(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960443
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】材料ディフレクタを備えた道路形成機械
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-35746(P2012-35746)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2012-172515(P2012-172515A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】11001515.3
(32)【優先日】2011年2月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100154106
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100167025
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100168608
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 大樹
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ザイベル
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
独国実用新案第29915875(DE,U1)
【文献】
特開平04−297605(JP,A)
【文献】
特開2005−256478(JP,A)
【文献】
実開平07−013574(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
E02F 3/76、3/84、3/815
E01H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、
進行方向において前記走行装置の前方に配置され、油圧システムにより回動されて異なる回動位置へ上昇及び下降が可能である、少なくとも一つの材料ディフレクタと、
を備えた道路形成機械であって、
オペレータが少なくとも、前記道路形成機械が道路表面の敷設を行うように構成される運転モード「敷設」と、前記道路形成機械がある位置から他の位置へ敷設作業を行うことなく移動可能に構成される運転モード「運搬」と、を選択することを可能にする制御システムを含み、
前記制御システムは、前記運転モード「運搬」において前記材料ディフレクタを自動的に前記油圧システムにより回動可能な最も高い回動位置へ上昇回動させ、そして、前記運転モード「敷設」においてオペレータが前記油圧システムによる前記材料ディフレクタの回動位置を調節できるように、構成される、
道路形成機械。
【請求項2】
前記材料ディフレクタは、前記油圧システムによって、水平に対し30°又は35°の角度まで上昇回動可能である、請求項1に記載の道路形成機械。
【請求項3】
前記材料ディフレクタは、前記油圧システムにより回動した回動位置で、上方及び下方のいずれか又は両方へ向かう揺動を許容する自由移動を伴って維持される、請求項1又は請求項2に記載の道路形成機械。
【請求項4】
前記材料ディフレクタにおける前記油圧システムの油圧シリンダの適用点が、オーバル形孔に保持されている、請求項3に記載の道路形成機械。
【請求項5】
フローティング位置にある前記油圧システムの油圧シリンダにより、前記材料ディフレクタが自由移動を伴って維持される、請求項3に記載の道路形成機械。
【請求項6】
前記材料ディフレクタは、完全に上昇回動したときに、前記油圧システムにおけるチェックバルブ、ラッチ、及び機械式トグルのいずれか又は組み合わせによって維持される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の道路形成機械。
【請求項7】
特別運転制御が提供され、前記運転モード「敷設」において前記特別運転制御が実行されると、前記制御システムが自動的に前記材料ディフレクタを前記油圧システムにより回動可能な最も高い回動位置へ上昇回動させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の道路形成機械。
【請求項8】
道路仕上げ機械、エクスカベータ、又はフィーダである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の道路形成機械。
【請求項9】
走行装置と、
進行方向において前記走行装置の前方に配置され、油圧システムにより回動されて異なる回動位置へ上昇及び下降が可能である、材料ディフレクタと、
を備えた道路形成機械の運転方法であって、
オペレータが、当該道路形成機械の制御システムにより、少なくとも、前記道路形成機械が道路表面の敷設を行うように構成される運転モード「敷設」と、前記道路形成機械がある位置から他の位置へ敷設作業を行うことなく移動可能に構成される運転モード「運搬」と、を選択し、
前記運転モード「運搬」において前記材料ディフレクタが自動的に前記油圧システムにより回動可能な最も高い回動位置まで上昇回動し、
前記運転モード「敷設」において前記オペレータが前記油圧システムによる前記材料ディフレクタの回動位置を調節可能である、
方法。
【請求項10】
前記材料ディフレクタが、前記油圧システムにより回動した回動位置で、上昇及び下降回動のいずれか又は両方を許容する自由移動を伴って維持される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係る道路形成機械及びこのような道路形成機械を運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路仕上げ機械やフィーダにおける無限軌道装置や前輪の前に材料ディフレクタ(deflector)を設けて、これら各道路形成機械の材料バンカ(bunker、貯蔵部)から該機械の前へ落下した走行装置前方の敷設材料を排除することが、周知である。その目的は、準備中の道路表面の品質に悪影響を与えないように、上に道路表面が準備される基層の、凸凹を除くことにある。ある位置から敷設作業外の別の位置へ道路形成機械が移動する運搬運転の間、あるいは、低床トラック上へ道路形成機械が走行する最中に、材料ディフレクタは、手作業で上方へ折り畳まれ、この完全に持ち上げられた位置において機械的にロックされる。これによって、道路形成機械の積み込み角度がより大きくなり、そして、障害物につまずくことによる材料ディフレクタへのダメージが防止される。しかし、材料ディフレクタを手作業で折り上げるのは、大変手間暇のかかることである。このような従来の材料ディフレクタは特許文献1から得られる。
【0003】
敷設作業中にも、例えば、マンホールの蓋などの障害物を乗り越えて進むことができるように、材料ディフレクタは一時的に折り上げることができる必要がある。このときに、折り下げられる可能性のある材料リフレクタの直ぐ上に道路形成機械の材料バンカの壁が位置している場合、材料ディフレクタの利用し易さが大変悪いこともある。
【0004】
特許文献2とこれに対応する特許文献3にそれぞれ記載された道路形成機械用の材料ディフレクタは、改善を提示する。この特許文献において、材料スクレーパ(scraper)が低床トラック上に道路仕上げ機械を積載する間の邪魔になる、あるいは、障害物のところで道路表面に望ましくない跡を残し得るという問題が指摘されている。そこで、特許文献2は、下方への移動のみ制限するように材料ディフレクタを維持することを示唆する。これは、上方への移動はフリーであることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,732,024号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開DE29915875号公報
【特許文献3】ヨーロッパ特許公開EP1083263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特にオペレータに対するよりいっそうの容易な操作性の観点で、材料ディフレクタを備えた道路形成機械をさらに改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に係る特徴を有する道路形成機械及び請求項10に係る特徴を有する道路形成機械運転方法によって、達成される。本発明のその他の有益な発展は、従属形式請求項に記載されている。
【0008】
本発明に係る道路形成機械は、異なる運転モードをオペレータが選択することを可能にする制御システムを含むことを特徴とし、少なくとも「敷設」と「運搬」の運転モードが利用可能である。運転モード「敷設」において道路形成機械は、道路表面の敷設に関与するように構成される。運転モード「運搬」において道路形成機械は、ある位置から
他の位置へ、敷設作業を同時に行うことなく移動可能である。
【0009】
本発明に係る道路形成機械の制御システムは、運転モード「運搬」において、材料ディフレクタを自動的に完全に上昇回動させるように構成される。一方、運転モード「敷設」においては、制御システムは、オペレータが手動的に材料ディフレクタの回動位置を調節できるように構成される。
【0010】
本発明に係る道路形成機械の利点は、もはやオペレータが材料ディフレクタに注意を払う必要がほとんどないということである。オペレータは、運転モード「敷設」と「運搬」を選択するだけで十分である。このときに、オペレータが材料ディフレクタを個別に作動させる(手作業の折り上げのことではない)必要はなく、制御システムが材料ディフレクタの最適な向きを管理する。このようにして、材料ディフレクタの取り扱いが格段に改善され、道路形成機械又は低床トラックのような他の運搬車に対するダメージが避けられる。本発明に係る道路形成機械では、運搬運転又は道路形成機械の積み込みに際して、道路形成機械のオペレータが材料ディフレクタを折り上げ位置に持ち上げることを忘れるということは、もはや生じ得ない。
【0011】
制御システムに記憶された、運転モード「敷設」で材料ディフレクタのとるべき回動位置(任意に可変)によって、いっそうの簡便化が達成される。オペレータが運転モード「敷設」を選択又は開始した場合、材料ディフレクタは、この記憶された回動位置へ自動的にもって行かれる。当該位置からさらに手動的に回動させることも可能である。オペレータは、運転モード「敷設」用に、新しい標準回動位置を制御システムに記憶させることもできる。
【0012】
好ましくは、材料ディフレクタは、水平に対し30°、好適には35°の角度まで上昇回動可能である。これは、例えば低床トラックへの道路形成機械の有効な積み込み角度と、道路形成機械前方に障害物があるときの材料ディフレクタの安全な退避との両方を可能にする。
【0013】
異なる回動位置への材料ディフレクタの自動調節は、油圧(液圧)システムによって実施可能である。通常、油圧回路は、例えば材料バンカ壁やスクリードを調節するために道路形成機械に常備されており、したがって、材料ディフレクタ用にさらなる油圧システムを準備することは、大幅な追加労力を要しない。材料ディフレクタ用油圧システムを既存の油圧システムに集約することもまた考えられる。
【0014】
材料ディフレクタが、完全には上昇回動しきっていないときに、上方への回動を許容する自由移動を伴って維持されていると、さらなる利点がある。この自由移動は、道路形成機械前方の障害物を超えて進むときに材料ディフレクタが自分で上方へ動くことを可能にする。これは、例えばマンホールの蓋など、道路形成機械全体の動きを妨害してしまうような障害物に材料ディフレクタがつまずくことを防止する。障害物を通過した後、材料ディフレクタは、事前の決められた回動位置へ自重により調節される。
【0015】
このような自由移動を可能にするため、材料ディフレクタの油圧シリンダ適用点を好ましくはオーバル形(楕円、長円等)孔で保持する。油圧シリンダの適用点に対する直接的なオーバル形孔の配置は、ポジティブに簡単な構成で材料ディフレクタの自由移動を可能にする。
【0016】
追加又は代替的に、材料ディフレクタを回動させる油圧シリンダが、材料ディフレクタを自由移動に維持するフローティング位置をとるようにすることも可能である。油圧シリンダのフローティング位置は、材料ディフレクタが自由移動で調節できる角度をさらに調節可能であり得る。
【0017】
完全に上昇回動した位置において、材料ディフレクタは、偶発的に下方へ回動できないように固定されるべきである。これは、油圧システム中のチェックバルブ、ラッチ、及び完全に上昇回動したときの機械式トグル(toggle)のいずれか又は組み合わせにより、材料ディフレクタを維持することで行われる。
【0018】
道路形成機械において、例えばキーボタンなどで特別な運転制御をさらに設けることができ、運転モード「敷設」においてこれが実行されると、制御システムは自動的に材料ディフレクタを完全に持ち上がった位置へ上昇回動させる。この特別運転制御は、急な又は一時的な材料ディフレクタの上昇回動が必要な障害物やその他の状況を道路形成機械のオペレータが認識したときに、当該オペレータにより作動させることができる。
【0019】
道路形成機械は、特に、道路仕上げ機械、道路仕上げ機械用フィーダ、又はエクスカベータ(excavator)であり得る。しかしながら、代替的に、その他の建設機械、例えば軌道敷設機械(track laying machine)が材料ディフレクタを備えることが可能であり、本発明に従って構成され得る。
【0020】
本発明は、道路形成機械の運転方法にも関連しており、この方法において、オペレータは、道路形成機械の制御システムにより、少なくとも「敷設」と「運搬」の運転モードを選択し、運転モード「運搬」で材料ディフレクタが自動的に最高回動位置へ上昇回動し、運転モード「敷設」でオペレータが手動で材料ディフレクタの回動位置を調節する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る道路形成機械として、特に道路仕上げ機械を示す図。
【
図2】本発明に係る道路形成機械の材料ディフレクタを、下降回動位置で示す図。
【
図3】
図2に示す材料ディフレクタを、完全上昇位置で示す図。
【
図4】本発明に係る材料ディフレクタの第2実施形態を示す図。
【
図5】
図4に示す材料ディフレクタを、完全上昇位置で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。図中、共通の要素には同じ符号を付してある。
【0023】
図1は、本発明に係る道路形成機械の一例として、道路仕上げ機械Fを示す。この他に、道路形成機械Fは、エクスカベータやフィーダであり得る。道路仕上げ機械Fは、図示の例では無限軌道装置である走行装置Rを備えたシャシ(chassis)1を有する。作業進行方向に見てシャシ1の前部には、補充側Eから補充される敷設材料用の材料バンカBが設けられる。シャシ1上には、ディーゼルエンジン等の主駆動源2があり、この駆動源2の後に運転台3がある。
【0024】
シャシ1の両長辺にある走行装置の各片方において、無限軌道装置Rは、長手方向に配置されたサポートTを備え、このサポートTは、シャシ1で支持されて上下動又は揺動することが可能である。サポートTは、スプロケットで無限軌道Kを保持する。各サポートTにおいて、材料ディフレクタMが、作業進行方向に見て無限軌道Kの前方に配置される。材料ディフレクタMは、道路仕上げ機械Fの前方の基層上にある材料を排除するために、特に、走行装置Rから遠ざけるために、使用される。この目的のため、材料ディフレクタは、作業進行方向に対して傾斜した逸らし面Aを有したものとすることができ、これにより、基層上にある材料を両無限軌道Kの間へ排除し、無限軌道Kの進路をクリアにする。
【0025】
本発明に係る道路形成機械Fは、制御システムSを備える。運転台3の運転装置Dにより、道路形成機械Fのオペレータは、各種の運転モード、特に運転モード「運搬」と「敷設」を選択することが可能である。オペレータは、例えば基層上に道路表面を加えることにより、あるいは、後続の道路仕上げ機械に対して敷設材料を搬送することにより、道路形成機械を道路形成過程に能動的に参加させるときに、運転モード「敷設」を選択し得る。制御システムSは、好ましくは、運転モード「敷設」が選択された場合には、搬送装置、コンベヤ装置、又はスクリードといった所定の作業ユニットを、活動運転状態に配置するように構成される。一方、オペレータは、道路形成機械Fが道路表面敷設無しで退かされるだけの場合に、運転モード「運搬」を選択し得る。
【0026】
図1に係る道路仕上げ機械Fは、油圧(液圧)システムHをさらに有する。この概略的に示された油圧システムHは、制御システムSにより制御される。当該油圧システムは、とりわけ、材料ディフレクタMの回動に使用される。
【0027】
図2は、道路形成機械Fの走行装置Rに設けられた、本発明に係る材料ディフレクタMの側面図を示す。材料ディフレクタMは、その逸らし面Aが作業進行方向において道路形成機械Fの走行装置R前端の前方に位置するように、配置される。走行装置Rは、無限軌道装置である必要はなく、例えば車輪装置であってもよい。
【0028】
逸らし面Aは、走行装置Rの作業進行方向に対して傾斜している。例えばスクリュウなどの固定手段4を介し、逸らし面Aは、取り外し可能に且つ任意に調節可能にしてブーム(boom)5に固定される。このブームは、水平方向の揺動軸6に関して回動可能である。この揺動軸6は、走行装置RのサポートTに位置する。
【0029】
油圧シリンダ7が、走行装置RのサポートTとブーム5との間に設けられる。油圧シリンダ7は、油圧システムHから圧油の供給を受けてピストン8を伸縮させることができ、これにより油圧シリンダ7の長さが変化する。
図2において油圧シリンダの左端は支持要素9に固定され、支持要素9は続いて揺動軸受10を介し回動可能にして、走行装置RのサポートTへ固定される。支持要素9とは反対側にあるピストン8の外端(
図3参照)は、油圧シリンダ7の適用点11に相当する。例えば水平方向に配置されたピンを備える当該適用点11は、ブーム5のオーバル形孔12内に配置される。
【0030】
図2は、下降位置にある材料ディフレクタMを示し、該下降位置において、ブーム5はほぼ水平方向に延びる。すなわち、材料ディフレクタ(又はスクレーパ)Mが基層上又はストップスクリュウの位置に置かれる。油圧シリンダ7は、その収縮位置にある。油圧シリンダ7の適用点11は、ブーム5におけるオーバル形孔12の中央に位置している。オーバル形孔12と油圧シリンダ7の適用点11との相互作用により、材料ディフレクタMの上下方向への自由移動が許容される。油圧シリンダ7を調節せずとも材料ディフレクタMは、油圧シリンダ7の適用点11がオーバル形孔12の右端13又はストップスクリュウに到達するまでの回動角度で下方へ回動可能であり、あるいは、油圧シリンダ7の適用点11がオーバル形孔12の左端14に到達するまで上方へ回動可能である。材料ディフレクタMは、道路形成機械F前方の障害物に遭遇した場合、このような受動的な一時的回動動作を行うことができる。自由移動は、油圧シリンダ7がフローティング位置をとることによっても許容され得る。
【0031】
図3は、完全上昇位置にある材料ディフレクタMを示す。水平方向に対して、材料ディフレクタは、高圧油の供給で油圧シリンダ7を伸長させた油圧システムHにより、約27°の角度αで上方へ回動している。この油圧シリンダ7の伸長により、油圧シリンダ7の適用点11がオーバル形孔12の前端13に作用して、ブーム5を上方へ持ち上げる。この移動は、オペレータが操作パネルDで運転モード「運搬」を選択することにより生じる。この移動は、また、道路形成機械Fの運転台3のオペレータが例えばプッシュボタン15などの特別な運転制御15を作動させることにより、起動でき、運転モード「敷設」中に当該運転モードを変更することなく、材料ディフレクタMを一時的に持ち上げることができる。
【0032】
本発明に係る道路形成機械Fの運転は格段に容易となっており、道路形成機械Fの運転モードを選択すること及び特別運転制御15を作動させることのいずれか又は両方によって、材料ディフレクタMの移動が自動的に行われる。したがって、面倒な手作業による材料ディフレクタMの折り上げは不要とできる。
【0033】
図4は、材料ディフレクタMの第2実施形態を示す。第2実施形態では、道路仕上げ機械Fの走行装置RのサポートTに、ストップスクリュウ20が設けられていることが、上記第1実施形態と異なる。このストップスクリュウ20は、
図5に示す、材料ディフレクタMの完全上昇位置において、より明確に見てとれる。ストップスクリュウ20は、材料ディフレクタMのブーム5で対応するストップ受けと協働し、後方へのブーム5の回動を制限する。ストップスクリュウ20は、材料ディフレクタMのブーム5の回動角度を後方へ広げるように変更するべく、任意に調節可能である。
【0034】
材料ディフレクタMをニュートラル位置としたときに、最上位置及び最下位置の両方へ向けては自由移動せず、障害物を避けられるように最上位置(又は最下位置)へ向かう自由移動だけできるものとすることが、考えられ得る。