【実施例】
【0042】
製造例1
樹脂組成物の調製(1):
カルナバワックス100gを融解攪拌した後、5〜10mm程度の大きさのフレーク状に固化成形した。このフレーク状のカルナバワックス100gを予め40℃に加温したイソプロパノール300ml中に攪拌しながら投入し、温度を40℃に保ったまま6時間静置して抽出処理した。その後ろ過し、ろ液から減圧蒸留によってイソプロパノールを除去し、樹脂組成物を得た。
【0043】
得られた樹脂組成物について、上記測定方法により、樹脂濃度、軟化点等を測定したところ、樹脂濃度30%、軟化点70.4℃、ヨウ素価40、酸価17、鹸化価82であった。
【0044】
また、この樹脂組成物およびカルナバワックスを下記条件による示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株) DSC6200)で測定したDSCチャートを
図1に示す。この図に示すとおり、カルナバワックスのDSCチャートには、温度82℃付近に吸熱ピークが存在するのに対し、製造実施例1の樹脂組成物ではこのような吸熱ピークが消失していた。
【0045】
(DSC測定条件)
昇温スピード:5℃/min、110℃で2min保持、30〜110℃で測定
【0046】
さらに、得られた樹脂組成物およびカルナバワックスについて、下記条件によるガスクロマトグラフィー(島津製作所GC−17A)により分析した。そのクロマトグラムを
図2に示す。この図に示されるとおり、樹脂組成物のクロマトグラムには、保持時間2〜10分付近に樹脂分に由来するピークが認められるのに対し、カルナバワックスのクロマトグラムにはこのようなピークがほとんど認められなかった。
【0047】
(ガスクロマトグラフィー条件)
カラム:キャピラリーカラム(ステンレス製)2.5mmφ×10m
検出器:FID
キャリアガス:He
昇温スピード:7.5℃/min
温度:150〜280℃
注入量:2μl
サンプルの調製方法:0.025g/3ml石油エーテル
【0048】
実施例2
樹脂組成物の調製(2):
カルナバワックス100gを融解攪拌した後、5〜10mm程度の大きさのフレーク状に固化成形した。このフレーク状のカルナバワックス100gを予め40℃に加温した、エタノールとn−ヘキサン80:20の混合溶剤300ml中に攪拌しながら投入し、温度を40℃に保ったまま4時間静置して抽出処理した。その後ろ過し、ろ液から減圧蒸留によって混合溶剤を除去し、樹脂組成物を得た。樹脂濃度25%、軟化点72.5℃、ヨウ素価35であった。
【0049】
実施例3
樹脂組成物の調製(3):
カルナバワックス100gを融解攪拌した後、5〜10mm程度の大きさのフレーク状に固化成形した。このフレーク状のカルナバワックス100gを予め40℃に加温したイソプロパノール400ml中に攪拌しながら投入し、温度を40℃に保ったまま8時間静置して抽出処理した。その後ろ過し、ろ液から減圧蒸留によってイソプロパノールを除去し、樹脂組成物を得た。樹脂濃度33%、軟化点69.5℃、ヨウ素価43であった。
【0050】
実施例1〜3及び比較例1〜4
油性ファンデーション化粧料(1):
下記表2に示す処方の油性ファンデーション化粧料を調製し、べたつきのなさ、滑らかな伸び広がり、肌への密着感、化粧持続性、化粧膜の均一感について下記の方法により評価した。その結果も併せて表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
※1:ベンガラ 0.5、黄酸化鉄 3、黒酸化鉄 0.2(質量%、合計3.7%)
※2:SR1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※3:シリコン KF−96A(6CS)(信越化学工業社製)
※4:シリコン KF−56(信越化学工業社製)
※5:シリコン KSG−43(信越化学工業社製)
※6:異形状粉体、平均粒径約9μm
※7:中空球状粉体、平均粒径約25μm
※8:球状粉体、平均粒径約30μm
【0053】
(製法)
A.成分(6)〜(10)を100℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(1)〜(5)及び(11)〜(22)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを85℃で容器に充填し、−5℃で冷却固化して油性ファンデーション化粧料を得た。
【0054】
(評価項目)
イ.べたつきの無さ
ロ.滑らかな伸び広がり
ハ.肌への密着感
ニ.化粧持続性
ホ.化粧膜の均一感
【0055】
(評価方法)
上記イ〜ホの項目について、専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。なお、二の化粧持続性については各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、塗布から6時間後に化粧膜が口や目周りのしわに落ち込んだりすることなく、化粧膜が維持されているかどうかを評価した。
【0056】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0057】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0058】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3の油性ファンデーション化粧料は、比較例1〜3の油性ファンデーション化粧料に比べ、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性や化粧膜の均一性にも優れるものであった。一方、成分(a)のかわりに密着感の高い樹脂である水添ロジン酸ペンタエリスリチルを配合した比較例1では、樹脂のべたつきが際立ってしまったため、均一に伸び広がらず、べたつきも強く、均一な化粧膜を得ることができなかった。また成分(a)のかわりにべたつきの少ない樹脂であるトリメチルシロキシケイ酸を配合した比較例2では、比較的滑らかに伸び広がるものの、肌への密着感と化粧持続性の点で満足のいくものが得られなかった。さらに、成分(a)のかわりにべたつきの少ないワックスであるカルナバワックスを配合した比較例3では、べたつきは少ないものの滑らかな伸び広がりに欠け、塗布時にムラになりやすく、化粧膜の均一感の点で劣るものであった。
【0059】
実施例4〜6及び比較例4〜5
油性ファンデーション化粧料(2):
下記表3に示す処方の油性ファンデーション化粧料を調製し、べたつきの無さ、滑らかな伸び広がり、肌への密着感、化粧持続性、化粧膜の均一感について実施例1〜3及び比較例1〜3と同じ方法により評価した。その結果も併せて表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
(製法)
A.成分(6)〜(11)を100℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(1)〜(5)及び(12)〜(23)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを85℃にて容器に充填し、-5℃で冷却固化して油性ファンデーション化粧料を得た。
【0062】
表3の結果から明らかなように、本発明の実施例4〜6の油性ファンデーション化粧料は、比較例4〜5の油性ファンデーション化粧料に比べ、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性や化粧膜の均一性にも優れるものであった。一方、成分(a)を含まない比較例4では、滑らかさに欠けると共に、肌への密着感が低く、化粧持続性に劣るものであった。また、カルナバワックスを用いた比較例5では、伸び広がりが悪く、均一に塗布しにくいため、伸び広がりや、肌への密着性、化粧膜の均一感において劣るものであった。
【0063】
実施例7〜9及び比較例6〜9
油性アイカラー化粧料:
下記表4に示す処方の油性アイカラー化粧料を調製し、べたつきの無さ、滑らかな伸び広がり、肌への密着感、化粧持続性、化粧膜の均一感について下記の方法により評価した。その結果も併せて表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
※9:SR1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※10:シリコン KF−96A(20CS)(信越化学工業社製)シリコン
※11:煙霧状粉体、粒径約16nm
※12:球状粉体、粒径約8−12μm
※13:球状粉体、粒径約4−8μm
※14:ベンガラ 0.24、黄酸化鉄 0.3、黒酸化鉄0.06(質量%、合計0.6%)
【0066】
(製法)
A.成分(1)〜(13)を110℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(14)〜(19)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを95℃で容器に充填し、放冷固化して油性アイカラー化粧料を得た。
【0067】
(評価項目)
イ.べたつきの無さ
ロ.滑らかな伸び広がり
ハ.肌への密着感
ニ.化粧持続性
ホ.化粧膜の均一感
【0068】
(評価方法)
上記イ〜ホの項目について、専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。なお、二の化粧持続性については各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、塗布から6時間後に化粧膜がまぶたのしわに落ち込んだり、目尻に固まったりすることなく維持されているかを評価した。
【0069】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0070】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0071】
表4の結果から明らかなように、本発明の実施例7〜9の油性アイカラー化粧料は、比較例6〜9と比べ、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。一方、成分(a)を配合しなかった比較例6では、塗布時の密着感に欠け、均一に伸び広がりにくく、肌への密着感と化粧膜の均一性において劣るものであった。また、成分(a)のかわりに密着感の高い樹脂である水添ロジン酸ペンタエリスリチルを配合した比較例2では、べたつき、まぶた上で伸び広がりにくいものであった。さらに、成分(a)のかわりにべたつきの少ない樹脂であるトリメチルシロキシケイ酸を配合した比較例3では、伸び広がりはよいものの、肌への密着感と化粧持続性において劣っていた。また、成分(a)のかわりにべたつきの少ないワックスであるカルナバワックスを配合した比較例4では、滑らかさに欠けるためムラになりやすく、均一な化粧膜を得ることができなかった。
【0072】
実施例10:油性スティック状コンシーラー化粧料
(成分) (%)
1.製造例2の樹脂組成物 3
2.(エチレン/プロピレン)コポリマー 3
3.パラフィン 3
4.マイクロクリスタリンワックス 1
5.キャンデリラワックス 1
6.ポリエチレン 0.5
7.ワセリン 0.5
8.トリイソステアリン酸ポリグリセリル―2 6
9.ジメチコン 3
10.2−エチルヘキサン酸グリセリル 15
11.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 18
12.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 2
13.リンゴ酸ジイソステアリル 2
14.ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
15.2−エチルヘキサン酸セチル 4.5
16.メチルパラベン 0.1
17.酸化チタン 7
18.酸化亜鉛 7
19.マイカ 残量
20.メタクリル酸メチルクロスポリマー※6 4
21.シリカ※12 4
22.ジメチルシリル化シリカ※11 3
23.タルク 3
【0073】
(製法)
A.成分(1)〜(16)を100℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(17)〜(23)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを90℃で容器に充填し、−5℃で冷却固化して油性スティック状コンシーラー化粧料を得た。
【0074】
実施例10の油性スティック状コンシーラー化粧料は、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。
【0075】
実施例11:油性頬紅化粧料
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.マイカ 20
3.酸化チタン 11
4.合成金雲母 10
5.窒化ホウ素 3
6.ラウリン酸亜鉛 0.1
7.ベンガラ 0.1
8.赤226 0.1
9.メチルパラベン 0.3
10.製造例3の樹脂組成物 2
11.水添ポリイソブテン 12
12.流動パラフィン 12
13.セスキステアリン酸ソルビタン 2
【0076】
(製法)
A.成分(1)〜(9)を均一に混合する。
B.成分(10)〜(13)を70℃で均一に加熱溶解する。
C.AとBを均一に混合す。
D.容器に充填及びプレスして油性頬紅化粧料を得た。
【0077】
実施例11の油性頬紅化粧料は、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。
【0078】
実施例12:油中水型BBクリーム化粧料
(成分) (%)
1.製造例1の樹脂組成物 1
2.水添ポリデセン 2
3.ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1
4.パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシルトリ 6
5.ビスエチルヘキシルオキシフェノール
メトキシフェニルトリアジン 1
6.オクチルトリアゾン 0.5
7.メチレンビスベンゾトリアゾリル
テトラメチルブチルフェノール 1
8.シクロメチコン 残量
9.ポリシリコン−15 1
10.ジメチコン 4
11.ステアリン酸イヌリン 0.2
12.パルミチン酸デキストリン 0.2
13.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1
14.(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー 1.5
15.ジステアルジモニウムヘクトライト 1
16.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.5
17.水添レシチン 0.5
18.酸化チタン混合物※15 14.5
19.ベンガラ 0.35
19.黄酸化鉄 1.5
19.黒酸化鉄 0.15
20.タルク 2
21.メタクリル酸メチルクロスポリマー※6 1
24.酸化亜鉛 7
25.水 30
26.エタノール 4
27.1,3−ブチレングリコール 2
28.グリセリン 1
29.塩化Na 0.1
※15:酸化チタン 13.5、含水シリカ 0.5、水酸化アルミニウム 0.5(質量%、合計14.5%)
【0079】
(製法)
A.成分(1)〜(12)を90℃で均一に加熱溶解する。
B.Aに成分(13)〜(24)を加え、均一に混合する。
C.Bに成分(25)〜(29)を加え、乳化する。
D.Cを容器に充填して油中水型BBクリーム化粧料を得た。
【0080】
実施例12の油中水型BBクリーム化粧料は、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。