(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の接続手段(28;129;216;312;434および27;127;215;326;432)は、確実接続を実現するように構成される、請求項1に記載の薬剤送達装置。
前記第1および第2の接続手段(28;129;216;312;434および27;127;215;326;432)は、非確実接続を実現するように構成される、請求項1に記載の薬剤送達装置。
前記第1および第2の接続手段(28;129;216;312;434および27;127;215;326;432)は、バヨネット接続、ネジ接続または突起および溝として構成される、請求項1に記載の薬剤送達装置。
前記第1の分離手段はナット(36)を備え、前記ナット(36)は、前記作動機構(32,34)を作動させることにより前記ナットに前記保護キャップを変位させるように、前記ハウジングおよび前記保護キャップ(26)に動作可能に接続され、前記エネルギ蓄積部材(52)に駆動可能に接続される、請求項1から4のいずれかに記載の薬剤送達装置。
前記保護キャップアセンブリは、前記ハウジングに動作可能に接続され、前記エネルギ蓄積部材(130)に駆動可能に接続されたアクチュエータ(120)を含み、前記作動機構(132,136)は、前記アクチュエータを解放することによって前記第1および第2の分離手段を作動させるように、前記アクチュエータ(120)によって前記エネルギ蓄積部材(130)を保持することができる、請求項1から4のいずれかに記載の薬剤送達装置。
前記回転子(230)にはカム面(236)および突起(232)が配置され、前記伝達手段はさらにガイド部材(218)を含み、前記ガイド部材(218)には、前記アクチュエータ(238)によって前記回転子(230)を回転させることで前記回転子(230)を装置の近位方向に変位させるように、カム面(228)が配置されている、請求項14に記載の薬剤送達装置。
前記作動部材は、前記エネルギ蓄積部材(462)に対して動作可能に作用する遠位方向のアーム(458)と、前記アーム(458)上におけるロック部材(466)とを備え、前記ロック部材(466)は、前記エネルギ蓄積部材(462)が圧縮されたときに前記作動部材(454)が変位することでロック部材が保護キャップ(428)に対してロックされるように、前記保護キャップ(428)に動作可能に接続される、請求項18に記載の薬剤送達装置。
ハウジング(414)と前記キャップ(428)との間で動作可能に配置されるエジェクタスリーブ(412)をさらに含み、前記エネルギ蓄積部材(462)は、前記エジェクタスリーブのレッジ(418)の表面と前記機械的アクチュエータとの間に動作可能に配置される、請求項20に記載の薬剤送達装置。
前記リムーバ(64;140;444)は、前記保護キャップ(26;126;428)の変位が、前記薬剤容器に対する前記リムーバ(64;120;444)およびシールド(22;116;446)の軸方向の変位をもたらすように、前記保護キャップに動作可能に配置される、請求項23または24に記載の薬剤送達装置。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
市場には、薬剤を自己投与できるよう開発されてきた多くの薬剤送達装置が出回っており、一大グループとして薬剤注射装置が挙げられる。これらの注射装置の多くには、取外し可能な針カバーアセンブリが設けられていた。コアカバーは、いわゆる剛性針カバーもしくは剛性針シールド(RNS:Rigid Needle Shield)、またはいわゆる弾性針カバー
もしくは弾性針シールド(FNS:Flexible Needle Shield)であり得る。
【0003】
これらのRNS/FNSは、針を無菌状態にしたり不用意な針の突刺さりを防いだりするために、使用前に注射針を保護するように配置される。これらのRNS/FNSの多くは、シリンジなどの薬剤容器の首部分に押付けられる。この場合、RNS/FNSには、シリンジの表面に接する内側キャップが設けられており、この内側キャップは、好ましくは弾性材料、通常はゴムでできており、これにより、しっかりと把持したり、キャップとシリンジとの間を十分に封止したりすることが確実となる。しかしながら、このようにしっかりと把持した場合、注射のためにシリンジからRNS/FNSを取外すことが困難になるという問題が生じる。
【0004】
したがって、ユーザがRNSを取外すのを支援するよう意図されたいくつかのRNS/FNS取外し装置が開発されてきた。文献WO2007/047200、WO2006/106290およびWO2005/115508は、この問題に対するさまざまな解決策を開示している。しかしながら、これら文献はすべて、RNSおよびその弾力性のある内側キャップを含むアセンブリ全体を手動でねじるかまたは回転させるという機能を含む。これは大きな欠点となる。というのも、このねじる動作により、内側キャップが、通常細くて容易に湾曲可能な注射針を極めて容易に破損させてしまうのであれば、RNSの取外しの際に、針が注射に使用できなくなるほどに破損してしまうからである。
【0005】
また、これらの解決策はすべて、シールドリムーバ機構を把持して、ねじり、引っ張りおよびこれらの組合せなどのいくつかの手動での動作を実行することによって行われる手作業を必要とする。これは、手の器用さや運動制御が損なわれているすべての人にとっては不利点となる。さらに、これらのすべての解決策では、RNS/FNSを取外した後に薬剤送達装置を把持し直すことが必要となる。このことは、ユーザが次に針を刺して注射するために把持し直すときに注射針が露出されてしまうという欠点ともなり得る。細い針が処置中に破損するという可能性があるだけではなく、ユーザまたはその付近にいる他の人々が露出した針によって傷つけられるという可能性もある。
【0006】
文献WO2009/01
9440が開示する注射装置が備えるキャップは、長手方向軸を中心として回転させて取外されるものである。キャップを回転させている間、針シールド保持器は吐出ノズルに対して回転せず、ハウジングに相対的なキャップの回転運動が、ねじ山同士の係合によって達成される出口開孔部から軸方向に離れる方向への針シールド保持器の直線運動に変換される。これにより、針シールドは吐出ノズルから引離され、出口開孔部を通って中心ボス内に入る。回転後、ユーザが最後にハウジングからキャップを引離すと、針シールドおよび吐出ノズルが互いから分離され、キャップが注射装置から完全に取外される。
【0007】
このように、第440号に従った装置では、針シールドをねじったり回転させたりせず、ねじ付き部品との回転相互作用により、薬剤送達装置の出口開孔部から針シールド保持器を直線的に移動させる。しかしながら、この解決策は、必要な部品数の点で複雑になってしまい、さらに、上述のように手作業の把持動作が必要となる。また、ユーザは、針シールドを取外した後に把持し直さなければならず、このことによって引き起こされるおそれのあるリスクに対処しなければならなくなる。
【0008】
針を破損させるリスクを減らすとともに人に傷を負わせるリスクを減らしつつ、薬剤送達装置からの針シールドの取外しを簡素化する解決策が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な説明
本願において、「遠位」という語が用いられる場合、これは、投与送達部位から離れていく方向を指す。「遠位部分/遠位端」という語が用いられる場合、これは、送達装置またはその部材のうち、投与送達部位から最も遠くに離れたところに位置する部分/端部を指す。これに対応して、「近位」という語が用いられる場合、これは、投与送達部位に向かっていく方向を指す。「近位部分/近位端」という語が用いられる場合、これは、送達装置またはその部材のうち、投与送達部位に最も近いところに位置する部品/端部を指す。
【0010】
本発明の主な局面に従うと、独立特許請求項1の特徴によって特徴付けられる。この発明の好ましい実施形態は従属特許請求項の主題をなす。
【0011】
本発明は薬剤送達装置に関する。好ましくは、薬剤送達装置は、薬剤容器を収容するように構成された少なくとも1つのハウジング部分を備えたハウジングを含み得る。
【0012】
薬剤容器は、薬剤容器と一体化されるかまたは取付け可能な部材として配置される送達部材を備える。薬剤送達部材にはさらに、好ましくは、上記送達部材を覆うシールドが配置される。この点に関して、いくつかのさまざまな薬剤送達部材シールドが本発明に組込まれており、剛性針シールド(RNS)、弾性針シールド(FNS)およびこれらの組合せなどが実現可能なシールドのうちほんの数例に過ぎないことが理解されるはずである。
【0013】
ハウジングは第1の接続手段を含み得る。装置はさらに、第2の接続手段を含み得る保護キャップを含む保護キャップアセンブリを備え得る。第1および第2の接続手段は、保護キャップをハウジングに対して変位させることにより保護キャップをハウジングから取外すことが可能になるように構成される。この点に関して、ハウジングに対する保護キャップの変位が直線変位、回転変位およびこれらの組合せであり得ることが理解されるはずである。
【0014】
さらに、第1および第2の接続手段は、確実接続(positive connection)を実現するように構成されてもよい。すなわち、2つの接続手段は、接続手段の形状によって互いにロックするように設計されている。たとえば、これら2つの接続手段は、バヨネット接続またはネジ接続として構成されてもよい。
【0015】
代替例として、第1および第2の接続手段は、非確実接続(non-positive connection)を実現するように構成されてもよい。すなわち、これら2つの接続手段は、それらの間の摩擦によって互いにロックするように設計されている。
【0016】
さらに、本発明に従うと、保護キャップはさらに、ハウジングから保護キャップを取外すことによりシールドが薬剤容器から取外されるように、薬剤容器のシールドに接続するための第3の接続手段を含む。
【0017】
本発明の主要な一特徴に従うと、保護キャップアセンブリはさらに第1の分離手段を含む。当該第1の分離手段は、保護キャップアセンブリの分離手段を作動させることによってハウジングに対する保護キャップの変位がもたらされるように、ハウジングおよび保護キャップの対応する第2の分離手段と相互作用するように構成される。また、ハウジングに対する保護キャップの変位は直線変位、回転変位およびこれらの組合せであり得ることが理解されるはずである。
【0018】
本発明の実際的な一代替例に従うと、保護キャップアセンブリは、エネルギ蓄積部材を含み得る。このエネルギ蓄積部材は、適切な特徴を示すいくつかの材料でできた機械的ばね部材の形状であってもよい。コイルばねが利用される場合、このコイルばねは、数例を挙げると、圧縮ばね、ねじりばね、平坦なクロックスプリングであってもよい。他の実現可能なエネルギ蓄積部材は、板ばね、ガススプリング、弾性材料などを含み得る。
【0019】
エネルギ蓄積部材を操作するためには、エネルギが与えられた状態で上記エネルギ蓄積部材を保持するように構成され、かつ、上記分離手段を作動させるために作動時に上記エネルギ蓄積部材を解放するように構成された作動機構が保護キャップアセンブリにも備わっていれば有利である。作動機構があれば、たとえば、薬剤送達装置への搭載前に保護キャップアセンブリを組立てることができる。
【0020】
分離手段はいくつかの異なる設計を含んでもよく、実現可能な一設計はナットを利用するものである。当該ナットは、上記ハウジングおよび上記保護キャップに動作可能に接続され、上記エネルギ蓄積部材に駆動可能に接続されており、これにより、上記作動機構を作動させることで上記ナットに上記保護キャップを変位させるようにする。ナットが保護キャップアセンブリに含まれている場合、エネルギ蓄積部材が回転変位および近位方向への変位をもたらすことができれば有利である。この場合、ねじりばねまたは平坦なクロックスプリングが有利であるかもしれない。
【0021】
ナットとハウジングとの間の機械的接続において、上記ナットはさまざまな設計を有していてもよい。たとえば、ナットには、上記ハウジング上の対応するねじ山と協働するように配置されたねじ山が配置されてもよい。別の設計に従うと、ナットには、上記ハウジング上の対応するバヨネット接続部材と協働するように配置されたバヨネット接続部材が配置されてもよい。
【0022】
本発明の別の主要な局面に従うと、保護キャップアセンブリは、上記ハウジングに動作可能に接続され、上記エネルギ蓄積部材に駆動可能に接続されたアクチュエータを含んでもよい。上記作動機構は、上記アクチュエータを解放することによって上記分離手段を作動させるように、上記アクチュエータによって上記エネルギ蓄積部材を保持することができる。
【0023】
この設計では、エネルギ蓄積部材は、好ましくは、上記保護キャップと上記アクチュエータとの間に動作可能に配置され、これにより装置の近位方向に向かって直線方向の力をもたらす圧縮ばねを含んでいてもよい。
【0024】
作動機構は、エネルギ蓄積部材と組合わせて、上記保護キャップ上に動作可能に配置されたボタンを含んでもよい。ボタンは、使用前に薬剤送達装置から取外されるべき特徴上に位置決めされると、ユーザにとって制御し易くなる。
【0025】
上述の設計の利点は、保護キャップを取外すためにユーザが多くの力または電力を必要としない点である。エネルギ蓄積部材を作動させると、保護キャップは装置から自動的に取外されることとなり、その後、薬剤送達装置は薬剤送達のための準備が完了する。さらに、保護キャップを取外す自動的な機能があるので、薬剤送達装置は、取外しの後にユーザが把持し直す必要がなくなるように設計することができる。
【0026】
本発明のさらに主な局面に従うと、分離手段は代替例または変形例として機械的アクチュエータを含んでもよい。この機械的アクチュエータは、当該アクチュエータに加えられる力がハウジングに相対的な保護キャップの変位をもたらすように、手作業で動作可能に配置されている。この特徴があれば、保護キャップを変位させる力が、エネルギ蓄積手段以外の他の手段によって得られ、これにより、ユーザが装置を保持するために一回把持するだけで力が与えられ得る。
【0027】
たとえば、機械的アクチュエータは、装置の遠位方向に加えられる力によって動作可能となるように配置される。これは、薬剤送達装置の近位端を表面に押付けることもでき、これにより遠位方向に力がもたらされるであろうことを意味する。さらにこの点に関して、保護キャップを取外すために装置を表面に押付けるのに用いられているユーザの把持は、次の薬剤送達ステップでも同じように用いられるだろう。
【0028】
保護キャップの取外しをさらに容易にするために、上記分離手段はさらに、上記機械的アクチュエータの遠位方向への変位を、上記保護キャップの近位方向への変位に伝達することのできる伝達手段を含み得る。
【0029】
伝達手段はたとえば回転子を含み得る。回転子は、上記回転子を回転させるための上記機械的アクチュエータに動作可能に接続されている。この点に関して、回転子にカム面および突起が配置されていれば有利であり、上記アクチュエータによって上記回転子を回転させることで回転子を装置の近位方向に変位させるように、上記伝達手段がカム面を備えたガイド部材をさらに含むことも有利である。1つの構成要素においていくつかの特徴および機能を提供することができるという意味で、回転子を用いることは実際的である。しかしながら、伝達手段は、代りに、てこ機構または他の機械的機能を備えていてもよい。
【0030】
伝達手段を用いることのさらなる利点は、それが、アクチュエータ変位力よりも大きい保護キャップ変位力をもたらすように設計され得ることである。したがって、表面に対して装置を押付けるときにユーザがそれほど大きな力を用いなくてもよい可能性があり、このことは、力の弱いユーザまたは手の機能が損なわれたユーザにとって利点となる。
【0031】
本発明の有利な実施形態に従うと、接続手段はFNS/RNSリムーバであり、この点に関して、リムーバは、上記保護キャップの変位が上記薬剤容器に対する上記リムーバおよびシールドの軸方向変位をもたらすように、上記保護キャップに動作可能に配置される。
【0032】
全体として、非常に用途が広くて使いやすく安全性の高い装置が本発明によって得られる。
【0033】
本発明のこれらおよび他の局面ならびに利点は、本発明の以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになるだろう。
【0034】
図面の簡単な説明
本発明の以下の詳細な説明においては、添付の図面を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
本発明の第1の実施形態が
図1〜
図6に示される。第1の実施形態は、以下、前部シェル10と称される近位部分を含む。前部シェル10は、主要なハウジングの一部であり、ハウジングの残りの部分は明確にするために取外されている。装置に含まれているが本発明の一部をなすものではない他の構成要素および機能も明確にするために取外されている。
【0037】
前部シェル10には、近位方向の首部分12が配置される(
図2)。首部分12の外面にはねじ山14が配置されており、このねじ山14がハウジングの第2の分離手段を形成する。前部シェル10はさらに、細長い円筒体の形状を有しその遠位端にカラー18を備えた薬剤容器16を収容するように構成される。薬剤容器の内部空間には薬剤が満たされており、その遠位側の開口部は可動ストッパ(図示せず)によって閉じられている。
【0038】
薬剤容器16の近位端には、実施形態において注射針20として示される薬剤送達部材が配置される。注射針は、保護のために、実施形態においてはいわゆるRNS、すなわち剛性針シールドと称される針シールド22(
図2)によって囲まれている。この針シールド22は、注射針を囲むゴムなどの弾性材料でできた管状の内側シースを含む。RNSはさらに、シースを囲みこのシースに取付けられている剛性材料の外側シェルを含む。RNS22を備えた薬剤容器16は、RNS22が前部シェル10のねじ山付き近位側首部分12から突出るように、前部シェル10に位置決めされる。
【0039】
本発明に従った装置は保護キャップアセンブリ24(
図2)を含む。保護キャップアセンブリ24は開示される実施形態においては保護キャップ26を含む。保護キャップ26は、遠位方向の開口部27を有する。開口部27は装置の第2の接続手段を形成する。保護キャップおよび前部シェルは、保護キャップ
26の遠位端にある開口部27が前部シェル10の窪み部分28(窪み部分28は装置の第1の接続手段を形成する)に、装置の長手方向30へのこれら2つの間の一定の摩擦によって、嵌まり得るように設計されている。これにより、保護キャップ26および前部シェル10は、それらの間で回転ロックが得られるように設計されている。
【0040】
保護キャップアセンブリ24はさらに、作動部材32を含む作動機構を備える。作動部材32は、本実施形態においては、保護キャップ26の外面上で摺動可能に配置されたボタン32(
図6)の形状で示される。ボタン32の一部は開口部を通って保護キャップ内に延在する。ボタン32のこの部分には、作動機構に含まれて遠位方向に延在する板状の作動部材34が配置される。
【0041】
さらに、保護キャップアセンブリは、以下駆動ナットと称されるナット36を含む。ナット36の円筒内面には、第1の分離手段を形成するねじ山38(
図5)が配置される。ねじ山38は、前部シェル10の首部分12のねじ山14と協働するように設計される。駆動ナット36の近位方向の端面には、近位側に向けられたいくつかの突起40(
図6)が配置されている。これらの突起40は、リング状の駆動部材44(
図5)の内面上にある円周方向に延在する切欠42に嵌まり込むように配置される。この駆動部材44は第1の分離手段に含まれる。円周方向の切欠42には、遠位方向のいくつかのレッジ(ledge)46(
図5)が配置されており、これにより、駆動ナット36の突起40がレッジ46に係合して、駆動ナット36と駆動部材44との間に回転ロックをもたらすようにする。
【0042】
駆動部材44の外面にはさらにレッジ48(
図6)が配置される。レッジ48は作動部材34と協働するように設計されており、このため、作動部材34が駆動部材44のレッジ48と係合する位置にある場合、駆動部材44から回転ロックが得られることとなる。駆動部材44にはさらに、第1の分離手段にも含まれる、駆動ばね52のための取付け点50(
図6)が配置される。図示される実施形態においては、駆動ばね52は、駆動部材44の取付け点50の穴に嵌まり込む遠位端54を有するねじりばねである(
図5)。駆動部材44の外面上には円周方向のレッジ56が配置され、このレッジが、保護キャップ26の内面上の座部58(
図4)に嵌まり込むように配置されることにより、長手方向に相対的なロックをもたらすが、保護キャップ26に対する駆動部材44の回転も可能にする。
【0043】
ねじり駆動ばねの近位端60は、保護キャップ26の内部にある遠位方向の端面63(
図4)上でレッジ62(
図4)に係合するように配置されている。ここで端面63は、保護キャップ26の第2の分離手段を形成する。シールドリムーバ64がさらに保護キャップに取付けられて、第3の接続手段を形成する。シールドリムーバ64は円筒形部材を含み、その近位端には、円周方向外側に突出るレッジ66(
図2)を備える。近位端はさらに、保護キャップ26の遠位方向の端面上にある円筒形の座部
69に嵌まり込む。円筒形の座部
69には円周方向の溝が配置されており、ここにシールドリムーバ64の円周方向のレッジ66が嵌まり込み、これにより、シールドリムーバ64が保護キャップ26でロックされるようにする。シールドリムーバ64の遠位端にはさらに舌状部68が配置される。舌状部68は近位方向に向けられており、装置の長手方向に対して傾斜している。
【0044】
本発明に従った装置は、駆動ナット36が前部シェル10の首部分12に捩じ留められるように、前部シェル10に取付けられるよう意図されている。RNS22を備えた薬剤容器16は前部シェル10に嵌め込まれる。
【0045】
駆動ばね52は、レッジ62と係合するその近位端60が保護キャップ内に配置され、駆動部材44は駆動ばね52の遠位端54に取付けられる。次いで、駆動部材44が保護キャップに押し込まれ、保護キャップ26の座部58にロックされる。押しボタン32が近位方向に押し込まれ、これにより、駆動ばね52に一定量の張力がかかるまで、駆動部材44を好適な工具(図示せず)を用いて回転させることが可能となる。次いで、押しボタン32が遠位方向に押し返され、これにより、作動部材34が移動して駆動部材44の
レッジ48と係合し、これにより、張力がかけられた駆動ばね52で駆動部材44を回転ロックする。
【0046】
次いで、保護キャップアセンブリ24が前部シェル10に押付けられ、これにより、シールドリムーバ64がRNS22の剛性シェルを囲む。RNS22に相対的にシールドリムーバ64を移動させている間、傾斜した舌状部68が剛性シェルに接触し、径方向に外側に曲がり、剛性シェルの外面に沿って摺動することとなる。保護キャップ26が前部シェル10上で適所に押し込まれ、摩擦接触によってそこで保持されると、駆動ナット36の近位方向の突起40が駆動部材44の
切欠42に嵌まり込む。ここで装置を使用する準備が完了する。この初期位置を
図1に示す。
【0047】
ここでユーザが1回分の薬剤を投与しようとする場合、最初に、保護キャップアセンブリ24を取外さなければならない。次いで、ユーザが作動機構のボタン32を近位方向に押す。これにより、作動部材34を移動させて駆動部材44のレッジ48から離す。これ以降、駆動部材44は、ねじりばね52の力によって自由に回転することができるようになる。駆動部材44と駆動ナット36との間の回転ロックにより、後者(駆動ナット36)も前部シェル10のねじ山14に沿って回転することとなり、これにより、駆動ナット36が近位方向に移動する。この近位方向への移動により、シールドリムーバ64を含む保護キャップアセンブリ24全体が近位方向に推し進められる。次いで、シールドリムーバ64の傾斜した舌状部68がRNS22の剛性シェルに噛み合うこととなり、これにより、RNS22も近位方向に移動することとなる。ねじ山付きの首部分12の長さおよび駆動ばね52の強度は、保護キャップ26が前部シェル10から取外され、RNS22が薬剤容器16の注射針20から取外され、これにより保護キャップ26が外れるかまた持ち上げられるまで、駆動ナット36が回転するように設計されている。こうして、駆動ナット36の回転を停止させると、この駆動ナット36は単に前部シェル10の首部分12上に載っているだけとなる。ここで、装置は、針の差込みおよび薬剤の注入のための準備が完了する。
【0048】
当然のことながら、自動的な保護キャップリムーバを作動させることなく、保護キャップアセンブリ24を全くの手動で薬剤送達装置から取外すことができる。ユーザは、単に保護キャップを把持し、保護キャップと前部シェルとの間の摩擦力および注射針とシースとの間の摩擦に逆らってこの保護キャップを近位方向に引張るだけでよい。
【0049】
図7〜図
11は本発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、薬剤送達装置の前部シェル110を含む。前部シェル110は、その近位端において注射針114を有する薬剤容器112を収容するように配置される。この注射針114は、針シールド116(図示される実施形態においてはRNS)によって保護される。RNS116は、前部シェル110の近位方向の首部分118から突出ている。第1の分離手段を形成する概して円筒形のアクチュエータ120は、首部分118上に配置され、前部シェル110の肩部分122と接する遠位方向の端面を有し、首部分118を囲んでいる。肩部分122はハウジングの第2の分離手段を形成する。アクチュエータ120にはさらに、径方向の肩部124が配置される。
【0050】
アクチュエータ120は、本発明の保護キャップアセンブリ128に含まれる保護キャップ126に嵌まり込むように意図されている(
図8)。アクチュエータ120の肩部分124は、保護キャップ126の内部形状に対応する形状を有し、これにより、保護キャップ126に対するアクチュエータ120の回転ロックをもたらす。保護キャップ126は薬剤送達装置の近位端に配置されており、前部シェル110の(第1の接続手段を形成する)窪み部分129に押し込まれてそこで摩擦によって保持されるように配置された遠位方向の開口部127を有する。開口部127は第2の接続手段を形成する。さらに、第1の分離手段に含まれる圧縮ばね130は、保護キャップ126のうち遠位方向の内面131とアクチュエータ
120の肩部分124のうち近位方向の端面との間に配置される。内面131は、保護キャップの第2の分離手段を形成する。
【0051】
保護キャップアセンブリ128はさらに作動機構を含む。作動機構は保護キャップの外面上に作動部材を含み、作動部材は、図示される実施形態においてはボタン132(
図9)であって、装置の長手方向134に対して横断する方向に摺動可能である。ボタン132は保護キャップ126の開口部を通って延在しており、作動機構に含まれる板状の作動部材136に取付けられる。作動部材は、初期位置では、アクチュエータの肩部のうち遠位方向の表面に接している(
図9)。肩部分にはさらに、作動部材136に隣接して切欠138(
図10)が配置される。
【0052】
シールドリムーバ140(
図8)はさらに保護キャップに取付けられ、第3の接続手段を形成する。シールドリムーバ140は円筒形部材を含み、その近位端に、円周方向外側に突出るレッジ142を備える。近位端はさらに、保護キャップのうち遠位方向の端面上にある円筒形の座部143(
図7)に嵌まり込む。円筒形の座部には円周方向の溝(図示せず)が配置されており、ここに円周方向のレッジ142が嵌まり込んで、シールドリムーバ140を保護キャップ126とロックするようにする。シールドリムーバの遠位端にはさらに舌状部144が配置されている。舌状部144は、近位方向に向けられ、装置の長手方向134に対して傾斜している。
【0053】
保護キャップアセンブリ128が装置に配置される場合、圧縮ばね130が保護キャップ126の内部に配置される。次いで、ボタン132が初期位置から摺動させられ、その後、アクチュエータ
120がばね130の力に逆らって保護キャップに押し込まれ、これにより、後者(ばね130)が圧縮される。次いで、ボタン132がその初期位置に戻され、これにより、ばね130が保護キャップ126の内部で圧縮された状態で保持される。次いで、保護キャップアセンブリ128が前部シェル110の窪み部分129に押付けられる。これにより、リムーバ140がRNS116の剛性シェルを囲む。リムーバをRNSに相対的に移動させている間、傾斜した舌状部144が剛性シェルと接触し、径方向外側に曲がり、剛性シェルの外面に沿って摺動することとなる。保護キャップ126が前部シェル上で適所に押し込まれ、摩擦接触によってそこで保持されると、
図7に示されるように、アクチュエータ120のうち遠位方向の表面が前部シェルの肩部分122に接触する。ここで装置を使用する準備が完了する。
【0054】
ここで、ユーザが1回分の薬剤を投与しようとする場合、まず、保護キャップアセンブリ128を取外さなければならない。次いで、ユーザは、作動機構のボタン132を横方向に押す。これにより、作動部材136をアクチュエータの肩部124の
切欠138にまで移動させ、これにより、アクチュエータ
120から離す。これにより、圧縮ばね130の力が解放されて、アクチュエータ120が遠位方向に向かって前部シェル110の肩部
分122に押付けられることとなる。ばね130の力により、保護キャップ126と前部シェル110との間の摩擦力およびRNSと注射針との間の摩擦力のそれぞれに逆らって保護キャップ126を近位方向に移動させ、これにより、針シールド116を備えた保護キャップアセンブリ128が取外されて、注射針114を露出させる。ここで、装置は、針の差込みおよび薬剤の注入のための準備が完了する。
【0055】
当然ながら、自動的な保護キャップリムーバを作動させることなく、保護キャップアセンブリを全くの手動で薬剤送達装置から取外すことも可能である。ユーザは、単に保護キャップを把持し、保護キャップと前部シェルとの間の摩擦力および注射針とシースとの間の摩擦に逆らって、この保護キャップを近位方向に引張るだけでよい。
【0056】
図12から
図17は本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態においては、針シールドおよびシールドリムーバを備えた薬剤容器は省略されているが、当業者であれば、上述と同じ構成要素および特徴が本発明の概念から逸脱することなく第3の実施形態に適用され得ることを容易に理解し得るだろう。
【0057】
薬剤送達装置のハウジング210の近位端には保護キャップアセンブリ212が配置される(
図12)。保護キャップアセンブリ212は、保護キャップ214(
図13)を含む。保護キャップ214は、第2の接続手段を形成する遠位方向の開口部215を有し、ハウジングの近位端において、第1の接続手段を形成する窪み部分216に嵌まり、そこで保護キャップ214とハウジング210との間の一定の摩擦によって保持されるように設計されている。保護キャップ214および
窪み部分216は、保護キャップ214がハウジング210に回転ロックされるように設計される。
【0058】
保護キャップアセンブリ212はさらに、概して管状であり第1の分離手段を形成するガイド部材218(
図13)を含む。ガイド部材218は遠位端面がハウジングの近位端面220と接触するように配置される。この近位端面220が第2の分離手段を形成する。ガイド部材218には長手方向に延在するガイド222(
図14)が配置される。これらガイド222は、保護キャップ214の内面上の対応する溝224に嵌まり込むように配置される。この構成であれば、ガイド部材218が、保護キャップ214と、これによりハウジング210とに回転ロックされる。ガイド部材218のうち近位方向の端面には、傾斜した第1の表面228を有する切欠226が配置される(
図13)。
【0059】
保護キャップアセンブリ212はさらに、概して管状の回転子230を含む。この回転子230は第1の分離手段に含まれる。回転子230は、ガイド部材218よりもいくらか小さい直径を有し、ガイド部材内に延在するように配置される。回転子230には、径方向外側に延在する突起232(
図14および
図15)が配置される。突起232は、以下に説明するように、第1の傾斜した表面228と接触するように設計される。回転子230にはさらに、傾斜した第2の表面236を有する切欠234が配置される(
図13)。
【0060】
保護キャップアセンブリ212はさらにアクチュエータ238(
図13および
図14)を含む。アクチュエータ238は概してU字形であり、保護キャップ214の近位端面における開口部240を通って延在するように配置される。開口部240はアクチュエータ238の形状に対応する形状を有する。アクチュエータ238の側面にはさらに、径方向に延在する突起242が配置される(
図14および15)。突起242は、以下に説明するように、第2の傾斜した表面236に接触するように設計される。保護キャップ214にはさらに、保護キャップの第2の分離手段を形成する遠位方向の端面246(
図14)が配置される。
【0061】
第3の実施形態は、以下のように機能するよう意図される。保護キャップアセンブリ212は、ハウジングの近位端に押付けられると、保護キャップ214とハウジング210との間の摩擦によって適所に保持される。さらに、RNSなどの針シールドはハウジングの首部分244(
図13)を通って延在している。針シールドは、第3の接続手段を形成するリムーバ(図示せず)によって囲まれ、次いで、保護キャップ214の内部に取付けられる。
【0062】
ユーザが1回分の薬剤を投与するために保護キャップアセンブリを取外そうとする場合、保護キャップアセンブリ212を含む装置の近位部分が剛性面に押付けられ得るように、薬剤送達装置が把持される。こうして、保護キャップアセンブリ212が押付けられると、アクチュエータ238が保護キャップ214内へと遠位方向に推し進められる。この直線移動により、アクチュエータ238の突起242が回転子230の第2の傾斜した表面236に対して作用する(
図16)。第2の
傾斜した表面
236の傾斜およびアクチュエータ238の回転ロックにより、回転子230を強制的に回転させる。
【0063】
回転子230が回転することにより、その突起232がガイド部材218の第1の傾斜した表面228に対して作用する。第1の傾斜した表面228の傾斜およびガイド部材218の回転ロックにより、回転子230は回転中に近位方向に移動する(
図17)。回転子230は、その近位端面が保護キャップ214のうち遠位方向の表面246と接触し、これにより、回転子230が近位方向に移動することで、保護キャップとハウジングとの間の摩擦力および針シールドと注射針との間の摩擦力に逆らって保護キャップ214を近位方向に移動させるように、設計されている。
【0064】
アクチュエータ238が保護キャップ214に十分に押し込まれると、保護キャップ214が、ハウジング210から離されて完全に取り外され得るように近位方向に移動した状態となる。この点に関して、力要件が適度に維持されるように、かつ、回転子230の往復運動で保護キャップアセンブリ212を緩めることが可能となるように、回転子230およびアクチュエータ238上のそれぞれの突起232および242ならびにガイド部材218および回転子230のそれぞれの傾斜面228および236が選択されることが理解されるはずである。
【0065】
第3の実施形態も完全に手動で取り外され得るが、それは、ユーザが保護キャップを把持し、当該保護キャップを適所に保持する力に逆らって近位方向に引張ることにより、保護キャップアセンブリを薬剤送達装置から引っ張り出すことによるものである。この解決策の利点は、保護キャップアセンブリを取外すために最初に装置を把持した状態がその後の針の差込みおよび注射中にも継続され得る点である。このため、ユーザは投与中に把持し直す必要がない。
【0066】
図18から図
23は本発明の第4の実施形態を開示する。第4の実施形態はハウジング部分310を含む。ハウジング部分310は、概して径方向に小さくなる近位区域312を備え、近位方向のレッジ314を備える。ハウジング部分の内部には、薬剤容器316が、近位区域から突出るような位置に配置される。薬剤容器316の近位端には、薬剤容器316に取付けられるかまたは薬剤容器316と一体化された薬剤送達部材318(
図20)が配置される。薬剤送達部材は、たとえばRNSまたはFNSなどの保護針シールド320によって覆われている。図示される実施形態においては、シールドはFNSである。
【0067】
保護キャップアセンブリ322がさらに装置に設けられる。保護キャップアセンブリ322は保護キャップ324を含む。保護キャップ324は概して管状であり、遠位方向の開口部326(
図21)を備える。開口部326は、遠位方向の端面327がハウジング
部分310のレッジ314と接触した状態で、一定の摩擦でハウジングの近位区域312に嵌まるような形状および寸法にされている。保護キャップの端壁330のうち遠位方向の内面328には、遠位方向に延在する概して管状の部材332が配置されている。管状の部材332の内面には、くさび形の突起として設計されたいくつかの把握部材334が配置されている(
図21)。その機能を以下に説明する。
【0068】
アクチュエータ部材336(
図21)は、保護キャップ324に配置されており、保護キャップの端壁330における通路338(
図19)を通って摺動可能かつ突出るように配置された細長い部材の形状をしている。アクチュエータ部材336の遠位端は、リング状の作動部材340(
図21)に取付けられるかまたは作動部材340と一体化されており、これにより、アクチュエータ部材336と作動部材340との間の接続によって何らかのヒンジ作用がもたらされる。ヒンジ接続部に対してリング状の作動部材340の反対側の端部には、概して径方向外側に向けられた突起342が配置される。この突起は、保護キャップ324の内面上にある窪み344に嵌まり込んでヒンジ345(
図22および
図23)をもたらすように意図されている。さらに、ハウジングのうち近位方向の端面は、装置の長手方向350に対して傾斜した2つの区域346、348(
図19)に配置され、これにより先の尖った2つの突出部352が得られる。
【0069】
装置は、以下のように機能するよう企図されている。
保護キャップアセンブリ322は、突起342が窪み344内に嵌まり込み、
アクチュエータ部材336が保護キャップ324の開口部を通って延在した状態でリング状の作動部材340が保護キャップ324の内部に設置されるように、配置される。保護キャップアセンブリ322は、ハウジング
部分310のうち近位側の窪んだ
区域312に押付けられる。ハウジング
部分310は、薬剤送達部材318がシールド320によって覆われた状態で薬剤容器316を収容する。保護キャップ324がハウジングに押付けられると、保護キャップの管状部材332がシールド320を囲む(
図20)。くさび形の把握部材334は、遠位端面がレッジ314に接触するまで、シールド320の表面に沿って摺動する(
図22)。
【0070】
保護キャップ324が取外される際、装置の近位端とこれにより保護キャップアセンブリ322とが堅い表面に押し当てられる。これにより、
アクチュエータ部材336が保護キャップ324に対して遠位方向(
図22)に押される。
アクチュエータ部材336を遠位方向に移動させると、リング状の作動部材340も、これら2つの部材間の相互接続により遠位方向に動かされる。しかしながら、リング状の作動部材340の反対側がヒンジ345を介して保護キャップに取付けられていることにより、かつ、概ねヒンジ345と
アクチュエータ部材336の接続部との間に配置される先の尖った突出部
352により、リング状の作動部材340が先の尖った突出部
352を中心として回動することとなる(
図23)。さらに、この回動動作によりヒンジ345が近位方向に移動し、これにより保護キャップ324を近位方向に移動させることにより、保護キャップ324が、保護キャップとハウジング部分
310との間の摩擦力に逆らってハウジング部分から押出される。把握部材334がシールド320内に噛み込んでいるので、シールド320も薬剤送達部材318から押出されることとなる。保護キャップアセンブリが取外されると、装置は薬剤送達のための準備が完了する。
【0071】
ユーザが保護キャップを把持し、それを適所に保持する力に逆らって近位方向に引っ張ることによって保護キャップアセンブリを薬剤送達装置から引出すことで、第4の実施形態も完全に手動で取り外され得ることが理解されるはずである。この解決策の利点はまた、保護キャップアセンブリを取外すために装置を最初に把持した状態がその後の針の差込みおよび注射中にも継続され得る点である。このため、ユーザは投与中に把持し直す必要がない。
【0072】
本発明に従った保護キャップアセンブリ410を含む薬剤送達装置の第5の実施形態が
図24〜
図35に示される。第5の実施形態は、以下においてエジェクタスリーブ412(
図25)と称される概して管状のスリーブを含む。薬剤送達装置のハウジング414の近位端部分、たとえば前部シェル、よりもいくらか大きな内径を有するエジェクタスリーブ412が選択される。この近位端は、たとえば針の差込みおよび注射のために装置を作動させる目的で装置の長手方向軸415に沿って摺動可能な作動部材416を含む。エジェクタスリーブ412の遠位端には、円周方向外側に向けられたレッジ418(
図26および
図27)が配置される。レッジ418の遠位面は、ハウジングの第2の分離手段に含まれる、薬剤送達装置のうち近位方向の円周面区域420(
図25)に接するように意図されている。エジェクタスリーブ412の近位端にはさらに、円周方向内側に向けられたレッジ422(
図27)が配置される。このレッジ422は環状の通路424を形成する。レッジ422にはいくつかのスリット426が配置される。その機能を以下に説明する。
【0073】
概して管状のキャップ428(
図26および27)は、エジェクタスリーブ412の径方向外側に、かつエジェクタスリーブ412と同軸に配置される。キャップ428の内径として、概してエジェクタスリーブの外側に向けられた遠位側のレッジ418と同じ内径が選択され、これにより、エジェクタスリーブ412とキャップ428との間に円周方向の隙間430(
図28)が設けられる。キャップ428の遠位端には、第2の接続手段に含まれ内側に向けられた突起432(
図29および
図31)が配置される。これら突起は、第1の接続手段に含まれる円周方向の溝434に嵌まり込んで(
図25および
図31)、ハウジング414のうち近位方向の表面420に隣接する側面上で、キャップ428が薬剤送達装置のハウジング414に解放可能に取付けられるようにする。端壁436(
図27および
図29)はさらに、キャップ428のうち当該キャップの第2の分離手段に含まれる近位端に配置される。
【0074】
端壁436の内面上に、概して管状のリムーバ部材438(
図29)が取付けられる。リムーバ部材438は、エジェクタスリーブ412の通路内に延在するように配置される。管状のリムーバ部材438の内面には円周方向の溝440が配置される。第3の接続手段に含まれる、管状の針シールドリムーバ444の外面上に配置された円周方向の突起442(
図29)は、円周方向の溝440に嵌まり込み、これにより、針シールドリムーバ444をリムーバ部材438にロックする。針シールドリムーバ444にはさらに、内側に傾斜した近位方向の把持部材445が配置される。把持部材は、可撓性のある針シールド446の弾性材料に噛み合うように意図されている。針シールド446は、薬剤容器452の近位側の首部分450および注射針448を囲む(
図28)。リムーバ部材438の遠位端にはさらに、円周方向外側に延在するレッジ439が配置される(
図29)。
【0075】
作動部材454(
図25)は装置の近位端に配置される。作動部材454は、近位方向の接触面を有する概して円盤状の接触部材456(
図27)を含む。接触部材456の遠位面から、2つのアーム458(
図26および
図27)が遠位側に延在する。アーム458は、断面に見られるように概して長方形の形状を有する。各々のアームは、キャップ428の端壁436に形成されている通路460(
図27)内に延在する。通路460の形状は概してアーム458の長方形の断面形状に対応している。アーム458はさらに、エジェクタスリーブ412とキャップ428との間の隙間430内に延在する。作動部材4
54は、エネルギ蓄積部材462、たとえばばね(
図25)に接続される。これらはともに第1の分離手段を形成する。ばねは、エジェクタスリーブ412のうち外側に延在するレッジ418とアーム458のうち遠位方向の端面との間に配置されて、作動部材454を近位方向に推し進める。しかしながら、作動部材454は、初期位置においては、アーム458の側面から延在してキャップ428の端壁436の遠位面に接する(
図30)第1のセットのレッジ464(
図27)によって、近位方向への移動がロックされる。
【0076】
アーム458にはまた、ロック部材、たとえばアーム458の側面から延在する第2のセットのレッジ466、が配置される。レッジは、図から分かるように概してくさび形である。その機能を以下に説明する。アーム458にはさらに、以下に記載するように、各セットの第2のレッジ466間に位置決めされた切欠468が配置される。
【0077】
装置は、以下のように機能するよう企図される。当該装置は、キャップ428のうち内側に延在する突起432がハウジング414の円周方向の溝434に嵌まり込んだ状態で、薬剤送達装置のハウジング414に取付けられるように意図される。FNS446を備えた薬剤容器452はハウジング414に嵌め込まれる(
図28)。装置がハウジング414に取付けられると、FNS446の針シールドが針シールドリムーバ444内へと摺動する。作動部材454は、初期位置においては、
図28に示されるように、ばね462によって付勢されてキャップ428から近位方向に延在する。キャップ428の端壁436の遠位面はエジェクタスリーブ412の近位端面に接している。
【0078】
薬剤送達装置を用いるためにキャップアセンブリが取外される場合、ユーザは、装置の近位端にある作動部材454を表面に押付ける。次いで、アーム458を備えた接触部材456を、ばね462の力に逆らって遠位方向に移動させることとなる。アーム458がキャップ428内へと移動し、第2のセットのレッジ466がキャップの通路460を通過することとなる。第2のセットのレッジ466のこの通過は、アームにおけるレッジのくさび形状と切欠468とによって促進される。後者(切欠468)により、レッジ466が曲がって横方向に移動することが可能となる。レッジ466が通路460を通過すると、接触部材456がキャップ428に対して近位方向に移動しないようにロックされる。というのも、
図32に示されるように、レッジ466がキャップ428の端壁436の遠位面によってロックされるからである。次いで、ばね462が接触部材の遠位方向への移動によって圧縮され、ばね462に力が蓄積される(
図31)。
【0079】
この力は、キャップ428の突起432とハウジング414の溝434との間の保持力を打ち負かすのに十分であり、これにより、キャップ428が接触部材456とともに近位方向に動かされる。キャップ428の移動により、キャップに取付けられた針シールドリムーバ444も、ハウジング414に対して近位方向に動かされる。次いで、シールドリムーバ444の傾斜した把持部材445がFNS446の可撓性のある材料と噛み合い、これにより、FNS446も、注射針448に対して近位方向(
図33)に動かされることとなる。キャップ428が近位方向に一定の長さにわたって移動して、FNS446が注射針448および薬剤容器の近位端から離れる位置に到達する(
図34)と、リムーバ部材438の円周方向外側に延在するレッジ439がエジェクタスリーブ412のうち内側に向けられたレッジ422に接触することとなる。こうして、アセンブリ全体が取外され(
図35)、薬剤送達装置は注射のための準備が完了する。
【0080】
当然ながら、自動的な保護キャップリムーバを作動させることなく、第5の実施形態に従った保護キャップアセンブリ410を薬剤送達装置から全くの手動で取外すことも可能である。ユーザは、単に保護キャップを把持して、保護キャップとハウジングとの間の保持力および注射針とシールドとの間の摩擦に逆らってこの保護キャップを近位方向に引張るだけでよい。
【0081】
上述されおよび図面に示される実施形態が本発明の単なる非限定的な一例としてみなされるべきであり、特許請求項の範囲内で多くの態様に変更され得ることが理解されるはずである。