特許第5960475号(P5960475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960475
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20160719BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20160719BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20160719BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A61K8/92
   A61K8/37
   A61K8/891
   A61K8/19
   A61K8/25
   A61K8/26
   A61K8/27
   A61K8/29
   A61Q1/02
   A61Q1/08
   A61Q1/10
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-82082(P2012-82082)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209342(P2013-209342A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 匡俊
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 史仁
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−100975(JP,A)
【文献】 特開2007−001994(JP,A)
【文献】 特開平07−011286(JP,A)
【文献】 特開平02−279794(JP,A)
【文献】 特開平07−011285(JP,A)
【文献】 特開平02−115300(JP,A)
【文献】 特開平11−060438(JP,A)
【文献】 フレグランスジャーナル臨時増刊,2009年 8月20日,No.20,p.47-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c):
(a)カルナバワックスより分別して得られ、軟化点が55〜80℃、ヨウ素価が25〜50である樹脂組成物
(b)液状油
(c)粉体
を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
成分(a)を0.5〜30質量%配合する請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
成分(b)を1〜80質量%配合する請求項1または2記載の化粧料。
【請求項4】
成分(c)を15〜70質量%配合する請求項1〜のいずれかの項記載の化粧料。
【請求項5】
成分(c)の全部または一部が球状粉体である請求項1〜のいずれかの項記載の化粧料。
【請求項6】
成分(c)の粉体全体に対して球状粉体を1〜90質量%配合するものである請求項記載の化粧料。
【請求項7】
油性メイクアップ化粧料である請求項1〜のいずれかの項記載の化粧料。
【請求項8】
油性メイクアップ化粧料が、ファンデーション、アイカラー、頬紅またはコンシーラーのいずれかである請求項記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルナバワックスより分別して得られる特定の樹脂組成物と、液状油および粉体を含有する化粧料に関し、より詳細には、べたつきがなく、滑らかに伸び広がり、肌への密着感に優れ、均一な化粧膜を形成することができ、持続性にも優れる化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、化粧料においては、使用感や密着感、化粧持続性を向上させるために様々な配合上の工夫がなされている。例えば、密着感を出すためにポリブテンなどの高粘性油剤を配合することが知られている。しかし、ポリブテンを配合すると、べたつきが出たり、伸び広がりが悪くなるなど使用感に悪影響を与え、また化粧持続性も十分なものを得ることができなかった。一方、使用感の悪さをシリコーン油によって軽減する方法も知られているが、シリコーン油の配合により密着感が損なわれてしまうという問題がある。さらに、粉体を配合し、べたつきを抑える方法もあるが、滑らかな伸び広がりや均一性、化粧持続性を欠いてしまう場合があった。
【0003】
また、特定のワックスや樹脂を組み合わせて配合することにより、上記使用感や密着感、化粧持続性等の機能を改善する技術も種々提案されている。例えば、イソパラフィンを含む炭化水素ワックスとポリブテンを併用することで、感触や化粧持続性を向上させ、べたつきを低減した化粧料(特許文献1)や、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーン油、粉末を併用することにより化粧持続性を向上したもの(特許文献2)、炭化水素系樹脂と、揮発性油剤を含む液状油、油ゲル化剤及び/または固形油を配合することで使用感と化粧持続性を向上させた化粧料(特許文献3)などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−316910号公報
【特許文献2】特開昭61−161211号公報
【特許文献3】特開2002−154916号公報
【0005】
しかしながら、イソパラフィンを含む炭化水素ワックスとポリブテンを併用した化粧料は、感触やべたつきの無さは向上するものの、化粧持続性の点では十分なものが得られなかった。また、有機シリコーン樹脂と揮発性シリコーン油、粉末を併用した化粧料は、肌への密着感の点で劣るものであった。さらに、炭化水素系樹脂と、揮発性油剤を含む液状油、油ゲル化剤及び/または固形油を配合したものでも同様に、十分な密着感を得ることができなかった。このように、べたつきのなさと、肌への密着感あるいは化粧持続性とは、基本的に相反する性質であり、これらを両立させることは従来の技術では困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、べたつきがなく滑らかに伸び広がる使用感と、優れた肌への密着感および化粧持続性とを兼ね備え、さらに均一な化粧膜を形成して優れた化粧効果を演出し得る化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カルナバワックスを分別して得られた特定の樹脂組成物と、液状油及び粉体を組み合わせることにより、べたつきがなく、滑らかに伸び広がる優れた使用感が得られるとともに、肌への密着感および化粧持続性にも優れ、さらに均一な化粧膜を形成して優れた化粧効果を演出できる化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は次の成分(a)〜(c):
(a)カルナバワックスより分別して得られ、軟化点が55〜80℃、ヨウ素価が25〜50である樹脂組成物
(b)液状油
(c)粉体
を含有することを特徴とする化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧料は、べたつきがなく、滑らかに伸び広がり、肌への密着感および化粧持続性にも優れ、さらに均一な化粧膜を形成して優れた化粧効果を演出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】製造例1の樹脂組成物(a)およびカルナバワックス(b)の示差走査熱量計で測定されたDSCチャートである。
図2】製造例1の樹脂組成物(a)およびカルナバワックス(b)のガスクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の化粧料には、成分(a)カルナバワックスより分別して得られ、軟化点が55〜80℃、ヨウ素価が25〜50である樹脂組成物を配合する。この樹脂組成物は、カルナバワックスから抽出された樹脂分を主成分とするものであり、成膜性に優れ、硬さと柔軟性を備え、均一かつ平滑な塗膜を形成できるものであり、付着性を有しながらもべたつきは少ないため、塗布対象への密着性に優れ、かつ使用性も良好なものである。この樹脂組成物を後述する成分(b)および(c)と組み合わせることにより、公知のワックス類を用いた場合と比較して滑らかな使用感が得られ、また、公知の樹脂を使用した場合と比較して、べたつかず肌への密着感にも優れ、均一な化粧膜を形成して化粧持続性を向上することができる。
【0013】
成分(a)の樹脂組成物は、カルナバワックスから、軟化点が55〜80℃、ヨウ素価が25〜50となるように分別することにより得られるものであり、その分別方法は特に限定されるものではないが、例えば、カルナバワックスを有機溶剤で分別抽出する方法が好適に用いられる。
【0014】
分別抽出に用いられる有機溶剤としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類および芳香族炭化水素類よりなる群から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エーテル類としては、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ケトン類として、アセトン、メチルエチルケトン、炭化水素類として、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、芳香族炭化水素類として、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。これらの中でも、分別抽出の簡略化の点でメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルが好適に用いられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0015】
分別抽出は、例えば上記有機溶剤中に、固形状のカルナバワックスを浸漬して行うことができる。有機溶剤の使用量は、カルナバワックスに対して3〜4質量倍であり、30〜60℃、好ましくは40〜50℃で、4〜8時間、好ましくは5〜6時間程度浸漬すればよい。このようにして抽出処理した後、ろ過など通常の固液分離手段を用いて抽出液を分離する。この抽出液に樹脂分が溶解しているため、これから減圧蒸留、加熱蒸留等の通常の濃縮・乾燥手段を用いて有機溶剤を留去することにより、樹脂分を多く含有する成分(a)の樹脂組成物を得ることができる。
【0016】
このようにして得られた成分(a)の樹脂組成物は、軟化点が55〜80℃、ヨウ素価が25〜50の範囲にあるものであり、好ましくは、軟化点が65〜75℃、ヨウ素価が30〜45のものである。また好ましくは樹脂濃度が15〜40質量%(以下、単に「%」で示す)であり、より好ましくは25〜35%である。上記したとおり、一般にカルナバワックスの樹脂濃度は約5%程度であるから、成分(a)の樹脂組成物はカルナバワックスよりも樹脂濃度が約3〜8倍高いものである。この範囲の樹脂組成物は、成膜性に優れ、硬さと柔軟性を備え、均一かつ平滑な塗膜を形成できるものであり、付着性は高いがべたつきが少なく、塗布対象への密着性に優れるものである。樹脂濃度が15%未満では、均一及び平滑な塗膜形成ができなくなり、また、40%を超えるとべたつきが高くなり、化粧膜に違和感を生じてしまう。また軟化点が55〜80℃であると、取り扱いがしやすく、成膜性があり、形成された膜は柔軟性が得られるようになる。特に化粧料においては、製造工程で使用が簡便であり、皮膚や頭髪等に塗布した際も、成膜性と柔軟性を併せ持つものとなる。ヨウ素価が25〜50であることは、出発物質であるカルナウバワックスより、飽和のエステル化合物が減少し樹脂分が残存していることを意味する。その他、成分(a)の樹脂組成物とカルナバワックスの物性の相違について下記表1に示す。また、カルナバワックスは、DSC吸熱ピークが82℃付近に存在するのに対し、成分(a)の樹脂組成物は、このような吸熱ピークが消失して認められないという特徴を有する。さらに、成分(a)の樹脂組成物をガスクロマトグラフィーで分析すると、保持時間2〜10分付近に樹脂分由来のピークが検出されるが、カルナバワックスではこのようなピークは認められない。また、カルナバワックスでは20〜30分付近に炭素数56のエステルワックスのピークが現れるが、この樹脂組成物ではピーク強度が減少していることが認められる。なお、本発明において、樹脂濃度、融点、軟化点、酸価、鹸化価、ヨウ素価は以下の測定方法による値である。また、DSC、ガスクロマトグラフィーの条件は、実施例に記載の条件によるものである。
【0017】
【表1】
【0018】
上記分別抽出によりろ別した残渣の分濃縮されたものとして、カルナバワックスの樹脂濃度から樹脂組成物の樹脂量(%)を求めた。
(融点)
実施例に記載の条件によるDSCで測定した。
(軟化点)
外原規一般試験法に記載された軟化点測定法により測定した。ただし、試料量は0.5gとし、鋼球は径12mm、重さ10g鉛球を使用し、昇温速度は5分あたり1℃として測定を行った。
(酸価)
外原規一般試験法に記載された酸価測定法第1法により測定した。ただし、試料量は3gとし、溶媒にはキシレン30mlおよびエタノール50mlを用いて温時に滴定した。
(ヨウ素価)
外原規一般試験法に記載されたヨウ素価測定法により測定した。ただし、溶媒にはシクロヘキサン30mlを用いて溶かし、試料が溶けにくいときはシクロヘキサンの量を適宜追加した。
【0019】
この樹脂組成物は、INCI名Copernicia Cerifera(Carnauba)Wax Extractに該当し、カルナウバロウエキスとして表示され得る。
【0020】
本発明の化粧料における成分(a)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.1〜30%ではべたつきがなく滑らかに伸び広がり、肌への密着感に優れ、均一な化粧膜を形成して優れた化粧効果を演出する点で好ましく、0.5〜10%ではべたつきのなさと肌への密着感が更に優れる点でより好ましい。
【0021】
また本発明の化粧料には、成分(b)液状油を配合する。この液状油は、成分(a)および(c)とともに用いることにより、塗布時の滑らかさを付与することができる。液状油としては、通常の化粧料に使用される25℃で液状の油剤であれば、いずれのものも使用することができ、例えば、シリコーン油、フッ素系油剤、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、高級脂肪酸、天然動植物油剤および半合成油剤よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のものを使用することができる。
【0022】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度のオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン等が挙げられる。
【0023】
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0024】
炭化水素油としては、直鎖状、分岐状、さらに揮発性の炭化水素油等が挙げられ、具体的には、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、流動イソパラフィン等が挙げられる。
【0025】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0026】
グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリルなどが挙げられる。
【0027】
高級脂肪酸としては、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、2−デシルテトラデシノール、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0028】
また、天然動植物油剤及び半合成油剤としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、胚芽油、パーシック油、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、メドウホーム油、綿実油、落花生油、液状ラノリン、酢酸ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、卵黄油等が挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料における成分(b)の配合量は、1〜80%では滑らかに伸び広がり、べたつきがなく、均一な化粧膜を得ることができる点で好ましく、5〜70%では更に滑らかに伸び広がる点でより好ましい。
【0030】
また本発明の化粧料においては、成分(a)と成分(b)を配合質量比1:1〜1:500で配合すると、滑らかな伸び広がりという点で好ましく、1:3〜1:100で配合すると更に滑らかに伸び広がる点でより好ましい。
【0031】
さらに本発明の化粧料には、成分(c)の粉体を配合する。この粉体を成分(a)および(b)とともに用いることにより、べたつきを低減することができる。粉体としては、通常化粧料原料として使用されるものであれば、板状、紡錘状、針状、球状等の形状、煙霧状、微粒子級等の粒子径、多孔質、無孔質、中空等の粒子構造等、特に限定されず用いることができる。
【0032】
具体的には、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、窒化ホウ素、無水ケイ酸等の無機粉体類、ナイロン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルシルセスキオキサン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N―アシルリジン、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン等の有機粉体類、さらには、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ有機顔料粉体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。またこれらの粉体は、1種又は2種以上を複合化したものを用いてもよく、その表面を油剤、シリコーン化合物、フッ素化合物、水溶性高分子、樹脂等の通常公知の表面処理剤で被覆処理して用いることもできる。また、平均粒子径(レーザー回析式粒度分布測定により得られる値)は1〜30μmのものが伸び広がりの良さに優れる点でより好ましい。
【0033】
上記粉体の中でも、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルシルセスキオキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー等が伸び広がりの良さやべたつきのなさという点で好ましく用いられ、これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。また、形状は、球状(金平糖状を含む)が伸び広がりの良さという点で好ましい。
【0034】
本発明の化粧料における成分(c)の配合量は、通常15〜70%の範囲が好ましい。中でも、固形状化粧料では、30〜70%が滑らかな伸び広がり、べたつきがなく、均一で化粧持続性に優れた化粧膜を得ることができる点で好ましく、液状化粧料では15〜40%が滑らかに伸び広がり、べたつきがなく、均一な化粧膜を得ることができる点で好ましい。また本発明の化粧料における成分(c)中に対する球状粉体の配合量は、1〜90%が滑らかに伸び広がり、べたつきがなく、均一で化粧持続性に優れた化粧膜を得ることができる点で好ましく、5〜70%では更に滑らかに伸び広がり、べたつきがなく、均一な化粧膜を得ることができる点でより好ましい。
【0035】
本発明の化粧料には、上記(a)〜(c)の成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲において、固形油、成分(a)以外の皮膜形成剤、界面活性剤、水性成分、成分(b)以外の紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤等、通常化粧料に配合される他の成分を配合することができる。
【0036】
固形油としては、特に限定されないが、具体的にはエチレン・プロピレンコポリマー、ポリエチレンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、ミツロウ等が挙げられる。
【0037】
皮膜形成剤としては特に限定されないが、具体的には、ロジン酸系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル変性シリコーン、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン、アクリル酸アルキル共重合体などが挙げられ、これらより1種又は2種以上用いることができる。
【0038】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であれば特に制約はなく、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。
【0039】
水性成分としては、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2ペンタジオール等が挙げられる。
【0040】
本発明の化粧料の剤型としては特に限定されず、水中油型、油中水型、油性型、粉体等のいずれでもよいが、油性成分が連続相をなすものが好ましく、水相を含有しない油性型(非水型)であっても、水相を油相中に分散または乳化した油中水型であってもよいが、特に油性型が好ましい。また、形態としても、特に限定されず、液状、ゲル状、クリーム状、固形状、粉末状のいずれでも良く、ファンデーション、アイカラー、頬紅、コンシーラー等のメイクアップ化粧料や、パック、美白スティック、マッサージ等のスキンケア化粧料、ヘアワックス等の毛髪化粧料、日焼け止め、制汗剤等の化粧料等種々の製品形態とすることができる。本発明の化粧料において、ファンデーション、アイカラー、頬紅、コンシーラー等の油性メイクアップ化粧料が好適なものとして挙げられる。
【0041】
以下に実施例等をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0042】
製造例1
樹脂組成物の調製(1):
カルナバワックス100gを融解攪拌した後、5〜10mm程度の大きさのフレーク状に固化成形した。このフレーク状のカルナバワックス100gを予め40℃に加温したイソプロパノール300ml中に攪拌しながら投入し、温度を40℃に保ったまま6時間静置して抽出処理した。その後ろ過し、ろ液から減圧蒸留によってイソプロパノールを除去し、樹脂組成物を得た。
【0043】
得られた樹脂組成物について、上記測定方法により、樹脂濃度、軟化点等を測定したところ、樹脂濃度30%、軟化点70.4℃、ヨウ素価40、酸価17、鹸化価82であった。
【0044】
また、この樹脂組成物およびカルナバワックスを下記条件による示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株) DSC6200)で測定したDSCチャートを図1に示す。この図に示すとおり、カルナバワックスのDSCチャートには、温度82℃付近に吸熱ピークが存在するのに対し、製造実施例1の樹脂組成物ではこのような吸熱ピークが消失していた。
【0045】
(DSC測定条件)
昇温スピード:5℃/min、110℃で2min保持、30〜110℃で測定
【0046】
さらに、得られた樹脂組成物およびカルナバワックスについて、下記条件によるガスクロマトグラフィー(島津製作所GC−17A)により分析した。そのクロマトグラムを図2に示す。この図に示されるとおり、樹脂組成物のクロマトグラムには、保持時間2〜10分付近に樹脂分に由来するピークが認められるのに対し、カルナバワックスのクロマトグラムにはこのようなピークがほとんど認められなかった。
【0047】
(ガスクロマトグラフィー条件)
カラム:キャピラリーカラム(ステンレス製)2.5mmφ×10m
検出器:FID
キャリアガス:He
昇温スピード:7.5℃/min
温度:150〜280℃
注入量:2μl
サンプルの調製方法:0.025g/3ml石油エーテル
【0048】
実施例2
樹脂組成物の調製(2):
カルナバワックス100gを融解攪拌した後、5〜10mm程度の大きさのフレーク状に固化成形した。このフレーク状のカルナバワックス100gを予め40℃に加温した、エタノールとn−ヘキサン80:20の混合溶剤300ml中に攪拌しながら投入し、温度を40℃に保ったまま4時間静置して抽出処理した。その後ろ過し、ろ液から減圧蒸留によって混合溶剤を除去し、樹脂組成物を得た。樹脂濃度25%、軟化点72.5℃、ヨウ素価35であった。
【0049】
実施例3
樹脂組成物の調製(3):
カルナバワックス100gを融解攪拌した後、5〜10mm程度の大きさのフレーク状に固化成形した。このフレーク状のカルナバワックス100gを予め40℃に加温したイソプロパノール400ml中に攪拌しながら投入し、温度を40℃に保ったまま8時間静置して抽出処理した。その後ろ過し、ろ液から減圧蒸留によってイソプロパノールを除去し、樹脂組成物を得た。樹脂濃度33%、軟化点69.5℃、ヨウ素価43であった。
【0050】
実施例1〜3及び比較例1〜4
油性ファンデーション化粧料(1):
下記表2に示す処方の油性ファンデーション化粧料を調製し、べたつきのなさ、滑らかな伸び広がり、肌への密着感、化粧持続性、化粧膜の均一感について下記の方法により評価した。その結果も併せて表2に示す。
【0051】

【表2】
【0052】
※1:ベンガラ 0.5、黄酸化鉄 3、黒酸化鉄 0.2(質量%、合計3.7%)
※2:SR1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※3:シリコン KF−96A(6CS)(信越化学工業社製)
※4:シリコン KF−56(信越化学工業社製)
※5:シリコン KSG−43(信越化学工業社製)
※6:異形状粉体、平均粒径約9μm
※7:中空球状粉体、平均粒径約25μm
※8:球状粉体、平均粒径約30μm
【0053】
(製法)
A.成分(6)〜(10)を100℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(1)〜(5)及び(11)〜(22)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを85℃で容器に充填し、−5℃で冷却固化して油性ファンデーション化粧料を得た。
【0054】
(評価項目)
イ.べたつきの無さ
ロ.滑らかな伸び広がり
ハ.肌への密着感
ニ.化粧持続性
ホ.化粧膜の均一感
【0055】
(評価方法)
上記イ〜ホの項目について、専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。なお、二の化粧持続性については各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、塗布から6時間後に化粧膜が口や目周りのしわに落ち込んだりすることなく、化粧膜が維持されているかどうかを評価した。
【0056】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0057】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0058】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3の油性ファンデーション化粧料は、比較例1〜3の油性ファンデーション化粧料に比べ、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性や化粧膜の均一性にも優れるものであった。一方、成分(a)のかわりに密着感の高い樹脂である水添ロジン酸ペンタエリスリチルを配合した比較例1では、樹脂のべたつきが際立ってしまったため、均一に伸び広がらず、べたつきも強く、均一な化粧膜を得ることができなかった。また成分(a)のかわりにべたつきの少ない樹脂であるトリメチルシロキシケイ酸を配合した比較例2では、比較的滑らかに伸び広がるものの、肌への密着感と化粧持続性の点で満足のいくものが得られなかった。さらに、成分(a)のかわりにべたつきの少ないワックスであるカルナバワックスを配合した比較例3では、べたつきは少ないものの滑らかな伸び広がりに欠け、塗布時にムラになりやすく、化粧膜の均一感の点で劣るものであった。
【0059】
実施例4〜6及び比較例4〜5
油性ファンデーション化粧料(2):
下記表3に示す処方の油性ファンデーション化粧料を調製し、べたつきの無さ、滑らかな伸び広がり、肌への密着感、化粧持続性、化粧膜の均一感について実施例1〜3及び比較例1〜3と同じ方法により評価した。その結果も併せて表3に示す。
【0060】

【表3】
【0061】
(製法)
A.成分(6)〜(11)を100℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(1)〜(5)及び(12)〜(23)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを85℃にて容器に充填し、-5℃で冷却固化して油性ファンデーション化粧料を得た。
【0062】
表3の結果から明らかなように、本発明の実施例4〜6の油性ファンデーション化粧料は、比較例4〜5の油性ファンデーション化粧料に比べ、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性や化粧膜の均一性にも優れるものであった。一方、成分(a)を含まない比較例4では、滑らかさに欠けると共に、肌への密着感が低く、化粧持続性に劣るものであった。また、カルナバワックスを用いた比較例5では、伸び広がりが悪く、均一に塗布しにくいため、伸び広がりや、肌への密着性、化粧膜の均一感において劣るものであった。
【0063】
実施例7〜9及び比較例6〜9
油性アイカラー化粧料:
下記表4に示す処方の油性アイカラー化粧料を調製し、べたつきの無さ、滑らかな伸び広がり、肌への密着感、化粧持続性、化粧膜の均一感について下記の方法により評価した。その結果も併せて表4に示す。
【0064】

【表4】
【0065】
※9:SR1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※10:シリコン KF−96A(20CS)(信越化学工業社製)シリコン
※11:煙霧状粉体、粒径約16nm
※12:球状粉体、粒径約8−12μm
※13:球状粉体、粒径約4−8μm
※14:ベンガラ 0.24、黄酸化鉄 0.3、黒酸化鉄0.06(質量%、合計0.6%)
【0066】
(製法)
A.成分(1)〜(13)を110℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(14)〜(19)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを95℃で容器に充填し、放冷固化して油性アイカラー化粧料を得た。
【0067】
(評価項目)
イ.べたつきの無さ
ロ.滑らかな伸び広がり
ハ.肌への密着感
ニ.化粧持続性
ホ.化粧膜の均一感
【0068】
(評価方法)
上記イ〜ホの項目について、専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。なお、二の化粧持続性については各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、塗布から6時間後に化粧膜がまぶたのしわに落ち込んだり、目尻に固まったりすることなく維持されているかを評価した。
【0069】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0070】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0071】
表4の結果から明らかなように、本発明の実施例7〜9の油性アイカラー化粧料は、比較例6〜9と比べ、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。一方、成分(a)を配合しなかった比較例6では、塗布時の密着感に欠け、均一に伸び広がりにくく、肌への密着感と化粧膜の均一性において劣るものであった。また、成分(a)のかわりに密着感の高い樹脂である水添ロジン酸ペンタエリスリチルを配合した比較例2では、べたつき、まぶた上で伸び広がりにくいものであった。さらに、成分(a)のかわりにべたつきの少ない樹脂であるトリメチルシロキシケイ酸を配合した比較例3では、伸び広がりはよいものの、肌への密着感と化粧持続性において劣っていた。また、成分(a)のかわりにべたつきの少ないワックスであるカルナバワックスを配合した比較例4では、滑らかさに欠けるためムラになりやすく、均一な化粧膜を得ることができなかった。
【0072】
実施例10:油性スティック状コンシーラー化粧料
(成分) (%)
1.製造例2の樹脂組成物 3
2.(エチレン/プロピレン)コポリマー 3
3.パラフィン 3
4.マイクロクリスタリンワックス 1
5.キャンデリラワックス 1
6.ポリエチレン 0.5
7.ワセリン 0.5
8.トリイソステアリン酸ポリグリセリル―2 6
9.ジメチコン 3
10.2−エチルヘキサン酸グリセリル 15
11.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 18
12.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 2
13.リンゴ酸ジイソステアリル 2
14.ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
15.2−エチルヘキサン酸セチル 4.5
16.メチルパラベン 0.1
17.酸化チタン 7
18.酸化亜鉛 7
19.マイカ 残量
20.メタクリル酸メチルクロスポリマー※6 4
21.シリカ※12 4
22.ジメチルシリル化シリカ※11 3
23.タルク 3
【0073】
(製法)
A.成分(1)〜(16)を100℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(17)〜(23)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを90℃で容器に充填し、−5℃で冷却固化して油性スティック状コンシーラー化粧料を得た。
【0074】
実施例10の油性スティック状コンシーラー化粧料は、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。
【0075】
実施例11:油性頬紅化粧料
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.マイカ 20
3.酸化チタン 11
4.合成金雲母 10
5.窒化ホウ素 3
6.ラウリン酸亜鉛 0.1
7.ベンガラ 0.1
8.赤226 0.1
9.メチルパラベン 0.3
10.製造例3の樹脂組成物 2
11.水添ポリイソブテン 12
12.流動パラフィン 12
13.セスキステアリン酸ソルビタン 2
【0076】
(製法)
A.成分(1)〜(9)を均一に混合する。
B.成分(10)〜(13)を70℃で均一に加熱溶解する。
C.AとBを均一に混合す。
D.容器に充填及びプレスして油性頬紅化粧料を得た。
【0077】
実施例11の油性頬紅化粧料は、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。
【0078】
実施例12:油中水型BBクリーム化粧料
(成分) (%)
1.製造例1の樹脂組成物 1
2.水添ポリデセン 2
3.ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1
4.パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシルトリ 6
5.ビスエチルヘキシルオキシフェノール
メトキシフェニルトリアジン 1
6.オクチルトリアゾン 0.5
7.メチレンビスベンゾトリアゾリル
テトラメチルブチルフェノール 1
8.シクロメチコン 残量
9.ポリシリコン−15 1
10.ジメチコン 4
11.ステアリン酸イヌリン 0.2
12.パルミチン酸デキストリン 0.2
13.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1
14.(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー 1.5
15.ジステアルジモニウムヘクトライト 1
16.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.5
17.水添レシチン 0.5
18.酸化チタン混合物※15 14.5
19.ベンガラ 0.35
19.黄酸化鉄 1.5
19.黒酸化鉄 0.15
20.タルク 2
21.メタクリル酸メチルクロスポリマー※6 1
24.酸化亜鉛 7
25.水 30
26.エタノール 4
27.1,3−ブチレングリコール 2
28.グリセリン 1
29.塩化Na 0.1
※15:酸化チタン 13.5、含水シリカ 0.5、水酸化アルミニウム 0.5(質量%、合計14.5%)
【0079】
(製法)
A.成分(1)〜(12)を90℃で均一に加熱溶解する。
B.Aに成分(13)〜(24)を加え、均一に混合する。
C.Bに成分(25)〜(29)を加え、乳化する。
D.Cを容器に充填して油中水型BBクリーム化粧料を得た。
【0080】
実施例12の油中水型BBクリーム化粧料は、べたつかず、伸び広がりが良く、肌への密着感に優れ、化粧持続性、並びに化粧膜の均一性も高いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の化粧料は、べたつきがなく滑らかに伸び広がる使用感と、優れた肌への密着感および化粧持続性を備え、さらに均一な化粧膜を形成して優れた化粧効果を演出できるものであり、メイクアップ化粧料等として有用なものである。
図1
図2