特許第5960454号(P5960454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960454
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】配送ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20160719BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20160719BHJP
   B42D 11/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G09F3/02 N
   G09F3/10 H
   B42D11/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-55692(P2012-55692)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-190530(P2013-190530A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】栂野 彰男
(72)【発明者】
【氏名】西村 博一
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−056422(JP,A)
【文献】 実開昭48−006992(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/02
B42D 11/00
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受領者情報を記入する受領票部及び配送先情報を記入する一つの宛名部を表面に有する情報記入シートと、第1粘着部を裏面に有する中間シートと、その中間シート裏面の第1粘着部を被覆する被覆シートとが、この順で積層された三層構造をなし、
前記情報記入シートが、前記受領票部を囲む切り剥がし補助線と宛名部を囲む切り剥がし補助線とを有し、その宛名部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側に第2粘着部を有し、かつ宛名部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側を除き、少なくとも前記受領票部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側に擬似接着部を有し、
前記中間シートが、情報記入シートの第2粘着部に対面する部分に離型処理部を有し、
前記情報記入シートと中間シートとが前記擬似接着部を介して剥離可能に擬似接着され、
前記中間シートから被覆シートを剥離すると、前記第1粘着部が露出されて、第1粘着部により前記受領票部及び宛名部が配送物に対して貼付可能となるとともに、配送物への貼付後に擬似接着部及び切り剥がし補助線を介して前記受領票部が中間シート及び情報記入シートの他の部分から分離可能となる、受領票付送付状となり、
宛名部のみを切り剥がし補助線で切り剥がすとともに離型処理部を介して情報記入シートの他の部分及び中間シートから分離すると、その分離された宛名部の裏面側に粘着部が残り、配送物に剥離不能に貼付可能な受領票無しの宛名ラベルとなる、ことを特徴とする配送ラベル。
【請求項2】
宛名部を囲む切り剥がし補助線が略矩形に配され、その隅部の一つが剥がし口とされ、かつ、その剥がし口とされた隅部の中間シート対向面が粘着力のない部分となっている請求項1記載の配送ラベル。
【請求項3】
前記切り剥がし補助線が、ハーフカット線である請求項1又は2記載の配送ラベル。
【請求項4】
宛名部を囲む切り剥がし補助線が略矩形に配され、その隅部の一つが剥がし口とされ、かつ、その剥がし口から延在する二辺を構成する切り剥がし補助線が、剥がし口から遠ざかる方向に向かって切断されやすいジッパーミシン目線である、請求項1記載の配送ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送先情報を記入して、配送物品に貼付する配送ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
通販を行なう企業では物流センターなどから、顧客や消費者に向けて、注文を受けた商品を発送するほか取扱商品の広告・資料やサンプル品を配送することがある。注文商品を発送する場合には受け取り記録が残る受領票付送付状を用いて宅配便とし送付し、取扱商品の広告・資料やサンプル品を発送する場合には受け取り記録の残らない配送料金の安価なメール便で送付するようにしている。
【0003】
物品を送付する場合、宛名等の送付先情報を印刷した配送ラベルを物品に貼付するが、通販を行なう企業では、このような配送ラベルについて、宅配便用の受領票付送付状とメール便には宛名ラベルとを別々に準備するか、宅配便送付状をそのままメール便に兼用して対応している。
【0004】
しかし、受領票付送付状と宛名ラベルとを別々に使用する場合、受領票付送付状と宛名ラベルの使用状況や残数に応じて、配送ラベル製造業者に別途に追加受注しなければならないなど、配送ラベルの在庫管理が煩雑という問題があった。
【0005】
また、配送ラベルは、商品等に貼付するための粘着層とこれを保護する剥離シートとを有し、厚みがあるとともに積層構造であるから、宛名情報等の顧客データの印刷は、係る積層構造のシートに適したフォーム印刷やNIP印刷が用いられるのが一般的であり、配送ラベルの印刷時の形態は連続帳票であることがほとんどである。フォーム印刷等は、紙送り機能がマージナル孔によるものであるため連続帳票を入れ替えるのに手間がかかるうえ、その都度に印刷位置データの設定を変更する必要があり、受領票付層状と宛名ラベルをそれぞれ用意して使い分ける態様は、配送先情報を印刷する観点からも煩雑さがあった。
【0006】
他方、宅配便送付状とメール便とを兼用する場合、メール便が封筒型であったり、荷姿が小さいものであったりするため、配送物に対して送付状が大きすぎる場合がある問題があった。また、受領票が付いたままでの使用となるため、受領確認が必要のないメール便にもかかわらず、配達業者や受領者が受領確認が必要であると誤って認識し混乱するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−272914号公報
【特許文献2】特開2002−288291号公報
【特許文献3】特開2006−215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、宅配便送付状のような受領票を必要とする受領票付送付状としても、メール便に用いるような受領票を必要としない送付状としても問題が生ずることなく利用できる、利便性の高い配送ラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は以下のとおりである。
<請求項1記載の発明>
受領者情報を記入する受領票部及び配送先情報を記入する宛名部を表面に有する情報記 受領者情報を記入する受領票部及び配送先情報を記入する一つの宛名部を表面に有する情報記入シートと、第1粘着部を裏面に有する中間シートと、その中間シート裏面の第1粘着部を被覆する被覆シートとが、この順で積層された三層構造をなし、
前記情報記入シートが、前記受領票部を囲む切り剥がし補助線と宛名部を囲む切り剥がし補助線とを有し、その宛名部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側に第2粘着部を有し、かつ宛名部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側を除き、少なくとも前記受領票部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側に擬似接着部を有し、
前記中間シートが、情報記入シートの第2粘着部に対面する部分に離型処理部を有し、
前記情報記入シートと中間シートとが前記擬似接着部を介して剥離可能に擬似接着され、
前記中間シートから被覆シートを剥離すると、前記第1粘着部が露出されて、第1粘着部により前記受領票部及び宛名部が配送物に対して貼付可能となるとともに、配送物への貼付後に擬似接着部及び切り剥がし補助線を介して前記受領票部が中間シート及び情報記入シートの他の部分から分離可能となる、受領票付送付状となり、
宛名部のみを切り剥がし補助線で切り剥がすとともに離型処理部を介して情報記入シートの他の部分及び中間シートから分離すると、その分離された宛名部の裏面側に粘着部が残り、配送物に剥離不能に貼付可能な受領票無しの宛名ラベルとなる、ことを特徴とする配送ラベル。
【0010】
<請求項2記載の発明>
宛名部を囲む切り剥がし補助線が略矩形に配され、その隅部の一つが剥がし口とされ、かつ、その剥がし口とされた隅部の中間シート対向面が粘着力のない部分となっている請求項1記載の配送ラベル。
【0011】
<請求項3記載の発明>
前記切り剥がし補助線が、ハーフカット線である請求項1又は2記載の配送ラベル。
【0012】
<請求項4記載の発明>
宛名部を囲む切り剥がし補助線が略矩形に配され、その隅部の一つが剥がし口とされ、かつ、その剥がし口から延在する二辺を構成する切り剥がし補助線が、剥がし口から遠ざかる方向に向かって切断されやすいジッパーミシン目線である、請求項1記載の配送ラベル。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、宅配便送付状のような受領票を必要とする受領票付送付状としても、メール便に用いるような受領票を必要としない宛名ラベルとしても問題が生ずることなく利用できる、利便性の高い配送ラベルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る配送ラベルの平面図である。
図2図1のA−A断面であり、本発明に係る配送ラベルの断面図である。
図3】本発明の実施形態の配送ラベルの裏面図である。
図4】本発明に係る情報記入シートの裏面図であり、第2粘着部及び擬似接着部の範囲を説明するための図である。
図5】本発明に係る中間シートの裏面図であり、第1粘着部の範囲を説明するための図である。
図6】本発明に係る配送ラベルを受領票付送付状として使用する態様を平面で説明する図である。
図7】本発明に係る配送ラベルを受領票付送付状として使用する態様を断面で説明する図である。
図8】本発明に係る配送ラベルを宛名ラベルとして使用する態様を平面で説明する図である。
図9】本発明に係る配送ラベルを宛名ラベルとして使用する態様を断面で説明する図である。
図10】本発明に係る配送ラベルが適する連続帳票を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の配送ラベルX1を図1図10に示す。
本発明に係る配送ラベルX1は図1〜5に示すように、受領者情報を記入する受領票部11及び配送先情報を記入する宛名部12を表面に有する情報記入シート1と、第1粘着部21を裏面に有する中間シート2と、この第1粘着部21に対して剥離可能であるとともに被覆・保護する被覆シート3とを備え、各シート1,2,3がこの順で積層された3枚のシートが積層された3層構造となっている。
【0016】
情報記入シート1、中間シート2及び被覆シート3の大きさはほぼ同様であり、それらを構成する基紙1A、2A、3Aは、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙、合成紙、樹脂フィルムがラミネートされた紙等である。各シートの基紙の種類は同一である必要はなく、また、各基紙の厚さも同一である必要はない。但し、各基紙の厚さは、50〜300μmの範囲内とすると平滑性を確保しやすく印刷性の点で望ましい。
【0017】
なお、前記情報記入シート1については、雨に打たれる可能性を考慮し、その基紙1Aについては、特に紙である場合には、湿潤紙力増強剤を内添もしくは外添させたものとするのが好ましい。
【0018】
他方、情報記入シート1の表面の受領票部11は、個々の受取人の住所・氏名等の受領者情報を記入するための欄・枠及びその各欄・枠内に記入すべき情報を指定する指定情報が予め印刷されている部分であり(なお、これらの予め印刷される欄・枠や指定情報等を以下、不変情報ともいう)、前記宛名部12は、個々の配送先(受取人)の住所・氏名等の配送先情報を記入するための欄・枠及び各欄・枠内に記入すべき情報を指定する指定情報等の不変情報が予め印刷されている部分である。この受領票部、宛名部に個々の送付先等の所謂可変情報を印刷する。
【0019】
上記欄・枠及び各欄・枠内に記入すべき情報を指定する指定情報の印刷は、顔料系、染料系の既知の各色インキを用い、凸版印刷、グラビア印刷、孔版印刷等の既知の各種印刷方式により印刷して形成することができる。もちろん、印刷インキだけでなく、インクジェットインキやレーザープリンターのトナー等による印刷でもよい。
【0020】
他方、情報記入シート1に形成された受領票部11及び宛名部12は、それぞれ切り剥がし補助線13,14で囲まれることで、情報記入シート1の他の部分から個別に切り剥がし可能となっている。この切り剥がし補助線13,14は、既知のミシン目線又はハーフスリット線により構成される。ハーフスリット線とする場合には、適宜の位置にアンカット部を設けてもよい。
【0021】
情報記入シート1の宛名部12を囲む切り剥がし補助線14で囲まれる範囲の裏面には、第2粘着部15が設けられている。この第2粘着部15は、既知の粘着剤を用いて形成することができる。具体例としては、ホットメルト系、ゴム系、EVA系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系の粘着剤から適宜選定可能である。なかでもホットメルト系粘着剤が好ましい。ホットメルト系粘着剤は、乾燥工程の省略が可能となり、生産性が向上する。なお、第2粘着部15は、粘着性を示さない擬似接着剤により形成される擬似接着層や、容易に剥離可能に接着する再剥離性の接着部は含まれない。
【0022】
第2粘着部15の厚さは、特に限定はされないが、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。5μm未満だと粘着力が小さく、十分な強度で粘着しない可能性が高くなり、50μmを超えると粘着力は高くならず、配送ラベル全体としての平滑性を低下させ印刷性を低下させる。
【0023】
他方、情報記入シート1の前記宛名部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側を除いて、受領票部11を囲む切り剥がし補助線13で囲まれる範囲の裏面には擬似接着部16が設けられている。本発明に係る配送ラベルX1は、この疑似接着部16を介して、情報記入シート1と隣接する中間シート2とが接着されている。本実施形態では、特に、受領票部11を囲む切り剥がし補助線13で囲まれる範囲の裏面を含み、かつ前記宛名部を囲む切り剥がし補助線で囲まれる範囲の裏面側を除いた範囲のほぼ全体が擬似接着部となっており、情報記入シート1と中間シート2とが意図せず剥離しがたいようになっている。
【0024】
擬似接着部16は、既知の擬似接着剤により形成することができる。擬似接着剤は、特に限定されないが、エマルジョン系の所謂仮止め接着剤と称されるものが接着性及び再剥離性、非再接着性の点で適する。なお、擬似接着とは、接着剤の凝集破壊、層間剥離による剥離が可能であり、かつ剥離後には再接着性・粘着性を示さない態様の接着していることを意味する。
【0025】
擬似接着部16の厚さは、特に限定はされないが、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。5μm未満だと凝集破壊による剥離が好適に行えないおそれがあり、また、十分な強度で粘着しない可能性もある。50μmを超えると平滑性を確保するのが難しくなる。
【0026】
なお、本発明の配送ラベルX1では、情報記入シート1の裏面に第2粘着部15と擬似接着部16とが存在するので、これらの各部15,16の厚さを同様にするのがよい。少なくとも、厚さの差は30μm以内とするのが望ましい。配送ラベル全体の平滑性が高まり、印刷がし易くなる。
【0027】
他方、中間シート2は、上述のとおり擬似接着部16を介して、表面側の一部が情報記入シート1に対して剥離可能かつ剥離後に再接着不能な態様で接着されている。そして、さらに情報記入シート1の第2粘着部15に対面する部分に第2接着部15に対して剥離可能となるように離型処理部22が配されている。離型処理部22は、前記基紙2Aに対して、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の既知の剥離剤を適宜のパターンで印刷することで形成できる。
【0028】
本発明の配送ラベルX1は、上述の情報記入シート1の構成と、中間シート2と情報記入シート1との積層接着態様により、前記受領票部11が、切り剥がし補助線13を介して情報記入シート1の他の部分から分離可能であり、また、中間シート2からは擬似接着部16の作用によって再接着不能な状態で分離可能となっている。そして、前記宛名部12が、切り剥がし補助線14を介して情報記入シート1の他の部分から分離可能であり、中間シート2からは離型処理部22の存在により第2粘着部15を有した状態で分離可能となっている。
【0029】
他方、中間シート2の裏面には、第1粘着部21が設けられている。この第1粘着部21は、隣接する被覆シート3を剥がし際に露出されて配送物50に貼付するためのものである。よって、配送ラベルX1の全面、広範或いは周縁に沿う態様で位置しているのがよい。この第1粘着部21は、既知の粘着剤を用いて形成すればよい。
【0030】
第1粘着部21を形成するための粘着剤の具体例としては、ホットメルト系、ゴム系、EVA系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系等の既知の材料から適宜選定可能である。なかでもホットメルト系粘着剤が好ましい。ホットメルト系粘着剤は、乾燥工程の省略が可能となり、生産性が向上する。なお、第1粘着部21は、貼付対象物に対して剥離不能に接着するものを意味する。すなわち、被覆シート3から剥離された際に接着性・粘着性を示さなくなる擬似接着剤により形成される部分や、当該粘着部を介して対象物に貼付した後に、その対象物から容易に剥離可能に接着する再剥離性の粘着部は含まれない。
【0031】
第1粘着部21の厚さは、特に限定はされないが、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。5μm未満だと粘着力が小さく、十分な強度で粘着しない可能性が高くなり、50μmを超えると粘着力は高くならず、配送ラベル全体としての平滑性が低下し印刷性が低下する。
【0032】
中間シート2の裏面に第1粘着部21を形成する方法は、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法や凸版印刷、グラビア印刷、孔版印刷等の各種印刷方式等を用いることができる。
【0033】
他方、被覆シート3は、中間シート2の前記第1粘着部21を被覆保護するシートであり、第1粘着部21に対して剥離可能な状態で接着するものが用いられる。
【0034】
被覆シート3の具体例としては、基紙3Aに、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の既知の剥離剤を適宜のパターンで印刷して剥離層を設けた剥離紙(図中、剥離剤層を符号31で示す)や、樹脂フィルムをラミネートして樹脂層面を剥離面としたラミネート紙、或いは、樹脂製フィルムシートなどが挙げられる
【0035】
以上の構成の本形態の配送ラベルX1は、(A)図6及び図7に示すように、中間シート2から被覆シート3のみを剥離すると、中間シート2の裏面の第1粘着部21が露出され。この第1粘着部21により配送物50に対して貼付可能となる。このとき情報記入シート1と中間シート2とは擬似接着部16により擬似接着されているので意図せず分離するようなことはない。そして、中間シート裏面の第1粘着部21を介して配送物50に貼付した後には、受領票部11を切り剥がし補助線13で切り剥がして情報記入シート1の他の部分から分離するとともに、意図的に擬似接着部21を凝集破壊させて中間シート2から剥離する。これにより受領票部11が配送物50に対して自由となって受領票が得られる。このとき中間シート1の裏面の全面に第1粘着部21が存在していると、配送物50に強固に接着されることになり、受領票部11の分離操作が容易となる。また、切り剥がし補助線13がハーフカット線であるとミシン目線よりも容易に分離操作が行なえる。
【0036】
そして、本形態の配送ラベルX1は上記(A)の態様のほかに、(B)図8及び図9に示すように、宛名部12のみを切り剥がし補助線14で切り剥がして情報記入シート1の他の部分と中間シート2から分離した場合、宛名部12の裏面に、中間シート2の離型処理部22によって第2粘着部15が残るため、そのまま封筒60に剥離不能に貼付可能となる。
【0037】
すなわち、本発明に係る配送ラベルX1は、上記(A)態様で使用すると受領票付送付状となり、(B)態様で使用するとメール便等に適する受領票のない単なる宛名ラベルとなる。
【0038】
ここで、図示例の本発明に係る配送ラベルX1は、受領票部11と宛名部12がやや離間して左右に並ぶようにして配列されているが、この形態に限定されず、上下に離間していてもよいし、さらに受領票部11と囲む切り剥がし補助線13と宛名部12を囲む切り剥がし補助線14の一部が共用されて、それぞれの切り剥がし補助線で囲まれる領域が接していてもよい。
【0039】
離間する形態とする場合に受領票部11と宛名部12との離間距離は限定されるものではないが、少なくとも1mm以上、上限はデザイン性等や配送ラベルX1としての使い勝手を考慮して適宜定めればよい。
【0040】
但し、このように受領票部11と宛名部12との間に離間部分17を設け、切り剥がし補助線13,14を共有しないようにすると、受領票付送付状として使用し、受領票部11を分離する際に、宛名部11がつられて剥離されるおそれがなくなる利点がある。
【0041】
また、図示例の本発明に係る配送ラベルX1は、受領票部11及び宛名部12が切り剥がし補助線13,14により略矩形に囲まれている。そして、その宛名部11を囲む矩形領域の四隅のうち、受領票部11から遠い位置にある隅の一つ(図示例では左上隅)が剥がし口12Aとして指定されている。この剥がし口12Aの指定は、剥がし口12Aを示唆する指定情報を不変情報として印刷するようにしてもよいし、コーナーカット部を設けることで直感的に理解できるようにしてもよい。そして、この剥がし口12Aとなる隅部には、図4に示されるとおり第2粘着部15が部分的に設けないか、或いは第2粘着部15の粘着力を殺す糊殺し部を形成しておくのがよい(この部分を符号15Aで示す)。このようにすることで、剥がし口12Aが摘みやすくなり、宛名部の分離操作がし易くなる。
【0042】
また、このように剥がし口12Aを設ける場合においては、切り剥がし補助線14をミシン目線で構成するのであれば、剥がし口12Aから遠ざかる方向に向かって切断されやすいジッパーミシン目線とするのがよい。宛名部12を宛名ラベルとして使用する際に、情報記入シート1の他の部分から分離しやすくなる。
【0043】
なお、ジッパーミシン目線は、カット部が略L字、或いは略Y字に並ぶように配置した既知のものとすることができる。
【0044】
また、上述の受領票部11から遠い位置にある隅の一つを剥がし口12Aとした場合、宛名部12を囲む切り剥がし補助線14のうち、受領票部11との境界に位置する部分14C(図示例では離間部分17に位置する部分)についてはハーフスリット線で構成するのがよい。剥がし口12Aから切り剥がしを行なう場合には、切り剥がし補助線14のうち剥がし口12Aに近い線14A,14Bから切り剥がしが進み、最後に当該部分14Cが切り剥がされて宛名部12が分離される。ハーフスリット線は、ミシン目線よりも弱い力で他の部分から分離できるため、受領票部11と境界部分に位置する線21Cがハーフスリット線となっていると、剥がし口12Aから延在する二辺の切り剥がし補助線14A、14Bがミシン目線(好ましくはジッパーミシン目線)であっても、宛名部12の分離作業がしやすくなる。但し、ハーフスリット線は、意図しない剥離のおそれも高まるため、ハーフスリット線の長さに応じて適宜の箇所に1mm未満のアンカット部を設けてもよい。
【0045】
<その他の実施形態>
本発明に係る配送ラベルX1は、図10に示すように、ミシン目線70等を介して分離可能に連接され、かつ側部に1/2インチ間隔で直径4mmの孔が並ぶマージナル孔(マージナルパンチともいう)80が配された、フォーム印刷、NIP印刷用の連続帳票を構成するものである場合に、特にその効果が顕著に発揮される。
【符号の説明】
【0046】
X1…配送ラベル、1…情報記入シート、1A…情報記入シートの基紙、11…受領票部、12…宛名部、12A…剥がし口、13…切り剥がし補助線、14(14A〜14C)…切り剥がし補助線、15…第2粘着部、15A…第2粘着部の糊殺し部分、16…擬似接着部、17…離間部分、2…中間シート、2A…中間シートの基紙、21…第1粘着部、22…離型処理部、3…被覆シート、3A…被覆シートの基紙、3B…被覆シートの剥離剤層、50…配送物、60…封筒、70…ミシン目線、80…マージナル孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10