(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960462
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】アウター固定タイプ使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/42 20060101AFI20160719BHJP
A61F 13/47 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
A61F13/42 B
A61F13/47 100
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-65200(P2012-65200)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-192849(P2013-192849A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】山本 侑加
【審査官】
山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−229848(JP,A)
【文献】
実開昭62−153312(JP,U)
【文献】
特開2013−066517(JP,A)
【文献】
実開平06−063027(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側縁に脚周りに沿う括れ部分が設けられており、
この括れ部分の前後方向中央部と対応する前後方向領域である股間領域と、股間領域よりも前側及び後側にそれぞれ延在する股間前側領域及び股間後側領域とを有し、
液透過性トップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、アウターの内面に固定するためのズレ止め部とを備えた、アウター固定タイプ使い捨ておむつにおいて、
前記股間領域の幅方向中央部における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から、前記股間前側領域又は股間後側領域の側縁の側方まで斜め方向に直線的に延び、当該側縁から側方に突出する部分が前記アウターの脚開口の外側まで延在し、突端が閉塞された尿導出管路と、
前記股間領域における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から前記尿導出管路の突端部まで延在する尿拡散部材と、
前記尿導出管路の突端部内に設けられた、尿との接触により変色するインジケータとを備え、
前記股間領域に排尿があると、尿が尿拡散部材を通じて前記尿導出管路の突端部まで拡散して前記インジケータを変色させ、このインジケータの変色を、前記アウターの装着状態で前記尿導出管路における前記アウターの脚開口の外側に突出する部分において視認可能なように構成されている、
ことを特徴とするアウター固定タイプ使い捨ておむつ。
【請求項2】
股間領域と、股間領域よりも前側及び後側にそれぞれ延在する股間前側領域及び股間後側領域とを有し、
液透過性トップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、アウターの内面に固定するためのズレ止め部とを備えた、アウター固定タイプ使い捨ておむつにおいて、
前記股間領域の幅方向中央部における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から、前記股間前側領域又は股間後側領域の側縁の側方まで脚の付け根に沿うように曲線状に延び、当該側縁から側方に突出する部分が前記アウターの脚開口の外側まで延在し、突端が閉塞された尿導出管路と、
前記股間領域における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から前記尿導出管路の突端部まで延在する尿拡散部材と、
前記尿導出管路の突端部内に設けられた、尿との接触により変色するインジケータとを備え、
前記股間領域に排尿があると、尿が尿拡散部材を通じて前記尿導出管路の突端部まで拡散して前記インジケータを変色させ、このインジケータの変色を、前記アウターの装着状態で前記尿導出管路における前記アウターの脚開口の外側に突出する部分において視認可能なように構成されている、
ことを特徴とするアウター固定タイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記尿導出管路は、シートを前記突端で折り返して二重にし、両側縁をシールしたものである、請求項1又は2記載のアウター固定タイプ使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にテープタイプやパンツタイプ等の使い捨ておむつ又は下着(以下、総称してアウターともいう)の内面に固定して使用されるアウター固定タイプの使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなアウター固定タイプの代表的なものとして、おむつ交換費用の低減や、トイレトレーニングを目的としてアウターの内面に取り付けて使用されるパッドタイプ使い捨ておむつがある(例えば特許文献1または2参照)。
【0003】
一般的なパッドタイプ使い捨ておむつは、透液性トップシートと不透液性シートとの間に吸収体が介在されてなる基本構造を有しており、製品によっては不織布等からなる外装シートによって不透液性シートの裏面側が覆われている。また、一般的なパッドタイプ使い捨ておむつの裏面には、粘着剤層又は面ファスナー(メカニカルファスナー)のフックテープからなるズレ止め部が設けられており、このズレ止め部がおむつ又は下着の内面に係止されることにより装着時のズレが防止されるようになっている。
【0004】
他方、乳幼児用使い捨ておむつの多くは、尿等の排泄の有無を呈色や消色によって外部から視認可能とするインジケータを備えている(例えば特許文献3参照)。使用者は、使い捨ておむつを装着した状態で、インジケータの呈色(発色又は変色)や消色を外部から視認することにより、排泄のあったことを認識でき、おむつ交換の目安にすることができる。
【0005】
しかしながら、アウター固定タイプの使い捨ておむつは、インジケータを設けたとしてもその変化がアウターにより遮断されるため、従来はアウターの透明度を上げる(特許文献4参照)といった解決手段や、側方への張り出し部にインジケータを設ける(特許文献5参照)といった解決手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−287791号公報
【特許文献2】特開2003−210524号公報
【特許文献3】特開2011−240049号公報
【特許文献4】特開2006−296751号公報
【特許文献5】特開2011−229848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献5記載の技術では、インジケータが股間領域に位置するため外部から確認し難いという問題点がある。
【0008】
また、この問題点を解決する構造として、アウターのウエスト縁部からインジケータを突出させることも考えられたが、尿がウエスト縁部まで上昇してインジケータを変色させることが極めて困難であった。
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、アウター固定タイプの使い捨ておむつにおいて、インジケータが容易に変色するとともに、アウターの構造に関わらずアウターの外部から容易にインジケータの変色を確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
側縁に脚周りに沿う括れ部分が設けられており、
この括れ部分の前後方向中央部と対応する前後方向領域である股間領域と、股間領域よりも前側及び後側にそれぞれ延在する股間前側領域及び股間後側領域とを有し、
液透過性トップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、アウターの内面に固定するためのズレ止め部とを備えた、アウター固定タイプ使い捨ておむつにおいて、
前記股間領域の幅方向中央部における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から、前記股間前側領域又は股間後側領域の
側縁の側方まで斜め方向に直線的に延び、当該側縁から側方に突出
する部分が前記アウターの脚開口の外側まで延在し、突端が閉塞された尿導出管路と、
前記股間領域における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から前記尿導出管路の突端部まで延在する尿拡散部材と、
前記尿導出管路の突端部内に設けられた、尿との接触により変色するインジケータとを備え、
前記股間領域に排尿があると、尿が尿拡散部材を通じて前記尿導出管路の突端部まで拡散して前記インジケータを変色させ、このインジケータの変色を、前記アウターの装着状態で前記尿導出管路における前記アウターの脚開口の外側に突出する部分において視認可能なように構成されている、
ことを特徴とするアウター固定タイプ使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
本発明のアウター固定タイプ使い捨ておむつでは、尿導出管路及び尿拡散部材により、股間領域に供給された尿の一部を斜め上方に向かって拡散させ、アウターの脚開口の外側に突出する部分に導出し、この部分においてインジケータを変色させる。したがって、最も尿供給が確実な位置(股間領域)から、より近く且つ尿の上昇移動の少ない位置(アウターの脚開口の外側)で且つ外部から確認しやすい位置まで尿を誘導してインジケータを変色させることになるため、例えばウエスト縁部にインジケータを設けてそこまで尿を上昇させる場合と比べて、格段に尿がインジケータに到達し易くなり、また変色したインジケータも、上記特許文献5のように股間領域に位置するものと比べて、覗き込む必要がなく、格段に確認しやすくなる。
また、尿導出管路をこのような向きに突出させることで、尿導出管路の存在による異物感が軽減され、またインジケータも視認しやすいものとなる。
【0012】
<請求項2記載の発明>
股間領域と、股間領域よりも前側及び後側にそれぞれ延在する股間前側領域及び股間後側領域とを有し、
液透過性トップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、アウターの内面に固定するためのズレ止め部とを備えた、アウター固定タイプ使い捨ておむつにおいて、
前記股間領域の幅方向中央部における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から、前記股間前側領域又は股間後側領域の側縁の側方まで脚の付け根に沿うように曲線状に延び、当該側縁から側方に突出する部分が前記アウターの脚開口の外側まで延在し、突端が閉塞された尿導出管路と、
前記股間領域における前記液不透過性シートと前記トップシートの間の位置から前記尿導出管路の突端部まで延在する尿拡散部材と、
前記尿導出管路の突端部内に設けられた、尿との接触により変色するインジケータとを備え、
前記股間領域に排尿があると、尿が尿拡散部材を通じて前記尿導出管路の突端部まで拡散して前記インジケータを変色させ、このインジケータの変色を、前記アウターの装着状態で前記尿導出管路における前記アウターの脚開口の外側に突出する部分において視認可能なように構成されている、
ことを特徴とするアウター固定タイプ使い捨ておむつ。
【0013】
【0014】
<請求項3記載の発明>
前記尿導出管路は、
シートを前記突端で折り返して二重にし、両側縁をシールしたものである、請求項1又は2記載のアウター固定タイプ使い捨ておむつ。
【0015】
【発明の効果】
【0016】
以上の通り本発明によれば、アウター固定タイプの使い捨ておむつにおいて、インジケータが容易に変色するとともに、アウターの構造に関わらずアウターの外部から容易にインジケータの変色を確認できるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の表面側を示す平面図である。
【
図2】パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の裏面側を示す平面図である。
【
図6】パッドタイプ使い捨ておむつの装着要領を示す斜視図である。
【
図7】尿外部導出体の(a)平面図、(b)D−D断面図、(c)E−E断面図、(d)F−F断面図である。
【
図8】パッドタイプ使い捨ておむつの装着要領を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図6は、パッドタイプ使い捨ておむつ200を示している。このパッドタイプ使い捨ておむつ200は、前後方向中央に対して前側に延在する腹側部分F1及び後側に延在する背側部分B1とを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、物品全長(前後方向長さ)L1は150〜450mm程度、全幅W1は120〜200mm程度とすることができる。
【0019】
パッドタイプ使い捨ておむつ200は、液不透過性シート21の内面と、透液性トップシート22との間に、吸収体23が介在された基本構造を有している。吸収体23としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。必要に応じて、吸収体23はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体23の形状は、相対的に前側の部分が後側の部分よりも幅広な帯状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることができる。吸収体23における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは100〜600g/m
2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付け0〜400g/m
2程度とするのが好ましい。
【0020】
吸収体23の裏面側には、液不透過性シート21が吸収体23の周縁より所定長さ食み出すように設けられている。液不透過性シート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0021】
液不透過性シート21の外面(裏面)は、外装シート25により覆われている。外装シート25としては各種の不織布を用いることができる。なお、不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0022】
吸収体23の表面側は、透液性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部食み出しているが、吸収体3の側縁が食み出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0023】
パッドタイプ使い捨ておむつ200の前後方向両端部では、外装シート25および透液性トップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。
【0024】
パッドタイプ使い捨ておむつ200の両側部では、液不透過性シート21が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面にはギャザーシート24の幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これらを含め、素材の貼り合わせ部分は、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成でき、図面では斜線模様で示されている。
【0025】
これらエンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SF以外の吸収体介在部分が、排泄物を保持する本体部を構成する。
【0026】
ギャザーシート24の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0027】
ギャザーシート24の幅方向中央側の部分24cはトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材24Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性部材24Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
【0028】
両ギャザーシート24,24は、幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態ではトップシート22表面および外装シート25内面)に貼り合わされて固定されるとともに、幅方向中央側の部分24cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて固定され、かつ前後方向の両端部の間では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない。この非固定部分は、
図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に対して起立可能な立体ギャザーとなる部分であり、その起立基端24bはギャザーシート24における幅方向外側の固定部分24xと内側の部分24cとの境に位置する。
【0029】
そして、
図2、
図3および
図5に示すように、パッドタイプ使い捨ておむつ200の裏面には、粘着剤層からなるズレ止め部30が設けられている。このズレ止め部30としては、フック状突起を多数有するフックテープを用いることも可能である。フック状突起の形状としてはキノコ状の他、フック状、レ字状、J字状、T字状、ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。なお、フックテープはホットメルト接着剤等により取り付けることができる。ズレ止め部30は、図示例のように、剥離シート31により剥離可能に被覆しておき、使用時に剥離シート31を剥離してズレ止め部30を露出させるのが望ましい。
【0030】
図示例では、ズレ止め部30を前後方向に沿って連続的に設けているが、腹側部分F1及び背側部分B1のそれぞれに設けたり、いずれか一方のみに設けたりしても良い。ズレ止め部30を複数設ける場合、腹側部分F1及び背側部分B1に各少なくとも一つは設けるのが好ましい。
【0031】
ズレ止め部30は、その全体が本体部BDの範囲内に収まるような寸法及び配置となっているのが好ましい。具体的には、ズレ止め部30の幅W3は吸収体23の幅W2の70〜80%程度、前後方向長さL3(前後方向に複数設ける場合は総長さ)は吸収体23の全長L2の30〜40%程度であるのが好ましい。
【0032】
特徴的には、股間前側領域F2(又は股間後側領域B2としても良い)の側縁から側方に向かって、アウター100の脚開口の外側まで延在する程度に突出する、突端が閉塞された尿導出管路41と、股間領域Mにおける液不透過性シート21とトップシート22の間の位置から尿導出管路41の突端部まで延在する尿拡散部材42と、尿導出管路41の突端部内に設けられた、尿との接触により変色するインジケータ43とを備えている。ここで、股間領域Mとは、装着者の股間(太ももの間)と対応する領域を意味し、通常の場合50〜150mm程度の前後方向長さの領域である。図示例のように吸収体23に脚周りに沿う括れ部分が設けられている場合や、おむつの側縁に脚周りに沿う括れ部分が設けられている場合には、その括れ部分の前後方向中央部が股間領域Mである。
【0033】
使用時には、
図6に示すようにパッドタイプ使い捨ておむつ200の剥離シート31を剥離してズレ止め部30を露出させた状態で、アウター100の内面に敷いて固定する。そして、股間領域Mに排尿があると、尿が尿拡散部材42を通じて尿導出管路41の突端部まで拡散してインジケータ43を変色させ、このインジケータ43の変色が、アウター100の装着状態で尿導出管路41におけるアウター100の脚開口の外側に突出する部分において視認可能となる。
【0034】
このように、尿導出管路41及び尿拡散部材42により、股間領域Mに供給された尿の一部を斜め上方に向かって拡散させ、アウター100の脚開口の外側に突出する部分に導出させると、最も尿供給が確実な位置(股間領域M)から、より近く且つ尿の上昇移動の少ない位置(アウター100の脚開口の外側)で且つ外部から確認しやすい位置まで尿を導出させることになるため、例えばウエスト縁部にインジケータ43を設けてそこまで尿を上昇させる場合と比べて、格段に尿がインジケータ43に到達し易くなり、また変色したインジケータ43も、覗き込む必要がなく、格段に確認しやすくなる。
【0035】
尿導出管路41は、図示形態のように吸収体23上からおむつの側方まで延在させると少量の尿でもより高い確率で導出できる利点があるが、吸収体23の下からおむつの側方まで延在させることもできる。尿導出管路41を外部に出す部位は適宜定めることができ、図示例のようにおむつの側部がギャザーシート24と外装シート25との張り合わせ構造となっている場合には、これらの間を通して外部に突出させれば良い。
【0036】
尿導出管路41の内径は適宜定めることができるが厚み方向に潰した状態(したがって図示例のようなシート二重構造の場合は幅)で3〜10mm程度であると、少ない尿量でも効率的に液体を搬送できるため好ましい。
【0037】
また、尿導出管路41は、図示形態のように股間前側領域F2の側縁からアウター100の脚開口に沿う斜め側方に突出させると、突出部が装着者の鼠径部に位置することも相まって、尿導出管路41の存在による異物感が軽減され、またインジケータ43も視認しやすいものとなる。この観点から、尿導出管路41は図示形態のように直線的に延在させるのではなく、脚の付け根に沿って曲線状に延在させるのも一つの好ましい形態である。もちろん、股間領域Mから股間前側領域F2の側縁までは斜め方向に延在するもののそこから真直ぐ側方に突出させることも可能である。
【0038】
尿導出管路41は、プラスチックチューブ等により構成することもできるが、薄く柔軟であることが望ましいため、
図7に示すようにシートを先端で折り返して二重にし、両側縁をシールした構造が望ましい。この場合におけるシートの素材は、防水樹脂フィルムや撥水性不織布等を用いることができ、特に内面が撥水処理されていると尿の搬送がより促進されるため好ましい。また、尿導出管路41の基端部が吸収体23と重なる位置にある場合、尿導出管路41の基端部の上部全体を開放して(上部に貫通孔を設けても良い)下部のみとすると、上方から供給される尿を受け止めて尿導出管路41へ効率的に供給できるようになるため好ましい。
【0039】
尿導出管路41内に内蔵される尿拡散部材42は、尿導出管路41の基端から食み出していても、また管路内に隠れていても良い。尿拡散部材42としては、コットン、クレープ紙、パルプ層、親水性不織布等の繊維素材の他、液体の搬送に適した液体搬送フィルム材やそれらを積層した素材を用いることができる。
【0040】
インジケータ43は、尿との接触により呈色反応を示すような着色剤や、尿中のpHを検知して呈色反応を示すような着色剤、或いは尿との反応により着色が消失する反応、尿に溶解(分散)して滲んだり消失したりする反応、その他の視覚的変化を示す薬剤を、適宜の溶剤や接着剤(ホットメルト接着剤等)に混合した状態で、尿導出管路41の先端部の内面や、尿拡散部材42の先端部等に塗布することにより形成することができる。尿などの水分との接触により呈色反応を示すような着色剤としては、例えば、水溶性、水分解性染料又はロイコ染料と該ロイコ染料を発色させるフェノール性化合物、酸性物質、電子受容性物質等の顕色剤とからなる着色剤を使用することが可能である。呈色により現れる色は特に限定されないが、アウターと同系色であると紛れて見え難くなるため、一般に乳幼児の下着は淡い色が多いため、色味の濃いものが好適である。
【0041】
他方、
図8に示すように、尿導出管路41の先端部が肌に当たりにくくなるよう、尿導出管路41がアウター100の脚開口の縁でアウター100の外面上に折り返されるように構成されていると好ましい。これにより、インジケータ43の確認もより容易となる。この場合、
図7(b)に二点差線で囲んで示すように、尿導出管路41の折り返し部分におけるアウター100当接面に、アウター100の外面に固定するための固定手段44、例えば粘着剤層や、メカニカルファスナーのフックテープ(面ファスナーのオス材)を設け、
図8に示すように、尿導出管路41の折り返し部分をアウター100に固定可能とするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、アウターの内面に固定される限り、パッドタイプ使い捨ておむつ以外の形態の使い捨ておむつにも利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
21…液不透過性シート、22…トップシート、23…吸収体、24…ギャザーシート、25…外装シート、30…ズレ止め部、31…剥離シート、100…アウター、200…パッドタイプ使い捨ておむつ、F2…股間前側領域、B2…股間後側領域、M…股間領域、41…尿導出管路、42…尿拡散部材、43…インジケータ、44…固定手段。