特許第5960482号(P5960482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960482
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】光学式検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20160719BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G01N21/84 Z
   G01J1/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-93215(P2012-93215)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-221841(P2013-221841A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】森下 直計
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 豊志
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−220589(JP,A)
【文献】 特開2009−158414(JP,A)
【文献】 特開2001−267594(JP,A)
【文献】 実開平06−066135(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84
G01J 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光を検出することにより前記被検査物を検査する光学式検査装置であって、
所定方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域において前記検査光を検出する光検出部と、
前記複数の受光領域を含む前記光検出部の面上を覆う電磁シールドのためのシールド部材とを備え、
前記シールド部材が、前記所定方向に延びる透光性部材と、前記透光性部材の表面に設けられた導電膜とを有し、
前記導電膜が、前記複数の受光領域上に各々位置するように前記所定方向に並複数の開口を除く、前記透光性部材の前記表面の領域に形成されており、
互いに隣り合う前記開口の境界部分が、前記導電膜によって構成されており、
前記検査光は、前記複数の開口内の前記透光性部材を透過して前記複数の受光領域に達することを特徴とする、光学式検査装置。
【請求項2】
前記透光性部材が樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の光学式検査装置。
【請求項3】
被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光を検出することにより前記被検査物を検査する光学式検査装置であって、
所定方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域において前記検査光を検出する光検出部と、
前記複数の受光領域を含む前記光検出部の面上を覆う電磁シールドのためのシールド部材とを備え、
前記シールド部材が、前記所定方向に延びる透光性部材と、前記透光性部材の表面に設けられた導電膜とを有し、
前記導電膜が、前記複数の受光領域上に各々位置するように前記所定方向に並んで形成された複数の開口を有し、
互いに隣り合う前記開口の境界部分が、前記導電膜によって構成されており、
前記光検出部が、
前記所定方向に並んで配置された第1及び第2の基板と、
前記第1の基板上に配置され、前記所定方向に並ぶ二以上の前記受光領域を有する第1の受光素子と、
前記第2の基板上に配置され、前記所定方向に並ぶ二以上の前記受光領域を有する第2の受光素子とを有し、
当該光学式検査装置が、
前記第1の受光素子を覆う第1の前記シールド部材と、
前記第2の受光素子を覆う第2の前記シールド部材とを備えていることを特徴とする光学式検査装置。
【請求項4】
前記所定方向において互いに対向する前記第1及び第2の受光素子の各端面が、該方向における前記第1及び第2の基板の端面からそれぞれ突出するか若しくは面一となっており、
前記所定方向において互いに対向する前記第1及び第2の前記シールド部材の各端面が、該方向における前記第1及び第2の受光素子の各端面と面一となっていることを特徴とする、請求項3に記載の光学式検査装置。
【請求項5】
前記導電膜が、前記受光領域と対向する側の前記透光性部材の表面に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学式検査装置。
【請求項6】
被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光を検出することにより前記被検査物を検査する光学式検査装置であって、
所定方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域において前記検査光を検出する光検出部と、
前記複数の受光領域を含む前記光検出部の面上を覆う電磁シールドのためのシールド部材と、
前記光検出部との間に前記シールド部材を挟む位置に設けられ、前記検査光を前記複数の受光領域へ導く導光路を有する導光部材とを備え、
前記シールド部材が、前記所定方向に延びる透光性部材と、前記透光性部材の表面に設けられた導電膜とを有し、
前記導電膜が、前記複数の受光領域上に各々位置するように前記所定方向に並んで形成された複数の開口を有し、
互いに隣り合う前記開口の境界部分が、前記導電膜によって構成されており、
前記シールド部材が前記導光部材によって前記光検出部に押し付けられていることを特徴とする光学式検査装置。
【請求項7】
前記光検出部が、基板と、前記複数の受光領域を有しており前記基板上に配置された受光素子とを有し、
前記シールド部材が前記導光部材によって前記基板に押し付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の光学式検査装置。
【請求項8】
前記導光部材が導電性材料から成ることを特徴とする、請求項6または7に記載の光学式検査装置。
【請求項9】
前記光検出部を支持する支持部を備え、
前記導光部材、前記シールド部材および前記光検出部を貫通し前記支持部に螺合する導電性のネジによって、前記導光部材、前記シールド部材および前記光検出部が前記支持部に固定されていることを特徴とする、請求項8に記載の光学式検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検査物に光を照射し、その反射光や透過光などを検出することにより、被検査物の形状や性質を検査する光学式検査装置が知られている。例えば、特許文献1には、被検査物のピンホールを通過した光を検出する光検出素子を備えるピンホール検出器が開示されている。このピンホール検出器は、暗箱と、暗箱内において所定方向に沿って複数配置された光検出素子とを備えている。
【0003】
また、特許文献2には、基板の長手方向に沿って並べられた複数の光学素子を備える多光軸光検出器が開示されている。この多光軸光検出器は、基板を収容するアルミニウム製のケースと、薄板状のシールド板とを更に備えている。シールド板には、複数の光学素子の位置にそれぞれ対応する複数の孔が形成されており、各孔を通過した光が、各光学素子に入射する。
【0004】
また、特許文献3には、危険領域への人体侵入などの監視に用いられる多光軸光電センサが開示されている。この多光軸光電センサは、柱状のケース内に受光器列が収容されて成る受光用柱体を備えている。この受光用柱体では、ノイズ混入防止のためのシールド部材が受光器列上に設けられている。シールド部材には、複数の受光器の位置にそれぞれ対応する複数の孔が形成されており、各孔を通過した光が、各受光器に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−365226号公報
【特許文献2】特開平7−220589号公報
【特許文献3】特開2006−107797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光学式検査装置は、被検査物からの反射光や透過光などを検出するために、これらの光の強度に応じた電気信号を出力する手段として、例えばフォトダイオードといった光検出部を備える場合がある。通常、光検出部を備える装置では、該半導体素子や周辺の配線にノイズが混入することを防ぐために、例えば金属製の筐体等によるシールド(電磁波の遮蔽)が施される。しかし、光学式検査装置には、外部からの光を受けるための開口部が必要となるので、その開口部からノイズが混入し易くなる。
【0007】
そのような問題を解決するために、例えば特許文献2に記載された多光軸光検出器や特許文献3に記載された多光軸光電センサでは、光学素子や受光器といった光検出部が、薄板状のシールド部材によって覆われている。そして、入射した光は、このシールド部材に形成された孔を通って光検出部の受光領域に達する。しかしながら、このような構成では次のような問題が生じる。例えばピンホール検出器等の光学式検査装置では、不良箇所の検出漏れを極力少なくするために、非検査領域(デッドエリア)を可能な限り小さくすることが望まれる。このため、受光領域を高密度で配置することが要求される。そこで複数の受光領域間のピッチを短くすると、それに従ってシールド部材における隣合う孔同士の間隔も狭くなるので、シールド部材の機械的強度の低下による様々な問題が生じる。例えば、孔と孔との間の部分が細過ぎて捩れてしまい、遮蔽位置がずれてしまうといった問題や、孔と孔との間の部分が細過ぎて切れてしまい、遮蔽できないといった問題である。被検査物を精度良く検査するためには、複数の受光領域間のピッチは短いほど好ましいので、このような問題はより顕著となる。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、複数の受光領域間のピッチが短い場合においても、光検出部を効果的にシールドできる光学式検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明による光学式検査装置は、被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光を検出することにより被検査物を検査する光学式検査装置であって、所定方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域において検査光を検出する光検出部と、複数の受光領域を含む光検出部の面上を覆う電磁シールドのためのシールド部材とを備え、シールド部材が、所定方向に延びる透光性部材と、透光性部材の表面に設けられた導電膜とを有し、導電膜が、複数の受光領域上に各々位置するように所定方向に並んで形成された複数の開口を除く透光性部材の表面の領域に形成されており、互いに隣り合う開口の境界部分が、導電膜によって構成されており、検査光は、複数の開口内の透光性部材を透過して複数の受光領域に達することを特徴とする。
【0010】
この光学式検査装置は、光検出部をシールドするために、光検出部の面上を覆うシールド部材を備えている。そして、このシールド部材は、透光性部材とその表面に設けられた導電膜とを有しており、この導電膜は、複数の受光領域上に各々位置する複数の開口を有している。すなわち、この光学式検査装置に入射した検査光は、引用文献1、2に記載されたようなシールド部材の孔を通過するのではなく、透光性部材を透過して受光領域に達することができる。したがって、シールド部材の機械的強度(特に、開口と開口との間の機械的強度)は透光性部材によって維持されるので、複数の受光領域間のピッチが短い(すなわち、隣合う開口の間隔が狭い)場合であっても、導電膜の捩れや切断が生じにくい。すなわち、この光学式検査装置によれば、複数の受光領域間のピッチが短い場合においても、光検出部を効果的にシールドすることができる。
【0011】
また、光学式検査装置は、透光性部材が樹脂フィルムであることを特徴としてもよい。可撓性のある樹脂フィルムを透光性部材として用いることにより、光検出部の表面形状に合わせて透光性部材を変形させ、光検出部をより効果的にシールドすることができる。
【0012】
また、光学式検査装置は、被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光を検出することにより被検査物を検査する光学式検査装置であって、所定方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域において検査光を検出する光検出部と、複数の受光領域を含む光検出部の面上を覆う電磁シールドのためのシールド部材とを備え、シールド部材が、所定方向に延びる透光性部材と、透光性部材の表面に設けられた導電膜とを有し、導電膜が、複数の受光領域上に各々位置するように所定方向に並んで形成された複数の開口を有し、互いに隣り合う開口の境界部分が、導電膜によって構成されており、光検出部が、所定方向に並んで配置された第1及び第2の基板と、第1の基板上に配置され、所定方向に並ぶ二以上の受光領域を有する第1の受光素子と、第2の基板上に配置され、所定方向に並ぶ二以上の受光領域を有する第2の受光素子とを有し、当該光学式検査装置が、第1の受光素子を覆う第1のシールド部材と、第2の受光素子を覆う第2のシールド部材とを備えていることを特徴としてもよい。このように、個々にシールドされている複数の基板を繋いで光検出部を構成することにより、シールドされた光検出部の長尺化を容易に実現することができる。
【0013】
また、光学式検査装置は、所定方向において互いに対向する第1及び第2の受光素子の各端面が、該方向における第1及び第2の基板の端面からそれぞれ突出するか若しくは面一となっており、所定方向において互いに対向する第1及び第2のシールド部材の各端面が、該方向における第1及び第2の受光素子の各端面と面一となっていることを特徴としてもよい。このように、互いに対向する第1及び第2の受光素子の各端面が基板の端面から突出するか若しくは面一となっていることにより、複数の基板の繋ぎ目部分に生じ得る受光領域間の隙間をより小さくすることができる。そして、互いに対向する第1及び第2のシールド部材の各端面が受光素子の各端面と面一となっていることにより、複数の基板の繋ぎ目部分に生じ得るシールド部材間の隙間をより小さくすることができ、複数に分割された光検出部を効果的にシールドすることができる。
【0014】
また、光学式検査装置は、導電膜が、受光領域と対向する側の透光性部材の表面に設けられていることを特徴としてもよい。これにより、例えば受光領域が配置された基板の接地配線との電気的接続が容易になり、簡易な構成によってシールドを実現することができる。
【0015】
また、光学式検査装置は、被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光を検出することにより被検査物を検査する光学式検査装置であって、所定方向に並ぶ複数の受光領域を有し、各受光領域において検査光を検出する光検出部と、複数の受光領域を含む光検出部の面上を覆う電磁シールドのためのシールド部材と、光検出部との間にシールド部材を挟む位置に設けられ、検査光を複数の受光領域へ導く導光路を有する導光部材とを備え、シールド部材が、所定方向に延びる透光性部材と、透光性部材の表面に設けられた導電膜とを有し、導電膜が、複数の受光領域上に各々位置するように所定方向に並んで形成された複数の開口を有し、互いに隣り合う開口の境界部分が、導電膜によって構成されており、シールド部材が導光部材によって光検出部に押し付けられていることを特徴としてもよい。これにより、シールド部材が光検出部に密着するので、光検出部をより効果的にシールドすることができる。
【0016】
また、光学式検査装置は、光検出部が、基板と、複数の受光領域を有しており基板上に配置された受光素子とを有し、シールド部材が導光部材によって基板に押し付けられていることを特徴としてもよい。これにより、受光素子がシールド部材によって確実に覆われるので、より効果的に光検出部をシールドすることができる。
【0017】
また、光学式検査装置は、導光部材が導電性材料から成ることを特徴としてもよい。これにより、光検出部を更に効果的にシールドすることができる。
【0018】
また、光学式検査装置は、光検出部を支持する支持部を備え、導光部材、シールド部材および光検出部を貫通し支持部に螺合する導電性のネジによって、導光部材、シールド部材および光検出部が支持部に固定されていることを特徴としてもよい。これにより、導光部材、シールド部材、及び光検出部の相互の物理的接続と同時に電気的接続を確実に行い、より効果的に光検出部をシールドすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による光学式検査装置によれば、複数の受光領域間のピッチが短い場合においても、光検出部を効果的にシールドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る光学式検査装置の外観を示す斜視図である。
図2図1に示されるII−II線に沿った断面図である。
図3】光学式検査装置の分解斜視図である。
図4】光検出部の外観を示す斜視図である。
図5】一つの受光素子を拡大して示す斜視図である。
図6】第1の基板上の受光素子の端面と、第2の基板上の受光素子の端面とが、互いに対向している様子を示す断面図である。
図7】シールド部材の外観を示す斜視図である。
図8図7に示されたシールド部材の一部を拡大して示す底面図である。
図9図8のVIII−VIII線に沿った断面図である。
図10】隣り合うシールド部材同士が対向する領域を拡大して示す底面図である。
図11】導電性樹脂カバー及び光学フィルタの外観を示す斜視図である。
図12】金属カバーの外観を示す斜視図である。
図13】金属筐体の外観を示す斜視図である。
図14】一変形例として、シールド部材の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明による光学式検査装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る光学式検査装置10の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に示されるII−II線に沿った断面図であり、図3は、光学式検査装置10の分解斜視図である。図1に示されるように、本実施形態の光学式検査装置10は、所定方向Aに沿って延びる(所定方向Aを長手方向とする)略角柱状といった形状を有する。
【0023】
光学式検査装置10は、所定方向Aに対し直交する方向に移動する被検査物に照射されて該被検査物を通過、透過もしくは反射した検査光Lを検出することにより被検査物を検査する装置である。図2及び図3に示されるように、光学式検査装置10は、光検出部20、シールド部材31及び32、導電性樹脂カバー41及び42、金属カバー50、金属筐体(支持部)61及び62、並びに光学フィルタ70を備えている。
【0024】
図4は、本実施形態の光検出部20の外観を示す斜視図である。図4に示されるように、本実施形態の光検出部20は、複数(図4では12個)の受光素子22、受光素子基板24及び25、並びに電子回路基板26及び27を有する。
【0025】
受光素子基板24は本実施形態における第1の基板であり、受光素子基板25は本実施形態における第2の基板である。受光素子基板24,25は、例えばガラスエポキシ製のリジッドなプリント配線基板であり、所定方向Aに沿って延びる(所定方向Aを長手方向とする)長方形状を呈している。受光素子基板24,25の各主面上には、複数の受光素子22を実装するためのパターン配線が設けられている。受光素子基板24と受光素子基板25とは、所定方向Aにおける受光素子基板24の端面と、所定方向Aにおける受光素子基板25の端面とが互いに対向するように、所定方向Aに沿って並んで配置されている。
【0026】
複数の受光素子22は、受光素子基板24,25上に配置されて実装されている。本実施形態では、二以上(図4では6個)の受光素子22(第1の受光素子)が受光素子基板24上に配置され、残りの二以上(図4では6個)の受光素子22(第2の受光素子)が受光素子基板25上に配置されている。これらの受光素子22は、受光素子基板24,25上において、所定方向Aに沿って隙間無く並んで配置されている。
【0027】
ここで、図5は、一つの受光素子22を拡大して示す斜視図である。図5に示されるように、受光素子22は、所定方向Aに沿って並ぶ複数の受光領域23を有する。複数の受光領域23は、検査光L(図1図2を参照)を検出するための領域であり、入射した検査光Lの強度に応じた大きさの電気信号を生成する。複数の受光領域23は、例えばフォトダイオードといった半導体光素子によって構成される。なお、本実施例では、複数の受光領域23が単一の半導体基板28上に並んで形成されるモノリシック構造を有しているが、複数の半導体基板のそれぞれに受光領域23が形成され、該複数の半導体基板が組み合わされてもよい。
【0028】
前述したように、光検出部20では、複数の受光素子22が所定方向Aに沿って並んで配置される。つまり、各受光素子22の複数の受光領域23が、図4に示されたように、所定方向Aに沿って一列に並ぶように各受光素子22が受光素子基板24,25上に配置され、受光素子基板24,25の間にわたっても、複数の受光領域23が所定方向Aに沿って一列に並ぶように受光素子基板24,25が配置される。
【0029】
また、光検出部20では、受光素子基板24上に配置された二以上の受光素子22のうち最も受光素子基板25寄りに位置する受光素子22の端面と、受光素子基板25上に配置された二以上の受光素子22のうち最も受光素子基板24寄りに位置する受光素子22の端面とが、所定方向Aにおいて互いに対向している。ここで、図6は、受光素子基板24上の受光素子22の端面22bと、受光素子基板25上の受光素子22の端面22cとが互いに対向している様子を示す断面図であって、所定方向Aに沿った断面を示している。互いに対向するこれらの端面22b,22cは、所定方向Aにおける受光素子基板24,25の各端面24b,25bからそれぞれ突出するか(図6(a))、若しくは受光素子基板24,25の各端面24b,25bと面一となっている(図6(b))ことが好ましい。
【0030】
電子回路基板26,27は、例えばガラスエポキシ製のリジッドなプリント配線基板であり、所定方向Aに沿って延びる(所定方向Aを長手方向とする)長方形状を呈している。電子回路基板26は、受光素子基板24上に配置された二以上の受光素子22から電気信号を受ける電子回路を有する。また、電子回路基板27は、受光素子基板25上に配置された二以上の受光素子22から電気信号を受ける電子回路を有する。図2に示されるように、電子回路基板26は、受光素子基板24の裏面と対向するように受光素子基板24に沿って配置され、受光素子基板24と導電ピン24aを介して電気的に接続されている。同様に、電子回路基板27は、受光素子基板25の裏面と対向するように受光素子基板25に沿って配置され、受光素子基板25と導電ピン25aを介して電気的に接続されている。
【0031】
図7は、本実施形態のシールド部材31及び32の外観を示す斜視図である。シールド部材31及び32は、複数の受光領域23を含む光検出部20の面上を覆い、光検出部20をシールド(電磁的に遮蔽)するための部材である。具体的には、図4に示された受光素子基板24の主面および該主面上に配置された二以上の受光素子22をシールド部材31が覆ってシールドし、受光素子基板25の主面および該主面上に配置された二以上の受光素子22をシールド部材32が覆ってシールドする。なお、シールド部材31は本実施形態における第1のシールド部材であり、シールド部材32は本実施形態における第2のシールド部材である。
【0032】
ここで、図8は、図7に示されたシールド部材32の一部(図7の領域B1)を拡大して示す底面図であり、図9は、図8のVIII−VIII線に沿った断面図である。なお、シールド部材31もこのシールド部材32と同様の構成を有する。
【0033】
図9に示されるように、シールド部材32は、透光性部材33及び導電膜34を有する。透光性部材33は、シールド部材32の基礎構造を構成する部材であって、シールド部材32と等しい形状を有し、検査光L(図2を参照)の波長を含む波長域の光を透過する材料から成る。一例では、透光性部材33は透明な樹脂フィルムによって好適に構成される。透光性部材33の樹脂材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリル、ポリイミドなどが好適である。また、透光性部材33の厚さは例えば0.02mm〜0.5mmであり、一実施例では0.1mmである。透光性部材33は、所定方向Aに沿って延びる(所定方向Aを長手方向とする)略長方形状を呈している。
【0034】
導電膜34は、透光性部材33の表面33aに設けられた導電性の膜であって、例えば銀ペースト、銅、ニッケル、カーボン等といった導電性材料から成る。なお、表面33aは、透光性部材33の両面のうち、光検出部20の受光領域23と対向する側の面である。導電膜34の厚さは例えば0.005mm〜0.1mmであり、且つ透光性部材33よりも薄い。導電膜34は、光検出部20をシールドするために、複数の開口34aを除く透光性部材33の表面33aの全ての領域に形成されている。複数の開口34aは、図5に示された複数の受光領域23上に各々位置するように、所定方向Aに沿って並んで形成されている。換言すれば、導電膜34は所定方向Aに沿って軸状に延びる開口部を、1つの受光領域23に対応した所定の大きさを持つ、複数の開口34aに分割する仕切り部を構成している。このような複数の開口34aを有する導電膜34は、例えばスクリーン印刷、スプレー塗装、刷毛塗り等によって好適に形成される。或いは、導電膜34は、透光性部材33の全面に導電膜が形成されたのち、開口34aに相当する部分がエッチングにより除去されることによって形成されてもよい。
【0035】
図10は、シールド部材31とシールド部材32とが対向する領域(図7の領域B2)を拡大して示す底面図である。所定方向Aにおける開口34aの好適な開口幅W1は例えば1mm〜10mmであり、所定方向Aと直交する方向における開口34aの好適な開口幅W2は例えば1mm〜10mmである。そして、互いに隣り合う開口34aの境界部分の好適な幅(すなわち、隣り合う開口34a同士の間隔)W3は、例えば0.02mm〜1mmであり、一例では200μmである。この境界部分は、導電膜34によって構成されている。
【0036】
また、図10に示されるように、シールド部材31は、所定方向Aにおいてシールド部材32と対向する端面31aを有する。同様に、シールド部材32は、所定方向Aにおいてシールド部材31の端面31aと対向する端面32aを有する。そして、シールド部材31(または32)の複数の開口34aのうち、シールド部材32(または31)に最も近い開口34aと端面31a(または32a)との間隔(すなわち、所定方向Aにおける該開口34aと端面31aまたは32aとの間の導電膜の幅)W4は、例えば0.02mm〜1mmであって、幅W3よりも狭くされている。また、好適には、シールド部材32に最も近いシールド部材31の開口34aと、シールド部材31に最も近いシールド部材32の開口34aとの間隔W5は、間隔W3と略等しくなるようにシールド部材31(受光素子基板24)、シールド部材32(受光素子基板25)が配置される。
【0037】
また、シールド部材31の端面31aは、所定方向Aにおける受光素子基板24上の受光素子22の端面(図6の端面22b)から突出するか、若しくは受光素子22の該端面と面一となっていることが好ましい。同様に、シールド部材32の端面32aは、所定方向Aにおける受光素子基板25上の受光素子22の端面(図6の端面22c)から突出するか、若しくは受光素子22の該端面と面一となっていることが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態では、光検出部20の上面(検査光Lが入射する側の面)のみを覆うようにシールド部材31,32が配置されているが、シールド部材は、光検出部の下面(検査光Lが入射する側とは反対側の面)をも覆うように追加配置されてもよく、或いは、光検出部の全面(上面および下面)を覆うように配置されてもよい。
【0039】
また、図7及び図8に示されるように、所定方向Aに沿ったシールド部材31,32の両辺には、切り欠き部31c,32cが形成されている。切り欠き部32cは、受光素子基板24の主面側に突出した端子と導電膜34との接触を避けるための形状である。なお、端子と導電膜34との接触を避けるための手段としては、これ以外に、例えば導電膜34のうち端子に接触する部分を除去してもよいが、端子に押されてシールド部材31,32が浮き上がることを防ぐために、透光性部材33及び導電膜34の双方が切り欠かれていることが好ましい。また、図8に示されるように、一方の辺に形成された切り欠き部32c(若しくは31c)と、他方の辺に形成された切り欠き部32c(若しくは31c)との間隔W6は、所定方向Aと直交する方向における受光素子22の基板28(図5を参照)の幅と同等か、その幅よりも大きいことが好ましい。
【0040】
また、本実施形態では、受光領域23と対向する側の透光性部材33の表面33aに導電膜34が設けられているが、導電膜は、受光領域23と対向する側とは反対側の透光性部材33の表面に設けられてもよく、或いは、透光性部材33の両面に設けられてもよい。
【0041】
図11は、導電性樹脂カバー41,42及び光学フィルタ70の外観を示す斜視図である。導電性樹脂カバー41,42は、所定方向Aに沿って延びる(所定方向Aを長手方向とする)略角柱状といった形状を有する。導電性樹脂カバー41と導電性樹脂カバー42とは、所定方向Aにおける導電性樹脂カバー41の端面と、所定方向Aにおける導電性樹脂カバー42の端面とが互いに対向するように、所定方向Aに沿って並んで配置されている。また、導電性樹脂カバー41,42は、導電性材料から成る。導電性樹脂カバー41,42は、例えば導電性ナイロンや導電性ポリアセタール等といった導電性の樹脂からなることが好ましい。
【0042】
図2に示されるように、導電性樹脂カバー41,42それぞれは、光検出部20との間にシールド部材31,32それぞれを挟む位置に設けられる。そして、導電性樹脂カバー41,42それぞれは、シールド部材31,32それぞれを光検出部20に押し付けることにより、シールド部材31,32と光検出部20とを相互に密着させる。より詳細に説明すると、導電性樹脂カバー41,42は、受光素子22と対向する底面41a,42aをそれぞれ有しており、これらの底面41a,42aがシールド部材31,32を受光素子22へ押圧する。また、導電性樹脂カバー41,42は、受光素子基板24,25と対向する底面41b,42bをそれぞれ有しており、これらの底面41b,42bがシールド部材31,32を受光素子基板24,25へ押圧する。
【0043】
また、図2に示されるように、導電性樹脂カバー41,42は、本実施形態における導光部材であって、検査光Lを複数の受光領域23へ導くための導光路41c,42cをそれぞれ有する。導光路41c,42cは、受光素子22の受光面に対して垂直な方向に延びる空洞であり、その平面形状は所定方向Aに沿って延びている。
【0044】
光学フィルタ70は、導光路41c,42cを塞ぐように、導電性樹脂カバー41上から導電性樹脂カバー42上にわたって配置されている。光学フィルタ70は、導光路41c,42cへ検査光Lを選択的に透過し、他の波長の光を遮断するために設けられる。
【0045】
図12は、金属カバー50の外観を示す斜視図である。金属カバー50は、所定方向Aに沿って延びており、金属材料から成る。金属カバー50は、例えば天板51および一対の側板52を含む。天板51には、所定方向Aに沿って延びる開口51aが形成されており、図2に示されるように、この開口51aから検査光Lが入射する。なお、所定方向Aにおける開口51aの長さは例えば2mである。また、前述した光学フィルタ70の上面には凸部が形成されており、この凸部は、金属カバー50の開口51aに嵌り込み、光入射面を構成する。これにより、光学フィルタ70の光入射面と天板51の表面との段差が低減され、検査物の引っ掛かりや塵の堆積等を低減することができる。
【0046】
図13は、金属筐体61,62の外観を示す斜視図である。金属筐体61,62は、所定方向Aに沿って延びており、金属材料から成る。金属筐体61と金属筐体62とは、所定方向Aにおける金属筐体61の端面と、所定方向Aにおける金属筐体62の端面とが互いに対向するように、所定方向Aに沿って並んで配置されている。
【0047】
金属筐体61,62は、例えば底板63,64と、一対の側板65,66とをそれぞれ含む。側板65,66からは、複数の突起65a,66aが突出しており、受光素子基板24,25を支持している。また、図2に示されるように、突起65a,66aにはネジ孔が形成されており、これらのネジ孔には導電性のネジ67といった固定部材が螺合される。これらのネジ67は、導電性樹脂カバー41(又は42)、シールド部材31(又は32)および受光素子基板24(又は25)に設けられた貫通孔を貫通し、導電性樹脂カバー41(又は42)を介して、受光素子基板24(又は25)の導電部分(接地電位パターン部分)にシールド部材31(又は32)の導電膜34を押し付けるように突起65a,66aに螺合される。導電性樹脂カバー41,42、シールド部材31,32、及び受光素子基板24,25は、これらのネジ67によって金属筐体61,62に物理的に固定されるとともに、導電性樹脂カバー41,42、シールド部材31,32(の導電膜34)は受光素子基板24,25の接地電位と電気的に接続される。
【0048】
以上に説明した、本実施形態の光学式検査装置10による作用効果について説明する。本実施形態の光学式検査装置10は、光検出部20をシールドするために、光検出部20の面上を覆うシールド部材31,32を備えている。そして、シールド部材31,32は、透光性部材33の表面33aに設けられた導電膜34を有しており、この導電膜34は、複数の受光領域23上に各々位置する複数の開口34aを有している。そして、これらの開口34aの間には、導電膜34が配置されている。これにより、金属カバー50の開口51aおよび導電性樹脂カバー41,42の導光路41c,42cから侵入する電磁波を効果的にシールドし、受光素子22を好適に動作させることができる。
【0049】
また、この光学式検査装置10に入射した検査光Lは、引用文献1、2に記載されたようなシールド部材の孔を通過するのではなく、透光性部材33を透過して受光領域23に達することができる。そして、シールド部材31,32の機械的強度(特に、開口34aと開口34aとの間の機械的強度)は透光性部材33によって維持されるので、複数の受光領域23間のピッチが短い(すなわち、隣合う開口34aの間隔W3が狭い)場合であっても、導電膜34の捩れや切断が生じにくい。すなわち、この光学式検査装置10によれば、複数の受光領域23間のピッチが短い場合においても、光検出部20を効果的にシールドすることができる。そして、例えばピンホール検出器等として使用される際に、非検査領域(デッドエリア)をより小さくし、不良箇所の検出漏れを少なくすることができる。
【0050】
また、図10に示されたように、本実施形態において、シールド部材31,32の最も端に位置する開口34aと、端面31a,32aとの間隔W4は、隣り合う開口34aの境界部分の幅W3よりも小さい。本実施形態によれば、このように細い仕切り状のシールド部分であっても機械的強度を維持できる。したがって、複数のシールド部材が並べて配置される際に、シールド部材の端部が相互に重なってデッドエリアが拡大することを防止できる。なお、引用文献1、2に記載されたようにシールド部材に孔を形成する場合、本実施形態のように細いシールド部分をシールド部材の端部に形成すると、その部分が細線状となり極めて脆くなってしまうのに加え、細線状部でつながった状態となるシールド部材自体も非常に破損しやすくなってしまう。
【0051】
また、本実施形態のように、透光性部材33は樹脂フィルムであることが好ましい。可撓性のある樹脂フィルムを透光性部材33として用いることにより、光検出部20の表面形状に合わせて透光性部材33を変形させ、光検出部20をより効果的にシールドすることができる。また、シールド部材31,32の厚みを抑制し、かつ光検出部20に密着することができるので、効果的にシールドしつつ、シールド部材31,32に入射した検査光Lを確実に光検出部20へ導くことができる。
【0052】
また、本実施形態のように、光検出部20は、所定方向Aに並んで配置された受光素子基板24,25と、受光素子基板24上に配置され、所定方向Aに並ぶ二以上の受光領域23を有する受光素子22と、受光素子基板25上に配置され、所定方向Aに並ぶ二以上の受光領域23を有する受光素子22とを有し、受光素子基板24及び受光素子基板25毎に、複数の受光素子22を覆うシールド部材31,32を有してもよい。このように、個々にシールドされている複数の基板(光検出ユニット)を繋いで光検出部20を構成することにより、光検出部20の長尺化を容易に実現することができる。そして、本実施形態のシールド部材31,32の機械的強度は上記のように高いので、このように長尺化された光検出部20であっても効果的にシールドすることができる。
【0053】
また、本実施形態のように、所定方向Aにおいて互いに対向する受光素子22の各端面22b,22c(図6参照)は、該方向Aにおける受光素子基板24,25の端面24b,25bからそれぞれ突出するか若しくは面一となっているとよい。また、所定方向Aにおいて互いに対向するシールド部材31,32の各端面31a,32a(図10参照)は、該方向Aにおける受光素子22の各端面22b,22cと面一となっているとよい。このように、互いに対向する受光素子22の各端面22b,22cが受光素子基板24,25の端面24b,25bから突出するか若しくは面一となっていることにより、受光素子基板24と受光素子基板25との繋ぎ目部分に生じ得る受光領域間の隙間をより小さくすることができる。そして、互いに対向するシールド部材31,32の各端面31a,32aが受光素子22の各端面22b,22cと面一となっていることにより、受光素子基板24と受光素子基板25との繋ぎ目部分に生じ得るシールド部材31,32間の隙間をより小さくすることができ、複数に分割された光検出部20を効果的にシールドすることができる。
【0054】
また、本実施形態のように、導電膜34は、受光領域23と対向する側の透光性部材33の表面33aに設けられているとよい。これにより、例えば受光素子基板24,25の接地配線との電気的接続が容易になり、簡易な構成によってシールドを実現することができる。
【0055】
また、本実施形態のように、光検出部20との間にシールド部材31,32を挟む位置に導電性樹脂カバー41,42が設けられ、これらの導電性樹脂カバー41,42は、検査光Lを複数の受光領域23へ導く導光路41c,42cを有するとよい。そして、シールド部材31,32が導電性樹脂カバー41,42によって光検出部20に押し付けられるとよい。これにより、シールド部材31,32が光検出部20に密着するので、光検出部20をより効果的にシールドすることができる。また、導電性樹脂カバー41,42も光検出部20に近接するので、導光路41c,42cの隙間を低減し、検査光Lの損失を抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態のように、導電性樹脂カバー41,42は導電性材料から成ることが好ましい。これにより、光検出部20を更に効果的にシールドすることができる。
【0057】
また、本実施形態のように、シールド部材31,32が導電性樹脂カバー41,42によって受光素子基板24,25に押し付けられていることが好ましい。これにより、受光素子22を覆ったシールド部材31,32が、所定方向Aと垂直に交わる方向における受光素子22の両端部を超えて受光素子基板24,25に押し付けられるので、受光素子22がシールド部材31,32によって確実に覆われ、より効果的に光検出部20をシールドすることができる。さらに、シールド部材31,32の位置決め及び固定を受光素子基板24,25に対して正確に為し得るので、さらに効果的に光検出部20をシールドすることができる。
【0058】
また、本実施形態のように、導電性樹脂カバー41,42、シールド部材31,32および受光素子基板24,25が、導電性のネジ67によって、受光素子基板24,25を支持する突起65a,66aに固定されているとよい。これにより、導電性樹脂カバー41,42、シールド部材31,32、及び受光素子基板24,25の相互の物理的接続および電気的接続を確実に行い、より効果的に光検出部20をシールドすることができる。
【0059】
(変形例)
図14は、上記実施形態の一変形例として、シールド部材39の外観を示す斜視図である。このシールド部材39は、上記実施形態のシールド部材31,32を繋ぎ合わせた形状を有しており、受光素子基板24上から受光素子基板25上にわたって配置される。光学式検査装置10は、上記実施形態のシールド部材31,32に代えて、このシールド部材39を備えてもよい。
【0060】
本変形例のように、シールド部材39が複数の受光素子基板24,25上にわたって配置されることにより、長尺化された光検出部20をより効果的にシールドすることができる。なお、上記実施形態のように、受光素子基板24上の受光素子22をシールドするシールド部材31と、受光素子基板25上の受光素子22をシールドするシールド部材32とを個別に配置することにより、光検出ユニットである受光素子基板単位での連結による所望の長さへの長尺化を容易とすることができる。
【0061】
本発明による光学式検査装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態ではシールド部材の光透過性部材として樹脂フィルムを例示したが、本発明の光透過性部材は、例えば透明な板状部材など、他の形状・材料によって構成されてもよい。また、上記実施形態では受光素子22の受光領域23毎に導電膜34に開口34aを設けていたが、導電膜の開口は、複数の受光領域を含む開口を1単位として複数隣接するように設けられても良く、1つの受光領域に対応する開口と複数の受光領域を含む開口との両方が設けられても良い。また、上記実施形態では受光素子22の受光領域23は所定方向Aに沿って一列のみ延びているが、複数列の受光領域が所定方向Aに沿って延びていても良い。
【符号の説明】
【0062】
10…光学式検査装置、20…光検出部、22…受光素子、23…受光領域、24,25…受光素子基板、26,27…電子回路基板、28…半導体基板、31,32…シールド部材、33…透光性部材、34…導電膜、34a…開口、41,42…導電性樹脂カバー、41c,42c…導光路、50…金属カバー、61,62…金属筐体、67…ネジ、70…光学フィルタ、A…所定方向、L…検査光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14