特許第5960429号(P5960429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5960429-ベビーキャリア 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960429
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ベビーキャリア
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A47D13/02
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-280304(P2011-280304)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2012-152547(P2012-152547A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年12月2日
(31)【優先権主張番号】1150048-5
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】596096847
【氏名又は名称】ベビービヨルン アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】ホーカン ベルクビスト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス サンドレン
(72)【発明者】
【氏名】ダビド ターレン
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/123446(WO,A1)
【文献】 特表2004−530523(JP,A)
【文献】 特表2006−507888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の2つの肩部位の周りに延びるように配置されて、それぞれが第1部分と第2部分とを含む、相互に結合された2つのストラップ・ループと、該ストラップ・ループに装着されて、フロント・ピースを有するキャリング・ポケットとを含み、前記フロント・ピースが少なくとも1つの自由側縁部を有しており、該側縁部を、前記ストラップ・ループで前記フロント・ピースを担持するための少なくとも1つの上側第1結合器具及び少なくとも1つの上側第2結合器具によって、隣接する前記ストラップ・ループに取り付けることができ、前記キャリング・ポケットがさらに、下側結合器具によってそれぞれの前記ストラップ・ループに調節可能に取り付けることができる着座部分を有しており、前記フロント・ピースとそれぞれの前記ストラップ・ループとが前記上側第2結合器具の下方で、ベビーキャリア内に座る小児のための脚用開口を画定しており、これに加えて、少なくとも1つの前記ストラップ・ループの前記第1部分が、前記下側結合器具と取り外し可能に結合されているベビーキャリアであって、それぞれの前記ストラップ・ループの前記第2部分が、前記上側第2結合器具と同じ高さで、前記第1部分と結合されており、小児の身長に応じた前記ベビーキャリアのサイズの調節が専ら、前記上側第2結合器具が常に小児の腕のすぐ下側に位置するように前記着座部分を調節することによって行われる、ベビーキャリア。
【請求項2】
前記ベビーキャリアはまた、着用者の少なくとも胸側でそれぞれの前記ストラップ・ループの前記第1部分の少なくとも一方と結合された、着用者の腰の周りに延びるリリーフ・ベルトを含む、請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項3】
前記リリーフ・ベルトはまた、着用者の背側でそれぞれの前記ストラップ・ループと調節可能に結合されている、請求項2に記載のベビーキャリア。
【請求項4】
着用者の背側における前記リリーフ・ベルトとそれぞれの前記ストラップ・ループとの前記調節可能な結合は、剛性部材によって提供される、請求項3に記載のベビーキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に見られるタイプのベビーキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
かくして、本ベビーキャリアは、着用者の2つの肩部位の周りに延びるように配置されて、それぞれが第1部分と第2部分とを含む、相互に結合された2つのストラップ・ループと、ストラップ・ループに装着されて、フロント・ピースを有するキャリング・ポケットとを含み、フロント・ピースが少なくとも1つの自由側縁部を有しており、側縁部を、ストラップ・ループでフロント・ピースを担持するための少なくとも1つの上側第1結合器具及び少なくとも1つの上側第2結合器具によって、隣接するストラップ・ループに取り付けることができ、キャリング・ポケットがさらに、下側結合器具によってそれぞれのストラップ・ループに調節可能に取り付けることができる着座部分を有しており、フロント・ピースとそれぞれのストラップ・ループとが上側第2結合器具の下方で、ベビーキャリア内に座る小児のための脚用開口を画定しており、これに加えて、少なくとも1つのストラップ・ループの第1部分が、下側結合器具と取り外し可能に結合されているタイプのものである。
【0003】
小児が生まれたばかりの時からほぼ12kgの体重になるまで、同一のベビーキャリアを利用しうることが望ましい。このことは、小児は生後1年間に体重が約3倍増加し、身長が約30%高くなるという事実を根拠としている。
【0004】
より重い小児を快適に担持するのを可能にするために、着用者の肩にかかる圧力をできるだけ大きな程度まで軽減するように、着用者の腰周りに延びるリリーフ・ベルトを備えたベビーキャリアを提供することが一般的である。
【0005】
リリーフ・ベルトを備えたベビーキャリアを提供することにより、さらに、着座部分、ひいては小児の脚及び背中が着用者に接近し、小児の重心は着用者により接近するように動かされ、そして小児をより容易に、そしてより安全に担持することができる。
【0006】
さらに、新生児をベビーキャリア内で真っ直ぐの姿勢で保持することにより、気道の自由を保ち、また背中が正しい位置に保たれるのを保証することが極めて重要である。
【0007】
従って、小児が担持されているときには、少なくとも小児の胸部又は背部が、リリーフ・ベルトを有する又は有さない上述のタイプのコンベンショナルなベビーキャリアにおいて可能にされるよりも、着用者に接近するように動かされて着用者に接近して位置するのを可能にするベビーキャリアを提供することが望ましい。より正確に言えば、小児が正しい姿勢に保たれることを保証するために、ベビーキャリア内で着用者に顔を向けて座っている場合には、小児の背中全体にわたって着用者に向けられた張り(strain)を提供し、又は着用者とは反対側に顔を向けて座っている場合には、その胸全体にわたって着用者に向けられた張りを提供することが望ましい。小さな子供の背部/胸部全体にわたるこのような張りが存在しなければ、小児はベビーキャリア内でずり下がるリスクがあり、小児の気道が塞がれる危険がある。
【0008】
さらに新生児の場合、新生児の真っ直ぐの姿勢を保つことになる張りが、小児の背部/胸部に対して正しい位置で、より正確に言えば、新生児の腕のすぐ下の高さで生じることが極めて重要である。張りは好ましくは、小児の背部/胸部全体にわたる領域を有している。
【0009】
これに関連して念のために述べておくが、上述のタイプのベビーキャリアの場合、生後4ヶ月までの小児は、頭を安定した状態では支えられず、頭はフロント・ピースの上縁部分によって支持されることが必要であるという事実により、着用者とは反対側に顔を向けてキャリア内に座るべきではない。
【0010】
小児が成長するのに従って、張りが正しいスポット内に位置するようになることを可能にするために、ベビーキャリアの少なくとも着座部分は調節可能でなければならない。さもなければ、小さな子供の場合、張りは子供の身体のあまりにも高い場所で発生し、また大きい子供の場合、あまりにも低い場所で発生するというリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、上述の欠点が少なくとも部分的に取り除かれたベビーキャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載されたベビーキャリアによって達成される。
【0013】
ベビーキャリアの好適な実施形態は従属請求項において明らかにされている。
【0014】
添付図面を参照しつつ、非限定的例示形式で本発明を以下にさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるベビーキャリアを斜め正面から見た状態で示す全体図である。
図1a図1のベビーキャリアを示す背面図である。
図2図1のベビーキャリアを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記説明及び特許請求の範囲において、ベビーキャリアは、顔が着用者の胸に向いている状態で小児が担持されている事例において記述されてはいるが、しかし顔が着用者の胸とは反対側を向いた状態で小児を担持することもできることは明らかである。
【0017】
図1に見られるように、本発明によるベビーキャリア1は、相互に結合されて着用者の2つの肩部位の周りに延びるように配置された、2つの調節可能なストラップ・ループ2a,2bを含む。ストラップ・ループのそれぞれは第1部分/端部3と第2部分/端部4とを含む。ストラップ・ループには、キャリング・ポケット10が装着されており、キャリング・ポケット10は、少なくとも1つの自由側縁部を有するフロント・ピース12を有している。該側縁部は、ストラップ・ループでフロント・ピース12を担持するための少なくとも1つの上側第1結合器具5a及び少なくとも1つの上側第2結合器具5bによって、隣接するストラップ・ループに取り付けることができる。好ましくは、ベビーキャリア内に座っている小児の腕が上側第1結合器具と上側第2結合器具との間に位置するように、キャリング・ポケットは形成され、そしてそれぞれのストラップ・ループに取り付けられている。少なくともフロント・ピース12は好ましくは、パッド付きの可撓性布地材料から製造されている。キャリング・ポケットはまた、下側結合器具16によってそれぞれのストラップ・ループ2a,2bに調節可能に取り付けることができる着座部分14を有している。フロント・ピース12とそれぞれのストラップ・ループとは、上側第2結合器具5bの下方で、ベビーキャリア内に座る小児のための脚用開口を画定している。さらに、少なくとも1つのストラップ・ループの第1部分3は、下側結合器具16と取り外し可能に結合されている。
【0018】
上述のタイプのベビーキャリアの場合、このことは、ジャケットの形態でベビーキャリアが着脱されるのを可能にする。
【0019】
フロント・ピース12の上側第1結合器具5a及び上側第2結合器具5bへの取り付けは、周知の方法、好ましくは、例えば国際公開第03/003880号パンフレットに記載されているのと同じ方法で行われるので、これ以上詳しくは説明しない。
【0020】
上述のタイプのベビーキャリアの場合、ベビーキャリアのサイズの調節は、小児の身長に応じて、専ら着座部分14のサイズ/長さを調節することによって行われる。より正確に言えば、着座部分14は細長い舌片14aを含み、この舌片14aは、下側結合器具16に調節可能に取り付けられている。小児の成長に応じたベビーキャリアの調節は、着座部分14が、これを伸長させることにより広くなるように行われる。小児の身長に応じてベビーキャリアのサイズを最適に調節するためには、この調節は、小児の腕が常に上側第2結合器具5bの上方に位置するようにすることを必要とする。しかし念のために述べておくと、フロント・ピース12に配置された上縁部分17の幅は、周知のタイプの調節可能なバックル18によって調節することができる。
【0021】
また、小児が担持されているときに、少なくとも小児の胸部が着用者により接近するように動かされて着用者により接近して位置するようにするために、それぞれのストラップ・ループ2a,2bの第2部分4が、上側第2結合器具5bと同じ高さで、そして小児の腕のすぐ下で、第1部分3と結合される。このことは、フロント・ピース12を介して、腕の下に、そして小児の背部全体にわたって、着用者の胸に向いた張りを生じさせる。上述のように第2部分4と第1部分3とを結合することにより、フロント・ピース12を介して生じた張りは、図1及び2において、線を引いた領域11によって概略的に示されている。担持エルゴノミクスは、小児の重心が着用者に接近するように動かされるという点、並びに小児が真っ直ぐの姿勢に保たれ、気道が自由な状態に保たれるという点で改善される。さらに、小児の背部が正しい位置に保たれることが保証される。
【0022】
上側第1結合器具5aのうちの一方又は両方が、例えば上縁部分17を低くするためにストラップ・ループから緩められたとき、小児は背をそらせることがあるが、しかし、それぞれのストラップ・ループの第2部分4が上側第2結合器具5bと同じ高さで第1部分3に取り付けられているために、小児の重心が着用者から大きく変異することはなく、また、キャリアから立ち上がろうとした場合に、小児がキャリアから落ちるリスクもない。このことは、下側結合器具16に関連して着座部分14の舌片14aの長さを変えることにより、ベビーキャリアのサイズを調節することによっても保証される。このようなサイズの調節により、小児の背中、肩、及び頭は、小児の身長とは独立して、常にフロント・ピース12に対してほぼ同じスポットに位置することになる。
【0023】
さらに、ベビーキャリアは、好適な方法で調節可能であり、好ましくは着用者の腰の周りに延びるリリーフ・ベルト6を含んでもよい。リリーフ・ベルト6は、好ましくは下側結合器具16を介して、少なくとも着用者の胸部の側に位置するそれぞれのストラップ・ループの第1の部分3のうちの少なくとも一方と、取り外し可能に結合されている。すなわち、リリーフ・ベルトは、着用者の背側に位置するそれぞれのストラップ・ループと結合される必要はない。
【0024】
好適な実施形態の場合、リリーフ・ベルト6はバック・プレート20を含む。バック・プレート20は、図1aに見られるように、剛性部材21を介して着用者の背側で、それぞれのストラップ・ループ2a,2bと鉛直方向に調節可能に結合されている。この剛性部材21はまた、調節手段21aを介してストラップ・ループ2a,2bを調節可能に相互に結合している。調節手段21aは、互いに面するストラップ・ループのそれぞれの縁部にスライド可能に取り付けられている。バック・プレートを含まないリリーフ・ベルトを、着用者の背側でそれぞれのストラップ・ループと調節可能に結合できることは明らかである。
【符号の説明】
【0025】
2a,2b ストラップ・ループ
3 第1部分
4 第2部分
10 キャリング・ポケット
12 フロント・ピース
5a 上側第1結合器具
5b 上側第2結合器具
14 着座部分
16 下側結合器具
図1
図1a
図2