイル無線機器は、工程1514で、無線セクタ104にシグナリングメッセージを送信する。モバイル無線機器102が、無線セクタ104から、送信したシグナリングメッセージに対する否定応答を受信するとき、工程1518で、無線セクタ104の特性に関する1つ以上の記憶値が、否定応答無線セクタデータベース1400内に追加又は更新される。モバイル無線機器102が、無線セクタ102から肯定応答を受信するとき、否定応答セクタデータベース1400の、その無線セクタに関するエントリが削除される。
【0050】
図16は、モバイル無線機器102内のシグナリング接続管理に関する、別の代表的な方法1600を示す。工程1602では、モバイル無線機器は、非応答無線セクタ104のデータベース1400を維持する。工程1604では、モバイル無線機器102は、無線ネットワーク100内の無線セクタ104にシグナリングメッセージを送信するための、トリガを受信する。工程1606では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104が、非応答無線セクタデータベース1400内にあるか否かを判定する。無線セクタ104が、非応答無線セクタデータベース1400内にあるとき、モバイル無線機器102は、工程1608で、時間遅延値を決定する。工程1610では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104に直近に送信されたシグナリングメッセージからの経過時間と、決定された時間遅延値とを比較する。経過時間が、この時間遅延値を超過しないとき、モバイル無線機器102は、工程1612で、無線セクタ104に関する受信信号品質を決定する。工程1614では、モバイル無線機器は、決定された受信信号品質と、無線セクタ104に関して記憶された受信信号品質とを比較する。決定された受信信号品質が、無線セクタ104に関して記憶された受信信号品質を、少なくとも関連する信号品質閾値で超過しないとき、モバイル無線機器102は、工程1616で、そのシグナリングメッセージを破棄する。無線セクタ102が、非応答無線セクタデータベース1400内にないとき、又は経過時間が決定された時間遅延値を超過するとき、あるいは、決定された受信信号品質が、無線セクタ104に関して記憶された受信信号品質を、少なくとも関連する信号品質閾値で超過するとき、モバイル無線機器102は、工程1618で、無線セクタ102にシグナリングメッセージを送信する。この送信シグナリングメッセージに対して、無線セクタ104から応答が受信されないとき、モバイル無線機器102は、工程1622で、非応答無線セクタデータベース1400に、無線セクタ104に関するエントリを追加又は更新する。送信されたシグナリングメッセージに対して、肯定応答が無線セクタ104から受信されるとき、モバイル無線機器102は、工程1626で、非応答無線セクタデータベース1400から、その無線セクタに関するエントリを削除する。
【0051】
図17は、モバイル無線機器102と無線ネットワーク100の無線セクタ104との間のシグナリング接続を管理する、別の代表的な方法1700を示す。工程1702では、モバイル無線機器は、無線セクタデータベース内の各無線セクタに関する、エリア識別子及びカウンタエントリを含む、無線セクタデータベースを初期化する。モバイル無線機器はまた、遅延データベースも初期化する。工程1704では、モバイル無線機器は、無線セクタ104にキャンプオンするか又は再選択する。工程1706では、モバイル無線機器102は、モバイル無線機器102と無線セクタ104との間の接続を確立するための、上位層のリクエストを受信する。工程1708では、モバイル無線機器102は、この上位層によって要求された接続を確立するか否かを判定する。工程1708での判定は、無線セクタ104の、測定及び/又は観測された1つ以上の特性に応じる。モバイル無線機器102が、要求された接続を確立することがOKではないと判定するとき、モバイル無線機器102は、無線セクタ104との接続を確立するリクエストを破棄する。モバイル無線機器102が、要求された接続を確立することがOKであると判定するとき、次いで工程1712で、モバイル無線機器102は、その無線ネットワーク100内の無線セクタ104に、接続確立リクエストを送信する。工程1714で、その無線ネットワーク内の無線セクタ104から拒否を受信するとき、モバイル無線機器は、引き続き、無線セクタデータベース1400内の、その無線セクタに関するエントリを更新する。一実施形態では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104のエリア識別子を記録し、無線セクタデータベース内のエラーカウンタをインクリメントする。モバイル無線機器102が、送信された接続リクエストに対して、無線セクタ104から拒否を受信しないとき、モバイル無線機器102は、工程1716で、無線セクタデータベース1400内の、無線セクタ104に関するエントリを消去する。一実施形態では、エリア識別子が消去され、エラーカウンタはリセットされる。
【0052】
図18は、接続を確立するための要求に応答して、モバイル無線機器102が、無線ネットワーク100内の無線セクタ104への接続を確立することがOKであるか否かを判定する方法1800に関する工程を示す。工程1802では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104が、無線セクタデータベース1400内にあるか否かを判定する。無線セクタ104が、無線セクタデータベース1400内にないときには、工程1812で、モバイル無線機器102は、要求された無線セクタ104への接続を確立することがOKであると判定する。無線セクタ104が、無線セクタデータベース1400内にあるとき、モバイル無線機器102は、無線セクタデータベース1400から、無線セクタ104に関するカウンタを検索する。工程1806では、モバイル無線機器102は、検索されたカウンタ値に基づいて、遅延データベース1410から遅延を検索する。工程1808では、モバイル無線機器102は、検索された遅延値に基づいて、無線セクタ104が、接続を確立するために更なる遅延を必要とするか否かを判定する。更なる遅延が必要とされないとき、モバイル無線機器102は、無線セクタ104との接続を確立することがOKであると判定する。更なる遅延が必要とされるとき、このモバイル無線機器は、工程1810で、無線セクタ104への接続を確立することがOKではないと判定する。一実施形態では、更なる遅延の要求は、無線セクタ104に、前に接続を確立するためリクエストが送信されてからの、経過時間に応じる。
【0053】
図19は、モバイル無線機器102と無線ネットワーク100内の無線セクタ104との間のシグナリング接続を管理する、別の方法1900の工程を示す。工程1902では、モバイル無線機器は、無線セクタデータベース1400内の各無線セクタ104に関する、エリア識別子、カウンタ、及び少なくとも1つの信号品質を含む、無線セクタデータベース1400を初期化する。モバイル無線機器102はまた、遅延データベース1410も初期化する。工程1904では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104にキャンプオン又は再選択する。工程1906では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104との接続を確立するための、上位層からのリクエストを受信する。工程1908では、モバイル無線機器102は、無線セクタ104との接続を確立することがOKであるか否かを判定する。無線セクタ104との接続を確立することがOKであると判定されるとき、モバイル無線機器102は、工程1914で、無線セクタ104との接続を確立するリクエストを送信する。工程1916で、無線セクタ104から応答が受信されないとき、モバイル無線機器は、無線セクタ104に関して、エリア識別子を記録すること、カウンタ値をインクリメントすること、及び少なくとも1つの信号品質値を記録することを含め、無線セクタデータベース1400内の、無線セクタ104に関するエントリを更新する。その無線セクタから応答が受信されるとき、モバイル無線機器102は、工程1918で、エリア識別子を消去すること、カウンタ値をリセットすること、及び少なくとも1つの信号品質値を消去することを含め、無線セクタデータベース1400内の、無線セクタ104に関するエントリを消去する。モバイル無線機器102が、シグナリング接続を確立することがOKではないと判定されるとき、工程1910で、モバイル無線機器は、無線セクタ104に関する少なくとも1つの信号品質メトリックが改善されているか否かを判定する。一実施形態では、少なくとも1つの信号品質メトリックの改善が、関連する信号品質閾値を上回ることが要求され得る。無線セクタ104に関する信号品質が改善されていないとき、工程1912で、そのシグナリング接続を確立するための要求が破棄される。信号品質が改善されているとき、無線セクタ104とのシグナリング接続を確立するための要求が送信される。
【0054】
説明される実施形態の様々な態様、実施形態、実装、又は機構は、個別に若しくは任意の組み合わせで使用できる。説明される実施形態の様々な態様は、ソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装できる。説明される実施形態はまた、非一時的コンピュータ可読媒体内にコード化される、コンピュータプログラム製品として具現化することもできる。この非一時的コンピュータ可読媒体は、その後コンピュータシステムによって読み出すことが可能なデータを記憶できる、任意のデータ記憶装置である。非一時的コンピュータ可読媒体の例としては、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、DVD、磁気テープ、及び光学的データ記憶装置が挙げられる。この非一時的コンピュータ可読媒体はまた、そのコンピュータプログラム製品が、分散方式で記憶及び実行されるように、ネットワーク結合されたコンピュータシステム上に分散させることもできる。
【0055】
上述の説明は、説明の目的上、具体的な専門用語を使用することにより、説明される実施形態の完全な理解を提供するものであった。しかしながら、それらの具体的詳細は、説明される実施形態を実践するために必須のものではないことが、当業者には明らかとなるであろう。それゆえ、本明細書で説明される具体的な実施形態の上述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されるものである。それらの説明は、網羅的であることも、又は開示される厳密な形態に実施形態を限定することも、目的とするものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正形態及び変更形態が可能であることが、当業者には明らかとなるであろう。
【0056】
説明される実施形態の利点は数多い。異なる態様、実施形態、又は実装により、以下の利点のうちの1つ以上をもたらすことができる。本実施形態の多くの特徴及び利点は、記載される説明から明らかであり、それゆえ、添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び利点を包含することが意図される。更には、数多くの修正形態及び変形形態が、当業者には容易に想到されるため、これらの実施形態は、例示及び説明される厳密な構成並びに動作に限定されるべきではない。それゆえ、全ての好適な修正形態及び等価物は、本発明の範囲内に含まれるものとして採用できる。