(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960392
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/625 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
H01R13/625
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-116857(P2011-116857)
(22)【出願日】2011年5月25日
(65)【公開番号】特開2011-249333(P2011-249333A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】TO2010A000452
(32)【優先日】2010年5月28日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511127302
【氏名又は名称】ペガサス・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】PE.GAS.US. SRL
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】ルイジ・アラリア
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ・カナヴェーラ
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−219743(JP,A)
【文献】
実開平04−053232(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結可能であり、かつ、互いに連結されているときに互いを電気的に接触させるため、第1接触部(11)と第2接触部(21)とをそれぞれ有する第1コネクタ部(10)および第2コネクタ部(20)と、
上記第1コネクタ部および上記第2コネクタ部をそれぞれ支持し、上記第1コネクタ部と上記第2コネクタ部との間の連結を得るために、バイオネット継手またはスクリュー継手によって互いに取り付け可能である第1支持部(1b)および第2支持部(3a)と
を備え、
上記第1コネクタ部は、弾性支持構造体(13)と、上記第1支持部と一体である近位端部(13a)と、上記第1接触部を支持している遠位端部(13b)とを有し、
上記第2コネクタ部は、上記第1支持部と上記第2支持部との間を取り付けている間に、上記第1接触部がスライドして係合するよう構成され、上記第2接触部を収納しているアバットメントリング(23)を有する電気コネクタであって、
上記第2接触部は、上記アバットメントリングの限定された円弧部に配置され、上記第1コネクタ部と上記第2コネクタ部との間の連結を実現するため、上記第2接触部で上記第1接触部を停止させるための停止手段(30)を設けていて、連結された状態において、上記第1コネクタ部の上記弾性支持構造体が、上記アバットメントリングに対して軸方向に、上記停止手段に対して円周方向に、上記第1接触部を付勢することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気コネクタにおいて、
上記弾性支持構造体は、上記コネクタの上記継手の軸(y)と同軸上に伸びるコイルバネを有し、上記第1接触部(11)に電気的に接続されている電気ケーブル(C1’)の端部を収納するための中空断面を有することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の電気コネクタにおいて、
上記弾性支持構造体はチューブ形状に形成されると共に、弾性材料からなり、上記コイルバネのコイルの間の隙間を満たすように配置された被膜(13c)をさらに有することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の電気コネクタにおいて、
遠位方向に開口している箱体(17)が、上記弾性支持構造体(13)の上記遠位端部(13b)に固定されていて、上記第1接触部(11)が上記箱体の中に収納されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の電気コネクタにおいて、
上記停止手段は、上記アバットメントリング上に形成される突出形成部(31)を有し、この突出形成部は、上記アバットメントリング(23)の遠位環部表面(23a)に対して軸方向に突き出ていて、上記第1コネクタ部および上記第2コネクタ部が連結された状態のとき、上記突出形成部は、上記第1コネクタ部(10)の上記箱体(17)が係合するよう適合されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の電気コネクタにおいて、
上記箱体は、上記アバットメントリング(23)の上記突出形成部に対応して形成されたノッチ(17a)を有することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載の電気コネクタにおいて、
上記アバットメントリングの上記突出形成部と上記箱体(17)の上記ノッチとは、それぞれアンダーカット面(31b,17b)を有し、上記アバットメントリングの上記突出形成部と上記箱体(17)の上記ノッチとが、上記アンダーカット面により、互いに係合することを目的としていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1つに記載の電気コネクタにおいて、
中間ハウジング(19)が、上記箱体の中にスライドして挿入されていて、上記第1接触部が、上記中間ハウジングの内側にスライドして挿入されていて、弾性手段(19a,19b)が、上記第1接触部および上記中間ハウジングを遠位方向に付勢するために、互いに独立して上記箱体(17)の中に収納されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項9】
請求項8に記載の電気コネクタにおいて、
上記弾性手段は、第1接触部(11)に結び付いた第1弾性手段(19b)と、上記中間ハウジング(19)に結び付いた第2弾性手段(19a)とを有し、上記第1弾性手段および上記第2弾性手段が、互いに関して同軸上に配置されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の電気コネクタにおいて、
上記第1支持部および上記第2支持部が、ドリルストリング、特にドリルパイプの各部材(1,3)の端部要素(1b,3a)であることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項11】
補助装置に連結されるように構成された電気接続装置において、
上記補助装置の対応する支持部(3a)にスクリュー継手またはバイオネット継手を用いて取り付けるように構成された支持部(1b)と、
上記補助装置の対応する接触部(21)と電気的に接触させるための接触部(11)と、
近位端(13a)が上記支持部に固定され、遠位端(13b)が上記電気接続装置の上記接触部を支持する弾性支持構造体(13)と
を備え、
上記弾性支持構造体が、上記電気接続装置の上記継手の軸(y)と同軸上に伸びるコイルバネを有し、上記電気接続装置の上記接続部(11)に電気的に接続されている電気ケーブル(C1’)の端部を収納するための中空断面を有することを特徴とする電気接続装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電気接続装置において、
上記弾性支持構造体が、チューブ形状をしていると共に、弾性材料からなり、上記コイルバネのコイルの間の隙間を満たすように配置された被膜(13c)をさらに有することを特徴とする電気接続装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の電気接続装置において、
遠位方向に設けられた箱体(17)が、上記弾性支持構造体(13)の上記遠位端部(13b)に固定され、中間ハウジング(19)が上記箱体の中にスライドして収納されていて、上記電気接続装置の上記接触部が、上記中間ハウジングの内側にスライドして挿入されていて、弾性手段(19a,19b)が、上記接触部および上記中間ハウジングを遠位方向に付勢するために、互いに独立して上記箱体(17)の中に収納されていることを特徴
とする電気接続装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気接続装置において、
上記弾性手段は、上記電気接続装置の上記接触部(11)に結び付いた第1弾性手段(19b)と、上記中間ハウジング(19)に結び付いた第2弾性手段(19a)とを有し、上記第1弾性手段および上記第2弾性手段が、互いに関して同軸上に配置されていることを特徴とする電気接続装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の電気接続装置において、
上記箱体が、上記補助装置の対応部分(31)を係合するためのノッチ(17a)を有することを特徴とする電気接続装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電気接続装置において、
上記箱体(17)の上記ノッチが、上記補助装置の対応する表面(31b)を係合するためのアンダーカット面(17b)を有することを特徴とする電気接続装置。
【請求項17】
補助装置に連結されるように構成された電気接続装置において、
上記補助装置の対応する支持部(1b)にスクリュー継手またはバイオネット継手を用いて搭載されるように構成された支持部(3a)と、
上記補助装置の対応する接触部(11)と電気的に接触させるための接触部(21)と、
上記電気接続装置と上記補助装置との間の上記継手の間で、上記補助装置の上記接触部がスライドして係合するよう構成され、上記電気接続装置の上記接触部を収納しているアバットメントリング(23)と
を備え、
上記電気接続装置の上記接触部が、上記アバットメントリングの限定された円弧部に配置されていて、突出形成部(31)が、上記アバットメントリング(23)の遠位環部表面(23a)に対して軸方向に突き出ている上記アバットメントリング上に形成されていて、上記突出形成部が、上記接触部間の配列を設置するための補助装置の対応する部分(17)を係合するように構成されていることを特徴とする電気接続装置。
【請求項18】
請求項17に記載の電気接続装置において、
上記突出形成部が、上記補助装置の対応する表面(17b)を係合するためのアンダーカット面(31b)を有することを特徴とする電気接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特にドリルストリング等に使用される電気コネクタに関し、
互いに接続可能であり、かつ、互いに連結されているときに互いに電気的に接触させるため、第1接触部と第2接触部とをそれぞれ有する第1コネクタ部および第2コネクタ部と、
上記第1コネクタ部および上記第2コネクタ部をそれぞれ支持し、上記第1コネクタ部と上記第2コネクタ部との間の連結を得るために、バイオネット継手またはスクリュー継手によって互いに取り付け可能である第1支持部および第2支持部と
を備え、
上記第1コネクタ部は、弾性支持構造体と、上記第1支持部と一体である近位端部と、上記第1接触部を支持している遠位端部とを有し、
上記第2コネクタ部が、上記第1支持部と上記第2支持部との間を取り付けている間に、上記第1接触部がスライドして係合するよう構成され、上記第2接触部を収納しているアバットメントリングを有している。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタは、特に、石油産業やメタン産業において用いられていて、掘削井戸の建設に用いられるドリルストリング内のパワーラインの構造に用いられている。これらのパワーラインは、掘削機器の稼動状態、あるいは、井戸内の地質または環境状態を表す表面信号を送るために用いられる。
【0003】
一般に、使用されるストリングは、何百ものパイプと連続して接続された他の構成要素とを備えている。そのため、パワーラインは、ストリングの連続した構成要素間の全ての接合部を経由して、それらの信号を送らなくてはならない。したがって、たった1つの不完全な接続が、ライン全体が正常に動作しないという結果をもたらす可能性がある。
【0004】
コネクタの信頼性に影響を与える異なる要因がある。まず、一般に、ドリルストリングの部材間の接続は、ねじ込むことによってなされ、ドリル部材の製造公差は、一般に、電気機器が必要とする精密度にないため、アセンブリを完成させるとき、連続した部材の電気接触が互いに調整されていない、および/または、電気接触の達成を妨げる上記部材間の軸方向の隙間が未だに存在するということが起こり得る。さらに、一の部材と他の部材との間に特定の角変位が、ドリルストリングの稼動中に誤って発生する可能性があり、その結果、電気接触の不整合を引き起こす。
【0005】
これらの問題は、例えば、米国特許No,6,929,493において取り組まれていて、本明細書の序文で画定されるタイプの電気コネクタを記載している。米国特許No,6,929,493に記載されているコネクタは、環状接触部のペアを有していて、弾性材料で覆い隠すことによってそれぞれの環状台座に納められる。この装置は、上述の問題を解決するように思われるけれども、しかし、電気コネクタのあまり大きくない製造公差のみを覆うことができるように思われ、かなりの相対角変位が存在し、そのため、バッテリーの一の構成部と他の構成部との間に、また、大きなアプローチが存在する状況で必ずうまく対処することができるように思えない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題を効果的に解決する電気コネクタを提供することにある。
【0007】
したがって、本発明の目的は上述の電気コネクタであり、上記第2接触部が、上記アバットメントリングの限定された円弧部に配置され、上記第1コネクタ部と上記第2コネクタ部との間の連結を実現するため、上記第2接触部で上記第1接触部を停止させるための停止手段を設けていて、連結された状態において、上記第1コネクタ部の上記弾性支持構造体が、上記アバットメントリングに対して軸方向に、上記停止手段に対して円周方向に上記第1接触部を付勢する。
【0008】
この条件によれば、上記弾性支持構造体と上記アバットメントリングとの間の柔軟な連結が、アセンブリの電気接触部間のずれおよび軸方向の隙間をなくすだけでなく、稼動中の上記支持部間の相対角変位を相殺し、上記支持部間のその結果生ずる元に戻ろうとする動き(rapprochement)に対抗することも可能にする。
【0009】
請求項10から15に記載の電気接続装置もまた、本発明のテーマである。
【0010】
本発明の特徴および利点は、限定されない実施形態を用いて定められた添付の図面を参照して、以下の詳細な説明からより理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、組立ステップ間のドリルパイプのペアを示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図3と同じ断面図であり、それぞれの接触部間の電気接触を得るために、さらにパイプが共にねじ込まれている状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明による電気コネクタの構成部の簡易化した分解図である。
【
図11】
図11は、
図2と同じ断面図であり、本発明の異なる実施形態によるドリルパイプのペアを示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明によるコネクタのさらに異なる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ドリルパイプのペアを示していて、図番号1および3によりそれぞれ示されている。本発明は、これらのパイプに適合するように記載されているが、この特定の応用に限定されず、掘削の分野に加えて他の技術分野での使用を見出すことができるということが分かる。これらのパイプは、一般的に、チューブ形状要素で作られていて、このチューブ形状要素の端部に、通常はんだ付けにより接続端部が固定され、この接続端部は、ドリルストリングの連続したパイプ間のジョイント(「ツールジョイント」と呼ばれる)を実施することを目的としている。これらの端部要素には、一般に、テーパードスレッドが設けられている。特に、ジョイントの雄部を作ることを目的としていて、外部スレッドが設けられている端部要素が、
図1の1aおよび3aに示されていて、一方、ジョイントの雌部を作ることを目的としていて、内部スレッドが設けられている端部要素が、1bおよび3bに示されている。
【0013】
図2および
図3は、アセンブリがまだ完全ではない場合の雄端部3aおよび雌端部1bをより明確に示す。この図において、雌端部1bおよび雄端部3aの内部スレッド1fおよび外部スレッド3fが明らかになっている。一次肩面1gおよび二次肩面1hが、さらに雌端部1bに設けられていて、内部スレッド1fの反対端に配置されている。対応する一次肩面3gおよび二次肩面3hは、雄端部3aに設けられていて、外部スレッド3fの反対端に配置されている。
図2および
図3は、対応する肩面1g,3gおよび1h,3hの間に、雌端部1bと雄端部3aとの間のねじ込み連結がまだ完全ではないことを示す特定の距離があることを示している。
図5は、連結がまだ完全ではない場合の雌端部1bおよび雄端部3aを示し、これらの端部が、
図2および
図3の状態に対して、共にさらにねじ込まれている状態である。完全な連結(図示せず)状態において、対応する肩面1g,3gおよび1h,3hの間の距離は、製造公差を除けば、実質的にゼロに低減される。
【0014】
それぞれのドリルパイプ1,3の内部表面に、それぞれの電気ケーブルの一部C1,C3が配置されている。この電気ケーブルの一部C1,C3は、セラミック材料のコーティング内に埋め込まれて、硬化することによってワイヤーをそれぞれのチューブの内部表面と一体にさせるのが好ましい。上記端部1a,1bおよび3a,3bにおいて、C1’,C2’に示されたさらなるそれぞれの電気ケーブルの一部が配置され、この端部の本体に作られる穴あるいは溝を通過する。それぞれのドリルパイプ1,3の内部に、パイプの中間部分の電気ケーブルの一部C1,C3が、それぞれの内部接続部材5によって、それぞれの端部の電気ケーブルの一部C1’,C3’に接続されていて、パイプの端部に設けられているそれぞれのシートに収納されている。これらの内部接続部材の1つは、
図10により詳細に記載されていて、この実施形態において、ねじ締めクランプとして実施される。そのため、内部接続部材5は、ターミナルの第1部分6および第2部分7を含み、このターミナルの第1部分6および第2部分7のそれぞれが、絶縁材料で作られているハウジング6a,7aを有し、このハウジング6a,7aの内側にそれぞれ接触体6b,7bを配置している。この接触体6b,7bは、導電性材料で作られている。ターミナルの第1部分6および第2部分7を互いに固定するために締め付け部材8が設けられ、この締め付け部材8は、対応する内部スレッドを係合することができる外部スレッドを有するブッシュを備え、内部接続部材5を収納するシート内に設けられている。締め付け部材とターミナルの第1部分6との間に置かれている弾性手段8aによって、シートの中にねじ込まれた締め付け部材8が、ターミナルの第1部分6をターミナルの第2部分7に対して押し付け、シートの底に当接していて、このように、締め付け接続部材5が提供される。電気ケーブルの一部C1’,C3’の端部は、ターミナルの第1部分6とターミナルの第2部分7との間に置かれ、接触体6b,7bに接触していて、それに関連して反対側から挿入される。
【0015】
雌端部1bおよび雄端部3aは、それぞれ10および20で示されている第1コネクタ部および第2コネクタ部を支持している。これらの第1コネクタ部10および第2コネクタ部20は、個別の環状シートに収納されている。この個別の環状シートは、雌端部1bおよび雄端部3aの一次肩面1g,3gで得られるので、雌端部1bおよび雄端部3aが同軸方向に広がることに関連して、ドリルパイプ1,3により画定される共通の拡張軸yと同軸方向に配置される。
【0016】
第1コネクタ部10および第2コネクタ部20は互いに連結可能で、第1接触部11および第2接触部21をそれぞれ有する。この第1接触部11および第2接触部21は、導電性材料で作られていて、第1コネクタ部および第2コネクタ部が互いに連結されるとき、電気接触を互いに緊密にすることに適している。
図5および
図6に示すように、雌端部1bおよび雄端部3aが、少なくとも部分的に互いにグラフトされるとき、この第1コネクタ部および第2コネクタ部の間の連結が達成される。
【0017】
図7および
図8により明らかに示すように、第1コネクタ部10は、弾性支持構造体13と、第1支持部に一体形成されている近位端部と、第1接触部11を支持している遠位端部とを備える。弾性支持部材13は、連結軸yと同軸方向に伸びているコイルバネ形状であり、その本体は、中空断面を有する。図に示すように、この中空断面は、また円形である。しかし、中空断面が円形であることは発明の本質ではなく、例えば四角形のように、異なる形状にすることもできる。弾性支持部材13の内部空洞15の中に、電気ケーブルの一部分C1に接続される端部の一部分C1’が通過し、第1接触部11にこのケーブルを電気的に接続する。(表現を簡素化するために、空洞15内の端部の一部分C1’は、図示していない。)この応用において、弾性支持構造体は、金属材料、例えば鉄で作られている。
【0018】
弾性支持構造体13の遠位端部13bにおいて、遠位方向に開口している箱体17が固定されていて、第1接触部11がその中に収納されている。特に、
図4および
図6に示すように、第1接触部11は、棒形状であり、中間フランジ部11aを設けている。第1接触部11は、ブッシュ形状の中間ハウジング19の中にスライドして挿入され、このブッシュ形状の中間ハウジング19は、絶縁材料で作られていて、箱体17の中に、同様に、スライドして挿入される。第1接触部11および中間ハウジング19のスライド方向は、y軸に平行である。本明細書に示される例においては、2つの第1接触部11を有し、この例においてはバイポーラケーブルである電気ケーブルC1’の2つのそれぞれのリードに接続される。
【0019】
第1接触部11および中間ハウジング19は、互いに独立して、遠位方向に付勢されていて、第1コネクタ部10が、第2コネクタ部20に連結されない場合(
図3および
図4に示される状態)、外見上、箱体17の遠位表面から突き出る。この端部に、箱体17の中で、中間ハウジング19と結び付いた弾性手段19aおよび第1接触部11と結び付いた弾性手段19bは、互いに対して同軸方向に収容される。とりわけ、弾性手段19aは、皿ばねの集まりから構成され、箱体17の内部表面に対する一方の面と、中間ハウジング19の表面に対する他方の面とに接する。また、弾性手段19bは、弾性絶縁材料で作られていて、第1接触部11の端部に接続されるケーブルの端部C1’周りに配置されているチューブ形状要素から構成され、上記シリンダの一方の面が箱体17の内部表面に対して接していて、上記シリンダの他方の面が第1接触部の中間フランジ部11aに対して接している。中間ハウジング19と箱体17との間に置かれているスナップリング19cとが配置され、箱体17の外側に中間ハウジング19の最大トラベルを画定する。他方、第1接触部11のフランジ部11aと連携している中間ハウジング19の肩面が、中間ハウジング19の外側に第1接触部11の最大トラベルを画定する。
【0020】
図7および
図8に明確に示すように、第2コネクタ部20は、パイプ1,3間を取り付けている間に、第1接触部11がスライドして係合することに適しているアバットメントリング23を備える。このアバットメントリング23は、第2接触部21を収容する。この第2接触部21は、第2ドリルパイプ3と結び付いたケーブルの一部分C3と接続されている端部の一部分C3’に電気的に接続される。この応用において、アバットメントリング23は、金属材料、例えば鉄で作られている。
【0021】
第2接触部21は、アバットメントリング23の限定された円弧部に位置している。限定された円弧部は、アバットメントリングの外周の長さに対する円弧の長さの比率が1未満であるような長さを有するアバットメントリング23の外周の円弧とする。特に、第2接触部21は、棒形状であり、中間フランジ部21a(
図4および
図6参照)を設けている。第2接触部21は、ブッシュ形状で、絶縁材料で作られているハウジング27の中に定常状態で挿入され、同様に、アバットメントリング23の本体の穴の中に定常状態で配置される。本明細書に示される例によれば、2つの第2接触部21を有し、バイポーラケーブルである電気ケーブルC3’の2つのそれぞれのリードに接続される。特に
図8に示すように、第2接触部21とそれぞれのハウジング27とが、アバットメントリング23の遠位環状表面23a、すなわち、第1接触部11が、第1ドリルパイプ1と第2ドリルパイプ3との間の最終ねじ込みステップにおいてスライドする表面と同一平面であるそれぞれの遠位表面を有するように配置される。
【0022】
本発明によれば、停止手段30が設けられ、この停止手段30は、
図9に示すように、第1コネクタ部10と第2コネクタ部20との間の連結を実現するために第2接触部21で第1接触部を停止することに適している。第1コネクタ部10と第2コネクタ部20との間の上記連結状況で、第1コネクタ部10の弾性支持構造体13は、アバットメントリング23に対して軸方向に、そして、停止手段30に対して円周方向に第1接触部を付勢する。
【0023】
上記停止手段30は、アバットメントリング23上に設けられた突出形成部31を有していて、この突出形成部31が、アバットメントリング23の遠位環状表面23aから軸方向に突出しているのが好ましい。上記突出形成部は、ノッチ17aが係合することに適していて、このノッチ17aは、それに対応した方法で成形され、第1接触部11が内部に収容される箱体17に設けられる。突出形成部31およびノッチ17aは、それぞれのアンダーカット面31b,17bを有し、このそれぞれのアンダーカット面31b,17bにより互いに係合することを目的としているのが好ましい。
【0024】
ドリルパイプ1,3間の最終ねじ込みステップにおいて、特定のポイントで、第1接触部11は、アバットメントリング23の遠位環状表面23aを係合し始める。ねじ込み動作が続いているとき、皿ばねの集まり19aの動きおよび弾性部19bの動きに対して、箱体17の内部で接触部11および中間ハウジング19が押される。アバットメントリング23が特定の円周位置になるとき、箱体17が、アバットメントリング23の突出形成部31に対して隣接し、その結果、アバットメントリング23に対して箱体17のさらなる相対的回転を妨げる。この点において、箱体17により支持される第1接触部11が、アバットメントリング23により支持されるそれぞれの第2接触部21と一直線になり、電気的に接触させて、その後、第1コネクタ部10と第2コネクタ部20との間を連結する。第1接触部11とアバットメントリング23との間のスライド運動は、突出形成部31に対して箱体17が停止するまで最終ねじ込みステップで発生し、第1接触部11および第2接触部21の遠位表面の摩擦を引き起こし、その表面に存在するどんなよごれも取り除く。突出形成部31に対して箱体17の停止後にドリルパイプ間でさらにねじ込むことは、パイプ間の継手が完了するまで、弾性支持構造体13に弾性荷重を増加させる効果を有する。
【0025】
第1接触部11と第2接触部21との間の接触維持は、第2接触部21に対して第1接触部を押し付ける第1コネクタ部10の弾性支持構造体13の弾性力により、そして、第2接触部21に対して第1接触部11を付勢する弾性手段19bにより確保される。稼動中に水、泥、その他流体が電気部品に到達しないようにするために、ガスケットG1,G2,G3を設けていて、
第1中間接触部11周りの中間ハウジング19の遠位表面上に(ガスケットG1)、
中間ハウジング19と箱体との間に(オーリングG2)、
第2接触部21の本体27とアバットメントリング23との間に(オーリングG3)
配置されている。
【0026】
箱体17のアンダーカット面17bおよびアバットメントリング23の突出形成部31のアンダーカット面31bは、第1コネクタ部10の弾性支持構造体13の弾性力と共に箱体17をホールドし、その結果、アバットメントリング23および第2接触部に対して第1接触部11をホールドする一因となる斜面としての機能を果たす。
【0027】
もし、組立中あるいは運転中に、さらなる相対角変位が第1ドリルパイプ1と第2ドリルパイプ3との間に発生したとしても、この動きは、上記接触部11,21のどんなずれをも引き起こさず、単に、弾性支持構造体13のさらなる変形だけを引き起こし、アバットメントリング23に対して軸方向に、そして、突出形成部31に対して円周方向に第1接触部を付勢する弾性力を増加させるという有効な効果を有する。上記弾性支持構造体13は、パイプおよび構成要素間の元に戻ろうとする動き(rapprochement)が原因である圧力増加をも支持する。
【0028】
図11は、異なる実施形態を示していて、第1コネクタ部10が右巻きのコイルバネ形状である弾性支持構造体13を備えていて、コイルバネが左巻きであった前述の実施形態とは異なっている。これは、本発明による電気コネクタを異なったねじ込み方法に適合させるためである。
図11の異なる実施形態の構成要素は、上述の実施形態のものに対応しているので、上述の実施形態と同一の構成部には同一番号を付しており、上述の実施形態の説明を援用する。
【0029】
図12は、異なる実施形態による第1コネクタ部を示し、この第1コネクタ部10は、チューブ形状である弾性支持構造体13を有する。この弾性支持構造体13は、継手軸yと同軸方向に伸び、中空断面体(hollow section body)であるコイルスプリングを有する。このバネは、上述のコイルバネと構造および機能において同じである。エラストマー材料のコーティング13cもまた、同じ異なる実施形態の弾性支持構造体13の一部であり、このコーティングは、弾性支持構造体13の連続性をもたらすために、バネのコイル間の隙間を覆うように配置される。この異なる実施形態は、エラストマーコーティング無しの実施よりもよいシーリングを提供する。
図12の異なる実施形態の構成要素は、エラストマー材料のコーティングを除いて、上述の実施形態の構成要素に対応しているため、上述の実施形態と同一の構成部には同一番号を付しており、上述の実施形態の説明を援用する。
【0030】
本発明は、ドリルパイプへの応用について記載されているけれども、この特定応用に限定されず、掘削の分野に加えて、他の技術分野における使用を見出すことができるということが分かるであろう。したがって、ドリルパイプのそれぞれの端部構成要素により支持される代わりに、第1コネクタ部および第2コネクタ部は、より一般的に、第1支持部および第2支持部により支持されることができ、スクリュー継手またはバイオネット継手により互いに組立てることができる。これらの支持部間の継手動作において、継手軸の方向の並進運動(上述の例において、ドリルパイプ1,3の拡張軸yと一致する)および継手軸周りの回転運動は、組み合わせられる。