特許第5960301号(P5960301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960301
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】配線・配管材固定具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/24 20060101AFI20160719BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20160719BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20160719BHJP
   F16L 3/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   F16L3/24 Z
   H02G3/32
   E04D13/00 J
   F16L3/04
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-10682(P2015-10682)
(22)【出願日】2015年1月22日
(62)【分割の表示】特願2011-168714(P2011-168714)の分割
【原出願日】2011年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-83879(P2015-83879A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2015年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−311654(JP,A)
【文献】 特開2008−25185(JP,A)
【文献】 特開2005−264640(JP,A)
【文献】 実開昭49−50796(JP,U)
【文献】 実公昭50−41035(JP,Y1)
【文献】 特開2012−154464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00 − 3/24
H02G 3/32
E04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の傾斜方向における下方側の屋根材の一部に上方側の屋根材の一部が上に重なるようにして屋根材が並ぶ屋根の上に配線・配管材を固定するための、配線・配管材固定具であって、
前記屋根材に取り付けられるよう、前記下方側の屋根材と前記上方側の屋根材との重なり部分の隙間に外側から挿入される、被取付部と、前記配線・配管材を保持する保持部とを、備え、
前記被取付部は、被取付部本体と、その被取付部本体を前記隙間から抜け止めするようにその被取付部本体から、前記被取付部の挿入方向とは反対の反挿入方向を向くように斜めに起立して、前記上方側の屋根材に掛け止められる、爪部と、前記被取付部本体側に倒れた位置にある挟持部形成片とを、有し、
前記爪部は、前記被取付部本体に向かう側に弾性的に変形可能に形成されており、
前記挟持部形成片は、前記上方側の屋根材の前面部に当接して、前記上方側の屋根材に掛け止められた前記爪部とで前記上方側の屋根材を挟持する、挟持部となるよう、起こされた位置に塑性変形可能に形成されていることを特徴とする、配線・配管材固定具。
【請求項2】
前記挟持部形成片は、前記挿入方向にずれて、複数設けられることを特徴とする、請求項1に記載の配線・配管材固定具。
【請求項3】
前記配線・配管材固定具は、前記被取付部を有するベース体と、前記保持部を有して前記ベース体に着脱可能に取付け固定される保持部材とを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線・配管材固定具。
【請求項4】
前記ベース体は、前記保持部材が取付け固定される保持部材取付部を有し、
前記保持部材取付部は、上方に突出形成されて、前記保持部材の基部を止めるための固着具が挿入される、固着具挿入孔を有することを特徴とする、請求項に記載の配線・配管材固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋根の上に配線・配管材を固定するための配線・配管材固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根にパイプ(配管材)を固定する固定具として、屋根に釘で取付け固定されるパイプ止め金具があった(例えば、特許文献1参照)。このパイプ止め金具は、帯状金属板を曲げて形成されるものであって、円弧状のパイプ押え部と、釘を通す挿通孔が設けられた平坦な被取付部とを備えていた。そこで、屋根にパイプを固定するにあたっては、このパイプ止め金具の二つを向き合わせて、パイプ押え部でパイプを挟んだ状態で、釘を被取付部の挿通孔から屋根の瓦の小孔を通して下地部分に打ち込んだ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−45370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のパイプ押え金具にあっては、釘を用いるために、瓦に小孔をあけたときとか、釘を打ち込んだときに、瓦が割れないように細心の注意を払わなければならず、その作業が厄介だった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、屋根に簡単に取り付けることができる、配線・配管材固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材固定具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材固定具は、屋根の傾斜方向における下方側の屋根材の一部に上方側の屋根材の一部が上に重なるようにして屋根材が並ぶ屋根の上に配線・配管材を固定するための、配線・配管材固定具である。この配線・配管材固定具は、前記屋根材に取り付けられるよう、前記下方側の屋根材と前記上方側の屋根材との重なり部分の隙間に外側から挿入される、被取付部と、前記配線・配管材を保持する保持部とを、備える。ここで、前記被取付部は、被取付部本体と、その被取付部本体を前記隙間から抜け止めするようにその被取付部本体から、前記被取付部の挿入方向とは反対の反挿入方向を向くように斜めに起立して、前記上方側の屋根材に掛け止められる、爪部と、前記被取付部本体側に倒れた位置にある挟持部形成片とを、有する。そして、前記爪部は、前記被取付部本体に向かう側に弾性的に変形可能に形成されている。また、前記挟持部形成片は、前記上方側の屋根材の前面部に当接して、前記上方側の屋根材に掛け止められた前記爪部とで前記上方側の屋根材を挟持する、挟持部となるよう、起こされた位置に塑性変形可能に形成されている。
【0007】
この配線・配管材固定具によると、配線・配管材を屋根に固定するにあたって、配線・配管材固定具の被取付部を、下方側の屋根材と上方側の屋根材との重なり部分の隙間に外側から挿入する。すると、爪部が、上方側の屋根材に掛け止められる。こうして、被取付部、ひいては配線・配管材固定具は、屋根に取り付けられる。そして、保持部で配線・配管材を保持する。このように、配線・配管材固定具を屋根に取り付けるとともに、保持部で配線・配管材を保持することで、配線・配管材は、屋根に固定される。ここで、挟持部形成片が起こされて形成される挟持部が、上方側の屋根材の前面部に当接して、上方側の屋根材に掛け止められた爪部とでその上方側の屋根材を挟持する。このため、この配線・配管材固定具を屋根にしっかりと取り付けることができる。また、ここにおいて、爪部は、被取付部本体に向かう側に弾性的に変形可能に形成されて、その爪部が被取付部本体に向かう側に変形して、被取付部は、外側から前記隙間に挿入され、挿入された後には、爪部が復帰するようにして上方側の屋根材に掛け止められる。なお、配線・配管材固定具を屋根に取り付ける作業と、保持部で配線・配管材を保持する作業の順序は、特に問わない。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
また、請求項に記載の発明に係る配線・配管材固定具は、請求項に記載の配線・配管材固定具において、前記挟持部形成片は、前記挿入方向にずれて、複数設けられる。これにより、複数あるうちの所要の挟持部形成片を起こすことで、挟持部を形成することができ、種々の形状・大きさの屋根材に対応することができる。
【0012】
また、請求項に記載の発明に係る配線・配管材固定具は、請求項1または2に記載の配線・配管材固定具において、前記配線・配管材固定具は、前記被取付部を有するベース体と、前記保持部を有して前記ベース体に着脱可能に取付け固定される保持部材とを備える。
【0013】
また、請求項に記載の発明に係る配線・配管材固定具は、請求項に記載の配線・配管材固定具において、前記ベース体は、前記保持部材が取付け固定される保持部材取付部を有する。その保持部材取付部は、上方に突出形成されて、前記保持部材の基部を止めるための固着具が挿入される、固着具挿入孔を有する。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る配線・配管材固定具によれば、被取付部を屋根材の隙間に挿入することで、その被取付部に設けられた爪部により配線・配管材固定具を屋根に簡単に取り付けることができる。しかも、挟持部形成片が起こされて形成される挟持部が、爪部とで屋根材を挟持するため、この配線・配管材固定具を屋根にしっかりと取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施の形態(本発明)の、全体の模式図である。
図2】同じく、図1における要部拡大図である。
図3】同じく、ベース体の拡大正面図である。
図4】同じく、ベース体の拡大平面図である。
図5】同じく、図4におけるA−A線による断面図である。
図6】第二の実施の形態(参考形態)の、全体の模式図である。
図7】同じく、ベース体の拡大正面図である。
図8】同じく、ベース体の拡大平面図である。
図9】同じく、図8におけるB−B線による断面図である。
図10】他の実施の形態の、ベース体の拡大平面図である。
図11】同じく、図10におけるC−C線による拡大断面図である。
図12】同じく、挟持部形成片を起こした状態を示す、図11相当図である。
図13】同じく、挟持部形成片を折畳むようにして起こした状態を示す、図11相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る配線・配管材固定具を実施するための形態を参考形態とともに図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図5は、第一の実施の形態(本発明)を示す。図中符号1は、屋根を示す。2は、前記屋根1を形成する屋根材を示す。すなわち、屋根1は、その屋根1の傾斜方向における下方側の屋根材201(2)の一部に上方側の屋根材202(2)の一部が上に重なるようにして屋根材2、2が並んで形成される。3は、前記屋根1の上に配線・配管される配線・配管材3(配線材または配管材)を示し、太陽光発電用の太陽電池に接続される電気ケーブル(配線材)とか、その電気ケーブルを収容保護する保護管とか、太陽光温水器に接続される通水管(配管材)とかからなる。4は、前記屋根1の上に配線・配管材3を固定するための、配線・配管材固定具を示す。
【0018】
ここで、配線・配管材固定具4は、屋根材2に取り付けられるよう、下方側の屋根材201(2)と上方側の屋根材202(2)との重なり部分の隙間1aに外側から挿入される、被取付部5と、配線・配管材3を保持する保持部6とを、備える。被取付部5は、被取付部本体5aと爪部5bと挟持部5c(詳しくは、後述する挟持部形成片5d)とを有する。爪部5bは、被取付部本体5aを前記隙間1aから抜け止めするようにその被取付部本体5aから、被取付部5の挿入方向Pとは反対の反挿入方向Qを向くように斜めに起立して、上方側の屋根材202(図示実施の形態においては、上方側の屋根材202の前側である前端に下方に向けて突出するように形成された前垂部2a)に掛け止められるものである。挟持部5cは、上方側の屋根材202の前面部としての前端面2bに当接して、上方側の屋根材202に掛け止められた爪部5bとで上方側の屋根材202を挟持するものである。
【0019】
ここにおいて、爪部5bは、相対的に被取付部本体5aに向かう側に弾性的に変形可能に形成されて、その爪部5bが相対的に被取付部本体5aに向かう側に変形(弾性変形)して、被取付部5は、外側から前記隙間1aに挿入され、挿入された後には、爪部5bが復帰(弾性復帰)するようにして上方側の屋根材202(図示実施の形態においては、上方側の屋根材202の前記前垂部2a)に掛け止められる。
【0020】
また、挟持部5cは、挿入方向Pを向く側に傾斜している。そして、この挟持部5cは、上方側の屋根材202の前面部としての前端面2bを弾性的に押圧可能に形成されている。また、図示実施の形態においては、挟持部5cは、被取付部本体5a側に倒れた位置にある挟持部形成片5dが、起こされた位置に塑性変形して形成される。そして、この挟持部形成片5dは、前記挿入方向Pにずれて、複数設けられる。
【0021】
具体的には、配線・配管材固定具4は、前記被取付部5を有するベース体7と、前記保持部6を有してベース体7に着脱可能に取付け固定される保持部材8とを備える。
【0022】
ベース体7は、金属製であって、帯状の板材からなり、その長手方向の一方側(挿入方向P側)に、前記被取付部5を有し、他方側(反挿入方向Q側)に、保持部材8が取付け固定される保持部材取付部7aを有する。
【0023】
被取付部5においては、前記爪部5bがベース体7の長手方向の一方端側(挿入方向Pの端側)に位置し、前記挟持部5c(挟持部形成片5d)がベース体7の中央側に位置するように並んでいる。爪部5bは、前記挿入方向Pに直交する、被取付部5の幅方向Rの両端縁において、前記反挿入方向Qを向くように斜め上方に起立する。そして、この爪部5bは、上方側の屋根材202の前垂部2aに掛け止められる。詳細には、爪部5bは、ベース体7において被取付部本体5aから前記反挿入方向Qを向くように斜めに切り起こされている。
【0024】
挟持部形成片5dは、前記挿入方向Pにずれて、三つ設けられ、これら挟持部形成片5d、5dは、被取付部5の幅方向Rの中間位置に設けられている。そして、これら挟持部形成片5d、5dは、板材からなる被取付部5(ベース体7)における、コ字状に打ち抜かれた抜き孔5eに囲まれた部分からなる。そこで、図示実施の形態においては、挿入方向Pの先端側から数えた一つ目の挟持部形成片5dが起こされて、挟持部5cが形成されている。そこで、この挟持部5cは、平板形状の突片からなる。なお、この挟持部形成片5dを起こすのは、被取付部5を隙間1aに挿入する前でも、挿入した後でもよい。また、この挟持部形成片5dを、例えば直立に起こした後に、被取付部5を隙間1aに挿入し、その後に、挟持部形成片5d(挟持部5c)を、挿入方向Pを向く側に傾斜させてもよい。
【0025】
また、挟持部形成片5dには、その挟持部形成片5dを起こすための工具が差し入れられる工具挿入孔5fがあけられている。ここで、工具挿入孔5fは、起こされない挟持部形成片5dにおいては、ベース7体、ひいては、配線・配管材固定具4を屋根材2に取り付けるための取付孔5gとなる。このため、配線・配管材固定具4を、取付孔5gを挿通して屋根材2にねじ込まれるビスによっても、屋根材2(つまり、屋根1)に取り付けることができる。
【0026】
また、被取付部5には、接着材充填部5hが設けられており、ベース体7、ひいては、配線・配管材固定具4を、接着材によっても、屋根材2(つまりは、屋根1)に取り付けることができる。この接着材充填部5hは、上方に膨出形成され、その内部は、接着材の充填空間5iとなって、屋根材2の上面に臨むように下方が開放するとともに、前記反挿入方向Q側が後に詳述する保持部材取付部7aの内側に連通している(図5参照)。そして、この接着材充填部5hには、上面に、充填空間5iに接着材を充填するための充填孔5jがあけられている。
【0027】
ベース体7における保持部材取付部7aは、上方に突出形成されて(図示実施の形態においては、上方に突出するよう屈曲あるいは湾曲形成されて)、保持部材8の基部8aを止めるための固着具9が挿入される、固着具挿入孔7bを有する。図示実施の形態においては、固着具9は、ビス9aからなり、固着具挿入孔7bは、そのビス9aが螺合する螺合孔からなって、保持部材8の基部8aに設けられた通孔8bに挿入されたビス9aが、固着具挿入孔7bに螺合することで、保持部材8は、ベース体7の保持部材取付部7aに取付け固定される。
【0028】
また、保持部材8は、金属製であって、帯状の板材からなり、その長手方向の一方側に前記保持部6を有し、他方側に前記基部8aを有する。保持部6は、逆U字状に曲げられて、その内側に配線・配管材3が保持される。つまり、保持部6に配線・配管材3を通したり保持部6を配線・配管材3に掛けたりすることで、配線・配管材3は保持される。そして、基部8aは、保持部6の逆U字状の一端から直角に折れ曲がって形成され、その板面を貫通するようにして前記通孔8bが設けられる。
【0029】
次に、この第一の実施の形態に示す配線・配管材固定具4の作用効果について説明する。この配線・配管材固定具4によると、配線・配管材3を屋根1に固定するにあたって、配線・配管材固定具4の被取付部5を、下方側の屋根材201と上方側の屋根材202との重なり部分の隙間1aに外側から挿入する。すると、相対的に被取付部本体5aに向かう側に変形(弾性変形)した爪部5bが、復帰(弾性復帰)するようにして上方側の屋根材202(図示実施の形態においては、上方側の屋根材202の前垂部2a、詳しくは、前垂部2aの内側面)に掛け止められる。こうして、被取付部5、ひいては配線・配管材固定具4は、屋根1に取り付けられる。そして、保持部6で配線・配管材3を保持する。もっとも、配線・配管材固定具4を屋根1に取り付ける作業と、保持部6で配線・配管材3を保持する作業の順序は、特に問わない。
【0030】
ここで、図示実施の形態では、配線・配管材固定具4は、被取付部5を有するベース体7と、保持部6を有する保持部材8とに分かれている。このため、ベース体7に保持部材8が取付け固定された状態で、保持部6に配線・配管材3を通したり保持部6を配線・配管材3に掛けたりする以外に、保持部材8単独の状態で、保持部6に配線・配管材3を通したり保持部6を配線・配管材3に掛けたりし、その後に、保持部材8をベース体7に取付け固定することもできる。
【0031】
このように、配線・配管材固定具4を屋根1に取り付けるとともに、保持部6で配線・配管材3を保持することで、配線・配管材3は、屋根1に固定される。そして、この配線・配管材固定具4によれば、被取付部5を屋根材201(2)、202(2)の隙間1aに挿入することで、その被取付部5に設けられた爪部5bにより配線・配管材固定具4を屋根1に簡単に取り付けることができる。そして、挟持部形成片5dが起こされて形成される挟持部5cが、上方側の屋根材202の前面部としての前端面2bに当接して、上方側の屋根材202に掛け止められた爪部5bとでその上方側の屋根材202を挟持する。このため、この配線・配管材固定具4を屋根1にしっかりと取り付けることができる。
【0032】
また、爪部5bは、被取付部5の幅方向Rに二つが並んで設けられている。これにより、爪部5bは、被取付部5の幅方向Rに並ぶ二つが、屋根材2に掛け止められ、このため、配線・配管材固定具4は、回り難くなる。特に、図示実施の形態においては、被取付部5の幅方向Rに並ぶ二つの爪部5b、5bは、被取付部5の幅方向Rの両端縁に設けられるため、配線・配管材固定具4は、より効果的に回り難くなる。
【0033】
また、挟持部5cは、被取付部5の挿入方向Pを向く側に傾斜しており、その傾斜する挟持部5cが上方側の屋根材202(2)の前面部としての前端面2bを弾性的に押圧する。このため、挟持部5cは、爪部5bとで、屋根材2を確実に挟持することができる。
【0034】
また、挟持部形成片5dは、前記挿入方向Pにずれて、複数設けられ、その複数あるうちの所要の挟持部形成片5dを起こすことで、挟持部5cを形成することができる。このため、種々の形状・大きさの屋根材2に適切に対応することができる。
【0035】
また、挟持部形成片5dに工具挿入孔5fがあけられることから、この工具挿入孔5fに、ドライバー等の工具を差し入れることで、容易に挟持部形成片5dを起こして挟持部5cを形成することができる。
【0036】
また、被取付部5には、接着材充填部5hやビスが挿通される取付孔5g(工具挿入孔5f)が設けられている。このため、この配線・配管材固定具4を、爪部5bに加えて、接着材やビスを用いることでも、屋根1に取り付けることができる。
【0037】
図6図9は、第二の実施の形態(参考形態)を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、爪部5bが掛け止められる屋根材2が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0038】
この配線・配管材固定具4においては、爪部5bは、被取付部5の挿入方向Pとは反対の反挿入方向Qを向くように斜めに(詳細には、斜め下方に)起立して、下方側の屋根材201(図示実施の形態においては、下方側の屋根材201の後面部としての後端面2d)に掛け止められる。そして、挟持部5cは、上方側の屋根材202の前面部としての前端面2bに当接して、下方側の屋根材201に掛け止められた爪部5bとで上方側の屋根材202および下方側の屋根材201を挟持する。ここにおいて、爪部5bは、相対的に被取付部本体5aに向かう側に弾性的に変形可能に形成されて、その爪部5bが相対的に被取付部本体5aに向かう側に変形(弾性変形)して、被取付部5は、外側から前記隙間1aに挿入され、挿入された後には、爪部5bが復帰(弾性復帰)するようにして下方側の屋根材201(図示実施の形態においては、下方側の屋根材201の後面部としての後端面2d)に掛け止められる。
【0039】
この配線・配管固定具4は、爪部5bが、下方側の屋根材201の後面部としての後端面2dに掛け止められることから、ベース体7は、前記挿入方向Pに長く形成される。そして、ベース体7における保持部材取付部7aには、固着具挿入孔7bの他に、保持部材8を位置決めするための位置決め突起7c、7cが設けられている。
【0040】
この第二の実施の形態に示す配線・配管材固定具4の作用効果は、第一の実施の形態に示す配線・配管材固定具4とは、爪部5bが掛け止められる屋根材2が異なることから、以下の違いがあるが、他は同様である。すなわち、配線・配管材3を屋根1に固定するにあたって、配線・配管材固定具4の被取付部5を、下方側の屋根材201と上方側の屋根材202との重なり部分の隙間1aに外側から挿入する。すると、相対的に被取付部本体5aに向かう側に変形(弾性変形)した爪部5bが、復帰(弾性復帰)するようにして下方側の屋根材201(図示実施の形態においては、下方側の屋根材202の後面部としての後端面2d)に掛け止められる。こうして、被取付部5を屋根材201(2)、202(2)の隙間1aに挿入することで、その被取付部5に設けられた爪部5bにより配線・配管材固定具4を屋根1に簡単に取り付けることができる。そして、被取付部5が有する挟持部5cが、上方側の屋根材202の前面部としての前端面2bに当接して、下方側の屋根材201に掛け止められた爪部5bとで上方側の屋根材202および下方側の屋根材201を挟持する。このため、この配線・配管材固定具4を屋根1にしっかりと取り付けることができる。
【0041】
なお、本発明および参考形態は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、複数ある挟持部形成片5d、5dは、それぞれが離れて設けられなくとも、図10図13に示すように、被取付部5の挿入方向Pに連続して設けられてもよい。これら連続する挟持部形成片5d、5dは、被取付部5の挿入方向Pに延びる二本の孔とそれら孔を反挿入方向Qにおいて繋ぐ孔とで構成される抜き孔5eに囲まれた部分からなる。そして、それぞれの挟持部形成片5d、5dの境界部分には、切欠き5k、5kが設けられ、その切欠き5k、5kによってそれぞれの挟持部形成片5d、5dが、区分けされる。そこで、配線・配管材固定具4を使用する際には、図12に示すように、所要の挟持部形成片5dよりも反挿入方向Q側の挟持部形成片5dを切除し、その所要の挟持部形成片5dを起こすことで、挟持部5cを形成する。あるいは、図13に示すように、所要の挟持部形成片5dと、その挟持部形成片5dに対し反挿入方向Q側において隣接する挟持部形成5dを折畳むようにして起こすことで、挟持部5cを形成してもよい。
【0042】
また、挟持部形成片5dは、複数設けられなくとも、一つであってもよい。
【0043】
また、挟持部5cは、被取付部5の挿入方向Pを向く側に傾斜しなくとも、直立していてもよい。
【0044】
また、挟持部5cは、上方側の屋根材202の前面部としての前端面2bを弾性的に押圧するものでなくとも、屋根材2が挟持されれば、当接するのみであってもよい。さらには、ベース体7(配線・配管材固定具4)が回りあるいは遥動し始めたときに挟持部5cが前端面2bにすぐに当接して屋根材2が挟持され、これによってベース体7(配線・配管材固定具4)の回りとか遥動が制限されるのであれば、挟持部5cと前端面2bとの間に僅かの隙間を有していてもよい。
【0045】
また、挟持部5cは、挟持部形成片5dが起こされて形成されなくとも、始めから起きた状態に形成されたものでもよい。
【0046】
また、保持部材8は、ベース体7の保持部材取付部7aにビス9a(固着具9)を用いて取付け固定されなくとも、固着具9を用いることなく、保持部材取付部7aに嵌合したり係止されたりして取付け固定されてもよい。
【0047】
また、ベース体7と保持部材8とは、金属製でなくとも、例えば合成樹脂製であってもよい。
【0048】
また、配線・配管材固定具4は、被取付部5を有するベース体7と、保持部6を有する保持部材8とに分離されて構成されなくとも、それら被取付部5と保持部6とが一体に形成されてもよい。
【0049】
また、第一の実施の形態において、爪部5bは、上方側の屋根材202の前垂部2aに掛け止められなくとも、例えば、上方側の屋根材202の下面の中間位置に設けられる突起部とか凹部に掛け止められてもよい。同様に、第二の実施の形態において、爪部5bは、下方側の屋根材201の後面部としての後端面2dに掛け止められなくとも、例えば、下方側の屋根材201の上面の中間位置に設けられる突起部とか凹部に掛け止められてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 屋根
1a 隙間
2 屋根材
201 下方側の屋根材
202 上方側の屋根材
2b 前端面(前面部)
3 配線・配管材
4 配線・配管材固定具
5 被取付部
5a 被取付部本体
5b 爪部
5c 挟持部
5d 挟持部形成片
6 保持部
7 ベース体
7a 保持部材取付部
7b 固着具挿入孔
8 保持部材
8a 基部
9 固着具
P 挿入方向
Q 反挿入方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13