(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグモジュール装備シートとして、シートバックフレームのサイドフレームにエアバッグモジュールを取り付け、トリムカバーの各端末と二枚の力布の片端末を共縫いしてトリムカバーの破断部を形成し、破断部からトリムカバーの内側に引き込んだ二枚の力布でエアバッグモジュールを包み込んで、このエアバッグモジュールを含むシートバック全体をトリムカバーで被包するものが提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、エアバッグモジュールを内部に収容するモジュールカバーに、上下方向に伸びる棒状の掛け止めピンが設けられ、トリムカバーの破断部から連続する力布の破断部逆側端部には引っ掛けフックが連結されている。力布の破断部逆側端部は、引っ掛けフックをモジュールカバーの掛け止めピンに掛け止めることにより、モジュールカバーに連結固定されている。
特許文献1の発明によれば、力布をバックパッドの開口縁から空洞部の内側に夫々引き込み、空洞の内側でトリムコードの引掛けフックをモジュールカバーの掛止めピンに掛け止めるだけでよいため、力布をコンパクトにかつ簡単に組み付けられる。
【0004】
このように、力布の端部に連結したフックをエアバッグモジュール側に係止する技術が知られているが、特許文献1のような引っ掛けフックでは、エアバッグモジュール側に係止したフックが、エアバッグの展開時に掛かる力により回転する虞があった。
そこで、本発明者らは、特願2011−260623号で、力布をエアバッグモジュール側に取付ける取付部材であって、エアバッグ展開時の回転が抑制されたものを提案した。
この取付部材は、取付部材自体をエアバッグモジュール側に取付ける連結部と、力布の端部を内部に保持する保持空間とを備えており、保持空間と連結部との位置関係が調整されることにより、エアバッグ展開時の取付部材の回転が抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特願2011−260623号で提案された取付部材は、力布の端部を取付部材の保持空間に保持するため、保持空間内で力布が移動する虞があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、取付部材に取付けられる力布の端部が、取付部材から移動することを規制する取付部構造,取付部材及びエアバッグモジュール装備シートを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、力布の端部が取付部材の適切な位置に配置されたことを組み付け時に即時に知ることができるガイドを備えることにより、力布のシートバックフレームへの組付の作業性が向上された取付部構造,取付部材及びエアバッグモジュール装備シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、請求項1の取付部構造によれば、エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材の端部側を被取付部に取付ける取付部の構造であって、前記取付部は、前記案内部材の端部側を着脱可能に内部に保持する保持空間を備え、前記保持空間を形成する壁面及び前記案内部材の端部側の少なくとも一方は、前記案内部材の端部側を、前記壁面に対して、前記保持空間への前記案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有
し、前記着脱方向は、前記案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向であり、前記移動抑制部は、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部を備えること、により解決される。
【0008】
このように、保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
また、着脱方向が、前記案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向であるため、案内部材に掛かる引張力により、案内部材を着脱する部位が弱められることがない。また、取付部材の保持空間内で、案内部材の端部が案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向に移動することを抑制できる。
また、移動抑制部が、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部からなるため、簡単な構成で、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、取付部材による案内部材の端部の支持剛性を向上できる。
【0009】
このとき、請求項2のように、請求項1記載の取付部構造を備えた取付部材であって、前記被取付部は、前記エアバッグモジュールを装備するシートのサイドフレームであり、前記取付部材は、前記サイドフレームとは別体からなり、前記取付部と、前記サイドフレームに係止される溝とを備えると好適である。
このように構成しているため、案内部材を、サイドフレームに直接取付けでき、取付を、コンパクトで簡単な構成で達成できる。
また、取付部材がサイドフレームと別体として構成されているため、案内部材のサイドフレームへの取付位置を最初から厳密に設計する必要がない。
【0010】
前記課題は、請求項3の取付部材によれば、エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材の端部側を被取付部に取付ける取付部を備えた取付部材であって、前記被取付部は、前記エアバッグモジュールを装備するシートのサイドフレームであり、前記取付部材は、前記サイドフレームとは別体からなり、前記取付部は、前記案内部材の端部側を着脱可能に内部に保持する保持空間を備え、前記保持空間を形成する壁面及び前記案内部材の端部側の少なくとも一方は、前記案内部材の端部側を、前記壁面に対して、前記保持空間への前記案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有し、前記移動抑制部は、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部を備えること、により解決される。
このように
、保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
また、取付部を備えた取付部材であって、被取付部は、エアバッグモジュールを装備するシートのサイドフレームであり、取付部材は、サイドフレームとは別体からなるため、案内部材を、サイドフレームに直接取付けでき、取付を、コンパクトで簡単な構成で達成できる。
また、取付部材がサイドフレームと別体として構成されているため、案内部材のサイドフレームへの取付位置を最初から厳密に設計する必要がない。
また、移動抑制部が、保持空間を形成する壁面に設けられた凸部からなるため、簡単な構成で、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、取付部材による案内部材の端部の支持剛性を向上できる。
【0012】
このとき、請求項
4のように、前記移動抑制部は、更に、前記案内部材の端部側に設けられた凹部を備え、該凹部は、前記案内部材の端部側が前記保持空間に取付けられたときに前記凸部に対向する位置に設けられていると好適である。
このように構成しているため、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、凹部が、案内部材の端部側が保持空間に取り付けられたときに凸部に対向する位置に設けられているため、案内部材の端部側を保持空間に組み付けるときに、凸部と凹部が係合することにより、クリック感を得ることができ、所定の位置に案内部材の端部側が設置された合図を得ることができるので、作業性が向上する。
【0013】
このとき、請求項
5のように、前記保持空間は、前記取付部材の上端から下端まで伸びる開口からなり、前記保持空間の側壁には、前記取付部材の外側面まで伸びるスリットが設けられ、前記保持空間の前記側壁には、前記スリットに近接した位置に、前記凸部が設けられていると好適である。
【0014】
保持空間内の案内部材の端部は、保持空間の奥側からスリット側への引張力を受けるが、スリットに近接した位置に、凸部が設けられているため、案内部材の端部が、案内部材に掛かる引張力により凸部に押し付けられ、案内部材の端部の上下方向への移動を規制する効果を、より強く達成できる。
また、凸部により、案内部材の端部が、保持空間内で、スリットに近接した位置からスリットに遠い側に押されるため、案内部材の端部の保持空間からの抜けの抑制効果も達成できる。
【0015】
このとき、請求項
6のように、前記保持空間には、前記案内部材の前記端部側が取付けられたプレートが保持され、前記保持空間内において、前記保持空間の前記側壁と前記プレートとの間には、軟質のシート状体が挟持され、前記移動抑制部は、前記側壁に設けられた凸部と、前記シート状体に設けられた凹部からなり、該凹部は、前記プレートが前記保持空間に取り付けられたときに前記凸部に対向する位置に設けられていると好適である。
【0016】
このように構成すると、側壁とプレートとの間に挟持されたシート状体が軟質であるため、凸部と凹部が係合する位置に達するまでのプレートの移動が容易になると同時に、凸部と凹部が係合する位置にプレートが達したときの係合が容易となり、取付部材へのプレートの組み付け性が向上する。
【0017】
このとき、請求項
7のように、前記シート状体は、前記プレートの一方の面上に前記シート状体が複数積層されたシート状体積層体からなり、前記凹部は、前記シート状体積層体を構成するすべての前記シート状体を貫通し、前記プレートまで到達していると好適である。
このように、プレートの一方の面上に、軟質のシート状体積層体を設けるため、凸部と凹部が係合する位置に達するまでのプレートの移動を容易にすると同時に、凸部と凹部が係合する位置にプレートが達したときの係合が容易となり、取付部材へのプレートの組み付け性が向上する。また、シート状体積層体を構成するシート状体の枚数を選定することにより、容易に凸部と凹部との係合状態を設定でき、適当な係合状態の移動抑制部を達成できる。
また、凹部がシート状体積層体だけでなくプレートまで到達しているため、プレート自体を取付部材に位置決めでき、上下方向のプレート及び案内部材の端部の移動をより強く抑制できる。
【0018】
このとき、請求項
8のように、前記案内部材の前記端部側は、前記プレートに縫着されており、前記凸部は、前記プレートと前記端部の縫着部に対向しない位置に設けられていると好適である。
このように構成しているので、凸部と凹部とのより強固な係合が可能となる。
【0019】
このとき、請求項
9のように、前記凸部は
、エアバッグの展開に伴って前記案内部材に掛かる引張荷重を受ける面に設けられると好適である。
このように構成しているので、案内部材に係る引張荷重を受ける面で、案内部材の端部が保持空間に位置決めされるため、剛性の高い位置で荷重を受けることとなり、取付部材の回転が抑制される。
【0020】
前記課題は、請求項10のエアバッグモジュール装備シートによれば、エアバッグを格納するエアバッグモジュールを装備したシートであって、前記エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材と、該案内部材の端部側を被取付部に取付ける取付部と、該取付部により前記案内部材の端部側が取付けられる前記被取付部と、を有し、前記取付部は、前記案内部材の端部側を着脱可能に内部に保持する保持空間を備え、前記保持空間を形成する壁面及び前記案内部材の端部側の少なくとも一方は、前記案内部材の端部側を、前記壁面に対して、前記保持空間への前記案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有し、前記着脱方向は、前記案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向であり、前記移動抑制部は、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部を備えること、により解決される。
前記課題は、請求項11のエアバッグモジュール装備シートによれば、エアバッグを格納するエアバッグモジュールを装備したシートであって、前記エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材と、該案内部材の端部側を被取付部に取付ける取付部
を備えた取付部材と、前
記取付部により前記案内部材の端部側が取付けられる前記被取付部と、を有し、
前記被取付部は、前記シートのサイドフレームであり、前記取付部材は、前記サイドフレームとは別体からなり、前記取付部は、前記案内部材の端部側を着脱可能に内部に保持する保持空間を備え、前記保持空間を形成する壁面及び前記案内部材の端部側の少なくとも一方は、前記案内部材の端部側を、前記壁面に対して、前記保持空間への前記案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有
し、前記移動抑制部は、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部を備えること、により解決される。
【0021】
このように、保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
また、着脱方向が、前記案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向であるため、案内部材に掛かる引張力により、案内部材を着脱する部位が弱められることがない。また、取付部材の保持空間内で、案内部材の端部が案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向に移動することを抑制できる。
また、移動抑制部が、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部からなるため、簡単な構成で、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、取付部材による案内部材の端部の支持剛性を向上できる。
【0023】
請求項2の発明によれば、案内部材を、サイドフレームに直接取付けでき、取付を、コンパクトで簡単な構成で達成できる。
また、取付部材がサイドフレームと別体として構成されているため、案内部材のサイドフレームへの取付位置を最初から厳密に設計する必要がない。
【0024】
請求項3の発明によれば、
保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
また、取付部を備えた取付部材であって、被取付部は、エアバッグモジュールを装備するシートのサイドフレームであり、取付部材は、サイドフレームとは別体からなるため、案内部材を、サイドフレームに直接取付けでき、取付を、コンパクトで簡単な構成で達成できる。
また、取付部材がサイドフレームと別体として構成されているため、案内部材のサイドフレームへの取付位置を最初から厳密に設計する必要がない。
また、移動抑制部が、保持空間を形成する壁面に設けられた凸部からなるため、簡単な構成で、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、取付部材による案内部材の端部の支持剛性を向上できる。
【0026】
請求項
4の発明によれば、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、凹部が、案内部材の端部側が保持空間に取り付けられたときに凸部に対向する位置に設けられているため、案内部材の端部側を保持空間に組み付けるときに、凸部と凹部が係合することにより、クリック感を得ることができ、所定の位置に案内部材の端部側が設置された合図を得ることができるので、作業性が向上する。
【0027】
請求項
5の発明によれば、保持空間内の案内部材の端部は、保持空間の奥側からスリット側への引張力を受けるが、スリットに近接した位置に、凸部が設けられているため、案内部材の端部が、案内部材に掛かる引張力により凸部に押し付けられ、案内部材の端部の上下方向への移動を規制する効果を、より強く達成できる。
また、凸部により、案内部材の端部が、保持空間内で、スリットに近接した位置からスリットに遠い側に押されるため、案内部材の端部の保持空間からの抜けの抑制効果も達成できる。
【0028】
請求項
6の発明によれば、側壁とプレートとの間に挟持されたシート状体が軟質であるため、凸部と凹部が係合する位置に達するまでのプレートの移動が容易になると同時に、凸部と凹部が係合する位置にプレートが達したときの係合が容易となり、取付部材へのプレートの組み付け性が向上する。
【0029】
請求項
7の発明によれば、プレートの一方の面上に、軟質のシート状体積層体を設けるため、凸部と凹部が係合する位置に達するまでのプレートの移動を容易にすると同時に、凸部と凹部が係合する位置にプレートが達したときの係合が容易となり、取付部材へのプレートの組み付け性が向上する。また、シート状体積層体を構成するシート状体の枚数を選定することにより、容易に凸部と凹部との係合状態を設定でき、適当な係合状態の移動抑制部を達成できる。
また、凹部がシート状体積層体だけでなくプレートまで到達しているため、プレート自体を取付部材に位置決めでき、上下方向のプレート及び案内部材の端部の移動をより強く抑制できる。
【0030】
請求項
8の発明によれば、凸部と凹部とのより強固な係合が可能となる。
請求項
9の発明によれば、案内部材に係る引張荷重を受ける面で、案内部材の端部が保持空間に位置決めされるため、剛性の高い位置で荷重を受けることとなり、取付部材の回転が抑制される。
【0031】
請求項10の発明によれば、保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
また、着脱方向が、前記案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向であるため、案内部材に掛かる引張力により、案内部材を着脱する部位が弱められることがない。また、取付部材の保持空間内で、案内部材の端部が案内部材に掛かる引張力の方向に略直交する方向に移動することを抑制できる。
また、移動抑制部が、前記保持空間を形成する壁面に設けられた凸部からなるため、簡単な構成で、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、取付部材による案内部材の端部の支持剛性を向上できる。
請求項11の発明によれば、保持空間を形成する壁面及び案内部材の端部側の少なくとも一方は、案内部材の端部側を、壁面に対して、保持空間への案内部材の端部側の着脱方向に位置決めする移動抑制部を有するため、取付後に保持空間内で案内部材の端部が、着脱方向に移動することを抑制できる。また、案内部材端部側の着脱方向への位置決めが可能となり、案内部材の被取付部への取付が容易になる。
また、取付部を備えた取付部材であって、被取付部は、エアバッグモジュールを装備するシートのサイドフレームであり、取付部材は、サイドフレームとは別体からなるため、案内部材を、サイドフレームに直接取付けでき、取付を、コンパクトで簡単な構成で達成できる。
また、取付部材がサイドフレームと別体として構成されているため、案内部材のサイドフレームへの取付位置を最初から厳密に設計する必要がない。
また、移動抑制部が、保持空間を形成する壁面に設けられた凸部からなるため、簡単な構成で、取付部材の保持空間内で案内部材の端部を位置決めできる。また、取付部材による案内部材の端部の支持剛性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、エアバッグモジュールの展開方向を案内する案内部材の端部側を被取付部に取付ける取付部の構造に関する。本発明は、エアバッグモジュールの展開を案内する案内部材と取付部の構造があれば、車両用シートに限らず、その他ドア等の車両用内装材にも用いることができる。
エアバッグモジュールとしては、車両前席のシートのサイドフレームやドアに設けられるサイドエアバッグのほか、ハンドルやインパネに設けられる運転席用,助手席用エアバッグ,ニーエアバッグや、車両のサイドウインドウ上部に設けられるサイドカーテンエアバッグ,後部座席のセンターコンソールに設けられる後席センターエアバッグ等、車両に設けられるあらゆるエアバッグモジュールを含む。
【0034】
本発明の案内部材は、表皮よりも伸縮性に乏しいシート状部材であって、エアバッグモジュールの格納箇所の表皮等に設けられた破断部に一端が縫合されて、エアバッグ展開時に掛かる力を破断部に伝達して、エアバッグの展開を促進する力布や、エアバッグ展開時にエアバッグ膨張に伴う力によりクッションパッド等の他の部材が破損しないよう、エアバッグモジュールと他の部材との間に配置される力布等を含む。
取付部は、被取付部に一体に形成されていてもよいし、被取付部と別体の取付部材に形成されていてもよい。
以下、本発明の一実施形態に係る連結部材及びエアバッグモジュール装備シートについて、
図1〜
図11を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係るエアバッグモジュール装備シートの外観図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るエアバッグモジュール装備シートのシートフレームの斜視図である。
図3は、
図1のA−A断面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係るトリムカバーと力布を破断部で共縫いした状態を示す説明図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る取付部材を介して力布をシートバックフレームに連結した状態を示す説明図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る取付部材の斜視図である。
図7は、
図5のB−B断面図であって、サイドフレームを省略した断面説明図である。
図8は、本発明の他の実施形態に係る取付部材とトリムプレートの連結状体を示す断面説明図である。
図9は、
図8のC−C断面図である。
図10は、本発明の更に他の実施形態に係る取付部材とトリムプレートの連結状体を示す断面説明図である。
図11は、
図10のD−D断面図である。
【0036】
本実施の形態に係るエアバッグモジュール装備シートは、
図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されている。
車両用シートSの中には、
図2に示すようなシートフレームFが設けられている。シートフレームFは、シートバックS1のフレームであるシートバックフレーム1と、着座部S2のフレームである着座フレーム2とから構成されている。着座フレーム2とシートバックフレーム1は、リクライニング機構3を介して連結されている。シートバックフレーム1および着座フレーム2の外側には、クッションおよびトリムカバーが設けられることで、シートバックS1および着座部S2が構成される。
【0037】
シートバックS1は、
図1乃至
図3に示すように、シートバックフレーム1と、シートバックフレーム1上に載置されるクッションパッド5と、シートバックフレーム1及びクッションパッド5を覆うトリムカバー4と、トリムカバー4の破断部40に一端が縫い付けられた力布32を主要構成要素とする。
シートバックフレーム1は、
図1,
図2に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在するサイドフレーム10と、このサイドフレーム10の上端部を連結する上部フレーム21と、下端部を連結する下部フレーム22とにより枠状に構成されている。
上部フレーム21には、ピラー支持部23が設けられ、ピラー支持部23には、不図示のヘッドレストフレームが設けられる。ヘッドレストフレームの外側にクッション部材を設けることでヘッドレストS3が構成される。
【0038】
サイドフレーム10は、板金をプレス加工して成形され、前端の辺が湾曲して前端の下側部分が前方に張り出した略D字状の略板体からなる。
図3に示すように、ほぼ平板状の側板11と、この側板11の前端部を内側にU字状に折り返してなる前縁部12と、後端部をL字型に内側に屈曲させた後縁部13とを有している。サイドフレーム10の前縁部12は、特許請求の範囲の被取付部に対応する。
サイドフレーム10には、エアバッグモジュール6が固定されている。
【0039】
エアバッグモジュール6は、公知の構成からなり、特に図示しないが、インフレータをリテーナで保持し、そのリテーナの締付けボルトをエアバッグより外部に突出させて、インフレータをリテーナと一体にエアバッグの取付基部寄り内部に組み付け、更に、リテーナの締付けボルトを外部に突出させて全体をモジュールケースの内部に収容し、衝撃センサー等の関連機器と回路構成するのに必要なハーネス,コネクタを備えることにより組み立てられている。
【0040】
モジュールケースとしては、開閉可能なリッドをケース本体にヒンジ接続したもの、または、V溝等による脆弱部を前部面に設けたケース本体とロアプレートとからなるハウジングにより、エアバッグの膨張圧で開放可能なものが備え付けられている。
クッションパッド5には、
図3に示すように、エアバッグモジュール6を格納するための空間7が形成されている。
【0041】
トリムカバー4は、公知の材料からなり、
図3,
図4に示すように、座面中央から左右の土手面を被包する前面マチ部41と周側面から背面に至る側面マチ部42とを縫い合わせ、更に、不図示の背面マチ部を不図示のスライドファスナーで側面マチ部42に対して開閉自在に連結することにより袋状に縫製されている。
トリムカバー4には、前面マチ部41と側面マチ部42との土手部において膨出した頂点に、破断部40が形成されている。破断部40は、前面マチ部41と側面マチ部42の端部を、通常の使い勝手に耐えられる強度を保ちつつ、エアバッグの膨張による引張力で裂断可能なように、相互に縫製されている。
【0042】
側面マチ部42の破断部40逆側の端辺42eは、中央付近の領域が両側の領域よりも長く形成され、樹脂製からなり断面略J字状で長尺の係止部材33が縫い付けられている。係止部材33は、端辺42eの中央の領域をサイドフレーム10の後縁部13に係止するために用いられる。
力布32は、伸縮性の小さい布状素材からなり、エアバッグの膨張による応力を破断部40に伝達する役割を果たす。力布32は、特許請求の範囲の案内部材に対応する。
【0043】
力布32は、
図4に示すように、破断部40側の辺34と破断部40逆側の辺35とが略平行で、破断部40側の辺34が長く形成された略台形の布からなる。破断部40逆側の辺35は、矩形状に突出したトリムプレート37取付用の取付部36が、複数設けられている。取付部36が、特許請求の範囲の案内部材の端部側に対応する。
力布32の破断部40側の辺34は、破断部40で、トリムカバー4の前面マチ部41と側面マチ部42の端部と共縫いされている。力布32逆側の辺35の取付部36には、それぞれ、
図4に示すように、トリムプレート37が縫い付けられている。
取付部36には、トリムプレート37が縫い付けられた位置から、トリムプレート37の力布32の引っ張り方向の幅の略1.5倍程度の箇所に、
図4に示す切込み38が入っている。なお、切込み38の代わりに、円形,楕円形,多角形等の開口を設けてもよい。
トリムプレート37は、硬質樹脂製からなる矩形の板体である。トリムプレート37は、力布32の取付部36の端末の形状を保持するために用いられる力布端末形状保持部材である。力布32の端末にトリムプレート37が固定されていることにより、力布32の端末を係止部55に差込む際の作業性が向上する。
【0044】
力布32は、
図3に示すように、破断部40より空間7へ引き込まれている。力布32の他端のトリムプレート37は、取付部材50を介してサイドフレーム10の前縁部12に係止されている。また、サイドフレーム10の後縁部13には、側面マチ部42の破断部40逆側の端辺42eの中央の領域に縫い付けられた係止部材33が係止されている。
【0045】
取付部材50は、硬質樹脂から一体成形されてなり、
図5乃至
図7に示すように、サイドフレーム10の前縁部12の内壁の断面U字状の形状に略沿った断面略U字状の外面形状を有する幅広部51と、幅広部51の前縁部12端部側に形成された掛け止め部52と、掛け止め部52の幅広部51逆側の端部が力布32の伸びる側へ延出し、前縁部12の外側の面に覆い被さるように設けられた延出部54を備えている。取付部材50は、取付時前縁部12に沿う方向に略同じ断面形状を備えている。
掛け止め部52には、幅広部51の前縁部12端部側に、取付部材50を前縁部12に掛け止めるための溝53が、幅広部51から連続して形成されている。溝53は、前縁部12の端部を挟持している。
幅広部51には、トリムプレート37を内部に保持して係止する係止部55と、係止部55から引き出される力布32の通路となるスリット69の両壁面を形成する第一の壁部59,第二の壁部60を備えている。係止部55は、特許請求の範囲のプレート保持空間に該当する。
【0046】
係止部55は、トリムプレート37を内部に係止可能な大きさの空間からなり、上端から下端まで達する開口として形成されている。係止部55は、平面55cの一端に、トリムプレート37の断面長さ方向の一端側を囲む湾曲面55aを備え、他端に、トリムプレート37の断面長さ方向の他端側を囲む湾曲面55bを備え、平面55cに対向して、湾曲面55aから連続する第一の壁部59の内側の面59iを備えている。面59iは、平面55cよりも短く、面59iと湾曲面55bとの間は、スリット69につながる開口となっている。
スリット69は、係止部55の側壁の溝53逆側の位置に設けられ、取付部材50の外側面まで伸びる開口であって、第一の壁部59と第二の壁部60とに囲まれた隙間からなる。
【0047】
第一の壁部59は、湾曲面55aから延長し、第二の壁部60は、湾曲面55bから延長している。第一の壁部59と第二の壁部60とは、第一の壁部59の外側の面59oと第二の壁部60の内側の面60iが、相互に一定の間隔を置いて略平行に対向し、かつ相互に逆方向に延長し、その隙間がスリット69となっている。
第一の壁部59と第二の壁部60とは、係止部55の掛け止め部52逆側の壁を構成している。
【0048】
取付部材50は、延出部54から第一の壁部59までが、断面略C字状の壁形状として形成され、延出部54から第一の壁部59に至る部分の途中から分岐した断面略逆C字状の第二の壁部60が、延出部54から第一の壁部59までの部分と一体として連結した形状からなる。第二の壁部60は、延出部54から第一の壁部59に至る部分の途中から分岐し断面略逆C字状を描き、第一の壁部59の端部59eを覆い隠すよう、第一の壁部59よりも延出部54逆側まで伸びている。
【0049】
図6,
図7に示すように、湾曲面55b上には、車両用シートS上下方向の中央付近に、力布32を取付部材50に対して位置決めするための凸部70が立設されている。このように、凸部70が湾曲面55a,bのうち、スリット69に近い側の湾曲面55b上に設けられているので、凸部70によってスリット69に遠い奥の湾曲面55aに向かってトリムプレート37が押付けられる。従って、エアバッグの非展開時に、トリムプレート37及び力布32が外れることを抑制できる。
【0050】
図5,
図7に示すように、取付部材50がサイドフレーム10の前縁部12に取り付けられた状態において、第二の壁部60は、当接部61がサイドフレーム10の側板11に当接して前縁部12側から後縁部13方向に向かって延出した後、起立部62が側板11から離れて略垂直に立ち上がるように形成されている。第二の壁部60の端部60eは、第一の壁部59の端部59eよりも、サイドフレーム10の側板11逆側に位置している。
スリット69は、
図5,
図7に示すように、力布32の通路となり、力布32は、第一の壁部59の外面に押し付けられるように密着して伸びている。
【0051】
取付部材50は、
図5〜
図7に示すように、第二の壁部60が、第一の壁部59の端部59eを外側から覆い隠すように設けられ、第一の壁部59と第二の壁部60との間のスリット69が、力布32の通路として形成されているため、力布32から伝達される引張力によりトリムプレート37に生じる回転力を減らすことが可能となる。
【0052】
このように、取付部材50が凸部70を備え、力布32が切込み38を備えているため、力布32が取り付けられたトリムプレート37を、係止部55の上端又は下端から挿入したとき、凸部70が切込み38に係合して、トリムプレート37が取付部材50に位置決めされる。
なお、本実施形態では、力布32に切込み38を形成しているが、切込み38を形成しなくてもよい。切込み38を形成しない場合でも、トリムプレート37に力布32が巻き付けられており、力布32がトリムプレート37表面上でクッションのような役割を果たす。従って、凸部70によって、トリムプレート37が、スリット69に遠い側の奥の湾曲面55aに向かって押し付けられ、係止部55内でのトリムプレート37の移動が規制される。凸部70及び切込み38が、特許請求の範囲の移動抑制部に対応する。なお、移動抑制部は、係止部55内でのトリムプレート37の位置を規制する位置規制部としても機能する。
【0053】
本実施形態では、特許請求の範囲の取付部が、特許請求の範囲の被取付部に対応するサイドフレーム10の前縁部12とは別体として形成された取付部材50に設けられているが、これに限定されるものでなく、被取付部である前縁部12に一体に設けられていてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、本発明の取付部材として取付部材50を用いているが、その代わりに、
図8乃至
図11に示す取付部材50A,50Bとして構成してもよい。
図8,
図9の取付部材50Aでは、トリムプレート37を取付部材50Aに対して位置決めするための凸部70Aが、平面55Acの略中央付近に設けられている。凸部70Aは、
図8に示すように、溝53Aの底部付近に対向するように設けられ、サイドフレーム10へ取付けたときに、前縁部12の端部と対向する位置に設けられている。このように構成することにより、取付部材50Aをサイドフレーム10に取付けた時の支持剛性を向上することができる。
平面55Acは、トリムプレート37の平面部分が対向する係止部55Aの側壁であって、略平面からなる。平面55Acは、トリムプレート37取付時において、トリムプレート37のスリット69逆側の平面に対向する面、すなわち、スリット69側から見て係止部55Aの奥側の面である。
【0055】
また、トリムプレート37は、スリット69側の平面37aと係止部55Aの奥側の平面55Acに対向する平面37bとを備えている。
力布32は、端部32eがスリット69側の平面37aに当接し、スリット69に遠い奥側の湾曲面55Aa側を通って奥側の平面55Acに当接した後、スリット69に近い側の湾曲面55Ab側からスリット69を通って取付部材50Aの外側へ導かれている。
トリムプレート37には、スリット側の平面37aに力布32の端部32eが当接している。また、奥側の平面37bに、力布32のスリット側の平面37a側から折り返された部分32aが当接し、この部分32aの上に複数の力布の切片を積層した切片積層体39Aが重層されている。この端部32e,トリムプレート37,力布32の部分32a及び切片積層体39Aからなる積層体71Aが、
図8に示すように縫合されている。力布の切片が、特許請求の範囲のシート状体、切片積層体39Aが、特許請求の範囲のシート状体積層体に該当する。
【0056】
積層体71Aは、
図8,
図9に示すように、スリット69側から見て係止部55Aの奥側の表面に、凹部72Aが設けられている。凹部72Aは、力布の切片積層体39Aの表面の中央付近であって、凸部70Aと対向する位置に設けられている。
凹部72Aは、切片積層体39Aの表面から、切片積層体39Aに含まれる複数の力布の切片の数枚に至る深さを有する。凹部72Aは、力布32の部分32a及びトリムプレート37には到達していない。凹部72Aを備えていることにより、凸部70Aとの係合により、より明確で分かりやすいクリック感を作業者に与えることが可能となる。
取付部材50A及びトリムプレート37,力布32のその他の構成は取付部材50及びトリムプレート37,力布32と同様である。
【0057】
このように、特許請求の範囲の移動抑制部に対応する凸部70Aと凹部72Aとを備えているため、力布32に連結した積層体71Aを、係止部55Aの上端又は下端から挿入したとき、凸部70Aが凹部72Aと係合して積層体71Aが取付部材50Aに位置決めされる。
なお、積層体71Aは、力布32の上に力布の切片を積層して形成されているが、これに限定されるものではなく、軟質樹脂の薄いシートや、布,不織布,フェルト等他の軟質シートから構成してもよいし、また、力布32をトリムプレート37の周囲に複数回巻回すことにより形成してもよい。
【0058】
図10,
図11の取付部材50Bでは、トリムプレート37を取付部材50Bに対して位置決めするための凸部70Bと、この凸部70Bに係合する凹部72Bがそれぞれ、平面55Bcの略中央付近と、積層体71Bの表面の中央付近に設けられている。
積層体71Bの構成は、積層体71Aの構成と同様である。
また、凸部70Bは、凸部70Aよりも高く形成されている。
凹部72Bは、切片積層体39Bに含まれる力布の切片積層体39B及び第二の力布の部分32aを貫通し、トリムプレート37まで到達している。取付部材50B及び積層体71Bのその他の構成は取付部材50A及び積層体71Aと同様である。
【0059】
このように、特許請求の範囲の移動抑制部に対応する凸部70Bと凹部72Bとを備えているため、力布32に連結した積層体71Bを、係止部55Bの端部から挿入したとき、凸部70Bが凹部72Bと係合して積層体71Bが取付部材50Bに位置決めされる。