(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960487
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
B41J 19/20 20060101AFI20160719BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B41J19/20 L
B41J2/01 303
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-96585(P2012-96585)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-14128(P2013-14128A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-126589(P2011-126589)
(32)【優先日】2011年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395003187
【氏名又は名称】株式会社OKIデータ・インフォテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】神戸 宏明
【審査官】
名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−075354(JP,A)
【文献】
特開平08−058174(JP,A)
【文献】
特開2002−137481(JP,A)
【文献】
特開2007−223049(JP,A)
【文献】
特開2001−199116(JP,A)
【文献】
特開2006−188013(JP,A)
【文献】
特開2010−089428(JP,A)
【文献】
特開2006−096028(JP,A)
【文献】
特開平05−338210(JP,A)
【文献】
実開昭59−024353(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 19/20
B41J 2/01 −2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出するプリントヘッドと、該プリントヘッドを搭載するキャリッジと、前記記録媒体の搬送方向に交差する方向に配置されたレールと、前記キャリッジを前記レールに移動可能に結合する夫々が複数のベアリングを備える複数の取付構造部と、を有し、
前記取付構造部は一つの主たる取付構造部と他の取付構造部で構成され、前記主たる取付構造部は前記レールに対して前記主たる取付構造部が備える前記ベアリングの内の少なくとも1つを与圧しながら接触させる与圧機構を備え、前記キャリッジが走査しているときは前記主たる取付構造部が備える前記ベアリングの全てが常に前記レールに接触し、
前記他の取付構造部の夫々が備える前記ベアリングの内の一つは前記与圧機構より小さい力で前記レールに対して与圧されるかまたは与圧されずに備えられ、前記キャリッジが走査しているときは前記他の取付構造部の夫々が備える前記ベアリングは前記レールから接離可能に前記レールに結合され、前記キャリッジを前記レールに沿って走査させながら前記プリントヘッドから前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、
前記キャリッジの移動方向の一方の端部に前記主たる取付構造部を備え、他方の端部に前記他の取付構造部を備え、前記キャリッジはベルトに接続され、前記ベルトは回転方向が切り替わりながら回転し、前記キャリッジは前記ベルトの回転に伴って移動することを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記主たる取付構造部に備えられた前記ベアリングは、前記レールの前記キャリッジに対向する側の第1平面と該面に対して面が交差する方向に向いている第2平面に接触し、前記与圧機構により前記レールに対して与圧する前記ベアリングは前記第2平面に接触することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記与圧機構はバネを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記主たる取付構造部が備わる位置が前記他の取付構造部より前記キャリッジの進行方向の後方側にある場合に、前記記録媒体に記録することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項5】
前記ベアリングの急激な移動を緩衝する緩衝部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【請求項6】
前記ベアリングの移動量を規制するスペーサを備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出することによって画像を記録するインクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは高速化、高画質化の要求に対応するために、速度向上と記録媒体上へ吐出するインクの着弾位置精度を上げる必要性が高まっている。装置を高速に動作させると従来は問題にならないレベルのキャリッジの振動がインクの着弾位置精度に影響をおよぼすため、Yレールの直線精度を上げたり、キャリッジのYレールとの結合部の剛性を上げるべく取付構造部の与圧力を大きくしたりして画質の改善を図ってきた。このYレールはキャリッジを直線移動させるため主走査方向に沿って配置された直線状のレールであり、キャリッジはこのYレールに沿って移動する。そのため、Yレールの歪みや捩れ等がキャリッジの挙動に影響を与えることになる。
【0003】
前述のような構成のインクジェットプリンターの一例として、キャリッジ上にはプリントヘッドとプリントヘッド制御基板のみを搭載し、インクはキャリッジ外に置かれたインクカートリッジからチューブを介してプリントヘッドに供給し、キャリッジ上からインクタンクを削除した構成が挙げられる。このようなインクジェットプリンターの構成を採用するとキャリッジの質量を低減でき、取付構造部の与圧力が同じであってもより剛性を高める効果が得られる。その結果、キャリッジの振動を抑制でき、これに起因するインクの着弾位置精度バラツキを小さくできる。
【0004】
ところで、このような問題への対策として特開2008−207355号公報に見られるような提案がなされている。この文献の技術では、キャリッジに加速度センサを搭載し、キャリッジの挙動を検出し、その検出結果に基づいてプリントヘッドからのインクの吐出タイミングを補正し、キャリッジの挙動に伴う印字品質の低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−207355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャリッジをYレールと結合させる部分が複数の取付構造部より構成されているインクジェットプリンターにおいて、キャリッジは複数の取付構造部によってYレールと剛的に結合されていた。したがって、複数の取付構造部の位置関係は固定的であり、部品の寸法や反り、捩れなど精度のバラツキがキャリッジの直線移動に影響を与えていた。さらに、この影響を回避する目的で取付構造部の一部に可動部を持たせたものがあった。可動部は通常バネなどによって与圧され、可動と同時に高剛性を両立していた。
【0007】
一方でYレールやキャリッジの部品は高精度に製作されていたが、コストの制約もあるため、ある一定許容範囲内に部品精度が入るように製造される。その結果、例えばYレールに反りや捩れなどその部品固有の特徴が現れる。キャリッジがYレール上を走査するときに複数の取付構造部の可動部がYレールと取付構造部が接触する位置に応じて移動する。このようにすることで、キャリッジはYレールの形状に沿って忠実に移動することになる。しかし、Yレールの変形量が大きい場合には、複数ある取付構造部の全てがYレールと接触しない場合がある。このような場合は、キャリッジはYレールの形状に沿って移動できない。例えば、ある反りの位置で、Yレールと接触する取付構造部が何れか一つになり、さらに移動したとき突然他の取付構造部に切り替わってしまうなど、予期せぬキャリッジの動きが発生し、時にはそれが振動となり、Yレールの反りや捩れなど形状そのものに起因する画質劣化より大きな画質低下の原因となる。
【0008】
しかしながらインクジェットプリンターの高速化とともに高画質化が求められるようになると、このような画質低下も問題となった。
【0009】
キャリッジはYレール上の次々と変化する形状をこのような取付構造部によって回避しながら走査していた。キャリッジには複数の取付構造部を持っていたため、進行方向先頭の取付構造部が常に先行し、残りの取付構造部がその位置に応じて遅れて動作した。しかしながらYレールに対して実際のキャリッジは複数の取付構造部によって構成されているため、Yレールと接触する取付構造部が何れか一つになってしまう等の問題により、部品の製造バラツキを補償できないという矛盾があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、Yレールや部品の反りや歪などに対してキャリッジの位置を相対的に反りや歪などの影響を抑え、その結果、Yレールに沿って移動するキャリッジの姿勢変化が減少し、画質低下を防止し、Yレールなどの部品に歪みがあっても高速化と高画質化を両立可能なインクジェットプリンターの提供を目的とする。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のインクジェットプリンターは、記録媒体にインクを吐出するプリントヘッドと、該プリントヘッドを搭載するキャリッジと、前記記録媒体の搬送方向に交差する方向に配置されたレールと、前記キャリッジを前記レールに移動可能に結合する夫々が複数のベアリングを備える複数の取付構造部と、を有し
、前記取付構造部は一つの主たる取付構造部と他の取付構造部で構成され、前記主たる取付構造部は前記レールに対して前記主たる取付構造部が備える前記ベアリングの内の少なくとも1つを与圧しながら接触させる与圧機構を備え、前記キャリッジが走査しているときは前記主たる取付構造部が備える前記ベアリングの全てが常に前記レールに接触し、前記他の取付構造部の夫々が備える前記ベアリングの内の一つは前記与圧機構より小さい力で前記レールに対して与圧されるかまたは与圧されずに備えられ、前記キャリッジが走査しているときは前記他の取付構造部の夫々が備える前記ベアリングは前記レールから接離可能に前記レールに結合され
、前記キャリッジを前記レールに沿って走査させながら前記プリントヘッドから前記記録媒体に前記インクを吐出して画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、前記キャリッジの移動方向の一方の端部に前記主たる取付構造部を備え、他方の端部に前記他の取付構造部を備え、前記キャリッジはベルトに接続され、前記ベルトは回転方向が切り替わりながら回転し、前記キャリッジは前記ベルトの回転に伴って移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、部品の反りや歪みに基づく画質の劣化を回避する過程においてもキャリッジの振動を低減し、高速化と高画質化を両立可能なインクジェットプリンターの提供を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】Yレールにキャリッジが取付けられている状態を説明する図である。
【
図5】インクジェットプリンターの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態の概要)
次に本発明の実施の形態を説明する。キャリッジはインクを吐出するプリントヘッドが搭載されており、キャリッジがYレールに沿って走査し、所望の位置にインクを吐出することにより画像を形成する。キャリッジはYレールに対して複数の取付構造部で保持されている。例えば、一つの取付構造部はYレールに対して4つのベアリングを介して固定されている。その内の3個は取付位置がYレールに対して相対的に固定され、残りの1つは取り付け位置がYレールに対して相対的に可動する。3個の固定されたベアリングはそのままYレールの形状に合わせて接触させて配置される。残りのひとつのベアリングは与圧アーム上に回転可能に配置され、与圧アームは取付構造部に対して与圧アーム軸によって回転可能に支持される。与圧アームには、与圧アーム軸を挟んで、一方の側にベアリングが配置され、他方の側に与圧バネが配置されている。このバネの力によってベアリングをYレールに押し付けている。与圧バネはキャリッジをYレールに取り付けてもがたつきが出ないような十分強い力を発生し、キャリッジがYレール上を走査していても飛跳ねない様に保持している。
【0015】
複数の取付構造部のうち、位置決め基準となる主たる取付構造部と従たる取付構造部を明確化するために、取付構造部の与圧特性を意図的に異なるものにする。一番強力な与圧特性を持つ取付構造部を主たる取付構造部とし、それより弱い与圧特性を持つ残りを従たる取付構造部とする。その結果、Yレール上を走査する過程においてもキャリッジの姿勢は主たる取付構造部がYレールに取り付くことで保持し、従たる取付構造部がその能力の範囲内でYレールに取り付く。また他の形態として、さらに取付構造部の与圧特性を変化させる手段を備え、与圧バネの発生する力を変化させることができ、この他に、与圧バネの力を抑制するダンパー部材の使用、与圧バネを無くした与圧力無しなどが挙げられる。また、ベアリングの移動を規制するスペーサを備えるものも挙げられる。従たる取付構造部は複数個あっても良い。
【0016】
(実施の形態の詳細)
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1はYレールにキャリッジが取付けられている状態を説明する図である。
図2は取付構造部を説明する図である。Yレール1は装置の略全幅に等しい長さを持っており、キャリッジ2が走査するときのガイドとして機能する。図中Yレール1は全体の長さに対して一部分を抜き出して描かれている。
【0017】
キャリッジ2には図示していないプリントヘッドが一つまたは複数搭載されており、画像データに応じて適切なタイミングでインクを吐出して画像を形成する。キャリッジ2は図示していないベルトに取り付けられベルトを駆動することでキャリッジ2がそのベルトと共に移動する。キャリッジ2は取付構造部3aと取付構造部3bを介してYレール1に取り付けられている。取付構造部3に含まれるベアリングa7、ベアリングb8、ベアリングc9、ベアリングd10によってYレール1から外れることなく走査可能に取り付いている。取付構造部3のうちベアリングa7、ベアリングb8、ベアリングc9は取付構造部3に取付位置が変わらないように固定されているが、ベアリングd10のみ可動する与圧アーム5を介して取り付けられている。Yレール1の頂上部を挟むようにベアリングa7とベアリングb8が設けられている。Yレール1の下部を挟むようにベアリングc9とベアリングd10が設けられている。ベアリングa7とベアリングc9はYレール1のキャリッジ2に対向する側の平面である第1平面に接し、ベアリングb8とベアリングd10は第1平面に対して面が交差する方向にある平面に接する。4つのベアリングによってYレール1の垂直方向および水平方向に向かい力が加わる。与圧アーム5の略中央には与圧アーム軸6があり、与圧アーム軸6を介して取付構造部3に回転可能に取り付けられている。さらに与圧アーム軸6のベアリングd10取付位置と反対側には与圧バネ4が配置され、これによって与圧している。その結果、ベアリングd10が常にYレール1に接しながら回転できるようになっている。
【0018】
取付構造部3a、取付構造部3bは個々で説明した取付構造部3と同一の構造である。取付構造部3aでは、与圧のために与圧バネ4aを用いている。また、この与圧バネ4aによって与圧アーム軸6aを支点として、すなわち回動中心として、与圧アーム5aが取り付けられている。取付構造部3bでは、与圧のために与圧バネ4bを用いている。また、この与圧バネ4bによって与圧アーム軸6bを支点として、すなわち回動中心として、与圧アーム5bが取り付けられている。キャリッジ2は、キャリッジ2の移動方向の前後でYレール1に取付構造部3aおよび取付構造部3bによって取付けられている。与圧バネ4aと与圧バネ4bの弾性力が異なり、すなわち、与圧アーム5aに取付けられているベアリングと与圧アーム5bに取付けられているベアリングは異なる力でYレールに接触している。ベアリングの接触力が強い方が主たる取付構造部、弱いほうが従たる取付構造部と位置づけられる。
【0019】
図3は本発明を適用した一実施形態のキャリッジの正面図である。取付構造部3aに替わり取付構造部3cが用いられている。取付構造部3cには与圧バネのかわりにスペーサ15が使用されており、スペーサ15の高さに応じて可動するベアリングd10をYレール1に対して接することなくわずかに浮いた状態に保持している。スペーサ15は剛的に動作し、金属やプラスチックなどで構成されている。
【0020】
またスペーサ15は取付構造部3cに設けてもよい。これにより取付構造部3cは与圧をしていない状態となり、通常の与圧をかけている取付構造部3bを主たる取付構造部、取付構造部3cを従たる取付構造部と位置づけられる。この結果、例えば図の左方向へキャリッジ2が走査するときは常に取付構造部3cが先行し、取付構造部3bがそれに続くことになる。その過程において取付構造部3cは与圧していないため取付構造部3bがYレール1に常に接触することになる。その結果、取付構造部3bがYレールから離れることが無く、Yレール1に忠実に沿って移動でき、またキャリッジ2は移動時の慣性力によって姿勢が変化せず、画質低下に至るキャリッジの振動や傾きが発生することもない。
【0021】
図4は本発明を適用したもう一つの実施形態のキャリッジの正面図である。取付構造部3aと取付構造部3bの替わりに取付構造部3dと取付構造部3eが用いられている。取付構造部3dには与圧バネ弱タイプ17が、取付構造部3eには与圧バネ強タイプ16が使用されており、与圧の大きさが与圧バネ強タイプ16のほうが与圧バネ弱タイプ17よりもベアリングの接触が強くなるように設定されている。さらに取付構造部3dには与圧バネ弱タイプ17と並列にダンパー部材18が取り付けられている。ダンパー部材18は与圧アーム5dの動きを緩衝する機能を有し、ゴムやエラストマーの他にスポンジなどで構成可能である。この他にシリコーンオイルやガスを用いた緩衝部材や、動作に一定の負荷を与えるトルクリミッターなどを用いてもよい。取付構造部3eが主たる取付構造部となり、取付構造部3dが従たる取付構造部となる。また図示していないが、
図3のようなスペーサ15と直列にダンパー部材を取り付けてYレール1の変形が予め決められた範囲外の場合だけ与圧がかかるような構成も可能である。
【0022】
なお、インクジェットプリンターはキャリッジ走査時に往路と復路で印刷する双方向印刷モードと、往路または復路だけで印刷する片方向印刷モードがある。本発明では複数の取付構造部の与圧特性を意図的に違うものにしたため、キャリッジの走査方向によって主たる取付構造部の位置が変わる、すなわち走査方向の前方に位置する場合と後方に位置する場合がある。双方向印刷モードでは装置の動作上、主たる取付構造部の位置は往路復路において入れ替わってしまう。しかし片方向印刷モードの時は、常に一定にすることができ、従たる取付構造部が前方にあるとベルトにより引かれることによる慣性力に他の力があまりかからないので、印刷時の走査方向においてキャリッジの末尾側に主たる取付構造部をレイアウトするほうが望ましい。
【0023】
上述のように、本発明の実施形態では、キャリッジ2を取付構造部3のベアリング8個を用いてYレール1に取り付ける構造である。取付構造部3の上方のベアリングa7、ベアリングb8によってYレール1に取付構造部3が垂れ下がり接続される。また、キャリッジ2と対向する側のYレール1の平面に接するベアリングc8とベアリングd9が備わっている。これら3つのベアリングには、与圧する手段は無い。取付構造部3の下方のベアリングd10のみに与圧する手段が備わっている。全てのベアリングがYレール1に接触していることが理想的であるが、Yレール1の撓みや反りによって、ベアリングがYレール1から離れる場合があり、これを許容するためには何れかのベアリングをYレールに対して離れられる構造にしておく必要がある。キャリッジ2と対向する側のYレール1の平面に接するベアリングc8とベアリングd9はキャリッジ2の姿勢を決める重要なベアリングなので、位置変化は好ましくない。また、取付構造部3の上方のベアリングには、重力により、Yレール1に取付構造部3が垂れ下がるように力が加わりこれに抗する与圧を掛けるには下方のベアリングより余計に力が必要である。また、鉛直方向を下方向とすると、Yレール1に対してベアリングd10を斜め上方向、すなわち上方向とそれに対して垂直方向のベクトルを持つ力を加えることで、上下方向のみならずその垂直方向に対しても与圧が加わることになる。これにより、方向にとらわれずに与圧することができる。
【0024】
図5はインクジェットプリンターの一例を示す図である。Yレール1はプリンターのほぼ全幅に亘り備えられている。キャリッジ2の内部にインクジェットヘッドが搭載されている。タイミングベルト19はプーリー20に掛けまわされたベルトであり、キャリッジ2が接続されている。プーリー20に対になっているプーリーは図中キャリッジ2の影にあり図示していない。タイミングベルト19は回転方向を変えて回転する。それに合わせて、タイミングベルト19に接続されているキャリッジ2がYレール1に沿って往復移動する。プラテン21は搬送ローラ22によって搬送される記録媒体を支持する。搬送ローラ22はプラテン21に沿って複数配置されている。記録媒体は、例えばプラスチックフィルムや紙などである。プラテン21に支持された記録媒体の上空を通過するキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッドからインク吐出し、画像を記録する。記録媒体は搬送方向に間歇駆動され、停止しているときに記録され、搬送と記録が交互に行われる。
【符号の説明】
【0025】
1 Yレール
2 キャリッジ
3、3a、3b、3c、3d、3e 取付構造部
4、4a、4b 与圧バネ
5、5a、5b、5c、5d、5e 与圧アーム
6、6a、6b、6c、6d、6e 与圧アーム軸
7 ベアリングa
8 ベアリングb
9 ベアリングc
10 ベアリングd
11 ベアリングa支持軸
12 ベアリングb支持軸
13 ベアリングc支持軸
14 ベアリングd支持軸
15 スペーサ
16 与圧バネ強タイプ
17 与圧バネ弱タイプ
18 ダンパー部材
19 タイミングベルト
20 プーリー
21 プラテン
22 搬送ローラ