(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電圧変換制御部は、前記非接続状態において、前記補助電源の端子電圧が前記電圧変換制御部の最低動作電圧の110%以下である期間、前記電圧変換回路を起動状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪実施の形態1≫
[充電器1000の構成]
図1は、実施の形態1に係る充電器1000の全体構成を示す回路図である。充電器1000は、交流電源としてのAC電源CSからの供給電圧を変換し、充電対象としての携帯電子機器に充電する充電器である。充電器1000は、電圧変換回路100、出力端子200a,200b、電気二重層キャパシタ300、電圧検出回路400、電圧変換制御部500を備える。充電器1000は、その入力側がAC電源CSに、出力側が出力端子200a,200bを介して携帯電子機器にそれぞれ接続される。AC電源CSは、住宅等に設置されているAC100〜250[V]の商用電源である。
【0013】
<電圧変換回路100>
電圧変換回路100は、AC電源CSに接続され、AC電源CSの供給電圧から直流電圧を生成する。電圧変換回路100は、コンバータ部、信号伝達部を含む。
(コンバータ部)
コンバータ部は、AC電源CSの供給電圧を直流電圧に変換する。コンバータ部は、1次側整流回路110、電源トランス120、1次側制御部130、2次側整流回路140を含む。
【0014】
コンバータ部は、起動状態においては交直変換を行うAC/DCコンバータであり、停止状態においては交直変換を行わない。コンバータ部の起動状態および停止状態は、電圧変換制御部500から出力される制御信号により制御される。具体的には、コンバータ部を起動状態とする起動信号と、コンバータ部を停止状態とする停止信号を入力されることで制御される。一度起動信号を受けたコンバータ部は、停止信号を受けるまで起動状態を維持する。また、一度停止信号を受けたコンバータ部は、起動信号を受けるまで停止状態を維持する。なお、コンバータ部が停止状態にある場合は、AC電源CSと電圧変換回路100とを結ぶ電路も遮断される。
【0015】
・1次側整流回路110
1次側整流回路110は、AC電源CSの供給電圧を整流し、直流電圧を生成する。1次側整流回路110は、例えばダイオードブリッジで構成されている。
・電源トランス120
電源トランス120は、1次巻線121と2次巻線122を含む。1次巻線121には、1次側制御部130により生成された交流電圧が入力される。2次巻線122には、1次巻線121と2次巻線122の巻数比に応じた交流電圧が誘起される。
【0016】
・1次側制御部130
1次側制御部130は、1次側整流回路110から出力される直流電圧に基づき、1次巻線121に供給する交流電圧を生成する交流電圧生成部である。1次側制御部130には、FET(Field Effect Transistor,電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor,絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子が内蔵されており、このスイッチング素子をオンオフ動作させることで1次側整流回路110から出力される直流電圧から交流電圧を生成する。
【0017】
・2次側整流回路140
2次側整流回路140は、2次巻線122に誘起される交流電圧を整流するものであり、2次巻線122の両端に接続されている。2次側整流回路140は、互いに並列接続されたダイオード141,142と、キャパシタ143とからなる。
(信号伝達部)
信号伝達部は、起動用フォトカプラ150、停止用フォトカプラ160を含む。信号伝達部は、電圧変換制御部500から出力される制御信号をコンバータ部に伝達するものである。起動用フォトカプラ150は、制御信号のうち電圧変換回路100を起動状態とするための起動信号を伝達するものである。また、停止用フォトカプラ160は、制御信号のうち電圧変換回路100を停止状態とするための停止信号を伝達するものである。
【0018】
<出力端子200a,200b>
出力端子200a,200bは、電圧変換回路100から出力された直流電圧を充電対象に供給するためのものであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタにおけるV
bus端子とGND端子に相当する。出力端子200aと出力端子200bと間には、充電対象への入力電圧である第2の電圧が出力される。なお、ここでの充電対象は、内部に充電用電池を備えるものであってもよいし、備えないものであってもよい。
【0019】
<電気二重層キャパシタ300>
電気二重層キャパシタ300は、出力端子に充電対象が接続されていない非接続状態(以下、単に「非接続状態」と記載する。)における電圧変換回路100の動作が停止している間、電圧変換制御部500への電力供給を行う補助電源である。電気二重層キャパシタ300は、出力端子200a,200bと電圧変換回路100とを結ぶ一対の電路間に介挿されている。また、電気二重層キャパシタ300は、電圧変換回路100から電力供給を受ける。本実施の形態においては、電気二重層キャパシタ300の出力電圧と、充電対象への入力電圧とが等しいものとする。電気二重層キャパシタを補助電源として用いるためには、電気二重層キャパシタ300の静電容量が、例えば0.22[F]以上であることが望ましい。
【0020】
本実施の形態における補助電源は、説明しているように電気二重層キャパシタ300で構成されている。補助電源を電気二重層キャパシタ300とすることで、充電器1000の小型化を図ることが可能である。すなわち、電気二重層キャパシタは、従来の標準的な電解コンデンサと比較して容量が大きく、補助電源として用いるのに十分な容量を有する一方で、電池と比較して小型である。また、電池を用いる場合と異なり充電回路は不要であるため、回路部品数を削減できる。このため、充電器1000のさらなる小型化が図られる。
【0021】
<電圧検出回路400>
電圧検出回路400は、補助電源としての電気二重層キャパシタ300の端子電圧を検出する。そして、電圧検出回路400による検出結果は、2次側制御部510に出力される。
<電圧変換制御部500>
電圧変換制御部500は、電圧変換回路100におけるコンバータ部の起動状態および停止状態を制御する。電圧変換制御部500は、2次側制御部510と電圧レギュレータ520を含み、電気二重層キャパシタ300から電力供給を受けて動作する。
【0022】
2次側制御部510は、電圧検出回路400による検出結果が入力されるとともに、電圧変換回路100のコンバータ部への制御信号を出力するコントローラである。2次側制御部510は、出力端子200a,200bに充電対象が接続されている接続状態(以下、単に「接続状態」と記載する。)においては、コンバータ部を終始起動状態とするように制御する。一方、非接続状態においては、電気二重層キャパシタ300への充電が必要な期間は電圧変換回路100を起動状態とし、電気二重層キャパシタ300への充電が不要な期間は電圧変換回路100を停止状態とするように制御する。
【0023】
電気二重層キャパシタ300への充電が必要か否かは、電圧検出回路400から出力される電気二重層キャパシタ300の端子電圧の情報に基づいて判断される。例えば、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が2次側制御部510の最低動作電圧の110[%]以下である期間を充電が必要な期間とする。すなわち、電圧変換制御部500は、非接続状態において、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が2次側制御部510の最低動作電圧の110[%]以下である期間、電圧変換回路100を起動状態とする。一方、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が2次側制御部510の最低動作電圧の110[%]を超える期間を充電が不要な期間とする。以下、電気二重層キャパシタ300の充電が必要か否かを分ける電気二重層キャパシタ300の端子電圧を、単に「充電基準電圧」と記載する。
【0024】
なお、ここでの110[%]という数値は、電気二重層キャパシタ300の静電容量、2次側制御部510の仕様(例えば、消費電力等)によって適宜変更することが可能である。また、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が2次側制御部510の最低動作電圧より高い段階で、電気二重層キャパシタ300の充電が必要であるとすることで、最低限、起動信号を出力するための電力を2次側制御部510に出力できるようにしている。
【0025】
電圧レギュレータ520は、2次側制御部510の最低動作電圧以上の定電圧を2次側制御部510に安定して出力するためのものである。電圧レギュレータ520を設けることで、電気二重層キャパシタ300の出力電圧が変動した場合であっても、2次側制御部510へ出力する電圧を一定とすることができる。
電圧変換制御部500が行う動作は、基本的には、電圧検出回路400からの検出結果の受信と、起動用フォトカプラ150および停止用フォトカプラ160への制御信号出力である。この制御信号は、一定周期で常に出力されるものではなく、電圧変換回路100のコンバータ部における起動状態と停止状態の切り替えが必要な場合にしか出力されない。そのため、電気二重層キャパシタ300から電圧変換制御部500へ供給が必要な電力は非常に小さいもので足りる。
【0026】
さらに、非接続状態時は、電気二重層キャパシタ300と充電対象が非導通であるため、基本的には電気二重層キャパシタ300から充電対象に放出される電荷はない。すなわち、非接続状態時において電気二重層キャパシタ300から失われる電荷は、概ね電圧変換制御部500に供給する分と、自己放電する分のみである。したがって、非接続状態時において電気二重層キャパシタ300から失われる電荷は非常に少ないため、電気二重層キャパシタ300を充電する頻度は非常に少なくて済む。そのため、非接続状態期間に占める、電気二重層キャパシタ300の充電を行っている期間は僅かである。換言すると、非接続状態期間のうち電圧変換回路100を起動させる期間は僅かであるため、非接続状態における待機電力をゼロ相当に低減し得る。
【0027】
[充電対象の接続検出方法]
本実施の形態に係る充電器1000は、さらに、非接続状態から接続状態への状態変化を検出する検出機構を備える。本実施の形態に係る検出機構は、電気二重層キャパシタ300、電圧検出回路400、電圧変換制御部500とを含んで構成されている。当該状態変化を検出する原理について、
図1,
図2を参照しながら説明する。
【0028】
図2は、電圧検出回路400において検出される電気二重層キャパシタ300の端子電圧の変動を示す図である。なお、
図2において、電気二重層キャパシタ300の満充電における端子電圧を5[V]、電気二重層キャパシタ300が放電を開始する電圧を4.4[V]、充電基準電圧を2[V]としている。
非接続状態においては出力端子200a,200bに充電対象が接続されていないため、出力端子200a,200bはフローティング状態である。そのため、電気二重層キャパシタ300から放電される電荷は、基本的には電気二重層キャパシタ300が自己放電する分と、電圧変換制御部500に供給される分のみである。したがって、
図2に示すように、非接続状態においては、電圧検出回路400で検出される単位時間当たりの電気二重層キャパシタ300の端子電圧の低下量は比較的小さい。
【0029】
一方、非接続状態から接続状態に状態変化すると、
図1における電流Iで示しているように、出力端子200a,200bを介して電気二重層キャパシタ300に蓄積された電荷を充電対象に放電する放電経路が形成される。そのため、
図2に示すように、電圧検出回路400で検出される、接続状態における単位時間当たりの電気二重層キャパシタ300の端子電圧の低下量は、非接続状態における場合よりも多い。2次側制御部510は、電圧検出回路400で検出される低下量に基づき状態変化したか否かを判断する。
【0030】
2次側制御部510は、非接続状態における、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が満充電電圧になってから充電基準電圧になるまでに要する時間を予め記憶している。そして、接続状態に状態変化すると、この充電基準電圧になるまでに要する時間が非接続状態の場合に比して大幅に短縮される。さらに、2次側制御部510は、非接続状態における充電基準電圧になるまでに要する時間と、接続状態における充電基準電圧になるまでに要する時間とを考慮して定められた閾値を記憶している。2次側制御部510は、満充電電圧から充電基準電圧になるまでの時間をモニターしており、この時間が上記閾値以下であるか否かを判断することで、非接続状態から接続状態に状態変化したか否かを判断する。満充電電圧から充電基準電圧になるまでの時間が閾値以下である場合は、状態変化したと判断し、閾値を超えている場合は、状態変化していないと判断する。
【0031】
なお、上記の説明においては、満充電電圧から充電基準電圧になるまでの時間に基づき状態変化を検出することとしたが、検出方法はこれに限定されるものではない。また、
図2においては、説明を分かりやすくするため、非接続状態から接続状態への状態変化から当該状態変化を検出するまでに一定の期間があるように示している。しかしながら、状態変化に伴う電気二重層キャパシタ300の放電は非常に早いため、状態変化からその状態変化を検出するまでの期間は非常に短く、状態変化とその検出は略同時である。
【0032】
状態変化したと判断した場合は、2次側制御部510は電圧変換回路100のコンバータ部を起動状態とすべく、起動信号を起動用フォトカプラ150に出力する。一方、状態変化していないと判断した場合は電圧変換回路100を停止状態のままとする。つまり、状態変化していないと判断した場合、2次側制御部510は特別な動作は行わない。
以上説明したように、本実施の形態に係る検出機構においては、状態変化に伴う電気二重層キャパシタ300の端子電圧の変動に基づき、状態変化を検出する。また、本実施の形態によれば、状態変化を検出するための特別な構成を別途設ける必要がない。したがって、充電器の大きさをそのままに、検出機構としての機能を付加することが可能である。
【0033】
[まとめ]
特許文献3,4では、AC電源と電圧変換回路とを結ぶ電路の開閉をラッチリレーで行う技術が開示されている。しかしながら、上述したように、ラッチリレーを用いた場合は、小型化が困難になるという問題を有する。また、携行を前提とした充電器にラッチリレーを用いた場合、携行の際に充電器に加わる振動や充電器の落下等により、ラッチリレーの開状態と閉状態が切り替わってしまうおそれがあるという問題がある。さらに、ラッチリレーは比較的コスト高であるという問題も有する。
【0034】
一方、本実施の形態に係る充電器によれば、ラッチリレーを用いることなく、待機電力をゼロ相当に低減することが可能である。さらに、ラッチリレーを使用しないため、充電器の回路構成および回路動作を簡便にし、充電器の小型化を図ることが可能である。それに加え、本実施の形態においては、補助電源として電気二重層キャパシタを用いている。これにより、上述したように、充電器のさらなる小型化を実現することができる。
【0035】
≪実施の形態2≫
図3は、実施の形態2に係る充電器2000の全体構成を示す回路図である。実施の形態1に係る充電器1000と相違する点は、充電対象が少なくとも1以上の充電池である点である。なお、
図3においては、充電器1000におけるものと同じ構成には同符号を付している。また、本実施の形態においても、電気二重層キャパシタ300の出力電圧と、充電対象への入力電圧とが等しいものとする。
【0036】
充電器2000の充電対象は、単三電池や単四電池等の乾電池の外観を有する充電池であり、
図3では4個の充電池BA1〜BA4を例示している。充電池BA1〜BA4は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の充電可能な二次電池である。
図3に示すように、充電器2000は、さらに、各充電池BA1〜BA4の装着を受け付ける4つの充電池装着部601〜604を備える。
【0037】
充電器2000における電圧変換制御部501は、電圧レギュレータ520と2次側制御部511を含む。電圧レギュレータ520は充電器1000のものと同構成であるが、2次側制御部511は充電器1000のものと異なる。充電器2000における2次側制御部511は、充電池装着部601〜604各々の端子電圧を検出する。2次側制御部511は、充電池装着部601〜604各々の端子電圧を検出することにより、充電器2000に充電対象としての充電池が接続されたことを検出する。このように、2次側制御部511は、非接続状態から接続状態への状態変化を検出する検出機構として機能する。なお、充電池の接続を検出する方法は、これ以外の方法であってもよい。
【0038】
さらに、2次側制御部511は、出力端子200aと充電池装着部601〜604の各々との間に介挿された充電用スイッチSW1〜SW4の開閉動作の制御も行う。充電池装着部601〜604のいずれにも充電池が装着されていないと判断した場合は、電圧変換回路100のコンバータ部を停止状態のままとするとともに、充電用スイッチSW1〜SW4を全て開状態とする。充電池装着部601〜604に充電池BA1〜BA4が装着されたと判断した場合は、電圧変換回路100の起動用フォトカプラ150に起動信号を出力するとともに、充電池が装着された充電池装着部に対応する充電用スイッチを閉状態とする。
充電池BA1〜BA4が装着されると、充電が開始され、充電が進み、2次側制御部511にて、各充電池において満充電が検出されると、2次側制御部511は、対応する充電用スイッチを開状態として、充電を停止する。ここで、充電池がニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池においては、2次側制御部511が、電池電圧を測定することにより、時間に対する電池電圧上昇の傾きが所定値より小さくなるとき、ピーク電圧を検出したとき、電池電圧の−ΔV(=電圧低下)を検出したとき等に、満充電を検出する。
電圧変換制御部501は、記憶部Mを有する2次側制御部511を備えている。
2次側制御部511は、各充電池毎に、満充電を検出すると、記憶部において各充電池に対応して満充電を検出したこと、換言するなら、満充電検出の情報を記憶する。
2次側制御部511は、マイコンを備えており、2次側制御部511が動作状態(=電圧レギュレータ520が2次側制御部511の最低動作電圧以上の定電圧を2次側制御部511に出力する状態)においては、記憶部において記憶された満充電検出の情報は、保持される。
そして、充電池が装着された状態で、充電器2000が、AC電源CSより取り外されたり、又は、図示しないスイッチをオフすることより、電源の供給が絶たれたとき、充電器2000は補助電源としての電気二重層キャパシタ300を有することより、電圧レギュレータ520を介して、最低動作電圧以上の電圧が2次側制御部511に供給される限り、2次側制御部511は動作状態となり、上記の満充電検出の情報を保持することができる。
一例として、電気二重層キャパシタ300の端子の電圧が、放電により、約7.0Vから約3.2Vに低下するとき、電圧レギュレータ520は、2次側制御部511のマイコンが安定して動作するように、約3.0Vを出力する。実際には、電気二重層キャパシタ300の電圧が、約3.0V以上において、電圧レギュレータ520は、約3.0Vを出力することができる。2次側制御部510の最低動作電圧は、約3.0Vであるので、電気二重層キャパシタ300の電圧が、約3.0V以上において、2次側制御部510は、動作可能である。ここでは、充電基準電圧を、約3.2V又は約3.3Vに設定できる。
次に、電源の供給が絶たれた後、電気二重層キャパシタ300より、電圧レギュレータ520を介して、最低動作電圧以上の電圧が2次側制御部511に供給されるとき、AC電源CSに充電器2000を取り付けたり、図示しないスイッチをオンすることより、電源の供給が再開されると、2次側制御部511の記憶部において保持された満充電検出の情報により、2次側制御部511は、満充電検出の情報が保持された装着された状態の充電池について、充電を再開しない制御を行う。
これにより、満充電検出の情報が保持された装着された状態の充電池は、再度、充電され、満充電とされないことより、充電池の充電容量が高い状態となること、充電池が過充電とあることを、低減することができる。よって、電池への悪影響を防止することができ、電池の寿命への悪影響の防止、漏液の抑制、再充電しないことによるエネルギー削減を図ることができる。
また、電源の供給が絶たれることが、停電、瞬停(短い間の停電)等により発生する場合でも、上述の作用、効果を図ることができる。
なお、補助電源としての電気二重層キャパシタ300が、電源の供給が絶たれたときから、2次側制御部511(並びに、電圧レギュレータ520、電圧検出回路400)を動作状態に維持できる時間は、電源の供給が絶たれとき、電気二重層キャパシタ300が満充電(上限電圧状態)であるなら3〜4時間、二重層キャパシタ300の端子の電圧が充電基準電圧の約3.2Vであるなら、放電し上述のように約3.0Vまで2次側制御部511は動作可能であるので、数分から30分、2次側制御部511は動作可能である。つまり、このような時間内であれば、満充電検出の情報が保持された装着された状態の充電池は、再度、充電されることはない。なお、一例としては、電圧変換回路100を起動状態とし、電気二重層キャパシタ300を充電する時間は、約2分、または、約1分から約4分までの時間に、設定することが可能である。
【0039】
なお、充電池装着部601〜604には、充電池BA1〜BA4の全てが装着される場合もあり得るし、充電池装着部601〜604のうちの一部のみに充電池が装着される場合もあり得る。また、充電池BA1〜BA4の取り外しは、装着時と同様に充電池装着部601〜604各々の端子電圧を検出することにより検出する。
≪実施の形態3≫
実施の形態1,2においては、電気二重層キャパシタの出力電圧と、充電対象への入力電圧とが等しい場合の充電器の構成を示した。本実施の形態においては、電気二重層キャパシタの出力電圧である第1の電圧と充電対象への入力電圧である第2の電圧とが異なる場合、その中でも特に、電気二重層キャパシタの出力電圧が充電対象への入力電圧よりも高い場合の充電器の構成について説明する。
【0040】
図4は、実施の形態3に係る充電器3000の全体構成を示す回路図である。
図4において、充電器1000におけるものと同じ構成には同符号を付している。
本実施の形態における電圧変換回路101と充電器1000における電圧変換回路100との相違点は、電気二重層キャパシタ300の出力電圧(第1の電圧)と充電対象への入力電圧(第2の電圧)の2つの電圧を個別に出力する点である。そのため、電圧変換回路100は、供給電圧を第1の電圧と第2の電圧とに変換するコンバータ部を含んでいる。
【0041】
コンバータ部を構成している電源トランス123の2次巻線124は、センタータップ124aを有する構成となっている。また、2次巻線124に接続されている第1の2次側整流回路144と第2の2次側整流回路145は、2次巻線124に誘起される交流電圧を整流することにより、電気二重層キャパシタ300の出力電圧と充電対象への入力電圧を各々生成する。具体的には、第1の2次側整流回路144は、2次巻線124の両端に接続されているとともに、電気二重層キャパシタ300の出力電圧を生成する。また、第2の2次側整流回路145は、2次巻線124の一端とセンタータップ124aに接続されているとともに、充電対象への入力電圧を生成する。
【0042】
充電器3000は、第2の2次側整流回路145と出力端子200aを結ぶ電路に介挿されたスイッチSW5と、電気二重層キャパシタ300と出力端子200aを結ぶ電路に介挿されたスイッチSW6をさらに備える。スイッチSW5,スイッチSW6の開閉動作は、電圧変換制御部502の2次側制御部512により制御される。この詳細について、
図5を参照しながら説明する。
【0043】
図5は、実施の形態3に係る充電器3000の動作を示すタイミングチャートである。
図5(a)は、電圧検出回路400において検出される電気二重層キャパシタ300の端子電圧の変動を示している。
図5(b)、(c)はそれぞれ、スイッチSW5、SW6の開閉状態を示している。
まず、非接続状態である場合、出力端子200a,200bに充電対象への入力電圧を出力する必要はない。一方で、充電対象が接続されたかを検出する必要がある。ここで、状態変化すると、
図4に示す経路で電気二重層キャパシタ300から電流Iが流れる。そのため、第2の2次側整流回路145と出力端子200aを結ぶ電路は非導通状態とし、電気二重層キャパシタ300と出力端子200aを結ぶ電路は導通状態とする必要がある。したがって、2次側制御部512は、スイッチSW5を開状態、スイッチSW6を閉状態とするように制御する。
【0044】
非接続状態から接続状態への状態変化検出は、実施の形態1と同様の方法で、電圧検出回路400で検出された電気二重層キャパシタ300の端子電圧に基づき、2次側制御部512が行う。接続状態への状態変化後は、充電対象に電力を供給するため、第2の2次側整流回路145と出力端子200aを結ぶ電路を導通状態とする必要がある。また、充電対象に過大な電圧が出力されるのを防ぐため、電気二重層キャパシタ300と出力端子200aを結ぶ電路は非導通状態とする必要がある。したがって、状態変化後は、2次側制御部512は、スイッチSW5を閉状態、スイッチSW6を開状態とするように制御する。
【0045】
≪実施の形態4≫
図6は、実施の形態4に係る充電器4000の全体構成を示す回路図である。
図6において、充電器1000,2000,3000におけるものと同じ構成には同符号を付している。
本実施の形態の充電器4000は、実施の形態2に係る充電器2000と同様に、充電対象は充電池BA1〜BA4である。さらに、電気二重層キャパシタの出力電圧が充電対象への入力電圧よりも高い場合に対応するものである。充電器4000における各回路の動作は充電器2000および充電器3000と同様であるので、実施の形態2,3の説明を参照されたい。なお、本実施の形態における充電対象の接続検出は、実施の形態2で説明したものと同様である。したがって、電気二重層キャパシタを検出機構として利用しない。そのため、充電器4000は、実施の形態3に係る充電器3000におけるスイッチSW5,SW6に相当するものは不要である。
【0046】
[変形例・その他]
以上、実施の形態1〜4について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、以下のような変形例等が考えられる。
(1)充電器の回路構成は上記の実施の形態で示したものに限定されない。例えば、上記の実施の形態においては、電圧変換制御部は専用ICを用いて構成する場合を想定した例を示したが、これに限定されるものではない。
【0047】
図7は、変形例に係る充電器の全体構成を示す回路図である。
図7に示す例は、実施の形態3に係る充電器3000に対する変形例である。
図7に示すように、本変形例は、充電器3000における電圧検出回路400と電圧変換制御部502を、これらの機能を兼ねた電圧検出部700に置換したものである。電圧検出部700は、電圧検出回路710,720を含む。
【0048】
電圧検出回路710は、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が、充電基準電圧である2[V]に低下したことを検出するものである。電圧検出回路710は、上記端子電圧が2[V]に低下したことを検出すると、電気二重層キャパシタ300を充電すべく起動用フォトカプラ150に起動信号を出力する。一方、電圧検出回路720は、電気二重層キャパシタ300の端子電圧が、その満充電時の電圧である5[V]になったことを検出する。電圧検出回路720は、電気二重層キャパシタ300が満充電になったことを検出すると、停止用フォトカプラ160に停止信号を出力し、電気二重層キャパシタ300への充電を停止する。
【0049】
さらに、電圧検出回路710は、上記端子電圧が5[V]から2[V]になるまでに要する時間もモニターしており、この時間に基づき非接続状態から接続状態への状態変化を検出する。非接続状態においては、スイッチSW5を開状態、スイッチSW6を閉状態となるようにする。また、接続状態においては、スイッチSW5を閉状態、スイッチSW6を開状態となるようにする。電圧検出回路710,720は、例えばオペアンプを用いて構成することが可能である。
【0050】
(2)充電対象への入力電圧(第2の電圧)を生成する2次側整流回路について、上記の実施の形態においては、ダイオードを2つ並列接続する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダイオードが1つのみであってもよい。また、ダイオードを複数個並列接続して構成する場合、ダイオードの個数は特に限定されるものではない。なお、ダイオードを複数個並列接続しているのは、当該ダイオードにおける損失改善のためである。
【0051】
(3)上記の実施の形態においては、補助電源として電気二重層キャパシタを用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。電気二重層キャパシタの他には、例えば、小型の二次電池、電解コンデンサ等を用いることも可能である。但し、補助電源として電気二重層キャパシタを用いた場合は、上述したように充電器のさらなる小型化を図ることが可能である。
【0052】
(4)実施の形態3,4においては、電気二重層キャパシタの出力電圧が充電対象への入力電圧よりも大きい場合を例に挙げて説明した。これとは逆に、充電対象への入力電圧が電気二重層キャパシタの出力電圧よりも大きい場合は、第2の2次側整流回路を2次巻線の両端に接続し、第1の2次側整流回路を2次巻線の一端とセンタータップに接続すればよい。
【0053】
(5)実施の形態1,3においては、充電対象が接続されたことを、電気二重層キャパシタを用いて検出することしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、充電対象の接続を物理的に検出するスイッチ等を設けることとしてもよい。
(6)上記の実施の形態は、本発明の構成およびその構成から奏される作用・効果を分かりやすく説明するために用いた一例である。したがって、本発明は、発明の本質とする構成部分以外について、上記の実施の形態に何ら限定を受・BR>ッるものではない。各図は、本発明が理解できる程度に配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、本発明は図示例に限定されるものではない。また、図を分かり易くするために、一部省略した部分がある。さらに、数値範囲を示す際に用いる符号「〜」は、その両端の数値を含む。